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社会保障における未病の位置づけ

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(1)

産・官・学・民で支える

笑顔あふれる超高齢社会

東京大学高齢社会総合研究機構

辻 哲夫

(2)

今後の日本の高齢化

-後期高齢者の増加

後期高齢者の姿

―生存率から見た場合

→老いて死ぬのが普通となって、老いの期間が

延びている(百歳の壁は厚い?)

―医療・介護・健康人口からみた場合

→要支援・要介護のウエイトが大きい

-自立度から見た場合

→生活習慣病予防の優先順位は高い

→今後は、虚弱化予防が重要となる

→しかし、多くの人は、虚弱な期間を経て死に至る

・政策は、如何に対応していくのか

2

(3)

人口ピラミッドの変化(2012,2030,2055)

-平成24年中位推計-2012年

(実績)

2030年

2055年

75歳~ 1,522(12%) 65~74歳 1,560(12%) 18~64歳 7,657(60%) ~17歳 2,008(16%) 総人口 1億2,749万人 総人口 1億1,661万人 総人口 9,193万人 75歳~ 2,278(19%) 75歳~ 2,401(26%) 65~74歳 1,406(12%) 65~74歳 1,224(13%) 18~64歳 6,483(56%) 18~64歳 4,506(49%) ~17歳 1,492(13%) ~17歳 1,061(12%) 2013年~ 生まれ 2013年~ 生まれ 注:2012年は国勢調査結果。総人口には年齢不詳人口を含むため、年齢階級別人口の合計と一致しない。 2030・2055年は国立社会保障・人口問題研究所「日 本の将来推計人口」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果 5.4万 25.3万 65.7万 3

(4)

日本人女性の生存率の推移

(5)

超高齢社会の課題と対策

年齢階層別 医療・介護・健康人口

作成:東京大学政策ビジョン研究センター

(6)

自立度の変化パターン【男性】

-全国高齢者20年の追跡調査-

Graduate Decline (70.1%) Early Decline (19.0%) Resilient (10.9%) 0 1 2 3 63-65 66-68 69-71 72-74 75-77 78-80 81-83 84-86 87-89

(70.1%)

(10.9%)

(19.0%)

自立

手段的日常 生活動作に 援助が必要 基本的&手 段的日常生 活動作に援 助が必要

死亡

年齢

出典) 秋山弘子 長寿社会の科学と社会の構想「科学」岩波書店,2010

自立度の変化パターン【男性】

6

(7)

自立度の変化パターン【女性】

-全国高齢者20年の追跡調査-

Graduate

Decline(87.9%)

Early

Decline(12.1%)

0

1

2

3

63-65 66-68 69-71 72-74 75-77 78-80 81-83 84-86 87-89

(87.9%)

(12.1%)

自立

手段的日常 生活動作に 援助が必要 基本的&手 段的日常生 活動作に援助 が必要

死亡

年齢

出典) 秋山弘子 長寿社会の科学と社会の構想「科学」岩波書店,2010

自立度の変化パターン【女性】

7

(8)

超高齢社会の医療政策の方向

・「治す医療」=病院医療(臓器別・入院・外来)

→「予防し、治し、支える医療」

・「予防する医療」=生活習慣病予防、虚弱化

予防(構造解明と川上への展開)

・「支える医療」=在宅医療(生活の質という目標)

8

(9)

予防する医療(Ⅰ)

ー生活習慣病の構造と川上への展開(1)

○生活習慣病予防の社会的重要性

―高齢者の増加に伴い、医療需要は増加し続けるが、

生活習慣病の寄与が大きい

-生活習慣病は、急性憎悪(例:脳卒中発症)を経て、

あるいは経ないまま(例:糖尿病ではアルツハイマー

病の発症率が1.5~2倍)、生活の質を落とし、入院

入所(要介護)需要の増加に繋がっている

―これらのことは、医療、介護費用の増高に繋がって

いる

9

(10)

年齢階級別受療率(主として生活習慣病に分類される疾患について)

