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パスワードに関する意識の性別による違いについて

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Academic year: 2021

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パスワードに関する意識の性別による違いについて

八城年伸

安田女子大学現代ビジネス学部

はじめに

筆者はこれまで取り上げられる機会の少なか ったユーザのパスワードに対する意識について、

情報に関する詳しい知識を持ち合わせていない 段階の女子大学生を対象として調査を行ってき た[1]。

その結果、自分で作成したパスワードを記憶 するために身近な事項への関連づけが伺え、な おかつそれが第三者に漏れやすい事項であるケ ースが少なくない、という結果が得られている。

さらには、年を追うごとにパスワードを使い回 す傾向も顕著となっていた。

こうした傾向が女子学生に特有であるのかを 確かめるため、対象に男子学生を加えて調査を 実施し、パスワードの管理意識について、性別 による違いがあるのかについて分析と考察を行 ったものである。

調査の概要

従来のパスワードの管理は、ネットワーク経 由の攻撃を想定して、定期的にパスワードを変 更することとされていた。しかしながら、頻繁 なパスワードの変更はユーザに負担となるだけ でなく、パスワードそのものが単調かつ単純に なる可能性があることから、ソーシャルアタッ クには弱くなると考えられる。そのため、調査 においてはソーシャルアタックを念頭にして、

パスワードの使い回し、記憶するために連想し た事項、パスワードの強度に関する設問を多く している。

調査は筆者が担当する講義の他、対象の学生 が出席するガイダンス等において、調査票方式 で実施した。調査の時期と調査票の回収数は以 下の通りである。

2006年度 第1回 7月 184 第2回 1月 196

2007年度 第3回 12月 173

2008年度 第4回 7月 282 第5回 12月 99 2009年度 第6回 7月 78 第7回 1月 247 2010年度 第8回 6月 69 第9回 12月 285 2011年度 第10回 6月 122 第11回 12月 587

前期 後期

本稿においては、安田女子大学の共通教育科 目と、広島市立大学の全学共通科目において実

施した第9回調査の結果を用いた。いずれも1 年次生が主な受講者である。

比較の前提条件

分析は、以下の3つのグループに分類して行 った。

大学 性別 有効回答数

安田女子大学 女子学生 83 女子学生 28 男子学生 49 広島市立大学

比較の前提条件として、それぞれのグループ の情報サービスの利用状況に大きな差異がある ことは好ましくない。情報サービスの利用数と、

パスワードの使い回しの程度については信頼区 間 95%において有意差はなかった。反面、講義以 外におけるパソコンの利用状況については、信 頼区間 99%において男女間に有意差があった。

大学 性別 平均利用時間

安田女子大学 女子学生 23.3分 女子学生 24.3分 男子学生 36.7分 広島市立大学

以下の分析では男女間に有意差が見られた項 目が存在するが、利用時間の差が現れた可能性 も否定できない。

パスワードが推測可能か

筆者が安田女子大学に着任した際に気になっ たのが、友人間におけるパスワードの教えあい 行為である。パソコンへのログイン状況が出席 データに反映されることから、代返行為の一種 と考えることもできるが、ログインパスワード 以外においても類似の行動が見られたことから、

女子学生における友人グループ内の親密行為の 一種であると捉えていた。

しかしながら、パスワードを教えているか、

誰なら推測可能であると思うか、との設問にお いては、回答の内容に有意差が見られたのが安 田女子大学の女子学生と広島市立大学の男子学 生との間のみであった。そのため性別による違 いよりも、女子大という環境の違いに起因する と推測することが妥当であると思われる。

The difference of the man and woman of the Password management consideration.

