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イオン交換樹脂

ドキュメント内 Microsoft Word - 目次注意事項2.doc (ページ 43-46)

参 考

実験 10  イオン交換樹脂

―H型陽イオン交換樹脂への銅(II)イオンの交換吸着―

【目的】

工業的によく用いられているイオン交換樹脂を用いてイオン交換を行い、イオン交換平衡やイオ ン交換樹脂の性質などについて理解する。

【理論】

(1)イオン交換樹脂

イオン交換体には種々のものが知られているが、スチレ ンとジビニルベンゼンの共重合体を骨格とした三次元網 目構造の合成イオン交換樹脂がもっとも一般的である。骨 格のベンゼン環に導入された官能基の種類によって、強 酸性陽イオン交換樹脂(-SO3-H+)または強塩基性陰イオ ン交換樹脂(-CH2N+(CH3)2OH-)などに分類されている。

イオン交換樹脂は一般にわずかに湿潤した状態で市販さ れているが、粒状樹脂を水に浸すと膨張してゲルの性質 を示し、官能基の種類に応じたイオン交換能を発揮する。

H型イオン交換樹脂(R-H+)の場合、金属イオン(Mn+)との 交換反応は以下のように示される。

n n

n n

n n n

K

n n

] H ][

M [

] H ][

M [

H M

) R ( H

R M

M

H + +

+ +

+ +

! +

! +

=

+ +

上の式で示された平衡定数 KHM は選択係数と呼ばれ、金属イオ ンの樹脂への相対親和性を表す尺度である。上の式中の上線付き はその化学種が樹脂内にあることを示している。樹脂相内の化学種 の濃度は、乾燥したH型樹脂1gあたりのミリ当量数で表される。

(2)カラム法

イオン交換分離法はバッチ法とカラム法があり、分析目的によって 使いわけられる。実際のイオン交換分析では分離効率のよいカラム 法が採用されることが多い。バッチ法とは、ビーカー中で試料溶液と イオン交換樹脂をかき混ぜてイオン交換させた後、2相を分離する方 法である。カラム法は、細長いガラス管に樹脂粒をつめて樹脂層(カ

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CH CH

X CH CH2

CH CH

2 CH CH

2

CH2

CH CH

2 CH

CH X

CH2

CH2 CH

2 CH

2 CH

2

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ラム)を作り、カラムの上端から試料溶液を流すことで溶液中のイオンを交換吸着させて分離する 方法である。このとき目的イオンをカラムに吸着させ、他のイオンをカラムから流出させ分離する方 法をカラムろ過法と呼んでいる。

また、カラムに吸着したイオンを取り除くための溶液(溶離液)を連続的にカラムに流入させ、交 換吸着と交換脱離を連続的に行い、イオンを分離する方法をクロマトグラフ溶離法と呼んでいる。

この方法では樹脂への親和力が小さいイオンは短時間で容易に溶出されるのに対して、親和力の 大きいイオンは長時間の通液が必要となり、この差によって分離される。この方法は選択係数の差 が小さいイオンの相互分離に有効であるため、イオン交換クロマトグラフィーの分離カラムとして広 く利用されている。

【予習】

1. H 型イオン交換樹脂R‐H+ と金属イオンCu2+ のイオン交換反応はどのような反応式で示さ れるか示せ。また、選択係数の大きいイオンほど、イオン交換反応においてどのような差が生じる か。具体的に述べよ。

2. メチルオレンジが変色するpHを示せ。また、酸性・アルカリ性の時の色は何色か。

3. 実験の際に秤量する硫酸銅(II)五水和物、炭酸ナトリウムの重量を算出せよ。分子量はそれぞ れ249.69, 105.99とする。

【実験器具・試薬】

カラム管、分液漏斗、ビーカー、コニカルビーカー、ビュレット、メスフラスコ、陽イオン交換樹脂 塩酸(HCl)、メチルオレンジ指示薬、硫酸銅(II)(CuSO4・5H2O)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)

