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Ⅰ.TPP をめぐる情勢 1.TPP 交渉をめぐる状況 (1)TPP 閣僚会合の結果 12 月 7 日からシンガポールで開催された TPP 閣僚会合は 10 日に閣僚声明 ( 下記参照 ) を発表し ( 主要な分野の ) テキストの課題と市場アクセスの課題を仕上げるために 柔軟性をもって作業を続ける

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TPPをめぐる情勢と

JAグループの今後の取り組み

について

平成26年1月

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Ⅰ.TPPをめぐる情勢 1.TPP交渉をめぐる状況 (1)TPP閣僚会合の結果 ○ 12 月 7 日からシンガポールで開催された TPP 閣僚会合は、10 日に閣僚 声明(下記参照)を発表し、「(主要な分野の)テキストの課題と市場アク セスの課題を仕上げるために、柔軟性をもって作業を続ける」、「来月に再 度会合を開催する予定」など、10 月発表の首脳声明に目標として掲げた年 内の交渉妥結を断念する結果となった。 ○ 会合後の共同記者会見では、米国のフロマン通商代表が「包括的な高水 準の協定という目標に一歩近づいた」などとして交渉の成果を強調したほ か、開催国であるシンガポールのリム通産大臣も「目的達成に向けての有 効なステップだった」と評価した。 ○ 一方、マレーシアのジャヤシリ首席交渉官は、国有企業に関する議論が 続いていることを指摘したうえで、「引き続き柔軟性を求めて交渉する」と 述べ、NZ のグローサー貿易大臣も「(知的財産分野は)すべての国がバラ ンスのとれた協定にするために努力しているところ」と説明するなど、難 航分野では依然として課題が残されていることを示唆した。 <環太平洋パートナーシップ参加国閣僚・代表声明(外務省仮訳)> 我々、オーストラリア、ブルネイ・ダルサラーム、カナダ、チリ、日本、 マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、米国、 ベトナムの閣僚及び代表は、シンガポールにおいて 4 日間の閣僚会合を終 えたところであり、環太平洋パートナーシップ協定の完了に向けた実質的 な進展が見られた。 この会合の間に、我々は、テキストの主要な残された課題の大部分につ いて潜在的な「着地点」を特定した。我々は、これらのテキストの課題と 市場アクセスの課題を仕上げるために、柔軟性を持って作業を続ける。 全ての参加国にとって、2011 年にホノルルで設定された目標を達成する、 野心的で包括的な高い水準の協定は、雇用を創出し、成長を促進し、各国 の国民に機会を提供し、地域統合と多角的貿易体制の強化に貢献するため に必要不可欠である。 したがって、我々は、今後数週間、そのような協定に向けた集中的な作 業を継続することに決めた。また、我々は、ステークホルダーとの協議を 促進し、自国の政治プロセスと連携する。 交渉官による追加的な作業に続いて、我々は、来月に再度会合を開催す る予定である。

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(2)次回閣僚会合に向けた動き ○ 1月中に改めて開催する予定とされた閣僚会合については、未だ調整がつ いていない模様である。 ○ 一方、甘利大臣は1月7日、閣議後記者会見で、1月 22~25 日に開催さ れる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)において、フロマン通商代 表と現地で会談したいとの意向を示していたが、調整がつかず会談は見送ら れることとなり、電話会談を行う方向で調整中とされている。 ○ ただし、現地で開催されるWTO 非公式閣僚会合に参加予定の林農林水産 大臣、茂木経済産業大臣が、フロマン通商代表との会談を調整しているとさ れ、閣僚級による日米交渉の再開は、TPP 交渉全体の進展に大きな影響を及 ぼしかねないことから、今後の状況を注視していく必要がある。 (3)難航分野における議論の状況 ○ 物品市場アクセス交渉においては、米国は日本との二国間協議において依 然として例外なき関税撤廃を求めているほか、豪州・NZ・シンガポールな ども同様の主張を繰り返しているのに対して、日本は重要5品目等の除外な ど国会および自民党の決議に即した交渉姿勢を貫いており、交渉打開の目途 は立っていない。 ○ 知的財産分野では、依然として多くの論点について意見が分かれており、 西村内閣府副大臣が「全く先行きが見えず、政治判断が必要な問題も残って いる」と述べるなど、難航している状況である。リークされたテキストによ れば、米国の主張に各国が反発し、対立する構造が目立っている。 ○ その他、国有企業や環境の分野においても、米国による新たな規制の提案 に対して、新興国が反対する構図が続いている。 ○ なお、詳細については、難航4分野における議論の構図を参照。

