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Vol.51 , No.2(2003)071櫻井 良彦「建立因としての得」

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印 度 學 佛 教 學 研 究 第51巻 第2号 平 成15年3月

建 立 因 として の得

1.序 心 不 相 応 行 法 に 属 す る 得(prapti)と は,有 情 の 心 身 に 有 為 に し て 自相 続 の 有 情 数 の 法,も し くは 択 滅 ・非 択 滅 無 為 法 を 獲 得 し,繋 ぎ 留 め て お く機 能 で あ る. 得 に は,獲(labha)と 成 就(samanvagama)と い う 異 名 が あ る.獲 と は,未 だ 得 て い な い も の,或 い は 既 に 失 っ た も の を 今 獲 る 得 の 機 能 を 指 す .成 就 と は,既 得 の 法 を 失 わ し め ず に 繋 ぎ 留 め て お く得 の 機 能 を 指 す1).説 一 切 有 部(以 下,有 部)は こ の 得 を 実 在 す る 法 で あ る と考 え る.こ の 有 部 の 主 張 は,得 は 実 在 す る 法 で は な い と い う批 判 を 蒙 る.有 部 は そ の 批 判 に 答 え て,得 が 実 在 す る法 で あ る こ と を 立 証 す る 必 要 に 迫 ら れ る2).本 稿 は,有 部 が 得 の 実 在 を 論 証 す る際 に 言 及 す る 「建 立 因 」(vyavasthahetu)と い う 得 の 機 能 に 関 す る 考 察 に 焦 点 を 絞 るC 2.『 倶 舎 論 』・『入 阿 毘 達 磨 論 』 に 言 及 さ れ る 建 立 因 と し て の 得 世 親(Vasubandhu, 400-480項)の 『倶 舎 論 』 に お い て 経 量 部 は,二 種 七 難 を 以 っ て 得 が 実 在 す る こ と

を 批 判 す る(Abhidlzayniakosabhasya (AKBh.),ed.by Pradhan, P., 1967, p.63.9-14)3).一 つ は,① 得 は 直 接 知 覚 と推 理 に よ っ て 認 識 さ れ な い の で 実 在 し な い と い う 批 判 で あ る(計 二 難).も う'一つ は,② 得 が 諸 法 の 生 起 の 原 因(生 因)と な る 場 合 の 過 失 を 指 摘 す る 仕 方 で 得 が 実 在 す る こ と を 批 判 す る も の で あ る(計 五 難).『 倶 舎 論 』 所 述 の 有 部 は,① の 批 判 に 直 接 的 に は 答 え ず,② の 批 判 に 対 し て,得 は 諸 法 の 生 起 の 因 で は な く建 立 因4)で あ る 故 に,生 起 の 原 因 と な る場 合 の 過 失 は な い,と 答 え る. 〔有 部 の 者 の 一 体 〕誰 が 以 上 の 様 に 「得 とは 〔諸 法 の 〕生 起 の原 因 で あ る」 と言 っ た の か? 〔い や,誰 も言 っ て は い な い.〕 で は ど うな の か とい え ば,〔 得 とは,聖 者 達 と異 生 達 との 差 別 を〕建 立 す る原 因 で あ る.何 故 な らば,得 が 存 在 し ない 場 合,世 俗 的 な 心 を 持 つ 聖 者 達 と異 生 達 に対 して,「 これ らは 聖者 達 で あ り,こ れ らは 異生 達 で あ る」 とい う様 に,〔 聖 者 と異 生 との 差 別 を〕 建 立 す る こ とが な くな っ て しま うに 違 い な い か らで あ る. (AKBh.,p.63.14-16)5) 得 が 実 在 し な い な ら ぼ,聖 者 が 世 俗 心 を 起 こ し,異 生 が 世 俗 心 を 起 こ して い る 時, 聖 者 と 異 生 との 差 別 を 確 立 設 定 せ し め る こ とが 出 来 ず,共 に 異 生 と呼 ぼ れ る こ と

(2)

にな る.故 に修 道 論 上 の 混 乱 を来 す.従

っ て,聖 者 と異 生 との 差 別 とい っ た修 道

論 上 の差 別 を確 立 設 定 せ しめ る原 因 と して 得 が 実 在 し な け れ ぼ な ら な い.『 倶 舎

論 』 所 述 の 有 部 は,以 上 の 様 に得 が 実 在 す る こ とを論 証 す る.そ

して 『

倶 舎 論 』

所 述 の 有 部 は,修 道 論 上 の差 別 を確 立 設 定 せ しめ る得 の機 能 を 「

建 立 因 」 と呼 ん

で い る.

