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日 本 大 学 大 学 院 生 物 資 源 科 学 研 究 科 生 物 環 境 科 学 専 攻

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(1)

文 化 的 景 観 を 形 成 す る 人 と 植 物 の 関 係 に 関 す る 緑 地 学 的 研 究

日 本 大 学 大 学 院 生 物 資 源 科 学 研 究 科 生 物 環 境 科 学 専 攻 博 士 後 期 課 程

七 海 絵 里 香

2014

(2)

目 次 第 一 章 序 論

1 - 1 研 究 の 背 景 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

1

1 - 2 世 界 遺 産 条 約 に お け る 文 化 的 景 観 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

2

1 - 3 わ が 国 に お け る 文 化 財 と し て の 文 化 的 景 観 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

2

1 - 4 本 論 文 に お け る 景 観 お よ び 文 化 的 景 観 の 基 本 的 考 え 方 ・ ・ ・ ・

4

1 - 5 文 化 的 景 観 に 関 す る 研 究 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

6

1 - 6 研 究 の 目 的 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

7

1 - 7 研 究 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

8

1 - 8 研 究 の 構 成 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

8

第 二 章 古 来 よ り 認 知 さ れ て き た 植 物 の 変 遷 と 生 育 立 地

2 - 1 万 葉 集 お よ び 平 安 の 勅 撰 和 歌 集 に み る 植 物 に 対 す る 行 為

2 - 1 - 1 は じ め に ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

10

2 - 1 - 2 調 査 対 象 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

11

2 - 1 - 3 調 査 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

11

2 - 1 - 4 結 果 ・ 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

13

2 - 2 万 葉 集 に み る 秋 の 七 草 の 生 育 立 地

2 - 2 - 1 は じ め に ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

23

2 - 2 - 2 対 象 植 物 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

23

2 - 2 - 3 調 査 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

24

2 - 2 - 4 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

24

2 - 2 - 5 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

33

(3)

2 - 3 秋 の 七 草 「 萩 」 の 生 態 的 特 性

2 - 3 - 1 は じ め に ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

35

2 - 3 - 2 調 査 対 象 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

36

2 - 3 - 3 調 査 対 象 地 概 要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

36

2 - 3 - 4 調 査 方 法

( 1 ) ヤ マ ハ ギ 節 の 生 育 実 態 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

36

( 2 ) 裾 刈 り 草 地 等 の 分 布 状 況 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

38

2 - 3 - 5 結 果

( 1 ) 谷 津 田 に お け る ヤ マ ハ ギ 節 の 生 育 分 布 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

38

( 2 ) 草 丈 お よ び シ ュ ー ト 数 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

40

( 3 ) 生 育 基 盤 お よ び 管 理 状 況 と 生 育 量 の 関 係 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

43

( 4 ) ヤ マ ハ ギ 生 育 地 の 同 所 生 育 種 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

45

2 - 3 - 6 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

47

2 - 4 本 章 の ま と め ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

51

第 三 章 地 域 の 重 要 な 景 観 要 素 と な っ て き た 栽 培 植 物 の 動 態 3 - 1 伊 豆 半 島 松 崎 町 に お け る 桜 葉 畑 景 観 の 成 立 過 程 と 変 遷

3 - 1 - 1 は じ め に ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

52

3 - 1 - 2 調 査 対 象 地 概 要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

54

3 - 1 - 3 調 査 方 法

( 1 ) 桜 葉 畑 景 観 の 成 立 過 程 お よ び 生 産 方 法 の 変 化 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

55

( 2 ) 桜 葉 畑 の 分 布 の 変 遷 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

55

( 3 ) 桜 葉 畑 お よ び 桜 葉 畑 放 棄 林 の 分 布 と 立 地 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

56

( 4 ) 桜 葉 畑 に 付 帯 す る 景 観 要 素 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

56

3 - 1 - 4 結 果

( 1 ) 桜 葉 栽 培 の 歴 史 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

57

(4)