0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 0 歳 1~ 4 5~ 9 1 0~ 1 4 1 5~ 1 9 2 0~ 2 4 2 5~ 2 9 3 0~ 3 4 3 5~ 3 9 4 0~ 4 4 4 5~ 4 9 5 0~ 5 4 5 5~ 5 9 6 0~ 6 4 6 5~ 6 9 7 0~ 7 4 7 5~ 7 9 8 0~ 8 4 8 5~ 8 9 9 0 歳 以 上 ( 人 口 十 万 対 受 療 率) その他の傷病 ⅩⅢ 筋骨格系及び結 合組織の疾患(関節症 など) Ⅸ 循環器系の疾患 (高血圧性疾患、虚血 性心疾患、脳梗塞など) Ⅳ 内分泌、栄養及び 代謝疾患(糖尿病など) Ⅱ 新生物 (入院) 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 ( 人 口 十 万 対 受 療 率) その他の傷病 ⅩⅢ 筋骨格系及び結 合組織の疾患(関節症 など) Ⅸ 循環器系の疾患(高 血圧性疾患、虚血性心 疾患、脳梗塞など) Ⅳ 内分泌、栄養及び 代謝疾患(糖尿病など) Ⅱ 新生物 (外来) (注)「患者調査」(平成14年)により作成

年齢階級別受療率(主として生活習慣病に分類される疾患について)

10

(11)

高齢者糖尿病における老年症候群(要介護)発生率

縦断研究論文

(報告)数

非糖尿病と比較した発生頻度

認知症

19

全認知症

1.5~2倍

アルツハイマー病

1.5~2倍

血管性認知症

2~3倍

日常生活動作

13

基本的ADL1)

1.4~2.6倍

手段的ADL2)

1.3~2.1倍

移動能力3)

1.3~2.5倍

転倒・骨折

12

1.6~1.7倍

1)基本的

ADL:摂食、更衣、排泄、整容など

2)手段的

ADL:買い物、家事、金銭管理、服薬管理

3)移動能力:数百メートルの歩行、階段昇降、歩行スピードなど

(井藤英喜ら 平成24、25年度長寿医療研究開発費報告書)

「資料提供:独)東京都健康長寿医療センター 井藤英喜 センター長」11

(12)

加齢、自立、要介護、死亡と生活習慣病

生活習慣病

自立

要介護

死亡

要介護の原因

要介護状態の悪化

死亡の背景要因

(多臓器の合併症)

死因

「資料提供:独)東京都健康長寿医療センター 井藤英喜 センター長」12

(13)

主要因は老人医療費の増加

老人増1人当たり老人医療費=若人の5倍

1人当たり老人医療費は都道府県により大きな格差(平均75万円、最高:

福岡県約90万円、最低:長野県約60万円)

1 人 当 た り 外 来 医 療 費 の 増 ( 寄 与 度 の 約 5 割 ) 生活習慣病を中心とする外来受診者の受診行動

内臓脂肪型肥満に起因する生活習慣病患

者・予備群

の増加 1 人 当 た り 入 院 医 療 費 の 増 ( 寄 与 度 の 約 5 割 ) 病 床 数 の 多 さ ( 平 均 在 院 日 数 の 長 さ ) 在 宅 ( 自 宅 で な い 在 宅 含 む ) 療 養 率 の 低 さ

・ 医 療 機 能 の 分 化 ・ 連 携

・ 地 域 に お け る 高 齢 者 の 生 活 機 能 の 重 視

生 活 習 慣 病 対 策

急 性 期 回 復 期 療 養 期 在宅療養 連携 介護提供体制

①保険者と地域の連携した一貫した健康

づくりの普及啓発

②網羅的で効率的な健診

③ハイリスクグループの個別的保健指導

医 療 費 増 加 の 構 図

13

(14)

予防する医療(Ⅰ)

ー生活習慣病の構造と川上への展開(2)

メタボリックシンドロームという構造の発見

→①様々な生活習慣病を一つのジャンルとしてとらえ、

4つのフェーズを論理化できた(特に境界領域の

設定)

②「早期発見、早期治療(二次予防)」から上流へ

の本格的政策展開の確信につながった

③「運動(歩行)」「バランスのとれた食事」は、

「世紀の新薬」

14

(15)

15 * 一部の病気は、遺伝、感染症等により発症することがあ る。

不健康な

生活習慣

・不適切な食生活

(エネルギー・食塩・ 脂肪の過剰等)

