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水稲の植傷みの研究 1 田植時刻の差による植傷みについて-香川大学学術情報リポジトリ

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113 弟12巻第2号(1960)

水稲の植傷み の研究

1 田植時刻の差による鹿傷みについて

林 甚太郎,野田 愛三

Studies on theinjury of’rice seedlings by transplanting

Ion theinjuIyln relation to the different timesoftransplanting

Jintaro HAYASHIand Aizo NoDA

l.緒 R 水稲苗の植傷み及び活着促進についての研究は,従来よりおおく行われているが,最近では東北地方等の生育期 の比較的短い地方で行われている研究が多い.例えば,渋谷(1)は稲酋発根力の日変化につき適当な儲取時刻と苗代 での取匿時間,適当な田植時刻と.乾物率全糖含量等について研究している.叉平野達($)は,水稲竃の活着促進につ いて研究し,早期栽培の竃代様式,品種と葦型及び耐冷性の問題,移植の早晩及び晩植育簡に.対する礁酸加用の効 果等について,詳細な報告をしている 叉山崎等(1956)の研究によると苗代に藁灰を施用する事により,活着が促進されることが示めされている 松島(6)は植傷みについて,次の如くのべている..軟弱な筒を高温晴天下に潤植し,その後3′−4日も晴天強風が 続くと植傷みがひどく現われる.植傷みは普通回復するので従来からその被害を,軽視されてきたが,植傷みが現 われると,活着後の重要な分ケツ期を空費し,強大な分ケツが少くなり,収監も低下する,.岡山虚試で加峯(1949) は田植後2∼3日の日照時数が多いと,収最が減少する原因が植傷み濫ある事を指適した.又晩植が,普通砥より 収監が多い事があるがこの場合,植傷みが関係している事が多い‖ 植傷みを・防ぐには健全な苗を育て天候を見計ら って田植しなるべく,夕方植える挙が望ましいとのべられているが,瀬戸内平たん地方でも,植傷みの激しい場合 があり,特忙.高温多照時に田植される晩期栽培の障害となる事が多いが,著者連t2)も1956年に儲の根盈と吸水量の 関係を報督したが,特に.生育期間の短い晩期栽培では土を付けた蔑また根監を多くした苗は,田植直後の吸水盈は 多く植傷みも比捌勺少く,活着は促進され増収を期待し得る事は明らかであった 水稲の田植時の活着を促進する事により植傷みを軽減する事は増収に.役する所,大であるが,晩期栽培において は,この効果が大であるものと考えられる.本報告は田植の時刻の差,即ち朝協取朝植区,夕甫取夕植区の比較を 行い罪1報として報告する… なほ本研究の1部は日本作物学会罪124回講演会において発表した巾 2い 実験村料及び方法 品種は農林1号を用いた 苗代様式ほ保温折衷苗代を用いたい 本田ほ普通慣行の栽培をしたが,田植時の植傷みを生じ易い状態,即ち高温 多照時を選び,比較的浅水とした 植傷み部位の測定は,田植後24時間で,各某位別に枯死した部分を・測定した 菜位別蒸散速皮の比較は,コパルt法により,年後1時を中心として行なった 汁液の氷点降下皮の測定は,苗を・凍結させて,汁液を取り,ペックマン法で測定した 全糖舎監の分析はソモギイ法によって行なった 3い 結果及び考察 1957年の晩期栽培及び1958年の普通栽培(但しこの場合は植傷みの生じ易い様に硝子墓中で行った)ではいづれ

