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183 *, ** *, ** *** 児童青年精神医学とその近接領域 57( 1 ); (2016) 背景 : 東日本大震災は, 東北三県を中心に多くの被害をもたらした 被災後, 成長過程にある子どもは, 成人とは違った子ども特有の心的影響を受け, 支援が必要とされるものと考えられる

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Ⅰ.はじめに  2011年 3 月11日に発生した東日本大震災は岩 手,宮城,福島の東北三県を中心に多くの被害 をもたらした(岩垂,2013)。被害をうけた大 人だけではなく,子どもも分離不安や退行現象 などの子ども特有の問題が存在し,ケアの必要 性があることが示されている(藤谷ら,2011)。  大震災などのような非日常的な悲惨な体験の もたらす影響についての研究は,第一次大戦に おける兵士の shell-shock あるいは traumatic neurosis と呼ばれる疾患の調査に始まったとさ れている(Rado, 1942)。子どもへの影響を論 じた研究は,やはり戦争にまつわる体験を中心 に始まっている。第二次大戦中,空襲下のロン ドンから避難した子どもたちの様子を記載した, Anna Freud のハムシュテッド保育所報告に始 まり(Freud, 1973),その後はしばらく,戦争 時の体験とのかかわりに関する研究が目立って いる(植本ら,2000)。1980年代からは,スク ールバスごと誘拐され,地中に閉じ込められて いた子どもたちの事件など(Terr, 1981, 1983) を始めとして,犯罪や事故の被害者に関する調 査も報告されるようになった。  しかし,市川ら(2014)が国内での文献研究 を行ったところ,自然災害の被害を受けた子ど もの心理に関する研究は少なく,メンタルケア についても積極的に介入したという報告はほと んどされていないという。一方,海外では戦争

〈総 説〉

奥山 純子*

,

**,舩越 俊一*

,

**,本多 奈美***

地震を経験した子どもの心理的問題についての文献検討

児童青年精神医学とその近接領域 57( 1 );183─194(2016) 背景:東日本大震災は,東北三県を中心に多くの被害をもたらした。被災後,成長過程にある子ど もは,成人とは違った子ども特有の心的影響を受け,支援が必要とされるものと考えられる。 目的:本稿の目的は,これまで行われてきた震災を受けた子どもの心理的問題についての研究を概 観し,その特徴について検討することにある。 方法:文献検索サイトからキーワード検索にて得られた文献を検索した。 結果:文献レビューにより, 3 つのテーマに分類できた。テーマ 1 :地震に被災した子どもの PTSD について,テーマ 2 :地震に被災した子どもの心理的問題について,テーマ 3 :心理的問題 に影響をあたえるリスク因子,であった。地震による子どもの心理的問題の研究は,ほとんどの調 査において,PTSD を中心に行われていた。震災後の PTSD は,年齢,身体疾患,社会的支援, 性別および津波の経験に相関していた。思春期の年代は,PTSD の症状を呈しやすいハイリスク群 であり,継続介入の必要性が高いことが理解できた。また,東日本大震災の特徴の一つである,津 波の被害を受けた子どもは震災以上に心理影響が高く,よりメンタルヘルスケアが重要であること が見出された。

Key words:adolescents, children, depression, Great East Japan Earthquake, Posttraumatic Stress Disorder(PTSD) ***東北大学大学院医学系研究科地域精神医療講座 ***宮城県立精神医療センター ***〒981-1231 宮城県名取市手倉田字山無番地 ***e-mail: junko.okuyama.123@gmail.com ***東北大学大学院医学系研究科精神神経学分野 2014年 7 月17日受稿,2015年 3 月21日受理

