博士(獣医学) アベリア・ホセ・アレキサンダー・カビリング
学位論文題名
Taenia taeniaefor7nis:Mechanisms of hepatic larvae‑induced gastric hyperplasia and hypergastrinemia in rats.
(猫条虫嚢虫感染ラットにおける胃の粘膜過形成と高ガストリン血症)
学位論文内容の要旨
葡:生虫感‑ii:'jl:には様々な病DI!学的変化が認められ、迎常は寄生岡5f、.′.およびこれに 関連した器官に変化がある。しかしながら、JI[I条虫幼虫(灘nミ)がni:J蛾に俗!l...した ラットでは寄生部位から離れた胃の顕著な粘膜過形成と;ttちガストリンJrl[ヲf|!が認めら れ る 。 な ぜ ォ 尚 条 虫嚢 虫感 染ラ ット にこ の よう な現 象が 起こ るの かは イく りjで あろ ,}
rli請者はこの胃粘JJ炎病変の本態を:1る日n'でホlilf究を災施したtJ
ま ず 、 こ れ ら の 現 象 のivi:lffl的 推 移 を 知 る た め に 、 獅 粂 凵 ! 感 鍛 後1411か ら11211よ で2迎IIJu伍にラットを剖検し、Wの粘JJ炎の1勾‖艮および荊t織‑#f|′、J変化、|!fのl)II、|flLlll ガ ス ト リ ン 濃 度 の 推 移 を 調 べ た 。 こ れ ら の 変 化 は 感 染 後 イ2「1ま で は 認 め ら れ な か っ た が 、56日 で は す べ て 同Il# に 認 め ら れ 、 粘 膜 の 増 生 、1ゴ のI)IIの 上 ラ ^ 、 およ びl4ツ厂 ス トリンJ『JL症の経‖お『l、J関係は把握出来なかった。
胃 にお ける 組織 学的 変化 とし ては未分化 細胞および粘液#III)Yd数の 顕著な↓曽カI|、料i 液 分 泌 亢 遊 、 壁 細 胞 お よ ぴ 主 翁 ‖ 胞 数 の 減 少 が 観 察 さ れ た 。 す な わ ち 、 来 分 化 細 胞 か ら粘 液翁Il胞 への 分化 のみ が野i著に 促進 され 、一 方、 壁%lll胞 や主 細胞 への 分 化が 抑えら れ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 こ の 変 化 は 感 染56日 か ら 認 め ら れ 、 そ の 後 こ の 変 化 が 持 続 した 。
胃 酸 分 泌 能(LtEq.II+/15 min.)に つ い て は 基 礎 分 泌 と ヒ ス タ ミ ン 刺 激 に よ る 最 大 分 泌を 検査 した とこ ろ、 基 礎分 泌は 未感 染群 (1.7) と感 染群 (1.9) で同 様で あ ったが、
ヒ ス タ ミ ン 刺 激 後 も 感 染 群 で は 変 化 せ ず ( 未 感 染 群12.9, 感 染 群2.8)、 ヒ スタ ミン に ―31―
対 す る 応 答 は 感 染 鋤 物 で は ほ と ん ど 認 め ら れ な か っ た 。
高 ガ ス ト リ ン 血 症 の 本 態 を 調 べ る 為 に 、 ガ ス ト リ ン を 分 泌 す る 胃 幽 門 前 庭 部 のG 細胞 数を 感染28日 から98日 まで 免疫 組 織学 的に 同定 し、 Ul胞数 を調べた。胃幽|,I|]前 庭帝15の一定而積祝里 当たりのGaill胞数を経ll;li:的に鈴定したところ、胃腺当たりのG;(lll 胞 数 に は 変 化 は 認 め ら れ な か っ た 。 た だ し 、 幽 門 前 庭 部 の 面 積 が 増jjIlし て い る こ と か ら 、 感 染 後56日 以 降 | よ 胃 全 体 と し て は 増 加 し て い る こ と が 示 さ れ た 。
胃 酸 分 泌 阻 害 剤 投 与 時 に は 高 ガ ス ト リ ン 血 症 が 見 ら れ る 、 こ れ に 関 連 し てECL (enLcrochromaffin‑like)網n胞 が 増 加 す る こ と が ラ ッ ト で よ く 知 ら れ て い る 。 本 実験 で は 抗 ク 口 モ グ ラ ニ ン 抗 体 免 疫 染 色 お よ び グ リ メ リ ウ ス 染 色 標 本 で 感 染 後 、 経ll,tj:的 に 一 定 而 モ 轟 眦 野 当 た り のECIJ細 胞 数 の 推 移 を 調 べ た 。 感 染56日 以 降 で はECL細 胞 数 は 顕 著 に 減 少 し て い る こ と が 示 さ れ た 。 こ の 商 ガ ス ト リ ン 血 症 時 に お け るECL細 胞 数 減 少 の 機J Fは 不IリJで あ る が 、 猫 条 り ! 感 染 ラ ッ ト の 特 興 な 現 象 と 考 え ら れ る 。
