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日本呼吸器学会雑誌第44巻第8号

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(1)

●総 説 要旨:医薬品 GCP は「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(医薬品 GCP 省令)に示される基準 である.平成 17 年には医療機器 GCP も施行された.GCP の目的は治験の倫理性と科学性の裏づけであり, ヒトを対象とした臨床試験(治験)を行う上で被験者の人権および安全性を守る倫理性と正確なデータおよ びその信頼性即ち科学性を確保することにある.(独)医薬品医療機器総合機構が行う申請品目の治験を実 施した医療機関に対する GCP 実地調査では,当該治験実施医療機関の治験実施体制全般を確認し,どのよ うな状況下で治験が治験責任医師や治験分担医師により実施されたのか,また,症例報告書と診療録等の原 資料との整合性の確認を通し,特に被験者の人権,安全性が確保された治験が実施されたのかを検証する. GCP 実地調査の結果,文書で「改善すべき事項」等を提示された医療機関は,問題点を医療機関内で共有 し速やかな改善を心がけて欲しい. キーワード:治験,GCP,治験責任医師,治験分担医師,被験者

Clinical trial,GCP,Clinical investigator,Sub-investigator,Human subjects

1.はじめに

新しい医薬品等の承認審査のための実証データは,健 康な者や患者の協力によって「医薬品等の候補」をヒト を対象に臨床試験を実施することで収集される.この臨 床試験は「治験」と呼ばれ,医薬品等の開発にとって必 要不可欠なものであるとされている.治験の倫理性と科 学性の裏づけのために「医薬品の臨床試験の実施の基準 に関する省令」(医薬品 GCP 省令)や「医療機器の臨床 試験の実施の基準に関する省令」(医療機器 GCP 省令)が 定められており,これらに示される基準が「GCP」であ る. GCP の目的は,ヒトを対象とした臨床試験(治験)を 行う上で,被験者の人権および安全性を守る倫理性と正 確なデータおよびその信頼性即ち科学性を確保すること にある1) .言い換えれば GCP を遵守し実施された治験は 倫理性及び科学性が十分に考慮されたものであると言え る. わが国においては,1990 年 10 月に行政指導として GCP(以下,旧 GCP という.)が施行された.その後 1997 年 4 月より日米 EU 医薬品規制調和国際会議(ICH,In-ternational Conference on Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use)において,三極においてハーモナイズさ れた GCP(ICH-GCP)に準拠した省令 GCP(以下,本 省令に示される基準を新 GCP という.なお,2005 年 4 月に施行された医療機器 GCP に対し医薬品 GCP と呼ば れる.)が施行され,一年間の経過措置期間を経て 1998 年 4 月より完全実施された.なお,1997 年 6 月より医 薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(以下,旧機構 という.)による GCP 調査(書面調査及び実地調査)が 開始されている.更に,2003 年 7 月に大幅な改正がな され,いわゆる医師主導治験に対しても新 GCP が適用 されることとなった(以下,改正 GCP という.).また, 2005 年 4 月よりそれまで行政指導による GCP 下で行わ れていた医療機器(医療用具)の治験に対しても,新 GCP (医薬品 GCP)に準拠した医療機器 GCP が省令により 施行された. 新 GCP と旧 GCP の主な相違点は,文書による説明と 同意の取得,治験総括医師制度の廃止,治験依頼者の責 任体制の強化,治験審査委員会の機能の充実,治験責任 医師の責任及び業務の明確化,並びに治験支援体制の充 実である. GCP に示される倫理の基本は,ヘルシンキ宣言に明 記されている.ヘルシンキ宣言「ヒトを対象とする医学

わが国の治験の円滑化のために(1)

―GCP 実地調査から見た医療機関での留意点―

秋山 哲平

古田 光子

山田 博史

〒100―0013 東京都千代田区霞ヶ関 3―3―2 新霞ヶ関 ビル (独)医薬品医療機器総合機構信頼性保証部信頼性第 1 課 (受付日平成 18 年 2 月 16 日)

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研究の倫理的原則」2)

は 1964 年 9 月,フィンランド,ヘ ルシンキの第 18 回世界医師会(WMA,the World Medi-cal Association)総会で採択され,その後,2002 年まで に 5 回の修正,2 回の明確化のための注釈が追加されて いる.ヘルシンキ宣言の主な精神は, ■被験者の福利に対する配慮が科学的及び社会的利益 よりも優先される ■被験者からのインフォームド・コンセントの取得 などであり,GCP に示される倫理は,ヘルシンキ宣言 を踏まえ制定されている.

