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0 概要 シェーマ 研究目的 研究対象および評価項目 症例数 研究協力施設 研究期間 目的 背景 効果予測因子に関する現況 転移 再発乳癌における抗癌剤使用の現況.

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SELECT BC-EURECA

CSPOR

SELECT BC-the better drug predictive marker analysis

公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンターがん臨床支援事業 Comprehensive Support Project for Oncology Research (CSPOR)

転移・再発乳癌患者における TS-1 感受性予測因子

測定に関する探索的研究

研究実施計画書

SELECT BC-the bEtter drUg pREdiCtive marker Analysis

研究代表者: 原 文堅 四国がんセンター 乳腺科・化学療法科 〒791-0280 愛媛県松山市南梅本町甲 160 TEL 089-999-1111 FAX 089-999-1100 E-mail hfumikat@shikoku-cc.go.jp CSPOR データセンター: 大橋 靖雄 中央大学理工学部人間総合理工学科 生物統計学 〒113-0034 東京都文京区湯島 1-10-5 湯島D&Aビル 1F TEL 03-3254-8029 FAX 03-5298-8536 原案作成: 2013 年 5 月 1 日 運営委員会承認: 2013 年 10 月 2 日 施設倫理員会承認(第 1.0 版): 2013 年 12 月 17 日 施設倫理員会承認(第 1.1 版): 2014 年 2 月 10 日 施設倫理員会承認(第 1.2 版): 2014 年 11 月 18 日

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2 0 概要 ... 1 0.1 シェーマ ... 1 0.2 研究目的 ... 1 0.3 研究対象および評価項目 ... 1 0.4 症例数、研究協力施設、研究期間 ... 2 1 目的 ... 3 2 背景 ... 3 2.1 効果予測因子に関する現況 ... 3 2.2 転移・再発乳癌における抗癌剤使用の現況 ... 3 2.3 今回の検討に関して ... 4 2.4 今後の検討に関して ... 4 3 対象症例 ... 4 3.1 選択基準 ... 4 3.2 除外基準 ... 4 4 試料 ... 4 5 評価項目 ... 5 6 遺伝子発現量測定... 5 6.1 測定項目 ... 5 6.2 測定項目の設定根拠 ... 5 6.3 測定機関 ... 8 7 目標症例数、研究協力施設、研究期間 ... 8 8 試料の提出と測定機関への移送 ... 8 9 測定方法 ... 9 9.1 TaqMan Array 法による測定 ... 9 9.2 TaqMan Array 法について ... 9 9.3 TaqMan Array 法による遺伝子発現測定の実際 ... 9 10 研究実施体制・試料・データの流れと統計学的考察 ... 10 10.1 測定データと臨床情報の連結 ... 10 10.2 測定研究解析方法 ... 10 11 中止基準 ... 11 12 対象症例 ... 11 12.1 遵守すべき諸規則 ... 11 12.2 プライバシーの保護と被験者識別 ... 11 12.3 測定結果の開示について ... 12 12.4 研究実施計画書の遵守 ... 12 12.5 施設倫理委員会または試験審査委員会の承認... 12

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3 12.6 説明文書・同意書(様式)の作成と改訂... 12 12.7 説明と同意(インフォームド・コンセント) ... 13 12.8 同意を取得していない試料の研究利用について ... 13 12.9 研究実施の情報公開 ... 14 13 研究の費用負担 ... 14 13.1 資金源および財政上の関係 ... 14 13.2 治療に関する費用 ... 14 13.3 健康被害に対する補償 ... 14 14 プロトコルの改訂 ... 14 14.1 研究の中断 ... 14 14.2 研究代表者の役割 ... 15 14.3 研究責任医師の役割 ... 15 15 研究の終了と早期中止 ... 15 15.1 研究の終了 ... 15 15.2 研究の早期中止 ... 15 15.3 研究の早期中止決定の手順 ... 15 16 試料の保存・廃棄と返却 ... 16 16.1 試料の保存・廃棄 ... 16 16.2 試料の返却 ... 16 17 記録の保存 ... 16 18 研究の成果の発表 ... 16 19 研究組織 ... 16 19.1 研究代表者 ... 16 19.2 試験統計家(生物統計解析責任者) ... 16 19.3 研究事務局 ... 17 19.4 試料移送事務局 ... 17 19.5 データセンター ... 17 19.6 研究協力施設 ... 17 20 参考文献 ... 18