また,『 入 阿 毘達 磨 論 』 も,「 建 立 因 」 とい う得 の機 能 を用 い て 得 の 実 在 論 証 を

為 して い る6).

3.『 婆 沙 論 』 が 言 及 す る建 立 因 と して の 得

以 上 の 「

建 立 因」 とい う機 能 を用 い

た得 の 実 在 論 証 は,『 倶 舎 論 』 独 自の もの で はな い.『 倶 舎 論 』 にお け る得 の実 在

論 証 は,『 婆 沙 論 』 の 内 容 を承 け て い る と考 え られ るか らで あ る.『 婆 沙 論 』 は次

の様 に,成 就,つ

ま り得 の 実在 論 証 を為 す.

又若成 就非実有者,復 有余過.① 異生応名難三界染,② 諸 阿羅漢応名異生.

① 謂諸 異生起善無覆無記心及無心時,身 中現無煩悩,復 不成就過去未来.豈 不名為難三界

染 ② 諸阿羅漢起有漏心及無心 時,現 無聖道,復 不成就過去未来.豊 非異生.無 聖法故.

若爾 便為 大過.是 故成就決定実有.(『

婆沙論』T.27,pC796cl2-cl7)7)

或 る者 が法A・B・Cを

備 え て い る場合,そ

の者 に法Aが

現 在 前(s鋤mu㎞i-√ 「bhu)

して い る時,法Bと

法Cは

現 在 法 で は な く,過 去 法 も し くは未 来 法 で あ る.何 故

な らば,有 部 に は二 心 不 倶 起 とい う鉄 則8)が あ るか らで あ る.そ の者 が 「

法A・

B・Cを

成 就 して い る者 」 と呼 ば れ るの は,過 去 法Bや

未 来 法Cを,成

就 とい う

法 に よ って そ の者 に繋 ぎ 留 め て い るか らで あ る.も

しそ の 繋 ぎ留 めて お く力 で あ

る成 就 とい う法 が な い な らぼ,過 去 法Bや

未 来 法Cは

そ の者 に存 在 しな い こ とに

な る.そ の結 果,そ

の者 は 「

法A・B・Cを

成 就 して い る者 」 と呼 ぼれ な い こ とに

な る.例 え ぼ,或 る 阿羅 漢 に 有 漏 心 が 現 在 前 して い る時,こ の 阿 羅 漢 に あ る とさ

れ る聖 法 は過 去 法 も し くは未 来 法 で あ る.過 去 法 も し くは未 来 法 で あ る聖 法 は,

成 就 に よ って そ の 阿羅 漢 に繋 ぎ 留 め られ て い る.そ れ故 に,そ の 阿 羅 漢 は異 生 に

堕 す る こ とは な い.も

し繋 ぎ 留 め て お く力 で あ る成 就 が実 在 しな い な ら ぼ,そ の

阿 羅漢 に 有 漏 心 が 現 在 前 して い る時,聖 法 は過 去 法 や 未 来 法 で あ って 現 在 法 で は

な い 以 上,そ

の 阿羅 漢 に は聖 法 が な い こ とに な る の で,異 生 とな って しま う こ と

に な り,修 道 論 上 の混 乱 を来 す.そ の 様 な過 失 は あ っ て は な らな い の で,成 就 が

実 在 しな けれ ぼ な らな い.『 婆 沙 論 』 は 以 上 の様 に成 就 の実 在 性 を論 証 して い る.

倶 舎 論 』所 述 の 有部 に よ る得 の 実在 論 証 は,以 上 の様 な 『

婆 沙 論 』 に お け る成

就 の実 在 論 証 と内容 上 類 似 して い る と考 え られ る.そ れ故 に,先

に示 し た 『

倶 舎

(3)

建 立 因 と して の 得(櫻 井)

論 』所 述 の有 部 に よ る得 の実 在 論 証 は,『 婆 沙 論 』 に お け る成 就 の 実 在 論 証 を承 け

た もの で あ る と言 え よ う.

