<主 要 目 標> 技術的支援機能の強化に直結する技術分野 <研 究 テーマ> 環境汚染物質の簡易計測技術の開発 <担 当 者> 今野政憲、浦啓祐、曽根宏、荒砥孝二 <目 的> 食品中規制化学物質の迅速・簡易かつ高精度な分析法の開発 <内容および結果> 1. 概要 食料品中の有害重金属元素分析に関し、試料分解処理に臨界点付近の高温高圧水処理が適用可能であ り、従来法に比べ分解処理時間が飛躍的に短縮可能であった。 環境汚染物質分析の需要・重要性が高まっている昨今、高温高圧水による試料分解処理法が重金属分 析における有効な手段であることを確認した。 2. 研究内容 高温高圧水による食料品試料の分解処理手順を図1に示した。 試料分解容器(SUS-316L製、内容積10∼20cm3)に各試料50∼200mg及び所定量の過酸化水素水を採り、密 閉した同容器を573∼673Kに設定した溶融塩炉(セルシウス高温用・トーマス製)中へ10∼30分間導入し、試料 の分解処理を行った。 573K・10分間の高温高圧水(計算圧力約9MPa)処理時の食品等の分解状況を図2に示した。 試験に供した48品目のうち、シジミ貝を除いた47品目の試料が573K・10分間(計算圧力約9MPa)の処理条件 で無色透明の分解溶液となり、ICP-OESのような分析装置に供試可能な状態にまで分解された。 一方、処理物中に残渣が生じたシジミ貝について、残渣を蛍光X線分析装置(XGT2600:堀場製作所)により 定性分析したところケイ素、鉄、アルミニウム等が検出され、残渣はシジミ貝の体内に含まれていた砂であること が推測された。 有害物規制におけるカドミウム基準値が可食部分を対象としていることを考えれば、高温高圧水による試料分 解法が殆どの食品類に適応可能な手法であることが確認された。 3. まとめ 食料品試料の殆どが573Kの環境下に数分間保持することで元素分析装置に供試可能な状態までに分解し、 試料中カドミウム濃度の測定についても公定分析法と同等の安定した定量値が得られた。
また、同処理法は工業系有機物材料にも適用可能であり、RoHS(Restriction of Hazardous Substances)や ELV(End of Life Vehicle)等の有害物規制分析にも有効であった。
とうもろこし 小麦 大豆 にんじん もやし わかめ 海苔 コーヒー豆 図2 農作物・食品の分解状況
試料分解容器 溶融塩炉 分解液 ICP-OES 図 1 高温高圧水による試料分解処理
<研 究 テーマ> 低放射ノイズ電子回路設計指針の開発 <担 当 者> 長岩功、高田健一、岩間力、入町秀樹、沼山崇 <目 的> 電子回路基板の放射ノイズ低減を目的としたEMC設計指針の開発 <内容および結果> 1. 概要 電子機器は意図しない不要放射ノイズを発生しないことが必要である。電子機器からの放射ノイズを防ぐた めにさまざまな方法があるが、基板製造後のEMC対策に頼らず、回路設計、基板設計等設計段階からEMC 対策を施すことが重要である。本事業では、EMC対策に関する基板設計指針を開発する。 2. 研究内容 基板の信号配線パターンに電流が流れると一番近いグランド面にリターン電流が流れる。配線パターンとリ ターン電流が近接している場合、それらの電流の向きが逆のため電流によって発生する磁界が打ち消しあい、 放射ノイズは観測されない。しかしながら、この間隔が大きい場合は、電流ループが形成されることにより放射 ノイズが発生する。 リターン電流の経路を最適化することにより放 射ノイズを減少させる手法をシミュレーションと実 際の測定により検証し、設計指針とした。 回路および動作機能が同一でパターンが一部 違う、CPU搭載基板において、アドレスバスおよび データバスが動作したときのグランド面での電流 分布をシミュレーションによりもとめた。グランドが 配線パターン等により分断された基板は電流の流 れが阻害されている(図1の基板1)。一方、グランド パターンが途切れないようにパターンを設計した 基板(図1の基板2)では電流が最適な経路で流れ ていることが確認できる。 この電流分布からシミュレーションを行ったとこ ろ、基板2の方が5から10dB程度放射電界強度が 低減した結果を得られた(図2)。また、実際の基板 の放射電界強度も同様に5から15dB程度、基板2 のほうが低減されている。(図3) 3. まとめ シミュレーションを適切に使用することにより、グ ランドの電流の流れを阻害しないようにパターンを 設計した基板の対策効果を確認することができる。 シミュレータを利用し、設計段階でEMC対策の効 果を確認することにより、より効率的に基板設計を 進めることが可能である。 謝辞:本研究は平成19年度に(財)日本自転車 振興会の補助により購入した「EMC統合回路設計 システム」を使用しました。 図 1 シミュレーション結果 基板のグランド電流分布 基板 1 基板 2 図 2 放射電界強度のシミュレーション値 図 3 実際の放射電界強度値 シミュレーション 基板 1 シミュレーション 基板 2 基板 2 基板 1 0dB -9dB -18dB -27dB -36dB
<研 究 テーマ> 品質改善事例のDB化及びその応用事例に関する研究 <担 当 者> 萱場智雄、伊藤利憲 <目 的> 品質工学の普及・啓蒙、品質改善事例データベースの開発、具体的課題への適用 <内容および結果> 1. 概要 品質工学とは、製品に求められる機能に注目して設計を最適化しようとする手法であるが、高生産化(設 計・製造の効率化)と高品質化(市場での品質トラブルの防止)という、相反する二つの命題を同時に実現でき るものとして非常に注目を集めている。 しかし、考え方の難解さ、式の複雑さなどがあり、県内中小企業への普及が進んでいないのが現状である。 そこで本研究では、品質改善事例データベースの開発を通して品質工学の普及・啓蒙に努めるとともに、具 体的な課題への適用を通して品質工学に関する知識を蓄積することを目的とする。 2. 研究内容 2.1 品質改善事例データベース「QDB」の開発 本 研 究 で は 、 通 産 省 ( 当 時 ) の IMS(Intelligent Manufacturing Systems)国際共同研究事業の一つで ある「IMS-ROBUST」プロジェクトより品質工学活用事 例の提供を受け、データベースを開発した。図1に本 データベース「QDB(Quality Engineering DataBase)」 のトップページを示す。 QDBにおいては、キーワード検索を行うことが可能 であり、知りたい分野における事例の有無が手軽に わかる。さらに具体的な事例があった場合には、それ における基本機能、誤差因子等の情報を調べること もできる。現在約1,500件のデータが格納されており、 今後も増える予定である。QDBの利用は、要望を出 すことで可能である。 2.2 具体的課題への品質工学の適用 (1) ドリル折損予知への品質工学の適用 品質工学の一手法であるMTシステムを用い、微小系ドリル折損予知装置の開発を行った。特定のマハ ラノビス距離を超える加工を異常加工と判定するプログラムを作成した。 (2) 発想支援ソフトウェア「モアシス」へのMTシステムの適用 当センターが以前開発した感性的発想支援ソフトウェア「モアシス」について、発想サポートの精度を高 めるため、現状使用している経験式の代わりにMTシステムを活用した。その結果、出力として表示される情 報の順位が、より自然となった。 2.3 普及・啓蒙活動 初心者向け「品質工学入門セミナー」、中級者・管理者向け「機能性評価祭り」(東北品質工学研究会と 共催)を開催し、多数の参加者(計289名)を得た。 3. まとめ 品質改善事例データベース「QDB」を開発した。現在データ数は約1,500である。要望に応じて利用が可能 である。また、2つの具体的課題へ品質工学を適用し、成果を得た。さらに品質工学の普及・啓蒙を目的とし、 セミナー等を開催した。 図 1 QDB トップページ