†Toshinobu YASHIRO, Yasuda Women's University

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6E-3

情報処理学会第 74 回全国大会

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覚えるために関連づけた事項

パ ス ワ ー ド を 決 め る 際 に 思 い 浮 か べ た 事 項

(複数回答)については、大学間において 95%信 頼区間で有意差が認められた。しかしながらグ ラフで見ると、それ以上の差異が認められる。

0% 50% 100% 150%

安田女子大 市立大(女)

市立大(男)

暗証番号 記念日 住所等 ニックネーム

アーティスト 持ち物 円周率など 好きな言葉

顕著なのは何らかの記念日を用いているのが、

安田女子大学の学生の 47.0%、広島市立大学の女 子学生の 35.7%であるのに対し、広島市立大学の 男子学生では 16.3%しかないという点である。同 様に好きなアーティストやタレントなど、比較 的容易に知りうる事項を用いているのが女子学 生の特徴である言える。逆に、他人が知りにく いことから、パスワードを決める際に推奨され る、好きな言葉やフレーズといった事項につい ては、女子学生の方が用いるケースが少ない。

さらには、これらの事項を携帯電話のメール アドレスを決める際にも用いたか、との設問に は、男女間で 99%信頼区間において有意差があり、

女子学生の方が「使っている」あるいは「使っ ていた」と多く回答している。

以上のことから、女子学生のパスワードの作 成においては、レンタルビデオ店の会員登録や メンバーズカード等の作成レベル、あるいは親 密さの少ない友人関係でも知りうる事項を基に しているケースが多かった。すなわち、女子学 生の方がソーシャルアタックに弱いと考えられ る。

自己分析の正確性

思い浮かべた事項について、どの程度の交流 関係で知りうる情報かで3つのグループに分類 して点数化した。複数のキーワードを用いた場 合は、その数に応じて加点した。

0% 20% 40% 60% 80% 100%

安田女子大 市立大(女)

市立大(男)

会員登録レベル 友人レベル 親友レベル 推測しにくい

この結果からも女子学生の方がパスワードが推 測されやすい、すなわちソーシャルアタックに

弱い傾向を見て取ることができる。

自分のパスワードの強弱が客観視できている か否かは、パスワード管理の上では重要である。

パスワード管理の重要性を説いたところで自分 が該当していることに気づかなければ、被害が 発生するまでは勘違いが続く可能性があるため である。そのため、自己分析の結果と、パスワ ードを考える際に用いたキーワードの推測され やすさの乖離具合、すなわち自己分析の正確性 について分析した。

‐21%

‐29%

‐10%

‐31%

‐21%

‐45%

21%

14%

16%

16%

18%

16%

10%

18%

12%

-60.0% -40.0% -20.0% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0%

安田女子大 市立大(女)

市立大(男)

-2 -1 0 1 2

負の値は「過大評価」群で、ゼロが「適正評 価」、正の値が「過小評価」群となる。性別に よる有意差はなかったが、男子学生に自信過剰 傾向が見られた。

まとめ

以上の分析から見えてきた問題点は、女子学 生は危険性を感じつつも覚えやすさや入力しや すさを優先したパスワードを用い、男子学生は 客観的な分析ができないまま我流でパスワード を使っている、ということである。

男女で比較すると、女子学生のソーシャルア タックへの弱さが気がかりである。これは女性 は交際相手が変わるとメールアドレスを変更す る傾向があるとされることにも関連があると思 われる。すなわち、パスワードの管理で不利益 が生じたとしても、その情報サービスの利用を 変えればよい、と簡単に考えているのではない だろうか。安易な管理意識を持つ学生が少なく ない以上は、危険性を周知した上で、より具体 的な管理方法の教授が必要であると考えられる。

本稿には第11回調査の集計が間に合わなか ったため、第9回調査の集計のみを用いた。調 査と集計を継続することにより、本稿における 分析が普遍的なものであるかについて検討を重 ねることを今後の課題としたい。

参考文献

[1] 八城年伸、「女子大学生の在学中における パスワード管理意識の変化について」、大学 ICT 推進協議会 2011 年度年次大会論文集、pp441- 444、2011

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参照

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