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イ.起源又は発見の経緯及び外国における使用状況

頁 1.起源又は発見の経緯及び開発の経緯--- 1  1)起源又は発見の経緯--- 1  2)開発の経緯--- 9 2.特徴及び有用性 ---20 3.特許状況---21 4.外国における使用状況---21 5.一般的名称---22 6.同種同効品一覧表---22

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イ.起源又は発見の経緯及び外国における使用状況 1.起源又は発見の経緯及び開発の経緯 1)起源又は発見の経緯  手術施行に際して,担当医師は患者の年齢,栄養状態,合併症の有無,術前検査の成績などを総合して 患者の全身状態を把握し,手術に耐えうるかどうかを判断するとともに,麻酔方法を選択する.このよう に患者にとっては術前からすでに手術は始まっている.この時期から順に麻酔前投薬,手術室入室,気管 内挿管,麻酔導入,皮膚切開,手術施行となり,手術後の気管チューブ抜管,麻酔からの覚醒,術後管理 などの過程を経て手術が終了する.この一連の過程を総称して周術期と呼ばれる.  手術室入室前の麻酔前投薬から,麻酔から覚醒し病棟に戻り,患者が術前状態に戻るまでの周術期にお いて,患者の生体機能維持は麻酔医に委ねられている.手術室入室前に,術前の不安,興奮,疼痛の緩和, 迷走神経反射の抑制,上気道の分泌抑制を目的としてジアゼパムなどの鎮静薬,アトロピンなどの副交感 神経遮断薬やモルヒネなどの麻薬が投与され,患者は手術室に運ばれる.続いてバルビタール系の麻酔薬 で麻酔導入し,気道確保および吸入麻酔のための気管内挿管に先立ち,下顎,上部気道周囲の筋肉を弛緩 させ,気管内挿管を容易にする目的で筋弛緩薬が使用される.その後,意識の喪失と無痛の維持を目的と してイソフルレンやセボフルレンなどの吸入麻酔薬やプロポフォールなどの静脈麻酔薬を用いて麻酔維 持される.また,麻酔中の鎮静や吸入麻酔薬の補助を目的としてフェンタニールなどの麻薬系麻酔薬など が使用される.麻酔状態が安定した後,皮膚切開から手術が開始される.手術時にも腹筋を弛緩させたり 自発呼吸を止めて手術操作を容易にする目的でベクロニウムなどの非脱分極性の筋弛緩薬が使用される. このように術前から術中にかけて多くの薬剤が投与され,生体機能は人為的なコントロール下に置かれて いる.通常であれば生体自らが対応可能な生理的機能の変化も,このような環境下では重大な障害因子と なることから,細心の注意と迅速かつ適切な処置が麻酔医には要求される.  麻酔は術中の疼痛,意識,呼吸,循環のコントロールのみならず,術前の患者状態の把握から術後回復 期の患者状態までを視野に入れて行うことが重要であり,周術期のストレス(侵襲)を制御し,生体機能 を正常に維持することが麻酔管理における本質的な目標である.生体はストレスや侵襲に対して生理的反 応を示し,制御・維持する反応経路を持つが,その主な反応経路は神経・内分泌・免疫系である.中でも 自律神経系は主要反応経路の一つであり,通常,手術中にはカテコールアミンの分泌が上昇し,交感神経 活動の亢進がみられる1).麻酔医は手術中のストレスや手術侵襲に対する生理反応が過剰に出現しないよ う種々の薬剤を用いて制御する反面,生理反応の抑制が過剰にならないよう,刻々と変化する状況を注意 深く観察しながら適切に対応しなければならない.  全身麻酔時には,麻酔導入,気管内挿管,皮膚切開,手術操作,気管チューブ抜管など種々の侵襲により 一過性の強い交感神経興奮から突然の頻脈や血圧上昇を生じやすい.このような交感神経興奮は,図イ-1 に示すように,心拍数増加,心室内圧上昇,心室容積増加および心筋収縮亢進を意味し,心筋の酸素需要

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の増大をもたらす.さらに,心拍数の増加は拡張期時間を短くして冠血流量減少をもたらし酸素供給量を 減少させることから,心筋虚血の発症に最も大きく関与する2)と考えられている.心拍数100 回/分以上 の頻脈は心筋虚血状態を反映する心電図のST 変化とよく相関すること3)が報告されており,心拍数調節 は麻酔管理上極めて重要な課題である.特に,虚血性心疾患を有する高リスク患者では,上室性頻脈性不 整脈により心筋虚血が増大する危険性3)∼5)を避けなければならない.  さらに,高血圧症も虚血性心疾患と同様のリスク因子である6).高血圧症は心機能や血管系の反応性が 低下した状態であり,わずかな刺激においても異常な循環反応を示すことから,虚血性心疾患に準ずる対 応が必要である7).また,疫学的調査から高血圧症は左室肥大や虚血性心疾患と相関すること8)が報告さ れている.さらに,高血圧症では血管抵抗の増大に対して心拍出量を維持するための適応現象として,心 臓の左室肥大を伴う頻度が高い.左室肥大では心臓の拡張障害が生じ,潜在的に心筋虚血の危険性がある9)  以上のことから,麻酔中の頻脈発生による心筋虚血に対して高リスク例であるかどうかは,術前におい て高血圧症の合併あるいは既往があること,虚血性心疾患の合併症あるいは既往があることなどで判断さ れる.すなわち,これらの疾患を有する患者群は代償的な心予備力が通常より低下した状態にあり,麻酔 中の頻脈発生による心筋酸素消費量の増大から心筋虚血を生じやすい高リスク例であると考えられる. 従って,高血圧症や虚血性心疾患を有する患者では上室性頻脈性不整脈を生じた場合,緊急的に徐拍措置 が必要とされる. 心筋収縮↑ 心拍数↑ 心室壁張力↑ 心室内圧↑ 心室容積↑ 酸素需要↑ 酸素供給 動脈血酸素含量 酸素Hb解離能 冠血流 冠血管抵抗 大動脈圧 拡張期時間 心筋虚血 交感神経興奮 ONO-1101 手術侵襲(麻酔導入,気管内挿管,皮膚切開,手術操作,気管チューブ抜管等) :促進 :抑制 図イ-1 心筋の酸素需要供給を規定する諸因子

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 近年,高齢化が進み,高血圧症,虚血性心疾患など動脈硬化性疾患が増加してきている.それに伴い高 血圧症,虚血性心疾患患者(心筋虚血に対する高リスク患者)の手術は年々増加しており,これら高リス ク患者に対する心拍数の術中管理の重要性が益々認識されつつある.1996 年の厚生省調査では,高血圧 症および虚血性心疾患の患者数は約 870 万人と報告されており10),人口の約6.9%であると推定される 10),11).1996 年の全身麻酔件数は 154 万件/年と報告されており12),年間全身麻酔件数から外挿すると約 10.6 万件/年が高血圧症,虚血性心疾患患者の全身麻酔件数と推定される.一方,手術症例の年齢分布13) に高血圧症および虚血性心疾患合併割合10)を乗じて算出すると,約19 万件/年が高血圧症,虚血性心疾患 患者の全身麻酔件数と推定される.麻酔中の不整脈の発生頻度は,1992 年の山田の報告では全身麻酔件 数の14.7%14)とされている.しかし,高齢者や術前心電図異常を有する患者の不整脈の発生頻度は,2 倍 程度高いと報告されており14),不整脈の約半数が上室性頻脈性不整脈であるとすると,高血圧症,虚血性 心疾患,術前心電図異常を有する患者の全身麻酔中の上室性頻脈性不整脈の発生件数は年間1.6∼2.8 万 件程度と推測される.  本邦では麻酔中に上室性頻脈性不整脈を生じた場合,Ca 拮抗薬,β遮断薬,麻酔薬,麻薬を用いて血行動態 の安定化を行う.しかし,Ca 拮抗薬は作用時間が長く,一旦投与すると薬剤の調節性に乏しいため,場合によっ ては過度の心機能低下を生じさせ,重篤な心不全状態を来したり,過度の血圧低下を引き起こす懸念がある. 既存のβ遮断薬も作用時間が長く,Ca 拮抗薬と同様の問題が指摘されている.また,既存のβ遮断薬はβ1選 択的でないためβ2受容体遮断作用を介した気管支収縮による呼吸機能の悪化や末梢血管収縮による循環障害 などの副作用が懸念される.麻酔薬は心拍数を減じるとともに心拍出量を減少させ過度の循環抑制を生じさせ る.麻酔深度の増大は覚醒遅延を来す懸念がある.これらの懸念は,上記薬剤の使用上の制約を余儀なくし, かつ高リスク患者は心機能が低下した状態であることから,薬剤による心抑制が発症しやすいため,その使用 にはより一層の注意が必要となる.  また,内科領域では発作性心房細動・粗動,発作性上室性頻拍などの上室性頻脈性不整脈に対して発作 停止を目的として,Ⅰ型抗不整脈薬やⅢ型抗不整脈薬が使用される.これらの抗不整脈薬は麻酔中に頻発 する洞性頻脈に対して徐拍効果を有さず,心室伝導延長による催不整脈作用や血圧低下作用の増強が懸念 されることから,麻酔中での使用は稀である.  β遮断薬は生体内の交感神経β受容体に拮抗することで,交感神経の興奮状態を抑え,心拍数および心 収縮力を低下させ,心筋酸素消費量の増加を抑える.また,心拍数の減少は,拡張期の周期を延長させ, 冠血流の増大をもたらし,虚血性心疾患の進展を抑制する.しかし,長時間β受容体を抑制した場合,過 度の心機能低下が生じ,重篤な心不全状態を惹起する危険性がある.現在国内において,麻酔科領域で使 用可能な注射用β遮断薬は,塩酸プロプラノロールのみであり,半減期2∼6 時間の長時間作用型かつ非 選択的なβ遮断薬である.  麻酔中上室性頻脈性不整脈は多くの場合,図イ-2 に示すように,カテコールアミンの放出によるもので あり,その持続は数分∼数十分の比較的短時間のものが多く15),頻脈発生時のみ作用するような短時間型