<研 究 テーマ> 微細切削加工に関する研究 <担 当 者> 久田哲弥、和嶋 直、渡辺洋一 <目 的> 微小径工具による難加工性材への高精度切削加工技術を開発する。 <内容および結果> 1. 概要 本研究では、直径0.5mm以下の微小径工具を用いた微細切削加工技術の開発を進めており、MEMSパッ ケージ、微細金型をターゲットとした難削材の高精度加工の実現を目標としている。本年度は、ガラス材の切 削加工において、切削加工条件が加工表面に及ぼす影響について調査を行った。その結果、1枚刃のラジア スエンドミルについて切削加工条件を確立し、チッピングの少ない良好な加工表面を得ることができた。 2. 研究内容 2.1 加工条件の検討 直径0.5mmのcBN製ラジアスエンドミルによる予備実 験の結果、工具中心部分に当たる部分の加工面には 細かい割れが発生しているが、工具の外周部分付近に 当たる部分の加工面は割れなく良好に仕上がっている 様子が観察された。よって本研究では、中心部分の切 れ刃が逃げている一枚刃のラジアスエンドミルにて溝 加工実験を行った。 実験では、直径0.5mm、cBN製の1枚刃ラジアスエン ドミルを使用し、表1の切削条件で加工実験を実施し た。ガラス材はテンパックスを使用した。加工後の表面 を電子顕微鏡で観察し、表面粗さは非接触三次元表 面粗さ測定機にて評価し、切削速度が加工表面性状 に与える影響について調査した。 図1に回転数50,000[/min.]の加工面観察像を示す。 溝のエッジ部分に微小な割れが散見されるが、加工表 面に割れは見られず、良好な表面が得られている様 子が観察された。 図2に工具回転数と二次元表面粗 さ の 相 関 関 係 を 示 す 。 工 具 回 転 数 10,000 ∼ 20,000[/min.]においては表面に発生している細かい 割 れ の 影 響 で 表 面 粗 さ が 悪 化 し て い る が 、 30,000[/min.]以上の条件では加工面の割れが抑制さ れるため、表面粗さが改善することが分かった。また、 表面粗さ値は回転数50,000[/min.]で極小値となり、 8.2[nm]Rz以下となることが分かった。 2.2 加工事例 テンパックスガラスにΦ0.5mmの工具にて溝加工を 実施した。加工条件は実験の結果を踏まえ、工具回 転数50,000[/min.]とした。その他の条件は表1のとおり とした。図3に光学顕微鏡で観察した加工結果を示す。 工具切込位置で割れが観察されるものの、全体的に 割れなく良好に加工することができた。 3. まとめ ガラス材の切削加工について、一枚刃のラジアスエンドミルにて良好な加工表面を得ることが可能であり、 切削加工条件として、工具回転数50,000[/min.]、切込量1.0[μm]が最適値であることがわかった。また、表面 粗さとして8.2[nm]Rz以下を得た。 工具 SSF120 φ0.5(日進工具製 ) 回転数 10,000∼60,000 [/min.] 切込 1.0 [μm](軸方向) 送り速度 5.0 [mm/min.] 冷却方法 水道水に浸漬 表 1 加工条件 図 3 溝加工事例 図 1 回転数 50,000[/min.]の加工表面 1 10 100 1000 0 10000 20000 30000 40000 50000 60000 切削速度[m/min.] 表面 粗 さ [n m ] Ra Rz 図 2 切削速度と表面粗さ
<研 究 テーマ> SiCの超精密研削加工技術の開発 <担 当 者> 丸山昇、久田哲弥、家口心、齋藤佳史 <目 的> SiC材の超精密研削加工技術の研究開発を行う。 <内容および結果> 1. 概要 SiC材は非常に優れた材料特性を有しており、単結晶体は次世代パワーデバイス素子として、粉末焼結体 は次世代半導体製造装置用構造部材やガラスレンズ用金型材として注目を集めている。しかしながら、SiC材 は非常に高硬度な脆性材料であるために所望の加工精度を得ることが難しく、加工コストも高いなどとその実 用化には解決すべき課題が多い。 本研究では、単結晶SiCウエハを対象に、平成19年度は平面度1.0μmPt以下、表面粗さ50nmRz以下を目 標とした高精度・高能率な超精密研削加工技術の開発を行った。 また、これまで開発した超精密加工技術の技術移転を積極的に行うことで、技術の実用化に向けた取り組 みも行った。 2. 研究内容 2.1 単結晶SiCウエハの超精密研削加工技術の開発 単結晶SiCウエハの研削加工特性を把握するために、超微粒ビトリファイドボンドダイヤモンド砥石を使用 した基礎的な加工実験を行った。被削材である単結晶SiCウエハは、熱可塑性樹脂で鋼材に固定し、その 鋼材を着磁固定する方法で加工機テーブル上に設置した。本実験から、加工中に割れが生じないような 砥石周速度や切込み量等の加工条件を絞り込むことができた。また、加工条件に因らず、鋼材に固定した まま状態の単結晶SiCウエハが鞍型形状となり、平面度が3.0μmPt程度となる傾向が見られた(図1)。 さらに、上記の実験結果を踏まえ、単結晶SiCウエハの鏡面研削加工条件の最適化を行った。単結晶 SiCウエハは研削傷が生じやすい傾向があるため、その発生を抑えた加工工程の開発を進めた。中仕上げ 加工まで超微粒ビトリファイドボンドダイヤモンド砥石で加工し、仕上げ加工に砥石粒度#5000の超微粒レ ジノイドボンドダイヤモンド砥石で加工する工程の場合には、研削傷の少ない加工面が得られ、表面粗さ 20nmRzが達成できた(図2)。 2.2 技術移転の推進 これまで開発した超精密加工技術の実用化を促進する取り組みとして8企業延べ13件の技術移転を 行った。特に、SiC粉末焼結体の大型軸対称非曲面形状の加工技術の技術移転を行うなど、SiC材の製品 化に向けた支援に注力した。さらに県内企業の訪問や全国規模の展示会への出展を行うことで、本技術の 紹介を行い、新規ユーザの開拓を進めた。 3. まとめ 単結晶SiCウエハの超精密研削加工技術の開発では加工特性を把握するための基礎実験と、それを基 に加工条件の最適化を行い、平成19年度は平面度3.0μmPt程度、表面粗さ20nmRzが得られる条件を確立 した。また、鏡面研削加工の技術移転の取組みとして8企業延べ13件の技術移転を行い、さらに展示会等で の技術紹介を積極的に行った。 図 1 平面度測定結果 (SD5000 ビトリファイドボンド砥石を使用) 2.77μmPt 図 2 仕上げ加工後の表面粗さ測定結果 (SD5000 レジノイドボンド砥石を使用)
<研 究 テーマ> 地域企業向け組込みシステム用プラットフォームの構築 <担 当 者> 今井和彦、氏家博輝、堀豊 <目 的> 組込みシステムに適したプラットフォームの開発 <内容および結果> 1. 概要 複雑化する製品開発において、組込みソフトウェアの比重が高くなるに従い、その開発現場では、納期短 縮への圧力がますます高まってきている。組込みソフトウェアの開発期間を短縮するには、機能毎に分割した ソフトウェア部品の利用が効果的であることが知られている。しかし、セットメーカーにとって、このようなソフト ウェア部品を購入もしくは自社開発することは非常に大きな負担になっている。そこで本研究では、OS、デバ イスドライバ、ミドルウェアからなるプラットフォームを構築し、順次フリーソフトウェアとして一般公開し、業界の 活性化を促すことを目的とする。平成19年度は、ソフトウェア部品の1つである新世代リアルタイムOSおよび実 証システムを開発し、様々な検証を行った。 2. 研究内容
2.1 ASPカーネル(Advanced Standard Profile Kernel)
TOPPERSプロジェクトと共同でμITRON4.0仕様リアルタイムOS TOPPERS/ASPカーネルの開発を行っ た。ASPカーネルはTOPPERSプロジェクトで次世代カーネルと位置付けられており、アプリケーション開発 に有益と思われる事項はμITRON4.0仕様に含まれないことでも積極的に取り入れている。例えば、アプリ ケーションの移植性を向上するため、割込みモデルが標準化されている(図1)。これにより、プロセッサの違 いをカーネルが吸収し、ソフトウェア部品の再利用性を高め、利用者にとって使いやすくなっている。この他 にも、様々な改良が加えられている。 当センターは県内企業の要望である、低コスト・入手容易なマイコン対応、半導体メーカー製コンパイラ 対応を実現するため、ルネサステクノロジ社製H8プロセッサおよびSH2Aプロセッサを担当し、統合開発環 境HEWに対応した。開発成果はWeb上(http://www.toppers.jp/)にて平成20年5月14日より公開している。 2.2 実証システム 個々のソフトウェア部品の