2.承認審査と基準適合性調査

薬事法の目的の一つは,国民の保健衛生の向上を図る ために,医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性 の確保のために必要な規制を行うことであり,このため, 薬事法では医薬品等の審査を行って適切なもののみを承 認することで国内流通を許可している.承認を受けよう とするものは,厚生労働大臣に申請書及びそれに添付さ れる資料を提出しなければならない.承認申請書に添付 される資料は,臨床試験成績に関する資料およびその他 の資料とされている.薬事法第 14 条第 3 項の後段では, 「この場合において,当該申請に係る医薬品又は医療機 器が厚生労働省令で定める医薬品又は医療機器であると きは,当該資料は厚生労働大臣が定める基準に従って収 集され,かつ,作成されたものでなければならない.」と されており,ここでの「厚生労働大臣が定める基準」は, 「申請資料の信頼性の基準」(薬事法施行規則第 43 条)(医 薬品,医療機器等の申請資料全般にかかる基準であり, 申請資料の正確性,完全性と網羅性,保存を求めている), 医薬品及び医療機器それぞれに GCP(臨床試験の実施 の基準に関する省令に示される基準),GPSP(製造販売 後の調査及び試験の実施に関する省令に示される基準), 及び GLP(安全性に関する非臨床試験の実施の基準に 関する省令に示される基準)である.これらの基準は, まとめて「信頼性基準」と呼ばれ,承認申請に係る非臨 床試験や臨床試験がこれらの基準を遵守して実施され, 申請資料として纏められていることを「信頼性」が担保 されているという.信頼性の確認のために,医療機関が 保管する申請品目の生データ(診療録等)から申請者が 作成した申請資料までの信頼性を規制当局が査察または 調査することで申請資料の信頼性を保証するとの認識は 日米欧で一致している.信頼性の保証のための査察又は 調査(我が国では基準適合性調査という.)により GCP 不遵守が認められた場合に一番重要なことは,再発防止 のための改善策をとるとの認識もまた日米欧で共通であ るが,各極の法体系,審査機関,及び審査・調査担当者 数の違いにより,査察又は調査の方法はさまざまである. 我が国において,新医薬品の臨床試験の有効性・安全 性に関する GCP 調査は,現時点では,基準適合性書面 調査と GCP 実地調査を組み合わせて実施している(Fig. 1).総合機構信頼保証部において実施されている適合性 書面調査は,承認申請資料と申請者(治験依頼者)が保 管するすべての根拠資料との整合性を,GCP,GLP 及 び「申請資料の信頼性の基準」の観点から網羅的に調査 する.しかしながら本調査においては治験実施医療機関 の生データの確認に至らないため,別途信頼性保証部に おいて実施されている GCP 実地調査により,医療機関 に保存されている根拠資料に対し抽出的に調査を行い, 国際的に通用する生データから承認申請資料までの GCP 適合性を確認している. 2―1)GCP 実地調査の流れ 申請者より承認申請がなされる際,必要に応じ GCP 実地調査の調査申請が行われる(申請後に行われる場合 もある.).総合機構信頼性保証部において調査対象施設 の選定,治験依頼者との日程調整後,GCP 実地調査実 施通知書が調査対象施設(治験依頼者,実施医療機関等) へ発出され,実地調査が行われる.調査担当者により GCP 実地調査結果報告書が作成され,その調査結果を 踏まえ調査対象試験の GCP 適合性を総合機構において 評価を行う.調査結果は最終的に総合機構理事長より申 請者及び調査対象施設へ文書により通知される. 2―2)調査対象品目,医療機関の選定,調査資料等 GCP 実地調査の対象となる申請品目については,平 成 18 年 1 月 31 日付け 薬 食 審 発 第 0131006 号「医 薬 品 GCP 実地調査の実施要領について」に明記されている. GCP 実地調査は承認申請された医薬品に係る治験を 依頼した者及び当該治験実施医療機関に対し行われてお り,現在のところ,承認申請された医薬品が新有効成分 含有医薬品の区分に該当する場合は,概ね 4 施設程度(な お,優先審査,迅速審査対象品目については概ね 2 施設 程度.),また,それ以外の区分の医薬品,または医療機 器では概ね 2 施設程度が選定される. 調査対象医療機関の選定条件としては,承認申請資料 中の調査対象試験のなかの重要な試験を実施し,かつこ れらの試験にエントリーされた症例数が多い施設,ある いは過去の GCP 実地調査の実施状況等が考慮される. GCP 実地調査においては,実地調査時に実施医療機 関において次の資料を準備して頂くことになっている. ・病院概要(診療科数,病床数,入院・外来患者数, 各職種毎の職員数) ・治験実施状況(各相毎の実施数:当該治験実施当時 と現在の状況) ・治験に係る規程文書 ・治験審査委員会の議事録等の記録