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の薬剤が合目的である.さらに,術中の循環動態は複数の薬物投与や手術侵襲により刻々と変化しており, それに対応するためにも作用時間が短くβ1選択性の高い薬剤,すなわち調節性,安全性に優れた薬剤の 開発が望まれている.

交感神経系の緊張(カテコールアミン分泌)

β1受容体              β2受容体   α受容体 頻 脈   心負担の増加 心筋酸素消費量の増大 (RPP 増加) 高血圧症,虚血性心疾患合併患者 心筋虚血(ST変化等)の増大 :促進 術後心筋虚血 :拮抗 の発生率の増加 図イ-2 麻酔中頻脈性不整脈に対する ONO-1101 の作用点

麻酔薬・麻薬

Ca 拮抗薬 α遮断薬 プロスタグランジンE 血管拡張剤 輸液    手 術 侵 襲 (麻酔導入,気管内挿管,皮膚切開,   手術操作,気管チューブ抜管等)

ONO-1101

既存β遮断薬 Hypovolemia (出血・電解質異常) 手術(麻酔・痛み・ストレスなど) 持続的な自律神経系の興奮状態 末梢血管収縮 気管拡張,血管拡張 (心臓)(気管支)(末梢血管) 心不全 呼吸機能 末梢循環      悪化   障害X 高血圧

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 近年,欧米においては短時間作用型β1 遮断薬として半減期 9 分の塩酸エスモロール(Esmolol Hydrochloride)が汎用されている16)∼19).参考として,塩酸エスモロールの適応および用法・用量の詳 細を示した         .  塩酸エスモロールは「上室性頻脈」および「術中および術後の頻脈と高血圧」の2 つ適応を有し,「上 室性頻脈」においては,「周術期や術後など短期作用型薬剤による心拍数の短期コントロールが望ましい 救急状況にある心房細動患者や心房粗動患者の心拍数を迅速にコントロールすることが適応である.また, 心拍数が多すぎて特別な治療を要すると医師が判断すれば非代償性洞性頻脈にも適応となる.他の薬剤へ の変更が予想される慢性状態での使用は適応外である.」と設定されている.また,「術中および術後の 頻脈と高血圧」においては,「治療を要すると医師が判断すれば,麻酔導入,気管内挿管時,手術中,麻 酔覚醒時および術後に起きる頻脈や高血圧の治療にも適応する.これらの状態を予防する目的での使用は 推奨できない.」と設定されている.  塩酸エスモロールの用法・用量は「上室性頻脈」においては,「0.5mg/kg/min で 1 分間負荷点滴し, 次いで0.05mg/kg/min で 4 分間維持点滴する.5 分以内に十分な効果が得られない場合は同じ負荷投与 を繰り返した後,点滴速度を0.1mg/kg/min に上げる.さらに,反応がない場合は同じ負荷投与を行い, 0.05mg/kg/min ずつ維持点滴速度を増加させながら用量調節を続ける.目標の心拍数や血圧に近づいたら, 負荷を中止してもよく,維持点滴速度を0.3mg/kg/min 以下に調節する.必要に応じ,各投与段階の間隔 を5 分から 10 分に広げる.」と設定されている.また,「術中および術後の頻脈と高血圧」においては, 「術中の頻脈・高血圧の場合の即時コントロールを目的として80mg(約 1mg/kg)を 30 秒間かけて投与 した後,必要に応じて,0.15mg/kg/min を投与する.必要に応じて点滴速度を最高 0.3mg/kg/min まで上 げて維持する.術後の頻脈および高血圧の場合の緩徐コントロールを目的として0.5mg/kg/min で 1 分間 負荷点滴し,次いで0.05mg/kg/min で 4 分間維持点滴する.5 分以内に十分な効果が得られない場合は 同じ負荷投与を繰り返した後,点滴速度を0.1mg/kg/min に上げて維持する.」と設定されている.  本剤(ONO-1101,一般名:塩酸ランジオロール)は本邦で開発された,短時間作用型β1遮断薬である. 図イ-3 に示すように,本剤はその構造中にエステル結合を有するため,血中および肝臓中のエステラーゼ を介して速やかに非活性体に代謝され,ヒトでの血中薬物半減期は約4 分と塩酸エスモロールよりもさら に短い.また,交感神経β1受容体に選択的に結合し,カテコールアミンの作用に拮抗する.モルモット 摘出心房筋(β1),気管平滑筋(β2)におけるβ1/β2受容体に対する作用の選択比は,251 倍と高い β1(心臓)受容体選択性を有する薬剤である.  本剤は麻酔中上室性頻脈性不整脈に対するインアクティブプラセボを対照薬とした比較臨床試験にお いて,その徐拍効果は投与2∼3 分後からみられ,持続投与中維持され,投与を終了すれば,それ以上に 心拍数の減少や血圧の低下を引き起こさず,直ちにこれらの作用が減弱あるいは消失に向かい投与終了 30∼60 分後に平均心拍数の対照群との有意差が消失する速効性および調節性に優れた緊急使用可能な心 拍数調節薬であることが確認された 20),21).また,高血圧症,虚血性心疾患を合併する患者では,心電図 において虚血性変化を反映するST 値低下を改善した20).血圧低下を主とする副作用が生じた場合も,投

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与中止または昇圧剤などの処置により,その症状は20∼30 分後には消失・軽快した20),21)  一方,麻酔中上室性頻脈性不整脈に使用される既存の注射用β遮断薬,Ca 拮抗薬は静脈内持続投与で なく間歇静脈内投与で使用されるが,これら薬剤の血中半減期は2∼6 時間と長いため,過度の徐拍効果 や血圧低下は直ちに是正されることはない.よって,過度の徐拍効果や血圧低下が生じた場合,これらの 作用が遷延し,場合によっては心機能低下や重篤な心不全状態を引き起こす懸念がある.このような場合, 心拍数を増加させるために硫酸アトロピンや塩酸ドブタミン等の交感神経刺激薬,昇圧処置のために昇圧 剤,輸液等の新たな薬剤投与も必要となる.  本剤は麻酔中の刻々と変化する状況に応じ,0.01∼0.04mg/kg/min の用量で調節しながら継続投与する ことにより,心拍数・血圧を一定の範囲内に調節することが可能である.また,本剤は血中半減期が短い 利点から,過度の徐拍効果を発現した場合でも投与を止めると徐拍効果は速やかに消失し,心拍数は回復 方向を示し,少なくとも得られている効果を超える過剰な反応のリスクは小さいと考えられる.  以上,ONO-1101 は,麻酔中に緊急治療を要する高血圧症,虚血性心疾患,心電図上の虚血性変化 などを有する患者における上室性頻脈性不整脈に対する短期心拍数調節薬として,調節性に富んだ有用 な薬剤に成り得ると考えられる.