有効性を実証するため、TOPPERS/JSPカーネルとファイルシステムFatFs for TOPPERS、TCP/IPプロトコ ルスタックTINETからなる実証システム(Webサーバシステム)を開発し、平成19年5月16日(水)∼18日(金)に 東京で開催された第10回組込みシステム開発技術展ESEC2007(10th Embedded Systems Expo)および平 成19年11月14日(水)∼16日(金)に横浜で開催された組込み総合技術展ET2007(Embedded Technology 2007)にてブース展示を行った。 また、SH2A用ASPカーネルに対して、静的解析と動的解析の両面で検証を行った。静的解析では、静 的解析ツールQACを用いて検証を行った。動的検証では、17種類の検証プログラムおよび4種類の性能 評価を行った。 3. まとめ 組込みシステム向けのプラットフォームを実現するため、新世代リアルタイムOS ASPカーネルを開発し、 県内企業でよく用いられる代表的なプロセッサおよび開発環境への対応を行った。また、ソフトウェア部品 の有効性を実証するため、実証システムを開発する共に、上記ASPカーネルの静的/動的検証を行った。 次年度は、これらのソフトウェア部品の普及を進めると共に、マルチプロセッサ向けリアルタイムOSを開発 し、超高性能/低消費電力を必要とする製品分野にも対応して行く予定である。 図 1 割込みモデルの標準化
<研 究 テーマ> 燃料電池自動車用MEMS湿潤水素センサの開発 <担 当 者> 家口心、小松迅人、阿部宏之、渡邉洋一 <目 的> MEMS湿潤水素センサの水分バリアを目的としたパッケージ用ガラスケースの作製 <内容および結果> 1. 概要 近年、地球温暖化や化石燃料枯渇の問題が深刻化し、化石燃料に替わる新たなエネルギーに対する ニーズが高まっている。その代表的な存在といえる燃料電池では、燃料となる水素を安全かつ効率的に利用 するために気体中の水素濃度を正確に測定できる水素センサが不可欠となる。しかしながら、既存の水素セ ンサは湿潤な環境下では正常に作動しないという問題を抱えている。この問題を解決するために、センサの 水素検出部を、除湿材(ゼオライト等)が担持された通気孔を有するガラスケースで封止し、検出部には除湿さ れた雰囲気ガスのみが到達可能な構造とする方法を検討している。これを実現するため、ウエハレベルで封 止可能なガラスケースを熱インプリントにより成形する技術の開発を行った。具体的には格子状に溝加工を 行ったモールドのブロックパターンをガラス基板に転写し、複数のガラスケースを一度に成形する技術であ る。 2. 研究内容 2.1 モールドの加工 モールドの加工条件を表1に示す。モールドの素 材には高温強度に優れるグラッシーカーボンを用 いた。本材料の表面を平面研削加工した後、格子 状に溝加工を行い、ブロックパターンのモールドを 作製した。作製したモールドの外観とブロック角部 の拡大像を図1に示す。作製したモールドは、上面 を粗さ25nmRz、5nmRaの鏡面に仕上げることができ、 ブロックパターンの角部を5μm以下のチッピングに 抑えることができた。 2.2 ガラスケースの成形 ガラスケースの成形条件を表2に示す。ブロックパ ターンと平面のモールドでガラス基板をサンドイッチ し、それらを真空チャンバ内の上下治具間に配置し た。成形温度はガラス基板の屈服点(652℃)近傍の 655℃とした。真空雰囲気で上下の治具を同時に加 熱昇温し成形温度に到達後、設定荷重で1,800秒 間加圧した。その後、ストロークを固定して常温まで 冷却しガラス基板とモールドを取り出した。成形を 行ったガラス基板の外観を図2に示す。モールドの 溝 深 さ 0.50mm に 対 し 、 ケ ー ス リ ブ 部 の 高 さ 約 0.25mm(転写率50%)まで転写することができた。 3. まとめ 研削により作製したグラッシーカーボン製ブロックパターンモールドを用いて熱インプリントによるガラスケー スの成形を試みた結果、成形の可能性を見出すことができた。 表 1 モールドの加工条件 表 2 ガラスケースの成形条件 図 1 加工したモールドの外観(左)とブロックパターン角部(右) 図 2 成形したガラス基板 5μm インプリント装置Reprina-T50 (オリジン電気製) SHOTT テンパックス(□50×t1mm) 655℃ 真空(50Pa以下) 約8.2kN 1800sec 成形機 加圧時間 ガラス基板 成形温度 雰囲気 成形荷重 モールド素材 グラッシーカーボン GC20SS(東海カーボン製) モールド外形 □50×t3mm ブロックパターン □5×h0.5mm、溝幅1.5mm 加工機 精密平面研削盤SGM-52E (ナガセインテグレックス製) 仕上砥石 SD24000B (東京ダイヤモンド工具製作所製) ドレッサ SUS304ブロック 砥石周速度 600m/min テーブル速度 12m/min 加工機 マイクロスライサSPG150 (ナガセインテグレックス製) 溝加工砥石 SD1500M-1.5T-φ100mm(東京ダイヤモンド工具製作所製) ドレッサ カップツルア(ツルア砥石GC1500) 砥石周速度 1500m/min テーブル速度 50mm/min (1パス/溝) 平 面 研 削 加 工 溝 加 工 諸 元
<研 究 テーマ> 前浜もの魚類の劣化防止法開発 <担 当 者> 毛利哲 <目 的> 前浜魚の利用推進のため、臭い発生の遅延と鮮度評価技術の開発 <内容および結果> 1. 概要 低利用の水産資源である沿岸魚類(前浜もの魚類)の利用拡大を目標に、その問題点である臭気の評価と 発生抑制について検討した。この結果、臭いによる劣化は従来の鮮度測定指標(K値、トリメチルアミン)では 測定できず、脂質酸化物が原因と推察され、新たなメカニズムであることが示唆された。今後、企業と協力し、 新たな品質管理項目化を目指すとともに、臭気の発生抑制添加剤の最適化を検討する。 2. 研究内容 2.1 目的 水産練り製品業では、いわゆる前浜もの魚類を添加することにより、地域性のある特徴的な味を出すことを 差別化の一つとして行なっている。しかし前浜もの魚類はアミン系とは異なる独特の臭気が発生し利用の妨 げとなっている。魚の生臭みはトリメチルアミン(TMA)が主とされているが、対象となる臭気はいわゆる生臭み とは異なるものである。これらのことから、使用可否判断の数値化や使用可能期間を予測できる管理法が望ま れている。本研究では、前浜もの魚類から発生する臭気成分を明らかにし、管理手法の確立、臭気発生の予 防を最終的な目標として、今回はマアジ、アイナメの保存中の臭気成分の消長について知見を得たので報告 する。 2.2 方法 本試験では、新鮮なマアジ、アイナメを試料として、肉部のみをミンチにし、15℃で保存試験に供した。経 時的にその一部を採取し、臭気成分は、水と共にホモジネートした懸濁液を密封容器に封入し、30℃で加温 した時のヘッドスペースを固相マイクロ抽出にて吸着させ、GC-MSにて分析を行った。他に、K値、ピクラート 法によりTMA量を測定した。 2.3 結果 いずれの魚種も保存期間の延長に伴い臭気は強く感じられるようになった。非加熱品では1-2日、加熱品 では2-3日で臭気が強くなり食に耐えなくなった。この間、K値やTMAは非加熱では保存中に増加したが、加 熱品では上昇しなかった。さらに魚種による差も大きかった。一方、保存中、ヘキサナール、1-ペンテン-3-オールほか、4成分が増加した。これらのことから、においが問題となる劣化では、従来の指標に比べ脂肪族 系臭気成分をモニターすることが有効であると示唆された。
保存試験中のTMAの変化