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0 概要

0.1 シェーマ 0.2 研究目的 SELECT BC 試験に参加した症例のバイオマーカーmRNA 発現量を評価し、TS-1の臨 床効果と同定されたバイオマーカーとの相関性を検討することによって効果予測因子を探 索する。 0.3 研究対象および評価項目 1) 対象症例 SELECT BC 登録症例で試料の研究利用・外部提供に関する倫理審査委員会等の合意が 得られ、手術摘出または生検乳がん腫瘍組織が得られる患者を対象とする。 2) 対象試料 手術切除腫瘍組織のパラフィン包埋病理薄切標本 3-5μm 厚×1 枚および 10μm 厚× 4 枚。または生検組織のパラフィン包埋病理薄切標本 3-5μm 厚×1 枚および 10μm 厚 ×14 枚。 遠隔転移を有する進行乳がんおよび再発乳がん (ホルモン療法耐性かつトラスツズマブ投与適応外) データセンター登録 Randomization 割付調整因子:施設、肝転移、ホルモン感受性、タキサン系薬剤投与歴、 経口 5-FU 系薬剤投与歴、手術から再発までの期間 タキサン群 下記の 3 レジメンから 1 つを選択し、 腫瘍増悪または最低 6 コースまで繰り返す。 ドセタキセル ・60-75 mg/m2:3 または 4 週毎投与 パクリタキセル ・175 mg/mg2:3 または 4 週毎投与 ・80-100mg/m2:3 週連続毎週投与、1 週休薬 ティーエスワン群 1 回 40-60mg、1 日 2 回朝夕内服 28 日間連続投与、14 日間休薬を 腫瘍増悪、または最低 4 コースまで繰り返す。 EURECA 「転移再発乳癌症例における TS-1 の効果予測因子の探索的研究」

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2 3) 評価項目 SELECT BC 試験に登録された症例を対象とし、その病理標本組織におけるバイオマー カーと SELECT BC 試験から得られた以下の臨床効果に関する相関性を評価する。 主評価項目:無増悪生存期間(Progression-free survival:本体試験の定義と同じ) 副次評価項目:

(1) 治療成功期間(Time to Treatment Failure:本体試験の定義と同じ) (2) 全生存期間(Overall survival:本体試験の定義と同じ)

(3) 病勢コントロール割合(Disease control rate:測定可能病変を有している場合)

4) 測定項目

TYMS、 DPYD、 UMPS、 TYMP、 FPGS、 GGH、 DHFR、 MTHFR、 ESR、 PGR、 ERBB2、 MKI67、 RRM1、 TUBB3 の 14 種類の遺伝子について遺伝子発現 量(mRNA 量)を TaqMan Array 法により評価する。

0.4 症例数、研究協力施設、研究期間 1) 目標症例数 : 140 例

2) 研究協力施設: SELECT BC において、6例以上登録のあった施設 3) 研究期間 : 2013 年 10 月~2015 年 12 月

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1 目的

「転移・再発乳がんに対するタキサン系薬剤とティーエスワンのランダム化比較試験」1) (以

下、「SELECT BC」という)に参加した症例のパラフィン包埋病理サンプルを用い、 TaqMan Array 法により各種バイオマーカーの mRNA 発現量を評価し、SELECT BC 試 験から得られた臨床効果との相関性を検討することによって効果予測因子を探索する。

2 背景

2.1 効果予測因子に関する現況 抗癌剤の効果予測に関する検討は重要な臨床的課題であり、イリノテカンの副作用予測 因子としての UGT1A1 遺伝子多型2)、3)、ゲフィチニブの有効性における EGFR 遺伝子変 異4)、5) 、セツキシマブの効果予測因子としての k-ras 遺伝子変異6)など既に臨床応用され ている因子がある。 これらのなかで、乳癌治療薬に関するものに関しては、ホルモン治療の標的かつ効果予 測因子であるエストロゲン受容体 7)、プロゲステロン受容体 8)、9)、トラスツズマブの標的 かつ効果予測因子である HER2 受容体10) などが知られており、臨床応用されている。一 方、化学療法剤に関する効果予測因子に関しては、現在臨床応用されているものはない。 5-FU 系抗癌剤は乳癌治療における Key drug の一つであるが、これに関しては、消化 器 癌におい て検討が 先行 して行わ れており 、TS11)-14)、 DPD15)-17) 、 TP16) 、 17)

OPRT18)-22)などの 5-FU 代謝経路関連酵素の遺伝子発現が 5-FU の効果予測因子となる

可能性がこれまでに示唆されている。 2.2 転移・再発乳癌における抗癌剤使用の現況 転移・再発乳癌に対しては、一次化学療法としてアンスラサイクリンまたはタキサン系 薬剤を含む治療が推奨され、二次治療には一次治療で使用されなかった薬剤を使用するこ とが推奨されている25) 。転移・再発乳癌に適応をもつカペシタビン、TS-1 などの経口5 FU 系抗癌剤は三次治療薬とされている。しかし、アンスラサイクリンを含む治療やタキサ ン系薬剤などは、重篤な骨髄抑制や脱毛など患者の QOL を低下させる有害事象が高率に発 現することがあり、再発治療のゴールである、「患者の QOL を保持したまま、延命をめざ す」治療の遂行をしばしば困難としている。この状況を改善するために、QOL の維持が得 やすい TS-1 を一次治療として使用することの妥当性を検証する第 3 相試験(転移・再発乳 癌に対する 1 次治療としてタキサン系薬剤に対する TS-1 の非劣性を検証する:SELECT BC 試験)が臨床試験グループ CSPOR において実施された。また現在、同様のコンセプ トで、転移・再発乳癌に対する 1 次治療としてアンスラサイクリン含有レジメンに対する TS-1 の非劣性を検証する第 3 相試験「転移・再発乳がんに対するアンスラサイクリン系 薬剤とティーエスワンのランダム化比較試験」(以下、「SELECT BC-CONFIRM」)が実 施されている。