さて 『

倶 舎 論 』 所 述 の 有部 は,聖 者 と異 生 等 の差 別 を確 立 設 定 せ しめ る得 の 機

能 を 「

建 立 因 」 と名 づ けて い た.こ

の 「

建 立 因 」 とい う命 名 も 『

倶 舎 論 』 独 自の

もの で は な く,『婆 沙 論 』 を承 けた もの と考 え られ る.

若無 成就不成就性,異 生 聖者,有 学無学,断 善根者不断善者,決 定建立皆不得成.決 定因

縁不 可得 故.(『

婆沙論 』T.(7,p.463b16-b18)

成 就 が 存 在 し な けれ ぼ,差 別 の 決 定,つ

ま り建 立 は あ り得 な い.故 に,差 別 の

建 立 は成 就 を原 因 とす る.つ ま り,得 は異 生 と聖 者 等 の差 別 の 「

決 定 因 」,つ ま り

建 立 因 」 で あ る.こ の様 に,「 建 立 因 」 とい う命 名 も 『

倶 舎 論 』 独 自 の もの で は

な く,『 婆 沙 論 』 を承 け た も の で あ る と言 え る.

と ころ で,『 婆 沙 論 』 は成 就 実 在 論 証 を 述 べ る に先 立 ち,先 ず 三 世 実 有 説 を過 去

法 と未 来 法 の成 就 不成 就 とい う観 点 か ら確 立 して い る9).

若無過 去未来者,応 無 有情成就彼法及不成就.如 第二頭第三手第六蘊第十三処第十九 界等

無有成就不成 就者.然 有成就過去未来及不成就.故 知実有.

(『

婆沙論』T.(7,p.796b1-b5)10)

も し過 去法 や 未 来 法 が 実 在 しな け れ ぼ,有 情 が 過 去 法 を得 す る こ とや,未 来 法 を

得 す る こ とが な くな って しま う.し か し過 去 法 や 未 来 法 を 成 就 に よ っ て,有 情 に

繋 ぎ留 め て お く とい う こ とは あ る.そ れ 故 に,過 去 法 と未 来 法 は実 在 す る.こ の

様 に有 部 は述 べ る.そ

して 『

婆 沙 論 』 は こ の三 世 実 有 説 を確 立 し た後 に,譬 瑜 師

の成 就 非 実 在 説 に答 え る仕 方 で成 就 の 実在 を論 証 して い る.こ の 三 世 実 有 説 論 証

と成 就 実 在 論 証 は密 接 に関 係 して い る と考 え られ る.過 去 法 と未 来 法 が 実 在 す る

な らぼ,実 在 す る過 去 法 や 未 来 法 を成 就 す る とい う こ と は あ る.っ ま り,過 去 法

と未 来 法 が実 在 す る な らぼ,そ の実 在 す る法 に対 して成 就 が機 能 す る とい う こ と

は あ りえ る.し か し,も し過 去 法 と未 来 法 が 実 在 しな い の な ら ぼ,実 在 しな い過

去 法 と未 来 法 を 成 就 す る とい う こ とは な い.つ

ま り,過 去 法 と未 来 法 が 実 在 しな

い の な らぼ,実 在 し な い過 去 法 と未 来 法 に対 して 成 就 が機 能 す る こ とは な い.そ

の結 果,先

に 示 した 様 な成 就 の実 在 を 論 証 す る こ とが 出来 な くな って しま う.つ

ま り,過 去法 や 未 来 法 で あ る聖 法 の成 就 に基 づ い て,有 漏 心 を現 在 前 させ て い る

時 点 で も阿 羅漢 が 阿 羅 漢 た りえ,異 生 に堕 す る事 は な い,と い う様 な仕 方 で成 就

の実 在 を論 証 出 来 な くな っ て しま う.そ れ 故 に,先 の 『

婆 沙 論 』 にお け る成 就 の

実 在 論 証 は,三 世 実 有 説 の確 立 を前 提 とした 上 で は じめ て成 り立 っ 実 在 論 証 と言

(4)