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2.国内の動向 ○ 12 月 18 日に開催された衆参農林水産委員会では、畜産物価格等に関する 決議がそれぞれ採択され、政府に対し、25 年4月に同委員会が採択した「TPP 協定交渉参加に関する決議」を遵守し、「確固たる決意をもって(TPP 交渉 に)臨む」ことを求めた。 ○ また、同日の参議院農林水産委員会の山田太郎議員(みんなの党)の質問 に対する政府の答弁のなかで、4月の衆参両院農林水産委員会決議に記載さ れた重要5品目のタリフライン586 品目のうち、輸入実績のないタリフライ ンの数が234 品目にのぼる旨が明らかにされた。 ○ 本件に関し、林農林水産大臣は、①低関税輸入枠を設定し、一定の輸入量 を超えた場合に高関税をかけている品目や、②加工品・調製品で、成分がわ ずかに異なる類似の品目には輸入実績がある品目については、仮に関税撤廃 すれば輸入急増が見込まれると指摘し、「単純に輸入実績がないだけで関税 撤廃に応じられるわけではない」と強調した。 ○ 安倍総理は1月6日、年頭記者会見においてTPP に言及し、「農産品の重 要5品目については、衆参農林水産委員会の決議をしっかりと受け止め、攻 めるべきは攻める、守るべきは守るとの方針で交渉に当たっている」と述べ る一方で、「国益をぶつけ合う中において、最終的な着地点をどう見出して いくか、知恵を出して大局的な判断をする」との考えも示した。

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3.米国の動向 (1)強まりつつある日本への圧力 ○ フロマン通商代表は、シンガポール閣僚会合について、全体としては「相 当進展」したと評価する一方で、日本との間では「我々が求めている意義 ある市場アクセスを達成するには不十分であり、引き続き作業をしていく」 と述べている。 ○ さらに、12 月 18 日には、豚肉団体の主導により、一般農業団体である ファーム・ビューローを含む 17 の主要な農業団体が「日本が農産物の保護 を主張し続けるのであれば、日本を排除したTPP の締結を検討するよう求 める」との書簡をフロマン代表等に送付しているほか、議会でも同様の声 明が出されるなど、日本抜きでの合意に言及する動きも出始めている。 (2)TPAをめぐる状況 ○ ボーカス上院財政委員長(民主党)、ハッチ上院財政委員会野党筆頭(共 和党)、キャンプ下院歳入委員長(共和党)は、1月9日、TPA 法案を議会 に提出(別紙)した。ボーカス上院財政委員長は、1月7日に次期中国大 使に指名されたことから、法案審議を急いでおり、16 日にも上院財政委員 会で公聴会を開催したい意向とされる。一方、下院歳入委員会には、その ような制約がないためか、法案審議の日程は全く明らかになっていない。 ○ 法案には、全議員の交渉文書の閲覧など、通商交渉における議会権限の 確保や、日本の金融政策を念頭とした為替操作への対応が盛り込まれたも のの、レビン下院歳入委員会野党筆頭(民主党)は、いずれも内容が不十 分として、直ちに不支持を表明するとともに、対案を提出するなど、下院 民主党からの支持が全く得られていない状況にある。 ○ また、労組を支持母体とする民主党が求めていた自由貿易協定による失 業者対策(職業訓練、失業手当等)を行う貿易調整支援制度(TAA)の更 新は含まれなかったが、オバマ政権側は引き続き更新を求めている。 ○ なお、次の上院財政委員長に有力視されているワイデン上院議員(民主 党・オレゴン州)は、TPP の秘密性を問題視してきた経過があることに加 え、現時点で法案内容へのコメントを発出していないことから、交代時期 を含め、TPA 法案のゆくえにどのような影響を及ぼすかについて、注視し ていく必要がある。

