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平成 26 年度新潟薬科大学薬学部卒業研究 Ⅱ ROCK-1 Rho-kinase の核局在メカニズム解明を 目的とした ROCK-1 一部欠損型発現プラスミドの構築 Construction of deletion mutant of ROCK1 plasmid to clarify nuclea

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平成

26 年度新潟薬科大学薬学部卒業研究Ⅱ

ROCK-1 Rho-kinase の核局在メカニズム解明を

目的とした

ROCK-1 一部欠損型発現プラスミドの構築

Construction of deletion mutant of ROCK1 plasmid to clarify nuclear

localization mechanism of ROCK1 Rho-kinase

薬品製造学研究室 6 年

09P036 小出 絵梨

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要 旨

ROCK (Rho-associated coiled coil kinase) は、Rho の標的タンパク質として同定 された細胞内セリン/スレオニンキナーゼである。ROCK は細胞質内に局在し、種々 の機構によりストレス線維の形成を促進することで細胞運動に関与している。近年、 ROCK が核内にも細胞質と同程度の濃度で存在することが報告された。一般に、核内 に存在するタンパク質はその配列中に核移行シグナルと呼ばれる特徴的な配列を有 しているが、ROCK の配列中にそのような配列は存在しない。そこで、ROCK の 2 種類あるサブタイプ (ROCK1、ROCK2) のうち、ROCK1 の核移行メカニズムの解 析を目的としたプラスミドの構築を行った。 そこで本研究では発現クローンを容易に作製できるGateway®システムを用い、プ ラ ス ミ ド の 構 築 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、ROCK1 (1-421) /pDONR221 、 ROCK1 (1095-1354) / pcDNA-DEST47 の構築に成功したと考えられる。今後は、他の発現ク ローンの構築を行い、核移行の確認を行う予定である。Gateway®システムで様々な 欠損変異体を作製できれば、ROCK1 の核移行に関与する遺伝子領域を明らかにして いくことが可能である。

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目 次

1. はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2. 実験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 2.1. 材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 2.1.1. 大腸菌株 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 2.1.2. プラスミド ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 2.1.3. プライマー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 2.1.4. ベクター ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 2.1.5. 制限酵素 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 2.1.6. 培養液 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 2.2. 実験操作 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 2.2.1. プラスミドの作成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 3. 結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 3.1. PCR ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 3.2. BP 反応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 3.3. LR 反応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15 4. おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 謝 辞 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18 引用文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19

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1

1. はじめに

ROCK (Rho-associated coiled coil kinase) は、Rho の標的タンパク質として同定さ れた細胞内セリン/スレオニンキナーゼである。Rho は分子量が 2 万から 3 万の低分 子量GTP 結合タンパク質であり、分子スイッチとして機能している。低分子量 GTP 結合タンパク質は、活性型と不活性型があり、不活性型は GDP 結合型として存在す るが、活性型は特定の細胞外シグナルが細胞に作用することにより、GTP 結合型と して存在する (Fig. 1)。この GTP 結合型が標識タンパク質に結合することにより、 様々な生理活性を引き起こす [1]。Rho は細胞増殖因子等の細胞外シグナルを受けて アクチン系の細胞骨格を制御しており、ストレス線維の形成、平滑筋の収縮、細胞骨 格の再構築、細胞遊走能に深く関与している [1]。この他にも冠動脈攣縮、動脈硬化 症、遺伝子発現制御、及び胚の発生、分化への関与が示唆されている。このような Rho の生理作用の多くは ROCK を経由して発現している [1]。 Fig. 1 低分子 GTP 結合タンパク質 Rho の分子スイッチモデル [2]

不活性型のGDP 結合型が GDP/GTP 交換反応促進タンパク質 (GDP/GTP exchange protein: GEP)