( 2 ) 山 採 り か ら 畑 栽 培 期 へ の 桜 葉 生 産 方 法 の 変 化 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

59

( 3 ) 桜 葉 畑 の 分 布 お よ び 面 積 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

62

( 4 ) 地 形 と 勾 配 と の 関 係 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

65

( 5 ) 付 帯 す る 景 観 要 素 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

66

3 - 1 - 5 考 察

( 1 ) オ オ シ マ ザ ク ラ の 栽 培 化 と 桜 葉 畑 景 観 の 成 立 過 程 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

68

( 2 ) 桜 葉 畑 景 観 の 変 遷 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

69

( 3 ) 桜 葉 畑 景 観 の 今 日 的 意 義 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

72

3 - 2 八 溝 山 地 南 部 域 の 漆 掻 き 林 の 分 布 と 林 床 植 生

3 - 2 - 1 は じ め に ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

76

3 - 2 - 2 漆 掻 き 職 人 お よ び 大 子 漆 の 概 要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

78

3 - 2 - 3 地 域 概 要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

78

3 - 2 - 4 調 査 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

79

3 - 2 - 5 結 果

( 1 ) 秋 田 氏 に よ る 漆 掻 き 林 の 概 要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

81

( 2 ) 漆 掻 き 林 の 分 布 実 態 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

84

( 3 ) 漆 掻 き 林 の 立 地 特 性 お よ び 管 理 状 況 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

86

( 4 ) 立 地 お よ び 管 理 状 況 別 の 林 床 植 生 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

88

3 - 2 - 6 考 察

( 1 ) 漆 掻 き 林 の 分 布 特 性 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

89

( 2 ) 漆 掻 き 林 の 存 在 形 態 の 変 容 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

90

( 3 ) 林 床 植 生 の 特 徴 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

91

3 - 3 和 歌 山 県 み な べ 町 に お け る 観 梅 の 成 立 過 程

3 - 3 - 1 は じ め に ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

94

(5)

3 - 3 - 2 調 査 対 象 地 概 要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

95

3 - 3 - 3 調 査 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

95

3 - 3 - 4 結 果 ・ 考 察

( 1 ) み な べ 町 の 観 梅 梅 林 の 概 要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

96

( 2 ) み な べ 町 の 梅 の 栽 培 ・ 観 梅 の 変 遷 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

97

( 3 ) み な べ 町 の 梅 林 分 布 の 変 遷 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

109

( 4 ) 南 部 梅 林 の 観 梅 活 動 の 特 徴 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

111

3 - 4 本 章 の ま と め ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

115

第 四 章 半 自 然 草 地 の 生 育 地 の 復 元 ・ 創 出 の 可 能 性 4 - 1 畦 畔 植 生 復 元 に 向 け た 表 土 移 植 手 法 の 検 討

4 - 1 - 1 は じ め に ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

117

4 - 1 - 2 研 究 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

117

4 - 1 - 3 結 果

( 1 ) 植 被 率 お よ び 種 数 ・ 個 体 数 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

119

( 2 ) 在 来 / 外 来 お よ び 生 活 型 別 の 優 占 度 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

121

( 3 ) 出 現 種 お よ び 出 現 常 在 度 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

122

4 - 1 - 4 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

125

4 - 2 本 章 の ま と め ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

127

第 五 章 ま と め ・ 総 括

5 - 1 古 来 よ り 認 知 さ れ て き た 植 物 の 変 遷 と 生 育 立 地 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

128

5 - 2 地 域 の 重 要 な 景 観 要 素 と な っ て き た 栽 培 植 物 の 動 態 ・ ・ ・ ・ ・

128

5 - 3 半 自 然 草 地 の 生 育 地 の 復 元 ・ 創 出 の 可 能 性 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