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Ⅱ.JAグループとしての取り組み方針 1.昨年の日米首脳会談以降の情勢変化とJAグループとしての運動の経過 ○ 安倍総理は、昨年2月22 日、オバマ大統領と日米首脳会談を行い、「両国 ともに二国間貿易上のセンシティビティが存在する」などとする日米共同声 明を発表し、会談後の記者会見で「『聖域なき関税撤廃』が前提ではないこ とが明確になった」との認識を示した。 ○ JA グループは、2月 28 日の全中理事会において、それまでの基本的考え 方を堅持したうえで、日米共同声明に対する考え方を以下のとおり確認した。  我々としては、共同声明は、TPP の特徴である「聖域なき関税撤廃」を前提 にしたものとしか理解できない。また、重要品目の除外が担保されていない。 こうした我々の認識と「『聖域なき関税撤廃』が前提ではないことが明確に なった」という認識では、明らかに異なっている。  政府が、「聖域なき関税撤廃が前提ではない」という認識に立つのであれば、 米、麦、牛肉、乳製品、甘味資源作物など我が国農業における重要品目の除 外を必ず実現しなければならない。  TPP 交渉は、農業問題だけではなく、ISD、食の安全・安心、医療、保険な ど、国のかたちを変える重要な内容を含むものであり、政権公約としての6 項目すべてが遵守されない限り、国民の信頼を得ることにならない。  政府は、我々の主張や自民党の方針を踏まえた方針を明確に確立しなければ ならない。こうした対応や進め方をしなければ、「聖域なき関税撤廃を前提 にする限り、交渉参加に反対する」など6項目の政権公約を遵守したことに ならない。 ○ その後、自民党外交・経済連携推進本部(会長:衛藤征士郎議員)、TPP 対策委員会(委員長:西川公也議員)における「TPP 対策に関する決議」 の決定を経て、3月 15 日、安倍総理による交渉参加表明に至った。 ○ JA グループは、萬歳会長が同日「拙速に参加表明した政府の姿勢は極め て遺憾である」などとする抗議声明を発表するとともに、4月4日の全中理 事会において、以下の3つの局面変化を念頭においた運動方針を決定し、以 降、TPP 交渉参加国に国内の状況や我々の主張を訴えるための取り組みに 全力を挙げるとともに、TPP の問題点を国民各層に広範に訴えていくため の運動を展開した。 ① わが国の交渉参加を未だ承認していない米国、豪州、NZ、カナダ、メキシコ が承認するまでの局面 ② 全ての交渉参加国から承認を得て、わが国が正式な交渉参加国となってから の局面 ③ 交渉が妥結に至り、条約が関係国によって採択され、国会で承認されるまで

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○ なお、衆参農林水産委員会は、自民党による決議を土台として、4月 19 日と 18 日にそれぞれ「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に 関する決議」を採択している。これらの決議の内容は、2月 25 日の全中理 事会の確認事項を踏まえたものとなっている。 ○ 4月 20 日には、交渉参加 11 カ国は、わが国の交渉参加を承認する共同 声明を発表し、米国の 90 日ルールを経て、7月 23 日、わが国は正式に交 渉参加入りした。 ○ わが国の交渉参加を受けて、JA グループは、8月8日の全中理事会での 決定にもとづき、国会および自民党による決議に即した交渉方針の確立を 政府に求め、我々の主張を交渉に反映させるための運動に重点的に取り組 んできた。 ○ これに対して、昨秋頃から、安倍総理をはじめ政府の主要閣僚が揃って「決 議を守る」と明言するようになり、国会および自民党による決議が事実上の 政府方針になりつつある。 ○ 交渉においては、フロマン通商代表が年内妥結を目指した交渉を強力に 押しすすめ、交渉参加後のわが国もそれに同調する形で、7 月マレーシア、 8 月ブルネイ、10 月バリ、12 月シンガポールと交渉会合を重ねてきたもの の、日米二国間協議で両国が譲歩の姿勢を見せないなど、難航分野におけ る米国と各国の意見対立が解消できず、年内妥結には至らなかった。 ○ この間、都道府県・地域段階においても、組織の総力をあげた TPP に関 する運動が展開されてきた。 【2013 年における TPP 対策に関する全国段階での JA グループの取り組み(一部抜粋)】 全国集会【3/12、10/2、12/3】、TPP 情報交換会【9 月】 中央要請【3 月、8 月、10 月、12 月】 各国在京大使館への要請【4 月】 海外農業団体との共同声明の発表【5 月、6 月】 代表団の派遣【6 月米国、9 月カナダ、10 月米国・アジア、11 月オセアニア】 米国通商代表部(USTR)への意見送付【6 月】 日本政府への意見送付【7 月】 交渉会合・閣僚会合への派遣【7 月、8 月、10 月、12 月】意見広告【3 月[3/11 統一行動日]、5 月、6 月[6/28 全県地方紙一斉]、7 月、10 月】 チラシ・パンフ作成【5 月】