・運動不足

・ストレス過剰

・飲酒

・喫煙

など

内臓脂肪

症候群として

の生活習慣病

・肥満症

・糖尿病

・高血圧症

・高脂血症

など

重症化・合併症

・虚血性心疾患

(心筋梗塞、狭心症)

・脳卒中

(脳出血、脳梗塞等)

・糖尿病の合併

(失明・人工透析等)など

生活機能の低下

要介護状態

半身の麻痺

日常生活に

おける支障

認知症

境界領域期

生活習慣病とは

・肥 満 ・高血糖 ・高血圧 ・高脂血など ○ 「不健康な生活習慣」の継続により、「予備群(境界領域期)」→「内臓脂肪症候群としての生活習慣病」→「重症化・合併 症」→「生活機能の低下・要介護状態」へと段階的に進行していく。 ○ どの段階でも、生活習慣を改善することで進行を抑えることができる。 ○ とりわけ、境界領域期での生活習慣の改善が、生涯にわたって生活の質(QOL)を維持する上で重要である。 ・ ・ ○

内臓脂肪症候群としての肥満症、糖尿病、高血圧症、高脂血症及びこれらの予備群

自覚症状に乏しく日常生活に大きな支障はないが、健診で発見された後は、基本となる生活習慣の改善がなされないと・・・ ○

脳卒中

虚血性心疾患(心筋梗塞等)

その他重症の合併症(糖尿病の場合:人工透析、失明など) に進展する可能性が非常に高い。 ○

がん

がん検診や自覚症状に基づいて発見された後は、生活習慣の改善ではなく、手術や化学療法などの治療が優先される。 → がん検診の普及方策やがん医療水準の均てん化等、「早期発見」、「治療」といったがん対策全般についての取組が別途必要。 など

予備群

* 喫煙により・・・ ・動脈硬化の促進→脳卒中や虚血性心疾患の ・がん(肺がん・喉頭がん等)の

→ 不適切な食生活、運動不足、喫煙などで起こる病気

発症リスク増大

発症リスク増大

(16)

生活習慣病の発症・重症化予防

○高血糖、高血圧、高脂血、内臓肥満などは別々に進行するの ではなく、

「ひとつの氷山から水面上に出たいくつか

の山」

のような状態 ○投薬(例えば血糖を下げるクスリ)だけでは水面に出た

「氷山のひとつの山を削る」

だけ ○根本的には運動習慣の徹底と食生活の改善などの生活習慣の 改善により

「氷山全体を縮小する」

ことが必要

適正な血糖・血圧・血中脂質

摂取エネルギーの減少 正しい栄養バランス 消費エネルギーの増大 心身機能の活性化

達成感・快適さの実感

継続

食生活の改善

体重・腹囲の減少

代謝の活性化・内臓脂肪の減少 (良いホルモン分泌↑ 、不都合なホルモン分泌↓ ) 高血糖 高血圧 高脂血

運動習慣の徹底

内臓肥満 個々のクスリで、1つの山 だけ削っても、他の疾患は 改善されていない。

1に運動

2に食事

しっかり禁煙

最後にクスリ

・禁

・運動習慣の徹底

・食生活の改善

生活習慣の改善

16

氷山全体が縮んだ!

(17)

若齢期からの健康増進を通じた老人医療費の適正化(イメージ)

年齢

疾病のリス

ク要因

(介入可能)

1人当たり

医療費

発 症抑制 重症化抑制 老人医療費 の適正化 健康増進

高齢者医療

発症水準

75歳

17

(18)

予防する医療(Ⅰ)

ー生活習慣病の構造と川上への展開(3)

○予防政策の倫理-一番幸せだから(価値が高いから)

○予防政策の戦略(論理と方法)

ⅰ) ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチの

組み合わせ

(注)7割の法則

ⅱ) まちづくり

まちの構造、イベント性のあるまち

ⅲ) 民間活力

HIP(東京大学産学共同研究)

ⅳ)

ICT

ビックデータ(予防政策の正当性の検証を含む)、

PHR

18

(19)

国 民

民間

事業者

都道府県

○健康づくり施策の

総合的な企画と関係

者間の協議調整

○健康増進計画の内

容充実

(新しい健康増進

計画)

