駒澤大學佛敎學部硏究紀要第七十五號 平成二十九年三月 二一七 玄 奘( 六 〇 二 ― 六 六 四 ) の 高 弟 の 基( 慈 恩 大 師︒ 六 三 二 ― 六 八 二 ) が 著 し た『 般 若 波 羅 蜜 多 心 経 幽 よう 賛 ざん 』 は︑ 玄 奘 訳 『 般 若 波 羅 蜜 多 心 経 』 の 最 古 の 注 釈 書 の 一 つ で あ る )1 ( ︒ 小 稿 で は︑ 前 号 の 上 巻 )2 ( に 続 き︑ 『 大 正 新 脩 大 蔵 経 』 巻 三 三 所 収 の 『般若波羅蜜多心経幽賛』巻下の原文を校訂し︑訓読と和訳を試みる )3 ( ︒ 下巻の構成は以下のようである︒ 造論の趣旨 題号 Ⅰ観自在~度一切苦厄 1観自在菩薩(初練磨心) 2行深般若波羅蜜多時(第二練磨心) ⅰ略修行 ⅱ広修行 A処学処 B修学法(以上︑上巻) C能修学 二二二頁 十二住 二二二頁
『般若波羅蜜多心経幽賛』巻下
―原文・訓読・和訳―
吉
村
誠
『般若波羅蜜多心経幽賛』巻下(吉村) 二一八 深 ・ 時 二三六頁 照 見 五 蘊 皆 空 ( 三 無 性 ) 二四〇頁 3度 一 切 苦 厄 ( 第 三 練 磨 心 ) 二四七頁 Ⅱ 舎 利 子 ~ 以 無 所 得 故 二五二頁 1総 告 彰 空 二五二頁 舎 利 子 二五二頁 色 不 異 空 ︑ 空 不 異 色 ︒ 色 即 是 空 ︑ 空 即 是 色 二五四頁 受 想 行 識 等 ︑ 亦 復 如 是 二六五頁 是 諸 法 空 相 ︑ 不 生 不 滅 ︑ 不 垢 不 浄 ︑ 不 増 不 減 二六八頁 2別 結 所 空 二七二頁 空 中 無 色 ︑ 無 受 想 行 識 ( 五 蘊 ) 二七二頁 無 眼 耳 鼻 舌 身 意 ︑ 無 色 声 香 味 触 法 ( 十 二 処 ) 二七四頁 無 眼 界 ︑ 乃 至 無 意 識 界 ( 十 八 界 ・ 阿 頼 耶 識 ・ 末 那 識 ) 二七九頁 無 無 明 ︑ 亦 無 無 明 尽 ︑ 乃 至 無 老 死 ︑ 亦 無 老 死 尽 ( 十 二 縁 起 ) 二八五頁 無 苦 集 滅 道 ( 四 諦 ・ 二 種 生 死 ) 二九四頁 無 智 ︑ 亦 無 得 二九八頁 3釈 成 空 理 三〇一頁 以 無 所 得 故 三〇一頁 Ⅲ 菩 提 薩 埵 ~ 菩 提 莎 訶 三〇三頁 1依 学 利 益 三〇三頁 菩 提 薩 埵 ~ 究 竟 涅 槃 ( 四 涅 槃 ・ 二 障 ) 三〇三頁 三 世 諸 仏 ~ 得 阿 耨 多 羅 三 藐 三 菩 提 ( 四 智 ・ 三 身 ) 三一一頁 2総 持 功 徳 三一七頁
『般若波羅蜜多心経幽賛』巻下(吉村) 二一九 般 若 波 羅 蜜 多 ︑ 是 大 神 呪 ︒ 是 大 明 呪 ︒ 是 無 上 呪 ︒ 是 無 等 等 呪 三一七頁 能 除 一 切 苦 三二〇頁 真 実 不 虚 三二二頁 掲 諦 掲 諦 波 羅 掲 諦 波 羅 僧 掲 諦 菩 提 莎 訶 三二三頁 巻 下 は ︑ 随 文 解 釈 の 続 き で あ る ︒ 随 文 解 釈 で は ︑ 勝 空 者 と 如 応 者 の 二 つ の 解 釈 が 提 示 さ れ ︑ 後 者 が 支 持 さ れ る ︒ 勝 空 者 は 中 観 派 ︑ 如 応 者 は 瑜 伽 行 派 の 解 釈 を 示 す も の と み て よ い だ ろ う ︒ こ こ で は 如 応 者 の 解 釈 を 中 心 に ︑ 下 巻 の 内 容 を 概 観 す る こ と に す る ︒ 如 応 者 の 解 釈 に よ れ ば 『 般 若 心 経 』 の 全 体 は ︑ Ⅰ 観 自 在 以 下 ︑ Ⅱ 舎 利 子 以 下 ︑ Ⅲ 菩 提 薩 埵 以 下 に 三 分 さ れ る ︒ Ⅰ 観 自 在 以 下 は ︑ 1﹁ 観 自 在 菩 薩 ﹂︑ 2﹁ 行 深 般 若 波 羅 蜜 多 時 ﹂︑ 3﹁ 度 一 切 苦 厄 ﹂ に お い て 三 練 磨 心 を 説 く と い う ︒ そ の う ち 2﹁ 行 深 般 若 波 羅 蜜 多 時 ﹂( 第 二 練 磨 心 ) で は ︑ 修 行 に つ い て ︑ ⅰ 略 修 行 ︑ ⅱ 広 修 行 に 二 分 し て 説 明 さ れ る ︒ ⅱ 広 修 行 は ︑ A処 学 処 ( 学 ぶ べ き こ と が ら )︑ B修 学 法 ( 修 め る べ き 教 え )︑ C能 修 学 ( 修 行 者 の 学 び ) に 三 分 さ れ る ︒ 巻 下 の 冒 頭 は ︑ C能 修 学 か ら 始 ま る ︒ こ こ で は 修 行 者 の 学 び は 菩 薩 が 十 二 住 を 成 就 し て 第 十 三 住 で 得 道 す る こ と で あ る と し て ︑ 十 二 住 が 説 明 さ れ る ︒ そ の 記 述 は 『 瑜 伽 師 地 論 』 巻 四 七 ― 四 八 の 内 容 を 要 約 し た も の で あ る ︒ ま た ︑﹁ 深 ﹂ と は 所 行 の 般 若 が 微 妙 で あ る こ と ︑﹁ 時 ﹂ と は 修 行 の 期 間 が 三 無 数 大 劫 で あ る こ と だ と い う ︒ 次 に ﹁ 照 見 五 蘊 皆 空 ﹂ は 般 若 を 修 行 す る こ と で 慧 眼 を 得 て 空 に 達 す る こ と で あ る と さ れ ︑ 唯 識 の 三 性 ・ 三 無 性 に よ っ て 空 が 解 説 さ れ る ︒ そ れ に よ れ ば ︑ 空 と は 三 性 ( 遍 計 所 執 性 ・ 依 他 起 性 ・ 円 成 実 性 ) が 三 無 性 ( 相 無 性 ・ 生 無 性 ・ 勝 義 無 性 ) で あ る と い う 意 味 で あ る ︒ た だ し ︑ 仏 は 密 意 を も っ て そ の よ う に 説 か れ た の で あ り ︑ 真 実 に は 三 性 は 空 で も 不 空 で も な く ︑ 遍 計 所 執 性 は 無 ︑ 依 他 起 性 と 円 成 実 性 は 有 で あ る と い う ︒ こ の 真 実 は 有 に 対 す る 執 着 が 否 定 さ れ て 初 め て 明 ら か に な る こ と か ら ︑ こ こ で は ま ず 五 蘊 を 有 と み る 執 着 を 否 定 す る た め に 仮 に 空 と 説 か れ て い る の だ と い う ︒ す な わ ち ︑﹁ 五 蘊 皆 空 ﹂ と は 五 蘊 の 遍 計 所 執 性 の 無 を 説 く も の と 解 釈 さ れ る の で あ る ︒ こ の 唯 識 の 三 性 説 に よ る 解 釈 は ︑ 以 下 の 空 の 説 明 の す べ て に 共 通 す る も の で あ る )4 ( ︒ 3﹁ 度 一 切 苦 厄 ﹂( 第 三 練 磨 心 ) で は ︑ 空 を 悟 る こ と で 三 界 の 苦 し み を 離 れ る こ と を 説 く ︒
『般若波羅蜜多心経幽賛』巻下(吉村) 二二〇 Ⅱ 舎 利 子 以 下 は ︑ 1総 告 彰 空 ︑ 2別 結 所 空 ︑ 3釈 成 空 理 に 三 分 さ れ る ︒ 1総 告 彰 空 で は ︑ 総 じ て 空 を 明 ら か に す る ︒ 先 ず ﹁ 舎 利 子 ﹂ で は ︑ 舎 利 子 が 空 を 悟 る べ き 者 で あ る と 位 置 づ け ら れ る ︒ 次 に ﹁ 色 不 異 空 ︑ 空 不 異 色 ︑ 色 即 是 空 ︑ 空 即 是 色 ﹂ で は ︑ 勝 空 者 と 如 応 者 の 空 の 解 釈 を め ぐ る 対 論 が あ り ︑ 色 を 有 と み る 執 着 を 否 定 す る こ と が 本 経 の 意 図 で あ る と い う 後 者 の 解 釈 が 支 持 さ れ る ︒ 次 に ﹁ 受 想 行 識 等 ︑ 亦 復 如 是 ﹂ で は ︑ 色 以 外 の 五 蘊 で あ る 受 ・ 想 ・ 行 ・ 識 に お い て も ︑ 色 と 同 様 に 解 釈 す べ き で あ る と い う ︒ 次 に ﹁ 諸 法 空 相 ︑ 不 生 不 滅 ︑ 不 垢 不 浄 ︑ 不 増 不 減 ﹂ で は ︑ 諸 法 の 体 だ け で は な く ︑ 生 ・ 滅 ・ 垢 ・ 浄 ・ 増 ・ 減 の 六 義 に つ い て も 空 で あ る と 述 べ ら れ る ︒ 2別 結 所 空 で は ︑ 各 別 に 空 と 観 る べ き も の を あ げ る ︒ 先 ず ﹁ 五 蘊 ・ 十 二 処 ・ 十 八 界 ﹂ は ︑ 主 に 二 乗 の 遠 観 ( 間 接 に 観 察 す る も の ) で あ る と い う ︒ こ こ で は 唯 識 の 八 識 説 に よ り ︑ 意 界 を 阿 頼 耶 識 ・ 末 那 識 ︑ 六 識 界 を 前 六 識 で あ る と し て ︑ そ れ ぞ れ 説 明 を 加 え て い る ︒ 次 に ﹁ 十 二 縁 起 ﹂ は ︑ 主 に 独 覚 の 近 観 ( 直 接 に 観 察 す る も の ) で あ る と い う ︒ こ こ で は 唯 識 の 二 世 一 重 の 縁 起 に 基 づ い て ︑ 雑 染 の 順 観 ・ 逆 観 と ︑ 清 浄 の 順 観 ・ 逆 観 が 詳 述 さ れ て い る ︒ 次 に ﹁ 四 諦 ﹂ は ︑ 主 に 声 聞 の 近 観 で あ る と い う ︒ ま た ︑ 菩 薩 は こ こ に 安 立 の 四 諦 と 非 安 立 の 四 諦 か ら な る 八 聖 諦 ︑ す な わ ち 生 死 ・ 出 世 の 因 果 を 観 察 す る と 説 明 さ れ る ︒ 次 に ﹁ 智 ・ 得 ﹂ は ︑ 菩 薩 の 近 観 で あ る と い う ︒ こ れ は 菩 薩 の 非 安 立 諦 で あ り ︑ 二 取 ( 能 取 ・ 所 取 ) の 否 定 で あ る と 説 明 さ れ る ︒ 以 上 ︑ 五 蘊 ・ 十 二 処 ・ 十 八 界 ・ 十 二 縁 起 ・ 四 諦 ・ 智 ・ 得 の 観 念 は ︑ す べ て 遍 計 所 執 性 で あ り ︑ 無 で あ る と い う の が ︑ 如 応 者 の 一 貫 し た 空 の 解 釈 で あ る ︒ 3釈 成 空 理 で は ︑ 空 理 を ま と め る ︒ 舎 利 子 は 二 智 ( 無 分 別 智 と 後 得 智 ) に よ り 空 を 悟 っ た と い う ︒ こ の 時 ︑ 三 