の作用により、活性型であるGTP 結合型に変換され、エフェクターと結合してシグナル伝達を開始す

る。その後、GTP 活性促進タンパク質 (GTP activating protein: GAP) により GDP 結合型に変化し、 シグナル伝達が終了する。

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2 ROCK は線虫、ショウジョウバエのような下等真核生物からマウス、ヒトのような 高等真核生物まで広く発現している。高等真核生物ではROCK1 と ROCK2 という 2 つのアイソフォームが存在し、ヒトにおいて ROCK1 は第 2 染色体 (2p24) に、 ROCK2 は第 18 染色体 (18q11.1) に存在している [2]。ROCK には N 末端部にキナ ーゼドメイン、中央部にRho 結合ドメイン(RBD)を含む coiled-coil ドメイン、C 末端 部にcysteine-rich ドメイン (CRD) を含む pleckstrin-homology (PH) ドメインが存 在する(Fig. 2) [3]。RB ドメインと PH ドメインは直接キナーゼドメインに結合し、 活性を抑制する [1]。 ROCK1 と ROCK2 は全体で 65%の相同性があり、特にキナーゼドメインでは 92% という高い相同性がある。ROCK1 は全身に発現しているが、ROCK2 は脳や筋肉で の発現レベルが高いことがわかっている。このことから、ROCK1 と ROCK2 は Rho の細胞内シグナル伝達経路においてそれぞれ異なる役割を果たしている可能性が考 えられる [3]。

Fig. 2 マウス ROCK1 および ROCK2 のドメイン構造と相同性 (引用文献 4 Fig. 1 より改変)

数字はアミノ酸の番号を、割合はROCK1 と ROCK2 相同性を表す。なお、ROCK2 の RBD のアミ

ノ酸番号は確定していない。

ROCK2 は細胞質に局在しているとされていたが、近年核にも細胞質と同程度の濃 度で存在することが明らかになった [4]。さらに、p300 アセチルトランスフェラーゼ やMLH1 (MutL homologue1) のような核内で ROCK2 と相互作用するタンパク質も 報告され、ROCK2 の細胞内全域に亘る機能について研究が進められている [5]。

一般に、核へ移行するタンパク質は、核局在シグナル (nuclear localization signal: NLS) と呼ばれるアミノ酸配列を持つか、NLS を持つタンパク質と相互作用して核 へ移行することが知られている。NLS の代表的なものに一次配列中に塩基性アミノ

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3

酸のリジンとアルギニンを複数含んでいるclassical NLS (cNLS) モチーフが知られ ている。cNLS としてシミアンウイルス 40 (simian virus40: SV40) large T 抗原 (126PKKKRKV132) や 、 ア フ リ カ ツ メ ガ エ ル の 核 内 タ ン パ ク に 存 在 す る 配 列

(155KRPAATKKAGQAKKKK169)、Y 染色体性決定領域遺伝子 (Sex-determining

region Y: SRY) の持つ (59KRPMNAFIVWSRDRRK75130RPRRK135) などが報告さ

れている。このほかに、塩基性アミノ酸に加えプロリンとチロシンも含むPY-NLS モ チーフや、核内のタンパク質、及びウイルス由来のタンパク質に特異的な NLS 配列 [7]、一次配列上では分散していた塩基性アミノ酸がタンパク質として三次構造をとっ た時に集合してNLS の役割を果たす散在性 NLS も報告されている [8]。 ROCK2 は核に存在することは前述したが、ROCK2 の配列中に NLS の配列や NLS と類似の配列は存在しない。そこで、本研究では、ROCK2 と相同性の高い ROCK1 の核移行メカニズムの解析を目的としたプラスミドの構築を行った。

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4 2. 実験 2.1. 材料 2.1.1. 大腸菌株 形質転換にはDH5α (Invitrogen,USA) を用いた。 2.1.2. プラスミド

