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ベンチャー企業のビジネスモデル戦略-香川大学学術情報リポジトリ

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第73巻 第 2号 2000年 9月 1-49

ベンチャー企業のビジネスモデル戦略

は じ め に

原 田

山 崎 康 夫

ビジネスモデルという言葉が,今年になってから盛んに使われだしてきた。 特にインターネットの発展により,

e

ビジネスが爆発的な勢いで成長している。 3ヶ月前のビジネスモデルが,現在も通用するとは限らないのである。

2

1

世紀において,マーケティング環境の変化や技術革新が進む中で企業が競 争力を保持していくためには,ビジネスモデルの本質を掴み,積極的に打って 出なければならない。特にベンチャー企業や中堅・中小企業にとっては,ビジ ネスのプロセスを見直し,新しいアイデアでビジネスモデルを構築していく絶 好の機会が到来している。 ビジネスモデルの基本的な組み合わせの方法には,アウトソーシングサービ スを活用するアウトソーシング型,ある分野で強い力を持った企業と企業が垂 直提携を行う垂直統合型,ある分野で企業同士が提携する水平統合型,すでに 存在している企業間システムに割って入り仲介するコーディネート型,消費者 の立場でサプライヤーが価値連鎖を創造する顧客サービス型,消費者へ直接販 売などを行うダイレクト(中抜き)型の6つがある。 この6つのビジネスモデルは,従来から先進的企業において実施されていた。 そして,このモデルをうまく活用している企業は,いずれも成功していた。と ころが,インターネットの発展により出現した

e

ビジネスも 6つのビジネスモ デノレに分類され,全く違う次元のモデルを提供している。そしてこれからの企 業は,この

e

ビジネスを活用して独自のビジネスモデルを生み出していく必要

(2)

2ー 香川大学経済論議 260 がある。 ここでは,現在話題となっているビジネスモデルを説明し

e

ビジネスの到 来により,ビジネスモデルがどのように変化しようとしているか,また

e

ビジ ネスのメリットについて記述する。具体的には,第1はビジネスモデノレの変遷, 第2はビジネスモデルの類型,第 3は

e

ビジネスの新たな概念,第4から第 9 は

6

つの

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ビジネスモデル,第

1

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Win-Win

志向のビジネスモデ/レ戦略,と いうビジネスモデルについての論述である。

1.ビジネスモデルの変遷

ここでは,従来のビジネスモデルがネット社会の到来を迎えて

e

ビジネス モデルへの変遷にいたる概要について論述する。また

e

ビジネスの概要とその メリット及びビジネスモデノレ特許の概要について論述する。 L1 従来のビジネスモデル 21世紀を目前に控え,マーケティング環境の変化や技術革新が進む中で企業 が競争力を保持していくためには,経営資源を外部から調達し,適切な経営資 源を組み合わせていくことが不可欠である。この経営資源の組み合わせにより, 新分野への進出,新製品の開発,必要なノウハウの取得が可能となる。 この経営資源の組み合わせの方法には,アウトソーシングサービスを活用す るアウトソーシング型,ある分野で強い力を持った企業と企業が垂直提携を行 う垂直統合型,ある分野で企業同士が提携する水平統合型,すでに存在してい る企業間システムに割って入り仲介するコーディネート(仲介)型,消費者の 立場でサプライヤーが価値連鎖を創造する顧客サービス型,消費者へ直接販売 などを行うグ、イレクト(中抜き)型の 6つある。 そしてこの6つのビジネスモデルは,従来から実施されている。例えば,ア ウトソーシング型ビジネスモデノレとしては情報システム等の外部委託,垂直提 携型ビジネスモデルとしては開発型企業と生産型企業の提携,水平提携型ビジ ネスモデノレとしては共同研究,共同販売,技術移転などである。またコーディ

(3)

261 ベンチャー企業のビジネスモデル戦略 3 ネート型ビジネスモデルとしては中開業者によるコーディネーション,顧客 サービス型についてはマーケットアウト・プロダクトインの実施,ダイレクト 型ビジネスモデノレとしては通信販売などである。 企業は,これらのビジネスモデルを十分活用しているとはいえず,うまく使 い分けていくことがこれからの企業経営にとって必要不可欠となる。マイケ ノレ・ボーターは,著書『競争優位の戦略』の中で以下のように述べている。価 値連鎖は個々の独立した活動の集合体ではなくて,相互に依存した活動のシス テムであり,価値活動は価値連鎖内部の連結関係でつながっている。連結関係 は,最適化と調整(コーディネーション)により競争優位を導き出す。またポー ターは,統合には垂直統合と水平統合があり,買い手も価値連鎖を持つと述べ ている。すなわち買い手のために価値を創造することにより,他社との差別化 を図ることが可能となる。このように従来のビジネスモデルであっても,これ を効率よく実行することにより,企業にとって競争優位が得られるのである。 1..2 eビジネスの出現

e

ビジネスという言葉がでてきたのは,インターネット技術を取り込んだ新 しいビジネス形態として, 1 B M社が1997年10月に提唱したのが最初といわ れている。

e

ビジネスとは,インターネットなどのネットワークをインフラと して,顧客,パートナー企業,外部委託企業などへの情報提供やマーケティン グ活動などを行う業務のことである。 現在,インターネットが急速な勢いで普及しており, 1998年の日本における 15歳から69歳までのインターネット利用者数は,約1,700万人と推計されて いる。また, 1998年度の通信利用動向調査によれば,インターネット世帯普及 率は1LO%(対前年度比4..6ポイント増),事業所普及率は19,2%(対前年度 比6,.9ポイント増),企業普及率は80“0%(対前年度比1L8ポイント増)に達 しており,インターネットが急速に浸透しているのがわかる(図1-1)。 インターネット利用者数の増加に伴い,

Web

上に蓄積,発信される情報量も 急増している。郵政省郵政研究所が統計用ロボット型サーチエンジンを用いて

(4)

-4- 香川大学経済論叢 262 図 1ー1 インターネットの普及

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… 民 間 1ωo司国企業普及率 … -68..2~戸間鴎議選 国喝盟盟事業所普及率 ~"" 騒議議麹

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J.J"← 際軍麗6.4 弘品ゐ凶"J 7年度 8年度 9年度 10年度 ※l 事業所は全国の(郵便業及び通信業を除く。)従業者数5人以上の事業所。 ※2 企業は全国の(農業,林業,漁業及び鉱業を除く。)従業者数300人以上の企業。 平成11年度通信白書 出展:http//wwwmptgo jp/ 実施した

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倍),そして

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でアクセス可能な総情報量は

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..4倍)に達 すると推計されている。 このようなインターネットの進展にともない,インターネットを使ったビジ ネスについても画期的な進展が図られようとしている。例えばインターネット バンキング,インターネット上での生活雑貨の売買から車のような耐久消費財 の売買まで,毎日新たなビジネスモデルが登場している。 無届舗書籍販売で有名なアマゾンドットコム