乗 の 通 ・ 別 ︑ 近 観 ・ 遠 観 ︑ 加 行 ・ 根 本 の 六 相 が な い こ と が ﹁ 無 所 得 ﹂ で あ る と 説 明 さ れ る ︒ Ⅲ 菩 提 薩 埵 以 下 は ︑ 1依 学 利 益 ︑ 2総 持 功 徳 に 二 分 さ れ る ︒ 1依 学 利 益 で は ︑ 般 若 に 依 拠 す る 菩 薩 や 三 世 諸 仏 が ︑ 断 惑 ・ 得 道 の 利 益 を 得 る こ と を 説 く ︒ 先 ず ﹁ 菩 提 薩 埵 ﹂ は ︑ 般 若 に よ っ て ﹁ 罣 礙 ﹂ を 無 く し ﹁ 涅 槃 ﹂ を 証 す る ︒ こ こ で は ﹁ 罣 礙 ﹂ を 二 障 ( 煩 悩 障 ・ 所 知 障 )︑ ﹁ 涅 槃 ﹂ を 四 涅 槃 ( 自 性 涅 槃 ・ 有 余 依 涅 槃 ・ 無 余 依 涅 槃 ・ 無 住 処 涅 槃 ︒ 清 浄 法 界 ) で あ る と す る ︒ ま た ︑ 二 障 の 現 行 を 伏 し ︑ 種 子 を 断 じ ︑ 習 気 を 捨 す 過 程 を ︑ 五 位 と 十 三 住 に 位 置 付 け て い る ︒ こ れ ら は 唯 識 の 階 位 説 ・ 法 界 説 に よ る 説 明 で あ る )5 ( ︒ 次 に ﹁ 三 世 諸 仏 ﹂ は ︑ 般 若 に よ っ て ﹁ 阿 耨 多 羅 三 藐 三 菩 提 ﹂( 無 上 正 等 正 覚 ) を 得 る ︒ そ の 功 徳 は ︑ 唯 識 の 五 法 ( 清 浄 法 界 と 大 円 鏡 智 ・ 平 等 性 智 ・ 妙 観 察 智 ・ 成 所 作 智 の 四 智 ) や 三 身 ( 自 性 身 ・ 受 用 身 ・ 変 化 身 ) を 通 じ て 説 明 さ れ て い る ︒
『般若波羅蜜多心経幽賛』巻下(吉村) 二二一 2総 持 功 徳 で は ︑『 瑜 伽 師 地 論 』 巻 四 五 の 四 種 陀 羅 尼 ( 法 ・ 義 ・ 呪 ・ 忍 ) が 説 か れ ︑ 般 若 波 羅 蜜 多 が ︑ 法 陀 羅 尼 ・ 義 陀 羅 尼 の み な ら ず ︑ 呪 陀 羅 尼 で も あ る と す る ︒ ま た ︑ 十 法 行 ( 書 写 ・ 供 養 ・ 布 施 ・ 聴 聞 ・ 披 読 ・ 受 持 ・ 開 演 ・ 諷 誦 ・ 思 惟 ・ 修 習 ) を 行 う こ と ︑ 本 経 を 信 奉 す る こ と が 説 か れ て い る ︒ 最 後 の 真 言 は 呪 陀 羅 尼 で あ る と さ れ ︑ そ の 意 味 は 解 説 さ れ な い ︒ 以 上 が 如 応 者 の 解 釈 で あ る ︒ 勝 空 者 の 解 釈 と の 比 較 は ︑ 別 稿 で 論 じ る 予 定 で あ る ︒ 註 ( 1) 唐 代 に お け る 『 般 若 心 経 』 の 注 釈 書 に つ い て は ︑ 拙 稿 ﹁ 玄 奘 と 般 若 心 経 ﹂( 『 仏 教 史 学 研 究 』 五 六 ― 二 ︑ 二 〇 一 四 年 ) 参 照 ︒ ( 2) 拙 稿 ﹁『 般 若 波 羅 蜜 多 心 経 幽 賛 』 巻 上 ― 原 文 ・ 訓 読 ・ 和 訳 ― ﹂( 『 駒 澤 大 学 仏 教 学 部 研 究 紀 要 』 七 四 ︑ 二 〇 一 六 年 ) 参 照 ︒ ( 3) 訓 読 に つ い て は ︑ 北 堀 一 雄 『 般 若 波 羅 蜜 多 心 経 幽 賛 』( 中 山 書 房 仏 書 林 ︑ 二 〇 〇 五 年 ) 参 照 ︒ ( 4) 唯 識 学 派 の 三 性 説 に つ い て は ︑ 拙 稿 ﹁ 中 国 唯 識 に お け る 円 測 の 位 相 ― 三 性 説 を 中 心 に ― ﹂( 『 駒 澤 大 学 仏 教 学 部 論 集 』 四 五 ︑ 二 〇 一 四 年 )︑ ﹁『 成 唯 識 論 』 の 三 性 説 に つ い て ﹂( 『 駒 澤 大 学 仏 教 学 部 論 集 』 四 七 ︑ 二 〇 一 六 年 )︑ ﹁ 中 国 唯 識 学 派 に お け る 三 性 説 の 解 釈 に つ い て ― 玄 奘 訳 『 摂 大 乗 論 釈 』 を 中 心 に ― ﹂( 『 印 度 学 仏 教 学 研 究 』 六 五 ― 一 ︑ 二 〇 一 七 年 ) 参 照 ︒ ( 5) 唯 識 学 派 の 法 界 説 に つ い て は ︑ 拙 稿 ﹁ 唯 識 学 派 に お け る 法 界 の 観 念 に つ い て ― 『 仏 地 経 論 』 と 『 成 唯 識 論 』 を 中 心 に ― ﹂(『 印 度 学 仏 教 学 研 究 』 六 三 ― 二 ︑ 二 〇 一 五 年 ) 参 照 ︒
『般若波羅蜜多心経幽賛』巻下(吉村) 二二二 般若波羅蜜多心經幽賛 卷下 ( 大 正 三 三 N o.1 71 0 ) 大乘基撰 広修行⑬―能修学① 知 所 學 法 如 是 修 已 ︒ 何 相 名 成 能 修 學 者 ︒ 種 行 具 修 成 十 二 住 ︑ 總 攝 一 切 菩 薩 皆 盡 ︒ 此 後 方 得 無 上 菩 提 ︑ 第 十 三 住 成 圓 滿 果 ︒ 頌 曰 ︒﹁ 種 姓 勝 解 行 ︑ 極 喜 增 上 戒 ︑ 增 上 心 三 慧 ︑ 無 相 有 功 用 ︑ 無 相 無 功 用 ︑ 及 以 無 礙 解 ︑ 最 上 菩 薩 住 ︑ 最 極 如 來 住 ﹂︒ 一 種 姓 住 ︒ 猶 未 發 趣 無 上 菩 提 ︑ 於 餘 住 中 唯 有 因 轉 ︒ 相 如 前 説 ︒ 二 勝 解 行 住 ︒ 從 初 發 心 乃 至 初 地 ︒ 由 前 修 相 於 自 住 中 雖 已 得 淨 ︑ 爲 得 淨 故 而 修 正 行 ︒ 起 分 別 慧 勵 意 修 作 ︑ 成 苦 遲 通 行 勉 勵 説 法 ︑ 隨 力 亦 能 現 正 覺 等 ︑ 利 益 安 樂 ︒ 於 前 諸 行 ︑ 或 未 普 學 ︑ 諸 相 未 成 ︑ 意 樂 未 淨 ︒ 三 極 歡 喜 住 ︒ 卽 是 初 地 ︒ 如 前 白 品 幷 十 大 願 ︑ 皆 現 圓 滿 ︒ 由 此 轉 名 淨 勝 意 樂 ︒ 超 過 異 生 地 ︑ 證 正 性 離 生 ︑ 生 如 來 家 成 佛 眞 子 ︑ 紹 隆 佛 種 得 諸 平 等 ︑ 離 諸 諍 害 獲 實 證 淨 ︑ 知 於 菩 提 我 已 隣 近 ︑ 證 二 空 理 成 二 妙 智 ︑ 生 大 歡 喜 行 十 法 淨 修 住 ︒ 謂 信 ・ 慈 ・ 悲 ・ 惠 捨 ・ 無 倦 ・ 知 諸 論 ・ 解 世 間 ・ 修 慚 愧 ・ 堅 力 持 ・ 供 養 諸 佛 ︒ 於 九 住 法 專 精 求 趣 ︒ 多 爲 輪 王 王 此 洲 界 ︑ 調 伏 慳 垢 ︑ 乃 至 願 我 恒 處 最 尊 爲 有 情 依 作 諸 義 利 ︒ 或 樂 精 進 淨 信 出 家 ︑ 瞬 息 須 臾 證 百 三 摩 地 ︑ 以 淨 天 眼 於 諸 佛 國 見 百 如 來 ︑ 變 化 住 持 皆 能 解 了 ︑ 神 力 能 動 百 佛 世 界 ︑ 身 亦 能 往 ︑ 放 大 光 明 普 令 他 見 ︑ 化 爲 百 類 利 百 有 情 ︒ 若 欲 留 身 得 百 劫 住 ︑ 見 前 後 際 各 百 劫 事 ︑ 證 百 法 門 化 爲 百 身 ︑ 身 皆 能 現 百 菩 薩 眷 屬 ︒ 四 增 上 戒 住 ︒ 卽 第 二 地 ︒ 由 前 住 中 十 意 樂 住 淨 ︑ 得 入 此 住 性 戒 具 足 ︒ 少 邪 業 道 諸 惡 犯 戒 ︑ 亦 不 現 行 ︒ 況 中 上 品 ︒ 能 善 了 知 業 道 因 果 ︑ 自 及 勸 他 行 諸 淨 業 ︑ 於 有 情 苦 得 大 哀 愍 ︑ 如 實 觀 照 廣 見 諸 佛 ︒ 善 根 清 淨 多 爲 輪 王 ︑ 王 四 天 下 止 息 犯 戒 ︒ 一 切 威 力 過 前 十 倍 ︒ 五 增 上 心 住 ︒ 卽 第 三 地 ︒ 由 前 作 意 解 了 通 達 ︑ 復 由 十 淨 心 ︑ 得 入 此 住 ︒ 能 通 達 諸 行 有 情 大 菩 提 ︒ 亦 正 推 求 脱 苦 方 便 ︑ 諸 煩 惱 纒 無 障 礙 智 ︑ 淨 法 界 中 無 分 別 慧 ︑ 辨 此 智 見 勝 三 摩 地 ︒ 於 菩 薩 藏 精 進 多 聞 ︑ 不 惜 身 命 捨 諸 所 愛 ︑ 無 有 師 長 不 誓 承 事 ︑ 敎 誓 皆 行 身 誓 受 苦 ︒ 但 聞 一 頌 勝 得 大 千 充 滿 妙 寶 ︑ 聞 佛 一 句 法 能 引 正 等 覺 淨 菩 薩 行 ︑ 勝 得 釋 梵 護 世 等 果 ︒ 設 有 告 言 ︑﹁ 我 有 一 句 法 能 引 正 等 覺 淨 菩 薩 行 ︒ 汝 若 能 投 大 火 坑 者 ︑ 當 爲 汝 説 ﹂︑ 菩 薩 歡 喜 踊 躍 言 ︒﹁ 能 ︒ 正 使 火 坑 等 三 千 界 ︑ 爲 聞 法 故 ︑ 我 從 梵 天 尚 能 投 入 ︒ 況 小 火 坑 ︒ 爲 求 佛 法 ︑ 尚 應 久 處 大 地 獄 中 ︒ 況 餘 小 苦 ﹂︒ 聞 已 便 能 法 隨 法 行 ︑ 能 引 住 世 間 靜 慮 等 至 等 ︑