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2.今後の見通しと運動の基本的考え方 (1)今後の見通し ○ 閣僚会合の共同声明で「実質的な進展が見られた」、「潜在的な着地点を特 定」などとされている点について、鶴岡首席交渉官は、「一定の範囲内に立 場の違いが収れんし始めていることを表現している」と語っている。 ○ しかし、これまで年内妥結を目指し強引な交渉を続けてきた米国と距離を 置く動きが新興国を中心にみられ、特に知的財産、国有企業などの分野で米 国が再び一方的な譲歩を迫った場合には、各国からの強い反発が予想される。 ○ 米国の業界団体・議会が日本抜きでの合意に言及するなど、対日圧力が先 鋭化しつつあるなか、米国は日本に対して強硬な姿勢を取り続けるとみられ る。さらに、日本国内の TPP 推進派が対日圧力に呼応した動きを見せない か警戒しておく必要がある。 ○ 米国内の主要な政治課題について、二大政党間で 11 月の中間選挙を見据 えた激しい駆け引きが予想されるなかで、TPP についても、今春までに妥結 しなければ、中間選挙後まで米国は政治判断ができなくなるとの見方が大勢 を占めており、4月のオバマ大統領のアジア歴訪までに合意に向けた道筋を つけたいとの米国の思惑どおりに交渉が進むかどうかが最大の焦点となる。 ○ その際、TPA 法案に関する動きも重要となる。とりわけ、法案提出者であ るボーカス上院財政委員長などは4月上旬までの成立を目指しているもの の、成立は中間選挙後になるとの見方も有力であり、成立時期の TPP 交渉 に及ぼす影響を注視していかなければならない。 ○ また、秘密交渉を続けてきた TPP に対して、米国議会が明確に情報開示 を求めたことから、わが国をはじめとする各国政府の姿勢にどのような影響 を与えるかが注目される。 ○ 一方、国内では、4月からの消費増税を控え、アベノミクス3本目の矢で ある成長戦略の重要な柱と位置付けられている TPP の早期妥結に向けた圧 力が今後さらに強まっていくことも想定される。 (2)春頃までの運動の基本的な考え方 ○ 政府の主要閣僚および与党幹部は、いずれも「TPP 交渉においては国会お よび自民党による決議を守る」と明言しており、シンガポール閣僚会合、安 倍総理の年頭記者会見でもその姿勢は貫かれている。