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件であった。結果的に,文献のほとんどが,地 震の被害を受けた子どもの PTSD を対象にし た研究であった。 Ⅲ.結果  大地震の被害者の心理的問題について研究さ れた文献の中で,特に子どもについての文献を レビューしてみると,研究内容から考えて以下 の 3 つのテーマが導き出された。 1 .地震に被災した子どもの PTSD について 2 .地震に被災した子どもの心理的問題につい て 3 .心理的問題に影響をあたえるリスク因子  以下では,この 3 つのテーマに沿って結果を 述べる。 1 .地震に被災した子どもの PTSD について  地震の被害を受けた子どもの心理について研 究を行った文献のほとんどが PTSD を対象に しており,英語文献で163件,日本語の文献で 130件が検索された。  1980年のイタリア大震災に被災した小学生の 調査が,地震に関する子どもの心理的問題を扱 った最初の研究である(Galante et al., 1986)。 この研究では,教師が小学校の生徒300人を対 象に Rutter Behavioral Questionaire に記入す る形で,震災に関連した不安や恐怖を評価して いる。 1 年間,段階的に地震を再体験するとい う治療を行った結果,神経症や反社会的な問題 を起こすリスクスコアを下げることができたと している。  その後の研究では,成人を対象にした研究に おいて PTSD に焦点をあてたものが主である (Armenian, 2002)のと同様に,被災した子ど もにおいても PTSD を対象にした研究がほと んどである。  1988年12月 7 日に発生したアルメニア大地震 では,25542名にのぼる死者がでたとされている。 その地震発生 1 年半後,Pynoos ら(1993)が 行った調査において,初めて被災地の子どもの PTSD についての調査が行われた。ここでは や犯罪,事故ではなく自然災害の被害を受けた 子どもについて,Burke ら(1982)がブリザー ドとそれに続く洪水の被害を受けた 6 , 7 歳の 子どもたちの反応について報告しているのを始 めとして,地震,ハリケーン,津波などの影響 が論じられているようである(宇佐美,2013)。  そこで今回は,国内外の文献を検討すること で,自然災害,特に地震を経験した子どもの心 理的影響の実態を明らかにし,東日本大震災後 の子どものケアに生かすことへの示唆を得るた めに文献検討を行った。 Ⅱ.方法 1 )研究方法:文献検討 2 )検索方法:Medline,Pub Med,医学中央 雑誌 Web 版といった文献検索サーチにより 1990年 1 月から2014年12月までに発表された, 全ての Source Types(学術専門誌,定期刊行物, 学術論文)から文献検索を行った。検索語を Earthquake(地 震),Children(児 童 / 小 児), Psychology(心理)とし,AND 検索をしたと ころ236件の文献が得られた(英語文献:186件, 日本語文献:133件)。英語文献では186件中116 件が四川大震災を対象に研究が行われたもので 最も多く,ハイチ地震を対象にした81件の文献 が次に続いた。日本語文献133件のうち,東日 本大震災を扱ったものは105件であり,阪神- 淡路大震災については14件,新潟-中越地震に ついては 8 件,その他はハイチ地震など海外の 震災を対象にしたものであった。これらの文献 のうち,大地震それぞれについての研究で最初 のものを表 1 にまとめた。  テーマとしては震災後の子どもの PTSD を 対象としたものが,英語文献で163件,日本語 の文献で130件であった。抑うつについて調べ ていた英語文献は83件であり,不安を調査対象 とした英語文献は61件であった。近年,精神的 回復力=レジリエンスが注目されているが,レ ジリエンス尺度を用いて調査を行った文献は英 語文献,日本語文献どちらにおいても2011年以 降のものであり,英語文献10件,日本語文献14

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1  震災後の子どもの心理を対象にした研究 災害 M ed lin eでの 件 数 ( うち 日 本 語 文 献 ) 医中誌で の件数 最 初 の 研 究 研究者 研究年 調査対象者 平均年齢 調査方法 1980年11月23日イタリア地震 19 Galante ら 1981年 300名 教師が記入した Rutter Behavioral Questionnaire 1988年12月 7 日アルメニア大地震 19 1 Pynoos ら 1989年 231名 Children’s Post-traumatic Stress Disorder Reaction Index(CPTSD-RI) PTSD について聞き取り調査 1995年 1 月17日阪神 -淡路大震災 24(5) 46 植本ら 1995年 2000名 無記名の質問紙によるアンケート 2004年10月23日新潟 -中越地震 7(4) 34 Endo ら 2006年 599名 10.8歳 Post-Traumatic Symptom Scale-10 (PTSS-10) 2004年12月26日インド洋大津波 21 Thienkura ら 2006年 371名 7 -14歳 PsySTART Rapid Triage System UCLA PTSD Reaction Index (PTSD-RI) Birleson Depression Self-Rating Scale 2008年 7 月22日四川大地震 116 1 Fu ら 2009年 2132名 11.7歳 Connor-Davidson Resilience Scale (CD-RISC) UCLA-PTSD Index for DSM-Ⅳ Birleson Depression Self-rating scale (DSRS) 2010年 1 月12日ハイチ地震 81 1 Yim ら 2014年 スポーツ選 手104名 13.4歳 主訴,現病歴,身体所見を調査 Child Psychosocial Distress Screener (CPDS) 2011年 3 月11日東日本大震災 43(11) 105 Takeda ら 2011年 女性1180名 16.7歳 月経困難症に関して 4 段階評価 Impact of Event Scale-Revised (IES-R)