TMA含量 0 10 20 30 40 50 60 70 マアジ 生 マアジ 加熱 アイナメ 生 アイナメ 加熱 TMA 量 ( μ g/ g) 0日 1日 2日 3日 TMA含量 0 10 20 30 40 50 60 70 マアジ 生 マアジ 加熱 アイナメ 生 アイナメ 加熱 TM A 量 ( μ g/ g) 0日 1日 2日 3日 ☆ 保存期間中を通して若干の上昇は見られるものの、 特に「可食」→「不可食」を通過する期間での顕著な上昇は見られなかった。 ☆ 魚種、および特にアイナメでは個体による初期値の差が大きかった。 ⇒K値同様、においの劣化の評価は難しい 可食・不可食 変化点 ヘキサナール、1-ペンテン-3-オールの変化 ヘキサナールの消長 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 マアジ 生 マアジ 加熱 アイナメ 生 アイナメ 加熱 SI 比 0日 1日 2日 3日 ヘキサナールの消長 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 マアジ 生 マアジ 加熱 アイナメ 生 アイナメ 加熱 SI比 0日 1日 2日 3日 ☆ ヘキサナール、1-ペンテン-3-オールはマアジ生では急激に上昇した。 ☆ また、アイナメではどちらも劣化に伴い上昇する傾向にあった。 ☆ ヘキサナールは劣化が極度に進むと減少した。 1-ペンテン-3-オールの消長 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 マアジ 生 マアジ加熱 アイナメ生 アイナメ加熱 SI比 0日 1日 2日 3日 1-ペンテン-3-オールの消長 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 マアジ 生 マアジ 加熱 アイナメ 生 アイナメ 加熱 SI 比 0日 1日 2日 3日<研 究 テーマ> 化学発光を用いた血液酸化評価に関する研究 <担 当 者> 有田富和、庄子真樹、毛利哲、矢口仁 <目 的> 生体内の抗酸化物質の濃度を評価する方法の開発 <内容および結果> 1. 概要 脂質の酸化反応はヒトや家畜の血液中で常時生じており、過剰な酸化は生体にダメージを及ぼす。そこで、 血液中の酸化状態を調べるツールを開発するための基礎として、脂質酸化に関わる酵素群を高感度で検出 する方法の開発をおこなった。さらにこの方法を血液サンプルに応用することを試みた。 2. 研究内容 はじめに従来から使用されている方法として、発色試薬を用いた脂質酸化酵素の検出法について、溶液 中および電気泳動ゲル内での検出について確認した。従来法では反応液中にシアン化物を添加するが、シ アン化物の取り扱いには安全性の問題がある。今回は生産現場での使用を想定し、シアン化物を使用しない 検出を試みた。 まず大豆由来脂質酸化酵素を用いて溶液中での検出を行った。比較対照としては牛血清アルブミン(BSA)、 ミオグロビン、ヘモグロビンを用いた。その結果、大豆由来脂質酸化酵素では濃い赤褐色の発色が認められ た。BSAでは発色が認められず、ミオグロビンとヘモグロビンではサンプルそのものの色(赤褐色)に加えて、弱 いピンクの発色が確認された。ヘムタンパクには弱い脂質酸化酵素活性があることが報告されており、肉や血 液などのヘムタンパクを含有するサンプルでシアン化物を用いないで測定を行うためには、ヘムタンパクの影 響をあらかじめ除去するか、あるいはヘムタンパクの影響を受けない検出系を模索する必要があることがわ かった。発光法についても実施したところ、検出感度は高いが、発光パターンは同様であることが確認され た。
次にヘムタンパクの影響を除去する一手法として、ゲル内での検出(In‒Gel Activity Staining:活性染色法) を検討した。酵素活性を維持しつつタンパク質を分離するため、泳動系には非変性アクリルアミドゲル電気泳 動(Native-PAGE: Ornstein-Davis法)を用いた。この方法では、多くの場合ヘム鉄を含む物質と対象物質が 分離され、ヘム鉄の影響を受けずに検出することが可能となると思われる。電気泳動による分離後、ゲル内の 溶液をホウ酸緩衝液に置換してエタノールに溶解したリノール酸と発色試薬を加えたところ、脂質酸化酵素を 添加した場合にのみ赤褐色の発色バンドが確認された。同様のサンプルについて、化学発光法による検出を 試みたところ、発色法に比べて数十倍以上の感度での検出が可能であった。この方法は、食品中の脂質酸 化酵素検出法として、食品加工に利用可能であると思われた。さらに、この方法を簡略化し、血液中の脂質 酸化酵素活性の測定を行ったところ、一部の検体では強い発光が確認され、血中脂質酸化活性の測定法と しての有効性が示唆された。 3. まとめ 脂質酸化酵素検出法として、従来法と発光法について比較検討した。試料に含まれるヘムタンパクの影響、 発色・発光のにじみなど、両者に共通の課題が明らかとなった。一方、比較的長い検出時間、低い検出感度、 などについては、発光法で克服可能であることが示唆された。ゲル内での活性染色法では、バックグラウンド の上昇はかなりの程度避けられた。また、理由は不明であるが、ヘムタンパクの発光も非常に弱いものだった。 簡便化した血液測定では、一部の家畜血液で他に比して強い反応が認められ、病理学的事象との関連が期 待された。 今回検討した方法を実際の生産現場で用いるためには、さらに高感度で高い特異性が要求される。その ため現在この問題点を克服する方法について検討を行っている。今後はさらに多数の血液サンプルを用いた 実験を行い、血液中の酸化還元状態の評価や、血中抗酸化物質濃度の測定に向けた応用法の開発に取り 組む予定である。
<研 究 テーマ> 糖尿病予防成分素材の探索と食品化 <担 当 者> 庄子真樹、有田富和、毛利哲 <目 的> 生体モデルによる医薬化合物の脂質グリケーション阻害能評価 <内容および結果> 1. 概要 近年、日本における糖尿病疾患が増加しており糖尿病予備軍と合わせて約1,620万人存在する。東北大 学農学部宮澤研究室において、生体内膜脂質が糖化修飾(グリケーション)を受け糖化リン脂質を生成するこ と(図1)、および糖尿病疾病患者の血漿中に糖化リン脂 質が異常蓄積していることを見出した。当センターはこ の技術シーズを活用し、糖尿病を予防するための新規 機能食品を開発するため、脂質のグリケーションを阻 害する食品成分を探索し、米ぬか、スプラウトなど一部 の食品抽出物に高い活性があることを示した(H17特許 出願済み、H18JSTシーズ発掘試験)。また、医薬化合 物(1,200種)のスクリーニングを行い、約30種に活性が あることを示すとともに、生体試料でのグリケーションモ デルを作成し、グルコース濃度、反応時間依存的にヒト 低密度リポタンパク質(ヒトLDL)中の糖化リン脂質量が増加することを示した(H18研究成果)。そこで、本年度 はヒトLDLを用いて医薬化合物による脂質グリケーション阻害効果を調べ作用機構を明らかにし、食品成分探 索へ応用しようとした。 2. 研究内容 医薬化合物(SIGMA社LOPAC1280)で阻害効果が見られた約30種のうち、ヒトへの安全性、摂取可能性を考 慮し化合物1種を候補として試験に供した。 ヒト健常者血漿よりLDLを調整後、医薬化合物を添加し、37℃14日間での糖化リン脂質量を高感度質量分 析装置(Applied Biosystems社4000Q TRAP LC-MS/MS)を用いて測定し、未糖化リン脂質量に対する相対値 より糖化阻害活性を測定した。 測定した結果、対照区では時間経過とともにLDL脂質グリケーション率は上昇したが、医薬化合物添加区 ではLDL脂質グリケーション率は上昇せず、グリケーション阻害活性が見られた(図2)。更に、4000QTRAPによ り作用構造を検討した結果、医薬化合物の糖付加物が観察され、脂質との競争的反応により医薬化合物が 脂質グリケーション阻害作用を示していることが推測された。 3. まとめ 本研究により、医薬化合物による生体脂質グリケー ション阻害活性が示され、その作用構造が推測された。 今まで、その医薬化合物に脂質のグリケーションを阻害 する報告はなく、新規な機能性として新たな医薬品の展 開が期待された。また、医薬化合物の作用構造から、類 似した構造を有する食品成分を探索することで、糖尿病 予防食品の開発へ応用することが期待された。 今後は、糖尿病誘発モデルラットへの医薬化合物長 期投与試験を行い、効能発現摂取量を明らかにすると ともに、血中および臓器中での糖化リン脂質量分析より、 糖化リン脂質の蓄積が糖尿病の病態にどのように関連するかを明らかにする。 