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Academic year: 2021

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トラス筋を用いた超軽量複合構造スラブ(KS スラブ)

1. はじめに KS スラブは,上下面の薄肉コンクリート版をトラス筋で結合した複合スラブ構造を有し,上下面の 薄肉コンクリートの間に発泡スチロール(以下,EPS)を中空型枠として用いた超軽量なスラブである (図-1)。KS スラブは,群集荷重や輪荷重 T-6 までの軽荷重に対応した製品であり,都市再開発や駅前 立体化にともなうペデストリアンデッキ用床版,歩道橋,水路蓋といった比較的小さな荷重が作用する 場所への適用を前提として開発した(図-2)。さらに,環境負荷低減のため,KS スラブのコンクリート には,石炭灰(PFBC 灰)や高炉スラグ微粉末などの産業副産物を混入したコンクリート(EA-CRETE: NETIS 登録番号 CG-060016-A ,3H-CRETE:NETIS 登録番号 CB-030101 )を用いている。KS スラブの主 な特徴を以下に示す。 ① 経済性:T-6 までの軽荷重に特化させることで,製作費・運搬費・全体工事費の削減に寄与できる。 ② 軽量性:上下面の薄肉コンクリート版をトラス筋で結合した複合スラブ構造を有し,スラブの軽量 化が図れる。 ③ 作業性:高流動コンクリートの使用及び軽 量化による作業性の向上が図れる。 ④ 環境負荷低減:セメントの一部を産業副産 物に置き換えることにより,マテリアルリ サイクルを実現するとともに,歩道橋での 従来品に対して KS スラブでは,42%の CO2 排出量の削減が図れる。 ⑤ 断熱性:EPS を中空型枠として使用してお り断熱性に優れる。 ここでは,KS スラブの経済性,軽量性,環 境負荷低減について詳述し, さらに,構造性能試験結果と 製作工程を紹介する。 2. KSスラブの概要 2.1 KSスラブの適用範囲 表-1 に KS スラブの適用範 囲,図-3 に支間長 10m の場合 の断面図を示す。KS スラブに は,群集荷重に対応した「KS タイプ」と輪荷重 T-6 に対応し た「KST タイプ」があり,ど ちらのタイプも適用支間長は 5~15m である。標準スラブ幅 所属名:極東興和(株) 発表者:河金甲 高強度コンクリート EPS(発泡スチロール) トラス筋 図-1 KS スラブ 図-2 KS スラブの適用例

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は,間詰め幅 10mm を含んで 1.00m と 1.25m と し,この 2 種類のスラブ幅の製品を,適用する 構造物の幅員に対して,組み合わせて用いるの を基本とする。 2.2 軽量性 KS スラブと軽荷重スラブ橋桁(LS 桁)の単位面積あたりの重量の比較を図-4 と図-5 に示す。なお, LS 桁は T-10 荷重対応であることから,群集荷重対応の KS タイプとの比較(図-4)では,LS 桁の適用 支間を 1 ランク下げている。例えば,支間長 10m の KS タイプの KS スラブと LS 桁の重量を比較すると, KS スラブは,スラブ幅 990mm で 30%,スラブ幅 1240mm で 34%の軽量化が図れる。KST タイプになる と,KS スラブは LS 桁に対して,スラブ幅 990mm で 23%,スラブ幅 1240mm で 27%の軽量化を図るこ とが可能となる。 2.3 経済性 図-6 に示す支間長 10m,有効幅員 5m の歩道橋について KS スラブと LS 桁の建設コストの比較を行な った。なお,LS 桁は,その適用活荷重が T-10 であることから,適用支間を 1 ランク下げた標準支間 9m の LS 桁(LS09)を用いて試算した。その結果は次の通りである。 図-3 KS スラブの断面図 (支間長 10m の場合) 表-1 適用範囲 支間 スラブ幅 活荷重 KSタイプ 5~15m 990mm,1240mm 群集荷重 5.0kN/m2 KSTタイプ 5~15m 990mm,1240mm T-6 図-6 試算モデル(支間長 10.0m) KSスラブ KS10 LS(軽荷重スラブ橋)桁 LS09 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 支間長(m) 単 位 面 積 あ た り の 重 量 (k g /m 2 ) KSTタイプ スラブ幅990mm KSTタイプ スラブ幅1240mm 軽荷重スラブ橋桁 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 支間長(m) 単 位 面 積 あ た り の 重 量 (k g /m 2 ) KSタイプ スラブ幅990mm KSタイプ スラブ幅1240mm 軽荷重スラブ橋桁 図-4 KS タイプの重量比較 図-5 KST タイプの重量比較

