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管理会計の意義について--意思決定のための会計と業務統制のための会計---香川大学学術情報リポジトリ

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i G1 巻司~4 ¥; 1992{1 2)] 522

管 理 会 計 の 意 義 に つ い て

一 一 意 思 決 定 の た め の 会 計 と 業 務 統 制 の た め の 会 計 一 一

浦 和 夫

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はしがき 十九世紀後半以来,アメリカにおける産業および交通の発達一一一方,新設 術,新機械の導入にともなう製造工業の発展,そして,生産力の伸長,他方, 全国的市場の成立一一ーが,従来まで見られなかった多くの経営問題をよびおこ した。所有の経営からの分離 (Separationof ownership flOm management)に ともなう投資家および債権者にたいする経営者の責任問題,競争の激化による 利益の減少,特殊専門化した機械作業の調整と監督の困難性,悶定設備の増大 とその陳腐化の危険,このような問題が経営者の関心を強くひきつけ,いやお うなしに経営活動の合理化への道を模索させたのである。テイラー (F W Taylor..)の科学的管理法も,こうした時代の環境がうんだ産物であるといって も過言でない。すなわち,多くの経験の中から生まれた管理法が,企業の量的 面における拡大化と,質的面における複雑化にともなって,ますます必要とさ れ,今世紀初頭以来,経営管理に一大新紀元を画することとなったのである。 この科学的管理法,それは,また,管理会計にとっても,一段とその思想を深 め,体系化する源となったということができる。しかし,ここで,注意してお くべきことは,科学的管理法がそれまでの管理会計を脱皮し新しい管理会計の 生みの親であったといっても,それは,管理会計における「管理」を「科学的

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i i j i f e t --6 香川大学経済論叢 698 管理」と理解し,科学的管理法,課業管理法の思想のもとに,もっとも強く影 響されて体系化された標準原価計算,予算統制というLつ の 会 計 を , た に 管 理会計というのではない。これでは,現在における管理会計史の理解としては 狭きに失する。本稿において,後述するように,現在の企業の管理制度は科学 的管理思想を吸収して,にわかに,進歩をみたが,それはただ,作業管理にの みとXまらず,全般的な総合管理にまで発展せしめられたものである。管理会 計は,たしかに「科学的管理法」を直接の契機として,自覚的に取り上げら れ,発展せしめられたものであるが,現段階においては,この企業の全般的経 営管理に役立ちうる機能をはたす会計として理解しなければ,その真の意義を 見出しえないものであって,より広い視野のもとに,位置づけられねばならな L

このことは,管理会計が,なにゆえに,重要視されるにいたったかを明らか にすることによって理解しうる。 その第ーは,企業の規模拡大とその複雑化ということである。市場の拡大な らびに産業技術の進歩は,一般に企業の経営規模をいちじるしく増大せしめる ことになり,それにつれて,経営管理の必要宏招来してきていることは広く知 られいるとおりである。これにたいして,複式簿記,組織,その他の管理方法 の工夫は,そのような規模拡大にともなって生じた若干の問題解決に役立てら れていることはたしかである。しかし,同時にまた,一層,その経営規模の拡 大の原因ともなり,さらに,各種の経営活動の調整および監督にたいして困難 な問題を生ずることとなってきている。この結果,企業内部において専門化さ れた各種の分野をこえて,これを企業全体の視点から経営者が経営活動を適切 に調整することが一層重要となってきている。それは機能的に分化された各経 営部門が,相互に,目標の相違をきたしたり,また,同じ誤りを繰り返すよう であれば,それによって,企業全体の成果が阻害されれることになるからであ る。それには,これまでのような報告専門の会計情報システムでは不適当であ り,経営管理の要求に適合した新しい会計情報システムが考えられてこなけれ ばならない。

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699 管耳里会計のZ主義について -7ー その第二は,同定資産を用いることが,ますます増加し,しかも,それがき わめて重要になってきているということである。企業における経営活動が,次 第に,人間労働から機械的jj法にとって代わられてくるのは,むしろ一般的な 傾向として指摘されるところである。そして,それに用いられる機械は,ます ます専門化され,人間労働に比べて,いよいよ融通性を失ってきている。機械 は,特定のプロセスにのみ使用されるのであり個別の特殊性をもっ。そのため に,機械は弾力牲が,きわめて少ないのである。それゆえに,経済事情の変化 に応じて,これを調整することは,一層閤難な事情にあると考えられなければ ならない。しかるに,企業の規模拡大につれて,さらに大仕掛の,かつ一層専 門

