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太陽表面における黒点,プラージュ,
ダークフィラメントの位置関係
明星大学理工学部総合理工学科物理学系 天文学研究室
学籍番号:14S1-058
平出 葉子
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目次
要旨
第
1 章 序章
1.1 黒点 1.2 黒点の磁場 1.3 プロミネンス・ダークフィラメント 1.4 プロミネンス・ダークフィラメントの磁場 1.5 プラージュ 第2 章 画像処理
2.1 使用データ 2.2 画像処理方法第
3 章 結果
3.1 日付ごとのプロット画像 3.2 黒点のプロット画像 3.3 ダークフィラメントのプロット画像 3.4 プラージュのプロット画像 3.5 黒点,ダークフィラメント,プラージュのプロット画像第
4 章 考察
4.1 黒点,ダークフィラメント,プラージュの位置関係謝辞
参考文献
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要旨
本論文は,太陽表面現象について研究したものである.具体的に言うと,太陽の黒点, ダークフィラメント(プロミネンス),プラージュの位置関係について研究したものである. 太陽は見方によっては大きく変貌する.例えば,可視光で太陽を観測すると黒点の様子 がわかり,Hα波で見るとプラージュやダークフィラメントの様子がわかる.今回の論文で は,太陽の黒点とダークフィラメントとプラージュの位置関係を探るために,白色光で観 測した太陽と,Hαで観測した太陽を比較し,位置関係を調べた. 結果として,黒点とプラージュはともに太陽面低緯度帯に出現したが,ダークフィラメ ントに関しては,太陽面全面にまばらに出現するということが導き出された.4
第
1 章 序章
1.1 黒点
太陽を白色光で観測すると黒い点が観測されるが,これは黒点というものである.なぜ 黒点が暗く見えるかというと,周囲の光球(約 6000 度)より少し温度が低いためである(約 4000 度).黒点は暗部と呼ばれる真ん中の真っ黒な部分と,半暗部と呼ばれる灰色の部分か らできている.半暗部はよく見ると,放射状の筋模様をしており,これは磁力線を表して いる.黒点の温度が低いのは,この強い磁場と関係があるのではないかと考えられている. また,黒点にはいくつか分類があり,α型(単極型)β型(双極型),δ型(両方の極性が複雑 に入り乱れ,特に同じ半暗部の中に逆の極性を持つ暗部がある)などに分類される.δ型の 黒点が現れると,フレアが発生することが多い.1.2 黒点の磁場
黒点は図1 のようにペアで現れることが多く,西側 の黒点を先行黒点,東側の黒点を後続黒点という.そ れぞれ磁場のN 極と S 極(または S 極と N 極)に対応し ている.黒点磁場の強さは,数千ガウスにものぼる(地 球磁場の1000 倍以上の強さ).このような観測事実か ら,黒点の正体は,太陽内部にある磁場のチューブ(磁 束管)が表面に顔を出したその切り口である,というこ とが分かる.磁場測定器のことをマグネトグラフとい い,測定された磁場の分布図のことをマグネトグラム という.太陽表面のマグネトグラムを見ると,磁場の 存在領域は黒点を超えて広く拡がっていることがわか る.太陽の一般(平均)磁場は,およそ数~10 ガウス程 度である.興味深いのは,南北半球で東西黒点の磁場 極性が逆になっていることと,約11 年毎に東西黒点の 磁場極性が入れ替わることである. 図1:黒点を側面と上方から見たときの断 面図. (出典: 日本評論社,最新画像で見る太陽)5
1.3 プロミネンス・ダークフィラメント
日食の際,太陽の縁から少し浮かんで赤く見える構造が,プロミネンスである.プロミ ネンスの正体は,数千~1 万度の冷たいプラズマである.これに対し,周りのコロナは 100 万度以上の高温状態にある.コロナが水蒸気であるとすれば,プロミネンスは水か氷のよ うなものだ.また,プロミネンスを太陽の縁上で見ると白く見えるが,太陽面上にくると, 黒い筋模様(ダークフィラメント)として見える.1.4 プロミネンス・ダークフィラメントの磁場
プロミネンスは磁場の力で浮かんでいるが,プロミネンスの磁場については,現段階で はあまりよくわかっていない.1.5 プラージュ