『般若波羅蜜多心経幽賛』巻下(吉村) 二二三 復 還 棄 捨 隨 願 受 生 ︑ 多 作 釋 天 帝 化 他 令 斷 欲 貪 ︒ 威 力 過 前 百 千 之 數 ︒( T3 3,5 33 b-5 34 a ) 所 学 の 法 を 是 の 如 く 修 す る を 知 り 已 る ︒ 何 の 相 を 能 修 学 者 を 成 ず る と 名 づ く る や ︒ 種 と 行 と を 具 に 修 し て 十 二 住 を 成 ず る に ︑ 総 じ て 一 切 の 菩 薩 を 摂 し て 皆 な 尽 す ︒ 此 れ よ り 後 に 方 に 無 上 菩 提 を 得 ︑ 第 十 三 住 に 円 満 な る 果 を 成 ず ︒ 頌 に 曰 く ︒﹁ 種 姓 と 勝 解 行 と ︑ 極 喜 と 増 上 戒 と ︑ 増 上 心 と 三 慧 と ︑ 無 相 有 功 用 と ︑ 無 相 無 功 用 と ︑ 及 お よ 以 び 無 礙 解 と ︑ 最 上 菩 薩 住 と ︑ 最 極 如 来 住 と な り ﹂ と ︒ 一 に は 種 姓 住 な り ︒ 猶 ほ 未 だ 無 上 菩 提 に 発 趣 せ ず し て ︑ 余 住 の 中 に 於 て 唯 だ 因 の み 転 ず る こ と 有 り ︒ 相 は 前 に 説 く が 如 し ︒ 二 に は 勝 し ょ う げ ぎ ょ う 解 行 住 ︒ 初 発 心 よ り 乃 し 初 地 に 至 る ま で な り ︒ 前 に 修 す る 相 を 自 住 の 中 に 於 て 已 に 得 浄 す と 雖 も ︑ 得 浄 せ ん が 為 に 由 る が 故 に 而 も 正 行 を 修 す ︒ 分 別 慧 を 起 こ し 意 を 励 ま し て 修 作 し ︑ 苦 く ち つ う ぎ ょ う 遅 通 行 を 成 じ て 勉 励 説 法 し ︑ 力 に 随 ひ て 亦 た 能 く 正 覚 等 を 現 じ ︑ 利 益 安 楽 す ︒ 前 の 諸 行 に 於 て ︑ 或 は 未 だ 普 く 学 せ ず ︑ 諸 相 未 だ 成 ぜ ず ︑ 意 い ぎ ょ う 楽 未 だ 浄 な ら ず ︒ 三 に は 極 ご く か ん ぎ 歓 喜 住 ︒ 即 ち 是 れ 初 地 な り ︒ 前 の 如 き 白 び ゃ く ほ ん 品 と 并 び に 十 大 願 と を ︑ 皆 な 現 じ て 円 満 す ︒ 此 れ に 由 り て 転 ず る を ︑ 浄 勝 意 楽 と 名 づ く ︒ 異 生 地 を 超 過 し ︑ 正 性 を 証 し て 生 を 離 し ︑ 如 来 の 家 に 生 じ て 仏 の 真 子 と 成 り ︑ 仏 種 を 紹 隆 し て 諸 も ろ の 平 等 を 得 ︑ 諸 も ろ の 諍 害 を 離 れ て 実 の 証 浄 を 得 ︑ 菩 提 に 於 て 我 れ 已 に 隣 近 す る と 知 り ︑ 二 空 の 理 を 証 し て 二 妙 智 を 成 じ ︑ 大 歓 喜 を 生 じ て ︑ 十 法 の 浄 修 住 を 行 ず ︒ 謂 く 信 ・ 慈 ・ 悲 ・ 恵 捨 ・ 無 倦 ・ 知 諸 論 ・ 解 世 間 ・ 修 慚 愧 ・ 堅 力 持 ・ 供 養 諸 仏 な り ︒ 九 住 の 法 に 於 て 専 精 に 求 趣 す ︒ 多 く 輪 王 と 為 り て 此 の 洲 界 に 王 た り て ︑ 慳 垢 を 調 伏 し ︑ 乃 至 ﹁ 我 れ 恒 に 最 尊 に 処 し て ︑ 有 情 の 依 と 為 り て 諸 も ろ の 義 利 を 作 さ ん ﹂ と 願 ふ ︒ 或 は 楽 ね が ひ て 精 進 し 浄 信 に 出 家 す れ ば ︑ 瞬 息 須 し ゅ ゆ 臾 に し て 百 の 三 摩 地 を 証 し ︑ 浄 天 眼 を 以 て 諸 も ろ の 仏 国 に 於 て 百 の 如 来 を 見 ︑ 変 化 住 持 を 皆 な 能 く 解 了 し ︑ 神 力 も て 能 く 百 の 仏 の 世 界 を 動 か し ︑ 身 も 亦 た 能 く 往 き て ︑ 大 光 明 を 放 ち 普 く 他 を し て 見 し め ︑ 化 し て 百 類 と 為 り 百 の 有 情 を 利 す ︒ 若 し 身 を 留 め ん と 欲 す れ ば 百 劫 に 住 す る を 得 ︑ 前 後 際 に 各 お の 百 劫 の 事 を 見 ︑ 百 の 法 門 を 証 し 化 し て 百 身 と 為 り ︑ 身 皆 な 能 く 百 の 菩 薩の 眷 属 を 現 ず ︒ 四 に は 増 上 戒 住 ︒ 即 ち 第 二 地 な り ︒ 前 の 住 の 中 の 十 意 楽 住 の 浄 な る に 由 り ︑ 此 の 住 に 入 る こ と を 得 ︑ 性 戒 具 足 す ︒ 少 し の 邪 な る 業 道 の 諸 悪 犯 戒 も ︑ 亦 た 現 行 せ ず ︒ 況 ん や 中 上 品 を や ︒ 能 く 善 く 業 道 の 因 果 を 了 知 し ︑ 自 ら 及 び 他 に 勧 め て
『般若波羅蜜多心経幽賛』巻下(吉村) 二二四 諸 も ろ の 浄 業 を 行 じ ︑ 有 情 の 苦 に 於 て 大 哀 愍 を 得 ︑ 如 実 に 観 照 し て 広 く 諸 仏 を 見 る ︒ 善 根 清 浄 な れ ば 多 く 輪 王 と 為 り ︑ 四 天 下 に 王 た り て 犯 戒 を 止 息 す ︒ 一 切 の 威 力 は 前 の に 過 ぐ る こ と 十 倍 な り ︒ 五 に は 増 上 心 住 ︒ 即 ち 第 三 地 な り ︒ 前 の 作 意 し 解 了 し 通 達 す る に 由 り ︑ 復 た 十 浄 心 に 由 り て ︑ 此 の 住 に 入 る を 得 ︒ 能 く 諸 行 と 有 情 と 大 菩 提 に 通 達 す ︒ 亦 た 正 し く 苦 を 出 ず る 方 便 と ︑ 諸 も ろ の 煩 悩 纒 に 障 礙 無 き 智 と ︑ 浄 法 界 の 中 の 無 分 別 慧 と ︑ 此 の 智 見 を 弁 ず る 勝 三 摩 地 と を 推 求 す ︒ 菩 薩 蔵 に 於 て 精 進 多 聞 に し て ︑ 身 命 を 惜 し ま ず 諸 も ろ の 所 愛 を 捨 て ︑ 師 長 に 誓 ひ て 承 事 せ ざ る こ と 有 る 無 く ︑ 教 を 誓 ひ て 皆 な 行 じ 身 に 誓 ひ て 苦 を 受 く ︒ 但 だ 一 頌 を 聞 け ば 大 千 に 充 満 せ る 妙 宝 を 得 る に 勝 り ︑ 仏 の 一 句 の 法 の 能 く 正 等 覚 を 引 き て 菩 薩 行 を 清 む る を 聞 け ば ︑ 釈 ・ 梵 ・ 護 世 等 の 果 を 得 る よ り 勝 る ︒ 設 し 告 げ て ︑﹁ 我 れ に 一 句 の 法 有 り ︒ 能 く 正 等 覚 を 引 き 菩 薩 行 を 清 む ︒ 汝 若 し 能 く 大 火 坑 に 投 ず れ ば ︑ 当 に 汝 が 為 に 説 く べ し ﹂ と 言 ふ こ と 有 れ ば ︑ 菩 薩 は 歓 喜 踊 躍 し て 言 く ︒﹁ 能 く す ︒ 正 に 火 坑 を し て 三 千 界 に 等 し く せ し む る も ︑ 法 を 聞 か ん が 為 の 故 に ︑ 我 れ 梵 天 よ り 尚 ほ 能 く 投 じ て 入 ら ん ︒ 況 ん や 小 火 坑 を や ︒ 仏 法 を 求 め ん が 為 に す ら ︑ 尚 ほ 応 に 久 し く 大 地 獄 の 中 に 処 す べ し ︒ 況 ん や 余 の 小 苦 を や ﹂ と ︒ 聞 き 已 り て 便 ち 能 く 法 随 法 行 し ︑ 能 く 世 間 に 住 す る 静 慮 ・ 等 至 等 を 引 き ︑ 復 た 還 て 棄 捨 し て 願 に 随 ひ て 生 を 受 け ︑ 多 く 釈 天 帝 と 作 り て 他 を 化 し 欲 貪 を 断 ぜ し む ︒ 威 力 は 前 の に 過 ぐ る こ と 百 千 の 数 な り ︒ 学 ぶ べ き 教 え を そ の よ う に 修 す る こ と を 知 っ た ︒〔 つ ぎ に 〕 ど の よ う な こ と を 能 修 学 ( 修 行 者 の 学 び ) を 成 就 す る と 言 う の か ︒ 種 子 と 現 行 と を つ ぶ さ に 修 し て 十 二 住 を 成 就 す る う ち に ︑ 一 切 の 菩 薩〔の修学〕 を す べ て ま と め 尽 く す ︒ そ の 後 は じ め て 無 上 菩 提 を 得 て ︑ 第 十 三 住 に お い て 円 満 な 証 果 を 成 就 す る ︒ 頌 (『 瑜 伽 師 地 論 』 巻 四 七 ︑ T3 0,5 53 a ) に 言 う ︒﹁ ① 種 姓 と ② 勝 解 行 と ︑ ③ 極 喜 と ④ 増 上 戒 と ︑ ⑤ 増 上 心 と ⑥ ⑦ ⑧ 三 慧 と ︑ ⑨ 無 相 有 功 用 と ︑ ⑩ 無 相 無 功 用 と ︑ 及 お よ 以 び ⑪ 無 礙 解 と ︑ ⑫ 最 上 菩 薩 住 と ︑ ⑬ 最 極 如 来 住 と な り ﹂ と ︒ 一 つ に は 種姓住 で あ る ︒ い ま だ 無 上 菩 提 に 発 趣 せ ず ︑ ほ か の 〔 十 二 〕 住 の 因 の み を 転 じ る ︒ そ の 相 は 前 に 説 い た と お り で あ る ︒ 二 つ に は 勝 解 行 住 で あ る ︒ 初 発 心 か ら 初 地 に 至 る ま で で あ る ︒ 前 に 修 す る 相 を こ の 住 で す で に 得 て 浄 め る が ︑〔 さ ら に つ ぎ の 住 に 修 す る 相 を 〕 得 て 浄 め る た め に 正 行 を 修 す る ︒ 分 別 慧 を 起 こ し て 心 を 励 ま し て 修 行 し ︑ 苦 く ち つ う ぎ ょ う 遅 通 行 ( 未 至 定
『般若波羅蜜多心経幽賛』巻下(吉村) 二二五 と 中 間 定 に よ る 鈍 根 の 修 行 者 が 真 理 を 理 解 す る の が 遅 い こ と ︒ 四 通 行 の 一 つ ) を 成 就 し て 説 法 に は げ み ︑ 力 に 従 っ て 正 覚 等 を 現 じ て ︑〔 衆 生 を 〕 利 益 ・ 安 楽 す る ︒〔 た だ し 〕 前 の 諸 行 を ︑ あ る い は い ま だ 普 く 学 ん で お ら ず ︑ 諸 相 が い ま だ 成 就 せ ず ︑ 意 楽 ( 誓 願 ) が い ま だ 浄 ら か で は な い ︒ 三 つ に は 極歓喜住 ︒ す な わ ち 初 地 で あ る ︒ 前 の よ う な 諸 善 と 十 大 願 と を ︑ み な 現 じ て 円 満 に す る ︒ こ れ に よ っ て 起 こ る も の を ︑ 浄 勝 意 楽 と 言 う ︒ 異 生 ( 凡 夫 ) の 境 地 を 超 え て ︑ 正 し い 法 性 を 証 し て 生 死 ( 輪 廻 ) を 離 れ ︑ 如 来 の 家 に 生 れ て 仏 の 真 子 と な り ︑ 仏 種 を 継 い で 盛 ん に し て 諸 々 の 平 等 を 得 て ︑ 諸 々 の 諍 論 の 害 を 離 れ て 真 実 の 悟 り の 清 浄 を 得 て ︑ 菩 提 に す で に 近 い と 知 り ︑ 二 空 ( 人 空 ・ 法 空 ) の 理 を 証 し て 二 智 ( 無 分 別 智 ・ 後 得 智 ) を 成 じ ︑ 大 歓 喜 を 生 じ て ︑ 十 の 浄 修 住 を 行 じ る ︒ す な わ ち 信 じ ・ 慈 を お こ し ・ 悲 を お こ し ・ 恵 捨 し ・ 倦 む こ と な く ・ 諸 論 を 知 り ・ 世 間 を 解 し ・ 慚 愧 を 修 め ・ 堅 力 を た も ち ・ 諸 仏 を 供 養 す る こ と で あ る ︒〔 ま た ほ か の 