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をはじめとす る新進企業はインターネットの技術を武器として,サイバーエージェントとな り,従来の商流を大きく変えている。これらの企業に共通していえることは, 投下できる資本が少なくても,アイデアとインターネット上での適切なマーケ ティングでビジネスモデルを構築することにより,急成長をしている。従来か らのビジネスモデルの延長線で経営資源を組み合わせるのではなく,インター ネットを使用した全く新しいビジネスモデルを構築し,低コストで高収益の体

(5)

263 ベンチャー企業のビジネスモデル戦略 - 5 質を作り出していくのである。 一方,マザースやナス夕、ツクジャパンの設立による証券市場の変革により, 日本でもインターネットをビジネスのプラットフォームとした企業に投資する という動きは確実に拡大してきている。無庖舗販売やインターネットノてンキン グなどはこの新しいインフラで展開される新しいビジネスであり,今インター ネットがビジネスモデルを変えようとしている。

13

eビジネスの種類 一般的に

e

ビジネス(インターネットビジネス)とは,

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l)を利用したコンピュータネットワー ク上での商取引及びそのネットワーク構築や商取引に関わる事業を意味する。

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ビジネスには,大きく分けて,インターネットコマース

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,インターネット接続ビジネス及びインターネット関連ビジネスがあ る。 インターネットコマースとは,

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を利用したコンピュータネットワー ク上での商取ヲ!と定義でき,インターネットを用いて財やサービスの受発注を 行うことである。このインターネットコマースには,企業一消費者間の取引で ある

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市場と,企業聞の取引である

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市場がある。「インターネットコマース調査」によれば, インターネットコマース最終消費財市場の市場規模は前年の

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市場が急速に拡大してきていることがわかる。一方, インターネット経由の原材料取引の市場規模は少なくとも

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億円に達 しており,これを見ても

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市場の規模の大きさがわかる。 日本におけるインターネットを利用した原材料調達システムは,登録者のみ がアクセス可能なエクストラネットを利用していることが多い。これは企業が (1) TCP /IP:インターネットで利用されるプロトコル(通信規約)のこと。 (2 ) インターネットコマース:TCP /IPを利用したコンビューターネットワーク上での 商取引のこと。

(6)

6 香川大学経済論叢 264 セキュリティを優先していることと,系列企業聞での取引が多いため公衆網を 利用するメリットが少ないことに起因している。逆に,米国では取引経験のな い企業に対してもオープンな環境で仕様書や見積りのやり取りを行い,新規契 約先を開拓しようとすることが多い。 次にインターネットの普及により直接的に影響を受けているビジネスとし て,インターネット接続ビジネスと,インターネット関連ビジネスがあるが, それぞれの1998年における市場規模については,インターネット接続ビジネス が2,961億円(前年の 2,,6倍),インターネット関連ビジネスが 3兆6,939億円 (前年の

1

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倍)と推定されている。 このインターネット関連ビジネスは,電子認証サービス,商品等の決済につ いてのホームページ上で処理するための決済サービス,インターネットバンキ ングやインターネット証券取引に代表される金融サービス,ホームページ上で のパナー広告,メールマガジン等に掲載されるメール広告等に代表されるイン ターネットを利用した商用広告サービスなどがあり,急速に拡大していること がわかる。

1

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ビジネスの長所 インターネットを使った取引きの長所には,コストメリット,時間サービス メリット,顧客サービスメリットの3つがある。 最初にコストメリットであるが,一般的に,インターネットを使った商品の 販売,サービスの提供は,人件費やオフィスのコスト,交通費などの経費がか かる従来型のサービスよりもコストが安くなる。例えば銀行において,1取引き 当たりのコストをテラ (5)とインターネットバンキングで比較すると約

8:

1

に なるといわれている。ただし営業マンが直接,顧客と対面し,木目細かく具体 (3 ) 電子認証サービス:インターネット上で決済するための,本人と識別できるための電 子的な認識システム。 (4) ノTナー広告:ポータルサイトなどで,企業が自分のホームページに引き連れてくるた めの電子広告。 ( 5 ) テラー:金融機関窓口で,預金・為替・証券などを扱う職員のこと。

(7)

265 ベンチャー企業のビジネスモデル戦略 - 7ー 的なI案件でサービスを行うことは,インターネットでは現在のところ対応でき ないので,比較的定型的な業務の範囲をカバーすることになる。 また,安定顧客に対してインターネットにより情報を提供又は取引きするこ とで,営業担当者は最重要顧客や,特に重要な案件に注力することができる。 いわゆる戦略的な営業活用が可能となる。 2番目にインターネットにより,情報受発信のスピードが向上する。世界中 の情報がリアルタイムに伝達可能となるだけでなく,いつでも好きなときにア クセス可能となる。企業活動のグローパル化,個人の生活の多様化によっ‘て, 企業が提供するサービスはより長い時間,場合によっては, 24時間対応の提供 が求められてきている。 24時間サービスを提供することを考えた場合,従来な ら2交代とか 3交代で担当者が勤務し,顧客に対応するという方法であった。 この場合,人件費の増加,すなわち固定費の増加が企業に重くのしかかってい ,?

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これに対し,頻繁に相談を受げる項目や定型的な取引きなどをコンピュータ ネットワークに肩代わりさせることにより,コストの削減が図れるとともに, 安定的な顧客対応が可能になる。これによって最小のコストで24時間サービス を提供することが可能になると同時に,人員の有効活用を図ることができる。 最後に,顧客サービスの理想的な姿として, One to Oneマーケティンダがあ る。インターネット上での顧客ニーズの収集の仕組みを構築し,顧客ニーズを 汲み取ることにより, Oneto Oneマーケティングの実現が可能となる。前述し たように,インターネット人口が日本では,約

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7

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万人に達しており,この インターネットユーザーに対して,どのようにマーケテイングを行い,どのよ うに獲得した顧客を囲い込むかというところの仕組みがビジネスモデルとして 注目を浴びている。 インターネット上のオンラインサイトでは,顧客IDで顧客の判別を行い, ノ苛}ソナルなホームページを持っているサイトであれば,その際に過去の購買 ( 6 ) OnetoOneマーケティング:市場シェアを求めたマス・マーケティングに対して,特 定の顧客のシェアを高めようとするマーケティングのこと。

(8)

-8ー 香川大学経済論叢 266

履歴等から分析した結果に基づく広告やキャンペーンの情報を個々に提供する ことができる。この顧客に対しての需要喚起の手法は,

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と呼ばれている。膨大な顧客データから,

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で商品を提案し,この購買履歴を次のマーケティングの基礎データにするとい うインターネットを使った新たなビジネスモデルが,従来のマーケティングを 根底から変えようとしている。