【実験操作】

1. 湿潤した強酸性陽イオン交換樹脂をビーカーに取り、少量の水を加えてよくなじませた後、樹 脂を水とともにカラム管に流し込む。樹脂層が 3cm 程度になるまで入れること。このときカラムに 気泡が入らないように注意する。また、樹脂層上には常に約1cmの水があるようにすること。

2. 濃塩酸を希釈して3mol/l HCl溶液100 mlを調製する(濃度・液量はだいたいでよい)。この溶 液を分液漏斗でカラム管の上端からゆっくりと滴下し、イオン交換樹脂を洗浄する。

3. カラムに水を流して、樹脂間隙に残った塩酸を完全に溶出させる。流出液の一部を取り出して メチルオレンジ指示薬を滴下し、黄色の呈色を示すまでこの操作を繰り返す。

4. 1.0 10-3 molの硫酸銅(II)(CuSO4・5H2O)を精秤し、約25mlの水に溶解してCu(II)溶液とする。

秤量した硫酸銅の重量は計算値と一致する必要はないが、その値は測定限界まできちんとノー トに記録しておく。

5. 調製したCu(II)溶液を分液漏斗に定量的に移す。これをカラムに滴下させ、流出液をコニカル

ビーカーに受ける。Cu(II)溶液をすべて流入させた後、約 5ml の水を分液漏斗に入れて樹脂層 に流入させて、カラムを洗浄する。この洗浄操作を3回行う。さらに約5mlの水でカラムを洗浄し、

洗液がメチルオレンジ指示薬で黄色の呈色を示すまで洗浄を繰り返す(イオン交換水に指示薬 を滴下したものを用意しておき、同じ色を示すまで洗浄する)。この際、洗液はすべてコニカルビ ーカーに集めること。

6. 流出液(洗液もあわせたもの)を0.05mol/l Na2CO3標準溶液で滴定する(0.05mol/l Na2CO3標 準溶液はあらかじめ 500ml を調製しておき、班の全員で使用する、秤量した重量は測定限界ま でノートに記録し、その値から正確な濃度を算出し、計算に用いる。)。また、指示薬はすでに加 えてあるメチルオレンジ指示薬を用いるが、色が薄い場合はさらに滴下してもよい。

7. 中和滴定の結果から得られた酸(H+)の量(モル数)と、カラムに流入させた Cu(II)の量(モル 数)を計算して表にまとめる。もし Cu(II)がカラムを通過して出てきた場合は、樹脂の交換容量以

上のCu(II)が滴下されたためである。その場合は2〜3の操作によって洗浄を行う。

注意) 最初に採取した銅イオンの量と、中和滴定の結果から得られた酸の量を比較すること。

異なった値を比較している場合が多いので、十分注意すること。

【考察】

以下の点を中心に考察せよ。以下の点に回答しただけでは考察と認めない。(箇条書きも不可)

• 加えたCu(II)の量と、溶出した酸(H+)の量の間の当量関係について

• 2価の金属イオンの吸着が、化学量論的にどのような反応式に従うか(予習の答と比較する)

• Cu型陽イオン交換樹脂からCu2+を溶出するには高濃度の酸が必要となるのはなぜか

• イオン交換反応は平衡反応であるが、どのような結果からそのように説明できるか

• その他、実験中に気になったことについて

【課題】

(1) ものづくり創成実習I・IIで使用している脱イオン水は、イオン交換樹脂を用いて水を精製し て作っている。その原理を反応式を用いて説明せよ。

(2) 実験操作5ではメチルオレンジを使って洗液中の酸の有無を確認する。なぜこの方法で確 認できるのか説明せよ。特にメチルオレンジの変色点に相当する水素イオン濃度の溶液が、

測定すべき水素イオン量にどれだけの影響を与えるかを考慮すること。

***  注  意  ***

銅イオンは重金属であるため、回収が義務づけられている。そのため、銅イオン を含む溶液は所定の ポリ タンク に捨て ること 。また、用いた容器はまず少量の 水で洗い、洗液をポリタンクに捨ててから、普通の器具と同様に洗うこと。

 

 

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