129

5 - 4 文 化 的 景 観 の 再 評 価 と 創 出 の 可 能 性

5 - 4 - 1 地 域 の 文 化 的 景 観 に 付 随 す る 機 能 ・ 特 性 の 維 持 ・ 保 全 ・ ・

130

(6)

5 - 4 - 2 「 野 」 に 対 す る 新 た な 価 値 認 識 の 必 要 性 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

131

5 - 4 - 3 「 野 」 の 保 全 ・ 創 出 の た め の 技 術 の 確 立 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

132

5 - 5 結 語 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

133

摘 要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

135

Summary

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

140

参 考 文 献 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

147

謝 辞 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

159

(7)

1

第 一 章 序 論

1 - 1 研 究 の 背 景

人 々 は 時 代 や 地 域 ご と に 植 物 と の 間 に 様 々 な 関 係 を 築 き 、 植 物 を 扱 っ た 文 化 や 地 域 景 観 を 形 成 し て き た 。 そ し て 自 然 に 対 応 し た 人 の 営 み の 継 続 は 、 そ の 場 所 の 歴 史 や 文 化 を 反 映 し た 「 文 化 的 景 観 」 を 醸 成 す る 。 近 年 の 生 物 多 様 性 保 全 の 重 要 性 に 加 え 、 人 の 営 み と 関 わ り の 深 い 植 物 お よ び そ の 伝 統 的 な 資 源 利 用 に よ っ て 特 徴 付 け ら れ る 文 化 的 景 観 の 保 全 ・ 再 形 成 は 、 個 々 の 地 域 特 性 に 応 じ た 植 物 や 土 地 の 賢 明 な 利 用 (

wise use) を 基 礎 と し つ つ 、 総 体 と し

て 多 様 性 が 確 保 さ れ る こ と に よ る 社 会 全 体 の 健 全 性 を 維 持 ・ 増 幅 す る 上 で 重 要 と な る 。 し か し 、 近 年 の 都 市 や 住 宅 等 の 開 発 、 ま た 、 特 に 中 山 間 域 の 人 口 減 少 と 人 間 活 動 縮 小 や 大 規 模 合 理 化 さ れ た 農 地 整 備 の 敷 衍 に 伴 い 、 伝 統 的 な 農 的 管 理 や 生 物 資 源 利 用 に よ っ て 維 持 さ れ て き た 豊 か な 植 生 景 観 は 、 現 在 減 少 傾 向 に あ る 。 そ の よ う な 状 況 の 中 、 人 が 生 活 を 通 じ て 自 然 と 関 わ り 合 う 中 で 形 成 さ れ て き た 棚 田 や 里 山 等 の 文 化 的 景 観 の 保 護 に 対 す る 要 求 が 高 ま り を 見 せ つ つ あ る 。 こ の 背 景 に は 、 棚 田 や 里 山 を は じ め と す る 文 化 的 景 観 地 域 の 有 す る 多 面 的 機 能 ( 国 土 の 保 全 、 棚 田 等 に お け る 水 源 の 涵 養 、 自 然 環 境 の 保 全 、 良 好 な 景 観 形 成 等 ) の 意 義 が 多 く 指 摘 さ れ て き た 。 さ ら に 、 観 光 の 在 り 方 が 多 様 化 す る 中 、 ふ る さ と の 風 景 と し て 文 化 的 景 観 を 持 つ 地 域 が 都 市 と 農 村 の 様 々 な 交 流 の 場 と し て 新 た な 役 割 も 期 待 さ れ て い る 。 こ の よ う に 、 植 物 と の 密 な 関 わ り 、 あ る い は そ れ に よ っ て 生 じ る そ れ ぞ れ 固 有 の 地 域 景 観 に つ い て 、 存 在 意 義 と そ の 啓 発 に 対 し て 検 討 を 加 え る こ と が 今 日 的 課 題 と 考 え 、 そ れ が 本 論 文 の 契 機 と な っ て い る 。