O

N

H

N

H

N

O

O

O

O

CH

3

CH

3

O

O

OH

H

H

・HCl

ONO-1101

(血中および肝臓中のエステラーゼ)

O

N

H

N

H

N

O

OH

O

O

OH

H

M-1(主代謝物) 図イ-3 ONO-1101 の代謝様式

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1) Gann DS, Foster AH. : Endocrine and metabolic responses to injury. in Principles of Surgery, 5th edition by Schwartz, Shires, Spencer, McGraw-hill, New York, 1 - 68, 1989.

2) Stoelting RK. : The 29th Rovenstine Lecture : Clinical challenges for the anesthesiologist. Anesthesiology. 74 : 1129 - 1136, 1991.

3) Slogoff S, Keats AS. : Does perioperative myocardial ischemia lead to postoperative myocardial infarction? Anesthesiology. 62 : 107 -114, 1985.

4) RW, Berger HJ, Barash PG, et al. : Continuous monitoring of left ventricular performance with the computerized nuclear probe during larynogoscopy and intubation before coronary artery bypass surgery. Am. J. Cardiol. 50 : 735 - 741, 1982.

5) Geft JL, Fishbein MC, Ninomiya K, et al. : Intermittent brief periods of ischemia have a cumulative effect and may cause myocardial necrosis . Circulation. 66 : 1150 - 1153, 1982.

6) Yurenev AP, et al. : Hypertensive heart disease. Am. Heart. J. 120 : 928 - 933, 1990.

7) Dennis T.Mangano, Warren S.Browner, Milton Hollenberg et al. : Association of perioperative myocardial ischemia with cardiac morbidity and mortality in men undergoing noncardiac surgery. New Engl.J.Med. 323 : 1781-1788, 1990.

8) Kannel WB. et al. :CHD risk factors : A Framingham Study update. Hosp. Pract. 25 : 119-130, 1990.

9) Inoue I.,Massie,B.,Loge,D. et al. : Abnormal left ventricular filling : An early finding in mild to moderate systemic hypertension. Am.J.Cardiol. 53 : 120-126, 1984.

10) 平成 8 年患者調査(全国編)上巻, 厚生省大臣官房統計情報部編 11) 厚生統計要覧 平成 8 年版, 厚生省大臣官房統計情報部編

12) 平成 8 年医療施設調査(静態調査,動態調査)病院報告(全国編)上巻, 厚生省大臣官房統計情報部編 13) 平成 8 年社会医療診療行為別調査報告, 厚生省大臣官房統計情報部編

14) 山田満 : 術中不整脈について−麻酔と不整脈の臨床的検討− 日本臨床麻酔学会誌.13 : 17 - 32, 1993.

15) Fox EJ, Sklar GS, Hill GH, et al. : Complications related to the pressor responses to endotracheal intubation. Anesthesiology. 47 : 524 - 525, 1977.

16) Gorczynski RJ, Check Y. Quon, Richard W. Krasula, et al. : New Drugs Annual : Cardiavascular Drugs 3 : 99-119, 1985.

17) Kaplan JA. : Role of ultrashort – acting β-blockers in the perioperative period. J. Cardiothorac. Anesth. 2 : 683 - 691, 1988.

18) Menkhaus PG, Reves JG, Kissin I, et al. : Cardiovascular effects of esmolol in anesthetized humans. Anesth. and Analg. 64 : 327 - 334, 1985.

19) Byrd R, Sung RJ, Marks J, Parmley WW. : Safety and efficacy of esmolol (ASL-8052 : an ultrashort - acting beta adrenergic blocking agent ) for control of ventricular rate in supraventricular tachycardias. J. Am.

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Coll. Cardiol. 3 : 394, 1984.

20) 吉矢 生人 他:麻酔中頻脈性不整脈に対する超短時間作用型β1遮断薬;塩酸ランジオロール(ONO-1101)の臨床評

価−プラセボを対照薬とする多施設共同二重盲検比較試験−,臨床医薬13 : 4949-4978,1997.

21) 麻酔中上室性不整脈に対するプラセボを対照とした多施設共同二重盲検無作為化並行群間比較試験(第Ⅲ相比較 試験②)治験総括報告書

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2)開発の経緯  当社は   年以降,短時間作用型β遮断薬の合成法および物理的化学的性質を検討し,また安定性の 評価を行うとともに,各種の生物試験を実施してきた.  構造決定,物理的化学的性質,規格及び試験方法では,化学構造の確認,物理的化学的性質の解明を行 い,原薬並びに製剤(注射剤)の規格及び試験方法を設定した.  安定性試験に関しては,原薬および製剤とも3 年間の長期保存試験が終了した.その結果,長期安定で あることが示唆された.  薬効薬理試験において,麻酔下のイヌでイソプロテレノールおよび交感神経電気刺激誘発頻脈モデルを 用いて実験を行った結果,ONO-1101 は 1∼30 µg/kg/min の静脈内持続投与により用量に応じた頻脈抑 制効果と投与終了後20 分以内の短い作用半減期を示した.また,ハロセン・アドレナリン誘発あるいは アコニチン誘発不整脈モデルにおいても,それぞれ0.1∼1.0 µg/kg/min あるいは 3 µg/kg/min 以上の用量 で抗不整脈効果を示した.さらに,モルモット摘出心房筋および気管平滑筋を用いた検討より,ONO-1101 の交感神経β1受容体およびβ2受容体に対する作用濃度比は251 倍であり,高いβ1受容体選択性を示す ことが確認された.また,ヒトβ受容体強制発現細胞を用いた受容体結合実験において,ONO-1101 は 塩酸プロプラノロールに比べて380 倍β2受容体に対するβ1受容体選択性が高いことがわかった.  一般薬理試験では特記すべき作用はみられなかった.  安全性試験においては,ラットおよびイヌでの急性毒性試験を実施し,静脈内投与時の概略の致死量は それぞれ,150mg/kg および 100mg/kg,イヌの 1 時間静脈内持続投与試験での概略の致死量は 20mg/kg/min,イヌの 24 時間静脈内持続投与試験での概略の致死量は 5mg/kg/min であった.亜急性毒 性試験では,静脈内投与時の無毒性量はラットおよびイヌにおいてそれぞれ,50mg/kg および 12.5mg/kg であった.生殖に及ぼす影響では,ラットでの静脈内投与時の無毒性量は妊娠前および妊娠初期投与試験 における親動物および胎児ともに50mg/kg であり,器官形成期投与試験では母動物は 50mg/kg,胎児お よび出生児ではともに25mg/kg,周産期および授乳期投与試験における母動物および出生児でそれぞれ, 50mg/kg , 25mg/kg , ウ サ ギ の 器 官 形 成 期 投 与 試 験 に お け る 母 動 物 お よ び 胎 児 で そ れ ぞ れ , 25mg/kg,100mg/kg であった.抗原性試験,変異原性試験ともに陰性であった.局所刺激性試験はウサギ の筋肉を用いた検討では3mg/mL は生理食塩液と同程度,10mg/mL は生理食塩液よりも強く,0.75%酢 酸よりも弱く,30mg/mL は 0.75%酢酸よりも強く,6%酢酸よりも弱かった.ウサギ血管を用いた検討 では5∼20mg/mL で刺激性は認められなかった.  薬物動態は,イヌに0.3 mg/kg 静脈内投与した結果,血漿中未変化体は速やかに減少し,半減期は 1.6 分であった.ラットに[14C]ONO-1101 の 1 mg/kg を静脈内投与した結果,投与後 24 時間までの尿・ 糞中および胆汁中への排泄率は,雄ではそれぞれ,85.3%, 8.6% および 6.1%であり,雌ではそれぞれ 83.5%, 11.1% および 9.5%であった.イヌ,ラットとも主要代謝物は同一であった.また,反復静脈内 投与において蓄積性はみられなかった.また,いずれの動物種においても血清蛋白への結合性は低かった. ヒ ト 血 漿 中 に お け る 主 代 謝 酵 素 は pseudocholinesterase , ヒ ト 肝 臓 に お け る 主 代 謝 酵 素 は