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4 2.3 今回の検討に関して 開発治験として行われた、前治療 1 レジメンまでを許容した TS-1 の第 2 相試験におけ る奏効率は 41.7%であった26) 。これは約半数の患者は TS-1 に対し無効であることを意 味し、大きな問題である。従って TS-1 の効果予測因子を見出すことができれば、一次治 療から QOL を維持しつつ経口薬剤 TS-1 をより積極的に患者に投与可能となる。これま でに胃癌、大腸癌などでは 5-FU 系抗癌剤について先行的に効果予測因子探索が行われて きた。5-FU の分解酵素である DPD15)-17) 、5-FU 代謝酵素である OPRT18)-22) 、TP23)、 24)、5-FU 標的物質である TS11)-14) 、葉酸ポリグルタミル化に関係する FPGS27)、-29)

GGH30) 、葉酸代謝に関係する DHFR31) 、MTHFR32) などが効果予測因子として報告され

ている。さらに胃癌、大腸癌術後補助療法の大規模臨床試験である ACTS-GC(TS-1 vs observation)33) や ACTS-CC(TS-1 vs UFT/LV)34) においてこれら因子が TS-1

の効果予測となるかどうか検討されている。 乳癌領域においても上記因子が TS-1 の効果予測に使用可能なバイオマーカーかどうか を検討する意義は十分にあると思われる。大規模ランダム化臨床試験である SELECT BC 試験に登録された症例の臨床効果(無増悪生存期間、治療成功期間、全生存期間、並びに 病勢コントロール割合)とバイオマーカーとの関連を検討し、効果予測因子を同定するこ とによって今後の転移再発乳癌の治療方針決定に大きく役立つものと思われる。 2.4 今後の検討に関して 本 研 究 で 効 果 予 測 因 子 と な る バ イ オ マ ー カ ー が 同 定 さ れ た 場 合 、 SELECT BC-CONFIRM 試験に登録された症例の病理標本組織を用いて、効果予測因子を検証する。

3 対象症例

3.1 選択基準 SELECT BC 登録症例で試料の研究利用・外部提供に関する倫理審査委員会等の合意が得 られ、手術摘出または生検乳がん腫瘍組織が得られる患者を対象とする。 3.2 除外基準 1) 研究責任医師が本研究への参加を不適当と判断した症例 2) 該当症例のうち、試料の研究への利用に不同意となった症例

4 試料

パラフィン包埋病理薄切標本 手術切除腫瘍組織のパラフィン包埋病理薄切標本 3-5μm 厚×1 枚および 10μm 厚× 4 枚。または生検組織のパラフィン包埋病理薄切標本 3-5μm 厚×1 枚および 10μm 厚 ×14 枚。※薄切標本は、評価後研究協力施設に返却しない。

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5 評価項目

SELECT BC 試験に登録された症例を対象とし、その病理標本組織におけるバイオマー カーと SELECT BC 試験から得られた以下の臨床効果との相関性を評価する。 主評価項目:無増悪生存期間(Progression-free survival:本体試験の定義と同じ) 副次評価項目:

(1) 治療成功期間(Time to Treatment Failure:本体試験の定義と同じ) (2) 全生存期間(Overall survival:本体試験の定義と同じ)

(3) 病勢コントロール率(Disease control rate:測定可能病変を有している場合)

6 遺伝子発現量測定

6.1 測定項目

TYMS、 DPYD、 UMPS、 TYMP、 FPGS、 GGH、 DHFR、 MTHFR、 ESR、 PGR、 ERBB2、 MKI67、 RRM1、 TUBB3 の 14 種類の遺伝子について遺伝子発現 量(mRNA 量)を TaqMan Array 法により評価する。なお、内部標準として 3 遺伝子(ACTB、 GAPD、RPL0)を用いる。 6.2 測定項目の設定根拠 (1) TYMS(TS):thymidylate synthase 5-FU の標的酵素である。転移性大腸癌においては、腫瘍内 TS mRNA 発現量あるいはタ ンパク発現量の低い症例は、高い症例に比べて 5-FU 療法が奏効すると報告されている 11)-13)。また、胃癌に関しても、TS の mRNA あるいはタンパク発現量が 5-FU 療法の効 果予測因子あるいは予後因子になることが報告されている14)

(2) DPYD (DPD):dihydropyrimidine dehydrogenase

5-FU の分解酵素である。大腸癌および胃癌では、TS や TP と並び、腫瘍内 DPD mRNA 発現量と、5-FU 療法の効果との関連が報告されている15)、 16)。また、TS-1 に含有され

ているギメラシルは、腫瘍組織中の DPD 活性を用量依存的に阻害し、5-FU の腫瘍内分解 を抑制することで 5-FU の抗腫瘍効果を増強することが基礎的に検証されている17)

(3) UMPS(OPRT):orotate phosphoribosyltransferase

5-FU のリン酸化(活性化)酵素である。OPRT 遺伝子を腫瘍細胞に導入すると 5-FU に 対する感受性が増強し、逆に OPRT 遺伝子発現を siRNA により抑制すると 5-FU に対す る感受性が減弱することが基礎的に検証されている18)、 19)。大腸癌や胃癌において腫瘍部