(3)

Fig. 1 GCP audit by the Office ofConformity Audit ofthe PMDA. ・必須文書,契約書等 ・治験薬管理の記録 ・症例報告書(症例記録)作成の基となった原資料(診 療録,検査伝票,画像等)及び同意の記録 2―3)GCP 実地調査の視点と調査担当者のコメントに ついて GCP 実地調査では,治験が GCP に基づき科学的・倫 理的に適正に実施され,申請資料にデータが正確に反映 されていることを実地に確認する.実施医療機関におい ては治験実施体制全般の確認(治験審査委員会の開催状 況,保存されている必須文書等の確認)と,症例報告書 と原資料との整合性の確認を通し,特に被験者の人権, 安全性が確保された治験が実施されていたかを検証す る.特に重要な事項はインフォームド・コンセントの取 得状況,被験者の治験参加への適格性,被験者の安全性 の確保である.調査時には,どのような治験が実施され ていたのかを確認するために,場合によっては GCP 必 須文書以外の文書や周辺情報についても質問することも ある.これは,プロトコルからの逸脱があったとしても 被験者の安全性が確保されていたことを事実から確認す るための作業であるので,医療機関の関係者へ協力をお 願いする. 調査担当者は調査の場で評価をするものではなく,評 価を行うために必要な詳細な情報を収集するものであ り,GCP 上の問題点を明確化するために様々な質問や コメントをすることもある.最終的な評価は総合機構に おいて行い,総合機構理事長より「GCP 実地調査結果 通知書」が調査対象施設長へ発出され,「GCP に不適合 な事項」及び「改善すべき事項」に該当する事項(指摘 事項)があれば通知に記載される.これらの事項は,GCP に照らし合わせ,特に重要で早急な改善が必要な事項で ある.

3.GCP 実地調査とその評価

総合機構の信頼性保証部では,GCP 実地調査の実施 において,常に被験者の人権,安全性の確保を念頭に置 き,検証をしている.調査内容は最終的に総合機構で評 価され,「GCP 実地調査結果通知書」が調査対象施設へ 発出される.なお,申請者に通知される GCP 実地調査 結果通知書の評価は以下のとおりである. ・適合 GCP 不適合となる事項は認められず,申請 書に添付された臨床試験全体を適合とする. ・条件付適合 申請書に添付された臨床試験の一部に GCP 不適合の症例があることから,これらの症例を除 外するなどの条件を付して,残りの臨床試験全体の質は 適合とする.なお,症例が GCP 不適合であるかどうか は,主に被験者の人権,安全性が確保された治験が実施 されていたのかどうかで判断される. ・不適合 申請書に 添 付 さ れ た 臨 床 試 験 に お い て GCP は守られておらず,倫理的かつ科学的に申請資料 の臨床試験全体の信頼性は裏づけられない.臨床試験全 体に渡って GCP 上問題があり,全ての臨床試験データ を削除することを条件とする最も重い評価である. 国内治験の質の向上に伴い,申請資料に添付された臨 床試験全体の GCP への適合が「不適合」と評価される 例は,最近ではまれとなっているが,GCP 実地調査結 果通知書の別添として,申請者(治験依頼者)及び治験 実施医療機関の双方に GCP 上「改善すべき事項」が整