そ こ で ま ず 、 本 論 文 に お け る 重 要 な 概 念 と な る 「 文 化 的 景 観 」 に つ い て 、 国 内 外 の 動 き 、 あ る い は 関 連 研 究 を 以 下 に 整 理 し た 。

(8)

2

1 - 2 世 界 遺 産 条 約 に お け る 文 化 的 景 観

1972

年 に 第

17

回 ユ ネ ス コ 総 会 に お い て 世 界 遺 産 条 約 が 採 択 さ れ 、 顕 著 な 普 遍 的 価 値 を 有 す る 文 化 遺 産 と 自 然 遺 産 が 世 界 遺 産 一 覧 表 に 登 録 さ れ た 。 し か し 、 実 際 に 世 界 遺 産 一 覧 に 登 録 さ れ た 遺 産 は 人 間 の 創 造 性 に 基 づ く 作 品 と し て の 文 化 遺 産 と 原 生 的 な 自 然 遺 産 と の 両 極 に 偏 る 傾 向 を 示 し 、 そ の 中 間 に あ る 多 様 な 自 然 的 地 域 景 観 の 価 値 が 十 分 に 反 映 さ れ て い な い の で は な い か と 指 摘 さ れ て き た 。そ の 後 、1992 年 に ユ ネ ス コ は「 世 界 遺 産 条 例 履 行 の た め の 作 業 指 針 」 で 「 文 化 的 景 観 」 を 登 録 対 象 に 盛 り 込 み 、 文 化 的 景 観 を 「 文 化 的 資 産 で あ っ て 、『 自 然 と 人 間 と の 共 同 作 品 』に 相 当 す る も の で あ る 。人 間 社 会 ま た は 人 間 の 居 住 地 が 、自 然 環 境 に よ る 物 理 的 制 約 の 中 で 、社 会 的 、経 済 的 、 文 化 的 な 内 外 の 力 に 継 続 的 に 影 響 さ れ な が ら 、 ど の 様 な 進 化 を た っ ど て き た の か を 例 証 す る も の で あ る 。」と 明 確 に 規 定 し て い る 。ま た 、こ の「 世 界 遺 産 条 例 履 行 の た め の 作 業 指 針 」 で は 文 化 的 景 観 を 自 然 の 程 度 や 人 間 の 行 為 の 影 響 の 程 度 に よ り 、① 第 一 領 域「 意 匠 さ れ た 景 観 」( 人 間 の 設 計 意 図 の 下 に 創 造 さ れ た 景 観 で 、 庭 園 や 公 園 等 )、 ② 第 二 領 域 「 有 機 的 に 進 化 す る 景 観 」( 農 林 水 産 業 等 の 継 続 す る 景 観 お よ び 遺 跡 の 周 辺 に 残 る 化 石 景 観 )、③ 第 三 領 域「 関 連 す る 景 観 」( 信 仰 や 宗 教 、 文 学 、 芸 術 活 動 等 と 直 接 関 連 す る 景 観 ) の

3

の 領 域 に 区 分 し て い る 。

現 在 、 文 化 的 景 観 と し て 世 界 遺 産 に 登 録 さ れ る 事 例 が 増 加 し つ つ あ り 、 人 と 自 然 と の 持 続 可 能 な 共 存 を 前 提 と す る 独 特 の 土 地 利 用 形 態 を 示 す 遺 産 と し て 注 目 さ れ て い る が 、 地 域 社 会 が 変 容 す る 中 、 地 域 住 民 が 伝 統 的 な 営 み の 下 に 文 化 的 景 観 を 維 持 す る こ と が 困 難 と な っ て い る 事 例 が 多 く 、 大 き な 課 題 と な っ て い る 。

1 - 3 わ が 国 に お け る 文 化 財 と し て の 文 化 的 景 観

ユ ネ ス コ の 世 界( 文 化 )遺 産 に お け る 文 化 的 景 観 を 重 視 す る 流 れ を 受 け て 、

(9)