O HO OH HO HO OH HO O HO OH HO OH O O O O OH P O H2N O O -O O O O OH P O N O O -OH CH2OH HO HO HO O O O O OH P O H N O O -O OH OH OH OH + D-Glucose Phosphatidylethanolamine (PE) Amadori-PE Schiff base Amadori rearrangement 99.98 % 0.02 % 糖化リン脂質 図1 脂質のグリケーション O HO OH HO HO OH HO O HO OH HO OH O O O O OH P O H2N O O -O O O O OH P O N O O -OH CH2OH HO HO HO O O O O OH P O H N O O -O OH OH OH OH + D-Glucose Phosphatidylethanolamine (PE) Amadori-PE Schiff base Amadori rearrangement 99.98 % 0.02 % 糖化リン脂質 O HO OH HO HO OH O HO OH HO HO OH HO O HO OH HO OH HO O HO OH HO OH O O O O OH P O H2N O O -O O O O OH P O H2N O O -O O O O OH P O N O O -OH CH2OH HO HO HO O O O O OH P O N O O -OH CH2OH HO HO HO O O O O OH P O H N O O -O OH OH OH OH O O O O OH P O H N O O -O OH OH OH OH + D-Glucose Phosphatidylethanolamine (PE) Amadori-PE Schiff base Amadori rearrangement 99.98 % 0.02 % 糖化リン脂質 図1 脂質のグリケーション 図2 医薬化合物のLDL脂質グリケーション阻害活性 LDL 1mg/ml・protein グルコース 100mM 医薬化合物 100uM 37 ℃ 0~14days LC-MS/MS 0 10 20 6 9 14 Time (Day) 対照 医薬化合物 脂質 グリ ケ ー シ ョ ン 率 (%)
<研 究 テーマ> 高齢者向け食品の商品化可能性調査 <担 当 者> 有住和彦、原田牧人 <目 的> 食品物性評価・制御技術の応用展開による新規な高齢者向け食品の提案 <内容および結果> 1. 概要 当センターでは平成16年度∼平成18年度に実施した「県産食材を用いた高齢者向け食品の開発」におい て魚肉を利用した高齢者向け食品の開発を行うと共に、食品物性評価・制御技術を蓄積してきた。 そこで、平成19年度には水産加工品以外の食品製造業、例えば菓子業界への食品物性評価・制御技術 の適用可能性について調査を行ない、食品物性評価・制御技術の応用展開による新規な高齢者向け食品の 提案を目指した調査研究を実施した。 その結果、具体な製品開発に先立って新たな食品物性評価指標の開発が望まれているという知見が得ら れたため、新たな食品物性評価指標開発を目的とした研究テーマの提案を行った。 2. 研究内容 2.1 ユーザーニーズ調査 菓子業界に対する食品物性評価・制御技術の適用可能性調査に先立ち実際のユーザーニーズを掴む ことが重要だと考え、「食品物性を規定した甘いデザートは、施設や病院でもニーズが高い」との仮説に基 づき高齢者施設や医療食ディーラーへユーザーニーズ調査を実施した。 その結果、高齢の嚥下障害者用菓子ニーズとしては、物性は離水を気にする程度で市販菓子から適当 なものをピックアップして対応しているのが現状であり、必ずしも食品物性を規定した新たな菓子のニーズ は高くないことが明らかとなった。一方、市販菓子を利用する際には対象者に適切な食品をフィッティング できる人材がいないことが障害となっており、この「対象者への食品フィッティング」へ利用可能な「物性評 価基準」を提供することが有用と考えられた。 2.2 市販食品の物性調査 市場調査の一環として市販のゼリー状菓子の物性についても調査を行った。この物性調査においては、 平成18年度までの研究において物性評価基準としていた動的粘弾性(貯蔵弾性率G および損失弾性率 G )に基づく「5段階嚥下食基準」と、破断強度に基づく「健康増進法:高齢者用食品基準」を用いて物性 データの収集を行った。 その結果、実際の高齢者施設においては「口腔内でベタつく」ことが敬遠されて嚥下障害者へは提供さ れていない「わらびもち」が5段階嚥下食基準および高齢者用食品基準では嚥下食として提供可能な物性 と判断されるという事例が見出された。この「わらびもち」の「口腔内でのベタつき」を客観的に評価する方法 について検討を行い、従来の動的粘弾性(G 、G )と破断強度に加え「凝集性」「付着性」および新たに口 腔内でのベタつき評価指標としての「降伏応力」の6種類の物性によって嚥下食・高齢者用食品等の食品 物性評価指標とする新たな「6軸テクスチャープロファイル」を提案した。 この6軸テクスチャープロファイルの有用性を確かめるため、市販食品である水産練り製品や乳製品、豆 腐、こんにゃく、こんにゃくゼリー等の76アイテムについて物性データの調査を行った。その結果、食品種 類(例えば水産練り製品群など)毎に6軸テクスチャープロファイルは特徴的なプロファイルを示し、食感の直 感的な把握のための食品物性評価指標として6軸テクスチャープロファイルが有望であることが分かった。 3. まとめ 今年度提案した「6軸テクスチャープロファイル」評価に基づき、平成20年度∼平成21年度(2ヵ年)の県単研 究事業として「食品テクスチャーにおける新たな評価指標の開発」を提案し、6軸食品テクスチャープロファイ ルデータの蓄積と適用可能性を探ると共に、各種食品の6軸テクスチャープロファイルに基づくテクスチャー 設計技術開発を目指していく。さらに品質管理向け簡易テクスチャー評価装置開発の可能性調査を行う計画 である。
<研 究 テーマ> カキの麻痺性貝毒発生予測及び解毒技術の開発 <担 当 者> 羽生幸弘、有住和彦 (宮城県水産研究開発センターとの共同研究) <目 的> 麻痺性貝毒発生予測モデルの開発と解毒方法の探索・開発 <内容および結果> 1. 概要 仙台湾における麻痺性貝毒は平成5年以降頻繁に発生し、各種二枚貝で出荷自主規制措置がとられてい る。特にマガキで貝毒発生時期と生産時期が重なり、計画的に効率よく生産・出荷するという漁業経営の面か ら深刻な損害を受けている。このため、従来の貝毒モニタリングに加え発生予測および解毒・減毒に関する技 術開発を行う。 2. 研究内容 2.1 解毒・減毒技術の開発 平成18年度の減毒試験において良好な減毒効果を減毒剤について、生産現場に近い形での規模で減 毒試験を漁場で実際に毒化したマガキを用いて行った。試験区はコントロールとして低水温区を設け、昇 温区と減毒剤を組み合わせた区の合計3区で試験を行った。試験方法としてはカキを収容密度86個体 /50L水槽で蓄養、12時間毎換水・減毒剤給餌を行い、サンプリング12時間前から無給餌とした。実験開始 3日後にコントロールに対する昇温+減毒剤給餌区の効果を確認した。麻痺性貝毒はGTX群(GTX1∼4)、 C群(C1、C2)、STX群(neoSTX、STX)を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析し、毒力に換算した。また、 公定法であるマウス公定法でも毒力を測定した。HPLC分析の結果、初期平均毒力11MU/gであったもの が3日後、昇温区では5.4MU/g、昇温+減毒剤給餌区では4.7MU/gとなった。今回は15個体/lotとして5 ロット分析を行ったが、昇温+減毒剤については一部規制値である4MU/gを下回る結果となった。また、毒 成分についてはSTX群は検出限界以下であり、その他の成分については時間経過と伴に減衰が見られ、 全ての毒成分について減衰効果が見られた。一方、マウス公定法での測定では全てのロットで規制値を下 回る結果となった。 2.2 貝毒発生予測技術の開発 「冬季仙台湾では水温低下が速いほど、湾内水の滞留時間が長く、原因プランクトンが湾内で増殖し易 くなり、貝類の毒化が起こり易いこと」を基本概念とする予測モデルを開発した。このモデルでは水温指標 DuTにより貝類毒化時期を予測する。T=7.5℃の水温指標(Du7.5)がAlexandrium tamarense (A.t.)出現 ピーク時期、A.t.出現量、貝類毒化時期と最も高い相関があり、Du7.5からA.t.出現と毒化時期を予測でき た。Du7.5(x)と毒化時期(y)の回帰式はy=1.1x+37.3(r=0.87)であった。一部例外もあったが、平均気温と水 温偏差により例外を検出できた。さらに予測値の信頼区間も算出できた。 3. まとめ 実際に天然毒化カキを用いた減毒試験においては蓄養環境を変化させることと減毒剤の給餌の組み合わ せが生産現場に近い形でも効果が得られることが分かった。これについては今後データの蓄積が必要であ る。 一方、発生予測については水温の低下時期、仙台湾の滞留時間を元にA.t.出現と毒化時期を予測できる ことが分かった。