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Fig. 2 Representative GCP review report

Table 1 The number oftotalinvestigationalsites which carried out clinicaltrials for new drug applications (NDAs)and the number ofcase report forms (CRFs)which conformed with the new GCP in FY2004.The classification ofmedicali n-stitutions and the supporting conditions ofthe clinicaltrials by Site Management Organization (SMO)are compared.  The number ofclinicaltrials (application materials)in FY2004 was 209.The totalnumber ofCRFs (basis materials)was

17,547.The totalnumber ofmedicalinstitutes where new drugs as investigationalproducts for NDAs in FY2004 were used in phase I,II,and III clinicaltrials was 2,296 (the same site can be counted more than once)

% Number of case report forms supported by SMO Totalnumber ofcase report forms as basis materials % Number of the sites supported by SMO Total number of investigational

sites Classification of

medical institutions

0.0% 0 1,079 0.0% 0 179

NationalHospital

0.0% 0 2,172 0.0% 0 372

NationalUniversity Hospital

3.9% 15 387 2.7% 2 75

Public University Hospital

5.8% 135 2,323 3.8% 13 344

Private University Hospital

9.1% 159 1,749 5.6% 18 320

Public Hospital

22.9% 1,351 5,904 19.1% 133 695

Private Hospital

44.8% 1,761 3,933 58.8% 183 311 Clinic 19.5% 3,421 17,547 15.2% 349 2,296 Total 理されて示されることは多い.これは,自主的な改善が 求められる事項である.また,評価対象症例の一部に GCP 不適合が認められ,被験者の安全性が確保できる 治験実施体制が構築されていないことは,最近承認され た新医薬品の約 1!6 にあると推測されており3) ,GCP 実 地調査結果通知書の別添に「GCP に不適合である事項」 が記載されている場合には重要で,早急な改善を必要と する.「GCP に不適合である事項」や「改善すべき事項」

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Table 2 Typicalnew GCP issues concerning the heads ofmedicalinstitutions,IRB,investigators,and sub-investigators by domestic on-site GCP reviews at selected medicalinstitutions in FY2004.In FY2004,the number ofselected investi -gational sites visited by GCP audit staff was 166, and 114 institutional sites conducted clinical trials which conformed with the new GCP (the same site can be counted more than once)

Number of institutions Typicalnew GCP issues concerning the investigationalsites etc.,raised by the on-site GCP audit in FY2004

1 Incomplete contract document

Article 13

Contract for clinicaltrial Incomplete contract document about sub-investigators 1 6 IRB member interested in the medicalinstitution etc.

28-1 Article 28

Composition ofinstitutionalreview board

19 Inadequate operation ofthe board meeting

7 Failure to adequately and accurately record board meeting

28-2

1 Incomplete IRB SOP

12 Inadequate review ofadverse drug reactions that are both

serious and unexpected etc. 31-2

Article 31

Continuing review etc

7 Incomplete review document for IRB meeting

32-1 Article 32

Responsibilities ofinstitutionalreview board 32-2 Inadequate review process 13 6 No writing notification document from IRB

32-3

12 Delay ofthe report ofadverse drug reactions from the

spon-sor 40-1 Article 40

Premature termination etc.ofclinicaltrial

21 29-1,29-2,39-2,40-4,and 43-1 etc.

Other articles

106 Total

New GCP indicates MHLW MinisterialOrdinance No.28 dated March 27,1997 and No.106 dated June 12,2003.

は,平成 16 年度に総合機構が調査し,総合機構が結果 通知書を作成したものからは,その改善の方策も含めて, 申請者や治験実施医療機関に通知している,特に,GCP 実地調査結果通知書で「改善すべき事項」等が提示され た医療機関は,問題点を医療機関内で共有し,速やかな 改善を心がけて欲しい. Fig. 2 に医療機関向けの GCP 実地調査の結果通知書 の例を示す.