Homo sapiens ROCK1 ORF 全長を含むプラスミドである GC-Q0129 は Gene Copoeia (USA) より購入した。

2.1.3. プライマー

Gateway®システム及び sequencing に用いるプライマーは Invitrogen (USA) に合 成を依頼した。

2.1.4. ベクター

pDONR221 (Invitrogen USA)、pcDNA-DEST47 (Invitrogen USA) を使用した。 2.1.5. 制限酵素

StuⅠ、EcoRⅠ、HpaⅠ、BspEⅠ、PstⅠ、XhoⅠ、NdeⅠ、SpeⅠはタカラバイ オ (滋賀) より購入したものを使用した。

2.1.6. 培養液

使用した主な培養液の組成を以下に示す。

LB 培地:1% (w/v) bactotryptone,0.5% (w/v) bacto yeast extract,1% (w/v) NaCl SOC 培地:1% (w/v) bactotryptone,0.25% (w/v) bacto yeast extract,0.025% (w/v) NaCl,

2.5 mM KCl,10 mM MgCl2,20 mM glucose

(8)

5 LB 培地には、必要に応じて Ampicillin (Amp) の場合終濃度 0.01%となるように、 Kanamycin (Kana) の場合終濃度 0.02%となるようにそれぞれ加えた。また、平板培 地として用いる場合にはさらに1.5 % (w/v) の Agar Powder を加えた。 2.2. 実験操作 2.2.1. プラスミドの作成 2.2.1.1. Gateway®システムの利用 Gateway®システムは、目的遺伝子を持つエントリークローンを構築すれば、部位 特異的な組み換え反応を利用して、目的遺伝子をさまざまなGateway®対応の発現ベ クター (ディスティネーションベクター) に移入することが可能であり、タグの導入 も容易に行うことが可能といった特徴をもつ。特に、制限酵素やリガーゼを用いずに 部位特異的な組み換え反応 (attB x attP・attL x attR) を利用しているため、制限酵 素によるクローニングの制限をうけることがない (Fig. 3)。本研究では、最終的に発 現クローンを標識タグと融合させて、哺乳動物細胞に発現させることを想定している ため、発現クローンを効率的に構築することが可能なGateway®システムを用いるこ ととした。 Fig. 3 Gateway®システムの流れ 両端にattB 配列を付加した遺伝子を、部位特異的な組み換え反応である BP 反応と LR 反応によって、 目的に合わせたベクターへ移入できる

(9)

6

2.2.1.2. プライマーの設計

ROCK1 の一部欠損型変異体を作製するために、Gateway®システムに対応するプ ライマーを設計した。末端にattB 配列を付加し、attB1_h_ROCK1_1243-1263_FW、 attB2_h_ROCK1_4065-4042_RV はそれぞれ ROCK1 ORF の 1243~1263 塩基、4065 ~4042 塩基とアニーリングするように設計した。また同様に、末端にattB 配列を付 加し、attB1_h_ROCK1_2800-2823_FW、attB2_h_ROCK1_4065-4042_RV はそれぞ れROCK1 ORF の 2800~2823 塩基、4065~4042 塩基とアニーリングするように、 attB1_h_ROCK1_1-24_FW、attB2_h_ROCK1_1263-1243_RV はそれぞれ ROCK1 ORF の 1~24 塩基、1263~1243 塩基とアニーリングするように設計した。 名称 塩基配列(5'→3')

attB1_h_ROCK1_1243-1263_FW GGGGACAAGTTTGTACAAAAAAGCAGGCT ATATGAGAACTAGCTCCAATGCAGAT

attB2_h_ROCK1_4065-4042_RV GGGGACCACTTTGTACAAGAAAGCTGGGT CGTAACTAGTTTTTCCAGATGTATT

attB1_h_ROCK1_2800-2823_FW GGGGACAAGTTTGTACAAAAAAGCAGGCT CCATGAAAGATCACACTGTTAGTCGGCTT

attB1_h_ROCK1_1-24_FW GGGGACAAGTTTGTACAAAAAAGCAGGCT

CCATGTCGACTGGGGACAGTTTTGAG

attB2_h_ROCK1_1263-1243_RV GGGGACCACTTTGTACAAGAAAGCTGGGT CATCTGCATTGGAGCTAGTTCT

(10)

