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論文の要約 要約 要約 要約
専攻名 システム創成工学 氏 名 MIAH MD JALIL
ベンゼン環がらせん状に連なったヘリセン誘導体は、その特徴的な分子構造に由来する光学 特性や光電気化学特性、自己集積能などの点から注目を集めている。しかし一方、ヘリセン化合 物による均一薄膜の作製は、強い分子間凝集力や溶媒への溶解性などの点から困難であることが 多い。そこで本研究では、疎水性のオキサ[9]ヘリセンに親水基を導入した新規化合物を合成し、
それらを用いた均一薄膜の作製法の確立と作製した薄膜の構造・物性の評価、および光電気化学 的特性との関係を解明することを目的として行われた。
第1章では、薄膜の作製法の分類や構造解析法、ヘリセン化合物の分類や特徴、薄膜の応用 などに関するこれまでの研究例、およびそれらに基づく本研究の目的を述べた。
第 2章では 、テトラ エチ レングリ コール鎖 を親 水基とし て持つ9-tetraethyleneglycoxy-11- oxa[9]helicene (4EO9H)に 対 す るLangmuir-Blodgett(LB)法による単分子膜とスピンコート法に よる薄膜の作製、およびそれらの膜に対する構造評価や光電気化学的特性の解析結果を述べた。
4EO9Hは、どちらの製膜法でも非常に均一な分子膜を形成した。また、単分子膜中では、ヘリ
センの芳香環平面はスタッキングした状態で基板表面に対してほぼ垂直に配向しており、親水性 部位はラインダムコイル状にコンパクトに充填されていることが示唆された。また、双方の膜に 対して光電流の発生が確認され、4EO9Hの光電気化学的特性が評価された。
第3章では、11-oxa[9]helicene (O9H) と9-diethyleneglycoxy-11-oxa[9]helicene (2EO9H)に対して、
LB法による単分子膜形成能や光電気化学的特性に対する親水基部位の影響について検討した。
O9Hは水面上に展開されると多層膜領域を形成したが、2EO9Hは均一な単分子膜を形成した。
また、2EO9H単分子膜内におけるヘリセン部位は4EO9Hと同様な配向状態をとって充填されて
いることが示唆された。一方、O9Hと2EO9Hの光学的バンドギャップはほぼ変わらず、また分 子密度はO9H移行膜の方が高いにも関わらず、光電流密度は2EO9H膜の方が高い値であった。
これらのことから膜における分子配向や均一性が光電流密度に影響することを明らかにした。
第4章では、9-hydroxy-11-oxa[9]helicene (HO9H)と9-triethyleneglycoxy-11-oxa[9]helicene (3EO9H) お よ び9-hexaethyleneglycoxy-11-oxa[9]helicene (6EO9H)に対する膜物性や構造、
光電気化学的特性について検討した。HO9Hは多層膜を形成したが、3EO9Hと6EO9Hは均一な 単分子膜を形成した。また、前章までに述べられた化合物も含め、オキシエチレン(EO)基数と膜 構造や光電流発生量との関係について検討した。2EO9H、3EO9H、4EO9Hの単分子膜に対して はこの順で光電流は増加するが、6EO9H単分子膜の場合には光電流密度は期待された値よりも 低くなることを示した。これは、EO基数が4までの化合物ではエチレングルコール部位による電 子ドナー効果により光電流密度が増加するが、6EO9Hでは親水部による立体障害の効果が顕著 になり、分子密度が低下するためであると考えられた。
第5章では、本論文で得られた知見とその意義についてまとめた。