〕 九 住 の 法 を く わ し く 求 め る ︒ 多 く は 転 輪 聖 王 と な り こ の 四 洲 の 王 と な り ︑ 慳 吝 を 調 伏 し て ︑ な い し ﹁ わ れ は 常 に 最 も 尊 位 に あ っ て ︑ 有 情 の 依 処 と な り 諸 々 の 義 利 を な そ う ﹂ と 願 う ︒ あ る い は 楽 ね が っ て 精 進 し て 浄 信 を も っ て 出 家 す れ ば ︑ 須 し ゅ ゆ 臾 に し て 百 の 三 昧 を 証 し ︑ 浄 ら か な 天 眼 を も っ て 諸 々 の 仏 国 土 に お い て 百 の 如 来 を 見 て ︑ そ の 変 化 ・ 住 持 を み な 理 解 し ︑ 神 通 力 に よ っ て 百 の 仏 国 土 を 動 か し ︑ 自 身 も ま た 往 生 し て ︑ 大 光 明 を 放 っ て 普 く 他 の も の に 見 せ ︑ 百 種 類 に 変 化 し て 百 種 類 の 有 情 を 利 益 す る ︒ も し 身 を 留 め よ う と す る な ら ば 百 劫 の あ い だ 住 す る こ と が で き ︑ 前 際 ・ 後 際 そ れ ぞ れ 百 劫 の 事 蹟 を 見 て ︑ 百 の 法 門 を 証 し て 百 の 化 身 と な り ︑〔 一 々 の 化 〕 身 は み な 百 の 菩 薩の 眷 属 を 現 じ る ︒ 四 つ に は 増上戒住 ︒ す な わ ち 第 二 地 で あ る ︒ 前 の 住 の 中 の 十 意 楽 住 が 清 浄 で あ る こ と に よ り ︑ こ の 住 に 入 る こ と を 得 て 性 戒 が 具 足 す る ︒ 少 し の 邪 業 で あ る 諸 悪 犯 戒 を も ︑ 現 行 し な い ︒ ま し て 中 品 ・ 上 品 の も の は な お さ ら で あ る ︒ よ く 業 の 因 果 を 知 り ︑ 自 ら も ま た 他 に も 勧 め て 諸 々 の 浄 業 を 行 い ︑ 有 情 の 苦 に 大 な る 哀 愍 を い だ き ︑ 如 実 に 観 察 し て 広 く 諸 仏 を 見 る ︒ 善 根 が 清 浄 で あ る た め 多 く は 転 輪 聖 王 と な り ︑ 四 天 下 の 王 と な っ て 犯 戒 を 止 息 す る ︒ 一 切 の 威 力 は 前 の 〔 住 〕 を 過 ぎ る こ と 十 倍 で あ る ︒ 五 つ に は 増上心住 ︒ す な わ ち 第 三 地 で あ る ︒ 前 の 〔 増 上 戒 住 を 〕 思 考 し 理 解 し 〔 そ れ に 〕 通 達 す る こ と に よ り ︑ ま た 十 の 浄 心 に よ っ て ︑ こ の 住 に 入 る こ と が で き る ︒ よ く 諸 行 と 有 情 と 大 菩 提 に 通 達 す る ︒ ま た 正 し く 苦 を 出 離 す る 方 便 と ︑ 諸 々 の 煩 悩 に 妨 げ ら れ な い 智 と ︑ 清 浄 法 界 の 中 の 無 分 別 慧 と ︑ こ の 智 見 を わ き ま え る 勝 れ た 三 摩 地 ( samādhi 三 昧 ︒
『般若波羅蜜多心経幽賛』巻下(吉村) 二二六 心 を 平 等 に 維 持 す る こ と ) と を 追 求 す る ︒ 菩 薩 蔵 を つ と め て 多 く 聞 き ︑ 身 命 を 惜 し ま ず 諸 々 の 愛 執 を 捨 て ︑ 師 長 に 誓 っ て 仕 え な い こ と は な く ︑ 教 え を 誓 っ て み な 行 じ 身 に 誓 っ て 苦 を ひ き 受 け る ︒ た だ 一 頌 を 聞 け ば 三 千 大 千 世 界 に 満 ち る 妙 宝 を 得 る こ と に 勝 り ︑ 仏 の 一 句 の 法 で 正 等 覚 を 引 き お こ し 菩 薩 行 を 清 め る も の を 聞 け ば ︑ 帝 釈 天 ・ 梵 天 ・ 護 世 四 天 王 天 な ど の 果 を 得 る こ と よ り も 勝 る 〔 と 思 う 〕︒ も し 〔 誰 か が 〕︑ ﹁ わ た し に 一 句 の 法 が あ る ︒ よ く 正 等 覚 を 引 き お こ し 菩 薩 行 を 清 め る も の で あ る ︒ 汝 が も し 大 火 坑 に 〔 身 を 〕 投 じ る こ と が で き る な ら ば ︑ 汝 の た め に 説 く で あ ろ う ﹂ と 告 げ る な ら ば ︑ 菩 薩 は 歓 喜 踊 躍 し て 言 う ︒﹁ で き ま す ︒ た と え 火 坑 を 三 千 大 千 世 界 と 等 し く さ れ た と し て も ︑ 法 を 聞 く た め な ら ば ︑ わ た し は 梵 天 か ら で さ え 〔 身 を 〕 投 じ て 入 る で し ょ う ︒ ま し て 小 火 坑 な ら な お さ ら で す ︒ 仏 法 を 求 め る た め な ら ば ︑ 大 地 獄 の 〔 苦 の 〕 中 で さ え 永 く い る で し ょ う ︒ ま し て 他 の 小 苦 な ら ば な お さ ら で す ﹂ と ︒〔 菩 薩 は 〕 聞 き 終 る と す ぐ に 法 に 従 っ て 法 を 行 じ ︑ 世 間 に 住 す る 静 慮 ( dhyāna 禅 那 ︒ 静 慮 ︒ 心 静 か に 思 念 を 凝 ら す こ と )・ 等 至 ( samāpatti 心 身 が 平 等 で 安 ら か な 境 地 ) な ど を 引 き お こ し ︑ ま た 〔 そ れ を 〕 捨 て て 願 に 従 っ て 生 を 受 け ︑ 多 く は 帝 釈 天 と な っ て 他 を 教 化 し て 貪 欲 を 断 じ さ せ る ︒ 威 力 は 前 の 〔 住 〕 を 過 ぎ る こ と 百 千 倍 で あ る ︒
『般若波羅蜜多心経幽賛』巻下(吉村) 二二七 広修行⑭―能修学② 六 覺 分 相 應 增 上 慧 住 ︒ 卽 第 四 地 ︒ 由 前 求 多 聞 成 十 法 明 ︑ 得 入 此 住 ︒ 得 十 成 熟 智 修 菩 提 分 法 ︑ 能 斷 薩 迦 耶 見 等 一 切 執 著 ︑ 離 訶 毀 業 修 讃 美 業 ︑ 心 轉 調 柔 功 德 隆 盛 ︑ 安 住 尋 求 修 治 地 業 ︑ 圓 滿 意 樂 勝 解 界 性 ︑ 聖 敎 怨 敵 不 能 傾 動 ︒ 多 作 蘇 夜 摩 天 王 化 ︑ 除 薩迦 耶 見 ︒ 威 力 過 前 倶 胝 之 數 ︒ 七 諸 諦 相 應 增 上 慧 住 ︒ 卽 第 五 地 ︒ 由 前 十 平 等 清 淨 意 樂 ︑ 得 入 此 住 ︒ 以 十 方 便 觀 察 諸 諦 ︑ 正 毀 諸 行 悲 愍 有 情 ︑ 攝 受 資 糧 勤 修 正 願 念 慧 行 等 ︑ 皆 得 增 長 離 異 作 意 ︑ 以 諸 方 便 成 熟 有 情 ︒ 一 切 工 巧 皆 能 引 發 ︒ 多 作 珊 都 使 多 天 王 ︑ 化 捨 一 切 内 外 邪 法 ︒ 八 緣 起 相 應 增 上 慧 住 ︒ 卽 第 六 地 ︒ 由 前 十 種 法 平 等 性 智 * ︑ 得 入 此 住 ︒ 覺 悟 緣 起 生 解 脱 門 ︑ 一 切 邪 想 皆 不 能 動 ︑ 爲 益 有 情 攝 受 生 死 ︑ 智 悲 隨 逐 ︑ 無 所 著 智 般 若 波 羅 蜜 多 住 現 前 ︑ 證 得 無 量 勝 三 摩 地 ︑ 意 樂 不 壞 餘 不 能 奪 ︒ 多 作 妙 化 天 王 化 除 一 切 增 上 慢 等 ︒ 威 力 過 前 百 千 倶 胝 之 數 ︒( * ﹁ 智 ﹂︑ 大 正 は な し ︒ 甲 本 に よ り 補 う ︒) 九 有 功 用 無 相 住 ︒ 卽 第 七 地 ︒ 由 前 十 種 妙 方 便 慧 所 引 世 間 進 道 勝 行 ︑ 得 入 此 住 ︒ 達 佛 境 界 無 間 缺 修 ︑ 一 一 刹 那 證 十 度 等 菩 提 分 法 ︑ 有 加 行 行 一 切 圓 滿 極 ︑ 淨 住 前 導 猶 名 有 染 ︑ 工 巧 智 滿 超 二 乘 三 摩 地 境 ︑ 念 念 能 入 滅 盡 定 ︑ 能 現 菩 薩 甚 希 奇 業 ︒ 多 作 他 化 自 在 天 王 ︑ 能 授 二 乘 現 觀 方 便 ︒ 威 力 過 前 倶 胝 百 千 之 數 ︒ 十 無 功 用 無 相 住 ︒ 卽 第 八 地 ︒ 由 前 十 種 入 一 切 法 第 一 義 智 ︑ 得 入 此 住 ︒ 以 前 所 修 四 如 實 智 ︑ 今 得 清 淨 成 無 生 忍 ︑ 斷 四 災 患 愛 甚 深 住 ︑ 蒙 諸 如 來 覺 悟 勸 導 ︑ 授 與 無 量 引 發 門 智 神 通 事 業 ︑ 悟 入 無 量 分 身 妙 智 ︑ 得 十 自 在 隨 受 勝 利 ︒ 多 作 初 靜 慮 天 王 ︒ 創 入 此 住 第 一 刹 那 ︑ 所 有 福 智 一 切 威 力 ︑ 過 前 諸 住 所 得 一 倍 ︑ 第 二 刹 那 過 前 二 倍 ︑ 至 十 地 滿 運 運 增 長 ︑ 説 不 能 盡 ︒ 十 一 無 礙 解 住 ︒ 卽 第 九 地 ︒ 由 前 於 甚 深 住 不 生 喜 足 ︑ 復 於 智 殊 勝 性 愛 樂 隨 入 ︒ 起 智 加 行 宣 説 諸 法 ︑ 説 法 所 作 皆 如 實 知 ︑ 成 大 法 師 具 無 礙 解 ︒ 多 作 第 二 靜 慮 天 王 ︒ 十 二 最 上 成 滿 菩 薩 住 ︒ 卽 第 十 地 ︒ 前 無 礙 解 遍 清 淨 已 ︑ 堪 爲 法 王 受 法 灌 頂 ︑ 得 離 垢 等 無 量 等 持 作 佛 所 作 ︑ 得 一 切 佛 相 稱 法 座 身 諸 眷 屬 ︑ 得 大 光 明 證 利 有 情 ︑ 佛 事 妙 智 逮 得 無 量 解 脱 陀 羅 尼 門 神 通 大 念 等 無 數 功 德 ︒ 多 作 過 色 究 竟 大 自 在 天 王 ︒ 菩 薩 道 滿 資 糧 周 備 ︑ 從 佛 大 雲 堪 領 廣 大 微 妙 法 雨 ︑ 自 如 大 雲 同 現 等 覺 ︑ 普 雨 法 雨 殄 息 塵 埃 ︑ 令 善 稼 穡 生 長 成 熟 ︒ 此 一 一 住 所 斷 所 修 所 證 功 德 ︑ 非 餘 住 無 ︑ 依 各 圓 滿 故 別 建 立 ︒( T3 3,5 34 a-b)