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【主桁工】KS スラブは LS 桁より製品幅が大きく主桁本数が減少するために,1 割程度のコスト縮減 【運搬工・架設工】軽量化により 2 割程度のコスト縮減 【横組工】KS スラブは独立版で設計していることから横締めが不要となり,8 割程度のコスト縮減 以上の結果から,橋体工の直接工事費で比べると KS スラブは LS 桁と比較して 2 割程度のコスト縮減が 見込まれる。 2.4 環境負荷低減 図-6 に示した歩道橋について KS スラブと LS 桁の主桁製作による CO2排出量を試算した。試算は文 献 1)に準じて行った。表-2 に CO2排出量の試算結果を示す。 セメント製作時に大量の CO2が排出されることはよく知られている。今回の試算においても,コンク リート供給による CO2排出量が KS スラブと LS 桁ともに全体の排出量の大部分を占めている。一方, KS スラブのコンクリート使用量は,LS 桁のコンクリート使用量の 71% (10.6/14.9=0.71)である。さらに, KS スラブは,セメントの一部を高炉スラグ微粉末や石炭灰(PFBC 灰)等の産業副産物に置換した高流 動コンクリートを用いている ために,セメントの使用量を 少なくすることができる。こ のことで,表-2 より KS スラ ブのコンクリート供給による CO2排出量が LS 桁に比べて 大幅に削減できている。その 結果として,主桁製作による CO2の総排出量は,KS スラブ は LS 桁に比べて約 42%少な く,KS スラブは環境負荷低減 に貢献できることがわかる。 3. 構造性能試験 既往の報告 2)において,KS タイプの曲げ特性,せん断 特性,押抜きせん断特性を示した。ここでは,KST タイプ の曲げ特性と横組構造性能確認試験の結果を報告する。 3.1 曲げ載荷試験 KS スラブの曲げ特性を明らかにするため,静的曲げ載 荷試験を行った。試験状況を写真-1 に,試験体概要を図 -7 に示す。試験には,輪荷重対応タイプ(KST タイプ)を用 い,2 点集中荷重により載荷した。 図-8 に KS スラブが破壊に至るまでの荷重と支間中央た わみの関係を示す。図中に示したたわみの計算値は,トラ ス筋の影響を無視し,全断面有効時,すなわちひび割れ発 生前の弾性域でのたわみ量を算 出したものである。図から,弾性 域でのたわみの挙動は実測値と 計算値がほぼ一致していること がわかる。 曲げひび割れ発生荷重につい ては,実測値が計算値と比較して 約 18%増大した。さらに,荷重 表-2 CO2 排出量の試算結果 10.6 14.9 t 26.5 37.2 13.3 13.3 kg 347 1,040 kg 696 472 3395 6269 t 26.5 37.2 m3 時間 13.3 13.3 時間 CO2排出量 (kg・CO2) KSスラブ LS桁 単位 KSスラブ LS桁 数量 - -523 1567 326 221 527 527 221 221 454 637 L S 桁 :1S12.7 KSスラブ:SD295A、SR235 L S 桁 :SD295A KSスラブ:σck=50N/mm2 L S 桁 :σck=70N/mm2 KSスラブ:1S15.2 主要資材 項目 11t トラック 電気、重油、軽油 コンクリート PC鋼材 鉄筋 燃料消費によるもの 機械消耗によるもの 工場 備考 合計 - - - 5447 9443 42.3% 機材使用 資材運搬 写真-1 曲げ載荷試験状況 図-7 試験体概要