3

日 本 で も 法 律 の 制 定・改 定 に 向 け て の 検 討 が 始 ま っ た 。

2000

年 に は 文 化 庁 に

「 農 林 水 産 業 に 関 連 す る 文 化 的 景 観 の 保 存・整 備・活 用 に 関 す る 検 討 委 員 会 」 が 設 置 さ れ 、

2005

年 に 刊 行 さ れ た 報 告 書 (「 農 林 水 産 業 に 関 連 す る 文 化 的 景 観 の 保 護 に 関 す る 調 査 研 究 報 告 書 」)の 中 で 、文 化 的 景 観 を「 農 山 漁 村 地 域 の 自 然 、 歴 史 、 文 化 を 背 景 と し て 、 伝 統 的 産 業 お よ び 生 活 と 密 接 に 関 わ り 、 そ の 地 域 を 代 表 す る 独 特 の 地 域 利 用 の 形 態 又 は 固 有 の 風 土 を 表 す 景 観 で 価 値 が 高 い も の 」と 定 義 し た 。さ ら に 、市 町 村 の 照 会 を 経 た 都 道 府 県 の 報 告 を 基 に 、 合 計

2,311

件 を 対 象 に 検 討 ・ 調 査 し 、 そ の 内 の

180

件 を 重 要 地 域 と し て 選 択 し て い る 。 重 要 地 域 は 、 ① 土 地 利 用 に 関 す る も の ( 水 田 景 観 、 畑 地 景 観 、 草 地 景 観 等 )、② 風 土 に 関 す る も の( 古 来 よ り 信 仰・行 楽 の 対 象 と な っ て き た 景 観 、 古 来 よ り 芸 術 の 題 材 ・ 創 造 の 背 景 と な っ て き た 景 観 、 独 特 の 気 象 に よ っ て 現 れ る 景 観 )、③ 伝 統 的 産 業 お よ び 生 活 を 示 す 文 化 財 の 周 辺 の 景 観 、④ ① ~

③ の 複 合 景 観 に 分 類 さ れ 、 文 化 的 景 観 を 空 間 的 な 概 念 に よ る も の と 時 間 ( 時 代 ) 的 な 概 念 に よ る も の と に 大 別 で き る 。

こ の 報 告 を 受 け て 、文 化 財 保 護 法 が 改 定 さ れ(

2004

年 公 布 、

2005

年 施 行 )、

文 化 的 景 観 を 「 地 域 に お け る 人 々 の 生 活 ま た は 生 業 お よ び 当 該 地 域 の 風 土 に よ り 形 成 さ れ た 景 観 地 で わ が 国 民 の 生 活 ま た は 生 業 の 理 解 の た め に 欠 く こ と の で き な い も の( 文 化 財 保 護 法 第 二 条 第 1 項 第 五 号 )」と 規 定 し 、文 化 財 の 種 別 に 「 文 化 的 景 観 」 が 加 え ら れ た ( 図 ‐

1)。 す な わ ち 文 化 的 景 観 は 国 民 的 財

産 で あ り 、 保 存 ・ 継 承 し て い く べ き も の と し て 明 確 化 さ れ た の で あ る 。 加 え て 文 化 庁 は 、 文 化 的 景 観 の 中 で も 特 に 重 要 な も の は 都 道 府 県 ま た は 市 町 村 の 申 し 出 に 基 づ き 、「 重 要 文 化 的 景 観 」を 選 定 し て い る 。重 要 文 化 的 景 観 に 選 定 さ れ た も の に つ い て は 、 現 状 を 変 更 、 あ る い は そ の 保 存 に 影 響 を 及 ぼ す 行 為 を し よ う と す る 場 合 、 文 化 庁 長 官 に 届 け 出 る こ と と さ れ て い る 。 一 方 で 、 文 化 的 景 観 の 保 存 活 用 の た め に 行 わ れ る 調 査 事 業 や 保 存 計 画 策 定 事 業 、 整 備 事 業 、 普 及 ・ 啓 発 事 業 等 に 対 し て は 、 国 か ら そ の 経 費 の 補 助 が 行 わ れ て い る 。

