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急性心不全患者の治療経過における血中マイクロRNA-122-5pの変動は急性心不全に伴う肝障害を反映する

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Academic year: 2021

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Title

Dynamic changes of serum microRNA-122-5p through

therapeutic courses indicates amelioration of acute liver injury accompanied by acute cardiac decompensation( Abstract_要旨 )

Author(s) Koyama, Satoshi

Citation Kyoto University (京都大学)

Issue Date 2018-03-26

URL https://doi.org/10.14989/doctor.k20985

Right Final publication is available athttps://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5396046/

Type Thesis or Dissertation

Textversion ETD

(2)

京都大学 博士( 医 学) 氏 名 小 山 智 史

論文題目

Dynamic changes of serum microRNA-122-5p through therapeutic courses indicates amelioration of acute liver injury accompanied by acute cardiac decompensation (急性心不全患者の治療経過における血中マイクロRNA-122-5p の変動は急性心不全に 伴う肝障害を反映する) (論文内容の要旨) 鬱血性心不全は様々な基礎心疾患より生じ、またその重症度も急激な転機を 辿り死に至る不良なものから年余にわたって経過観察可能なものまで様々であ る。心不全の診断・管理能力の改善は疾病予後の改善に重要である。この目的 で多くのバイオマーカーが研究され臨床現場にて頻用されている。しかし、心 不全の診断や病態の理解について既存のマーカーだけでは不十分な面も多く残 されており、新たなマーカーの開発が待たれている。 近年新たなバイオマーカーとして血液中のマイクロ RNA が注目されている。 マイクロRNA は短い非コード RNA で脂質膜小胞に包まれて細胞外に分泌され る現象が知られている。分泌されたマイクロ RNA は分解を免れつつ血液中を 循環しており、血清サンプルから抽出し正確に定量することが可能である。こ のようにして定量された血液中のマイクロ RNA は疾患の影響によって変動し バイオマーカーとして振る舞うことが知られている。 本研究では心不全の病態が急激に変動する急性増悪期から寛解期にかけての 血清中のマイクロ RNA の網羅的プロファイリングから、この現象の病態生理 学的理解を試みた。緊急入院による加療を要した連続42 例の急性心不全患者に ついて、入院時と入院後 7 日目の血清サンプルおよび臨床データを収集し、マ イクロ RNA の血中濃度の変動と臨床指標との相関を検討した。 この結果から、複数のマイクロ RNA の血中濃度が治療前後において変動し ていることが示された。このうち高い血中濃度を示しながらも治療前後で有意 な変動が見られたマイクロ RNA-122-5p(以下、miR-122-5p)に着目しその変 動を各症例ベースで検証したところ、全体として miR-122-5p の血中濃度は入 院時に比較して入院後 7 日目に低下が見られることが確認された。 このように急性心不全患者で観察された miR-122-5p の血中濃度の変動の生 理学的意義を検討するためヒトの各種正常臓器サンプルから抽出された RNA を用いて miR-122-5p の定量を行ったところ、肝臓における特異的な発現が観 察された。 また、今回の患者集団では入院時に AST、ALT といった古典的な血中肝障害 マーカーの上昇が見られており、入院後 7 日目にこれらのマーカーは有意に低 下していた。これらの知見から、心不全患者における miR-122-5p 血中濃度の 急性期における上昇と治療による低下は心不全に伴う肝障害と相関するという 仮説に基づき、miR-122-5p の血中濃度と肝障害マーカーとの相関を検討した。 治療前・治療後の miR-122-5p の血中濃度はそれぞれ対応する時点での血中 肝障害マーカーと有意な相関を示した。また、miR-122-5p の血中濃度の変動と 血中肝障害マーカーの変動との間にも有意な相関がみられた。miR-122-5p の血 中濃度の変動に影響を与えていた他の因子(入院後の体重変化および入院前の 内服利尿薬使用)を補正した後にも、血中肝障害マーカーの変動は miR-122-5p の血中濃度の変動の最も強い決定因子であった。 今回の検討において、急性心不全患者における血清中のマイクロ RNA は治療 前後の短期間で有意な変動が見られ、そのうち miR-122-5p は古典的な血中肝 障害マーカーと有意な相関がみられることが示された。これは、急性心不全患 者の治療経過において見られる miR-122-5p の血中濃度の変動は、心不全の増 悪によってもたらされた肝障害と治療による軽快を反映している可能性を示唆 するものであった。今後さらに様々な集団を対象として解析することにより、 他の臓器の障害を検出できるマイクロ RNA が同定されることが期待される。 (論文審査の結果の要旨) 鬱血性心不全のバイオマーカーとしての血中のmicroRNA について、その急 性期の変動という点に着目して検討を行った。スクリーニングとして鬱血性心 不全の急性増悪による入院時と寛解期の血液サンプルより血中の microRNA を 抽 出 し 、 高 速 シ ー ケ ン サ を 用 い た 網 羅 的 定 量 を 行 っ た 。 結 果 、 血 中 の microRNA-122-5p について治療前後での血中濃度に変動がみられることが明 らかになった。このような変化は各サンプルにおける検討においても確認され た。次に、これらの変動について臨床的意義の検討を行った。各種臨床指標と の比較により miR-122-5p の血中濃度は心不全にともなう肝逸脱酵素の上昇と 相関していることが明らかとなった。また、多くの症例において肝逸脱酵素は 心 不 全 に 対 す る 加 療 に よ り 速 や か に 低 下 し た が 、 こ の 変 動 を 反 映 し て miR-122-5p の血中濃度も低下がみられた。以上の研究は急性心不全患者におけ る血中microRNA が心不全によって生じた臓器障害を反映するという新たな病 態生理学的意義のみならず、急性疾患における血中の microRNA の濃度の動態 の解明に貢献し今後のバイオマーカー探索に寄与するところが多い。 したがって、本論文は博士( 医学 )の学位論文として価値あるもの と認める。 なお、本学位授与申請者は、平成30年1月24日実施の論文内容とそれ に関連した試問を受け、合格と認められたものである。 要旨公開可能日: 年 月 日 以降

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