『般若波羅蜜多心経幽賛』巻下(吉村) 二二八 六 に は 覚 分 相 応 増 上 慧 住 ︒ 即 ち 第 四 地 な り ︒ 前 に 多 聞 を 求 め て 十 法 明 を 成 す る に 由 り ︑ 此 の 住 に 入 る を 得 ︒ 十 の 成 熟 智 を 得 て 菩 提 分 法 を 修 し ︑ 能 く 薩 さ っ か や け ん 迦 耶 見 等 の 一 切 執 著 を 断 じ ︑ 訶 か き 毀 す る 業 を 離 れ て 讃 美 す る 業 を 修 し ︑ 心 転 う た た 調 柔 に し て 功 徳 隆 盛 し ︑ 安 住 し て 地 を 修 治 す る 業 を 尋 求 し ︑ 意 い ぎ ょ う 楽 と 勝 し ょ う げ 解 と 界 か い し ょ う 性 と を 円 満 し ︑ 聖 教 の 怨 敵 も 傾 動 す る 能 は ず ︒ 多 く 蘇 夜 摩 天 王 と 作 り ︑ 化 し て 薩 さ っ か や け ん 迦 耶 見 を 除 か し む ︒ 威 力 は 前 の に 過 ぐ る こ と 倶 く て い 胝 の 数 な り ︒ 七 に は 諸 諦 相 応 増 上 慧 住 ︒ 即 ち 第 五 地 な り ︒ 前 の 十 平 等 清 浄 意 楽 に 由 り ︑ 此 の 住 に 入 る を 得 ︒ 十 方 便 を 以 て 諸 諦 を 観 察 し ︑ 正 し く 諸 行 を 毀 や ぶ り 有 情 を 悲 愍 し ︑ 資 糧 を 摂 し ょ う じ ゅ 受 し て 正 願 と 念 と 慧 と の 行 等 を 勤 修 し ︑ 皆 な 增 長 す る こ と を 得 て 異 な る 作 意 を 離 れ ︑ 諸 も ろ の 方 便 を 以 て 有 情 を 成 熟 し ︑ 一 切 の 工 く ぎ ょ う 巧 を 皆 な 能 く 引 い ん 発 ぽ つ す ︒ 多 く 珊 都 使 多 天 王 と 作 り ︑ 化 し て 一 切 の 内 外 の 邪 法 を 捨 て し む ︒ 八 に は 縁 起 相 応 増 上 慧 住 ︒ 即 ち 第 六 地 な り ︒ 前 の 十 種 の 法 平 等 性 智 に 由 り ︑ 此 の 住 に 入 る を 得 ︒ 縁 起 を 覚 悟 し て 解 脱 門 を 生 じ ︑ 一 切 の 邪 想 に 皆 な 能 く 動 ぜ ず ︑ 有 情 を 益 せ ん が 為 に 生 死 を 摂 受 し ︑ 智 悲 随 逐 し て ︑ 無 所 著 智 の 般 若 波 羅 蜜 多 住 現 前 し ︑ 無 量 の 勝 三 摩 地 を 証 得 し ︑ 意 楽 壊 せ ず し て 余 も 奪 ふ こ と 能 は ず ︒ 多 く 妙 化 天 王 と 作 り て ︑ 化 し て 一 切 の 増 上 慢 等 を 除 か し む ︒ 威 力 は 前 の に 過 ぐ る こ と 百 千 倶 胝 の 数 な り ︒ 九 に は 有 う く ゆ う 功 用 無 相 住 ︒ 即 ち 第 七 地 な り ︒ 前 の 十 種 の 妙 方 便 慧 所 引 の 世 間 進 道 勝 行 に 由 り ︑ 此 の 住 に 入 る を 得 ︒ 仏 の 境 界 に 達 し て 間 け ん け つ 欠 無 く 修 し ︑ 一 一 の 刹 那 に 十 度 等 の 菩 提 分 法 を 証 し ︑ 加 行 有 る も 一 切 を 行 ず る こ と 円 満 極 に し て ︑ 浄 住 の 前 導 な れ ば 猶 ほ 有 染 と 名 づ く る も ︑ 工 巧 智 満 に し て 二 乗 の 三 摩 地 の 境 を 超 え ︑ 念 念 に 能 く 滅 尽 定 に 入 り ︑ 能 く 菩 薩 の 甚 だ 希 奇 な る 業 を 現 ず ︒ 多 く 他 化 自 在 天 王 と 作 り ︑ 能 く 二 乗 に 現 観 方 便 を 授 く ︒ 威 力 は 前 の に 過 ぐ る こ と 倶 胝 百 千 の 数 な り ︒ 十 に は 無 む く ゆ う 功 用 無 相 住 ︒ 即 ち 第 八 地 な り ︒ 前 の 十 種 の 一 切 法 の 第 一 義 に 入 る 智 に 由 り て ︑ 此 の 住 に 入 る を 得 ︒ 前 に 所 修 せ る 四 如 実 智 を 以 て ︑ 今 清 浄 を 得 て 無 生 忍 を 成 じ ︑ 四 の 災 さ い げ ん 患 を 断 じ 甚 深 な る 住 を 愛 し ︑ 諸 も ろ の 如 来 の 覚 悟 し 勧 導 し て ︑ 無 量 の 引 発 門 の 智 と 神 通 の 事 業 と を 授 与 す る を 蒙 り ︑ 無 量 の 分 身 の 妙 智 に 悟 入 し て ︑ 十 自 在 を 得 て 受 に 随 ひ て 勝 利 す ︒ 多 く 初 浄 慮 天 王 と 作 る ︒ 創 め て 此 の 住 に 入 る 第 一 刹 那 に ︑ 所 有 せ る 福 智 の 一 切 の 威 力 は ︑ 前 の 諸 も ろ の 住 所 を 過 ぐ る こ と 一 倍 を 得 ︑ 第 二 刹 那 に は 前 の を 過 ぐ る こ と 二 倍 ︑ 十 地 の 満 ず る に 至 り て 運 運 に 増 長 し ︑ 説 く も 尽 く す こ と 能 は ず ︒
『般若波羅蜜多心経幽賛』巻下(吉村) 二二九 十 一 に は 無 む げ 礙 解 げ 住 ︒ 即 ち 第 九 地 な り ︒ 前 に 甚 深 な る 住 に 於 て 喜 足 を 生 ぜ ざ る に 由 り て ︑ 復 た 智 の 殊 勝 な る 性 に 於 て 愛 あ い 楽 ぎ ょ う し て 随 入 す ︒ 智 の 加 行 を 起 こ し 諸 法 を 宣 説 し ︑ 説 法 の 所 作 を 皆 な 如 実 に 知 り ︑ 大 法 師 と 成 り て 無 礙 解 を 具 す ︒ 多 く 第 二 静 慮 天 王 と 作 る ︒ 十 二 に は 最 上 成 満 菩 薩 住 ︒ 即 ち 第 十 地 な り ︒ 前 の 無 礙 解 を 遍 く 清 浄 に し 已 り て ︑ 法 王 と 成 る に 堪 へ 受 法 灌 か ん じ ょ う 頂 し ︑ 離 り 垢 く 等 の 無 量 の 等 持 を 得 て 仏 の 所 作 を 作 し ︑ 一 切 仏 相 に 称 か な ふ 法 座 と 身 と 諸 も ろ の 眷 属 と を 得 ︑ 大 光 明 を 得 て 有 情 を 証 利 し ︑ 仏 事 の 妙 智 に て 無 量 の 解 脱 と 陀 羅 尼 門 と 神 通 と 大 念 等 の 無 数 の 功 徳 を 逮 得 す ︒ 多 く 過 色 究 竟 大 自 在 天 王 と 作 る ︒ 菩 薩 道 満 じ て 資 糧 周 備 し ︑ 仏 の 大 雲 に 従 ひ て 広 大 微 妙 の 法 雨 を 領 す る に 堪 へ ︑ 自 ら 大 雲 の 如 く 同 じ く 等 覚 を 現 じ ︑ 普 く 雨 法 を 雨 ふ ら し て 塵 じ ん あ い 埃 を 殄 て ん そ く 息 し ︑ 善 き 稼 か し ょ く 穡 を し て 生 長 成 熟 せ し む ︒ 此 の 一 一 の 住 の 所 断 と 所 修 と 所 証 と の 功 徳 は ︑ 余 の 住 に 無 き に 非 ざ る も ︑ 各 お の の 円 満 に 依 る が 故 に 別 に 建 立 す ︒ 六 つ に は 覚分相応増上慧住 ︒ す な わ ち 第 四 地 で あ る ︒ 前 〔 の 増 上 心 住 〕 で 多 聞 を 求 め ︑ 十 の 法 明 を 成 就 す る こ と に よ り ︑ こ の 住 に 入 る こ と が で き る ︒ 十 の 成 熟 智 を 得 て ︑ 菩 提 分 法 ( bodhi-pākṣika 覚 支 ︒ 智 慧 を 得 る た め の 修 行 方 法 ︒ 三 十 七 道 品 な ど ) を 修 し ︑ 薩 さ っ か や け ん 迦 耶 見 ( satkāya-dṛṣṭi 有 う し ん け ん 身 見 ︒ 自 己 は 存 在 す る と み る 見 解 ︒ 五 悪 見 の 一 つ ) 等 の あ ら ゆ る 執 著 を 断 じ ︑ 呵 責 す る 業 を 離 れ て 讃 美 す る 業 を 修 し ︑ 心 が 次 第 に 調 和 し て 功 徳 が 隆 盛 し ︑ 安 ら か に 自 地 を 修 す る 業 を 探 求 し ︑ 意 楽 ( 誓 願 ) と 勝 解 と 界 性 ( 法 性 ) と を 円 満 に し て ︑ 聖 教 の 敵 も 傾 け る こ と は で き な い ︒ 多 く は 夜 摩 天 王 と な り ︑ 〔 衆 生 を 〕 教 化 し て 薩迦 耶 見 を 除 か せ る ︒ 威 力 は 前 の 〔 住 〕 を 過 ぎ る こ と 倶 く て い 胝 ( koṭi 十 の 七 乗 ︒ 億 ) 倍 で あ る ︒ 七 つ に は 諸諦相応増上慧住 ︒ す な わ ち 第 五 地 で あ る ︒ 前 の 〔 覚 分 相 応 増 上 慧 住 で の 〕 十 の 平 等 清 浄 意 楽 に よ り ︑ こ の 住 に 入 る こ と が で き る ︒ 十 の 方 便 に よ り 諸 諦 を 観 察 し ︑ 正 し く 諸 々 の 〔 悪 〕 行 を く じ き 有 情 を あ わ れ み ︑ 資 糧 を あ つ め て 正 願 と 念 と 慧 と の 〔 善 〕 行 を 修 し ︑ み な 増 長 し て 異 な る 作 意 を 離 れ ︑ 諸 々 の 方 便 に よ り 有 情 を 成 熟 し ︑ あ ら ゆ る 〔 衆 生 利 益 の 〕 技 術 を 引 き 発 こ す ︒ 多 く は 都 使 多 ( 覩 史 多 ) 天 王 と 作 り ︑〔 衆 生 を 〕 教 化 し て あ ら ゆ る 内 外 の 邪 法 を 捨 て さ せ る ︒ 八 つ に は 縁起相応増上慧住 ︒ す な わ ち 第 六 地 で あ る ︒ 前 の 〔 諸 諦 相 応 増 上 慧 住 で の 〕 十 種 の 法 平 等 性 智 に よ り ︑ こ の 住 に 入 る こ と が で き る ︒ 縁 起 を 悟 り 解 脱 門 を 生 じ ︑ 一 切 の 邪 想 に み な 動 じ ず ︑ 有 情 を 益 す る た め に 生 死 を 受 け い れ ︑ 智