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時代によってどの範囲まで PTSD の症状とし てとらえるか,あるいは何を PTSD の症状と して重視するかが異なり,それとともに調査票 も変化していると考える。先行文献ごとの発症 率の違いは,この概念の変化が反映している可 能性がある。  文献により,発症率は異なるものの,震災後, 子どもに一定の割合で PTSD が生じることが 明らかとなった。Sahin ら(2007)は,1999年 のトルコ地震後の子どもと青年を対象にした 研 究 で,PTSD ス コ ア(children’s Perceived Posttrauma Stress Symptoms Scale: PPTSS による)と学業成績が負の相関にあることを示 している。つまり,PTSD が子どもたちの将来 にも影響を及ぼす可能性を持つということであ る。これらの研究により,震災後の子どもに PTSD が生じ,それに対するケアの必要性を明 らかにすることができた。 2 .地震に被災した子どもの心理的問題につい  Medline で,検索語を Earthquake(地震), Children(児童 / 小児),Psychology(心理), Depression(抑うつ)とし,AND 検索をした ところ52件の文献が得られた。そのなかで, PTSD に触れずに抑うつのみ調査していた英語 文献は 7 件であった。  同 様 に Medline で,検 索 語 を Earthquake (地 震),Children(児 童 / 小 児),Psychology (心 理),Anxiety(不 安)と し,AND 検 索 を したところ36件の文献が得られた。不安のみを 調査対象とした英語文献は 9 件であった。  Goenjian(1993)は,1988年のアルメニア大 地震発生後 6 カ月目の子どもや青年を対象にし た調査で,PTSD 発症率は74%であり,大うつ 病性障害は22%がり患していたと報告している。 また Goenjian ら(1995)はアルメニア地震の 被害を受けた218名の小学生を対象に PTSD, 抑うつ,さらに分離不安について調査を行い, PTSD と抑うつは高頻度に認められ,両者に強 い相関関係があったとしている。分離不安につ DSM-Ⅲ-R に 基 づ い た 臨 床 評 価 と,調 査 票

(Children’s Post-traumatic Stress Disorder Reaction Index: CPTSD-RI)を用いた調査が 行われた。この研究では,最も被害が大きかっ た 2 つの都市,Spitak および Gumri で慢性の 強い外傷後ストレス反応が高い頻度でみられた という。震源地の Spitak においては92%の子 どもが PTSD の症状を示していたことを明ら かにしている。  Hsu ら(2002)は,1999年 9 月 2 日発生した 台湾地震(マグニチュード7.3)の震源地に近 い地域(Chugliao)における中学生(12-14歳) を対象にした調査を行っている。Children’s Interview for Psychiatric Syndromes を 用 い て精神科医が PTSD の診断を行い,21.7%が PTSD と診断されると報告した。この研究では, 被災地の思春期の子どもの PTSD 発症率が, 先行研究で報告された発症率ほど高くないとし ている。  Ma ら(2011)は四川大地震の発生後 6 カ月 目に,震源地周辺の3208人の10代の子どもを対 象にした研究を行っているが,ここで報告され ている PTSD 発症率はさらに低い。Children’s Revised Impact of Event Scale(CRIES)を スクリーニングにして用い,スコアが30を超え たものを対象に,精神科医が DSM-Ⅳを用いて PTSD の診断をつけた結果,全体の中で2.5% が PTSD を示していると報告している。この ような PTSD 発症率の差は,Hsu ら(2002) は調査法の違いによるものではないかとしてい る。Ma ら(2011)は個人の特性や研究方法に よるものではないかと考察している。  それらの要因に加え,さらに考慮すべき点と し て PTSD の 概 念 の 変 化 が あ る。つ ま り, PTSD は1980年の DSM-Ⅲに初めて登場して以 来,さまざまな検討を経て,現在まで用いられ てきた。金(2012)によれば,例えば DSM-5 の PTSD カテゴリーでは認知の障害と解離症 状が強調されており,過覚醒症状の中に境界性 パーソナリティとも思われる自己破壊的な行動 が含まれていることが特徴である。このように,