<研 究 テーマ> 光学検出手法を用いたセンサデバイスに関する調査・研究 <担 当 者> 中居倫夫、高田健一、太田靖 <目 的> 光ファイバを用いたセンサデバイスに関する調査と研究開発 <内容および結果> 1. 概要 光技術は、通信・情報処理・計測・加工・流通・エネルギーなど、あらゆる産業分野で活用されている。また、 近年の技術革新と需要の拡大により、光関連装置・部品の価格が下がりコスト面でも取り入れやすくなり、装 置の取り扱いが専門家でなくても操作できるように技術的に成熟してきている。このような背景のもと、光セン シング分野における技術支援ポテンシャルの向上を目的にして本調査・研究を実施する。初年度である平成 19年度は、技術背景調査と企業調査を実施するとともに、センサデバイスの検討として、機械機構の動作や 電子回路の電流検出に利用するデバイスとして、薄膜磁性体の磁区転移を光信号に変換する手法について 基礎検討を行った。 2. 研究内容 2.1 はじめに 一定磁場で磁区構造が転移する薄膜素子はアモルファス状態のCoNbZr薄膜に面内で角度制御した一 軸磁気異方性を誘導することで実現できる。この現象を高周波インピーダンス変化として検出するする手法 は、我々のグループが既に報告している。この素子の磁区転移現象をパルス電圧として取り出し光信号に 変換することで、周期的な変動磁場中で光信号を発生するデバイスが提案できる。今年度は、素子に平面 コイルを一体化した構造を試作し、磁区転移に伴うパルス信号の発生を実証するとともに、このパルス信号 の電圧やパルス幅などのデータを収集することで、デバイス設計の基礎となる知見を得ることを目的とした。 2.2 検討内容 図1は、試作した素子の外観写真である。センサ素子である磁性薄膜を長さ5mm、幅50μmとして、これ に平面コイルを一体化した構造となっている。素子・コイルともにRFスパッタとフォトリソグラフィーを用いた 薄膜プロセスで作製した。図2は、素子磁性体のMH曲線と磁区構造の対応関係であり、磁区構造転移に 伴う磁化の不連続点の存在が磁化曲線上で確認できた。図3は、素 子を交番磁場中に設置した際に発生したパルス信号であり、磁区 転移点においてパルス信号が発生している様子が確認できた。以 上の検討で磁区転移⇒パルス信号の変換が確認され、光信号へ の信号変換とこれを用いたセンサデバイスの可能性が示された。 3. まとめ 今後は、パルス電圧信号を光信号に変換し、交番磁場中におけるタイミングパルスの発生を実証する。ま た、企業訪問などによる調査の継続と、大学等のシーズ調査を実施予定である。 図 1 試作素子の形状 図 2 MH 曲線と磁区構造の対応関係 図 3 交番磁場とパルス信号
<研 究 テーマ> ディジタル画像処理の先端システム設計に関する研究 <担 当 者> 太田晋一、小熊博、堀豊 <目 的> 形状情報・偏光情報を取得可能なカメラの開発とその応用 <内容および結果> 1. 概要 近年、半導体技術の向上により、汎用ハードウェアを用いて演算量の多い画像処理アプリケーションシステ ム構築が可能となってきている。それに伴い、製造工程管理での検査・計測、セキュリティ分野での自動監視 などの様々な分野において、画像処理の必要性が急速に高まってきている。そこで、本研究では、画像処理 の応用として、主に、形状情報を取得可能なカメラシステム及び偏光情報を取得可能なカメラシステムの開発 とその応用についての検討を行った。 2. 研究内容 2.1 形状情報を取得可能なカメラシステムの開発と応用 視点の異なるカメラからの画像を利用して形状情報を取得することをステレオビジョンという。ステレオビ ジョンの画像間の対応点探索には、東北大学大学院情報科学研究科青木研究室の長年の研究成果であ る、高精度な領域ベースマッチング手法「位相限定相関法」を用いた。本システムの応用として、従来難し いと言われていた黒毛和牛の非拘束での面全体の形状計測の検討を行った。これまで、実物の黒毛和牛 にて、ある程度計測可能であることを把握しており、今回は、計測精度を評価するために、仙台牛の礎を築 いた茂重波の1/1スケールの銅像を計測した。カメラから約5.5mの位置にて計測し、マッチングの際のウィ ンドウサイズは、64×64(全体)・16×16(測定箇所)、階層探索は3層にて行った。表1に、現在計測で使われ ている測尺器とステレオビジョンにおける、成育評価で重要となる測定箇所(体高、十字部高、体長)の計測 結果を示す。誤差±1.5%以内の精度を得られた。(図1、図2、図3参照) 表1 測尺器とステレオビジョンでの測定値の比較 計測位置 体高(A-M) 十字部高(C-N) 水平体長(K-F) 測尺器での実測値(cm) 141 139 170 ステレオビジョンでの測定値(cm) 143 138 168 図1 ステレオビジョンシステム 図2 測定箇所 図3 計測した3次元点群 2.2 偏光情報を取得可能なカメラシステムの開発と応用 CCDの前に、画素単位で偏光透過軸方向の異なる偏光子アレイを配置したカメラを用いることで、1度の 撮影で偏光情報を取得可能なカメラシステムに関する開発を行った。本システムの応用として、道路 面・車を検出可能な車載カメラ・交通流計測カメラ及び2次元リタデーション計測に関する検討を行った。 従来の手法と比較し、容易に道路面・車を検出できる可能性を示した。(図4、図5、図6参照) 図4 偏光カメラシステム 図5 道路面の検出結果 図6 交通流計測の結果 3. まとめ 本システムの実用化に向けた更なる応用検討を行うと共に新たな画像処理応用についての検討を行う。
0 1000 2000 3000 4000 0 0.2 0.4 0.6 0.8 10 10 20 30 Throughput [kbps] CDF N=1(Throughput) N=1(SINR) N=3(Throughput) N=3(SINR) SINR [dB] <研 究 テーマ> ワイヤレス通信技術に関する技術調査 <担 当 者> 小熊博、笠松博、堀豊 <目 的> 広域モバイルネットワークシステムの評価及び方式開発 <内容及び結果> 1. 概要 我々は、ユビキタス社会には不可欠な技術である無線分野に着目し、研究開発を展開している。平成15年 度には、東北大学電気通信研究所との研究協力協定を締結し、特に同研究所附属機関であるIT-21セン ターと連携しながら、ワイヤレスネットワークの動向調査、FPGA(Field Programmable Gate Array)を活用した無 線LAN端末開発に加え、さらに、通研共同プロジェクト研究(「次世代ホットスポットネットワークの研究」)を実施 している。本年度は、東北大学電気通信研究所IT-21センター(センター長 坪内和夫教授)からの委託により、 km級モバイルブロードバンドシステムの実証実験を中心に、研究開発を進めた。 2. 研究内容 (1) 次世代無線LAN国際標準化調査 3.9世代以降の携帯電話に加え、自動車周りのネットワーク化を実現するITS(Intelligent Transport System)では、IPベースのブロードバンド広域移動体通信システムがkey技術である。我々は2005年以来 3.9G以降の基盤技術であるOFDMAベースの通信システムの実証実験を仙台市中心街に展開している。 本研究では、上記システムに密接に関連する次世代無線LAN国際標準化規格であるIEEE802.20及び IEEE802.16に関して、技術調査を実施した。2007年7月に、投票権が個人から組織に変わり、一票の重み が格段に増えた中、IEEE802.20WG及びIEEE-SAで75%の賛成を超え、2008年6月頃に標準規格として発 効される見込みである。 (2) モバイルブロードバンドシステムの実証実験 今年度の仕様であるReuse=3で運用する場合には、仙台市街地のほとんどのエリアで1Mbit/s以上のス ループットが得られている(図1)。昨年までの仕様であるReuse=1で運用した場合と比較すると、セクタ干渉 及びセル間干渉が抑制されるため、累積確率が50%において、SINR(Signal to Interference and Noise Ratio)で約7dB、スループットで約1Mbit/sから約2Mbit/sと向上した。さらに、Reuse=3で運用する場合には、 90%以上のエリアで1Mbit/s以上のスループットが得られた(図2)。以上から、OFDMAシステムをセル・セクタ 展開する際に、3周波以上の周波数繰り返しが非常に有効であることがわかった。 図1 Reuse=3におけるスル−プット分布 図2 SINR及びスル−プットの累積分布 3. まとめ 本研究では、無線分野の標準化提案・調査・OFDMAシステム開発及び次世代無線通信システムの実証 実験を実施し、公開した。今後も、東北大学電気通信研究所附属IT21センター及び各外部機関と連携しなが ら、技術開発・調査等を実施する。 500m 500m (kbps) N=3 Throughput 県庁局 SBTM局 IT-21局