15

ビジネスモデル特許の有効性 最近,パーソナルコンビュータの普及やインターネット等の社会基盤の整備 が進むにつれて,汎用コンピュータや既存のネットワーク等を利用した新しい ビジネス方法に関連する発明が活発にでできている。これをビジネス関連発明, すなわちビジネスモデノレ特許という。特許庁はネット活用手法に特許権を認め るために特許法の改正作業を始めており,日本でもビジネスモデル特許が正式 に認められる時代が来ようとしている。 このビジネス関連発明とされているもののほとんどは,ソフトウェア関連発 明のー形態として捉えることができる。すなわち,ある課題を解決するために, コンピュータのハードウエア資源を用いて処理を行うなどの要件を満たすもの であれば,ビジネス関連発明か否かに関わらず,ソフトウェア関連発明として 特許の対象になり得るのである。 特許として認められる条件として,特許法第29条に,新規性,進歩性,社会 的有用性がある。そして今回の特許庁の見解であるソフトウェア特許の一形態 としてのIT技術による具体的実現性があるものがビジネスモデル特許になる のである。 ここで,新規性は公知でないこと,つまり誰にも知られていないし発表もさ れていないことを意味する。ビジネスモデノレ特許がソフトウェア特許のー形態 とするならば,世界中のソフトウェア関連論文も調査対象になりえるわけであ り,膨大な文献や論文が公知例調査に必要になってくる。 また進歩性や社会的有用性においても,ビジネスモデル特許が経営領域を問

(9)

267 ベンチャー企業のビジネスモデル戦略 -9ー 題とするために,特許判断の知識としては,金融工学,経営工学,経営学,会 計学など多くの理論的知識が必要になるであろう。 企業が構築したビジネスモデルに独創性があり,新たな特許権を得ることが できれば,大幅な利益を得ることができる。具体的には,他社がこのモデルを 使用する際の特許権収入や,他からの参入を防ぎ,自ら考案したビジネスモデ ルを独占することによるビジネスチャンスの拡大が考えられる。 生産効率化の代名詞として世界的に有名なトヨタ自動車のカンパン方式は, 今や自動車業界だけではなく,あらゆる製造業に広まっている。このカンパン 方式が1995年にビジネスモデノレとして,特許庁に審査請求されている。2000年 春には,一部の特許が通過しており,この影響は計り知れない。 また,防衛手段としてのビジネスモデノレ特許の出願が考えられる。企業が構 築したビジネスモデ、ルに特許性があれば,出願の検討をして積極的に特許申請 を行う動きが,大企業を中心に出てきている。仮に他社から同様の特許が出さ れたら,そのシステムを使用する場合,使用許諾料等に多額の金がかかり,事 実上,事業からの撤退を余儀なくされる場合もある。攻撃は最大の防御であり, これからは,製造業,流通業を問わずビジネスモデル特許の出願が飛躍的に増 加してくると思われる。

2

.

ビジネスモデルの類型

ここでは 6つのビジネスモデル,アウトソーシング型,垂直提携型,水平 提携型,コーディネート型,顧客サービス型,ダイレクト(中抜き)型につい て,その形態及び特徴について記述する。 2..1 アウトソーシング型ビジネスモデル パフツレの崩壊以後,企業にとっては消費の低迷により,企業業績がなかなか 好転しない。ところが最近のベンチャー企業をみると,元気な企業が多く見受 (7) カンパン方式:トヨタ自動車が始めた方式で,部品の在庫を持たないで,業者に指定時 聞に部品を納入させる方式。

(10)

-10- 香川大学経済論叢 268 けられる。アウトソーシングのサービスを依頼する企業(委託側)と,サービ スを提供する企業(受託側)である。分野としては,製造(ファプレス),情報 システム,研究開発,営業,マーケティング,人材派遣,経理,福利厚生サー ビス,物流など多岐に渡っている。最近の庖頭公開企業をみても,アウトソー シングに関連したベンチャー企業が多く見られる。 アウトソーシングは,

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年代米国の製造業がリストラクチャリングの一環 として活用したのが始まりである。コダック社がIBM社に,情報処理部門を一 括して外部委託した例が有名でトある。日本においても,セブンイレブン・ジャ パンが情報システムを野村総合研究所にアウトソーシングした事例がさきがけ となり広まってきた。 アウトソーシングが発展してきた背景には,従来からの開発,生産,販売の フルライン化の波状があげられる。つまり企業は,競争力を維持していくため に,得意分野に特化し本業に経営資源を集中する方向に動き出したのである。 いわゆるコアコンピタンスの実行である。またアウトソーシングは単なる外注 化ではなく,戦略性を持ち,外部企業の専門性としての能力を活用するところ に特徴がある。 アウトソーシング型ビジネスモデルとは,ある分野で強い力を持った企業が, アウトソーシングを活用することによりビジネスモデルを築き,最終的に顧客 に商品やサービスを提供するシステムである(図

2-

1)。アウトソーシングは, 単なる外部委託ではなく,戦略性を持ち外部企業の専門性としての能力を活用 することであるが,ビジネスモデルを築くことは,まさに戦略そのものである。 アウトソーシングの委託側は,ビジネスモデルを築くためにアウトソーサー を探し,受託側(アウトソーサー)は,委託企業に対して特定の専門分野の仕 事を提供することにより,ビジネスモデル構築の一角を担うのである。 物流情報システムのアウトソーサーにヤマトシステム開発がある。両社は, 企業構想、に沿ったシステム開発から,アプリケーションソフト,情報システム のアウトソーシングを企業に提供しており r↑青報十通信+物流」をキーワード に,マーケティングから配送,集金代行まで幅広いサービスを提供することで,

(11)

269 ベンチャー企業のビジネスモデル戦略 図2ー 1 アウトソーシング型ビジネスモデル 委託企業とビジネスモデルを構築している。 2..2 アライアンス型ビジネスモデル (1) アライアンスの概念 -11ー いま生産性向上手段として,アウトソーシングと共にアライアンスが注目を 集めている。アライアンスは提携とも呼ばれ,お互いの持っている強みを活か して

1

人では作り出せないものを,協力して作り出すことである。企業にお いてコアコンビタンスの考えが浸透してくると,企業活動の中で外部企業との 提携や協創を図り,経営資源を共有することで新たな戦略を構築する動きが出 てきた。具体的にはアライアンスにより,新分野への進出,新製品の開発,必 要なノウハウの取得が可能となる。 企業間提携には,垂直統合もあれば,水平統合もある。垂直統合とは,例え ば研究開発型企業と生産専門企業が提携して物づくりを行うことをいう。さら に販売専門企業との提携も加わり商流ができるのである。垂直統合とは,いわ ゆるサプライチェーンの構築そのものである。 また水平統合とは,例えば研究開発型企業同士が共同研究を行い,付加価値 のある商品を開発することである。ライフサイクノレの短縮化が進んでくると, 研究開発においても企業間協力が不可欠になってくる。アライアンスは研究開 発費用の削減につながり,特に異業種間のアライアンスは独創的な新商品が生

(12)

-12ー 香川大学経済論議ー 270 まれる確率が高くなる。 アライアンス(提携)という概念は,協働,共生といったイコールパートナー として問題解決していくポストアウトソーシングの考え方である。一般的に提 携は

1

1

であるが,複数企業でのアライアンス形態も可能である。複数の形 態の

1

つが融合化であり,異業種の企業経営者が交流を図り新事業を開拓して きた。

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)

垂直統合型ビジネスモデノレ 垂直統合型ビジネスモデルとは,ある分野で強い力を持った企業と企業が垂 直提携をし,経営資源を補い合いながらビジネスモデルを築くシステムである (図