7

2.2.1.3. PCR

今回の実験では KOD-Plus-Neo (TOYOBO) を用いて PCR を行った。氷上で 10×Buffer for KOD-Plus-Neo 5 μL、2mM dNTPs 5 μL、25mM MgSO4 3 μL、プラ

イ マ ー と し て 5 pmol/μL の attB1_h_ROCK1_1243-1263_FW 、 attB1_h_ROCK1_4065-4042_RV 、 attB1_h_ROCK1_2800-2823_FW 、 attB1_h_ROCK1_4065-4042_RV 、 attB1_h_ROCK1_1-24_FW 、 attB1_h_ROCK1_1263-1243_RV のうち対応するプライマーをそれぞれ 3 μL、鋳型 DNA として GC-Q0129 50 ng/50 μL、KOD-Plus-Neo 1 μL、dH2O 24 μL、DMSO 1

μL を混和し、Predenature を行った後、Denature、Annealing、Extension の 3 つ の段階を繰り返し45 サイクル行った (Table 2)。 反応 温度、時間 Predenature 94℃、2分 Denature 98℃、10秒 Annealing 60℃、30秒 Extension 68℃、40秒 2.2.1.4. BP 反応

ROCK1 (2800-4065) nonstop、ROCK1 (1-1263) nonstop については 1.5 mL チュ ーブにPCR 産物 20 fmol/L、pDONR 221 vector を 1 μL、を加えて混和し、ROCK1 (3286-4065) nonstop については 1.5 mL チューブに PCR 産物 20 fmol/μL、pDONR 221 vector を 1 μL、TE Buffer (up to 8 μL ) を加えて混和し、さらに氷上で溶解さ せたBP ClonaseⅡ enzyme mix を 2 μL 加えて 25℃で 1 時間静置した。ここに Proteinase K を 1 μL 加え、37℃で 10 分間静置した。

Table 2 PCR の条件

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2.2.1.5. LR 反応

タグとしてC 末端側に GFP を導入できる pcDNA-DEST47 用いて LR 反応を行っ た。

ROCK1 (3286-4065) nonstop/pDONR221 は プ ラ ス ミ ド 溶 液 0.53 μL 、 pcDNA-DEST47 1 μL、TE Buffer 6.47 μL を混和し、氷上で溶解した LR Clonase Ⅱ enzyme (Invitrogen) を 2 µL 加えて 25℃で 3 時間静置し、ここに Proteinase K を1 μL 加え、37℃で 10 分間静置した。ROCK1 (1-1263) nonstop/pDONR221 の場 合はプラスミド溶液2.4 μL、pcDNA-DEST47 1 μL、TE Buffer 4.6 μL を混和し、以 降はROCK1 (3286-4065) nonstop/pDONR221 と同様の手順で LR 反応を行った。 2.2.1.6. 形質転換 氷上で溶解させたコンピテントセルDH5α 50 μL に BP 反応液または LR 反応液 1 μL を加え、軽く混和した後 30 分間氷上で静置する。その後、42℃の温浴で 30 秒間 加温し、すぐに 2 分間氷上で冷却した。この液に溶解しておいた SOC 培地 250 μL を加え、37℃、200 rpm で 1 時間振盪培養した。培養液を 1 分間遠心分離し、上清 を200 μL 捨て、残液を再懸濁した。この懸濁液を、LB (Amp+) または LB (Kana) 平地培地にプレーティングして、37℃で一晩培養させコロニーを形成させた。 2.2.1.7. 培養 一晩静置して形成したコロニーを爪楊枝で取り、LB (Amp+) または LB (Kana) 液体培地2 mL にコロニーを懸濁して、37℃、200 rpm で一晩振盪培養した。 2.2.1.8. プラスミドの精製