『般若波羅蜜多心経幽賛』巻下(吉村) 二三〇 慧 と 慈 悲 と が つ き 従 い ︑〔 対 象 に 〕 執 着 し な い 智 で あ る 般 若 波 羅 蜜 多 が 現 わ れ ︑ 無 量 の 勝 れ た 三 摩 地 ( 三 昧 samādhi ) を 証 し ︑〔 し か も 〕 意 楽 も 壊 さ ず 他 も 奪 わ な い ︒ 多 く は 妙 化 ( 楽 変 化 ) 天 王 と 作 り ︑〔 衆 生 を 〕 教 化 し て あ ら ゆ る 増 上 慢 を 除 か せ る ︒ 威 力 は 前 の 〔 住 〕 を 過 ぎ る こ と 百 千 倶 胝 倍 で あ る ︒ 九 つ に は 有功用無相住 ︒ す な わ ち 第 七 地 で あ る ︒ 前 の 〔 縁 起 相 応 増 上 慧 住 で の 〕 十 種 の 妙 方 便 慧 の 引 き お こ す 世 間 進 道 勝 行 に よ り ︑ こ の 住 に 入 る こ と が で き る ︒ 仏 の 境 界 に 達 し て 断 絶 や 欠 落 な く 修 し ︑ 一 々 の 刹 那 に 十 波 羅 蜜 の 菩 提 分 法 を 証 し ︑ 修 行 は あ る が す べ て 円 満 究 極 で あ り ︑〔 さ ら に 〕 清 浄 の 住 に 導 く こ と か ら ま だ 有 染 と い う が ︑〔 衆 生 利 益 の 〕 技 術 が 満 足 し て 二 乗 の 三 摩 地 の 境 界 を 超 え ︑ 念 々 に 滅 尽 定 に 入 り ︑ 菩 薩 の は な は だ 希 有 な 業 を 現 わ す ︒ 多 く は 他 化 自 在 天 王 と な り ︑ 二 乗 に 現 観 方 便 を 授 け る ︒ 威 力 は 前 の 〔 住 〕 を 過 ぎ る こ と 倶 胝 百 千 倍 で あ る ︒ 十 に は 無功用無相住 ︒ す な わ ち 第 八 地 で あ る ︒ 前 の 十 種 の 一 切 法 の 第 一 義 に 入 る 智 に よ り ︑ こ の 住 に 入 る こ と が で き る ︒ 前 〔 の 有 功 用 無 相 住 〕 で 修 し た 四 如 実 智 ( 縁 名 如 実 智 ・ 縁 物 如 実 智 ・ 縁 自 性 如 実 智 ・ 縁 差 別 如 実 智 ) に よ り ︑ 今 清 浄 を 得 て 無 生 法 忍 を 成 就 し て ︑ 四 種 の 災 患 ( 於 無 相 中 有 加 行 有 功 用 事 ・ 於 上 清 淨 住 精 勤 思 慕 ・ 於 一 切 種 利 有 情 事 有 大 堪 能 精 勤 思 慕 ・ 有 微 細 想 現 在 前 行 ︒『 瑜 伽 師 地 論 』 巻 四 八 T3 0,5 61 a ) を 断 じ て 甚 深 な る 住 を 愛 楽 し ︑ 諸 々 の 如 来 が 悟 り 導 く ︑ 無 量 の 〔 衆 生 を 〕 引 発 す る 智 慧 と 神 通 力 に よ る 事 業 と を 授 け ら れ ︑ 無 量 の 分 身 の 妙 智 を 悟 り ︑ 十 の 自 在 を 得 て 〔 生 を 〕 受 け て は 〔 衆 生 を 〕 よ く 利 益 す る ︒ 多 く は 初 浄 慮 天 王 ( 色 界 の 初 禅 の 王 ︒ 梵 衆 天 ・ 梵 輔 天 ・ 大 梵 天 ) と 作 る ︒ は じ め て こ の 住 に 入 る 第 一 刹 那 に ︑ 所 有 す る 福 徳 ・ 智 慧 の 一 切 の 威 力 は ︑ 前 の 諸 住 を 過 ぎ る こ と 一 倍 で あ り ︑ 第 二 刹 那 に は 前 の 〔 住 〕 を 過 ぎ る こ と 二 倍 ︑ 十 地 が 満 ち る に 至 り し だ い に 増 長 し ︑ 説 き 尽 く す こ と は で き な い ︒ 十 一 に は 無礙解住 ︒ す な わ ち 第 九 地 で あ る ︒ 前 に は 甚 深 な る 〔 無 功 用 無 相 〕 住 に お い て 歓 喜 満 足 を 生 じ な い こ と に よ り ︑ さ ら に 智 の 殊 勝 な る 本 性 に 愛 楽 し て 入 る ︒ 智 の 加 行 を 起 こ し て 諸 法 を 宣 説 し ︑ 説 法 の 所 作 を み な 如 実 に 知 り ︑ 大 法 師 と な り 四 無 礙 解 ( 法 無 礙 解 ・ 義 無 礙 解 ・ 詞 無 礙 解 ・ 弁 無 礙 解 ) を 具 す ︒ 多 く は 第 二 静 慮 天 王 ( 色 界 二 禅 の 王 ︒ 少 光 天 ・ 無 量 光 天 ・ 極 光 浄 天 ) と な る ︒ 十 二 に は 最上成満菩薩住 ︒ す な わ ち 第 十 地 で あ る ︒ 前 の 〔 無 礙 解 住 で 修 し た 〕 四 無 礙 解 を す べ て 清 浄 に し ︑ 法 王 と 成 る べ く 受 法 灌 頂 し ︑ 離 垢 等 の 無 量 の 等 持 ( 三 昧 sam ād hi ) を 得 て 仏 の 所 作 を な し ︑ あ ら ゆ る 仏 の 相 に か な う 法 座 と 身 体 と 諸 々 の 眷 属 と を 得 て ︑ 大 光 明 を 得 て 有 情 を 証 悟 ・ 利 益 し ︑ 仏 事 を な す 妙 智 に よ り ︑ 無 量 の 解 脱 と 陀 羅 尼 と 神 通 と 大 念
『般若波羅蜜多心経幽賛』巻下(吉村) 二三一 ( 仏 を 念 想 す る こ と ) 等 の 無 数 の 功 徳 を 得 る ︒ 多 く は 色 究 竟 大 自 在 天 王 ( 色 界 の 四 禅 の 王 ) 以 上 の も の と な る ︒ 菩 薩 道 が 満 ち て 資 糧 が あ ま ね く 備 わ り ︑ 仏 の 大 雲 に 従 っ て 広 大 微 妙 の 法 雨 を 領 す る よ う に な り ︑ 自 ら 大 雲 の ご と く 〔 仏 と 〕 同 じ く 等 覚 を 現 わ し ︑ あ ま ね く 雨 法 を 降 ら せ て 塵 埃 ( 煩 悩 ) を な く し ︑ 善 き 稼 穡 ( 善 根 ) を 生 長 成 熟 さ せ る ︒ こ の 一 々 の 住 の 所 断 と 所 修 と 所 証 と の 功 徳 は ︑ 他 の 住 に も 無 い わ け で は な い が ︑ 各 々 の 円 満 〔 す る 住 〕 に よ り 別 々 に 立 て て い る ︒ ※ 三 十 七 道 品 ( 三 十 七 覚 支 ︑ 三 十 七 菩 提 分 法 ) 悟 り を 実 現 す る 智 慧 を 得 る た め の 三 十 七 種 の 修 行 方 法 ︒ ① 四 念 住 ( 身 念 住 ・ 受 念 住 ・ 心 念 住 ・ 法 念 住 )︑ ② 四 正 断 ( 断 断 ・ 律 儀 断 ・ 随 護 断 ・ 修 断 )︑ ③ 四 神 足 ( 欲 神 足 ・ 勤 神 足 ・ 心 神 足 ・ 観 神 足 )︑ ④ 五 根 ( 信 根 ・ 精 進 根 ・ 念 根 ・ 定 根 ・ 慧 根 )︑ ⑤ 五 力 ( 信 力 ・ 精 進 力 ・ 念 力 ・ 定 力 ・ 慧 力 )︑ ⑥ 七 等 覚 支 ( 択 法 覚 支 ・ 精 進 覚 支 ・ 喜 覚 支 ・ 軽 安 覚 支 ・ 捨 覚 支 ・ 定 覚 支 ・ 念 覚 支 )︑ ⑦ 八 正 道 支 ( 正 見 ・ 正 思 惟 ・ 正 語 ・ 正 業 ・ 正 命 ・ 正 精 進 ・ 正 念 ・ 正 定 ) の 七 科 か ら な る ︒ ※ 五 悪 見 ① 薩 迦 耶 見 ( 有 身 見 ︒ 五 取 蘊 身 に 対 し て 我 ・ 我 所 と 執 着 す る こ と )︑ ② 辺 執 見 ( 五 取 蘊 身 に 対 し て 断 見 や 常 見 を お こ し て 執 着 す る こ と )︑ ③ 邪 見 ( 因 果 を 誹 謗 す る こ と な ど )︑ ④ 見 取 見 ( 五 取 蘊 身 や 悪 見 に 執 着 し て 最 勝 と み な し 涅 槃 を 得 た と 言 う こ と )︑ ⑤ 戒 禁 取 見 ( 五 取 蘊 身 と 悪 見 に 従 っ た 戒 禁 に 執 着 し て 最 勝 と み な し 涅 槃 を 得 た と 言 う こ と )︒
『般若波羅蜜多心経幽賛』巻下(吉村) 二三二 広修行⑮―能修学③ 勝 解 行 住 趣 無 相 修 ︑ 所 作 狹 小 有 缺 不 定 ︒ 次 後 六 住 獲 無 相 修 ︑ 所 作 廣 大 無 缺 決 定 ︒ 後 之 四 住 ︑ 圓 證 清 淨 領 受 修 果 ︑ 所 作 無 量 ︒ 勝 解 行 住 信 等 第 六 心 ︑ 信 生 不 退 不 斷 善 根 ︒ 十 住 第 七 心 ︑ 居 位 不 退 不 作 二 乘 ︒ 至 極 喜 住 ︑ 所 證 不 退 永 無 忘 失 ︒ 至 無 功 用 無 相 住 ︑ 修 行 不 退 任 運 進 修 ︒ 皆 求 種 智 廣 行 利 樂 ︒ 故 留 諸 惑 助 願 受 生 ︒ 由 此 不 説 斷 煩 惱 相 ︒ 生 有 五 種 ︒ 一 除 災 生 ︒ 由 願 自 在 ︑ 爲 大 魚 等 濟 諸 飢 乏 ︑ 爲 大 醫 藥 救 諸 疾 病 ︑ 爲 大 善 巧 善 和 諍 鬪 ︑ 爲 大 國 王 如 法 息 苦 ︑ 爲 大 天 神 斷 邪 見 行 ︑ 爲 火 爲 水 爲 乘 爲 船 ︑ 爲 種 種 物 息 除 災 患 ︒ 二 隨 類 生 ︒ 願 自 在 力 ︑ 於 傍 生 等 惡 類 中 生 ︑ 彼 所 行 惡 而 自 不 行 ︑ 彼 不 行 善 而 自 行 之 ︒ 如 入 酒 肆 能 立 其 志 ︑ 入 諸 婬 舍 示 欲 之 過 ︑ 爲 説 正 法 除 彼 過 失 ︒ 三 大 勢 生 ︒ 禀 性 生 時 ︑ 壽 量 形 色 族 姓 貴 富 最 爲 殊 勝 ︑ 能 除 衆 生 輕 慢 等 過 ︒ 四 增 上 生 ︒ 受 十 王 果 ︑ 自 在 化 導 ︑ 隨 所 應 生 ︒ 五 最 後 生 ︒ 此 生 資 糧 已 極 圓 滿 ︑ 如 慈 氏 等 生 婆 羅 門 大 國 師 家 ︑ 如 釋 迦 等 生 刹 帝 利 大 國 王 家 ︑ 能 現 等 覺 作 諸 佛 事 ︒ 復 以 四 相 攝 受 有 情 ︒ 一 者 頓 普 ︒ 初 發 心 位 ︑ 普 頓 攝 受 一 切 有 情 ︑ 皆 爲 眷 屬 隨 力 饒 益 ︒ 二 者 增 上 ︒ 若 爲 家 主 ︑ 勸 識 恩 惠 孝 養 父 母 ︑ 妻 子 等 所 隨 時 愍 給 ︑ 僕 隷 等 所 終 不 逼 切 而 能 堪 忍 ︑ 病 等 瞻 療 愛 語 慰 喩 ︑ 猶 如 自 身 不 生 賤 想 ︒ 若 爲 國 王 ︑ 不 行 刀 杖 以 法 理 化 ︑ 財 利 饒 益 依 本 土 田 ︑ 而 自 食 用 不 行 侵 掠 ︑ 視 諸 衆 生 如 父 如 