の酵素活性が正常部に比して有意に高値を示し、腫瘍部の活性が 5-FU 療法の効果予測因 子になることや、腫瘍部と正常部における酵素活性の比ががんの進行度やリンパ節転移と 関連することなどが報告されている20)、 21)。OPRT mRNA 量が感受性試験における 5-FU

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6 の効果と相関する結果も報告されている22)

(4) TYMP (TP):thymidine phosphorylase

5-FU の 代 謝 に 関 係 す る だ け で な く 、 血 管 新 生 因 子 PD-ECGF ( platelet-derived endothelial cell growth factor)としても知られている。TS、DPD と同様、転移性大腸 癌では腫瘍内 TP mRNA 発現量の高い症例は 5-FU 療法の効果が低いとの報告がある23)

一方、術後補助化学療法の対象では TP 高発現症例の方の予後が良いとの報告もある24)

(5) FPGS:folylpolyglutamate synthase および GGH:gamma-glutamyl hydrolase FPGS は、還元型葉酸にグルタミン酸を重合させる酵素である。 元来還元型葉酸は monoglutamate タイプでしか細胞膜を通過できない。しかし、monoglutamate タイプ のメチレンテトラヒドロ葉酸とともに形成された ternary complex は安定性に乏しいこと が 判 明 し て い る 。 還 元 型 葉 酸 は 、 細 胞 内 に 取 り 込 ま れ た 後 FPGS に よ っ て 直 ち に polyglutamate 化される。diglutamate タイプで monoglutamate タイプの 18 倍、グ ルタミン酸の数が 3~6 になると 200 倍以上の結合力を発揮すると考えられている。 また、GGH は FPGS とは逆に polyglutamate 化された還元型葉酸を加水分解する酵素で ある。したがって、FPGS と GGH の酵素の比率が、5-FU の抗腫瘍効果に影響を及ぼす 可能性は十分考えられる。最近では腫瘍に近接する正常粘膜における本酵素の遺伝子発現 が大腸癌の予後予測因子になるとの報告も見られる35) (6) DHFR:dihydrofolate reductase ジヒドロ葉酸の還元酵素であり、葉酸拮抗剤である methotrexate の標的である。腫瘍組 織中の本因子の mRNA 量と抗癌剤感受性との関連が報告されている31) (7) MTHFR:Methylenetetrahydrofolate reductase ethylenetetrahydrofolate を 5-methyltetrahydrofolate に 変 換 す る 酵 素 で あ る 。 MTHFR の一遺伝子多型(A1298C)がある症例では、大腸癌の腫瘍内還元型葉酸量が有意 に低値であったという報告がある32)

(8) ESR(ER):estrogen receptor

エストロゲンはステロイドホルモンの一種であり、生殖機能の形成および細胞の増殖を促 進する働きを持つ。その生理作用を発現するためには標的組織に存在している ER への結合 を介する必要がある。ER に対してリガンドが結合すると ER は活性化を受けて DNA への 結合が促進され、遺伝子の転写を制御する転写因子として機能する。エストロゲンは癌細 胞の増殖を促進する作用を有しており、乳癌や子宮癌の患者の組織においては健常人と比 較して ER の発現が上昇していることが報告されている7)。そのため、乳癌の患者では抗エ

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ストロゲン療法が行われ、ER 拮抗薬であるタモキシフェンやエストロゲンの生合成に関与 する酵素であるアロマターゼの阻害薬などが用いられる。

(9) PGR:progesterone receptor

PGR は、ER により発現が制御されていると考えられているが 、それ自体、MAPK (mitogen-activated protein kinase)などの活性化を介して細胞増殖を活性化するもの と考えられている。ER 陽性/PGR 陰性では ER 陽性/PGR 陽性よりもホルモン療法の効果 が弱いことが知られており、ER 陽性/PGR 陰性の腫瘍は ER の活性が低い可能性が指摘さ れている。TransATAC 試験の検討では PGR の発現レベルが再発までの期間と強く相関 することが示されており、予後の推測にも有用であると考えられる36)

(10)ERBB2(HER2):v-erb-b2 erythroblastic leukemia viral oncogene homolog 2 ERBB2 遺伝子は HER2/neu とも呼ばれる上皮増殖因子受容体型のがん遺伝子である。 HER2/neu の過剰発現は、乳がん、卵巣がん、胃がん、膀胱がんなどで高頻度に認められ る37)ERBB2 を標的とするモノクローナル抗体として Trastuzumab が汎用されている。

また、ERBB1 と ERBB2 のチロシンキナーゼを共に阻害する低分子薬として Lapatinib が知られている。胃がんでは約 2 割の症例にて過剰発現し、diffuse type よりも intestinal type で高発現し、予後や悪性度と関連している。

(11) MKI67(Ki-67):antigen identified by monoclonal antibody Ki-67

核の非ヒストン性蛋白質であり、増殖している全ての細胞に存在しており、増殖能を示す マーカーとされている。乳癌との予後に関する二つのメタ解析により、陽性の場合、再発 や死亡のリスクが上昇するとされている38)、 39)