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carboxyesterase であると推定された.ヒトでは血清蛋白に対する結合率が 10%以下であったこと,主要 なヒトP450 に対して阻害作用を示さなかったことから,臨床での薬物相互作用の可能性は極めて少ない と考えられた.また,エステラーゼにより加水分解される薬剤と相互に拮抗的代謝阻害がみられたが,臨 床血中濃度より高い濃度での作用であり,臨床での薬物相互作用の可能性は極めて少ないと考えられた.  以上,薬効薬理,一般薬理,安全性および薬物動態を検討し,並行して製剤化の検討を行い,徐拍効果 を主とする抗不整脈剤としての有用性が期待される製剤を開発した.  臨床試験は上記非臨床試験の結果をもとに,塩酸エスモロール(欧米で発売されている短時間作用型 β1遮断薬)の効能・効果である「上室性頻脈」,「術中および術後の頻脈と高血圧」を参考に,各種頻 脈性不整脈を対象として臨床試験を計画し,第Ⅰ相試験終了後,「抗不整脈剤の臨床評価に関するガイド ライン」(1984 年 5 月)に準拠して内科系臨床試験を先行した.その後,内科系の後期第Ⅱ相試験まで に得られた成績および用法・用量をもとに麻酔科系にて用量設定試験から臨床試験を開始した.開発の経 緯を表イ-1 に示した.  なお,本申請は麻酔科系に対する本剤の効能・効果取得の申請であるが,内科系の成績は麻酔科系の試 験に至る経緯および用法・用量の設定根拠を明確にするため,内科系の初期および後期第Ⅱ相試験の成績 を本資料に提示した. ・第Ⅰ相試験〈静脈内持続投与〉  第Ⅰ相試験は健康成人男子における忍容性,心機能への影響および薬物動態の検討を目的として 年 月より実施した.用法・用量は薬効薬理試験および毒性試験の成績を考慮して設定し,単回予備試験, 単回本格試験および反復投与試験を実施した.薬剤は100mg/バイアルを用いた.  単回予備試験は,単回本格試験の用量探索を目的に,被験者の安全性を考慮して少数例で実施した. 0.001mg/kg/min の 60 分間の静脈内持続投与から開始し,0.005,0.01,0.02,0.04,0.08mg/kg/min と順 次増量した.各用量2 名で実施し,0.02mg/kg/min 以上の用量において,投与中に心拍数の減少傾向が 認められたが,安全性には特に問題なかった.この心拍数の減少は投与終了15∼60 分後には投与前値 に回復する傾向を認めた.  単回本格試験は,単回予備試験で投与中に安定して約 10%の心拍数減少の認められた 0.04 および 0.08mg/kg/min の 60 分間静脈内持続投与を各 5 名で実施した.その結果,投与中から投与終了 15 分 後に約5∼8%の有意な心拍数減少が認められたが,安全性に問題はなかった.この心拍数の減少は投 与終了30 分後にはほぼ投与前値に回復した.心機能に対する影響を検討する目的で実施した心エコー 試験においては,0.08mg/kg/min で駆出率(EF),心拍出量(CO),一回拍出量(SV)などの心収縮力系のパ ラメータに対する有意な抑制効果(negative inotropic action)は見られなかった.

 反復投与試験は,単回投与試験結果を参考の上,0.08mg/kg/min の 60 分間静脈内持続投与を 1 日 2 回 (朝,夕)5 名で実施した.心拍数は投与中から投与終了 15 分後に約 5%の減少を認めたが,安全性に は特に問題なかった.この心拍数の減少は投与終了30 分後にはほぼ投与前値に回復した.血圧に関して

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も有意な低下が認められたが,臨床上許容可能な変動であった.  1 回目投与時には本用量でのβ遮断作用を確認する目的でマスター負荷試験を実施した.この結果,本 剤投与中にのみ運動時最大心拍数の約10%の減少が認められ,本用量におけるβ遮断効果が確認された.  体内動態については,単回予備試験,単回本格試験を通して0.001∼0.08mg/kg/min の用量で Cmax, AUC は投与量に比例した血中濃度を示し,いずれの用量でも未変化体の血中半減期 T1/2は約4 分,Tmax は約15 分であった.また,尿中における未変化体の割合は投与量に関係せずほぼ一定であった.反復投 与による蓄積性は認められなかった.  第Ⅰ相試験〈静脈内持続投与〉の成績を踏まえ,まず「抗不整脈剤の臨床評価に関するガイドライン」 の施行されている内科系で,「各種頻脈性(上室性,心室性)不整脈」を対象として試験を実施した. ・初期第Ⅱ相試験〈内科系〉  初期第Ⅱ相試験は「抗不整脈剤の臨床評価方法に関するガイドライン」(1984 年 5 月)を参考として, 「治験薬を初めて不整脈患者に投与する段階であり,第Ⅰ相試験終了後に,治験薬の安全性および有効性 の瀬踏みを目的として行う.」を指針に,初期探索試験と位置付け,安全性と有効性の瀬踏みを目的とし て   年 月より実施した.「各種頻脈性不整脈(上室性頻脈性不整脈として発作性上室性頻拍,発 作性心房細動・粗動,上室性期外収縮,心室性頻脈性不整脈として心室性期外収縮)」患者に対する有 効性,安全性,有用性並びに血中薬物濃度の検討を目的に,0.005,0.01,0.02,0.04,0.08mg/kg/min の静脈内持続投与で行った.上室性頻脈性不整脈では治療に緊急を要することから,5 分間の投与時間 で,心室性期外収縮に対しては15 分間の投与時間で実施した.薬剤は 100mg/バイアルを用いた.そ の結果,全般改善率は 0.005,および 0.01mg/kg/min では共に 0%,0.02mg/kg/min で 20%(1/5), 0.04mg/kg/min で 54.5%(6/11),0.08 mg/kg/min で 66.7%(8/12)であった.副作用は認められず,安 全性に問題はなかった.また血中薬物濃度のCmaxは健康成人と同様であり,薬物半減期(T1/2)は約4 分であることが確認された.  しかし,本試験で用いた静脈内持続投与の用法では,血中濃度が定常に達するのに15 分を要するこ と,頻脈性不整脈の緊急時対処には血中濃度をより速く定常状態に到達させることが必要であることか ら,静脈内持続投与に先立って急速静注することを計画し,本試験後に第Ⅰ相試験(急速静注+静脈内 持続投与)を追加実施した. ・第Ⅰ相試験〈急速静注+静脈内持続投与〉  単回本格試験の0.04 および 0.08mg/kg/min 60 分間投与時の血中濃度の立ち上がり速度,消失速度 から急速静注量のシミュレーションを行い,0.04,0.08mg/kg/min 静脈内持続投与時の Cmaxに1 分で 到達する急速静注量をそれぞれ,0.25,0.50mg/kg/min と算出した.この投与量を用い,   年 月 より急速静注(Bolus infusion)+静脈内持続投与(Infusion)試験を行った.すなわち,低用量群: 0.25mg/kg/min×1 分+0.04mg/kg/min×60 分および高用量群:0.5mg/kg/min×1 分+0.08mg/kg/min ×60 分で試験を実施した.いずれの投与量でも静脈内持続投与中に約 10%の有意な心拍数減少が認め