子 ︑ 所 言 誠 諦 不 行 欺 詐 ︑ 勸 捨 諸 惡 敎 修 諸 善 ︒ 三 者 攝 取 ︒ 平 等 無 * 偏 ︑ 不 希 名 利 * 承 事 ︑ 徒 衆 等 無 染 攝 受 ︑ 於 自 義 利 正 敎 修 習 ︑ 非 邪 加 行 而 陷 逗 之 ︒ 四 者 隨 時 ︒ 諸 有 情 類 下 中 上 品 ︑ 長 短 少 時 方 堪 淨 故 ︑ 隨 應 成 熟 而 行 攝 受 ︒( * ﹁ 偏 ﹂︑ 大 正 は ﹁ 儻 ﹂ に 作 る ︒ 甲 本 に よ り 改 め る ︒ * ﹁ 承 ﹂︑ 大 正 は ﹁ 秉 ﹂ に 作 る ︒ 甲 本 に よ り 改 め る ︒) 此 十 三 住 七 地 所 攝 ︒ 一 種 姓 地 ︒ 二 勝 解 行 地 ︒ 三 淨 勝 意 樂 地 ︒ 此 之 三 地 卽 初 三 住 ︒ 四 行 正 行 地 ︒ 卽 次 六 住 ︒ 五 決 定 地 ︒ 卽 第 十 住 ︒ 墮 在 第 三 決 定 中 故 ︒ 六 決 定 行 地 ︒ 卽 第 十 一 住 ︒ 七 * 到 究 竟 地 ︒ 卽 第 十 二 第 十 三 住 ︒ 因 果 二 中 皆 究 竟 故 ︒( * ﹁ 到 ﹂︑ 大 正 は ﹁ 倒 ﹂ に 作 る ︒ 甲 本 に よ り 改 め る ︒) 此 前 所 説 諸 菩 薩 行 ︑ 雖 有 無 量 不 過 四 種 ︒ 一 波 羅 蜜 多 行 ︒ 則 六 ・ 十 度 ︒ 二 菩 提 分 行 ︒ 三 十 七 品 ・ 四 尋 思 等 一 切 妙 行 ︒ 三 神 通 行 ︒ 卽 六 神 通 ︒ 四 成 熟 有 情 行 ︒ 卽 所 調 伏 界 調 伏 方 便 界 無 量 ︒ 如 上 所 説 ︒( T3 3,5 34 b-5 35 a )
『般若波羅蜜多心経幽賛』巻下(吉村) 二三三 勝 解 行 住 に お い て 無 相 修 に 趣 く も ︑ 所 作 狭 小 に し て 欠 有 り 不 定 な り ︒ 次 に 後 の 六 住 に お い て 無 相 修 を 獲 ︑ 所 作 広 大 に し て 欠 無 く 決 定 す ︒ 後 の 四 住 に お い て 修 果 を 円 証 し 清 浄 に し 領 受 し て ︑ 所 作 無 量 な り ︒ 勝 解 行 住 の 信 等 の 第 六 心 に お い て ︑ 生 信 不 退 に し て 善 根 を 断 ぜ ず ︒ 十 住 の 第 七 心 に お い て ︑ 住 位 不 退 に し て 二 乗 と 作 ら ず ︒ 極 喜 住 に 至 り て ︑ 所 証 不 退 に し て 永 に 忘 失 す る 無 し ︒ 無 功 用 無 相 住 に 至 り て ︑ 修 行 不 退 に し て 任 運 に 進 修 す ︒ 皆 な 種 智 を 求 め て 広 く 利 楽 を 行 ず ︒ 故 に 諸 惑 を 留 め て 助 願 し 受 生 す ︒ 此 れ に 由 り て 煩 悩 を 断 ず る 相 を 説 か ず ︒ 生 に 五 種 有 り ︒ 一 に は 除 災 生 ︒ 願 の 自 在 に 由 り て ︑ 大 魚 等 と 為 り て 諸 も ろ の 飢 乏 を 済 ひ ︑ 大 医 薬 と 為 り て 諸 も ろ の 疾 病 を 救 ひ ︑ 大 善 巧 と 為 り て 善 く 諍 闘 を 和 し ︑ 大 国 王 と 為 り て 如 法 に 苦 を 息 め ︑ 大 天 神 と 為 り て 邪 見 の 行 を 断 じ ︑ 火 と 為 り 水 と 為 り 乗 と 為 り 船 と 為 り ︑ 種 種 の 物 と 為 り て 災 患 を 息 除 す ︒ 二 に は 随 類 生 ︒ 願 の 自 在 力 に よ り て ︑ 傍 生 等 の 悪 類 の 中 に 生 じ ︑ 彼 の 所 行 の 悪 を 而 も 自 ら 行 ぜ ず ︑ 彼 の 行 ぜ ざ る 善 を 而 も 自 ら 之 れ を 行 ず ︒ 酒 肆 に 入 り て 能 く 其 の 志 を 立 て ︑ 諸 も ろ の 婬 舎 に 入 り て 欲 の 過 を 示 し ︑ 為 に 正 法 を 説 き て 彼 の 過 失 を 除 く が 如 し ︒ 三 に は 大 勢 生 ︒ 禀 性 と し て 生 時 に ︑ 寿 量 ・ 形 色 ・ 族 姓 ・ 貴 ・ 富 最 も 殊 勝 た り て ︑ 能 く 衆 生 の 軽 慢 等 の 過 を 除 く ︒ 四 に は 増 上 生 ︒ 十 王 の 果 を 受 け ︑ 自 在 に 化 導 し ︑ 所 応 に 随 ひ て 生 ず ︒ 五 に は 最 後 生 ︒ 此 の 生 に お い て 資 糧 已 に 極 め て 円 満 し ︑ 慈 氏 等 の 如 く 婆 羅 門 の 大 国 師 の 家 に 生 ま れ ︑ 釈 迦 等 の 如 く 刹 帝 利 の 大 国 王 の 家 に 生 ま れ ︑ 能 く 等 覚 を 現 じ て 諸 も ろ の 仏 事 を 作 す ︒ 復 た 四 相 を 以 て 有 情 を 摂 受 す ︒ 一 に は 頓 普 ︒ 初 発 心 の 位 に ︑ 普 く 頓 に 一 切 有 情 を 摂 受 し ︑ 皆 な 眷 属 と 為 し て 力 に 随 ひ て 饒 益 す ︒ 二 に は 増 上 ︒ 若 し 家 主 と 為 り て は ︑ 勧 つ と め て 恩 恵 を 識 り て 父 母 に 孝 養 し ︑ 妻 子 等 の 所 に は 時 に 随 ひ て 愍 給 し ︑ 僕 隷 等 の 所 に は 終 に 逼 切 せ ず し て 能 く 堪 忍 し ︑ 病 等 に は 瞻 せ ん り ょ う 療 す る に 愛 語 も て 慰 喩 し ︑ 猶 ほ 自 身 の 如 く し て 賤 想 を 生 じ ず ︒ 若 し 国 王 と 為 り て は ︑ 刀 杖 を 行 は ず 法 理 を 以 て 化 し ︑ 財 利 も て 饒 益 し て 本 の 土 田 に 依 り ︑ 而 も 自 ら 食 用 し て 侵 掠 を 行 は ず ︑ 諸 も ろ の 衆 生 を 視 る こ と 父 の 如 く 子 の 如 く ︑ 所 言 は 誠 諦 に し て 欺 詐 を 行 は ず ︑ 勧 め て 諸 悪 を 捨 て て 教 え て 諸 善 を 修 せ し む ︒ 三 に は 摂 取 ︒ 平 等 に し て 偏 無 く ︑ 名 利 を 希 は ず 承 事 し て ︑ 徒 衆 等 を 無 染 に 摂 受 し ︑ 自 ら の 義 利 に 於 て 正 し く 教 え て 修 習 せ し め ︑ 邪 の 加 行 に し て 之 れ を 陷 逗 す る に は 非 ず ︒ 四 に は 随 時 ︒ 諸 も ろ の 有 情 類 の 下 と 中 と 上 と の 品 に お い て ︑ 長 と 短 と 少 と の 時 に 方 に 浄 す る に 堪 ふ る が 故 に ︑ 応 に 随 ひ て 成 熟 し て 摂 受 を 行 ず ︒ 此 の 十 三 住 は 七 地 の 所 摂 な り ︒ 一 に は 種 姓 地 ︒ 二 に は 勝 解 行 地 ︒ 三 に は 浄 勝 意 楽 地 ︒ 此 の 三 地 は 即 ち 初 の 三 住 な り ︒ 四 に は 行 正 行 地 ︒ 即 ち 次 の 六 住 な り ︒ 五 に は 決 定 地 ︒ 即 ち 第 十 住 な り ︒ 第 三 の 決 定 の 中 に 堕 在 す る が 故 に ︒ 六 に は 決 定
『般若波羅蜜多心経幽賛』巻下(吉村) 二三四 行 地 ︒ 即 ち 第 十 一 住 な り ︒ 七 に は 到 究 竟 地 ︒ 即 ち 第 十 二 ・ 第 十 三 住 な り ︒ 因 果 の 二 の 中 に 皆 な 究 竟 す る が 故 に ︒ 此 の 前 の 所 説 の 諸 も ろ の 菩 薩 行 は ︑ 無 量 有 り と 雖 も 四 種 に 過 ぎ ず ︒ 一 に は 波 羅 蜜 多 行 ︒ 則 ち 六 ・ 十 度 な り ︒ 二 に は 菩 提 分 行 ︒ 三 十 七 品 ・ 四 尋 思 等 の 一 切 妙 行 な り ︒ 三 に は 神 通 行 ︒ 即 ち 六 神 通 な り ︒ 四 に は 成 熟 有 情 行 ︒ 即 ち 所 調 伏 界 と 調 伏 方 便 界 と 無 量 な り ︒ 上 の 所 説 の 如 し ︒ 〔 先 ず 第 二 の 〕 勝 解 行 住 に お い て 無 相 の 修 行 に 趣 く が ︑ 所 作 が 狭 小 で 欠 遺 が あ り 不 定 で あ る ︒ 次 に 後 の 〔 第 三 か ら 第 八 の 〕 六 住 に お い て 無 相 の 修 行 を 得 て ︑ 所 作 が 広 大 で 欠 遺 が な く 決 定 す る ︒ 後 の 〔 第 九 か ら 第 十 二 の 〕 四 住 に お い て ︑ 修 行 の 成 果 を 円 満 に 証 し 清 浄 に し て 受 領 し ︑ 所 作 が 無 量 と な る ︒ 〔 第 二 の 〕 勝 解 行 住 の 十 信 の 第 六 心 ( 不 退 心 ) に お い て ︑ 生 信 不 退 と な り 善 根 を 断 じ な く な る ︒ 十 住 の 第 七 心 ( 不 退 心 住 ) に お い て ︑ 居 位 不 退 と な り 二 乗 に な ら な く な る ︒〔 第 三 の 〕 極 歓 喜 住 に 至 り ︑ 所 証 不 退 と な り 永 久 に 忘 失 し な く な る ︒〔 第 十 の 〕 無 功 用 無 相 住 に 至 り ︑ 修 行 不 退 と な り 自 然 に 修 行 が 進 む よ う に な る ︒ 〔 十 二 住 で は 〕 み な 一 切 種 智 ( sarva-ākāra-jñāna 一 切 法 を 知 り 尽 く し た 智 ) を 求 め て 広 く 利 益 ・ 安 楽 を 行 う ︒ 故 に 諸 惑 を 留 め て 誓 願 を 助 け 生 を 受 け る ︒ こ の こ と か ら 煩 悩 を 断 ず る こ と を 説 か な い ︒ 生 に 五 種 あ る ︒ 一 つ に は 除 災 生 ︒ 誓 願 の 自 在 力 に よ り ︑ 大 魚 等 と な っ て 諸 々 の 飢 乏 を 救 い ︑ 大 医 師 と な っ て 諸 々 の 疾 病 を 救 い ︑ 大 熟 練 と な っ て よ く 論 争 を 和 し ︑ 大 国 王 と な っ て 法 の と お り 苦 し み を 止 め ︑ 大 天 神 と な っ て 邪 見 の 行 を 断 じ ︑ 火 と な り 水 と な り 乗 