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134kN,たわみ 329mm で圧 縮縁のコンクリートが圧縮 破壊(写真-2)することで終 局に至ったが,曲げ耐力の計 算値と実測値を比較すると, 実測値の方が 8%大きくな った。なお,曲げ耐力は,コ ンクリート標準示方書 3) 準拠して計算した。 以上より,既往の設計計算 手法を用いて KS スラブの 曲げ挙動を評価できること がわかる。 3.2 横組構造性能確認試験 KS スラブでは,荷重の作用時に隣接する KS スラブとの間でたわみ差が発生しないように間詰めモル タルでせん断力を伝達させる横組構造を採用している。その横組構造の性能を確認する目的で,2 枚の KS スラブを用いて載荷試験を実施した。試験概要を図-9 に,試験状況を写真-3 に示す。 通常,KS スラブは目地幅 10~20mm で配置するが,通常使用する目地幅の約 2 倍(40mm)に設定して, 目地に不利な条件で試験を実施した。目地幅 40mm で並列して配置した 2 枚の KS スラブのうち 1 枚に 輪荷重が作用するように載荷を行い,載荷荷重は 34kN とした(設計輪荷重(T6 後輪荷重相当)24kN, 衝撃係数 0.345⇒24×(1+0.345)=32.3kN)。 輪荷重載荷時のたわみ分布を図-10 に示す。この図から,たわみは一直線上に分布しており,目違い (段差)は発生していないことがわかる。さらに,スラブ 2 枚で荷重に抵抗すると仮定して算出した計 算値と実測値が非常に近いことから,間詰めにより 2 枚のKSスラブが一体となって抵抗することが確 認できる。 20 2020 20 4040404020202020 20202020 2 0 2 0 2 0 2 0 60606060 50505050 目地寸法 図-9 試験概要 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 -1000 -750 -500 -250 0 250 500 750 1000 間詰め中央からの距離 (mm) た わ み   (m m ) 実測値 計算値(スラブ1枚で抵抗) 計算値(スラブ2枚で抵抗) たわみ分布 KSスラブ 載荷板(200×500mm) 写真-3 載荷状況 図-10 たわみ分布 0 20 40 60 80 100 120 140 0 100 200 300 400 たわみ(mm) 荷 重 (k N ) 実測値 たわみの計算値 ひび割れ発生荷重の計算値 曲げ耐力の計算値 曲げひび割れ発生 写真-2 破壊状況 破壊 破壊 破壊 破壊 図-8 荷重とたわみの関係

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4. 製作工程 写真-4 に KS スラブの製作工程写真を示す。 5. おわりに KS スラブは,上下面の薄肉コンクリート版の間に EPS を配置したサンドイッチ構造となっている。 そのため,防振,吸音,断熱などの効果が期待でき,土中防振壁や住宅外壁材への適用も検討している。 また,軽量性を生かし,浮体構造物の製品化も併せて実施していく予定である。 なお,KS スラブは,2006 年 7 月に島根県の新技術活用支援制度「しまね・ハツ・建設ブランド」の 選考において,フィールド実証工事指定として実施する技術と判断された。さらに,2008 年 2 月に国土 交通省の NETIS に登録された(登録番号 CG-070016)。 参考文献 1) RAMS:平成 13-15 年度構造物の維持補修技術に関する研究成果報告書 Vol.5,2004.6 2) 牛尾亮太:トラス筋を用いた軽量スラブ(KS スラブ),平成 19 年度中国地方建設技術開発交流会発 表論文(広島県会場) ,pp.16-20,2006.10 3) (社)土木学会:2007 年制定コンクリート標準示方書[設計編],2008.3 ①PC 鋼線緊張 ②鉄筋・EPS 組立 ③型枠組立 ④コンクリート打設 ⑤コンクリートの品質管理 ⑥養生 ⑦脱枠 ⑧プレストレス導入 ⑨完成 写真-4 KSスラブ製作工程

参照

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