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られたが,安全性には特に問題なかった.血圧に関しても有意な低下が認められたが,臨床上許容可能 な変動であった.未変化体のCmaxは2 分後に一過性の上昇を示したが,約 5 分で定常状態に達するこ とが認められた.Cmaxは予測値の2 倍に達しており,各静脈内持続投与に対する Cmax量に相当する急 速静注量は半量で十分であることが示された.  この成績をもとに,内科系の後期第Ⅱ相試験は1 分間の急速静注後,10 分間の静脈内持続投与で実 施することとした. ・後期第Ⅱ相試験〈内科系〉  後期第Ⅱ相試験は「抗不整脈剤の臨床評価に関するガイドライン」に従い,上室性頻脈性不整脈また は心室性頻脈性不整脈などを対象とし,本剤が薬効を示す頻脈性不整脈を明らかにすると共に至適用量 を検討することを目的として,   年 月より実施した.上室性頻脈性不整脈として心拍数120 回/ 分以上の発作性心房細動・粗動,および発作性上室性頻拍を,心室性頻脈性不整脈として心室性期外収 縮を対象とした.用法・用量は追加実施した第Ⅰ相試験(急速静注+静脈内持続投与)の結果をもとに, 1 分間の急速静注後,10 分間の静脈内持続投与で実施し,L 群:0.06mg/kg/min×1 分の急速静注+ 0.02mg/kg/min×10 分の静脈内持続投与,M 群:0.125mg/kg/min×1 分の急速静注+0.04mg/kg/min ×10 分の静脈内持続投与,H 群:0.25mg/kg/min×1 分の急速静注+0.08mg/kg/min×10 分の静脈内 持続投与の3 用量を選択した.薬剤は 100mg/バイアルを用いた.試験方法はオープン試験とし,低用 量から施設毎にL 群,M 群,H 群の順に実施した.その結果,発作性上室性頻拍,心室性期外収縮に 対しては用量相関性は認められず,改善率,有用率は既存のⅠ型抗不整脈剤と比較し低く,臨床的有用 性は低いと判断された.  発作性心房細動・粗動に対しては,中等度以上の不整脈改善率はL 群 55.6%(10/18),M 群 60.0% (12/20),H 群 69.2%(9/13),自覚症状改善率は L 群 15.4%(2/13),M 群 41.2%(7/17),H 群 50.0% (5/10)と,自覚症状改善度で有意な用量相関性が認められた.投与後心拍数が 80 回/分未満に達した症 例(発作停止例を含める)の割合ではL 群 5.6%(1/18),M 群 55.0%(11/20),H 群 58.3%(7/12)と,用 量相関性が認められた.安全性において3 群間に差は認められなかった.  以上のことから,本剤は発作性心房細動・粗動に対して薬効を示し,その至適用量は H 群の 0.25mg/kg/min×1 分の急速静注+0.08mg/kg/min の静脈内持続投与と判断された.  当初,本剤は内科系と麻酔科系の両者の適応を考え,内科系においては発作性心房細動・粗動を対 象とした第Ⅲ相比較試験を終了し,プラセボ投与群に比し不整脈改善度は有意に優れており, 安全度においても問題ないことを確認している.しかし,本剤の特徴を生かした緊急状況にあ る短期の心拍数調節の検証のためには,CCU(心疾患管理室)などでの緊急治療を要する症例 の集積が必要であると考え,今回申請を行わなかった.  一方,麻酔科系においては,本剤の短時間作用性に基づく調節性を考慮すると,本剤は心拍数の調 節が必要とされる麻酔科系で必要かつ有用な薬剤であると考えられたことから,麻酔科系での用量設定 試験(後期第Ⅱ相試験)を立案した.その際の用法・用量は以下の根拠をもとに設定した.

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(Ⅰ) 麻酔・無麻酔犬での基礎的検討から300μg/kg/min の 30 分間静脈内持続投与時の血漿中濃度が, 麻酔下では無麻酔下の約1.5 倍高い値を示した.(資料 P.265) 麻酔(ペントバルビタール麻酔)犬では肝クリアランスが約20%低下することが報告1)されてお り,本剤の代謝が影響を受けることが想定された. (Ⅱ) 既存β遮断薬の麻酔時の用量は,非麻酔時の半量以下で設定されている.(資料P.23) (Ⅲ) 麻酔中は血中カテコールアミンが上昇した状態であり,本剤の徐拍効果が顕在化しやすいと考えた. (Ⅳ) 麻酔中は麻酔薬による循環抑制状態であり,本剤の心抑制(陰性変力,陰性変時作用)が現れ やすいと考えられたこと.  などを根拠として,内科系の後期第Ⅱ相試験で得られた用法・用量を参考に,麻酔科系の用量を内科 系の半量と設定し麻酔科系の後期第Ⅱ相試験を計画した. ・後期第Ⅱ相試験〈麻酔科系〉  後期第Ⅱ相試験は   年 月より実施した.心拍数100 回/分以上の非代償性の「麻酔中上室性頻 脈性不整脈」を対象とし,有効性,安全性,有用性および至適用量の検討を目的として実施した.投与 量の設定は,非臨床試験および内科系後期第Ⅱ相試験の成績を参考とし,上記の(Ⅰ)∼(Ⅳ)を根拠 とした.すなわち,麻酔薬の自律神経系への抑制作用および麻酔中の交感神経緊張状態を考慮し,投与 量 は 内 科 系 の 後 期 第 Ⅱ 相 試 験 よ り 低 い 用 量 で あ る L 群:0.03mg/kg/min×1 分の急速静注+ 0.01mg/kg/min×10 分の静脈内持続投与,M 群:0.06mg/kg/min×1 分の急速静注+0.02mg/kg/min ×10 分の静脈内持続投与,H 群:0.125mg/kg/min×1 分の急速静注+0.04mg/kg/min×10 分の静脈内 持続投与の3 用量で二重盲検比較試験を実施した.薬剤は 100mg/バイアルを用いた.  その結果,中等度以上の頻脈改善率はL 群 67.4%(31/46),M 群 77.8%(35/45),H 群 90.7%(39/43)と用 量相関性が認められた.副作用発現率は3 群間に有意差はなく,副作用の内容は全て血圧低下であった.重 篤なものはなく,いずれも30 分以内には消失・軽快したことから安全性に関しては問題ないと判断された.  以上の成績から,本剤の「麻酔中上室性頻脈性不整脈」に対する至適用量はH 群:0.125mg/kg/min ×1 分間の急速静注+0.04mg/kg/min の静脈内持続投与であると考えられた. ・第Ⅲ相比較試験①〈麻酔科系〉  第Ⅲ相比較試験①は   年 月より実施し,心拍数100 回/分以上の非代償性の麻酔中上室性頻脈 性不整脈を対象とした.比較対照薬は,(1) 本剤と同様の短時間作用型の半減期を有する薬剤が国内に 存在しない,(2) 既存のβ遮断薬は半減期が長く重篤な副作用をもたらす危険性がある,(3) 他の薬効 の薬剤との比較では,副作用発現時の緊急対処が困難である,などの理由からインアクティブプラセボ を選 択 し た . 用法 ・ 用 量 は 先に 実 施 し た 用量 設 定 試 験 の結 果 か ら ,ONO-1101 群(A 群)は 0.125mg/kg/min×1 分の急速静注+0.04mg/kg/min×10 分の静脈内持続投与とし,プラセボ群(P 群) と多施設二重盲検試験で比較した.薬剤は50mg/バイアルを用いた.  高血圧症や虚血性心疾患を合併する患者では,麻酔中上室性頻脈性不整脈が虚血性心疾患の増悪因子

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となることが指摘されており,高血圧症や虚血性心疾患を合併する患者の麻酔中の心拍数管理は極めて 重要である.そこで,これら合併症を有する患者を高リスク例とし「合併症あり」,それ以外を「合併 症なし」とし,別々に薬剤を割り付けて試験を行った.また,高リスク例における麻酔中上室性頻脈性 不整脈は緊急対処が必要とされるため,プラセボが投与可能と考えられる投与5 分後で頻脈の改善が不 変・悪化の場合,既存療法に変更可能とし,投与5 分後の途中変更率を主評価項目とした.  その結果,途中変更率はA 群 9.9%(11/111)であり,P 群 67.4%(62/92)に比較して有意に少なかった. 頻脈性不整脈改善率はA 群 80.3%(94/117)であり,P 群 9.4%(12/127)に比較して有意に優れていた. A 群の徐拍効果は投与 3 分目の早期から認められ,投与終了 30 分後には消失した.有害事象発現率は, A 群が P 群に比較して有意に高く,概括安全度においても A 群が P 群に比較して有意に低かった.副 作用の内容は主として血圧低下で,重篤なものは認められず,投与終了20 分以内には消失・軽快した. 有用度はA 群が P 群に比較して有意に高かった.  心電図において虚血性変化を反映するST 値の検討では,頻脈による虚血性変化(ST 値 -0.05mV 以下)は,「合併症なし」に比較して「合併症あり」で生じやすいことが確認された.また,「合併症 あり」においてP 群に比較し A 群で ST 値低下に対する高い改善効果が得られた.  以上のことから,ONO-1101 は麻酔中上室性頻脈性不整脈に対し有用な薬剤であり,高血圧症,虚 血性心疾患を合併した心筋虚血に対する高リスク例において緊急時の短期心拍数調節薬として安全に 使用できることが示された.  第Ⅲ相比較試験①では,対象患者を①虚血性心疾患ないし高血圧症を合併し,頻脈の持続が心機能を 増悪させる危険を有するもの(以下,「合併症あり」),②内分泌疾患に伴う頻脈性不整脈,その他手 術や麻酔の侵襲による頻脈が持続し,治療を要すると認められるもの(以下,「合併症なし」)に設定 した.「合併症あり」の虚血性心疾患や高血圧症の診断,「合併症なし」の治療を要する患者の選択は, 担当医師の判断に委ねて試験を実施し,これらの成績をもとに申請した.  申請後の面接審査会(   年 月  日)において「第Ⅲ相比較試験において臨床的に意味のある 症例が非常に少ない.つまり徐拍を要する患者が少なく,効能・効果を証明することが難しいのではな いかという印象がある」,また「対象患者に虚血性心疾患や高血圧症があったかどうか疑問である.客 観的に判断できる選択基準を考慮し,真に治療を要する患者群で追加試験を実施してはどうか」との見 解が出され,緊急治療を要する対象患者の客観的な選択基準の設定および主評価項目の妥当性を検討し た結果,新たな第Ⅲ相比較試験として,以下の第Ⅲ相比較試験②を実施するに至った. ・第Ⅲ相比較試験②〈麻酔科系〉  上記の審査センターの見解を踏まえ,患者の選択基準を客観的指標に基づいて設定し,対象を頻脈に よる心筋虚血を生じやすく,緊急治療を要する患者に限定した選択基準とした上で,頻脈改善度を主評 価項目に,プラセボを対照とした第Ⅲ相比較試験②を   年  月より実施した.なお,試験の計画 に当たり治験実施計画書(案)を審査センターに事前に提出し,検討・了解された治験実施計画書にて

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本治験を実施した.