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を調べる尺度を変えれば相関関係が出てくる可 能性がある。  以上の結果から,地震に被災した子どもの心 理的問題については,その研究初期から主に PTSD を中心に研究が進められてきたことが分 かる。発症率や他の心理的問題との関係,そし てリスク要因の分析やケアの重要性が述べられ てきた。  ところで Cerda(2014)によれば,ここ10年 間,災害とメンタルヘルスに関する研究は, PTSD に焦点をあてたものから,災害後の回復 力=レジリエンス(Resilience)に関するもの にシフトしつつあるという。レジリエンスとは, 「非健康的な環境の中で健康を維持するための キャパシティ(Hiew et al., 2000)」 「ある時間 内で,病気,心の混乱,逆境の悲観の淵から立 ち直る力(祐宗,2000)」 と説明されている概 念である(仁尾,2008)。地震被害にあった子 どものレジリエンスをテーマにした文献は2011 年以降よりみられ,英語文献は10件,日本語文 献では14件であった。  Fu ら(2014)が行った研究が,被災地の子 どものレジリエンスの研究を行った最初のもの である。Fu らは,2008年に起きた四川大震災 の被災者である2132人の子どもや青年を対象に Connor-Davidson Resilience Scale(CD-RISC) を用いてレジリエンスを測定し,社会文化的背 景が異なっていても,レジリエンスを測定でき ることを示した。レジリエンススコアは社会的 支援と正の相関を示し(r=0.44),抑うつ(r =-0.38)や不安(r=-0.25)とは負の相関関 係にあった。舩越ら(2014)によれば,東日本 大震災後, 1 年 4 カ月経過した時点の高校生に 対する研究で,校舎が使用不能になり,仮設校 舎で授業を行っている高校に,低いレジリエン スを認めたとしている。地震被害にあった子ど ものレジリエンスについての文献は,10件中 6 件が四川大震災を対象にしているなど,対象地 域に偏りがあり,また研究年数も2011年以降と 浅い。また,Cerada(2014)によれば文献ご とにレジリエンスの定義が異なっていると指摘 いては,被災地で広範囲の子どもに認められた としながらも,その頻度は低かったという。  同様の結果は,1999年 9 月 7 日ギリシャのア テネ北部で発生した地震を対象にした調査でも 得られている(Koliaitis ら,2003)。彼らは, 2 つの小学校に通う115名の生徒を対象に The Children’s Post-traumatic Stress Disorder-Re-action Index(CPTSD-RI)を用いて PTSD を, The Children’s Depression Inventory CDI) を用いて抑うつ症状を,The Screen for Child Anxiety Related Emotional Disorders (SCARED)で不安について調べている。地震 発生後 6 カ月の時点で,軽微なレベルまで含め ると PTSD 発症の頻度は78%と高く,また抑 うつ症状についても32%と頻度が高かった。こ の両者の間には強い相関関係が認められた。 PTSD 症状と不安については,不安についての 質問紙のなかで 「回避」 の項目にのみ相関関係 が認められた。  地震の被害にあった子どもの抑うつについて の み 調 べ た 文 献 の 1 つ と し て は,Vehid ら (2006)が1999年トルコのマルマラで発生した 地震の被害を受けた3609名の学生を対象にした 調査がある。ここでは,The Beck Depression Inventory(BDI)を用いて調査し,Mild な抑 うつ状態と診断されたのは71.5%,Severe と 診断されたのは9.6%であった。この調査にお いて,16.7%が自殺念慮の傾向があるとされた。  不安のみについては,Xu ら(2012)が the Revised Children’s Manifest Anxiety Scale を 用いて四川大震災後 1 年目に行った調査がある。 四川省北部の青川県の 7 -15歳の子ども21652名 を対象にした調査で,18.9%が不安症状を呈し ていたとの結果を出している。先に述べたよう に,PTSD と抑うつ症状には相関がみられたも のの,不安症状には相関が認められなかったと する文献が多いが,Asarnow ら(1999)の文 献では,1994年 1 月17日,アメリカ合衆国で発 生したノースリッジ地震を対象にした調査を行 った結果,潜在する不安障害が PTSD 発症の リスクファクターであるとしており,不安症状