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じされた機械の使用が有利となってきている。そして,このことが,また, 生産規模を拡大するための主要目的のーっとなっていることが考慮されなけれ ばならない。このようにして,機械設備の増大につれて,企業においては,生 産費に占める機械諸経費の構成割合は,いちじるしく大となってきた。このこ とは一方では,企業における連続的生産を可能にし,大量生産への道を開し、た のであるが,同時に他方においては,それを維持するために経営活動にたいす る予測の問題を,ますます,重要ならしめてきているといわねばならない。そ れは,将米にたし、する計画の誤りは,このような蝉力性を失った企業の生産活 動にたいして,それが機動性をもっていた場合に比べると,その損失をいちじ るしく大きくすることになったからである。また,それは損失の問題にとどま らない。回定資産:の増加は,資金固定化,換言すれば,それは企業の流動性= 支払能力を大幅に減少する。企業においては,このような

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制定的な生産設備の 利用が増大するにつれて,その結果について報告することのみを目的とした従 来の会計にたいして,さらに,経営管理の要求に合致するための計画を充分に とり入れた管理会計の必要性が,ますます増大してきたということである。 その第三は,技術的変化並びに社会的変動の程度,その速度が,従来に比し て,一層大きくなってきているということである。このために,企業の経営活 動もまた,それに適合するような方法を採用するのでなければその継続と繁栄 とをきたすことができなくなってきている。したがって,経営管理のための計

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R U 香 川 大 学 経 済 論 議 700 画および指導もまた,そのような激しい変動条件に対応しなければならない。 ここに,このような要求に適する新しい会計情報システムが,おのずから重要 となってきているといわれる理由がある。 さらに,第四として,企業にたいする社会的統制の増大ということがあげら れる。企業は,現在では,もはや,決して,たんなる私的なものではない。こ のことは,政府が私企業にたいして,その監督の範囲を広めているものも多い のであり,なおまた,従業者は労働組合を通じて,労働時間,賃金,その他労 働条件に関して,正当な権利を主張しようとしており,そのような観点から, 経営者の行う経営管理に各種の交渉をなしてきているのである。さらに,消費 者もまた,逐次に,その組織を作り,消費者組合などによって,企業の行動に 対抗しようとしているのである。企業の活動をめぐるこれらの各種の監督,交 渉または対抗に関して,経営者は,一層,その正しい事情を知るとともに,そ れに対処するための経営管理の方法について新しい工夫を行わなければならな くなってきている。 このようにして,管理会計は,企業に生じつムある新しい:事態を正しく認識 し,経営管理の要求に答えうるように,従来の会計情報システムを利用し構築 しなければならない。

ゲ zッツとクライン (BE Goetz and F R Klein)は,企業会計には,法律

的財務的側面と経営管理的側面が存在することを吟味した後,後者の会計につ いて,企業活動 Centerpriseoperation) における経営管理者の計画および統制 Cmanagerial planning and control)に役立つ会計機能を指摘しているのであ る。この目的に沿うため,従来のま Lで不十分のところは,これを経営管理の 要求に適合しうるように会計情報を提供するようにシステムを改造しなければ ならない。そこでは,経営管理への役立ち有用性が中心課題になっているので あり,経営管理者は,企業の成長を増進しうるような新しい方法をとり入れな