4.GCP 実地調査の実績と結果,

指摘事項の具体例とその分析

GCP 実地調査の実績と結果,指摘事項の具体例とそ の分析,治験実施計画書からの逸脱に対する考え方等を 示したい. 4―1)調査実績 平成 16 年度の調査実績は,新医薬品(国内及び海外), 後発医薬品,医療機器の総計で,122 品目(58 成分), 治験依頼者 60 社,医療機関 126 施設,2,258 症例であっ た. 平成 16 年度に医薬品医療機器総合機構において新医 薬品に係る国内 GCP 実地調査対象とした品目(114 品 目,209 試験)について,治験実施医療機関の種類別施 設数及び症例数と各種別毎の治験施設支援機関(Site Management Organization : SMO)の支援状況を示す

(Table 1).国立病院(現 国立病院機構)及び国立大 学(現 国立大学法人)においては,SMO へ業務の一 部を委託した施設は無かった.私立病院にお い て は 19.1%(22.9%),診療所においては 58.8%(44.8%)の 施設(症例)が SMO の支援を受けていた. 4―2)調査結果 4―2―1)医療機関全般に関する事項 平成 16 年度の新 GCP 適用治験に関する実施医療機関 全般に関する主な指摘を示す(Table 2).比較的指摘件 数が多い条項として,第 28 条第 1 項(委員の構成不備: 医学的な専門的知識を有する者の審議・採決の不参加, 実施医療機関と利害関係を有しない者の審議・採決の不 参加等),第 28 条第 2 項(手順書の不遵守:会議の運営 (迅速審査の運用)あるいは会議の記録(議事要旨の未 記載)に関する事項等),第 31 条第 2 項(継続審査(副 作用等):治験を継続して行うことの適否について治験 審査委員会の意見を聴いていない等),第 32 条第 1 項(審 査資料の不備:同意説明文書の記載が不十分であったが 改善を求めなかった等),第 32 条第 2 項(審議方法の不 備:迅速審査の運用等),第 40 条第 1 項(副作用報告の 未通知:第 20 条第 2 項に係る通知を治験審査委員会へ 通知していない等)が挙げられる. 指摘事項から見た医療機関において留意すべき点を以 下に示す.

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Table 3 Typicalnew GCP issues concerning CRFs by domestic on-site GCP reviews at selected medicalinstitutions in FY2004.The totalnumber offindings (including findings confirmed with the former GCP)on on-site GCP audits at the medicalinstitutions was 819.The number ofCRFs,CRFs supported by CRC,and CRFs without CRC deficiencies in the new GCP was 1,585,1,260,and 325,respectively

n/325 Number of CRFs without CRC n/1,260 Number of CRFs supported by CRC n/1,585 Number of findings Typical new GCP issues concerning CRFs raised by the

on-site GCP audit in FY2004 0.0% 0 0.1% 1 0.1% 1

Missing records (medicalrecords) Item 2 Article 41 4.0% 13 1.1% 14 1.7% 27

Missing records (examination slips)

1.8% 6 0.5% 6 0.8% 12

Deficiencies in inclusion criteria Article 44 4.9% 16 1.1% 14 1.9% 30

Deficiencies in exclusion criteria

0.3% 1 1.0% 13 0.9% 14

Misconduct in the use ofinvestigational products Item 1 Article 46 0.6% 2 0.2% 2 0.3% 4

Misconduct regarding premature termi -nation 0.9% 3 2.5% 31 2.1% 34

Deviation ofdrugs or treatment in the clinicaltrials 25.5% 83 4.6% 58 8.9% 141

Failure to perform lab test

1.5% 5 1.1% 14 1.2% 19

Deviation from the lab test schedule etc.