2- 2

)

。垂直統合とは,いわゆる垂直型提携であり,まさに調達,開発, 生産,マーケティングなどの事業のつながりを実現するものである。製造業と 流通業の提携がこれに相当する。 ここで事例を紹介すると,タカハタ電子は,ベンチャー企業の試作や設計, 量産化の支援事業を行っている。事業分野は電気,電子,マルチメディアであ り,試作や量産設計のノウハウを必要としているベンチャー企業が顧客である。 また鳥取三洋電機は,パソコンメーカー各社より,パソコンの組立て生産を受 託している。 図2-2 垂直統合型ビジネスモデル 黍直型提携 (8 ) ポストアウトソーシング:アメリカで生まれ発展したアウトソーシングは時に人材流 動を伴うので,日本の企業風土では限界がある。そこで企業同士が協力しあうコラボレー ションの考え方が出てきた。

(13)

271 ベンチャ一企業のビジネスモデル戦略 13-このように製造業における生産専門工場は,研究開発型企業と垂直提携する ことで,ビジネスモデルを構築している。生産専門工場は,製造技術,試験・ 検査,生産設計などの後工程に強みがあり,一方研究開発型企業は,企画力, 研究開発,基本設計などの前工程に強みがある(図2-3)。双方の企業が垂直 提携することで,互いの弱みを補完しながら,強みをよりいっそう生かすこと ができる。 図 2- 3 製造業の垂直統合

供給 コラボレーション (アライアンス裂)

供給 (3) 水平統合型ビジネスモデル 水平統合とは,いわゆる水平型提携であり,ある分野で企業同士が提携する ことで,その分野での価値をさらに向上させるものである。製品開発,生産, 販売各段階での企業同士の提携がこれに相当する(図

2- 4

)

。 ここで水平統合の事例を紹介する。住宅地図最大手のゼンリンは,博報堂, 大日本印刷と共同で,顧客にインターネットで地図情報を提供する会社を設立 した。新会社はイーマップといい,ゼ、ンリンの保有する最新の住宅地図やカー ナビゲーションシステム用の地図をベースにさまざまな企業情報や庖舗情報を 有料でインターネット地図上に掲載するサービスを行う。住所や郵便番号 rグ ルメJrトラベル」などの各種条件から,詳細な地図を画面上に表示できること を特徴としている。地図画面に広告を載せたり,全国の庖舗情報を有料で紹介

(14)

-14ー 香川大学経済論叢 272 図2-4 水平統合型ビジネスモデル するなどのサービスを展開することで収入を見込んでいる。また,カーナビゲー ションシステムや携帯情報端末等との連携も視野に入れている。 このように,インターネット上で高度な地図情報提供を行うためには,詳細 かつ最新の地図データ,

Web

サイト構築技術,最新のインターネット表現技術 などが必要不可欠であり,イーマップは,ゼンリン,大日本印刷,博報堂の3 社のアライアンスにより,それぞれの保有する資源,ノウハウを提供しあうこ とで,検索し易く付加価値の高い地図情報提供サービスを実現している。具体 的には,ゼンリンは

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の詳細な住宅地図データや通信技術を提供し,大 日本印刷は主に通信技術を,そして博報堂は主にマーケテイングや営業を提供 することにより,地図情報提供サービスのビジネスモデルを構築している。

2

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コーデイネート(仲介)型ビジネスモデル コーディネートとは,複数の企業を結びつけ企業拡張を図る概念であり,北 イタリアのコモ地区の事例が有名である(図2- 5)。イタリアは家族主義,縁 故主義の国であり,人間関係を中心として企業同士がグループ化することによ り,ネットワークを構築して産地が形成されている。コモ地区は繊維製品の産 地であり,ここではコーディネート型企業(コーディネータ)が,高級シャツ や婦人用アパレル製品などの有名ブランド品の企画,デザインなどを手掛けて いる。

(15)

273 ベンチャー企業のビジネスモデル戦略 -15ー 図2- 5 コモ地区の中小企業ネットワーク

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プロジェクト別コーディネート コーディネータは自前では生産をせず,工程ごとに最もふさわしい企業を選 び発注する。コーディネート企業群は,プロジェクトや仕事の性格に応じて組 み替えられる。このコーディネータは,マーケットの把握や商品開発などの業 務に特化し,工程専業企業との間でフレキシブルな分業関係を形成しており, コーディネート企業群をチェーンでつないでいる。 また,物流関連のコーディネート型企業に,サードパーティ・ロジスティク ス

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以下

3PL)

業者がある。

3PL

とは, トラックや倉庫 を持たない業者が,荷主の物流の最適イじを優先に考え,ロジスティクス・シス テムや戦略を提供することである。つまり,

3PL

は荷主企業と輸送業者の聞に 立.って機能する新しい形態であり,物流のコーディネータと位置付けることも できる。 (9 ) コーデイネータ:同業種の企業と企業,異業種の企業と企業,顧客と企業などを広範な ネットワークにより,引き合わせる企業ないし個人のこと。 (10) 3PL (サードパーティ・ロジスティクス):荷主でも物流業者でもない,第三の主体が ロジスティクス活動を代行すること。

(16)

16 香川大学経済論叢 274

3PL

業者は荷主からの要求に対し,物流情報システムを駆使すると共に,最 適な業者の組み合わせを図り,顧客の満足を得るのである。一方,業者も安定 的な受注や帰り荷運送が可能となるのでメリットが大きい。また

3PL

業者同土 のネットワークにより共同配送が推進され,物流コスト削減が効果的に進むの である。 コーディネート型ビジネスモデyレとは,すでに存在している企業間システム に割って入り仲介することにより,そこに価値を創造するものである(図2 6 )。たとえば,物流業者が情報技術を提供することにより,グローパノレに最 適な調達,開発,生産,マーケティングができるように,従来の商流を発展さ せることが相当する。ビジネスモデ/レ構築の仕掛け人はコーディネータと呼ば れる。 MBK流通ノ¥-トナーズは食品の製造,配送,販売のいわゆるサプライチェー ン全体を対象に,物流システム及び情報システムを中心としたトータルサポー トを目指す会社として,三井物産を中心に 1997年末に設立された。 同社は

3PL

としての方針をうち出すとともに,顧客に対して各種の物流支援 の提案を行い,倉庫業者や運送業者とのつながりを利用して事業を行っている。 ロジスティクス支援として,量販庄の物流センターの設立・運営の提案,ピツ キングなど倉庫内作業の提案,物流効率化・合理化の提案を行う。また情報シ 図2-6 コーディネート型ビジネスモデル

(17)