(1) B E Goetz andF R Klein, Accountmg in Action--Its.Meaning for Management,

1960.p 59この所説の詳細については,拙稿「利益計画一一一製造間接授の計画J(古川栄一編『経営

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701 管理会計の意義について -9ー ければならない。そのためには,財務会計における会計原則に立脚するだけで は不十分である。それは,経営管理の原則に基礎をおいて,会計制度の積極的 役立ちを考慮することでなければならない。ここに従来の財務会計と異なると ころの管理会計としての新しい,かつ,重要な立脚点が存しているものと考え られるのである。 では,管理会計はいかなる性格,論理的構造を有する会計であろうか。この 管理会計の性格を,その機能の面から把握することによって,その解明を試み ようとするのが本稿の目的である。 E 管理会計の論理的構造 では,計画策定し,意思決定を担当する者は誰か,その者と管理会計を担当 する者が同じであるのかあるいは別であるのか,別とすれば,その両者の関係 はどのようになるのか,また意思決定の理論は,管理会計論の領域として考え うるものであるか否か,について考えてみたい。 意思決定を行う担当者は,最高管理層に位置する人々であり,一般には,経 営機能を担当する階層,換言すれば,最高管理層のうちの第二階層を構成する 全般管理層に位置する人々であり,管理会計を実際に担当する者はこの全般管 理者に属するコントローラーであろう。この見解に立ちながら意思決定の理論 も,これを管理会計の論理的構造の中に含ましめることが妥当であると主張し たのが,カーチャー (PaulKircher)であった。カーチャーは,まず,経営管理 者は,その意思決定を容易に,かつ,正確に行うため,専門スタップ (staff expert),すなわち管理会計担当者 (managementaccountants)と統計数学者 (mathematicians)とを採用する。この専門スタッフが担当する領域が,じつ に,管理会計の領域として考えられる,とし管理会計論の論理的構造として は, (2) ここにいう財務会計とは,当然のことであるが,原価会計にたいする概念として使用されてい る芯;味での財務会計を指す。より正確にその機能の観点からいえば,企業を取り巻く利害関係者の 調整に資するための一般性,客観性を尊重するものである。それは,企業外部の目的に資するため の会計を指している。

(6)

一10ー 香川!大学経済論議 a 目標の選択 CChoiceof goals) b 決定 CDecisioninfluence of future) C 予測 CPrediction) d 記述 CDescription) e 測定 (Measurement) f システムの検討 CReviewsof system) 702 を示しうるとするのである。このうち c予測, d記述《アメリカ公認会計士 協会

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A)

が規定する会計の四つのステップ,すなわち,記録すると と Crecording),分類すること(c1assifyning),要約すること (summarizing), 解釈すること Cinterpreting)は,この記述の機能に該当するとカーチャーはい う。> e測定, fシステムの検討,これらを,専門スタッフである管理会計担当 者と統計数学者が担当するのであり,この領域が管理会計の領域として考えら れる。&目標の選択,および, b決定を担当する者は,経営管理者であり,こ の領域は,管理会計の領域としては考えられ得ないが乱目標の選択および b 決定は,それが管理会計と密接につながっており,しかも,管理会計の会計情 報によって判断されるものであるゆえに,管理会計論の論理的構造(Iogical structure)の中に包摂されねばらならないというのである。 その論理的根拠は何であろうか。カーチャーは,つぎのごとくいう。 すなわち,

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経営管理者は,意思決定を行い,目標に,より完全に到達する方 策にもとづいて実施しなければならない。そのために,つぎの四つが重要である。 (1) 環境を見きわめ,質的・量的相互関係についての正確な知識をもち, (2) 彼が目標を達成するために最善であると信じた活動を,これらの相互関係に対 応するプロセスで,論理的に把握し, (3) 活動を遂行し (perform),統制し (control),結果を評価し (evaluate)そして,このサイクルを続けなければな (3) P Kircher, Theory and Research in Management Accounting, the Accounting Review, January, 1961p.44ff この所説の詳細については,拙稿「管理会計の性格に関する一考案JW香川大 学経済論叢』第34巻第4号 昭31 p.1以下 会計システムとコンピュータを活用した情報システ ムは重なりあうものでなければならない。この両者の関係を明瞭にすることが管理会計論の再構築 にあたって必要であろう。

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703 管理会計の必義について -ll-らない。」 この論Jl!l的結果(Iogicalsequence)にもとづき,作用会計は,一般の会長│に おけるよりも,他の領域をも加えた拡張させた枠 (expandedframework)で考 えられなければならないことをカーチャーは強調する。 その結果,カーチャーは,先述した提案を行うのである。これを丙弓する と,つぎのごとくである。 (a) 人間の欲求と希望と環境の認識から導き