・目標値の設定 ・関係者の具体的な取組 ・評価

○科学的根拠に基づく

効果的なプログラムの

提示

・標準的な健診・保健指 導プログラムの策定等

○総合的な生活習慣病

対策の基本的方向性

・具体的な枠組みの提示

○都道府県の取組支援

・都道府県健康増進計画改 定ガイドラインの策定 ・都道府県健康・栄養調査 マニュアルの策定等

医療保険者

○健診・保健指導の

実施(ハイリスク

アプローチ)

・健診・保健指導 の徹底 ・実施結果に基づく データ管理

市町村

○健康づくりの普及 啓発(ポピュレー ションアプローチ) ○がん検診等の実施

調整

支援

協力

支援

保険者協議会

調整

支援

地域・職域連携推進協議会 積極的活用

協力

協力

積極的活用

生活習慣病対策の推進体制の構築

19

(20)

予防する医療(Ⅰ)

ー生活習慣病の構造と川上への展開(4)

○予防政策の倫理と論理と方法

②予防政策の戦略

ⅰ) ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチの

組み合わせ

(注)7割の法則

ⅱ) まちづくり

まちの構造、イベント性のあるまち

ⅲ) 民間活力

HIP(東京大学産学共同研究)

ⅳ)

ICT

ビックデータ(予防政策の正当性の検証を含む)、

PHR

20

(21)

外出することは、健康予防、認知症予防にも効果あり!

外出機会と健康の関係

1週間1回 1週間1回

「資料提供:独)東京都健康長寿医療センター 井藤英喜 センター長」

(22)

予防する医療(Ⅰ)

ー生活習慣病の構造と川上への展開(4)

○予防政策の倫理と論理と方法

②予防政策の戦略

ⅰ) ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチの

組み合わせ

(注)7割の法則

ⅱ) まちづくり

まちの構造、イベント性のあるまち

ⅲ) 民間活力

HIP(東京大学産学共同研究)の試み

ⅳ)

ICT

ビックデータ(予防政策の正当性の検証を含む)、

PHR

22

(23)

産業の貢献する分野

元気な高齢者の健康増進

生活習慣病領域 (脳、心臓血管系疾患)

在宅ケア

虚弱予防

廃用症候群領域 (ロコモティブシンドロム サルコペニア、認知症)

連携

◎健康度診断機開発 ◎健康モニター機器開発 ◎教育(啓発情報)事業 ◎介護予防ネットワーク ◎ソリューション提案 口腔(たべる)睡眠(ねる) 歩行(あるく)排泄(だす) ◎介護予防健康施設 イベント ◎在宅介護機器開発 ◎モニタリング機器開発 ◎住宅事業、都市再開発 ◎在宅介護サービス 食事、排泄、買い物、家事 ◎ICT等在宅医療支援 ◎・・

事業化

検討案

事業化

検討案

上の図は高齢化にともなう課題として虚弱予防、及び在宅ケアの必要

性を示したもので、これに対応した企業の役割が期待されています。

秋山弘子 長寿社会の科学と社会の構想「科学」岩波書店,2010

虚弱な高齢者の生活支援

23

(24)

HIPが目指す 三位一体の新社会システム

(Aging in Place)

の基本構造

健康増進・虚弱予防

在宅ケア

社会インフラ

動く(歩く)

社会参加

⾷べる

在宅医療

24時間ケアシステム

住まい

ICT

機器

まちつくり コミュニティ再⽣

在宅ケアシステムの

全国普及支援活動

国民運動の推進

支援活動

超高齢社会の

健康安心未来都市の創造

24

(25)

現在進行中の

在宅医療と介護に関する情報を連携する共通基盤

インターネット (暗号化) Aデータ センター 情報共有 システム Kシステム インターネット (暗号化) Bデータ センター 情報共有 システム Fシステム 情報連携する 共通基盤 医療・介護事業者 医療・介護事業者 情報 シ ス テ ム が 異 なっ て も情報 が 共 有で きる 共 通 様 式 の 標 準 化 連 携 技 術 の ル | ル 化 25

(26)