物 と な り 船 と な り ︑ 種 々 の 物 と な っ て 災 難 を 除 く ︒ 二 つ に は 随 類 生 ︒ 誓 願 の 自 在 力 に よ り ︑ 畜 生 等 の 悪 類 の 中 に 生 じ ︑ 彼 の 行 う 悪 を 自 ら 行 わ ず ︑ 彼 の 行 わ な い 善 を 自 ら 行 う ︒〔 す な わ ち 〕 酒 屋 に 入 っ て そ の 志 を 立 て ︑ 淫 売 宿 に 入 っ て 欲 の 過 失 を 示 し ︑ 正 法 を 説 い て 彼 ら の 過 失 を 除 く よ う な こ と で あ る ︒ 三 つ に は 大 勢 生 ︒ 本 性 と し て 生 れ た 時 に ︑ 寿 命 ・ 顔 形 ・ 氏 族 ・ 身 分 ・ 財 産 が 最 も 殊 勝 で あ り ︑ 衆 生 の 軽 慢 等 の 過 失 を 除 く ︒ 四 つ に は 増 上 生 ︒〔 第 三 住 の 転 輪 王 な い し 第 十 二 住 の 色 究 竟 大 自 在 天 王 ま で の 〕 十 王 の 果 を 受 け て ︑ 自 在 に 化 導 し ︑ 応 じ る 所 に 従 っ て 生 じ る ︒ 五 つ に は 最 後 生 ︒ こ の 生 に お い て 資 糧 が 極 め て 円 満 し ︑ 弥 勒 等 の よ う に バ ラ モ ン の 大 国 師 の 家 に 生 ま れ た り ︑ 釈 迦 等 の よ う に ク シ ャ ト リ ヤ の 大 国 王 の 家 に 生 ま れ た り し て ︑ 無 上 正 等 覚 を 得 て 諸 々 の 仏 事 を な す ︒ ま た 四 相 に よ っ て 有 情 を 摂 受 す る ( 取 り ま と め て 救 済 す る )︒ 一 つ に は 頓 普 ︒ 初 発 心 の 位 に ︑ あ ま ね く 頓 時 に あ ら ゆ
『般若波羅蜜多心経幽賛』巻下(吉村) 二三五 る 有 情 を 摂 受 し て ︑ み な 眷 属 に し て 力 に し た が っ て 利 益 す る ︒ 二 つ に は 増 上 ︒ も し 家 主 と な れ ば ︑ つ と め て 恩 恵 を 知 り 父 母 を 孝 養 し ︑ 妻 子 に は 時 に し た が っ て 恵 与 し ︑ 使 用 人 に は 逼 迫 せ ず に 堪 忍 し ︑ 病 人 に は 看 病 し て や さ し い 言 葉 で 慰 め ︑ あ た か も 自 身 の よ う に 想 っ て 賤 し む こ と が な い ︒ も し 国 王 と な れ ば ︑ 武 力 を 行 使 せ ず 真 理 に よ っ て 化 導 し ︑ 資 財 に よ っ て 利 益 し て 本 来 の 土 地 に 住 ま わ せ ︑ 自 給 自 足 さ せ て 侵 略 を 行 わ ず ︑ 諸 々 の 衆 生 を 父 や 子 の よ う に 見 て ︑ 言 葉 は 誠 実 に し て 欺 く こ と な く ︑ 勧 め て 諸 悪 を 捨 て さ せ 教 え て 諸 善 を 行 わ せ る ︒ 三 つ に は 摂 取 ︒ 平 等 で 偏 り な く ︑ 名 利 を 願 わ ず 〔 仏 に 〕 仕 え ︑ 大 衆 を 汚 れ な く 摂 受 し ︑ 自 ら の 〔 知 る 〕 道 理 を 正 し く 教 え て 行 わ せ ︑ よ こ し ま な 修 行 で 彼 ら を さ ま た げ る こ と は し な い ︒ 四 に は 随 時 ︒ 諸 々 の 有 情 類 の 下 品 ・ 中 品 ・ 上 品 を ︑ 長 時 ・ 短 時 ・ 少 時 に 浄 め る こ と が で き る た め ︑ 応 じ る 所 に 従 っ て 成 熟 さ せ 摂 受 を 行 う ︒ こ の 十 三 住 は 七 地 に 摂 お さ め ら れ る ︒ 一 つ に は 種 姓 地 ︒ 二 つ に は 勝 解 行 地 ︒ 三 つ に は 浄 勝 意 楽 地 ︒ こ の 三 地 は す な わ ち 初 め の 三 住 で あ る ︒ 四 つ に は 行 正 行 地 ︒ す な わ ち 次 の 〔 第 四 か ら 第 九 の 〕 六 住 な り ︒ 五 つ に は 決 定 地 ︒ す な わ ち 第 十 住 で あ る ︒〔 三 決 定 ( 種 性 決 定 〔 地 前 〕・ 発 心 決 定 〔 初 地 〕・ 不 虚 行 決 定 ( 八 地 )) の う ち 〕 第 三 の 〔 不 虚 行 〕 決 定 に 堕 す か ら で あ る ︒ 六 つ に は 決 定 行 地 ︒ す な わ ち 第 十 一 住 で あ る ︒ 七 つ に は 到 究 竟 地 ︒ す な わ ち 第 十 二 ・ 第 十 三 住 で あ る ︒ 因 ・ 果 の 二 つ を み な 究 竟 す る か ら で あ る ︒ 以 上 の 所 説 の 諸 々 の 菩 薩 行 は ︑ 無 量 で あ る と は い え 四 種 を 過 え る こ と は な い ︒ 一 つ に は 波 羅 蜜 多 行 ︒ す な わ ち 六 波 羅 蜜 ・ 十 波 羅 蜜 で あ る ︒ 二 つ に は 菩 提 分 行 ︒ 三 十 七 道 品 ・ 四 尋 思 等 の あ ら ゆ る 妙 行 で あ る ︒ 三 つ に は 神 通 行 ︒ す な わ ち 六 神 通 で あ る ︒ 四 つ に は 成 熟 有 情 行 ︒ す な わ ち 調 伏 す る も の と 調 伏 す る 方 便 と の 無 量 で あ る ︒ 上 文 に 説 い た 通 り で あ る ︒
『般若波羅蜜多心経幽賛』巻下(吉村) 二三六 広修行⑯―能修学④ 若 所 學 處 ︑ 若 所 學 法 ︑ 若 能 修 學 ︑ 皆 菩 薩 行 ︒ 勇 猛 熾 然 ︑ 依 前 修 學 ︑ 不 見 行 相 ︒ 是 名 爲 行 ︒ 此 所 行 法 ︑ 云 何 名 深 ︒ / 勝 空 者 言 ︒ 妙 理 玄 邈 ︑ 不 可 思 議 ︒ 二 乘 不 能 曉 ︑ 凡 夫 所 不 測 ︒ 故 名 爲 深 ︒ / 如 應 者 言 ︒ 眞 諦 智 境 ︑ 超 言 議 道 ︑ 非 喩 所 喩 ︑ 微 妙 難 知 ︒ 備 三 無 上 ︑ 具 七 大 性 ︑ 體 業 利 樂 ︑ 一 切 殊 勝 ︒ 白 法 溟 海 ︑ 妙 寶 泉 池 ︑ 非 大 菩 提 爲 法 界 主 ︑ 無 由 相 稱 ︒ 故 所 修 學 ︑ 皆 名 爲 深 ︒ 應 勤 趣 證 ︒ 或 此 一 切 諸 菩 薩 行 ︑ 眞 如 實 相 難 可 圓 證 ︑ 智 慧 觀 照 難 可 獲 得 ︑ 詮 敎 文 字 難 可 悟 説 ︑ 萬 行 眷 屬 難 可 成 就 ︑ 有 空 境 界 難 可 通 達 ︒ 以 慧 爲 首 ︑ 餘 性 或 資 ︑ 皆 名 般 若 ︒ 故 並 名 深 ︒ 云 何 名 時 ︒ / 勝 空 者 言 ︒ 若 依 世 俗 ︑ 信 學 修 證 ︑ 求 照 達 空 ︒ 若 依 勝 義 ︑ 悟 法 體 空 ︑ 修 行 般 若 ︒ 事 緒 究 竟 ︑ 總 名 爲 時 ︒ / 如 應 者 言 ︒ 無 上 菩 提 廣 大 深 遠 ︒ 非 少 積 因 可 能 證 獲 ︒ 於 前 所 説 十 二 住 中 ︑ 若 日 夜 等 時 分 算 數 ︑ 一 一 住 中 經 多 倶 胝 百 千 大 劫 ︑ 或 過 是 數 ︑ 方 證 方 滿 ︒ 若 以 大 劫 超 過 一 切 算 數 之 量 ︑ 總 經 於 三 無 數 大 劫 ︑ 方 得 證 滿 ︒ 經 初 無 數 大 劫 ︑ 於 一 行 中 修 一 行 故 ︑ 證 極 喜 住 ︒ 經 第 二 無 數 大 劫 ︑ 於 一 行 中 修 一 切 行 ︑ 證 無 功 用 無 相 住 ︒ 以 意 樂 淨 決 定 勇 猛 ︒ 後 經 第 三 無 數 大 劫 ︑ 一 切 行 中 修 一 切 行 ︑ 證 如 來 住 ︒ 此 常 精 進 ︑ 非 不 爾 者 ︒ 若 上 勇 猛 如 翹 足 等 ︑ 或 有 能 轉 衆 多 中 劫 ︑ 或 多 大 劫 ︑ 決 定 無 轉 無 數 大 劫 ︒ 故 知 ︑ 因 位 決 定 經 三 無 數 大 劫 ︑ 修 行 圓 滿 ︑ 方 證 菩 提 ︒ 五 種 彼 岸 皆 能 到 故 ︒ / 此 意 即 説 ︑ 修 五 般 若 三 劫 分 位 ︒ 或 隨 自 心 變 作 分 限 ︑ 事 緒 究 竟 總 立 時 名 ︒ 若 達 空 時 ︑ 唯 正 智 證 ︒ 既 修 學 位 ︑ 通 攝 所 餘 ︒ 獨 覺 利 根 尚 經 百 劫 ︑ 況 求 作 佛 無 多 劫 因 ︒ ( T3 3,5 35 a-b) 若 し く は 所 学 の 処 ︑ 若 し く は 所 学 の 法 ︑ 若 し く は 能 修 の 学 は ︑ 皆 な 菩 薩 の 行 な り ︒ 勇 猛 熾 然 に し て ︑ 前 に 依 り て 修 学 す る も ︑ 行 相 を 見 ず ︒ 是 れ を 名 づ け て ﹁ 行 ﹂ と 為 す ︒ 此 の 所 行 の 法 を ︑ 云 何 が ﹁ 深 ﹂ と 名 づ く る や ︒ / 勝 空 者 言 く ︒ 妙 理 は 玄 げ ん ば く 邈 に し て 不 可 思 議 な り ︒ 二 乗 は 暁 あ き ら む る こ と 能 は ず ︑ 凡 夫 の 測 ら ざ る 所 な り ︒ 故 に 名 づ け て ﹁ 深 ﹂ と 為 す ︒ / 如 応 者 言 く ︒ 真 諦 の 智 と 境 と は ︑ 言 議 の 道 を 超 え ︑ 喩 の 喩 た と ふ る 所 に 非 ず ︑ 微 妙 に し て 知 り 難 し ︒ 三 無 上 を 備 へ ︑ 七 大 性 を 具 へ ︑ 体 と 業 と 利 楽 と の ︑ 一 切 の 殊 勝 な り ︒ 白 法 の 溟 海 ︑ 妙 宝 の 泉 池 は ︑ 大 菩 提 を 法 界 の 主 と 為 す に 非 ざ れ ば ︑ 相 ひ 称 か な ふ に 由 よ し 無 し ︒ 故 に 所 修 の 学 を ︑ 皆 な 名 づ け て ﹁ 深 ﹂ と 為 す ︒ 応 に 勤 め て 証 に 趣 く べ し ︒ 或 は 此 の 一 切 の 諸 も ろ の 菩 薩 行 に お い て ︑ 真 如 の 実 相 は 円 証 す べ き こ と 難 く ︑ 智 慧 の 観 照 は 獲 得 す べ き こ と 難 く ︑ 詮 教 の 文 字 は 悟 説 す べ き こ と 難 く ︑ 万 行 の 眷 属 は 成 就 す べ き こ と 難 く ︑ 有 空 の 境 界 は 通 達