275 ベンチャー企業のビジネスモデル戦略 17-ステム・サービス支援とレて,受発注/販売実績データなどのEDI化促進の提 案,

POS

データ活用によるマーケティング,マーチャンダイジングなどの提案 も行二っている。 2..4 顧客サービス型ビジネスモデル 経済学者のアルビン・トフラーは『第 3の波』の中で,プロシューマー (Prosumer)時代の到来を唱えている。第 1の波は産業革命以前であり,必要な ものを自分で作っていた時代であった。第2の波は産業革命以降であり,需要 見込みによる大量生産の時代であり,製品のデザインは生産者主導であった。 第3の波はこれからの時代であり,消費者が生産者の製造プロセスに参加する ような経済活動が出現してきており,製品のデザインは消費者にあると唱えて いる。 特に最近の成熟社会においては,商品の供給が過剰となっており,タイムリー に消費者の望む商品を作らないと,大量の在庫をかかえてしまう。今までは, 生産者主導で消費者に製品を供給してきたが,これからは消費者主導に変わり つつある。この消費者主導の考え方が顧客サービスにつながる。以下に3つの 顧客サービスを説明する。 1つ目は,顧客のニーズを具体的な形にして商品を提供することである。顧 客の要望を,標準品という形にして企画・商品化することで,顧客満足が得ら れる。

2

つ目は,顧客に必要なものを必要な時に必要なだけ提供する,供給体 制である。それは顧客が必要としている限り,あらゆる手段をつくして顧客希 望の納期で調達するということである。 3つ目は,受注対応・製作・出荷管理 までも網羅した,品質保証である。具体的には,受注・物流体制の改善を行う ことで, トータノレクオリティを追求し,顧客満足度が得られる。 顧客サービス型ビジネスモデルは,メーカーやサービス提供者の論理ではな く,消費者の立場で価値連鎖を創造するものである(図

2-

7)。消費者に購買 (ll) プロシューマー:手作りや創造性志向の強い消費者。アルビン・トアラーが著書「第三 の波」で用いたproducerとconsumerの合成語。

(18)

18 香川大学経済論議 276 の手助けや情報提供を行うことにより,下流から上流に情報を伝達し,ユーザー が求めるものを必要なときに,必要な量に応じて適正価格で調達することが, 顧客サービス型ビジネスモデルである。いわゆるマーケットアウト・プロダク トインの実行である。これを実現するにあたり,インターネットの活用が大き な意味を持つ。つまり,顧客の要求,意見をインターネットで取り入れ,商品 に反映させていくのである。 図2- 7 顧客サービス型ビジネスモデル ミスミは,全国の中堅中小メーカーを主な対象として,金型部品などをカタ ログ通信販売で提供している。徹底した「持たざる経営」を展開し,製造・商 品開発・営業・物流・人事・情報システムなど,多岐に渡るアウトソーシング を展開している。 ミスミは戦略的アウトソーシングの活用を図っている。すなわち自社の持っ ていない経営資源を取り入れ,付加価値を創出する。アウトソーシングを活用 すると,内製した時と比較して一般的にコストが安くなるが,たとえ高い場合 でも,自社にない価値が得られる時は, ミスミはアウトソーシングを選ぶので ある。 ミスミは1963年の創業以来,生産財の流通改革を掲げ,金型用部品, F A用 部品,切削工具を中心とした流通機構にメスを入れ,購買代理商社のあり方を 探求してきた。従来は,販売代理店としてメーカーから提供された商品をユー ザーに提供する,いわゆるプロダクトアウト・マーケットインであった。一方, 購買代理とはすべての視点をユーザーに向け,ユーザーが求めるものを必要な ときに,必要な量に応じて適正価格で調達することである。ミスミはユーザー

(19)

277 ベンチャー企業のビジネスモデル戦略 19-の購買機能を肩代わりすることで,マーケットアウト・プロダクトインを実行 している。まさに,顧客サービス型ビジネスモデルの実践である。ミスミは, ユーザーの必要とするものをユーザーに代わって調達する購買代理商社とし て,顧客サービスを提供している。 2“5 ダイレクト(中抜き)型!ビジネスモデル ビジネス業界で従来から行われてきた「中抜き」の代表的なものに通信販売 がある。通信販売は自宅に居ながらにして商品が手に入る便利な方法として, 多くの消費者に利用されている。 1998年の日本全国の通信販売売上高は, 2兆 1800億円となっている。通信販売は,事業を開始するのに特に許認可を受ける 必要もなく, 比較的少額の資金で始められる事業である。 育児用品やスポーツ用品,シルバー向け商品から産地直送品,アイデア商品, 介護用品等々,取扱い商品の豊富さは,通信販売の最大の利点である。 また, 宅配便の発達やコンビュータシステムの進歩などにより,配達期間も短縮され て,便利さの度合いも高まってきている。 そして最近はカタログや新聞広告, テレビ・ショッピングだけでなく, オンラインの通信販売も見られるように なってきた。通信販売の他に産地直送も中抜きの一種である。 この中抜きは,中開業者が入らないので,一般的に消費者に渡る価格が安く なる。今までの日本における商習慣は,中抜き商法はなじまなかったが,今後 インターネットの進展にともない増えてくるものと思われる。 ダイレクト(中抜き)型ビジネスモデルの代表的なものに,

B

t

o

C

市場に おける通信販売が挙げられる。通信販売には,カタログや新聞広告,テレビ・ ショッピングなどがあるが,いずれも無庖舗であり,卸や小売などの流通業を 通さず,製造業からダイレクトに消費者に商品を届けるシステムである(図

2

-8

。) ヤマトコレクトサービスの商品代金集金代行サービスは,配達から集金,決 済まで責任の一切を引受けるサービスシステムであり,通信販売業者のダイレ クトサービスを支援している。

(20)

~20 香川大学経済論叢 278 図 2~8 ダイレクト(中抜き)型ビジネスモデル ②申込み ③ダイレクト販売 ①情報提供 通販業者にとっての

1

番の悩みは,集金である。もちろん,従来からいろん な集金方法があるが,いずれも入金や未収などの管理が大変であった。そこで 「宅急便で集金するコレクトサービス」は,手続きも簡単で,管理業務を大幅 に省力化できるメリットがある。また商品を配達する際に,事前に受取人と連 絡をとり,都合に合わせて届けるので,顧客満足が得られる。 受取人にとっても,銀行,郵便局まで振込に行かず,商品と交換で現金を支 払うことができ,配達前に確認の電話があり,都合に合わせて配達してもらえ るのでメリットが大きい。このように,コレクトサービスは,通販業者にとっ てなくてはならないサービスとして急成長をとげている。

3

.

e

ビジネスの新たな概念

前章で従来型のビジネスモデルについて,

6

つのタイプを紹介した。インター ネットが普及し,これらビジネスモデルが新たな概念を持って進化している。 ここでは

e

ビジネスの出現により,

B

t

o

C

B

t

o

B

の変貌を記述する とともに,従来型ビジネスから境界線を越えて

e

ビジネスの場を創造する過 程について論述する。

(21)