患者・利用者

医療・介護関係者+生活支援等関係者

診療所 医師・歯科医師 薬局 薬剤師 訪問看護 看護師 訪問介護 ホームヘルパー

家族

情報共有システム

情報共有システム

診療記録 システム 調剤・処方 システム 看護記録 システム 介護記録 システム

連携基盤

システム • 異なる情報システムと連携してデーター交換機能 • 関係者の連携を強化するコミュニティ・学習機能

現在進行中の

在宅医療と介護の連携における情報システム関連図

健康・

在宅

PHR

お薬手帳 システム 健康モニター システム 生活支援シス テム 画像モニター システム 就労、社会参加 支援システム WG‐A WG‐A WG‐B,C,D WG‐B WG‐E 【課題】 ①共通様式の標準化 情報項目/統一コード ②連携技術のルール化 フォーマット 個人ごとの健康・医療・ 介護・生活支援の 一元情報管理システム WG‐C

連携基盤システムに、

健康・在宅PHRを重層させる

26

(27)

予防する医療(Ⅱ)

虚弱化予防の構造と川上への展開

○虚弱化という概念

-病気とは別の老年症候群ともいうべきもの

○虚弱化の構造の解明と予防へのアプローチ

-「食の加齢症候群」という仮説の設定(生活習慣病と似た

ロジック)

-仮説の検証と早期の兆候(メタボリックシンドロームの

境界領域の相当するもの)の探索(東大で大規模継続調査)

-医科、歯科、栄養の学際的アプローチ

27

(28)

年齢

40

50

60

70

75

80

90

<健康増進>

健康増進・虚弱予防の研究と推進

メタボリック

症候群の予防

<メタボ健診基準>

老年症候群

の予防

虚弱化

要介護

虚弱体質

自立度

腹囲、血圧、血糖、脂質 など(平成20年度に基準化)

兆候をつかむ

<虚弱化・介護予防>

・転びやすくなった ・外出が少なくなった ・美味しいものが 食べれなくなった ・活動的でなくなった

<虚弱予防判断基準の策定>

28

(29)

Phase 1

Phase 2

Phase 3

Phase 4

口腔機能

心身機能

精神・心理

活動量

社会・経済

歯の喪失 ○歯 口腔リテラ シー低下 巧緻性低下 食品多様性低下 口腔QOL低下 咬合力・ 運動の力低下 食形態変化 (軟食化)

咀嚼機能不全

摂食・嚥下

障害

栄養障害

運動障害

Oral

Frailty Cycle

Frailty Cycle

食欲低下

噛めない 食品の出現 食べる量の 低下

低栄養

サルコ

ペニア

代謝量低下

うつ・疾患(多病・多剤)増加

残存歯数・QOL(口腔・全身)低下

ロコモティブSY 歯周病 (血行性)

高齢者の「食」から考える虚弱フロー(仮説)

東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢 作図 (unpublished data)

29

(30)

再考【高齢者の食力】

栄養とからだの健康増進調査事業

問診

受付

採血

口腔①

唾液最近数 湿潤度 嚥下機能

InBody

身体測定

指輪っか

大腿四頭

筋エコー

アンケート

認知機能

身体能力

握力・TUG ピンチ力 膝伸展力 座り立ち

歩行速度

口腔②

舌エコー 歯式 ガム・グミ

最終

チェック

30

(31)

新しい概念の必要性

(1)医学医療の発展が新しい展開を求める

①「病気でなければ健康」?

②生活習慣病や虚弱化は、徐々に進行する

(2)未病という新しい概念

① 未病を治すのが一番幸せということ

② 未病を解明し、未病を治すことが、新しい

挑戦

31

(32)

未病を治すということ(Ⅰ)

1.既に述べたこと以外の現在までの様々な知見

① ライフサイクルと肥満

② 食と健康

③ 歩行と健康

③ 社会参加と健康

2.三つの取り組み

「運動(歩く)」「食」「社会参加」は、「未病を治す

新薬」といえる

32

(33)