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香川大学農学部学術報償 114 の場合でも,朝儲取朝植区は,夕箇取夕枯区より,植傷みが大であったい この結果は第1区匿示す通りである 次に植傷みの部位について観察すると,下葉鞘の植傷みが多い,5葉は一−・般に軽微であるが,6葉についてみる と夕闇取夕植区では5葉に比し軽い 場合と多い場合があったが,これも 第1図に示す通りである.即ち両者 共に其の枯死を菓位別にみると,■F 倍菓が,先に.枯死する傾向にあった 以上は稟身のみ付こついての観察で あったが葉斡についてもさらに両者 の間に大きな差を生じたのである 1957年の晩期栽培において朝聴取植 区は,3,4,5,葉群が枯死したが,夕 闇取夕櫓区は,全然傷まなかったの である‖1958年の普通栽培でも同様 な傾向の結果が得られた 本実験の結果では,下位からの枯 死が多いがこれは葉の生長の段階で あり,下イ立菜種老化しているためで ある石塚等によると葉の生育課程 は,4段階に分ける事が出来る巾 即 ち第1段階は形態及び原形質の完成 期であり,第2段階は貯蔵物質の増 加期であり,第3段階は貯蔵物質の 減少期である..第4段階は原形質の 崩壊期に.むかうものとされている. 下イ立葉の植傷みが多いのは石塚氏 の説に.よると老化の過程に.あり,田 植時の植傷みによって,枯死が早め られるものと考えられる。.田植時ま た田植直前は下葉の枯死す部分の葉 は一一・般に蒸散作用が旺盛であると考 胡苗取朝舷区(M) 第1図 田植時刻の羞による櫨傷みの差異1957−1958年水稲農林一・号 えられるが,朝植区は夕植区に・比べて,この部分の枯死が多いことは酒肴時の生育に悪い結果を招くものと考えら れる. 第1衷は莫位別に蒸散の速度を・調査したものであるが,−・般に下葉が兼散の早いことを示めしており,気孔の発 達が良い事を示めしているものと考えられる..この様に下葉の未散の多い事は,老化の過程にある事と合せて下葉 の枯死は,少しの障害にも促進され植傷みとなって現われるものと考えられるい 最上葉に植傷みが多く出る場合があるが,気温の上昇及び空中湿度の低下が激しい場合よくみられるようである が,詳細な事は今後研究に待つ. 最上菓は気孔の発達が不充分であるが,組織が著しく軟弱であるために植傷みが起るものと思われる. 植傷みと田植後の生育経過の関係軋 明らかに差異を生じたので,この結果を第2図に示すが,これは眉植後の 生育経過を追跡した成緻の一部である.植傷みは前述の場合同様夕儲取夕植区が少かったが,調査した1957年は生 育後半において異常低温にあった年である最低気温は9月2日160C,9月14日15い60C,9月19日120Cの如く低 温がはなはだしく,晩期栽培が著しく障害を受けたのであるにもかかわらず,6莫から止葉にいたるまで,朝儲取 朝植区は,夕僅取夕植区に比し,葉身及び菓鵜共に出葉が遅れた.又出穂初めも両者の間で2日の差が表われた.. 生育の速度,分ケノ,草丈等の差は直接収監に.関係するばかりでなく,晩期栽培では,低温による出穂の限界があ

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第12幾欝2一号(1960) 115 り,夕闇夕植区の持つ役割は大きいものと考える..夕闇取夕植区は朝甫取朝植区に・比べて襲身長も大であった. 夕闇取夕植区ほ以上のごと.く朝儲取朝植区に比べて植傷みが少いけ 又その後の生育も比較的艮好に備われたこと は箇の素質に関係する寧が 明らかセある 蔵の素質に関する研究は 従来数多くの研究が行われ ているり 苗代日数,播種密 度が層の発根カに.関係が深 く,叉協のN/C率との関 係が深い事が報質されてい るが,儲の日変化に、ついて は,渋谷(1)が研究されてい る‖ 又同氏は簡の素質の日 変化と.発根力との関係の深 いことを・発表写れたが,碑 傷みの起る時期は移植後正 午を中心とした昼間であり, 根の発生はみられても少盈 であり,植傷みに僕ルては 新根の持つ役割は少いもの と思われる 1958年に行った農林1号 の晩期栽培及び,1959年に 行った普通栽培の農林10号 に付いて行った.協の素質, 特に全糖舎監の日変化につ いて分析を行った結果,前 日のタカ田植したものは翌 朝における儲代の1彗と比較 すると全糖含量がいづれも 多かった..鐸3図は1959年 の晩期栽培の喘の分析の成 絞であるが,これによれば いつれも日変はみられるが, 前日に.田絶した協は含糖歩 合が高かった事を示めして いる 苗の素質は,乾物率,全 糖含鼠等が関係することは 多く発表されているが,本 研究の結果から考察すれば, 夕儲取夕植区が全糖含鼠が 多く,田植後の活着が良好 ならしめる素質を有してい る串は,前述のごとく本田 革紐別♯身鞠長 界2図 朝菌取朝植区と夕闇取夕植区の乗身栗駒の比較 滞1衷 莫イ立別葉身蒸散度比較(1958) 普通栽培(コバルト法) (実数は単位秒) 回 数