279 ベンチャー企業のビジネスモデル戦略 21ー 3 1 B .. to C, B to Bの変貌 ここでは eビジネスによる Bto C, B to Bの変貌を述べてみたい。イ ンターネットを使うことで,企業と顧客の関係が劇的な変貌を遂げようとして いる。インターネットを利用することで,地域を限定せず,世界中の顧客を相 手に効率よく商売をすることが可能である。すなわちマーケットの拡張が飛躍 的に図られるのである。 また顧客に対する情報開示については,新製品の紹介などの良い情報から, 製品のリコールなどの悪い情報まで,瞬時に効率よく顧客に対して伝達するこ とができる。さらに必要であれば,顧客によって開示する情報の範囲や内容を 選択することも可能である。 さらに企業にとっては,定型的な顧客からの問い合せをインターネットで対 応することにより,本当に対応が必要な非定型的な仕事に注力することができ る。すなわち企業の立場からは,定型的な仕事から解放され,本来行うべき仕 事が出来るとともに,それによるコスト削減及び新しい顧客の獲得ができるこ とがメリットとなる。 一方,顧客の立場からは,保守・サポート情報や投資家情報まで必要な情報 へのアクセスが容易になり,時間的,コスト的なメリットが生じる。例えばパ ソコンのサポートで,担当者をわざわざ呼び出さずに,インターネット上です ますことも可能となってきている。またインターネットにより ,J高頭にいかな くても自分に適切な商品を,自分が好きなときに好きな場所から注文できるよ うになり,これも時間的,コスト的なメリットが生じる。 そして,企業がインターネット使用で浮いた経費を商品の値下げやサービス の向上といった形で消費者に還元することが可能となる。例えば,インターネッ トバンキング用の特別な利率を設定して預金を集めている銀行もあれば,株の 取引き手数料がインターネット経由のほうが安い証券会社もある。 インターネットを利用することにより,顧客はより自分のニーズに合わせた サービスを享受し,企業側ではインターネットを利用することで浮いた経営資 源(人,モノ,金)を得意分野に注ぎ込むことができる。いわゆるコア・コン

(22)

22ー 香川大学経済論叢 280 ピタンスの実現により企業競争力が増大する。 インターネットはまた,企業間関係

(

B

t

o

B

)

のビジネスモデルも変貌させ ている。インターネットを利用することによって,企業と企業は,製品の在庫 状況の共有,製品設計情報の共有,顧客情報の共有などが実現でき,効率的な ビジネスモデルを構築することができる。 インターネット経由で,商品の在庫情報や発注の情報を共有することにより 大規模な成長を遂げたのが,デノレモデγレで有名なデノレコンビュータである(図 3 -1)。製品の在庫情報をインターネット経由でサプライヤー(メーカー)と 共有することによって,部品が適正在庫以下になるタイミングでサプライヤー から自動的に部品の供給を受けるのである。これにより部品の在庫が圧縮され, 部品の在庫回転率の向上を図ることができた。また,部品の自動発注をインター ネットで行うことによって,製品の受注から在庫の管理が効率化し,コストダ ウンに成功したのである。 図 3ー 1 デルコンビュータ 既存の流通モデル

(23)

281 ベンチャー企業のビジネスモデル戦略 -23 一方,サプライヤーの方も,ノマイヤーから定期的に商品発注が来るため,生 産計画が立てやすくなり,コスト削減が実現した。このようにデルコンピュー タとサプライヤーは, Win-Winの関係を構築することができたのである。 3..2 従来型からeビジネス型lへの跳躍 インターネットを使った取引のデメリットをここで整理してみる。現状では インターネットのセキュリティに関して,顧客が完全に信用できるようなシス テムは,まだ普及していない。現状ではクレジットカード番号を直接渡してい るが,ここに不安を感じる顧客もいるはずである。 現在セキュリティに関しては,さまざまな規格が提唱され,さまざまな試み がなされているが,まだこれといったものがないのが現実である。本格的なイ ンターネット取引の普及に向けても,セキュリティの技術的な開発は不可欠で ある。 また,従来からの対面販売に慣れた人には,電子商取引はなじみにくいとい う傾向がある。つまりインターネットを通しての取引が,実際の庖舗販売や営 業マンとの直接対話ほど実感がなく,違和感を感じるのである。さらに,実際 に商品に触れる手触りやお金を手渡す時の実感,そしてそこからくる信頼感が インターネット取引きには基本的に欠けているのである。 ここでよく言われるのが,日本と欧米の国民性の違いである。ドライな感覚 を持ち合わせている欧米人は,インターネットを通しての電子決済は違和感が ないが,どちらかというとウェットな感覚の日本人は,営業担当者が足を運ぶ 対面販売のほうが,親しみやすいのである。しかし,電子商取引の便利さを理 解する個人や企業も増えてきており,今後は普及してくるものと思われる。 また,従来型ビジネスモデルの中でのみ検討をし eビジネスに移行する思 考そのものがないという企業がまだ多くみうけられる。組織や人に内在する心 理的,潜在的な現状肯定の意識があると思われる。経営状況は苦しいのだが, 新発想である

e

ビジネスに踏み込めないのである。これは意思決定者である経 営者の資質によるところが大きい。

e

ビジネスに対する知識自体のない経営者

(24)

-24ー 香川大学経済論叢 282 も多く,これからは

e

ビジネスの理解を進めていく必要がある。 企業には必ずキーマンがおり,従来型ビジネスから境界線を越えて eビジ ネスの場を創造する。知識の境界線をブレイクする組織変革者であるキーマン は,経営層など組織リーダーの内部人材と,経営コンサルタントなどの外部人 材とがある。キーマンは,具体的にインターネット環境による情報のプラット フォームの育成,新たなビジネスモデlレの発案などを行う。

e

ビジネスの場の生成ができた後は,このハードルを跳躍して越える段階と なる。そこでキーマンは,経営層にeビジネスのモデノレを説明し,壁を越える 決断を促す。そして企業は,常識にとらわれない発想と,ブレイクスルーの行 動力や知力をもって境界線を飛び越えるのである。

4

.

e

アウトソーシング型ビジネスモデル

ここでは,アウトソーシング型ビジネスモデルがインターネットの進展によ り, eアウトソーシング型ビジネスモデルに変貌する過程を説明するとともに,

o

目 (3)

ASP

(アプリケーション・サービス・プロパイ夕、一)とポータルサイトについ て論述する。

ι e

アウトソーシング型への変貌 従来型ビジネスモデノレが

e

アウトソーシング型ビジネスモデルに変貌する きっかけは,インターネットの進展による。

e

アウトソーシング型ビジネスモ デルとは,インターネットを使って企業が新たな事業を行う場合に情報システ ムを提供したり,インターネット使用ユーザーに対して企業の広告媒体を提供 する場合が相当する。前者は

ASP

であり,後者はポータルサイトである。ビジ ネスモデルのタイプとしては, B

t

o

BとB

t

o

Cの双方がある。 (12) ASP (アプリケーション・サービス・プロバイ夕、ー):インターキット上で,ホームペー ジや電子店舗の開設などを行いたい企業に,サーバーや決済システムなどのサ}ビスを 提供する業者。 (13) ポータルサイト:インタ」ネット上で,ユーザーが商品やサービスについて知りたい 情報を見つけるための入口となるサイト。

(25)

283 ベンチャー企業のビジネスモデル戦略 25-従来型ビジネスモデノレから

e

ビジネスモデルに変貌するためには,

ASP

など のアウトソーシングを利用するのが効果的である。ただ

ASP

による定型的な アウトソーシングサービスは,競合他社も利用できるので,競争優位が長期間 持続しない恐れがある。

ASP

やポータノレサイトは,アウトソーシングユーザー の要望により日々進歩しており,ユーザーとしては,ビジネスモデルを常に最 新のものに見直していく必要がある。 4.2 ASP (アプリケーション・サービス・プロパイダー)

ASP

のサービスは,サーバーおよび基本的なアプリケーション・メンテナン スを提供し,パックアップやログ統計サービスのほか,アプリケーション運用 に伴うネットワーク監視,サーバー運用,セキュリティ/認証を提供するもの である。加えて,決済や課金機能提供サービスや顧客管理データベースサービ ス,配送サービス,コーノレセンターサービスなどがある(図

4-

1)。 図4-1 電子庸舗支援システム ーーー・ー商品の流れ .. --情報の漏れ EDP業務 注文 問合せ H

.