プラスミドはQIAprep mini Spin Column (QIAGEN) 又は、Hispeed Plasmid Midi Kit (QIAGEN) を用いて精製した。

2.2.1.9. 制限酵素処理

精製したプラスミドにEcoRⅠ、PstⅠ、XhoⅠの場合 10× H Buffer、Spe I の場合 10× M Buffer、BspEⅠの場合 10× 3 Buffer をそれぞれ 1.0 μL、制限酵素 0.5 μL、dH2O を

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9 2.2.1.10. アガロースゲル電気泳動 電気泳動に使用するゲルは、1×TAE 50 mL に 1%の Agarose-ME を溶解し固めた ものを使用した。制限酵素処理後のプラスミドに10 × Loading Buffer を加えたもの を泳動した。その後、エチジウムブロマイド溶液 (10 mg/mL) にゲルを入れ、振盪 させながら染色した。 2.2.1.11. Sequencing プラスミドの塩基配列決定は、ファスマック (神奈川) に委託した。

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10 3. 結果 3.1. PCR ROCK1 (934-1354) を構築する ために attB1 配列を含むプライマーである attB1_h_ROCK1_2800-2823_FW 、 attB2 配 列 を 含 む プ ラ イ マ ー で あ る attB2_h_ROCK1_4042-4065_RV を用い、ROCK1 (1095-1354) を構築するために attB1 配列を含むプライマーである attB1_h_ROCK1_3286-3309_FW、attB2 配列を 含むプライマーであるattB2_h_ROCK1_4042-4065_RV を用い、ROCK1 (1-421) を 構築するために attB1 配列を含むプライマーである attB1_h_ROCK1_1-24_FW、 attB2 配列を含むプライマーである attB2_h_ROCK1_1263-1243_RV、を用いて、 Homo sapiens ROCK1 ORF 全長を含むプラスミドである GC-Q0129 (Gene Copoeia (USA)) を鋳型 DNA として PCR を行った (Fig. 4)。PCR 産物をアガロースゲル電気 泳動で確認した結果、目的とするROCK1 (934-1354)、ROCK1 (1095-1354)、ROCK1 (1-421) 遺伝子が増幅されていると考えた (Fig. 5)。

Fig. 4 PCR で用いたプライマーの位置と PCR 産物

① attB1_hROCK1 (934-1354) nonstop_attB2:Homo sapiens ROCK1 の RBD ドメインから C 末端を発現し、ストップコドンを含まない。

② attB1_hROCK1 (1095-1354) nonstop_attB2:Homo sapiens ROCK1 の PH ドメインから C 末 端を発現し、ストップコドンを含まない。

③ attB1_hROCK1 (1-421) nonstop_attB2:Homo sapiens ROCK1 の N 末端から Coiled-coil Domain の前までを発現し、ストップコドンを含まない。

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11 Fig.5 PCR 産物の電気泳動 作製したROCK1 (934-1354) (1) は理論上約 1.2 kbp、 ROCK1 (1095-1354) (2) は理論上約 0.8 kbp、ROCK1 (1-421) (3) は理論上約 1.2 kbp であり、それぞれの長 さにバンドを確認することができた。 M:100 bp DNA Ladder

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3.2. BP 反応

ROCK1 (934-1354) /pDONR221、ROCK1 (1095-1354) /pDONR221、ROCK1 (1-421) /pDONR221 エントリークローンの構築をするために PCR 産物 ROCK1 (934-1354)、ROCK1 (1095-1354)、ROCK1 (1-421) と、ドナーベクターpDONR221 を用いてBP 反応を行った (Fig. 6)。 作製したプラスミドを BspEⅠ、及び PstⅠで制限酵素処理を行った。目的のプラ スミドが構築できている場合それぞれの全長である3.8 kbp、3.3 kbp、3.8 kbp の断 片が予想された (Fig.7A,7B,7C)。アガロースゲル電気泳動の結果、理論上のサイズ である3.8 kbp、3.3 kbp、3.8 kbp がそれぞれ確認された (Fig. 7A,7B,7C)。 Fig. 6 BP 反応 PCR 産物とドナーベクターpDONR221 を用いて BP 反応を行った。