プラージュは,図 2 のように黒点の出現に少し遅れて出没し,黒点の変化を追うように 変化していく.Hα線の中心波長で見ると,白く明るく見える. 図2:本論文で扱った,Hα像(上)と可視光像(下)による,2017/08/30~2017/09/05 までの黒点とプラージ ュの変化の関係.6
第
2 章 使用データと画像処理方法
2.1 使用データ
今回の研究で使用するデータは,図 3 に示すような国立天文台三鷹太陽地上観測が公表 しているものである. 国立天文台三鷹太陽地上観測のホームページ上にある,太陽活動データーベース内の, 白色光全面観測と,Hα全面観測のデータを用いた. なお,研究に用いたデータの期間は,直近の太陽活動が活発で,比較的連続したデータ がある,2017/08/30~2017/09/11 である.なお,データ掲載されていない日(8/31, 9/4,9/6, 9/7)もあったため,その期間の画像処理は省略する. 以下の画像は,左が白色光で見た太陽の画像で,右が Hα波で見た太陽の画像である. 白色光からは太陽の光球面の様子が確認でき,黒点を観測することができる.また,Hα波 からは太陽の光球面より 1 つ上の層の彩層の様子が確認でき,ダークフィラメントとプラ ージュを観測することができる. 図3:2017/08/30 のほぼ同時刻の可視光像(左)と Hα像(右).(国立天文台三鷹太陽地上観測ページよ り取得)7
2.2 画像処理方法
今回の研究では,グラフィックソフトであるGIMP(GNU Image Manipulation Program) を用いた.このソフトは,フリーソフトでありながら本格的な画像編集ができ,複雑な作 業を効率よく済ますことができる. 今回は太陽の表面現象をプロットしたが,通常のペイントなどのソフトでは,レイヤー の機能がないことが多い.レイヤーとは,階層,層などの意味があり,レイヤーに対応し ているソフトでは,複数の画像を重ね合わせたり,上下関係を入れ替えたりすることがで きる.簡単に言うと,写し絵やトレーシングペーパーでやる作業をPC 上で処理することが でき,なおかつ明暗度や透過度なども設定でき,重ね合わせる画像を変形することができ るため,表面現象をプロットしやすいということである. 本研究では,太陽表面で起こっている現象をプロットした.プロットの手順は以下の通 りである. ①GIMP を開く. ②画像ファイルの読み込む.(使用データは上記記載.) ③画像ファイルの上に,新しいレイヤーの作成をする. ④新しいレイヤーに黒点をプロットする. (注意事項:この際,国立天文台からのデータの画像は必ずしも太陽が中心に来ている わけではないので,太陽の東西南北に小さく印をつけておく.) ⑤同様に,違う日付の違う波長のデータもプロットしていく. (なお,最後に重ねる際に区別がしやすいように,黒点は黒,ダークフィラメントは青, プラージュは赤でプロットした.)
8 編集過程の画像は,次のようになる. 図4:白色光に関する画像処理. 図 4 でわかるように,白色光で観測した太陽では黒点の様子がわかる.黒点の位置の移 り変わりを,画像編集ソフトGIMP を用いプロットした. 図5;Hαに関する画像処理 図5 でわかるように,Hα波で観測した太陽ではダークフィラメント,プラージュの様子 がわかる.これらの位置の移り変わりを,上記同様,画像編集ソフトGIMP を用い,プロ ットした.
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第
3 章 結果
画像をプロットした結果を,それぞれの現象ごとに重ねたら,以下の通りになった.な お,画像において上は北,右は西を指す.3.1 日付ごとのプロット画像
図6 は 2017/08/30 から 2017/09/11 まで,1 日に 1 回取得された白色光と Hαの画像を日 付ごとにプロットし,重ね合わせた結果である. 図6:2017/08/30 から 2017/09/11 まで,1 日に 1 回取得された白色光と Hαの画像を日付ごとにプ ロットし,重ね合わせた結果.10
3.2 黒点のプロット画像
図7 には,2017/08/30 から 2017/09/11 まで,ほぼ 1 日に 1 回撮られた白色光像の黒点部 分を重ね合わせてプロットした.