(179) え る.つ ま り過 去 法 と未 来 法 の 実 在 が 確 立 し て い な け れ ぼ,「 建 立 因 」 と い う機 能 を 用 い た 成 就 実 在 論 証 は あ り え な い と言 え る11).こ こ に,有 部 が 成 就 の 実 在 論 証 を 述 べ る に 先 立 っ て,三 世 実 有 説 を確 立 さ せ た 理 由 が あ る と考 え られ る . 4.結 以 上 の 考 察 の 結 果,次 の 点 が 明 ら か と な っ た . [1]『 倶 舎 論 』 所 述 の 経 量 部 は 得 が 実 在 す る こ と を 批 判 して い る.『 倶 舎 論 』 所 述 の 有 部 は,こ の 経 量 部 の 批 判 に 対 し て,得 の 持 っ 「建 立 因1と い う機 能 を 用 い て 得 の 実 在 を 論 証 し て い る.「 建 立 因 」 と は,聖 者 と異 生 と の 差 別 等 の 修 道 論 上 の 差 別 を 確 立 設 定 す る 原 因 と い う意 味 で あ る. [2]こ の 『倶 舎 論 』 所 述 の 有 部 が 為 す 得 の 実 在 論 証 は,『 婆 沙 論 』 に お け る 成 就 の 実 在 論 証 を 承 け た も の で あ り,「 建 立 因 」 と い う名 称 も 『婆 沙 論 』 の 所 説 を 承 け た も の と言 え る. [3]「 こ の 者 は 聖 者 で あ っ て 異 生 で は な い 」 と い う様 な 修 道 論 上 の 差 別 の 「建 立 」 は,過 去 法 も し く は 未 来 法 で あ る 聖 法 を 成 就(得)し て い る か ど う か に よ っ て 為 さ れ る.そ の 場 合,「 過 去 法 と未 来 法 は 実 在 す る 」 と い う こ とが 予 め 認 め ら れ て い な け れ ぼ な ら な い.そ れ 故 に 『婆 沙 論 』 は,「 建 立 因 」 と い う成 就(得)の 機 能 を 用 い た 成 就(得)の 実 在 論 証 を 為 す 前 に,先 ず 過 去 法 と未 来 法 の 実 在 を,過 去 法 と未 来 法 の 成 就 不 成 就 と い う視 点 か ら論 証 し て い る.従 っ て,「 建 立 因 」 と い う機 能 を 用 い た 成 就(得)の 実 在 論 証 は,三 世 実 有 説 の 確 立 を 前 提 と し て 成 り立 っ 論 証 法 で あ り,修 道 論 上 の 視 点 か ら為 さ れ る も の で あ る. 1)得 の定 義 に つ い て は,中 川 善 教[1179]「 得 獲 成 就 」 伊 藤 真 城 田 中1頂照 両 教i授 頌 徳 記 念 『仏 教 学 論 文 集 』pp.144-147,加 藤 宏 道[1185]「 得 ・非 得 の 研 究 」 『仏 教 学 研 究 』 41,pp.52-53,Cox,C.[1195]Disputed Dharmas: Early Buddhist Theories on Existence, pp. 71-93を 参 照.2)得(成 就)の 実 在 論 証 に 関 す る先 行研 究 に は,中 川 善 教[1979]pp. 157-161,平 沢 一[1984]「 断惑 の 実 践 と心 不 相 応 行 法 「得 」 との 関 係 」 『印度 学 仏 教 学 研 究 』32-2,PP.911-114,加 藤 宏 道[1985]PP.42-50,福 田琢[1992]「 『婆 沙 論 』 に お け る得 と成 就 」 『大 谷 大 学 大 学 院研 究紀 要 』7,pp.7-9等 が あ る.3)AKBh (Tib).,D.71al-a4, P.80a2-a7,玄奘 訳 『倶 舎 論 』T.29,p.22b5-bl6,真 諦 訳 『倶 舎 釈 論 』T.29,p.181all-a20. 「得 が諸 法 の 生 起 の原 因 で あ る」とい う考 え は,『瑜伽 師地 論 』「摂 決 択 分 」(Yogacarabhumi, Viniscayasamgrahani, D.22a3-a7,P.24b7-25a3,T.30,pp.586c25-587a3)に お い て み ら れ, 『倶 舎 論 』 との 関係 性 がKritzer,Robert氏 に よ っ て指 摘 さ れ て い る.Kritzer, Robert[1999] Rebirth and Causation in the Yogacara Abhidharma,pp.239-240.ま た 、 早 島 理[1992]「 瑜 伽 行 派 に お け る 「得prapti」」 『長 崎 大 学 教 育 学 部 Ⅲ 会 科 学 論 叢 』44,pp.1-19を 参 照.4)