<研 究 テーマ> 歩行運動負荷の分析と製品への応用 <担 当 者> 太田靖、小松迅人 <目 的> 作業負荷軽減・生活動作支援のための歩きやすさ・疲れにくさの評価技術の確立 <内容および結果> 1. 概要 近年、一般機器・作業環境にも人間工学に基づく使いやすい快適なものが望まれているが、「使いやすさ」 等を適切に計測・定量化することが難しいため、優れた製品でも差別化が図れない状況にある。そこで、歩行 時の負荷を定量化する評価指標を探索し、作業靴の評価や歩行支援機器等への応用を目指す。 2. 研究内容 2.1 作業靴を用いた疲労評価 長時間歩行(作業)後の疲労評価指標として、今年度は静止時に計測できる①足底接地面積(足部アー チのつぶれによる面積増加)、および②重心動揺(下肢の筋疲労による動揺軌跡面積の増加)の検討を行っ た。評価に使用したのは作業用長靴(県内企業製品)で、専用インソールがある場合とない場合とについて 比較を行った。被験者数は3名(20代∼50代の男性)、歩行は約6kmの周回コースを用い、その前後で計測 を行った。なお、事前の官能評価ではインソールありの方が明らかに疲労感が少ないという結果であった。 表1に足底圧分布計測システム(FSCAN)による足底接地面積の計測結果を示す。計測は床に固定した センサシートの上に裸足で乗り、閉眼・静止立位の状態で30秒間行った。また表2に、床反力計を用いて身 体重心の動揺を計測した結果を示す。歩行に使用した作業靴を履き、閉眼・静止立位の状態で30秒間計 測したもので、図1に重心動揺の軌跡の一例を示したが、この軌跡全体を包含する最小の矩形面積で比較 を行った。いずれも、3名中2名においてインソールありの方が面積増加が少なくなる傾向がみられた。 表1 歩行前後における足底(両足)接地面積の変化 表2 歩行前後における重心動揺面積の変化 図1 30秒間の重心動揺の軌跡(例) 疲労が増すにつれて、軌跡を包含する矩形の 面積が増加すると考えられる。 2.2 計測データ解析ツールの拡充 三次元動作解析システムを用いた歩行計測データの解析ツールに加えて、足底圧分布計測システム (FSCAN)および座圧分布計測システム(XSENSOR)の計測データを処理するツールを作成した。処理系に は前者と同じく数式処理システムMATLABを用い、重心移動や接触面積等を計算できる。これらは、上記 の計測データ処理に用いたほか、学校用椅子や車椅子の評価等の技術支援に活用している。 3. まとめ 長時間歩行後の疲労評価指標として、足底接地面積と重心動揺面積を用いて作業靴の評価を行い、イン ソールによる疲労軽減効果があることを示す結果を得た。また、関連する計測データの処理・解析ツールの拡 充を行った。これらを今後、さまざまな人間工学関連の評価・支援に活用していく予定である。 重心動揺軌跡(靴履、閉眼) 160 170 180 190 200 210 220 -300 -290 -280 -270 -260 -250 -240 重心位置(X) [mm] 重心 位置 (Y ) [m m ] COP 歩行前 歩行後 増減 (cm2) (cm2) (%) 被験者A insoleなし 220 224.25 1.93 insoleあり 212.5 214.5 0.94 被験者B insoleなし 273.5 271.5 -0.73 insoleあり 264.25 262.75 -0.57 被験者C insoleなし 268.5 292 8.75 insoleあり 252 262.75 4.27 歩行前 歩行後 増減 (mm2) (mm2) (%) 被験者A insoleなし 178.1 794.8 446.3 insoleあり 275.6 584.7 212.1 被験者B insoleなし 240.8 469.0 194.8 insoleあり 141.3 419.6 297.0 被験者C insoleなし 128.5 222.6 173.3 insoleあり 274.0 298.1 108.8
<研 究 テーマ> 自動車部品の超臨界塗装技術の実用化 <担 当 者> 佐藤勲征、千代窪毅、伊藤伸広、千葉亮司、宮本達也、荒砥孝二、中塚朝夫 <目 的> 超臨界二酸化炭素塗装法の実用化に必要な要素技術の開発 <内容および結果> 1. 概要 有機溶剤系塗料に含まれる有機溶剤(希釈シンナー)はVOC(揮発性有機化合物)発生の原因であり、塗装 業界においては代替技術への転換が急務である。また、県内の自動車内装部品塗装業界からも代替技術開 発の要望があり、それを受けてグリーンプロセス塗装技術研究会を発足した。その中で、研究会参加企業と産 業技術総合研究所と共に、VOC削減に効果の高い超臨界二酸化炭素CO2を用いた塗装の実験を行い、これ までにクリア塗料(顔料なし、透明)を用いた塗装に成功した。 本研究では、自動車内装部品(素材:プラスチックやマグネシウム等軽金属)を対象に、これまで得た知見を 実用化に移すために必要な要素技術の開発、ならびに量産ライン化に必要な周辺技術の開発を行う。目標 は次の通りである。①有機溶剤及びVOCの排出量を削減し、かつ有機溶剤系塗装と同等以上の塗膜品質を 得る新しいCO2塗装技術の開発、②有機溶剤系塗料を含めた塗膜品質評価手法の確立 今年度は、CO2に適合するクリア塗料を用いた塗装実験を行い、課題の洗い出しと最適な塗装条件の確立 を目指した。 2. 研究内容 ① CO2塗装適合クリア塗料の検討 市販塗料及び塗料用の有機溶剤について、CO2への適合性の評価を行った。塗料-有機溶剤-高圧CO2 の系において、有機溶剤の分子量、分子構造により塗料の膨張率が異なることを確認した。 ②最適塗装条件の抽出 塗料とCO2の混合状態の可視化、及び一定圧力でのスプレーが可能な新しいバッチ式の塗装システムを 設計、製作した。この装置を用いてCO2スプレー塗装の成立範囲を調べるためのクリア塗料の塗装実験を実 施した。塗料と二酸化炭素の適切な混合温度・圧力による塗装の結果、有機溶剤使用量を50%以上削減し、 かつ現行有機溶剤塗装方法と同等の塗膜品質(塗膜平滑性)を実現することができた。 ③塗膜評価手法の確立 これまで主観的な評価のみであった塗膜品質(平滑性、鮮映性)について、表面粗さ計を用いて定量的な 評価が可能になった。また、レーザー顕微鏡を適用することにより、塗装不良解析に有効であることを確認し た。 塗料:シンナー 5:0 (シンナーなし) 評点 4 表面粗さ 0.76μm 塗料:シンナー 5:0 (シンナーなし) 評点 4 表面粗さ 0.76μm 塗料:シンナー 5:2 評点 3 表面粗さ 0.47μm 塗料:シンナー 5:2 評点 3 表面粗さ 0.47μm 塗料:シンナー 5:1 評点4 表面粗さ 0.69μm 塗料:シンナー 5:1 評点4 表面粗さ 0.69μm
Good
No Good
No Good