 対象は高血圧症,虚血性心疾患,心電図上の虚血性変化を有する患者とし,WHO の高血圧基準,心 電図の ST 変化などの客観的な指標に基づいて診断した.それら心筋虚血の高リスク患者における麻酔 中の心負荷の程度は,投与直前の心拍数およびRPP(Rate Pressure Product)値,心電図の ST 変化 で規定し,緊急治療を要する上室性頻脈性不整脈を選択した.用法・用量は,ONO-1101 群(A 群) は0.125mg/kg/min×1 分の急速静注+0.04mg/kg/min×10 分の静脈内持続投与とし,プラセボ群(P 群)と多施設二重盲検試験で比較した.薬剤は50mg/バイアルを用いた.  その結果,主要評価項目である頻脈改善度の改善率(「中等度改善」以上の割合)はA 群 85.7%(18/21 例),P 群 10.0%(2/20 例)であり,P 群に比較し A 群で有意に高かった.なお,前回の第Ⅲ相比較 試験①の症例のうち,本試験の選択基準に合致する症例で層別した場合,本剤の頻脈改善度の改善率は 87.8%(43/49 例)であり,今回の成績とほぼ同じであった.  心拍数はP 群に比較して,投与 2 分後より有意な徐拍化を認め,投与終了 60 分後には両群間に有意 差を認めず,緊急使用可能な調節性に富む薬剤であることが示唆された.  また,心筋酸素消費量を反映するとされ,心負荷の指標となるRPP は両群とも投与直前の平均値で P 群 17,187±3,318bpm・mmHg,A 群 18,697±3,062bpm・mmHg の高値を示したが,投与終了時に P 群は16,309±3,784bpm・mmHg と高値を維持していたのに対し,A 群は 9,665±2,935bpm・mmHg ま で低下し,P 群に比較して有意な低下を認め,A 群の心負荷が軽減されていることが示された.  虚血性心疾患患者の冠動脈バイパス術中において,心拍数 90 回/分以上または RPP12,000bpm・ mmHg 以上でみた場合,心筋虚血を反映する心電図上の ST 変化の発生率と RPP の間で正の相関が認 められたとの報告2)がなされている.一般的に麻酔医はRPP12,000bpm・mmHg を心筋虚血を防ぐた めの治療開始の目安としていることなどを考慮すると,A 群の投与終了時 RPP は 9,665bpm・mmHg まで減少しており,心筋虚血の危険性を回避できるレベルにまで減少させたと考えられた.  概括安全度は「安全である」とされた症例の割合は,A 群 74.1%(20/27 例),P 群 85.2%(23/27 例) で両群間に有意差を認めなかった.有害事象は34 例(A 群 19 例,P 群 15 例)に,治験薬との因果関係 が否定できない有害事象(副作用)は13 例(A 群 9 例:33.3%,P 群 4 例:14.8%)に認められた. いずれの発現頻度も両群間に有意差を認めなかった.副作用のうちA 群で主にみられた「低血圧」(7/27 例:25.9%)はいずれも投与中止または昇圧剤などの処置により約 30 分後までには消失・軽快してお り,安全性の高い薬剤であることが示された.  以上のことから,本剤は緊急治療を要する心筋虚血の高リスク例の麻酔中上室性頻脈性不整脈に対し, 投与後速やかに徐拍効果を示し,投与終了後はその作用が速やかに消失し,優れた調節性と安全性を有 する薬剤であることが検証された. ・一般臨床試験  一般臨床試験①     は本剤の抗不整脈効果の機序を明らかにする目的で   年 月より実施した. 対象は発作性上室性頻拍とし,洞結節機能および房室伝導系に対する薬剤の影響を電気生理学的に検討した.

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本剤の 0.25mg/kg/min×1 分+0.08mg/kg/min 投与により,本剤の頻拍停止効果,徐拍効果,頻拍発作誘発 抑制効果ならびに洞周期,房室伝導,および心室伝導への影響について検討した.その結果,房室伝導を選 択的に延長することにより,頻拍停止効果,徐拍効果,頻拍発作誘発抑制効果を有することが確認された.  一般臨床試験②      は   年 月より実施した.対象は麻酔中上室性頻脈性不整脈とし, 本剤の麻酔中の頻回使用の有効性および安全性について検討した.本剤の0.125mg/kg/min×1 分の急 速静注+0.04mg/kg/min 静脈内持続投与の複数回投与を行った.薬剤は 50mg/バイアルを用いた.  その結果,解析対象患者は24 例集積され,複数回静脈内持続投与による徐拍効果の増悪,遷延およ び安全性の低下は認めなかった.また,参考として,投与前より呼吸機能障害を有する患者16 例のう ち14 例の呼吸機能(PIP,EEP,SpO2,PETCO2)パラメータを投与前後で測定した.いずれのパラメー タも本剤投与前に比べ投与後で増悪することはなく,本剤のβ1選択性が示唆された.  一般臨床試験③      は心血行動態に対する影響を経食道心エコーを用いて検討する目的で    年   月 よ り 実 施 し た . 試 験 は ONO-1101 の L 群:0.03mg/kg/min×1 分の急速静注+ 0.01mg/kg/min×10 分の静脈内持続投与,M 群:0.06mg/kg/min×1 分の急速静注+0.02mg/kg/min ×10 分の静脈内持続投与,H 群: 0.125mg/kg/min×1 分の急速静注+0.04mg/kg/min×10 分の静脈 内持続投与の3 用量漸増法により行い,対象は麻酔中上室性頻脈性不整脈とした.薬剤は 50mg/バイ アルを用いた.

 その結果,7 例が集積され,ONO-1101 は 0.01∼0.04mg/kg/min の用量範囲では心収縮機能(FAC, CFS,Vcfc,LVESWS),心拡張機能(Peak E,Peak A,Peak E/Peak A)に対して影響しないことが認 められた.  一般臨床試験④     は   年 月より実施し,本剤の 0.125mg/kg/min×1 分急速静注+ 0.04mg/kg/min 静脈内持続投与による気管内挿管時頻脈に対する抑制効果を検討するとともに,静脈 内持続投与による本剤の調節性および安全性について検討を行った.薬剤は50mg/バイアルを用いた.  その結果,29 例が集積され,気管内挿管時頻脈に対して抑制効果が確認された.また,0.01∼ 0.04mg/kg/min の範囲で用量を調節することにより,安全に投与できることが確認された.  以上の成績から,本剤は麻酔中に緊急治療を要する高血圧症,虚血性心疾患,心電図上の虚血性変化 などを有する患者における上室性頻脈性不整脈に対して速やかに徐拍効果を示し,かつ安全に使用できる 薬剤であることが明らかとなり,これら成績を添付して下記の内容で製造承認申請するに至った.

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申請品目 原薬:「オノアクト」,「塩酸ランジオロール TKS」      製剤:「注射用オノアクト 50」(50 mg/バイアル) 効能・効果:手術時の下記の頻脈性不整脈に対する緊急処置:    心房細動,心房粗動,洞性頻脈 用法・用量:塩酸ランジオロールとして,1 分間 0.125 mg/kg/min の速度で静脈内持続投与した後,       0.04 mg/kg/min の速度で静脈内持続投与する.投与中は心拍数,血圧を測定し       0.01∼0.04 mg/kg/min の用量で適宜調節する.