次 に 、IIー .1やTNF‑aな ど の サ イ ト カ イ ン が 胃 の 粘 膜 増 生 に1淵 与 す る こ と が 知 ら れ て ぃ る が 、 ヌ ー ド ラ ッ ト へ の 獅 条 虫 感 染 ‖ # で も 商 ガ スト リンJfiL症お よぴ 胃 のJJ巴大 が 認 め ら れ 、 料i股 の 翁1織t:(的 変 化 もI司 様 で 、 胃 の 病 理 学 的 変 化 へ のT細 胞 の 関 与 は示 す こ と がfl: 氷 な か っ た 。 な お 、 こ れ ら の 胃 の 変 化 は 虫 体 の 数 だ け で な 〈 、 寄 生 虫 の 発 fr|I皮 に も 依 か す る こ と が 示 唆 さ れ た 。 す な わ ち 、 獅 条 虫 の 嚢 虫 は ヌ ー ド ラ ッ ト で ゴ1!。;,に良<発Ilし、.l・に常イr)Ywjlh!ラット と比べて寄生虫体の数が少なかったヌード ラッ トで も甜i軒 なl!fのJJLIi人と 尚ガ ストリンJfIL症が認められた。` ただし、これは一部 り!体|L|爿さのJ竹荊n悶:j|にjすし抗体が産生できないことによるのかもしれないが、有胸 腺 ラ ッ ト で も 感 染 し た 嚢 虫 が 十 分 に 発 育 で き な い ラ ッ ト で は 胃 の 肥 大 も 高 ガ ス ト リ ンitl U;li‑も ; 忍 め ら れ な かっ た。 さら に、 感染56日 以降 の胃 病変 のあ る感 染 ラッ トの 胖 臓 の 糾 織 学 的 観 察 お よ び 抗 体 価 の 推 移 か ら 免 疫 抑 制 状 態 に あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 こ れ ら の 結 果 か ら 免 疫 抑 制 状 態 で は 胃 の 変 化 が 促 進 さ れ る も の と 考 え ら れ る 。
以 上 の 結 采 か ら 、1) 肝 臓 に お い て 多 数 の 獅 条 虫 幼 虫 が 発 育 し 、 こ れ に 関 連 し て 虫 体 か ら 何 ら か の 因 子 が 放 出 さ れ 、2) 血 接 的 も し く は間 接的 に胃 粘膜 の 未分 化ネ ‖‖ 泡か
ら粘液Xlll JYclへの分化を刺激するが壁翁‖胞の分化を抑制し、3)胃酸分泌能を抑制し、
4)‑のpl・Iを上 昇し 、巌終 的に5) 高ガ スト リン 血症を 引き 起こすものと示唆され た。
学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主 査 教 授 神 谷 正 男 副 査 教 授 橋 本 晃 副 査 教 授 岩 永 敏 彦 副査 助教授 奥 祐三郎
学 位 論 文 題 名
Taenia taeniaefor7nis:Mechanisms of hepatic larvae induced gastric hyperplasia and hypergastrinemia in rats.
( 猫条 虫嚢 虫感 染ラッ トに おけ る胃 の粘 膜過形成と高ガストリン血症)
寄生虫感染時には通常その寄生部位に病変が認められるが、猫条虫幼虫(嚢虫)が肝臓に 寄 生し たラ ット では 胃の顕著な肥大と高ガストリン血症が認められる。申請者は、この胃 粘膜病変の発症機序について検討し、以下の知見を得た。
1. 胃の 粘膜 の肉眼 的お よび 病理 組織 学的 変化 、胃 のpHおよび血中ガストリン濃度の変化 は感 染後42日 まで は認 めら れな かっ たが 、56日 目に すぺ て同 時に 認め られ た。 組織学的 には 、未 分化 細胞 およ び粘液細胞数の顕著な増加、粘液分泌亢進、壁細胞および主細胞数 の減少が観察された。
2. 胃酸 分泌 能につ いて は、 基礎 分泌 は未 感染 群と 感染群で同様であったが、ヒスタミン 刺激に対して感染群は反応しなかった。
3. ガス トリ ンを分 泌す る胃幽門前庭部のG細胞の密度は感染群でも変化は認められなかっ た が 、 幽 門 前 庭 部 の 面 積 が 増 加 し て い る た め 、 G細 胞 総 数 は 増 加 し た 。 4.通常高ガストリン血症時に増加し、胃酸分泌を刺激するECL (enterochromaffin‑like)細 胞 の 推 移 を 調 べ た と こ ろ 、 感 染56日 以 降 顕 著 に 減 少 し て い る こ と が 示 さ れ た 。 5. 胃の 粘膜 細胞増 殖に サイ トカ イン が関 与す るこ とが知られているが、感染ヌードラッ ト で も 顕 著 な 胃 粘 膜 細胞 の 増 生 が 起 こ り 、T細 胞 の関 与 は 示 す こ と が 出 来 な か っ た 。 6. さら に、 感染56日以 降の 有胸 腺ラ ット の脾 臓の 組織学的観察および抗体価の推移から 胃 病 変 の 認 め ら れ る 感 染 後56日 目 以 降 は 免 疫 抑 制 状 態 に あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。
これ らの 結果 から 申請者は、1)猫条虫幼虫の発育に伴い何らかの因子が放出され、2) 直接的 /間 接的 に胃 粘膜の未分化細胞から粘液細胞への分化亢進と壁細胞への分化抑制を 引き起こし、3)胃酸分泌能を抑制した結果、4)胃のpHが上昇し、5)高ガストリン血症と