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○ 他方、西村内閣府副大臣が「次はまとめる覚悟でやらないといけない」と して、次回会合での交渉妥結を目指す考えを示すなど、次回閣僚会合が大き な山場となる。 ○ 一部マスコミにおいては、国会および自民党による決議が事実上の政府方 針になりつつあることに対して、交渉方針を修正すべきとの論調が目立ち始 めている。 ○ 一方で、日本経済新聞社が12 月 20~22 日に実施した世論調査では、「政 府は今後の(TPP)交渉にどう臨むべきか」との問いに対し、46%が「妥協 するくらいなら、合意すべきでない」と回答し、「合意するため、妥協はや むを得ない」(36%)を大きく上回るなど、譲歩ありきの拙速な合意を望ま ない意見が多数を占めた。 ○ JA グループとしての今後の運動においても、引き続き、政府・与党に対 して、国会および自民党による決議の厳守を、あらゆる手段によって、粘り 強く徹底して求めていくことが最も重要となる。 ○ 以上を踏まえ、次の3点を基本的な考え方として、1月から3月末までの JA グループの取り組みの具体策について、以下のとおり運動を展開してい くこととする。 1.政府・与党等への働きかけ  昨秋以降、安倍総理をはじめとする政府の主要閣僚および与党幹部は、 国会および自民党による決議を守るとの交渉姿勢を貫いており、実質的 な政府方針となりつつある。  今後、いかなる状況においても、一貫した姿勢で交渉にあたるよう、政 府・与党に徹底した働きかけを行っていく必要がある。 2.情報収集強化と適時的確な情報発信  難航分野では、米国とその他の参加国が対立する構図が大半となってお り、日米を中心とする二国間協議の動向が交渉進展の鍵となることに加 え、交渉が山場を迎えるにあたって各国の利害がより鮮明になる。  そのため、海外を中心に情報収集の強化に努め、収集した情報を国内に 広く速やかに発信していくことが重要となる。 3.広報対策・国民理解促進運動の強化  政府に拙速な妥協をさせないためにも、TPP への関心を高め、国会およ び自民党による決議の内容を周知し、我々の主張の正当性を訴えること で、改めて世論を喚起するための取り組みを実施する。  TPP は食料・農業だけでなく、国民生活に直結する広範な問題であるこ

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<別紙> 2014 年超党派議会貿易優先法概要 上院財政委員会、下院歳入委員会職員により作成 堅固な貿易アジェンダの策定:政権は議会と協議しながら、堅固で野心的な貿易協定アジェ ンダを追求する。  米国はアジア・太平洋地域の11 カ国、EU の 28 カ国との協定を交渉中であり、その他 22 か国とサービス貿易協定(TISA)、WTO に加盟する 159 カ国との交渉も行っている。  アジア・太平洋地域やEU との交渉を合わせると、世界の GDP の 3 分の 2 近く、世界 の貿易の 65%を占める 10 億人近くの消費者の市場を開くことになる。TISA は世界の GDP のおよそ 50%、世界のサービス貿易の 70%以上を占める。  2007 年に失効した TPA の更新は、これらの交渉を成功裏に妥結するため、議会による 実施法案の審議に必要となる。 現行法の強化・改善:2014 年版 TPA は 3 つの要素からなる。  議会で制定された交渉目的を通じて、議会の権限を追求するよう政権を方向づける。  交渉の前後・最中において、そのプロセスが議員・国民に対して開示された、透明性の あるものにする堅固な協議、必要とされる情報の入手を確立する。  議会の権限を守り、最終的な実施法案に修正を加えることなく、投票のみの手続を通じ て貿易協定を承認する最終的発言権を議会に与える。 交渉目的を21 世紀版に更新:TPA を通じて、議会は政権に対し、明確で野心的な交渉目的 を提示し、米国の貿易相手国に議会の期待するものを通知する。2014 年版 TPA は、米国の 貿易協定が米国の物品、サービス、投資のために市場を開く、世界で最高のものとなるよう、 現行の交渉目的を更新・現代化するものである。  デジタル時代に合わせた新たな物品・サービス貿易の目的の確立:新しく拡大された条 項は、全ての経済分野に利益を創出する上でのサービスの役割を認識し、野心的なTISA 交渉を奨励するものである。その目的は、国際的なデータ・フローの保護も含め、デジ タル貿易を促進し、国際間商取引におけるインターネットの重要性を認識するように更 新されている。  農業の規定の強化:更新された条項は、衛生植物検疫措置に関する堅固で拘束力のある 規定を追求し、地理的表示の不適切な使用に対処するものである。  投資のためのバランスのとれた目的の維持:2014年版TPAは国際投資における障壁を撤 廃し、不公平な処遇から米国の投資家を保護する強固な目的を維持する。  知的財産の保護:更新された条項は、サイバー犯罪に対処し、貿易機密を保護し、合法 的なデジタル貿易を促進するものである。交渉目的は、貿易協定が米国内法に見られる ような知的財産の保護における高い水準を提示し、貿易協定が技術革新を発展させ、医 薬品へのアクセスを促すようにする。