Loading dose (×1 分) Infusion dose 麻 酔 中 0.125 mg/kg/min 0.01∼0.04 mg/kg/min

1) Simon Gelaman : General anesthesia and hepatic circulation. Can.J.Physiol.Pharmacol. 65: 1762-1779, 1986. 2) Kaplan.J.A., Dunbar.R.W., Jones.E.L. : Nitroglycerin infusion during coronary artery surgery.

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表イ-1 ONO-1101 開発の経緯図 18 ∼ 19

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-2.特徴及び有用性 1)非臨床試験成績からみた特徴及び有用性 (1)β1受容体選択性(資料P.202) ①塩酸ランジオロールのβ1およびβ2受容体に対するKi 値は,それぞれ 62.1 および 1,890nM であ り,塩酸ランジオロールのβ1受容体結合親和力はβ2受容体結合親和力の30.4 倍強く,β1受容体 選択性は塩酸プロプラノロールに比べて380 倍高い(ヒト、in vitro). ②塩酸ランジオロールのβ1(摘出心房筋)遮断作用およびβ2(気管平滑筋)遮断作用のpA2値は, それぞれ6.31 および 3.91 であり,塩酸ランジオロールのβ1遮断作用はβ2遮断作用の251 倍強く, β1受容体選択性は塩酸プロプラノロールに比べて302.4 倍高い(モルモット、in vitro). ③塩酸ランジオロールのα1およびα2受容体に対するKi 値は、それぞれ 81.5 および 180.1μM であ り,α受容体にはほとんど作用しない(ラット、in vitro). (2)β遮断作用の持続性(資料P.210)  イソプロテレノール投与による心拍数増加に対して,ONO-1101 は用量に応じた心拍数増加抑制作 用を示し,抑制作用の消失半減期は11 分から 18 分である(イヌ).一方,同モデルにおいて塩酸プ ロプラノロールの抑制作用の消失半減期は60 分以上である. (3)不整脈に対する作用(資料P.185)  交感神経電気刺激誘発頻脈およびイソプロテレノール誘発頻脈,ハロセン・アドレナリン誘発の不 整脈あるいはアコニチン誘発不整脈に対して,ONO-1101 は用量に応じて抑制作用を示す(イヌ). (4)その他の作用

① 膜安定化作用(MSA:membrane stabilizing activity)(モルモット,ウサギ,in vitro)および内因性  交感神経刺激作用(ISA:Intrinsic sympathomimetic activity)(モルモット,in vitro)は認められない.  (資料P.214,216) ② イソプロテレノール処置によるレニン分泌および糖代謝の亢進に対して有意な変化を及ぼさない.  一方,塩酸プロプラノロールはイソプロテレノール処置によるレニン分泌および糖代謝の亢進を有  意に抑制する(イヌ).(資料P.236) 2)臨床試験からみた特徴及び有用性 (1)既存の注射用β遮断薬(塩酸プロプラノロール)の約2∼6 時間の血中薬物半減期に比較し,本剤 はヒトでの血中薬物半減期が約4 分であり,血中薬物半減期が非常に短い.(資料 P.323,329) (2)高血圧症,虚血性心疾患合併患者を対象に含め実施したプラセボを対照薬とした第Ⅲ相比較試験①の結果, 本剤は麻酔中上室性頻脈性不整脈の緊急対処薬として有効な薬剤である.(資料P.416) 高血圧症,虚血性心疾患を合併する患者では,心電図において虚血性変化を反映するST 値低下 (-0.05mV 以下の低下)の有意な改善を認めた.(資料 P.442) (3)客観的指標に基づき選択した高血圧症,虚血性心疾患の合併例および虚血性変化を反映する心電図 ST 変動(0.1mV 以上)例などの心筋虚血の高リスク例に対象を限定して実施したプラセボを対照薬

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とした第Ⅲ相比較試験②の結果,本剤は緊急治療を要する高血圧症,虚血性心疾患,心電図上の虚 血性変化などを有する患者の麻酔中の上室性頻脈性不整脈に対し,投与2 分後の早期から徐拍効果 が得られ,投与終了60 分以内に消失し,調節性に富む薬剤である.(資料 P.458) 概括安全度は本剤とプラセボの両群間で有意差はなく,本剤は安全に投与されうる薬剤である.なお, 本剤投与で認められた副作用の内容は主として低血圧で,重篤なものは認められず,投与終了約 30 分後までには消失・軽快した.(資料P.464) (4)発作性上室性頻拍を対象とし,電気生理学的に検討した結果,本剤は房室伝導を選択的に延長すること により,頻拍停止効果,徐拍効果,頻拍発作誘発抑制効果を示すことが明らかにされた.(資料P.479) (5)本剤は呼吸機能障害を有する患者に対しても,呼吸機能(PIP,EEP,SpO2,PETCO2)に対する悪 影響は認められなかった.(資料P.496) (6)本剤は麻酔中上室性頻脈性不整脈時の心収縮機能(FAC,CFS,Vcfc,LVESWS),心拡張機能(Peak E,Peak A,Peak E/Peak A)に対し有意な影響を与えなかった.(資料 P.509)

(7)本剤は0.01∼0.04 mg/kg/min の範囲で用量を調節することにより,麻酔中安定した心拍数が得ら れることが確認された.(資料P.522,525) 以上,非臨床および臨床的な検討から,本剤は麻酔中上室性頻脈性不整脈に対し,速やかな徐拍効果を 示し,投与終了60 分以内に徐拍効果は消失することが確認された.また,副作用として認められた低血圧 は,いずれも約30 分後までには消失・軽快し,安全な薬剤であることが示唆された.以上の成績から,本 剤は麻酔中の緊急治療を要する高血圧症,虚血性心疾患,心電図上の虚血性変化などを有する患者 など心筋虚血の高リスク例における上室性頻脈性不整脈の短期心拍数調節薬として,調節性と安全性に富 む有用な薬剤である. 3.特許状況 本件に関する特許は下記の通り登録されている. 特許番号 第200451 号 平成 7 年 12 月 20 日登録 4.外国における使用状況 外国においては本剤の発売,承認取得,承認申請はいずれも行われていない.また,外国では臨床試 験も実施していない.下記に国内および国外で臨床的に検討されている短時間作用型β遮断薬の開発状 況一覧を参考に示す.

(22)

短時間作用型β遮断薬 化合物(コード名) 会 社 開発段階 適応 国 外 Esmolol (ASL-8052) バクスター 承認 ・上室性頻脈 ・術中および術後の頻脈と高血圧 国 内 5.一般的名称 (1)JAN  平成7 年 4 月 15 日の医薬品名称調査会で以下のように決定され,平成 7 年 5 月 30 日付薬研第 32 号により通知された. JAN:(日本名)塩酸ランジオロール  (英名)landiolol hydrochloride 化学名: (日本名)(-)-3-[4-[(S)-2-ヒドロキシ-3-(2-モルホリノカルボニルアミノ)エチルアミノ]プロポキシ]      フェニルプロピオン酸[(S)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル]メチルエステル 一塩酸塩 (英 名)(-)-[(S)-2,2-dimethyl-1,3-dioxolan-4-yl]methyl 3-[4-[(S)-2-hydroxy-3-(2-morpholinocarbonylamino)ethylamino]propoxy]phenylpropionate monohydrochloride (2)INN     landiolol

    (r-INN List 37, WHO Drug Information Vol.11.(1)(1997))

6.同種同効品一覧表

 ONO-1101 は短時間作用型選択的β1遮断剤であり,同種同効品は存在しない.参考として,長時間 作用型非選択的β遮断剤であるが,抗不整脈作用を有する注射用β遮断薬である塩酸プロプラノロー ルを表イ-2 に示した.