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13 Fig. 7 BP 反応産物の制限酵素による切断部位 作製したプラスミド (A)をBspEⅠで制限酵素処理を行った。目的のプラスミドが構築されてい る場合、全長である 3.8 kbp の断片が確認される。アガロース電気泳動の結果、理論上の断片 サイズである 3.8 kbp がサンプル 1、3 より確認された (D)。 作製したプラスミド (B)をBspEⅠで制限酵素処理を行った。目的のプラスミドが構築されてい る場合、全長である 3.3 kbp の断片が確認される。アガロース電気泳動の結果、理論上の断片 サイズである 3.3 kbp が全てのサンプルより確認された (E)。 作製したプラスミド (C)をPstⅠで制限酵素処理を行った。目的のプラスミドが構築されている 場合、全長である 3.8 kbp の断片が確認される。アガロース電気泳動の結果、理論上の断片サ イズである 3.8 kbp がサンプル 1、2 より確認された (F)。 M:1 kbp DNA Ladder A B C D E F

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構築したプラスミドをsequencing した結果、ROCK1(1095-1354) /pDONR221、 ROCK1 (1-421) /pDONR221 については変異が見られなかったため、BP 反応により 目 的 の プ ラ ス ミ ド の 構 築 が で き た と 判 断 し た 。 一 方 で 、ROCK1 (934-1354) /pDONR221 については C、N 末端側に変異は見られなかったが、間の配列の一塩基 が 読 み 取 れ な か っ た 。 そ の た め 、 読 み 取 れ な か っ た 配 列 を 確 認 す る た め に 、 h_ROCK1_1699-1704_FW、h_ROCK1_1792-1786_RV を設計し、再度 sequencing を 行ったが、うまく読み取ることができなかった。

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3.3. LR 反応

構築したROCK1 (1095-1354) /pDONR221、ROCK1 (1-421) /pDONR221 と、デ ィスティネーションベクターpcDNA-DEST47 を用いて LR 反応 (Fig. 8) を行い、 ROCK1 (1095-1354) /pcDNA-DEST47、ROCK1 (1-421) /pcDNA-DEST47 の構築を 行った。

ROCK1 (1095-1354) /pcDNA-DEST47、ROCK1 (1-421) /pcDNA-DEST47 プラス ミドをXhoⅠ、SpeⅠ又は EcoRⅠ、PstⅠで制限酵素処理を行った。目的のプラスミ ドが構築できている場合それぞれの全長である6.9 kbp または 7.3 kbp、2cut では 1.5 kbp、5.4 kbp または 1.8 kbp、5.6 kbp の断片が予想された (Fig. 9A,9B)。アガロー スゲル電気泳動の結果、ROCK1 (1095-1354) /pcDNA-DEST47 は理論上のサイズで ある6.9 kbp、1.5 kbp、5.4 kbp が確認された (Fig. 9A)。しかし、ROCK1 (1-421) /pcDNA-DEST47 については、理論上の断片が確認されなかった (Fig. 9B)。 Fig.8 LR 反応

ROCK1 (1095-1354) /pcDNA-DEST47、ROCK1 (1-421) /pcDNA-DEST47 の構築を行うため、作 製したエントリークローンをディスティネーションベクターpcDNA-DEST47 に組み込ませ LR 反応を 行った。