(12) RRM1:Ribonucleotide reductase M1

Ribonucleotide reductase(RNR)は、リボヌクレオチドから DNA の基質となるデオ キシリボヌクレオチドの生成を触媒する酵素。DNA 合成率を制御する役割を持ち、細胞増 殖には必須の酵素である。本酵素は四量体の構造を有しており、M1 と M2 というサブユ ニット 2 つずつより構成されている。それぞれのサブユニットは RRM1、RRM2 という 遺伝子によりコードされている。RNR と代謝拮抗剤の感受性との関連が報告されている。 細胞を用いた検討では、RRM1 は gemcitabine の耐性との関連が報告されている40)。ま た、gemcitabine を含む化学療法を施行された非小細胞肺癌症例における検討では、腫瘍 内の RRM1 発現量が低い方が転帰良好との報告がある40) (13) TUBB3:tubulin, beta 3 微小管や中心体を形成するタンパクである。タキサン系抗癌剤は、微小管を極度に安定化

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8 させて正常な細胞分裂を阻害することで抗腫瘍作用を示す。脳腫瘍細胞株を用いた基礎検 討により、TUBB3 タンパク量が高いほど paclitaxel に対し耐性を示すことが見いだされ た41)。非小細胞肺癌における検討では、腫瘍組織中の TUBB3 mRNA 発現量が高い群で は paclitaxel/carboplatin 併用療法の効果が低かったという報告がある42)。卵巣癌、乳癌、 胃癌において、TUBB3 のタンパクまたは mRNA 発現量とタキサン系抗癌剤との関連が報 告されている43) 6.3 測定機関 TaqMan Array 法を用いた遺伝子発現情報の測定は以下の機関に委託して実施する。 ファルコバイオシステムズ 総合研究所 〒613-0036 京都府久世郡久御山町田井西荒見 17-1 TEL:0774-46-1034 FAX:0774-48-2517

7 目標症例数、研究協力施設、研究期間

1) 目標症例数 : 140 例 2) 研究協力施設: SELECT BC において、6例以上登録のあった研究協力施設 3) 研究期間 : 2013 年 10 月~2015 年 12 月

8 試料の提出と測定機関への移送

1) 試料の提出と測定機関への移送 研究協力施設での施設倫理委員会(等)承認後、試料移送事務局はその旨測定機関へ連 絡し、測定機関(ファルコバイオシステムズ 総合研究所)より研究協力施設へ試料移送 用資材が宅配便にて送付される。研究協力施設にて試料(手術切除腫瘍組織のパラフィン 包埋病理薄切標本 3-5μm 厚×1 枚および 10μm 厚×4 枚。または生検組織のパラフィ ン包埋病理薄切標本 3-5μm 厚×1 枚および 10μm 厚×14 枚。)から被験者名や被験者 に関連づけられる符号等の情報を消去した後、症例登録番号が附された試料識別用シール を貼付し、ファルコバイオシステムズは試料を受領し、測定機関へ常温にて移送する。そ の際、「臨床検体情報用紙」(付録 1 参照)に記入し、写しを各研究協力施設で保管し、原本 を同封する。試料移送事務局は試料の受領日、施設名、研究責任医師名または研究分担医 師名、症例登録番号、試料の種類と数を登録し、管理する。 試料移送事務局 大鵬薬品工業株式会社 メディカルアフェアーズ本部 MA 部 〒101-0047 東京都千代田区内神田 1-2-4 TEL:03-3293-2450 FAX:03-3293-2451

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9 2) 試料移送に関する問い合わせ 試料移送に関する問い合わせは、試料移送事務局が窓口となり対応する。

9 測定方法

9.1 TaqMan Array 法による測定 ファルコバイオシステムズ 総合研究所は TaqMan Array 法により腫瘍組織中の 14 種 の遺伝子発現量、すなわち TYMS、 DPYD、 UMPS、 TYMP、 FPGS、 GGH、 DHFR、 MTHFR、 ESR、 PGR、 ERBB2、 MKI67、 RRM1、 TUBB3 の mRNA 量を測定 する。なお、内部標準として 3 遺伝子(ACTB、GAPD、RPL0)を用いる。 9.2 TaqMan Array 法について TaqMan ケミストリによる定量的 PCR 法の一つで、cDNA を出発材料として最大 384 種の遺伝子発現量を相対的に定量する測定システムのこと。TaqMan Array 法は、微量の cDNA 溶液を増幅することで通常の RT-PCR 法よりも多種の遺伝子発現量を評価するこ とができる。 9.3 TaqMan Array 法による遺伝子発現測定の実際 ①3-5μm 厚のホルマリン固定パラフィン包埋薄切標本(1 枚)をヘマトキシリン・エオ ジン(HE)染色する。 ②マーキングした HE 染色像を参照しながら、10μm 厚の薄切標本(手術検体の場合は最 大 4 枚、生検材料の場合は最大 14 枚)より腫瘍細胞を切り出す(Manual dissection)。 切り出し前後の写真像は、電子ファイルとして保存される。 ③切り出した腫瘍細胞から RNA を抽出し、逆転写酵素反応により cDNA 溶液を調整する。 ④cDNA をテンプレートとし、17種遺伝子測定用のプライマー混液により ABI 社 PreAmp kit にて増幅する。 ⑤前増幅させた反応液をテンプレートとし、17遺伝子(内部標準遺伝子 3 遺伝子を含む) を搭載した TaqMan Array を用い定量測定する。 ⑥定量結果は、ファルコバイオシステムズから電子化データとして大鵬薬品工業株式会社 に送付される。 ⑦内部標準遺伝子の幾何平均により標準化し、各遺伝子の発現量を計算する