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された基準にもとづいて目標 の選択を行う。 (b) 円標に到達するためには,この行為が,一般に,意思決定 (decision making)と呼びうるものである。 (c) 択一的コースの選択のためには,期待される目標に到達するための各々 の方法についての予測 (predict)が必要である。 (d) そして,経営活動を明確ならしめるために記述 (describe) しなければ ならない。 (e) そして,実施結果を測定 (measure)しなければならない。ここにいう測 定とは,測定単位としてなにを選択するか,し、かにして測定するか,測定 はいかなる方法により記録されるか,そして,測定記録・その分析と結果 などを含んでいる。 (f) 以上が,制度として,相互に関係を有しながらサイクルするが,この制 度の検討もまた欠くべからざるものである。 かように,カーチャーは,決定の行為そのものは,管理会計の領域として考 えられないが,決定の理論は,管理会計の論理的構造に包含することが適切で あるという。 目標の選択,および決定の行為は,経営管理者が直接担当するが,予測・記 述・測定,システムの検討は管理会計担当者が統計数学者の助力を得て担当す るのである。アメリカ公認会計士協会

(AICPA)

は,会計の機能として,記 (4) とこにいう「人間の欲求と希望」とは,内部的要素を,また,

r

環境の認識ーとは外部的要請4 を示していると思われる。

(8)

-12ー 春川大学経済論叢 704 録,分類,要約,解釈という四つのステップを指摘するが,これは,管理会計 の機能でいう「記述」に該当するものであり,狭義に保持しつ父けるかぎりで は管理会計の構造は明らかにされないのである。すなわち,従来の会計より も,管理会計においては,予測,測定,、ンステムの検討という三つの領域が加 えられるべきであり,管理会計の担当者は,一般にいうaccountantではなく て, management accountantで あ る と カ ー チ ャ ー は 主 張 す る 。 こ れ が カ ー チャーの第一の主張であった。 カーチャーの第二の主張は,管理会計は,予測,記述,測定,システムの検 討の機能を果すが,管理会計論の論理的構造は,これに,さらに,目標の選 択,および決定各領域を加えて,はじめて,その全貌を明らかにすることがで きる。何故ならば,それらは,密接に結びついており,例えば,在庫管理にお ける最適在庫量の決定の場合のように,会計情報機能と意思決定機能が一体化 されて実現されるのであり,それらを離しては効果的な経営管理が考えられな いからである。管理会計の担当者はmanagementaccountantで、あり,その機能 する領域は,前途の四つの領域にわたるが,管理会計の論理的構造としては, その四つの領域に,さらに,前途の二つの領域を加えて解明されねばならない と主張するのである。これがカーチャーの第二の主張であった。 この第二の主張の基礎には,従来の管理会計は,会計担当者が経営管理者の ために行う会計であると定義されてきたのにたいして,カーチャーは,経営管 問者は,管理会計担当者と統計数学者とを採用するという前提を設けた上で, 管理会計は経営管理者が意思決定のために行う会計である,と主張した点に, カーチャーの主張の第三点,しかも,もっとも,重要な点が存在していると考 えられる。このaccountantとmanagementaccountantを機能の立場から区別し たことに始まるカーチャーの所説は,従来の管理会計よりも意思決定会計に力 j誌をおく一歩進めたものとして,注目に値すべき所説である。 しかしながら,カーチャーの管理会計論は大きな欠陥を内包しているのでは なかろうか。カーチャーは,アメリカ公認会計士協会

(AICPA)

のしみ会計機 能を基礎にして,経営管理のプロセスに適した会計として,予測・記述・測定

(9)

705 管理会計の主主義について -13-ンステムの検討という問機能をあげた。これはたしかに,一つのメリットを 有しているものであった。しかし,逆の立場からいえば,何故に,経営管理ーの プロセスは,これらのみで充分であり,また,なにゆえにこれらのみが必要な のかについて考えるとき,そこには何の理由も示されていないようにおもわれ る。ここに,カーチャーの所説の欠陥を指摘することができるように思われる。 このことについて,われわれは今一度,再考すべきであるように忠われる。 この経営管理 (management)という機能を経営管理者の計l曲i(managerial planning)と経営管理者の統制 (managerialcontroI)という二つの機能からな ることを指摘したのは,前述のごとく,ゲェッツとクラインであった。次節に おいては,これを考察しよう。 皿 管理会計がもっこつの機能 ゲェッツとクライン』ま managerial planning, managerial controlと management planning, management controlとを反別したうえで,経営管理機 能は,経営管理者の計画 Cmanagerialplanning)と経営管理者の統制 (man agerial control)というこつの機能からなることを主張する。ここにいう計画と は,企業経営の進むべき目標を定めることであり,ここにしづ統制とは,この 定められた目標にむけて経営活動を規制し,指導することである。この立場を 考慮した場合,経営管理に奉仕する会計ということから, ~-I 匝!設定に役立つ会 計と,この統制に役立つ会計を区分しうる。そして,この両者は,内容を非常 に異にしているし,また,その会計の行われる順序も非常に異なっているので ある。 では,経営管理者の計画 Cmanagerialplanning)経営管理者の統制 (man-agerial controI)は,し、かなる内容をもつものであろうか。 ゲェッツとクラインは,経営管理者の計画の概念をつぎのようにしづ。 多 数 の 人 々 か ら な る 近 代 企 業 は , 精 巧 な 階 級 制 度 組 織 (an elaborate (5) B E Goetz and F. R Klein, op. cit, pp 402-8