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16 b

Fig. 9 LR 反応産物の制限酵素による切断部位

作製したプラスミド (A)をXhoⅠ、SpeⅠで制限酵素処理を行った。目的のプラスミドが構築

されている場合、1 ヵ所で切断するXhoⅠで処理したサンプルでは全長である6.9 kbp の断片 が確認され、2 ヵ所で切断するSpeⅠで処理したサンプルでは1.5 kbp と 5.4 kbp の断片が確 認される。アガロース電気泳動の結果、目的のサイズの断片が全てのサンプルより確認された (C)。 作製したプラスミド (B)をEcoRⅠ、PstⅠで制限酵素処理を行った。目的のプラスミドが構築 されている場合、1 ヵ所で切断するEcoRⅠで処理したサンプルでは全長である 7.3 kbp の断 片が確認され、2 ヵ所で切断するPstⅠで処理したサンプルでは1.8 kbp と 5.6 kbp の断片が 確認される。アガロース電気泳動の結果、目的のサイズの断片が確認されなかった (D)。 M:1 kbp DNA Ladder A B C D

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4. おわりに

設計したプライマーから作製した PCR 産物を用いて電気泳動した結果、目的の ROCK1 (934-1354)、ROCK1 (1095-1354)、ROCK1 (1-421) が得られた。その後、 BP 反応によりできた生成物の sequencing を行ったところ ROCK1 (1095-1354) /pDONR221、ROCK1 (1-421) /pDONR221 については変異が見られず、読み取れて いたので、エントリークローンを構築することに成功したと考えられる。 構築したエントリークローンROCK1 (1095-1354) /pDONR221、ROCK1 (1-421) /pDONR221 を用いて、C 末端に GFP タグが組み込まれたディスティネーションベ ク タ ーpcDNA-DEST47 で LR 反 応 を 行 っ た と こ ろ 、 発 現 ク ロ ー ン ROCK1 (1095-1354) /pcDNA-DEST47 を構築することに成功したと考えられる。その発現ク ロ ー ン を 用 い て 核 移 行 に つ い て 調 べ る 予 定 で あ る 。 ま た 、ROCK1 (1-421) /pcDNA-DEST47 については再度発現クローンの構築を試みる予定である。今後、 Gateway®システムを利用して他の ROCK1 欠損変異体を作製し、その結果を比較す ることで、ROCK1 の核移行に関わる領域の特定が可能になるのではないかと考えら れる。

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謝 辞

本卒業研究の終わりに、随時有益なご助言とご指導を賜りました新潟薬科大学薬学 部薬品製造学研究室 北川 幸己 教授に心より感謝申し上げます。 本卒業研究を進めるにあたり、直接のご指導とご鞭撻を賜りました新潟薬科大学薬 学部薬品製造学研究室 浅田 真一 助教に深く感謝申し上げます。 本卒業研究を進めるにあたり、実験操作の丁寧なご指導を賜りました新潟薬科大学 薬学部薬品製造学研究室大学院生 吉原 博夢 氏、頓所 さやか 氏に深く感謝申 し上げます。 本卒業研究を進めるにあたり、実験操作の丁寧なご指導を賜りました新潟薬科大学 薬学部薬品製造学研究室卒業生 平岡 詩織 氏に深く感謝申し上げます。 本卒業研究を進めるにあたり、実験操作にご協力頂きました新潟薬科大学薬学部薬 品製造学研究室 捧 翔哉 氏に深く感謝申し上げます。 最後に、本卒業研究を進めるにあたり、多大なるご協力をいただきました研究室の 皆様に感謝申し上げます。

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引 用 文 献

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2. Hattori S., 「シグナル伝達がわかる」, 26-35 (2001).

3. Tahara S., Shimomura H., YAKUGAKUZASSHI, 127(3),501-514 (2007). 4. Tanaka T., Nishimura D., Wu RC. Amano M. Iso T.et al., J. Biol. Chem., 281,

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Fig. 2 マウス ROCK1 および ROCK2 のドメイン構造と相同性  (引用文献 4 Fig. 1  より改変)  数字はアミノ酸の番号を、割合は ROCK1 と ROCK2 相同性を表す。なお、ROCK2 の RBD のアミ ノ酸番号は確定していない。
Table 2 PCR の条件
Fig. 4  PCR で用いたプライマーの位置と PCR 産物
Fig. 9  LR 反応産物の制限酵素による切断部位

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