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表イ-2 同種同効品一覧表

一般的名称 塩酸ランジオロール(landiolol hydrochloride) (参考)塩酸プロプラノロール(propranolol hydrochloride)

販売名(会社名) 注射用オノアクト50 (小野薬品工業株式会社) インデラル注射液2mg (ゼネカ薬品株式会社,住友製薬株式会社) 承認年月日 1966 年 1 月 15 日 再評価年月日 1975 年 10 月 17 日 再審査年月日 規制区分 劇薬,指定医薬品,要指示医薬品 化学構造式 O N H N H N O O O O C H3 C H3 O O O H H H ・ H C l 剤型・含量 注射剤:50mg/バイアル 注射剤:2mg/管 効能・効果 手術時の下記の頻脈性不整脈に対する緊急処置:  心房細動,心房粗動,洞性頻脈 〈効能・効果に関連する使用上の注意〉 (1) 本剤は,予防的には使用しないこと. (2) 洞性頻脈においては,その原因検索及びその除去が重要であることに十分留意するとともに,本剤の効果が心   拍数の減少作用であることを踏まえて,本剤は緊急処置として必要に応じて使用すること. 狭心症 期外収縮(上室性,心室性),発作性頻拍(上室性,心室性),頻拍性心房細動(徐脈効果),麻酔に伴う不整脈,新鮮心房細動,洞性頻脈,褐色細胞腫手術時 用法・用量 塩酸ランジオロールとして,1分間 0.125mg/kg/minの速度で静脈内持続投与した後,0.04mg/kg/minの速度で静脈内持 続投与する.投与中は心拍数,血圧を測定し0.01∼0.04mg/kg/minの用量で適宜調節する. 〈用法・用量に関連する使用上の注意〉 (1) 目標とする心拍数に調節した後は,麻酔下での循環動態,特に血圧低下に注意し,本剤を心拍数の維持に必要 な最低の速度で持続投与すること. (2) 本剤を再投与する際の投与間隔は,5∼15 分間を目安とすること.なお,再投与は用法・用量に従って実施すること. [「臨床成績」の項4,「薬物動態」の項参照] (3) 褐色細胞腫の患者では,本剤投与により急激に血圧が上昇するおそれがあるので,α遮断剤を投与した後に本剤を投   与し,常にα遮断剤を併用すること. (4)本剤投与に際しては,下記の体重別静脈内持続投与速度表を参考にすること. 塩酸プロプラノロールとして通常成人には1 回 2∼10mg を,麻酔時には 1∼5mg を徐々に静脈内注射する.なお,年齢,症状により適宜増減する. <用法及び用量に関連する使用上の注意>  褐色細胞腫の患者では,本剤投与により急激に血圧が上昇することがあるので本剤を単独で投与しないこと.褐色細胞腫の患者に投与する場合には,α遮断剤で初期治療を行った後 に本剤を投与し,常にα遮断剤を併用すること. 使用上の注意 禁忌(次の患者には投与しないこと) (1)心原性ショックの患者 [心機能を抑制し,症状が悪化するおそれがある.] (2)糖尿病性ケトアシドーシス,代謝性アシドーシスのある患者 [アシドーシスによる心筋収縮力の抑制を増強するおそれがある.] (3)房室ブロック(Ⅱ度以上),洞不全症候群など徐脈性不整脈患者 [刺激伝導系に対し抑制的に作用し,悪化させ るおそれがある.] (4)肺高血圧症による右心不全のある患者 [心機能を抑制し,症状が悪化するおそれがある.] (5)うっ血性心不全のある患者 [心機能を抑制し,症状が悪化するおそれがある.] (6)未治療の褐色細胞腫の患者 [「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照] (7)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること) (1)左室収縮機能障害のある患者 [心機能を抑制し,症状が悪化するおそれがある.] (2)気管支痙攣性疾患の患者 [本剤はβ1受容体選択的遮断剤であるが,弱いながらもβ2受容体遮断作用も有することか ら,気管支筋収縮作用により,痙攣症状の誘発,悪化を起こすおそれがある.] (3)コントロール不十分な糖尿病患者 [低血糖症状としての頻脈等の交感神経系反応をマスクするおそれがある.] (4)低血圧症の患者 [心機能を抑制し,症状が悪化するおそれがある.] (5)重篤な血液,肝,腎機能障害のある患者 [薬剤の代謝,排泄が影響を受けるおそれがある.] (6)末梢循環障害のある患者(壊疸,レイノー症候群,間歇性跛行等)[本剤はβ1受容体選択的遮断剤であるが,弱いながら  もβ2受容体遮断作用も有することから,末梢血管の拡張を抑制し,症状が悪化するおそれがある.] (7)出血量の多い患者や脱水症状のある患者[本剤投与により血圧低下をきたすおそれがある.] 2.重要な基本的注意 (1) 心電図による監視,血圧の測定等,心機能をモニターしながら投与すること.血圧低下又は徐脈を認めた場合等は 減量あるいは投与を中止し,必要に応じて適切な処置を行うこと.[「過量投与」の項参照]また,PQ 時間が過度 に延長した場合,投与を中止すること. (2) 狭心症の患者で類似化合物(塩酸プロプラノロール)の投与を急に中止したとき,症状が悪化したり,心筋梗塞を起 こした症例が報告されている.本剤の投与を中止する場合においても観察を十分に行うこと. (3) 心房細動及び心房粗動に対する使用に際しては,本剤の効果が心拍数の減少であることに留意すること.[「臨 床成績」の項5 非麻酔時の試験成績を参照] (4)本剤は緊急治療を要する場合に短期間のみ適応すること.患者の状態を十分観察し,緊急治療の必要がなくなっ た場合は,漫然と継続投与しないこと.また,本剤投与5∼10 分を目安として,目標とする心拍数の低下が得ら れない場合は,本剤投与を中止し,適切な処置を行うこと. (5)本剤の心拍数の減少効果は,投与終了後,速やかに減弱するものの,この効果の消失には投与終了後 30∼60 分を要することに留意すること.[「臨床成績」の項3 参照] 禁忌(次の患者には投与しないこと) (1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 (2)気管支喘息,気管支痙攣のおそれがある患者[気管支を収縮し,喘息症状が誘発又は悪化するおそれがある.] (3)糖尿病性ケトアシドーシス,代謝性アシドーシスのある患者[アシドーシスによる心筋収縮力の抑制を増強するおそれがある.] (4)高度又は症状を呈する徐脈,房室ブロック(Ⅱ,Ⅲ度),洞房ブロック,洞不全症候群のある患者[これらの症状が悪化するおそれがある.] (5)心原性ショックの患者[心機能を抑制し,症状が悪化するおそれがある.] (6)肺高血圧による右心不全のある患者[心機能を抑制し,症状が悪化するおそれがある.] (7)うっ血性心不全のある患者[心機能を抑制し,症状が悪化するおそれがある.] (8)低血圧症の患者[心機能を抑制し,症状が悪化するおそれがある.] (9)長期間絶食状態の患者[低血糖症状を起こしやすく,かつその症状をマスクし,発見を遅らせる危険性がある.] (10)重度の末梢循環障害のある患者(壊疽等)[症状が悪化するおそれがある.] (11)未治療の褐色細胞腫の患者[「用法及び用量に関連する使用上の注意」の項参照] (12)異型狭心症の患者[症状が悪化するおそれがある.] (13)チオリダジンを投与中の患者[「3.相互作用」の項参照] 1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること) (1)うっ血性心不全のおそれのある患者[心機能を抑制し,うっ血性心不全が発現するおそれがあるので,観察を十分に行い,ジギタリス剤を併用するなど,慎重に投与すること.] (2)甲状腺中毒症の患者[中毒症状をマスクするおそれがある.] (3)特発性低血糖症,コントロール不十分な糖尿病,絶食状態(手術前後等)の患者[低血糖症状を起こしやすく,かつその症状をマスクしやすいので血糖値に注意すること.] (4)重篤な肝,腎機能障害のある患者[薬物の代謝・排泄が影響をうける可能性がある.] (5)重度でない末梢循環障害のある患者(レイノー症候群,間欠性跛行症等)[症状が悪化するおそれがある.] (6)徐脈のある患者(「禁忌」の項(4)参照)[徐脈が悪化するおそれがある.] (7)房室ブロック(Ⅰ度)のある患者[房室伝導時間が延長し,症状が悪化するおそれがある.] (8)高齢者[「5.高齢者への投与」の項参照] 2.重要な基本的注意 (1)本剤の投与は緊急治療を要する場合にのみ適用を考慮すること. (2)本剤を投与する場合には心電図による監視,血圧の測定等の心機能検査を行いながら慎重に行うこと. 本剤を必要に応じて生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液等に溶解し,緩徐(毎分1mg以下)に静脈内に投与し,症状の改善がみられれば投与を中止すること.(本剤の投与により高度伝導障 害,心停止,心室細動のような危険な不整脈が突然発生することがあるので,QRS幅が増大したときなどには投与を中止すること.また,必要に応じアトロピンなどを使用すること.) (3)褐色細胞腫の手術時に使用する場合を除き,手術前24時間は投与しないことが望ましい. (4) めまい,ふらつきがあらわれることがあるので,本剤投与中の患者(特に投与初期)には,自動車の運転等危険を伴う機械の作業に注意させること. 3.相互作用 本剤は主として肝代謝酵素CYP2D6,CYP1A2,CYP2C19で代謝される.

参照

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