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10 研究実施体制・試料・データの流れと統計学的考察

10.1 測定データと臨床情報の連結 SELECT BC 登録症例の予後調査にて得られる臨床情報と測定項目の遺伝子発現量測定デ ータは、CSPOR データセンターにて症例登録番号に基づき連結される。 CSPOR データセンター: 大橋 靖雄 中央大学理工学部人間総合理工学科 生物統計学 〒113-0034 東京都文京区湯島 1-10-5 湯島D&Aビル 1F TEL:03-3254-8029 FAX:03-5298-8536 10.2 測定研究解析方法 SELECT BC で得られた臨床的効果(無増悪生存期間、治療生存期間、全生存期間、病 勢コントロール割合)と mRNA 発現量との相関性を予後予測の観点から解析する。 臨床情報のサブグループにおける平均値あるいは中央値を代表値として比較するととも に、サブグループの数や分布の形状によって、パラメトリックな検定(t 検定や ANOVA など)およびノンパラメトリックな検定(Wilcoxon 検定や Kruskal-Wallis 検定など)に より群間の比較を行う。また、mRNA 量で規定されるマーカーサブグループごとの予後の 比較は、エンドポイントが無増悪生存期間や生存期間の場合には Kaplan-Meier 法や log-rank 検定、病勢コントロール割合の場合にはカイ 2 乗検定などを用いて解析する。 本研究の主たる解析は、効果予測因子となりうるバイオマーカーを探索することにある。 この目的のために、mRNA 発現量の中央値をカットオフ値として、TS-1 に対する感度が 高い対象者(マーカー陽性グループ)と感度が低い対象者(マーカー陰性グループ)に分 類し、予後の検討を行う。SELECT BC 試験の目標症例数 600 例のうち、集積可能なサ

CSPOR

試験事務局

EURECA 研究協力施設

(SELECT BC 参加施設の一部) ①試料作製依頼 ⑤測定結果報告 測定機関 ④測定結果報告 ③試料送付 ②試料移送 資材送付

試料移送事務局

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11 ンプルがタキサン群とティーエスワン群の両群併せて 140 例(23.3%)と仮定すると、 中央値をカットオフ値としてマーカー陽性/陰性グループを分類していることより、マーカ ー陽性グループの症例人数は 140 例の 50%の 70 例となる。また、マーカー陽性グルー プにおけるタキサン群およびティーエスワン群の無増悪生存確率の差が 20%(2 年間の無 増悪生存確率:タキサン群 0.45、ティーエスワン群 0.65)とすると、イベント数はおよ そ 51 例見込まれる。検証したいバイオマーカーは 14 個であるが、探索的解析であるため、 αエラーは多重性の調整は行わず片側検定で 0.05 とする。以上の条件の下で、検出力はお よそ 70%にて差の検出が可能となる。なお、算出した統計学検出力は、タキサン群とティ ーエスワン群におけるマーカー陽性グループの分布によって大きく変動すると考えられ、 探索的なものとなる。以上より予定症例数を 140 例とする。

11 中止基準

1)研究試料作製前または提出前に被験者から試料使用に関する同意撤回があった場合、そ の時点で試料の作製および提出を中止する。 2)研究試料を提出後または測定後に被験者から試料使用に関する同意撤回があった場合、 可能な限り該当試料の測定を中止し、解析には用いない。 3)本研究参加後に、本研究参加の適格性に問題があることが判った場合、可能な限りそれ 以降の該当試料の提出、測定を中止し、解析には用いない。

12 対象症例

12.1 遵守すべき諸規則 本研究に関係する全ての関係者は「ヘルシンキ宣言」、「疫学研究に関する倫理指針(平 成 20 年 12 月 1 日一部改正)」、に従って研究を実施し、被験者の人権、福祉および安全 を最大限に確保する。 「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」における「ヒトゲノム・遺伝子解析 研究の細則」によると、「がん等の疾病において、病変部位にのみ後天的に出現し、次世代 には受け継がれないゲノム又は遺伝子の変異を対象とする研究(いわゆる体細胞変異を解 析する研究)、遺伝子発現に関する研究については、原則として本指針の対象としない」と されているので、本研究中の測定評価項目は適用範囲外であるが、本研究で使用される試 料の利用にあたっては、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」の趣旨を踏まえ、 適切に取り扱う。 12.2 プライバシーの保護と被験者識別 臨床情報および測定データの取扱い等においては、被験者の個人情報保護に配慮する。 被験者は SELECT BC 試験にて割り付けられた症例登録番号で連結可能匿名化のうえ特定 する。被験者を識別できる対応表が各研究協力施設から外部に出ることはない。被験者の