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学年(小学校 3 年生)に PTSD が認められて いるとされている(植本ら,2000)。これにつ いては Uemoto ら(2012)は,年少であるほど, 生命を脅かすような心的外傷ストレスに対処す るための十分なスキルを持っていないからでは ないかと考察している。  他の文献ではいずれも年齢が上がるにつれ PTSD ス コ ア(Post Traumatic Stress Symp-toms for Children 15 items: PTSSC-15 に よ る)が悪化している(Usami et al., 2012;岩 垂ら,2013)。12歳から75歳までを対象にイン ド洋大津波後の抑うつや不安を調べた調査では, 12歳から17歳の群が最も精神的問題が大きかっ たと報告されている(Musa et al., 2014)こと から,中高校生までは年齢依存的に PTSD ス コアが悪化し,それ以降は年齢の影響は受けな いのではないかと予想される。  高校生が最も PTSD スコアが悪化する要因 されている。しかし,レジリエンスに関係する 因子を特定できれば,震災後の長期的予後を改 善できる可能性があり,今後のさらなる研究が 期待されている。 ₃ .心理的問題に影響を与える因子  子どもを対象とし,心理的問題に影響を与え る因子を検討した英語文献として37件あり, PTSD に影響を与える因子の概要をに図 1 に示 した。 1 )年齢の影響  Giannopoulou ら(2006)は,1999 年 の ア テ ネ地震の被害を受けた 9 -17歳の子どもを対象 に調査を行い,年少の子どものほうが PTSD や抑うつ症状を示したと述べている。阪神淡路 大震災が小中学生に及ぼした心理的影響の調査 においてでも,高学年(中学校 2 年生)より低 図1 PTSD に影響を与える因子図1.PTSDに影響を与える因子 地震の被害を受けた子ども PTSDの悪化 震災後2年目 年齢が高い 親の精神状態が悪い 津波の影響 被害が大きい 女児である (Endoら , 2007) (Kiliç et al, 2003) (植本ら, 2000) (Kuwabara et al, 2014) (Usami et al, 2012) (岩垂ら, 2013) (Masa et al, 2014) (Uemotoら, 2012) (Usamiら, 2012) Masa et al, 2014 「年齢が低い」方が悪化 という説もあり (Giannopoulou,2006) (植本ら, 2000) (Ye et al, 2014) ( 塩山ら, 2000) (Thienkra et al, 2006) メンタルケアがなさ れなかった (Goenjian et al, 2005)

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ず,年齢などの多因子を考慮した心理的ケアが 必要であると考えられる。