1.2% 4 1.9% 24 1.8% 28

Other deviation

7.7% 25 3.5% 44 4.4% 69

Deviation in the records (drugs used in the clinicaltrials)

Item 1

Article 47 Deviation in the records (lab test) 19 1.2% 9 0.7% 10 3.1% 0.9% 3 1.1% 14 1.1% 17

Deviation in the records (ADR)

1.2% 4 1.2% 15 1.2% 19

Other deviation

0.6% 2 0.1% 1 0.2% 3

Failure to report serious adverse events etc. Item 2 Article 48 0.0% 0 0.7% 9 0.6% 9

Incomplete informed consent Item 1 Article 50 1.5% 5 0.1% 1 0.4% 6

No revision ofthe informed consent Item 3 Article 54 1.8% 6 0.0% 0 0.4% 6 Other Articles 57.8% 188 21.4% 270 28.9% 458 Total

The former GCP indicates the domestic GCP in Japan before harmonization with ICH-GCP.

①治験審査委員会の委員として指名された委員の構成 に問題はないか. ②治験審査委員会の出席委員の構成に問題はないか. (会議の成立要件を満たしているのか.) ③会議の記録に議事要旨が記載されているか. ④治験審査委員会により既に承認された進行中の治験 に関わる軽微な変更に関し,迅速審査と承認を行う場合 の条件について手順書に定められており,かつ手順書に 従った適切な運用がなされているか. ⑤治験審査委員会の会議が適切に運営されているか. ⑥治験審査委員会の審議または報告の際に発生する必 須文書(審議依頼書,審議結果報告書,指示・決定通知 書等)の作成及び伝達が適切になされているか. ⑦治験審査委員会の審査に必要な資料と配付時期が適 切であるか. 4―2―2)個別症例に関する事項 Table 3 に,平成 16 年度の新 GCP 適用治験に関する 個別症例に関する主な指摘を示す.また,各指摘につい て,当該症例の治験コーディネーター(Clinical Research Coordinator : CRC)の関与の有無毎の各指摘件数と, 各々 CRC 関与(1,260 症例)及び非関与(325 症例)全 症例数を分母とした割合(%)を示す.第 44 条違反即 ち,被験者の適格性に関わるエントリー違反は全 1,585 症例中 42 症例(2.6%)に認められ,特に被験者の安全 性確保を目的とする規定の多い除外基準違反は,全体で 全症例の 1.9% であったが,CRC 関与症例では 1.1%, 非関与症例では 4.9% と大きな差が認められた.第 46 条第 1 項違反(治験実施計画書からの逸脱)は全体で全 症 例 の 15.1% に 認 め ら れ た が,CRC 関 与 症 例 で は 11.3%,非関与症例では 30.2% であり,特に治験実施計

(7)