(10)

14- 香川大学経済論叢 706 hierarchical organization)の中で構成されている。すべてのこれらの人々の拒1

動は,すべての部と課,および和信織的階層 (alldepartment and division, and organizational levels)において単一な,あるいは,複雑な目的到達のために, 調整され,結合され,行動されねばならない。そして,これらの目的は,その 時期,および,その状況に応じて変化するものである。それゆえに,企業の活 動のパターンは,その目的,その時期,および,その状況に応じて変化するも のである。この変化に対応する活動こそが,計 l両j機能なのである。そして,こ の計画機能を助け,かつ有効ならしめるために伝達機能があり,一般的にいっ て,予算と会計帳簿および手続が相互間の伝達の重要な手段となる。変化に対 応する経営管理者における計両は, 第一は全社的政策の公式化 (fOrmulationof broad corporate policies) 第二白は全社的政策によつて磁確z立されたフレ一ムの片中1での部門政策の確泣 第三は全社的政策を発)民及させるべき諸プ方方'j“法,および諸手続の企│詞 第四は資源の選択,製造計画,およびその[程技術 (processingtechnique) の選択,であり,管理会計は,この計画についてのパターンを用;官、するのであ る。 経営管理者の統制 Cmanagerialcontrol)の内容は,ゲェッツとクラインによ ると,第一に,監督と動機づけ (directingand motivating)であり,第二は, 結果を記録することであり,第三は,その比較分析を行うことであり,第四 は,その比較分析にもとづいて改善措置をなすことである。 以上の,経営管理者“の計画,および経営管理者の統制を具体的に,経営管理 に適用する場合に経営管理における計画 (managementplanning),および経営 管理における統制 (managementcontrol)の問題が生ずる。この意味におい て,ゲェッツとクラインがし、う経営管理における計画,および経営管理におけ る統制と,経営管理者の計画,および経営管理者の統制との差違は,その意味 する内容は同じであるが,た父,それが,具体的な技術として適用される場合 の呼称のように思われる。すなわち,ゲェッツとクラインにおけるmanagerial planning and controlとmanagementplanning and controlとを区別しようとし

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707 管理会計の意義について F h υ , , a たことはゲェッツとクラインの主張の特徴の一つであると考えるが,この両者 の聞に本質的な差異はないように思われるのであるがなお深く吟味する必要は ある。 ゲェッツとクラインがし、う経営管理における計画を,そのプロセスにした がって考察するとつぎのごとくである。 まず,第一は,基礎的資料 (basicdata)を得ることに始まる。第一二に,この 基礎的資料から問題を見出す。第三に,この問題について幾個かの争う行為の 競争的計画案 (rivalplan)を作成する。第四に,この競争的計画案を比較す る。第五に,競争的計画案を比較したうえでもっとも有利であると考えられる 計画案を選択する。第六に,この計画にもとづいた各自の責任Cindividual responsibilities)を明らかにする。第七に,この計画をテストし,再考慮し,検 閲する。 この計画樹立のためには,計画策定センター (centeron planning)がぜひと も必要であるとゲェッツとクラインは強調する。 つぎに,経営管理における統制を,そのプロセスにしたがって考察するとつ ぎのごとくである。 まず,第ーに,選択された計画が分析され,その構成要素が,給付に関する 責任,原価に関する責任,使用資本に関する責任とし、う見地から再分類される4 そして,企業の職制にしたがって標準が設定される。下級の層においては,標 準は主として技術および方法の研究にもとづいて定められるが,部分的には詳 細な歴史的記録にもとづいて作られる。これらは各管理者層の責任を示す予算 の中にとり入れられる。第二に,これらの人々の活動は刺戟給,監督,その他 の方法で刺戟される。第三に、その結果,行Lわれた活動が検査され,記録さ れ,計画と比較される。第四に,計画と実績との聞の差異は。原因と対策を決 定するために調査される。第五に,この調査にもとづいて、是正されるのであ る,計画が樹立されると計画にしたがって,計画を満足するよう執行される が,計画からの差異は速やかに見出され,その差異を修正する活動を開始しな ければならない。全般的な再検討,あるいは, I経営監査