1) 低体重児は心血管疾患や脳卒中のリスクが高い

・Barker DJ, Lancet 1:1077‐81,1986

2) 低体重児は虚血性心疾患死やメタボリックシンドローム

が高頻度

・Barker DJ,et al Lancet 2:577‐80,1989

Barker DJ,et al Diabetologia 31:62‐7,1993

・近年の若年女性における「やせ」の増加が、低体重

児の増加をもたらしている

・低体重児の増加は、生活習慣病や心血管疾患の

増加をもたらし、短命化の大きな要因となる可能性

がある

「資料提供:独)東京都健康長寿医療センター 井藤英喜 センター長」 33

(34)

小児期(

1~17歳)肥満および親の肥満が成人期

21~29歳)の肥満に移行する頻度(%)

年齢

(歳)

小児期正常体型

小児期肥満

小児期高度肥満

両親正常 体型 片親または 両親が肥満 両親正常 体型 片親または 両親が肥満 両親正常 体型 片親または 両親が肥満 1~2 10 28 8 40 14 40 3~5 8 23 24 62 33 83 6~9 7 17 37 71 55 77 10~14 8 15 64 79 75 82 15~17 5 14 54 73 60 81

小児期の肥満、

とくに、片親あるいは両親が肥満している場合は成人肥満に

高頻度に移行

→小児期の生活習慣は成人期に持ちこされやすい

Whitaker RC et al: N Engl J Med 337:869-873,1997)

「資料提供:独)東京都健康長寿医療センター 井藤英喜 センター長」 34

(35)

若年男性では20歳台から30歳台、若年女性では

20歳代から40歳台にかけて肥満が増加する

(理由) その時期の生活習慣が不適切な人が多い

1) 運動習慣のある人が少ない

(H21国民健康栄養調査)

2)朝食の欠食率が高い (H21国民健康栄養調査)

年齢(歳) 男性 女性 20~29 25.4 (%) 12.4 (%) 30~39 21.6 15.9 40~49 23.7 19.0 50~59 23.3 23.2 60~69 41.9 41.3 70~ 39.9 30.7

年 齢 (歳)

「資料提供:独)東京都健康長寿医療センター 井藤英喜 センター長」 35

(36)

* 一部の病気は、遺伝、感染症等により発症することがあ る。

不健康な

生活習慣

・不適切な食生活

(エネルギー・食塩・ 脂肪の過剰等)

・運動不足

・ストレス過剰

・飲酒

・喫煙

など

内臓脂肪

症候群として

の生活習慣病

・肥満症

・糖尿病

・高血圧症

・高脂血症

など

重症化・合併症

・虚血性心疾患

(心筋梗塞、狭心症)

・脳卒中

(脳出血、脳梗塞等)

・糖尿病の合併

(失明・人工透析等)など

生活機能の低下

要介護状態

半身の麻痺

日常生活に

おける支障

認知症

境界領域期

生活習慣病とは

・肥 満 ・高血糖 ・高血圧 ・高脂血など ○ 「不健康な生活習慣」の継続により、「予備群(境界領域期)」→「内臓脂肪症候群としての生活習慣病」→「重症化・合併 症」→「生活機能の低下・要介護状態」へと段階的に進行していく。 ○ どの段階でも、生活習慣を改善することで進行を抑えることができる。 ○ とりわけ、境界領域期での生活習慣の改善が、生涯にわたって生活の質(QOL)を維持する上で重要である。 ・ ・ ○

内臓脂肪症候群としての肥満症、糖尿病、高血圧症、高脂血症及びこれらの予備群

自覚症状に乏しく日常生活に大きな支障はないが、健診で発見された後は、基本となる生活習慣の改善がなされないと・・・ ○

脳卒中

虚血性心疾患(心筋梗塞等)

その他重症の合併症(糖尿病の場合:人工透析、失明など) に進展する可能性が非常に高い。 ○

がん

がん検診や自覚症状に基づいて発見された後は、生活習慣の改善ではなく、手術や化学療法などの治療が優先される。 → がん検診の普及方策やがん医療水準の均てん化等、「早期発見」、「治療」といったがん対策全般についての取組が別途必要。 など

予備群

* 喫煙により・・・ ・動脈硬化の促進→脳卒中や虚血性心疾患の ・がん(肺がん・喉頭がん等)の

→ 不適切な食生活、運動不足、喫煙などで起こる病気

発症リスク増大

発症リスク増大

36

(37)