画書に規定された必須検査の実施に関する逸脱に関し大 きな差が認められた.第 47 条第 1 項違反(原資料と症 例報告書との不整合)は全体で全症例の 7.8% に認めら れ,CRC 関与症例では 6.5%,非関与症例では 12.9% で あった.その他は第 41 条第 2 項違反(原資料の保管等), 第 48 条第 2 項違反(重篤な有害事象報告に関する不備), 第 50 条第 1 項違反(同意説明・同意取得に関する不備), 第 54 条第 3 項違反(再同意の未取得)等が認められた. 以上の結果は,CRC による治験支援体制の充実が,治 験の質の向上に大きく寄与していることを示すものと考 える. 4―3)被験者となるべき者の選定 被験者となるべき者の適格性の確認は倫理的及び科学 的観点から非常に重要な作業である.治験実施計画書に 規定されている選択・除外基準に従って,治験参加に適 格な被験者が選定されていたのか,GCP 実地調査にお いて詳細な確認がなされる.なお,適格性の判断を行う ポイントは同意取得後に行われる診察あるいは諸検査に よる確認,観察期から治療期に移行する時点等で行われ る再確認が想定され,被験者の安全性の確保を最優先に 考慮した上で慎重に判断されるべきである.主に確認さ れる事項を以下に示す. ・人権保護の観点からおよび治験実施計画書に定めら れた選択基準および除外基準に基づき選定されている か? ・被験者の健康状況,症状,年齢,性別,同意能力, 治験責任医師との依存関係,他の治験への参加の有無等 を考慮しているか? なお,同意取得に際し被験者になるべき者の理解力, 判断力を十分に確認すべきことは言うまでもない. 4―4)「逸脱」に関する考察 治験実施計画書からの逸脱に対する治験責任医師及び 治験依頼者の対応,並びに規制当局の考え方を以下に示 す. ①治験責任医師 a.逸脱した行為及びその理由等を説明した記録を作 成し,治験依頼者へ提出する. b.治験実施計画書を再確認し,再発防止に取り組む. ②治験依頼者 a.治験実施計画書の遵守状況を適宜確認をする(モ ニタリング).治験実施計画書に従って行われていない ことを確認した場合,その旨を治験責任医師に告げ,再 発防止のための適切な措置を講ずる.講じられる予定の 措置及び措置に関するモニターの所見を記録する. b.重要な治験実施計画書からの逸脱を特定し,それ が結果に及ぼした影響の評価を総括報告書に記載す る.<参考:治験の総括報告書の構成と内容に関するガ イドラインについて4) > ③規制当局(主に審査部門) 科学的観点から,有効性及び安全性評価に及ぼす影響 について審査をする.(有効性及び安全性解析対象とし て妥当であるか?) ④ GCP 評価 総合機構では,GCP 実地調査実施後に,倫理的観点 から見た問題点の有無,被験者の安全性確保に及ぼす影 響の有無,収集されたデータの信頼性を踏まえた評価を する.評価は,単に治験実施計画書からの逸脱の事実の 有無を吟味するものではない.以下は,評価の視点のみ ならず,調査担当者の視点でもある. a.逸脱の背景における問題点の有無. b.逸脱に対する治験責任医師・分担医師の対応. c.逸脱に対する治験依頼者の対応. d.同様の逸脱の継続性(その後の改善状況). ⑤逸脱の背景と要因(平成 16 年度の調査結果より) a.エントリー違反の背景=失念,確認不足,勝手な 解釈… b.逸脱の背景=確認不足,認識不足,失念,見落と し,連絡の不徹底… c.不整合の背景=転記誤り,確認不足,誤った認識… d.エントリー違反,逸脱及び不整合の要因 ・治験実施計画書を十分に理解していなかった. ・治験の実施状況を十分に把握していなかった. ・被験者の背景を十分に確認していなかった. ・治験依頼者等に確認をしていなかった. ・治験実施中のモニタリングが不十分であった. ・治験分担医師・協力者がいなかった ⑥医療機関での逸脱への対応 a.被験者の安全性を確保.治験薬の減量・中止,速 やかな検査の実施,追跡調査等,必要な措置を第一に確 認する. b.逸脱した行為とその原因を分析する.また,その 記録を提出する. c.他の症例において同様の逸脱はないか,速やかに 確認する. d.当該治験実施中において取ることの出来る再発防 止策の検討を行う. e.今後の治験実施において取るべき再発防止策の検 討を行う. ⑦逸脱に対する調査担当者の視点 a.倫理面及び安全面から見た重大性の確認. b.逸脱の継続性の確認. c.逸脱原因の究明. ・安全性確保等のやむを得ない理由があるのか. ・被験者側の事情の有無.

(8)

・治験責任医師等の治験実施計画書の理解度(確認・ 認識不足,誤った解釈等). ・治験実施計画書の規定上の問題点の有無. ・治験責任医師等の GCP に対する理解度. ・治験責任医師等の過去の治験経験の有無. d.逸脱に対する対処(被験者の安全性確保のための 措置)の確認. e.治験実施体制上の問題点の確認. ・治験実施に必要な時間的余裕,人員の確保及び協力 体制,適切なモニタリングの実施(直接閲覧の実施時期 等)