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12 氏名、住所、カルテ番号など第三者が被験者を特定できるような情報は登録時に使用せず、 データベースにこれらの情報が登録されることはない。 なお、本研究によって得られた測定データは、データセンターのみで臨床情報のデータベ ースと照合可能であり、研究協力施設や研究実施機関がこれを閲覧することは出来ない。 研究協力施設の研究者は、個人情報保護法に基づき、被験者の個人情報を厳格に保護する。 12.3 測定結果の開示について 本測定研究における測定項目は、薬剤代謝関連酵素に関わるマーカーが主なもので、か つ当該疾患以外の重大な疾患、病態の原因遺伝子とは考えづらい体細胞変異であるとみな される。また、測定結果は臨床試験終了後に臨床情報と連結の上、本試験全体の解析結果 として報告されるべきものであり、これが本測定研究の目的である。従って個別の測定結 果について研究協力施設、被験者への結果報告は行わない。 12.4 研究実施計画書の遵守 研究協力施設の研究者は、被験者の安全と人権を損なわない限りにおいて本研究実施計 画書を遵守する。 12.5 施設倫理委員会または試験審査委員会の承認 各研究協力施設において、本試験への参加に際しては、本研究実施計画書および患者へ の説明文書が各施設の倫理審査委員会で承認されなければならない。承認が得られた場合、 各施設の研究責任医師は、承認文書の写しを研究事務局へ送付する。承認文書原本は、施 設で保管し、写しは研究事務局が保管する。 研究事務局 公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンター がん臨床研究支援事業(CSPOR)事務局 〒169-0051 東京都新宿区西早稲田 1-1-7 TEL:03-5287-2633 FAX:03-5287-2634 12.6 説明文書・同意書(様式)の作成と改訂 説明文書・同意書は各施設の研究責任医師が作成し、必ず各施設の審査機関の承認を受 けることとする。また、改訂が必要な場合は、本研究実施計画書とともに説明文書、同意 書、撤回文書を各施設の審査機関に諮り、承認を得る。説明文書、同意書、撤回文書の改 訂は各施設の規定に従い、各施設の研究責任医師が改訂する。

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13 12.7 説明と同意(インフォームド・コンセント) 12.7.1 被験者への説明 登録に先立ち、各施設の審査機関にて承認された説明文書を用いて、被験者本人に十分 に説明する。 12.7.2 同意 研究についての説明を行ったのち、研究への参加を依頼する。被験者本人が研究参加に 同意した場合には、本研究実施計画書の付録の同意書もしくは下記事項を設けた各施設の 審査機関承認の同意書に患者の署名を得る。 1)実施医療機関名 2)研究名 3)説明事項 4)被験者署名欄(同意日・署名) 5)医師署名欄(説明日・署名) 同意書は写しを被験者に交付し、原本は当該医療機関で保管する。 12.7.3 同意の撤回 被験者が研究参加への同意撤回を表明した場合、本研究実施計画書の付録の同意撤回文 書あるいは下記事項を設けた各施設の審査機関承認の同意撤回書に被験者の署名を得る。 1)実施医療機関名 2)研究名 3)説明事項 4)被験者署名欄(同意日・署名) 5)医師署名欄(説明日・署名) 撤回文書は写しを被験者に交付し、原本は当該医療機関で保管する。 12.7.4 同意撤回の連絡 同意撤回があった場合、研究責任医師または研究分担医師は、研究事務局に同意撤回日 と登録番号を連絡する。研究事務局は、連絡受領日、同意撤回日、施設名、研究責任医師 名または研究分担医師名、症例登録番号を登録し、データセンター、試料移送事務局にそ の旨を連絡する。試料移送事務局は測定機関にその旨を連絡する。 12.8 同意を取得していない試料の研究利用について 被験者から研究開始時までに試料の利用に係る同意を受け、当該同意に関する記録を作

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14 成することを原則とする。ただし、死亡や追跡不能で当該同意を受けることができない場 合は、「疫学研究に関する倫理指針」に基づいた諸条件を整え、研究実施機関および研究協 力施設の試験審査委員会または施設倫理委員会で承認され、代表者の許可を得たときに限 り試料を利用することができる。 12.9 研究実施の情報公開 研究事務局のホームページにて研究実施の情報を公開する。内容として以下の事項を含 むこととする。 ①研究の意義、目的、方法 ②研究実施機関名および研究協力施設名 ③個人情報の内容、取り扱いおよび利用目的 ④個人情報の開示等の求めに応じる手続き ⑤本研究における測定結果の非開示およびその理由 ⑥研究に関する問い合わせ、苦情等の窓口の連絡先

13 研究の費用負担

13.1 資金源および財政上の関係 この臨床研究は、CSPOR 事務局および大鵬薬品工業株式会社が資金提供して実施する。 13.2 治療に関する費用 本研究への参加により、被験者に新たな費用負担は生ずることはない。 13.3 健康被害に対する補償 本研究は、SELECT BC 試験に付随するものであり、すでに手術が施行された患者の切 除腫瘍組織標本の一部を用いるものである。そのため、本研究への参加により、被験者に 健康被害が発生することはない。