J

(“management

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-16ー 香川大学経済論議 708 audit")は是非必要である。この場合,その職務執行の責任を誰に求めるか, また,その責任者と直接的経営活動執行者との聞に生ずる困難な問題が残され ているとゲェッツとクラインは指摘している。 種々な幾個かの争う計画案の中から,もっとも望ましい計画を選択するなら ば,その選択された計画は責任ある形のものとして実施される。各組織におけ る各人は,彼が背負っている任務を遂行する義務がある。各人は指定された作 業を遂行するために努力するが,しかし,実際の仕事は計画されたものから, しばしば,はずれるものである。それゆえに,実施結果を判断しうる有効な標 準が設定される前に,経費と使用資本のアローワンスの調整を行う必要がある。 これらの調整は,単なる算術的な比例ではなく,各場合によって種々な立場が 考慮される必要がある。これが実際原価および使用資本を正当に判断しうる複 数弾力性予算 (multidimensionalflexible budget)であるとゲェッツとクライ ンはし、う。 ついで,会計,原価,あるいは統計の諸記録は,これらの見積り弾力性予算 (the estimated arrayed in these flexibility budget)に役立てられる。これは 経営管理者の統制において,必要にして迅速な詳細な比較を可能ならしめるも のである。そして,その差異の意味するところのものは,そのコースを決定し 進めて行くための調査および活動を修正することを企画する原因となる,と ゲェッツとクラインはいうのである。 かように,ゲェッツとクラインは述べて,この場合,次の三つの問題が重要 であることを指摘する。

1

計画は実行しやすく,望ましいものであるか否か。 基礎となっている資料は正確で町あるか否か。また,それは,適当なもの であるか否か。 この問題の対策としては,よりよい情報を入手し,またその計画を修正 する能力を常に保持すべきである。 (6) Ibid.p 462

(13)

709 管理会計の意義について -]7ー

2

その計画は理解されやすいものであるか否か。 理解のための伝達はスムーズに行われているか否か。 この問題の対策としては,計画プロセスにおいてより多くの参加 (par -ticipation)を求めるべきである。 3 仕様書 (specification)に記載されている材料および設備が実際に使用 されているか杏か。 この問題の解決の適当な対策は,仕様書を再検討したり,あるいは,仕 様書を確実に行うための検査をきびしくすることである。 そのほか業務が完全に遂行されているか否か。その有効な対策としての 業務訓練が充分に実施されているか杏か。各人の能力が,業務上,充分に 発揮されているか否か。 以上の検討は,欠くべからざるものとして必要であるとゲェッツとクライン はいうのである。 近時,オペレ一、ンョンス・リサーチをはじめ,さまざまな新しい研究が,広 範囲に使用されてきている。これは,技術的・経済的問題を解決する数学的モ デ)レを適用することによって生まれてきたものである。このアプローチが全く 新しいものであるか,あるいは,工学経済 (engineeringeconomy) ,もしく は,経営工学(industrialengineering)の拡張発展として生まれてきたものであ るか否かは別として,いま,われわれが問題とするのは,計算可能な資料に よって求められる測定可能な目的として特質づけられる経営管理者の計画およ び統制の問題に,いかほど寄与するかが問題である。この計算・測定は,つね に,正確であるとは言い得ないものであるが,しかし,不正確さは,問題の比 較的真実を追及し解決を求めるための手段となる確率と分布の理論付isrtribu -tion and probability theory)にもとづく計算によって,ある程度,あきらかに 認識しうるものである。 物量的な手段によって問題を展開する技師によって必要とされる資料は,多 く実験的研究によって得られるものである。これにたいして,管理会計は,つ ぎの三つの方法において資料となる重要な技術的役割を担うものである,と