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3.3 ダークフィラメントのプロット画像
図8 には,2017/08/30 から 2017/09/11 まで,ほぼ 1 日に 1 回撮られた Hα像の中のダー クフィラメントを切り出し,を重ね合わせてプロットした.
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3.4 プラージュのプロット画像
図9 には,2017/08/30 から 2017/09/11 まで,ほぼ 1 日に 1 回撮られた Hα像の中のプラ ージュ部分を抜き出し,重ね合わせてプロットした.
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3.5 黒点,ダークフィラメント,プラージュのプロット画像
図10 には,図 7 から図 9 にプロットされている黒点,ダークフィラメント,プラージュ の変化の様子をすべて重ねて図示した.
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第
4 章 考察
4.1 黒点,ダークフィラメント,プラージュの位置関係
重ね合わせた画像を見ると,黒点とプラージュに関しては,太陽赤道の両側の緯度の低 い部分に活動領域が固まっているのがわかる.原因としては,太陽の磁場が関係あると考 えられる.太陽の黒点やプラージュの出現は磁場の影響を受けやすいからである. なぜかというと,黒点は太陽表面から出ている磁力線の切り口だからである.また,プ ラージュは単に黒点を覆う位置に出現しており,黒点から出た磁場と関係していると考え られる. また,活動領域が低緯度帯に集中している原因としては,図11 のようなトロイダル磁場 というものが関係していると考えることができる.トロイダル磁場は,太陽内部で最初南 北方向に存在した磁場が差動回転によって次第に引き延ばされ,太陽に巻き付くような形 の磁場である.太陽は赤道面付近の回転が一番早いので,下の図のようにトロイダル磁場 は,赤道面の両側緯度の低い方向で強くなると考えられる.黒点やプラージュが赤道をは さんで両側の緯度の低い部分に出没していることは,このように考えることで説明できる. だが黒点・プラージュは太陽赤道付近に出現したのに対し,ダークフィラメントは出現 する緯度の範囲が広くなった.その原因は,結論から言うと謎である.なぜならばプロミ ネンスがなぜ出現するのかがまだよくわかっていないからである.具体的に言うと,プロ ミネンスは高温のコロナ中の比較的冷たいガスが,磁場によって支えられた構造となって いるが,その起源はいまだに不明である. プロミネンス(ダークフィラメント)の成因として 2 つの説がある.プロミネンスの元は, 100 万度のコロナ中に存在する低温高密プラズマであり, ①100 万度の高温プラズマが冷えて凝縮する場合 ②下方の彩層の低温プラズマが直接持ち上げられる場合 の 2 つの場合が考えられる.①は静穏型プロミネンスや,ループプロミネンス,②はスプ 図11:差動回転により,トロイダル磁場が形成されていく様子の模式図. (出典: 恒星社厚生閣,太陽へのたび)15 レイやサージに対応すると考えられる.100 万度の高温プラズマが冷えるのは,一種の熱不 安定性によると考えてよく,コロナ加熱の逆過程と考えればよい.平衡状態では,加熱(未 知)=放射冷却+熱伝導,というつり合い状態にある.コロナ中では熱伝導は磁力線に沿っ た方向にしか起こらないが,熱不安定性を安定化する効果がある.加熱率が下がる(温度が 下がる)か,磁力線の長さが長くなれば,熱伝導による安定化が弱まり,熱不安定性が発生 する.こうして温度 100 万度のコロナ・プラズマが,数千秒くらいの時間のうちに,数千 万度から 1 万度にまで冷えてしまい,プロミネンス低温プラズマが生成されるというわけ である.もしこのような過程で,プロミネンスが形成されるのだとすると,太陽を包むよ うに存在するコロナのどこにでもプロミネンスは出現してもおかしくない.緯度によらず ダークフィラメントが観測されることが説明できるだろう.
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謝辞
本研究を行うにあたって,井上一先生,小野寺幸子先生,日比野由美さんには研究への アドバイスや,ご指導・ご指摘などをしていただき,大変お世話になりました.また,同 研究室の方々にも助言などをいただき,大変お世話になりました. 心より感謝を申し上げます.本当にありがとうございました.17