(5)

『倶 舎 論 』 に お け る 「建 立 因 」 に つ い て は,中 川 善 教[1979]p.151,加 藤 宏 道[1984]「 得 ・ 非 得 の 定 義 」 『印 度 学 仏 教 学 研 究 』32-2,PP.906-107,加 藤 宏 道[1985]pp.45-46,Cox,C.

[1915]p.(13n(5に お い て も 指 摘 さ れ て い る.5) AKBh (Tib)., D. 71a4-a5,P.82a7-a8, 玄 奘 訳 『倶 舎 論 』T.29,p.22bl6-bl9,真 諦 訳 『倶 舎 釈 論 』T.29,p.181a20-a23. 6) Pr-akarana Abhidharmavatara-nama, D.316b5-b6, P.409b6-b8,『 入 阿 毘 達 磨 論 』T.28,p.186b2-b6. 7)Cf.『 婆 沙 論 』T.27,p.479b20-b24,旧 訳 『毘 婆 沙 論 』T.28,p.352blO-bl8. 8)「 若 成 就 非 実 有 者,復 違 余 経.如 説.若 芯 鋼 成 就 七 妙 法 者,於 現 法 中 多 住 喜 楽.彼 応 成 就 一 妙 法,或 不 成 就.謂 七 妙 法 随 一 現 前 時 彼 芯 鋼 但 成 就 一.以 七 妙 法 皆 慧 為 性,尚 無 二 慧 倶 起,況 当 有 七.若 起 余 法 現 在 前 時,則 七 妙 法 皆 不 成 就 」(『婆 沙 論 』T.27,p.796bl9-cl0.Cf『 婆 沙 論 』T.27,p.479b3-b20,旧 訳 『毘 婆 沙 論 』T.28,p.352a21-b10).ま た,二 心 不 倶 起 に っ い て は,『 婆 沙 論 』T.27,p.47bl以 下(旧 訳 『婆 沙 論 』T.28,p.35b4以 下) で 詳 細 に 論 じ ら れ て い る.9)成 就 不 成 就 と い う観 点 か ら の 三 世 実 有 論 証 が,成 就 不 成 就 の 実 在 を 論 拠 と し て 為 さ れ る も の で は あ る こ と は,西 義 雄[1975]「 説 一 切 有 部 宗 の 根 本 法 有 論 の 研 究 」 『阿 毘 達 磨 仏 教 の 研 究 』 所 収pp.436-438に お い て 指 摘 さ れ て お り,ま た 『識 身 足 論 』 と の 関 係 も 指 摘 さ れ て い る.ま た 有 部 の 三 世 実 有 説 に つ い て は,舟 橋 一 哉 [1954]「 三 世 実 有 説 の 一 考 察 」 『業 の 研 究 』 所 収PP.374-381,加 藤 宏 道[1990]「 三 世 実 有 と 法 体 恒 有 」 『印 度 学 仏 教 学 研 究 』38-2,pp.752-754を 参 照.l0)Cf『 婆 沙 論 』T.27, p.479al7-al9,旧 訳 『毘 婆 沙 論 』T.28,p.352a2-a6.11)『 婆 沙 論 』 に お け る 成 就 の 実 在 論 証 が 『婆 沙 論 』 の 三 世 実 有 説 の 確 立 を1提 とす る と い う こ と に つ い て は 既 に 他 所 で 指 摘 し た.「 三 世 実 有 説 批 判 と得(成 就)」 第38回 龍 谷 教 学 会 議 大 会(2002/06/11).ま た 私 は, こ の 発 表 に 基 づ く拙 論 を 『龍 谷 教 学 』 第37号(2203年4月 に 刊 行 予 定)に 掲 載 を 予 定 し て い る, 〈キ ー ワ ー ド〉 得,prapti,建 立 因,vyavasthahetu (龍 谷 大 学 非 常 勤 講 師)

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