.

商品代金の回収

(26)

26- 香川大学経済論叢 284 企業にとっては,ある程度ノTッケージ化されたアプリケーションをアウト ソーシングでき,また各種ノウハウも提供してもらえるので,電子庖舗の構築 コストは安くてすみ,利用価値は高い。この

ASP

のビジネスモデル自体が日々 変化し,同時に既存のシステム・プロパイダー,コンサルタントにも変革を追っ ている。

ASP

は,今では

IT

サービス市場で最も重要な,最も広範囲な領域に 位置付けられている。 ベネフィットオンラインは,日本ビクターが1997年 2月に 100%出資して設 立した子会社であり,決済システムから物流管理までのトータルなオンライン 通販サービスを売り物にしている。同社は,物流サービスとして「デリパネッ ト」というシステムを提供している。この「デリパネット」は,

Shop

機能,

Back

O

f

f

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c

e

(事務代行)機能,決済機能,物流機能を統合した

EC

支援システムであ り,

ASP

サービスそのものである。 ベネフィットが提供する

Shop

機能では,モール上での商品検索やギフト対 応機能といった多彩なサービスを実施している。

BackO

f

f

i

c

e

機能の提供では, 受注,出荷,入金,顧客などの管理を行うシステムを構築し,

EC

連携企業の運 営負担を著しく軽減することができる。また決済機能としては,クレジットカー ドによる決済,

CVS

での庖頭支払い,ヤマト運輸のコレクトサービスなどの多 彩な決済方法がある。最後に物流機能としては,ヤマト運輸と契約し,自宅配 送,指定先配送を提供している。 4内3 ポータルサイト 「ポータル」という言葉は「入口,玄関」という意味を持つもので,このこと から,ポータルサイトとは

rWeb

を利用する際に入口となるサイト」と説明で きる。当初は

Web

を利用しようとすれば必ず通過するページとして,

N

e

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といった

Web

ブラウザに初期設定しである

Web

ページ(スタートページ)がポータルサイトと呼ばれ,注目を浴びていた。 多くのアクセスが見込める,最も効率的な広告展開が可能なサイトと考えられ ていた。

(27)

285 ベンチャー企業のビジネスモデル戦略 -27ー 最近のポータルサイトは,検索サービスに全面的に依存するのではなく,看 板である検索サービスに集まってきたユーザーに対して,ユーザーの欲するコ ンテンツやサービスを直接その場で提供することで,ユーザーのオンサイト率 を高めようとする傾向がみられるようになった。それらは,ユーザーが選択し たニュースや株価,天気予報等の情報を提供するインフォメーション系と,電 子メールのアカウントやホームページ用のスペースを無料提供するコミュニ ケーション系に分けられる(図4- 2)。 図4-2 ポータルサイト ポータル(玄関口) インフ メ プ ォーション系

l

附 イ ト

l

ロ ニコース,株価 コ ミ ユ ー

ケ一ション系 電子メーJレのアカ ;

仁三工了つ

ホームベ ウント

1

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札 ソ'1 l'

1

ージ用のスペース 商品・サービス提供 インフォメーション系の代表的なものとしては

Yahoo!.

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が行ってい るサービス

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がある。このサービスは,ユーザーが興味ある項目 を選出して登録しておくと,自分のページにアクセスするだけで見たいコンテ ンツへのリンクが一覧できるというものである。サービス運営側から見れば, ユーザーの興味を知ることで,ユーザーごとに表示するインターネット広告の 種類を選択し,より高いクリックスルー率を達成することでパナ一広告などの 収益の増加が見込めることになる。

(28)

-28ー 香川大学経済論議 286 一方,フレッシュアイの「マイトピックス」では,各ユーザーにカスタマイ ズした項目の最新トピックスのタイトJレのみを定期的にメールマガジンとして 配信するシステムになっている。この場合にも,運営側はカスタマイズページ にユーザーの関心に沿った内容の広告を表示したり,お知らせメールにも同様 の広告を配信するなどして,広告媒体としての価値を高めている。 ミスミは,富士通グループと組んで,中小製造業向けに電子商取引を含むプ ロパイダ一事業を行っている。 MOL(ミスミ・オンライン)といい,ここで同 社は「ボータルサイト」を立ち上げている。ボータルとは,パーテイカル(垂 直型)とポータル(玄関口)を組み合わせた造語で,特定の業種・業態などに 照準をあわせた専門特化型のポータルサイトを意味する。 MOLでは,以下の3つのサービスを提供している。 1つは,パソコン販売, ネット接続サポート, Webサイト構築・運用・管理委託を含むインターネット サポート事業。 2つは,技術・研究情報,各種研修・セミナー紹介,ソフトウ エアライブラリーをはじめとする情報検索・収集サービス。

3

つは,

ASP

サー ビス,マーケティング代行,広告代行,オンライン販売,人材紹介等の業務代 行サービスを展開している。

5

.

e

アライアンス(垂直統合)型ビジネスモデル

ここでは,アライアンス(垂直統合)型ビジネスモデノレがインターネットの 進展により

e

アライアンス(垂直統合)型ビジネスモデルに変貌する過程を

ω

説明し, SCM (サプライチェーン・マネジメント)やECR(エフィシェント・ カスタマー・レスポンス)について論述する。 (14) SCM (サプライチェーン・マネジメント):原材料の調達から最終消費に至るまでの多 段階の商品の流れを連鎖化し,プロセス全体を設計し管理すること。 (15) ECR (エフィシェント・カスタマー・レスポンス):製造業,卸売業,小売業の3者が, 商品の販売情報や在庫情報を共有し,物流システムを標準化することにより,販売拠点に おける在庫を削減したり,欠品を防止するためのシステム。

(29)

287 ベンチャー企業のビジネスモデル戦略 29-5..1 eアライアンス(垂直統合)型への変親 従来型ビジネスモデルが

e

アライアンス(垂直統合)型ビジネスモデノレに変 貌するきっかけは, SCM (サプライチェーン・マネジメント)やECR(、ヱブイ シェント・カスタマー・レスポンス)の進展によるところが大きい。企業間SCM を実現するソリューションサービスとして,オープンなインターネット環境で 企業聞の情報共有を支援するシステムを提供することにより,全体最適化での 資材調達費用の削減や在庫削減が図られる。またECRの構築により,製造業, 卸売業,小売業の3者が,商品の販売情報や在庫情報を共有することにより在 庫削減が図られる。ビジネスモデルのタイプとしては,主に