生活習慣病の発症・重症化予防

○高血糖、高血圧、高脂血、内臓肥満などは別々に進行するの ではなく

、「ひとつの氷山から水面上に出たいくつか

の山」

のような状態 ○投薬(例えば血糖を下げるクスリ)だけでは水面に出た

「氷山のひとつの山を削る」

だけ ○根本的には運動習慣の徹底と食生活の改善などの生活習慣の 改善により

「氷山全体を縮小する」

ことが必要

適正な血糖・血圧・血中脂質

摂取エネルギーの減少 正しい栄養バランス 消費エネルギーの増大 心身機能の活性化

達成感・快適さの実感

継続

食生活の改善

体重・腹囲の減少

代謝の活性化・内臓脂肪の減少

(良いホルモン分泌↑ 、不都合なホルモン分泌↓ )

高血糖

高血圧

高脂血

運動習慣の徹底

内臓肥満

個々のクスリで、1つの山だけ 削っても、他の疾患は改善され ていない。

1に運動

2に食事

しっかり禁煙

最後にクスリ

・禁 煙

・運動習慣の徹底

・食生活の改善

生活習慣の改善

37

氷山全体が縮んだ!

(38)

(厚生労働省:平成

22年国民生活基礎調査)

生活習慣、生活習慣病の関与しうる要介護の原因

: 生活習慣、生活習慣病

が関与しうる原因

(総計

72%)

「資料提供:独)東京都健康長寿医療センター 井藤英喜 センター長」 38

(39)

• 緑黄色野菜

1日70g以上、

その他の野菜・き

のこ類

合わせて

200g以上の野菜の摂取は、

血糖や中性脂肪の良好なコントロール

に結び

つく

Takahashi K,et al, Geriatr Gerontol Int 12.

Suppl.1:50-58,2012)

• 野菜、魚

を多く摂取する高齢者、とくに

後期高

齢者の生命予後は良好

である

Iimuro S et al, Geriatr Gerontol Int 12.Suppl.1:59-67,

2012)

「資料提供:独)東京都健康長寿医療センター 井藤英喜 センター長」 39

(40)

「資料提供:独)東京都健康長寿医療センター 井藤英喜 センター長」

(41)

41

外出することは、健康予防、認知症予防にも効果あり!

外出機会と健康の関係

1週間1回 1週間1回 「資料提供:独)東京都健康長寿医療センター 井藤英喜 センター長」 41

(42)

「資料提供:独)東京都健康長寿医療センター 井藤英喜 センター長」

(43)

「資料提供:独)東京都健康長寿医療センター 井藤英喜 センター長」

(44)

未病を治すということ(Ⅰ)

1.既に述べたこと以外の現在までの様々な知見

① ライフサイクルと体重

② 食と健康(医食同源)

③ 歩行と健康

③ 社会参加と健康

2.三つの取り組み

「運動(歩く)」「食」「社会参加」は、「未病を治す

新薬」といえる

44

(45)

胎児期から高齢期までのすべての年代の生

活習慣の不適切さ(過栄養、低栄養、運動不

足など)は要介護のリスクとなり、健康寿命の

短縮につながる

健康寿命をより延伸するには生涯に

わたる生活習慣の適正化が重要である

「資料提供:独)東京都健康長寿医療センター 井藤英喜 センター長」 45

(46)

栄養

(たんぱく【魚・肉】・野菜)

身体活動

運動、社会活動など

社会参加

講演会、余暇活

動、ボランテイア

健康長寿のための

3つの柱

「資料提供:独)東京都健康長寿医療センター 井藤英喜 センター長」 46

(47)

未病を治すということ(Ⅱ)

病気治療の前の段階は、住民自身を始め多主体が取り

組むことが大切

① 三つの取り組み

―住民一人一人

② 未病の考え方の普及と未病を治す環境整備

の枠組み

―行政

③ 日常生活での応援

-企業、団体等

④ 新しい知見(データ)の積み重ねと分析

―学術

47

(48)

まとめに代えて

○未病を治すということに価値観を見出す

文化の創造が必要

○三つの取り組みの環境整備には、産・官・

学・民一体での協力と創意工夫が必要

○健康寿命日本一を目指す神奈川県に期待

48

参照

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