(14)

-18 香川大学経済論議 710 ゲェッツとクラインはし、う。

l

会計は多くの技術的分析のためのパターンを供給する。

2

会計は予測する収益,原価,投資を基盤とする資料を供給する。すなわ ち,会計は数学的モデルに使用される素データ (rawdata)を供給する。 3 会計は経営活動の実施結果のチェックを行う。その結果,経験的な予測 の改善を行うのである。 企業経営の計画の経済的評価のための最終的基準 (ultimatecriteria)となる ものは,その見積られた投資の要求 Cestimatedinvestment requirement)と損 益の相互の関係においてである。広く知られているごとく,それらは,見積り 貸 借 対 照 表 お よ び 損 益 計 算 書 (estimated balance sheets and income statements)の形態をとる。概括的にいって,計画案を選択する場合における もっとも重要な問題,すなわち,いずれの計画案を選択採用するかは,それら の予測財務諸表 (predictedstatements)を比較することによって決定される。 この最終的にして,全般的なパターンは,しばしば,そのパターンの中で細 分化される。例えば,使用資本・利益・費用の増分(increments)が新しいプ ロダクト・ラインの予想財務諸表 Canticipatedfinancial statements)に加味さ れ , 見 積 ら れ る 。 そ し て , も し も , 部 分 計 画 Cpartial plan)が 全 体 計 画 Ccomplete plan)の中で矛盾しないものであると判断されるものであれば,そ の部分計画は認められる。 例えば,

A

機械は

B

機械によって匡き換えられるものであるか否かの場合で ある。この場合,投資,収益,費用が,それぞれ目標に沿うものであるか杏か、 この部分計画は,企業の全体計画の中で矛盾なしに設定されているか否かがそ の適否の判断の基礎となる。また,幾個かの争う計画の中での多くの詳細な問 題は全体計画のための択一的増分 Calternativeincrements)によって比較され る 。 し か し , 見 積 ら れ た 増 分 財 務 諸 表 Cestimated incremental financial statements)は,企業の全般的な計画 Coverallplan of the enterprise)を参照 ('7) Ibid, p.480

(15)

711 管理会計のJ主主主について -19 することなしに, I庄接的に相ゲ比較することができないのである。 これからは実施する経営活動のすべての予測 (allpredictions),およびすべ ての見積り (allestima tes)は,通常,過去の経験から合lllijされる。まずい推測 者 (poorguessers) とエキスパートの見積り者 (expertestimatOls) との問の 重要な差異は,過去の分析および経験の有無からくる判断の適任に依介。してい るといって誤りではない,とゲェッツとクラインはいう。また,つづけて,つ ぎのごとくいう。 しかも,この設定された基準が,業務遂行結果の適否を判断する要素となる ものであるゆえに重要である。もしも,フットボールの観察人数を見積る場 合,その基準を知らなければ,その推定は少しも当たらない。しかし,何等か の基準,たとえば,スタディアムの収容能力を知っているとすると,それだけ で,観客人数の見積り推定はより適確となる。これと同様に,技術的ならびに 管理的見積りは実施結果にたいする規則的な照合基準があれば,それは,より 改善された基準となりうるものである。会計情報は技術的ならびに管理的見積 りをフィード・パック的に修正する資料となるものである。 ところで,この経営管理がもっ計画と統制という二つの機能を助け,実際の 経営管理者と結ぶ具体的な伝達手段として重要なものは,じつに,管理会計報 告書である。ゲェッツとクラインは,この報告書作成にあたって考慮するべき 要因としてつぎの五つをあげる。

1

会計報告書を受け取る者は誰であるか。

2

受け取る者が問題にしていることは何か。

3

受け取る者が,彼の問題を効果的に解決するための必要事項は何で町ある か。 4 受け取る者がこれらの資料を必要とするのは,し、かほどの頻度であり, また,し、かほどの早さにおいてであるか。