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 労働・環境分野における更新:更新された条項は、その他の強制事項と同様の論争調停 法や解決法を採用し、米国の直近の貿易協定を反映している。貿易相手国に国際的に認 知された主要な労働基準を実施する措置を採用・維持すること、米国が参加する貿易・ 投資・多国間環境協定に影響する形で、それらを放棄したりその価値を損なったりしな いことを求めている。  通貨操作への対処:新たな交渉目的は、協力的メカニズム、拘束力のある規定、報告・ 監視、透明性の増大などの手段を適宜に用い、貿易相手国が為替レートを操作すること を回避するように導く画期的なものである。  国有企業の影響への対処:新たな交渉目的は、国有企業に起因する貿易の歪曲や不公平 な競争を撤廃し、国有企業が商業的報酬にのみ基づいて活動することを求めるものであ る。  規制活動の改善の追求:新たに更新された条項は規制活動、規制の一貫性や両立性、規 制や基準基準作成のプロセスにおける透明性の改善を意図し、また政府の規制に関する 償還制度が透明性を保ち、公平な手続を設定し、差別的でないことを保証するものであ る。  貿易のローカリゼーションにおける障壁への対処:新たな交渉目的は設備の強制的なロ ーカリゼーションやそれに関連する物品・サービスの輸出における障壁に対処する。  世界のバリューチェーンの促進:新たな条項は世界のバリューチェーンにおける米国の 参加を奨励し、貿易協定が、相互関連を強め分野が広範化していく貿易・投資活動の性 質を反映したものにする。  拘束力の強化:貿易協定において、大統領が強固な論争調停メカニズムを確保するよう 導く。  貿易の解決法の保護:貿易関連法を厳格に施行する米国の能力を保護する。 議会や国民との協議の強化:新しく拡大された条項は議会の権限を強め、交渉において議会 が意義深い役割を果たすようにする。  文書の入手の確約:全ての議員が交渉文書を入手できるよう法的に確約する。  議会の協議の強化:いかなる時でもUSTRが関係する議員と会合し、協議することを求 める。交渉の前後、最中において、協議要件の範囲を拡大する。  交渉プロセスにおける全ての議員の参加:いかなる議員であっても、議会顧問として指 名され、交渉ラウンドへの参加を認められるようになる。  交渉に関する両院諮問委員会の設立:進行中の貿易交渉を監督する両院の諮問委員会を 設立し、定期会合の開催を求める。議員には意見の提出を認める。  透明性の向上、国民・諮問委員会との連携強化:国民の参加および諮問委員会との情報 共有に関する書面でのガイドラインを通じた国民の参加、国民との協調のためのプロセ スと同様に、透明性を求める。 実施法案に関する議会の統制力の保持:新しく拡大された条項は、実施法案に対する議会の

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 厳格な報告義務の制定:貿易協定の影響に関する報告義務を拡大する。全ての報告は公 表されるものとする。  米国の主権の保護:新たな条項は、議会の行動なしに貿易協定によって国内法が変更さ れることはないと定めている。  実施法案の適用範囲の明確化:実施法案が、貿易協定を「実施するのに厳密に言って必 要または適切とされる条項のみ」を含むことを明確にする。  議会の監督強化:TPAの手続が規定の期間内に妥結された協定にのみ適用されるように し、効力を発生させる手続を強化する。  進行中の交渉に対する監督権の確約:監督や協議の義務を含め、TPAが進行中の交渉に 適用されることを確実にする。  強固で包括的な否認プロセスの制定:交渉目的を満たす上で、協定の進捗が不十分であ る場合、TPAは却下される可能性がある。新たな文言は全ての通知・協議の義務にまで 不承認を拡大する。

参照

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