図1 CO2スプレー塗装結果 塗料:アクリル系UV硬化型クリア塗料 混合容器:200cm3 塗装時の温度:40℃、圧力:6MPa 官能評価(目視)・・・1∼3:OK、4∼10:NG 平滑性(表面粗さ)RzDIN<0.6μm・・・OK<研 究 テーマ> 通電加熱焼結を用いた高効率焼結技術の開発とその応用 <担 当 者> 阿部一彦、大山礼、斎藤雅弘 <目 的> メタル系材料の高速拡散接合技術の開発 <内容および結果> 1. 概要 本研究は、半導体部品等に用いる大型焼結体(φ300mm)を、通電加熱焼結装置(SPS)で作製する方法を検 討しており、冶具間に絶縁材料を配置する等の方法で通電を制御し、これまでより低い電流で焼結・接合を行う 高効率焼結技術の確立を目指している。 平成19年度は、通電制御により一体物の大型焼結体作製が可能かどうか検討した。また焼結体を横方向に 接合して大型焼結体を作製する時、接合強度が通電制御した場合でどう変わるか、メタル系材料で検討を行っ た。 2. 研究内容 2.1 絶縁材料配置による大型焼結体作製 絶縁材Si3N4製の筒を作製してφ50mmのダイスとパンチャーの間に挿入し、ダイスへの通電を抑制した状 態でAl2O3粉末を焼結したところ、目的温度にまで達せず、熱膨張の相違によりSi3N4が破損したことにより、焼 結体作製に至らなかった。 2.2 メタル系材料の接合 2.2.1 電流制御パンチャーの作製 焼結に用いるパンチャー面の一部を研削し、代わりに絶縁材としてAl2O3焼結体を配置し、電流制御パン チャーを作製した(写真1)。これにより、パンチャー面における絶縁部の占める割合が一定となり、パン チャーの中心部にのみ通電させる状態が可能となった。 2.2.2 Cu多孔質体の接合試験 φ100mmCu多孔質体を半径方向に切断し、切断面を突き合わせた状態で通電加熱焼結装置にセットし て接合試験を行った(写真2)。その後Cu多孔質体から引張試験片を採取し、パンチャー面の各位置におけ る接合強度を測定した(図1)。電流制御パンチャーを用いた時の方が、通常のパンチャーを使用した時より 強度が高かった。また導電部の幅10mmの方が2mmより全体的に高い強度を示した。しかし、いずれの場合 も母材より強度が低く、またパンチャー位置による強度のバラツキが見られた。これらは電流値、保持時間、 導電幅等の接合条件が最適ではなかったこと、および接合面形状、多孔質体表面およびパンチャー表面 の形状・粗さムラがあったことが原因と思われる。 3. まとめ 平成19年度は①接合部が母材に比べて強度が低い②圧痕が残る③強度にバラツキが見られる等の課題が 残った。平成20年度は①最適な接合条件を模索する②加圧を極力抑えて接合を行う③試料および冶具等のム ラを抑制する等により、課題の解決を図る予定である。 写真2 接合したCu多孔質体 写真1 電流制御パンチャー 図1 接合体の接合強度 0 20 40 60 80 100 40 30 20 10 0 -10 -20 -30 -40 中心からの距離(mm) 母 材 に 対 す る 強度 比( % ) 0 20 40 60 80 100 40 30 20 10 0 -10 -20 -30 -40 中心からの距離(mm) 母 材 に 対 す る 強度 比( % ) 導電幅10mm 導電幅2mm 制御なし 0 20 40 60 80 100 40 30 20 10 0 -10 -20 -30 -40 中心からの距離(mm) 母 材 に 対 す る 強度 比( % ) 0 20 40 60 80 100 40 30 20 10 0 -10 -20 -30 -40 中心からの距離(mm) 母 材 に 対 す る 強度 比( % ) 導電幅10mm 導電幅2mm 制御なし 接合 部 接合 部 絶縁部 (Al2O3) 導電部 (カーボン)
<研 究 テーマ> 乳酸菌機能の県産食品製造への応用研究 <担 当 者> 畑中咲子、橋本建哉、石川潤一 <目 的> 乳酸菌により産生される抗菌物質の食品保存への応用 <内容および結果> 1. 概要 かまぼこ等の水産練り製品には、しばしばネトや悪臭などが発生し、品質を致命的に悪化させることが知ら れている。しかし、保存料は殺菌効果が薄く、微生物の活動を完全に抑えるまでには至っていない。本研究 では乳酸菌の生成する抗菌物質である「バクテリオシン」を含む発酵調味料を開発し、それを水産練り製品に 応用することで、水産練り製品の日持ち向上を図ることを目的とした。 2. 研究内容 2.1 笹かまぼこ汚染菌の解明 市販笹かまぼこを加速的腐敗条件におくことで腐敗を発生させ、笹かまぼこの汚染菌を分離した。取得 した汚染菌群に対し、PCR-RAPD法によるDNAレベルの相違選抜を行い、最終的に41株の汚染菌株を取 得した。さらに、16S rDNAの相同性解析により汚染菌の属種を同定することに成功した。 2.2 汚染菌株に対するバクテリオシン活性試験 分離された汚染菌に対し、バクテリオシン産生性乳酸菌培養上清の抗菌性を試験した。その結果、複数 の乳酸菌培養上清を用いることで、笹かまぼこの汚染菌群の50%程度を抑制できる可能性が示唆された。 3. まとめ ・ 笹かまぼこの汚染菌群について遺伝子解析手法を用いて明らかにした ・ 笹かまぼこの汚染菌群に対して乳酸菌培養上清の抗菌性を試験し、抗菌物質産生乳酸菌を選抜した ・ 今後は実際にかまぼこを試作し、試験を行う 図 1 同定された笹かまぼこ汚染菌群 fusiformis subtilis sp. Bacillus属 equorum sp. Staphylococcus属 citreum sp. Leuconostoc属 rhizophila sp. Kocuria属 faecalis Enterococcus属 arenosus sp. Psychrobacter属 maltaromaticum sp. Carnobacterium属 nesterenkovii Brachybacterium属 flavescens Corynebacterium属 sp. Rothia属 sp. Alcaligenes属
Gram-positive group Gram-negative group
sp. Pseudomonas属 marcescens Serratia属 図2 串孔部に発生した腐敗「ネト」 図3 寒天拡散法による抗菌性試験 (クリアゾーン形成により抗菌性確認)
<研 究 テーマ> コーヒー粕の液化による利便性の向上及び有効成分抽出に関する研究開発 <担 当 者> 食品バイオ技術部 原田牧人、佐藤信行、羽生幸弘、橋本建哉、小山誠司 <目 的> 産業廃棄物となっているコーヒー粕の減量及び減容化を図るため、液化することにより有効 成分を抽出する <内容および結果> 1. 概要 宮城県内のコーヒー飲料事業者等からコーヒー 粕が産業廃棄物として排出されている。本事業で は、その減容及び減量化を図り有効成分の抽出を 行うため、その成分分析を行った。また、有効成分 抽出のための前工程としての分解試験を行うととも に、コーヒー粕酵素分解物中のオリゴ糖生成量を 測定した。 2. 研究内容 2.1 成分分析 県内のコーヒー飲料事業者から排出された コーヒー粕について成分分析を行った。分析結 果は、表1の通りであった。 2.2 分解試験 上述のコーヒー粕を用いて分解試験を行った。 濃度の異なる水酸化ナトリウム水溶液により処理 を行った後に市販の酵素製剤2種で分解を行っ た。洗浄し乾燥した残存物の重量を測定し、分 解率を算出した。測定結果を図1に示す。 2.3 酵素分解生成物中のオリゴ糖測定 上述のコーヒー粕を、水酸化ナトリウム水溶液 により加熱加圧処理した後、蒸留水により洗浄し 乾燥させた。その乾燥物0.1gを10mlの酢酸バッ ファー水溶液に分散させ、50mgの酵素製剤を 添加して処理した。処理溶液を限外ろ過した後、 Asahipak GS-220HQを用いたHPLC(GPC)によ り生成糖の重合度を測定した。重合度は、グル コース及びマルトオリゴ糖により確認するとともに、 全糖をフェノール硫酸法により確認した。また、 酢酸バッファーに酵素製剤のみを添加したもの についてもHPLC(GPC)測定を行った。 3. まとめ 成分分析の結果、コーヒー粕の固形分のうち最 も多かったのは糖質であった。糖質の構成糖とし ては、マンノースが最も多かった。水酸化ナトリウム と酵素により、液化分解することが可能であった。 水酸化ナトリウムと酵素により分解した生成物は、 単糖が最も多かった。 表1 コーヒー粕中の成分 測定項目 測定値 (湿重量基準) 測定方法 水分率 69.5% 105℃加熱減量 糖質 14.1% 硫酸分解後 フェノール 硫酸法 脂質 4.9% ヘキサン抽出 粗タンパク 4.3% ケルダール法 リグニン (硫酸分解残渣) 6.9% サウスゲート法 カフェイン 0.07% クロロゲン酸 検出限界以下 カフェ酸 検出限界以下 熱水抽出 HPLC 灰分 0.3% 550℃加熱 マンノース 6.8% 硫酸分解後 HPLC 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 0 2 4 6 8 10 添加NaOH濃度[M] 分 解率[ % ] (乾 燥重量 基準 ) 酵素A 酵素B 図1 水酸化ナトリウム濃度と分解率 表2 コーヒー粕分解物中の単糖及び二糖 測定 対象 測定項目 糖含有量 測定値 測定方法 単糖 0.83% 二糖 0.17% HPLC (GPC) コーヒー粕 分解物 全糖 0.93% フェノール 硫酸法 単糖 0% 酵素 ブランク 二糖 0.25% HPLC (GPC)