₃ )性別の影響

 性別では,女児のほうが男児よりも高い PTSD スコアを示す傾向にある(植本ら,2000; Kuwabara et al., 2014)。Pynoos ら(1993)は, アルメニア地震において,女児が男児よりも恐 怖感が持続するという報告をしており,それが 影響している可能性がある。また,女性の方が より強く感情表現をしたり(Milgram et al., 1988),もともと持っている不安のレベルが高 かったり(Shannon et al., 1994)するなどの文 化的背景によるものかもしれない。  不安や抑うつ症状については,PTSD と同じ く女児のほうが男児よりも心理検査上高いスコ アにあるという結果が出ている(Giannopoulou et al., 2006)一方,Goenjian ら(1995)は抑う つ,分離不安ともに男女差がなかったとしてお り,結論はでていない。  Takeda は東日本大震災の被害を受けた女子 高校生における,PTSD の症状と月経困難症の 関係について調べ, 2 者間に相関が認められた としている(Takeda et al., 2013a)。そのため, 高校生の女児は特に,精神状態と身体状態をケ アすべきと述べている(Takeda et al., 2013b)。 ₄ )時間経過  災害による PTSD は,長期間子どもに影響 を及ぼすとされる(Beauchesne et al., 2002; 植本ら,2000;Veenema et al., 2002)。地震に よる PTSD を経過観察した研究のひとつとし ては,四川大震災の被害を受けた青年を対象と した研究があり, 2 年間の経過を追っている (Ye et al., 2014)。抑うつ症状は, 6 ,12,18, 24カ月目で,27.4,41,31.9,38.3%にみられ たとされ,被災後 2 年経過しても,精神症状が 改善していないことが示されている。阪神淡路 大震災後,23カ月までの小中学生の経過を追っ た研究では,抑うつ気分や身体化徴候は 6 カ月 後を頂点とする山なりの変化で,23カ月後によ として,高校生になると,将来の進路について 決定する必要があり,進路に関する悩みが大き くなることがあげられている(塩野谷ら, 2005)。舩越らは出来事インパクト尺度(Im-pact of Event Scale-revised: IES-R)を用いて 高校生を対象に PTSD について調べ,学年が 上がるとともに,不安が高まる傾向にあること を見出した(舩越ら,2014)。これは,被災地 という悪環境のなかで,人生の進路選択を行わ なくてはならないストレスが,学年が上がるご とに上昇することが考えられている。  以上を概観すると,ほとんどの文献において 子どもにおいて高校生の年代が最も PTSD の 症状を示しやすいとされているものの,中には 年少であるほど PTSD は深刻化するというデ ータもあり,それぞれその要因について考察が なされている。このデータのばらつきの一因と しては,先に述べたように PTSD の概念が時 代とともに変化し,それを調べる調査票や調査 対象も変化していることが考えられる。2004年 のインド洋大津波以降の研究では年齢依存的に PTSD が悪化しているというデータとなってい ることから,最も PTSD が悪化していると考 えられる高校生を対象とした調査研究が求めら れるものと考える。 2 )被害状況が与える影響  分 類 さ れ た 英 語 文 献 は, 4 件 で あ っ た。 Giannopoulou ら(2006)は,抑うつ症状が被 災状況に相関したと述べている。Uemoto ら (2012)は,阪神─淡路大震災の被害を受けた 小中学生を対象に調査を行い,家や家族に地震 被害が大きいほど,恐怖,不安,抑うつおよび 身体症状が悪化するというデータを出している。 Usami ら(2012)は,被災状況と PTSD スコ アは相関していることを示した。Kuwabara ら (2014)の小学校 4 年生から 6 年生,および中 学生を対象にした調査では,中学生のみ被災状 況 と PTSD ス コ ア(15-item Post Traumatic Symptom Scale for Children: PTSSC-15)が相 関した。これらのことより,被災状況のみなら