5.まとめ―さらなる治験の質の向上のために―

治験の信頼性を確保するためには,治験を実施する担 当医師の GCP の理解,治験実施計画書の遵守等に加え, それらを支援する体制(CRC,治験事務局等)の充実, あるいは第三者の立場で適格な判断が求められている治 験審査委員会の体制・機能・審議内容の充実,また治験 依頼者による品質管理(モニタリング)及び品質保証(監 査)等が一体となって適切に機能する必要がある. GCP を守ることの大きな目的の一つは被験者の保護 であり,医療機関で治験に関わる方々は,被験者に一番 近い環境で仕事をしていると思われる.GCP を守る業 務が,被験者保護の目的を忘れ,単なる書類の整理とな らないことを希望する. * 本内容は著者の個人的見解であり総合機構の見解ではな い. 謝辞:本総説を纏めるにあたり,総合機構信頼性保証部 西村(鈴木)多美子博士に助言を得たことに深謝する. 1)ICH-GCP 国立医薬品食品衛生研究所ホームページ 「ICH ガイドラインと関連情報」有効性 E6(英文) http:!!www.nihs.go.jp!dig!ich!eindex.html 2)ヘルシンキ宣言(日本医師会訳の全文)http:!!www. med.or.jp!wma!helsinki02_j.html 3)西村(鈴木)多美子.GCP の観点からみた新医薬 品国内臨床試験の質の向上のために:機構信頼性保 証 部 に よ る GCP 実 地 調 査 の 動 向.医 薬 品 研 究 2005 ; 36 : 249―257. 4)厚生省薬務局審査課長「治験の総括報告書の構成と 内容に関するガイドラインについ て」 薬 食 審 第 335 号 平成 8 年 5 月 1 日 5)参考となる Web 日本医薬情報センター 医薬品情報提供データベー ス臨床試験情報 http:!!www.japic.or.jp 大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)臨床試験 登録システム http:!!www.umin.ac.jp 日本医師会治験促進センター http:!!www.jmacct. med.or.jp 総合機構 信 頼 性 保 証 業 務 に つ い て http:!!www. pmda.go.jp 6)参考文献 GCP とあたらしい治験,改訂版.薬事日報社,2006. 医薬品製造販売指針.じほう,2005.

(9)

Abstract

In order to perform clinical trials efficiently in Japan

―Important issues in medical institutions raised by the GCP on-site review―

Teppei Akiyama, Mitsuko Furuta and Hiroshi Yamada

The Office of Conformity Audit, Pharmaceuticals and Medical Devices Agency

The guidelines for Good Clinical Practice (GCP) in Japan have been harmonized with ICH-GCP. Both the pro-tection of human rights and the carrying out of clinical trials ethically and scientifically, conforming to the GCP, are necessary for the safety and efficacy of clinical data of common technical documents. It is standard practice in Japan, the US, and the EU to ensure conformity with all data from raw data to application materials. In April, 2004, the new independent organization Pharmaceuticals and Medical Devices Agency (PMDA) was established in Ja-pan. The PMDA provides services focusing on the three key areas of Review, Safety, and Relief. The Office of Conformity Audit is one of the offices in the Center for Product Evaluation of the PMDA. In the conformity audit service of the Office of Conformity Audit of the PMDA, the reliability and conformity with the GCP between case report forms (CRFs) as basis materials and application materials is confirmed by the document-based conformity review, and the conformity between medical records as raw data and CRFs is assessed through the on-site GCP review. Therefore, such application materials are considered to be consistent with international standards. The important issues raised by the GCP on-site review by the Office of Conformity Audit of the PMDA are summa-rized in this study. We hope that our findings at investigational sites will promote the protection of human rights and improve the quality of clinical trials in Japan.

Tabl e 1   The  number  of total i nvesti gati onal si tes  whi ch  carri ed  out  cl i ni cal tri al s  f or  new  drug  appl i cati ons  ( NDAs) and  the  number  of case  report  f orms  ( CRFs) whi ch  conf ormed  wi th  the  new  GCP  i n  FY2004
Tabl e 2 Typi cal new  GCP  i ssues  concerni ng  the  heads  of medi cal i nsti tuti ons, IRB, i nvesti gators, and  sub- i nvesti gators  by  domesti c  on- si te  GCP  revi ews  at  sel ected  medi cal i nsti tuti ons  i n  FY2004
Tabl e 3 Typi cal new  GCP  i ssues  concerni ng  CRFs  by  domesti c  on- si te  GCP  revi ews  at  sel ected  medi cal i nsti tuti ons  i n  FY2004

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