第 3 葉l第 4 菓 一 節 5 菓

比 率 比 率 比 率 比.率 比 率

比 率 ⊥ぷ

晩期栽培

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116 香川大学農学部学術報告 に.おける成繚と全く−・致するものである 地上部の湯透圧について午前6時を中心に調査した結果,前日の夕方田植した儲は,儲代の薗に比べて15%程度 大なる氷点の降下をみた..従来細胞の溶透価は全糖畳の変化にほぼ等しく増減するものと考える挙があるが,本実 験少くとも年前6時を中心とした測定では上記の全糖舎監と 彦透圧との関係は密接なる関係があるものと考えられる. しかしながら移植後の儲の合糖畳軋新根の発生及び呼吸作 用に関係を持ち,港透価と共に変化するものと考えられるが, なお時間的に詳細に追及し,その植傷みに対する影響を類別 し追及されなくてはならないものと思われる 第2衷 前日夕刻竃取移植した苗及び蘭代苫の年前6 時氷点降下皮の比較(1959) l平均1比率 A I B 備考 ㈲ま−15◇の冷蔵庫で3時間に亘って冷凍後 搾汁してペックマン装置で測定したもの 以上を総括すると,植傷みの軽減,体内成分の日変化及 び団場試験等より考察すれば,夕聴取夕植区が朝植区より 解3図 田租時の萌の全糖含量の日変化 まさっている事は明らかである 本熟ま,楯傷みの現象を主としてその原因の一滴にふれたが,今後更に詳細に蘭の素質の変化と植傷みの関係を 究明するのであろう 4り 摘 要 本研究は,水稲の臆傷みと田植時刻の差との関係を明らかにする事に.より,植傷みを少くするために行った 実験は朝聴取朝植区と夕聴取夕植区について水稲農林1号を用いて行った.この結果は次の通りである. 1)朝協取朝植区は,夕簡取夕植区に比べて植傷みが大である= 植傷みによる菓の枯死は下位菓の枯死の多いの は,菓の老化の進んでいることと,発散が盛んである事であり,最上菓は兼散が少いが組織が軟弱であるためであ ろう 2)本田生育期間の短い晩期栽培では,特に植傷みが多く,生育の後期迄悪い結果をもたらした 3)前日の夕方田植したものは翌朝に.おいて協代の簡に比し,港透価が高かった小 炭水化物では,夕植区が全糖 歩合が高く,全糖歩合と植傷みは関係が深いものと考えられる 5り 主要参考文献 (4)林甚太郎,野田愛三:水稲の植傷みの研究,田植 時刻の差による植傷みの差異について,日本作物学 会紀事,28(2),250(1959) 6)石塚審明,田中明:水稲の其の生理学,虚栄及び 歯芸,33(10),1465(1958) (6)松島省三:稲作の理論と技術,東京,餐賛堂,51 ∼52(1959). (1)渋谷紀起:稲儲発根力の日変化,日本作物学会紀 事,23(2),92(1954) (2)野田愛三,林甚太郎:水稲の早期及び晩栽培にお ける協の根に関する研究,予報,蔑の根監と吸水最 の関係,香川大学農学部学術報告㌧ 8(1),1956) (3)平野哲也,小野寺守一・,竹村武雄:水稲竃の活着 に.i対する研究,日本作物学会紀串,26(3),199 (1958) R占snmる

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第12巻第⊇号(1960) 117

and the transplanting time;

Theexpef’iment was madeintwolots:Onewhere th9Seedlingswerepickedupand tT・ansplanted

in the mornlngand theotherwhere picked up and transplantedinevening

Thevar’iety NorinNo・1wasuseq,andthefollowingresultswer90btained. 1)Seedlings picked up andtransplantedin the morningWere mOrein3ured than thosepicked up and

transplantedin the evening一Death ofleavesbyin.iury were muchmorein thelower・part Of seenlings

thaninthe upper partinthemany cases.But some times the topleaves were ki11edextr・emely.The death of thelower’1eaves depends on their own becoming old and on their・aCtive transpiration,While

the death of the topleaves dependson their organs being very,SOft and weak,thoughtheirtranspira・ tionis comparativelylittle

2)lnthelate culture,Where theseedlings growinthe負eld fbra short period,theinjury bytrans・ plantationwas great and theinjuryeffected the seedlingswas higher than that of themorning tr・anS・

planted Seedlings.

As for carbohydrate,COntent Of totalsuger was higherin the eveningir・ansplanted seedlings thanin the mornlng traSplanted seedlings

By these resultsit can be said that ther・eis a close relation between the sugur content and thein− iury by transplantation of rice seedlings (Received November・,30,1960)

参照

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続いて川崎医療福祉大学の田並尚恵准教授が2000 年の