B

t

o

B

が相当す る。 従来型ビジネスモデノレから eビジネスモデノレに変貌するためには,企業聞の 情報のやりとりにインターネットやエクストラネットを利用したSCMを導入 するのが効果的である。ただSCMの導入によるアライアンス(垂直統合)型ビ ジネスモデルの構築は,ネットワーク上のセキュリティを十分考慮する必要が ある。 5..2 SCM (サプライチェーン・マネジメント) 商品が一般消費者に供給される流れは,開発,調達,生産,配送,販売となっ ており,それぞれサプライヤー(仕入れ先),メーカー,卸売業者,小売業者, 消費者が順に関係している。こうした商品供給に係わる関係者のつながりをサ プライチェーン(SupplyChain)と呼ぶ。 従来はメーカーならメーカーだけの効率化を目指していればよかった。しか し,ライフサイクノレの短縮化に伴い,売れていた商品が急に売れなくなったと きに各ストックポイントで在庫がたまり,返品により企業利益を圧迫すること が,最近見受けられるようになってきた。これを打破するために,前述したサ プライヤーから消費者までの全体最適化を行い,情報技術の活用を図りながら 構築していく SCM(Supply Chain Management)手法がでてきた。 SCMの最も大きな特徴は,全体最適化である。従来は,企業内だけでの最適

(30)

288 香川大学経済論叢 30-化が進められてきたが,個々の部分最適の活動を統合しでも全体の最適化には サプライチェーン上の業務と関係者を統合的にと 到らないのである。そこで, らえて情報技術の活用を図りながら,全体の最適化を実現するのである。 サプライチェーンの全体最適化を考えるためには,企業間での協力関 また, 係,すなわち企業同士のアライアンスが重要となる。 SCMとは,企業聞のアラ のもとで,相互の企業と消費者すべてに利益をもたらすため に全体の効率化に取り組むことなのである。このようにSCMは,企業内にしろ 企業聞にしろ開発,調達,生産,配送,販売を通した垂直型の統合を主体にす (提携) イアンス チェーン全体の最適化を図っている。 ることて九 日立製作所は,企業間SCMを実現するソリューションサービスとして,オー プンなインターネット環境で企業聞の情報共有を支援する,企業間ビジネスア プリケーションサービス'TWX-21JをOKしている(図

5-

1)。特に,企業 聞のSCM実現にあたっては,数百から数千の取引先との電子化を早期に,かつ 安全に実現することが重要となる。

ぷ品目

日立のSCM 図5-1

7

山田

半目

日立製作所 インターネy 十 (TWX21) TWX-21では,暗号や認証処理などのセキュリティ(安全性)基盤上に,調 達・販売・決済業務支援サービスや,取引先を含めた企業間システムのソリュー ションを提供している。日立製作所は,取引先

1

2

0

0

社を独自の電子商取引シ ステム TWX-21で結び,全購買額の約8割をネット調達できる体制をととの

(31)

I 1 1 1 1 1 寸 1 1 1 289 ベンチャー企業のビジネスモデル戦略 -31ー えた。さらに目立金属や日立電線などと「ネット調達センター」を新設し,ア ノレミや半導体などの汎用性の高い部品,資材を共同発注することで取引先を集 約し,価格を平均

1

割引き下げた。また,調達業務の統合により,目立本体だ けで購買担当者を数十人減らすことも視野に入れている。 またTWX-21により,市場変化の早期把握,影響先へのリアノレタイムな変更 指示が実現できる。販売・物流一設計一生産・調達一決済に至る過程で,得意 先や仕入れ先など企業聞のリアルタイム情報共有・交換により,効率的な企業 間 SCMを実現している。 5"3 ECR (ヱフィシェント・カスタマー・レスポンス) 先進的な小売庖では,カテゴリーマネージメント, POS情報,作業ごとにコ ストを明確化する ABC(活動基準原価計算方式)などを駆使して,買物客が満 足を得られるようにサービスの向上を目指している。製品が消費者にわたるま でのトータルな流通システムの流れの中で,非効率なやり方を排除し,ムダな コストを削減することで,優れた消費者価値を提供していく,これが ECR 図 5- 2 ECR │ 卸 売 業

l

樺 ヨ

メ ー カ ー 商品情報 圃 圃 園 田 園 惨 在庫情報 圃 圃 圃 園 田 ・ -4噂 圃 圃 圃 圃 圃 販売情報 . . 圃 園 圃 圃 圃 消資者情報 新 商 品 情 報 製 造 情 報 在 庫 情 報 販売動向 消費者ニーズ 在庫情報 f一一一一「

. .川売業

B

/

販売情報 ¥一一一ーィ/ (16) ABC(活動基準原価計算方式):活動基準原価計算に基づき,アクティビティー(活動) 別に正確なコストを把握し,活動分析による業務改善や物流コスト管理などを行うこと。

(32)

32- 香川大学経済論叢 290 (Efficient Consumer Response)の基本的な考え方である(図5- 2)。 すなわち ECRとは,製造業,卸売業,小売業の3者が,商品の販売情報や在 庫情報を共有し,物流システムを標準化することにより,販売拠点、における在 庫を削減したり,欠品を防止するためのシステムである。製造業,卸売業,小 売業の物流・情報ネットワークを構築し,取引の透明性を高めることにより, 商品価格の変動を抑え,優れた消費者価値を提供していく。 ECRの成功のポイントを考える上で,従来の競争一辺倒から,協調と競争へ の変化を挙げることができる。特に業界インフラの構築や企業間でのビジネス プロセスについては,効率性の観点から標準化が必要であれ業界での協調が 必要とされてきている。 ECRのコンセプトは rメーカー,卸,小売が協力し, 付加価値を生まない活動とコストを排除することによって,消費者満足を最大 化する」ことである。例えば小売側の POS(ポイント・オブ・セールス)の情 報をメーカー,卸売でも共有することで, リアルタイムで最適な商品補充が可 能となり,商品のコスト低減や在庫削減,欠品の防止が図られる。 P&Gは,メーカー・卸庖・販売庖・消費者によって形成されるサプライチェー ンの連携を,相互に深めていくことにより, ECRを構築している。そのために 不可欠なのが,タイムリーな情報交換である。卸売や小売における販売情報や 在庫情報を共有することで,効率的な在庫や欠品の防止を実現している。

6

.

e

アライアンス(水平統合)型ビジネスモデル

ここでは,アライアンス(水平統合)型ビジネスモデルがインターネットの 進展により eアライアンス(水平統合)型ビジネスモテツレに変貌する過程を 説明するとともに

e

コラボレーションについて論述する。 6..1 eアライアンス(水平統合)型への変親 従来型ビジネスモデJレが

e

アライアンス(水平統合)型ビジネスモデルに変 (17) eコラボレーション:同一業界の複数の企業がネット上で共同体を結成し,ネット上 で共同事業を行うもの

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