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Children(児童 / 小児),Psychology(心理), Parents(両親)とし,AND 検索をしたところ 20件の文献が得られた。医中誌で同様の検索語 で国内の文献を調べると 1 件あった。  Endo ら(2007)の報告によれば,地震後 1 カ月の両親の精神状態の悪さが,学童期の子ど もの PTSD 関連行動変化と相関していた。被 災した子どもの PTSD の重症度は父親の抑う つ気分に影響を受けており,子どもの不安は家 族機能と相関していた(Kiliç et al., 2003)と いう報告もある。一方で,家族の地震に対する 反応と,子どもの心理状態に相関は認めなかっ たという報告(Kolaitis et al., 2003)もあり, 結論が分かれている。  繁田ら(2005)は中学 2 年生を対象にした調 査で,震災時に家族と一緒にいても安心感の得 られなかった生徒は,自宅の被害が大きかった ものが占める割合が高かったとし,Proctor (2007)は地震発生後の両親の心理状態も子ど もに影響を与えるのと同様に,地震発生前の家 族関係も影響すると述べている。つまり被災時 に親が受けたストレスのみならず,生活再建に 向けた生活状況や,もともと両親が持っていた 対処能力などが子どもの心理状態に大きく影響 するものと考えられ,子どもの心理的安定のた めには,家族の一刻も早い生活状況の安定が必 要と言える。 ₆ )津波の影響  今回の東日本大震災のように,津波が大きな 影響を与えた地震被害についての報告は,2004 年のインド洋大津波が初めてである(Thienkra et al., 2006;Cas et al., 2014)。津波を見るな どの直接的な津波被害を受け,居住地を移した 子どもたちは,高い割合(75%)で PTSD を 示し,被害はあったが移動しなかった子どもた ち(55%)や被害のなかった地の子どもたち (28%)と有意な差が見られた(P<.001)。今 回の東日本大震災においても,地震被害のみな らず,津波が大きな影響を与えており,PTSD 症状もより大きくなるものと予想される。これ うやく 4 カ月後のレベルに戻ったことを示して いる(塩山ら,2000)。東日本大震災後, 8 カ 月と20カ月の調査を行った Iwadare らの研究 では,小学生では PTSD スコアは改善してい るが,中学生は変化がなく高かったとしている (Iwadare et al., 2014)。  Najarian ら(2011)は,1988年のアルメニア 大地震の被害にあった子どもの20年後の経過を 調べている。地震発生から約 2 年目に 1 回目と して調査を行い,20年後の2008年に 2 回目とし て再調査した。初回でも 2 回目でも,Symptom Checklist-90 Revised(SCL-90-R)と UCLA PTSD Reaction Index(RI)を調査票として用 い,臨床面接で確認を行っている。 1 回目には 60%が PTSD を呈していると診断されたのに 対して, 2 回目の PTSD や抑うつについての 調査では対象群と差がなかった。一方,不安に 関しては対象群よりも高い値を示していたが, 地震体験は心理的問題に対するレジリエンスに 影響を与えていないとしている。  子どもではなく,16歳以上を対象にした(平 均年齢47.9歳)震災後の PTSD の経時変化に ついてみると,四川大震災後 3 年目の調査があ る(Wen et al., 2012)。被害の大きかった地域 で,震災後 3 カ月目にとったデータでは45.5% が PTSD を 示 し た と さ れ る が(Kun et al., 2009),同じ地域を対象にした 3 年目の調査で は8.8%に減少していたという。Wen らは, 3 カ月から 3 年目までの時間経過が,PTSD の改 善に寄与したのではないかと考察している。  この結果から推察すると,震災後の子どもに みられる PTSD も, 2 年目をピークとして, 以降改善していく可能性があるが, 3 年目に至 っても一定の割合で PTSD を示すものが存在 すると考えられる。以上より,今回の東日本大 震災においても,震災直後のみならず数年単位 で調査を行い,明らかにする必要があるといえ よう。 ₅ )親の影響  Medline で,検索語を Earthquake(地震),

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 本総説作成にあたりまして,宮城県女医会研究助 成のご支援を賜りましたこと,深謝申し上げます。 COI 開示  本発表に関連し,開示すべき COI 関係にある企 業等はない。

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Purpose: This paper reviews the results of research into psychological outcomes follow-ing the catastrophic earthquake in children and adolescents to determine methods of ef-fective support.

Method: Literature and articles retrieved us-ing multiple medical search engines with earthquakes, children, and psychology as key-words were reviewed and classified into three categories by theme. Theme 1 : PTSD in children following earthquake disasters. Theme 2: Mental problems harbored by chil-dren after disastrous quakes. Theme 3: Risk profiles affecting such mental problems. Results: Most studies on the mental issues af-fecting children in the aftermath of earth-quake disasters focused on PTSD. Post-earth-quake PTSD was found to be correlated with age,

somatic disorders, social aid, sex, and experi-ence of tsunami. Adolescexperi-ence is a high-risk group prone to present PTSD, suggesting greater need for continuous intervention for this age group. Moreover, it was found that children experiencing the tsunami–a principal feature of the Great East Japan Earthquake —suffered mental consequences beyond those affecting victims of conventional earthquakes, pointing to the critical need and significance of subsequent mental health care for adoles-cents exposed to the Great East Japan Earth-quke.

Author’s Address J. Okuyama

Department of Community Psychiatry, Tohoku University Graduate School of Medicine

Tekurada-azayama, Natori, Miyagi 980-8574, Japan

AREVIEWOFPSYCHOLOGICALREACTIONSTOCATASTROPHIC

EARTHQUAKESINCHILDRENANDADOLESCENTS

Junko OKUYAMA, Syunichi FUNAKOSI

Department of Community Psychiatry, Tohoku University Graduate School of Medicine/ Miyagi Psychiatric Center

Nami HONDA

参照

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