14 プロトコルの改訂

研究開始後にプロトコルを改訂する場合、研究代表者、研究責任医師は以下の手順に従 い改訂を行う。 14.1 研究の中断 研究開始後にプロトコルの改訂が必要となった場合には、試料提供および測定を一時中 断し、改訂後に再開する。ただし、プロトコルの改訂内容が試料提供に直接影響がない場 合はその限りでない。なお、研究代表者は、研究責任医師、運営委員会および研究事務局 にその旨を連絡するとともに必要に応じて独立データモニタリング委員会に報告する。

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15 14.2 研究代表者の役割 研究代表者は、運営委員会等の承認を得てからプロトコルの改訂を行う。改訂後は速や かに所属する研究機関の倫理審査委員会に改訂内容およびその理由を報告する。改訂の内 容が重大と判断される場合は、加えて、研究代表者の所属する研究機関の倫理審査委員会 で再度審査を受け、承認を得なければならない。 以下に重大と判断されるプロトコルの改訂内容を示す。 1)対象症例 2)評価項目および測定項目 改訂後、研究代表者はプロトコル改訂版または改訂内容を研究責任医師、試験審査委員会、 運営委員会、生物統計解析責任者に送付する。 14.3 研究責任医師の役割 プロトコルに改訂があった場合、各実施医療機関での再審査の必要性については、研究 責任医師の判断に委ねる。研究責任医師はプロトコルの改訂内容に応じて被験者への説明 文書を改訂する。改訂手順については「12.6 説明文書・同意書(様式)の作成と改訂」参 照。

15 研究の終了と早期中止

15.1 研究の終了 研究期間(「7. 3)研究期間」参照)の終了およびデータベースの固定をもって研究の終了 とする。データセンターからデータベース固定の連絡を受けた研究代表者は、研究が終了 したことを研究責任医師に報告する。 報告を受けた研究責任医師は、医療機関の長および医療機関内の関連部門にその旨を報告 する。 15.2 研究の早期中止 以下の場合に本研究を早期中止する。 1)研究代表者から研究進捗報告を評価した結果、試料提供の遅滞または不可、測定不能例 の頻発、プロトコル逸脱の頻発などの理由により、目標症例数を大きく下回るために研究 の完遂が困難と判断された場合 2)論文や学会発表など、当該研究以外から得られた関連情報を評価した結果、研究継続の 意義がなくなったと判断された場合 15.3 研究の早期中止決定の手順 研究代表者が研究の早期中止の決定を行った場合は、その理由および以後の対応を直ち に研究責任医師、データセンター、独立データモニタリング委員会、運営委員会および研

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16 究事務局に連絡する。連絡を受けた研究責任医師は、被験者に早期中止およびその理由を 伝え、直ちに然るべき対応を行う。加えて、医療機関の長および医療機関内の関連部門に その旨を報告する。

16 試料の保存・廃棄と返却

16.1 試料の保存・廃棄 測定機関であるファルコバイオシステムズ 総合研究所では、測定終了後、研究期間終 了まで試料を保存し、余剰試料を測定項目の評価以外の目的のために利用しない。研究期 間終了後は余剰の試料(薄切標本スライドおよび標本より調整された RNA、cDNA 等の二 次試料)の識別番号などを削除し、廃棄する。 16.2 試料の返却 試料および余剰の二次試料は、測定機関にて規定の期間保管された後廃棄する。原則と して、研究協力施設へは返却しない。

17 記録の保存

データセンター、研究事務局および試料移送事務局は、本研究に関係する書類について は、本研究終了後 3 年間は保存しなければならない。

18 研究の成果の発表

研究成果公表に当たっては、研究代表者、研究事務局が公表時に相談して取り決めるこ ととする。

19 研究組織

本試験は公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンター がん臨床研究支援事業 (Comprehensive Support Project for Oncological Research, CSPOR)の一環とし て実施される臨床研究の 1 つである SELECT BC の付随研究であり、SELECT BC 実行 委員会の承認を得て、研究を行うものである。 19.1 研究代表者 原 文堅 (四国がんセンター 乳腺科・化学療法科) 19.2 試験統計家(生物統計解析責任者) 上村夕香理 (東京大学大学院医学系研究科)

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17 19.3 研究事務局 研究事務局 公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンター がん臨床研究支援事業(CSPOR)事務局 〒169-0051 東京都新宿区西早稲田 1-1-7 TEL:03-5287-2633 FAX:03-5287-2634 19.4 試料移送事務局 試料移送事務局 大鵬薬品工業株式会社 メディカルアフェアーズ本部 MA 部 〒101-0047 東京都千代田区内神田 1-2-4 TEL:03-3293-2450 FAX:03-3293-2451 19.5 データセンター NPO 日本臨床研究支援ユニット(J-CRSU)内 J-CRSU データセンター オンコロジーユニット 代表(データセンター長) 大橋 靖雄 中央大学理工学部人間総合理工学科 生物統計学 〒113-0034 東京都文京区湯島 1-10-5 湯島D&Aビル 1F TEL:03-3254-8029 FAX:03-5298-8536 19.6 研究協力施設 SELECT BC において、6例以上登録のあった施設のうち、試料の研究利用・外部提供に 関する倫理審査委員会等で承認され、施設の代表者の許可が得られた施設。

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