5

受け取る者が必要とするのは,いかほどの詳細さにおいてであるか。 (8) /bid.p 685

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-20- 香川大学経済論叢 712 これらのことが報告書作成にあたっては,充分考慮されなければならないと するのである。 W むすび 企業会計の発展について,商法,税法,財務諸表規則,公認会計士の財務諸 表監査が非常な貢献をしたことはいうまでもない。しかしこの反面,会計がこ れらの諸規程にしたがえば,それで充分であり,また,それが企業会計の全部 であるかのごとく考えられることによって,従来,企業会計の経営管理への貢 献をなすべき面につき充分の注意が払われなかったきらいがないでもない。企 業会計は, '本稿においてゲェッツとクラインの所説を引用して論述したよう に,決算会計として財務諸表の作成および報告を目的とする面をもっととも に,また,経営内部的に"経営管理に役立てられるべきものであらねばならな い。前者の会計が,ゲェッツとクラインのいう法律的財務会計であったのにた いして,後者の会計が,ゲzッツとクラインのいう管理会計であった。 しかしながら,ゲzッツとクラインの考える管理会計の領域は,簡単にいえ ば,会計情報の提供にとどまった。すなわち,そこでは,法律的財務会計は, 外部目的のための会計情報を提供することが目的であり,管理会計は,内部目 的・経営管理のための情報を提供することが目的であった。しかしながら,管 理会計は,決して,その報告が最終の目的ではない。管理会計は目的のための 手段であって,結局は,それが経営管理者によって活用されるのでなければ, 息味がない。そこでは有用性が問われるのである。管理会計の領域として,会 計資料を蒐集し,報告し,説明を加える立場にとどまらず,その会計情報の活 用過程までをも,管理会計の領域として考えることが必要であろう。 そこで当然,問題となるのは,業績管理もさることながらdecision-makingで あろう。すなわち,管理会計と意思決定の相互関係を明らかにしたのが,カー チャーの理論である。カーチャーは,意志決定を行う者すなわち経営管理者と 管理会計を担当する者すなわち管理会計担当者とは異なること,を前提にした うえで,意志決定は,管理会計上の情報に基いてなされるとし、う密接不可分の

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713 管理会計の意義について -21-相互関係から,管理会計論の論理的構造の中には,意思決定の理論をも含むべ きことを示唆した。 では,経営管理に役立つ会計ということだけで,その寄せ集めを管理会計と 呼ぶことは妥当であろうか。われわれは¥,、かなる形態であれ,企業の経営管 理に役立てられる会計は,すべてこれを管理会計としたり,管理会計をただ経 営管理に役立てるという会計機能面をとらえて,企業会計が先天的に管理会計 としての性質の全部を包含するものとみなすことについて,早急に是非の判断 を下すことができないのである。やはり,経営管理に役立ちうるような会計で あるためには,当然,その会計が,そのような目的のもとに行われねばならな いと考える。管理会計のいかなる分野の研究といえども,それが経営管理機能 のいずれの目的に奉仕しようとしているのかが,まず明らかにされねばならな い。この目的を明らかにすることによってのみ,各目的に必要な会長│情報のタ イプを決定しうるし,また,それの展開を支配するべき諸原則と諸技術とを決 定しうるのである。 したがって,管理会長│とは,経営管理者の行う経営管理に奉仕する意際│のも とに行われる会計システム,およびそのような会計が経営管理に活用される機 能をも包含するということができる。すなわち,企業をして,より能率的に, あるいはより確実に,経営管理をなすことを可能ならしめる,いかなる形態の 会計情報システム,およびその会計の機能をも管理会計として考えることがで きる。 しかしながら,ここで注意しておくべきことは,より近代的な管理会計の概 念は,近代的な経営管理機能との関連において求めなければならないというこ とである。近代的経営管理は,ゲェッツとクラインが述べたごとく総合的な, 全般的な planningand controlに求めることが妥当であるゆえに,必然的に, 管理会計の近代的意義もまた,との原理に沿うところの一層理論的に明確な体 系,すなわち, planningのための会計およびcontrolのための会計として考え ることが適当であろう。すなわち,そこにおいては,会計の断片的な経営管理 機能をとり上げるのではなくて,総合的な,全般的な経営管理の視野に立って

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-22- 春川大学経済論叢 714

の,意思決定のための会計と統制のための会計とを両者一貫した関連のもとに 取り上げ,これに役立つ会計情報システムとして,また会計情報の活用につい て取り上げ,かっこれらが経営活動の管理に,いかに適用されるかが検討さ れ,ここに近代的管理会計の理論体系構築の基礎をおかなければならない。

参照

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