(10)

4

以 上 の 様 に 、 わ が 国 に お け る 文 化 財 と し て の 文 化 的 景 観 は 、 伝 統 的 産 業 お よ び 生 活 と 密 接 に 関 わ っ て 形 成 さ れ た も の で あ り 、 現 在 も 人 の 生 活 や 生 業 と 関 わ っ て い る 動 態 的 な 景 観 と 言 え る 。 ま た 、 地 域 ご と の 気 候 や 風 土 、 歴 史 等 と 結 び つ い て き た 点 は 地 域 の 個 性 や 伝 統 的 生 活 文 化 を 示 す も の で あ り 、 そ の 程 度 が 高 い も の が 価 値 あ る 景 観 と し て 認 め ら れ 、 保 護 さ れ て き た の で あ る 。

図 ‐

1 文 化 財 保 護 の 体 系

( 金 田 章 裕 著 : 文 化 的 景 観-生 活 と な り わ い の 物 語 よ り 抜 粋 )

1 - 4 本 論 文 に お け る 景 観 お よ び 文 化 的 景 観 の 基 本 的 考 え 方

景 観 に 関 し て は 、 地 理 学 に お い て 伝 統 的 に 類 型 化 が 行 わ れ て き た 。 そ の 中 で 特 に よ く 知 ら れ る の が 、 景 観 を 自 然 と 文 化 に 分 け て 説 明 す る 方 法 で あ る 。 サ ウ ア ー(

1925)は 景 観 形 態 学 を 提 唱 し 、景 観 を「 自 然 景 観 」と「 文 化 景 観 」

に 分 け た 。ま た サ ウ ア ー は 、「 現 在 あ る 景 観 は 長 い 歴 史 の 中 で 人 為 的 影 響 を 受 け 、次 第 に 変 化 し て い っ た 文 化 景 観 で あ る 」と し て い た こ と か ら「 自 然 景 観 」 に は 「 原 景 観 」 の 意 味 が 内 在 し て い る と 言 え る ( 中 村 和 郎 :

1991)。 こ れ を

受 け て 佐 野 充 他 (

2011) は 、 従 来 の 地 理 学 で 扱 わ れ て き た 「 自 然 景 観 」 や

「 文 化 景 観 」 と は 意 を 異 に し 、 現 代 の 景 観 を 対 象 と し て 、 あ く ま で 景 観 の 中 に お け る 要 素 の 強 さ を 表 現 す る 言 葉 と し て 、 自 然 的 な 要 素 の 強 い も の を 「 自

(11)

5

然 的 景 観 」、文 化 的 な 要 素 の 強 い も の を「 文 化 的 景 観 」と 位 置 付 け た 。ま た 一 方 で 、 神 吉 紀 世 子 (

2012) は 、 文 化 的 景 観 は 自 然 と 人 為 の 工 夫 さ れ た 関 係 の

上 に 成 立 す る 景 観 を 意 味 し て お り 、 そ の 意 味 に お い て 、 農 村 の 景 観 は 元 来 、 す べ て 文 化 的 景 観 の 範 疇 に 入 る も の で あ る と し て い る 。

以 上 の 様 に 、 景 観 は 様 々 な 類 型 化 が な さ れ て き た 。 本 論 文 で は こ れ ら を 受 け て 、景 観 を「 自 然 景 観 」「 自 然 的 景 観 」「 文 化 的 景 観 」「 都 市 景 観( 近 代 工 業 社 会 に よ り 生 じ た 景 観 )」 の

4

つ に 分 類 し た ( 図 ‐ 2 )。「 自 然 景 観 」 は 地 理 学 で 言 う 自 然 景 観 と 同 義 で あ り 、 人 の 手 が 加 わ ら な い か も し く は ほ と ん ど 加 わ っ て い な い 原 風 景( 例 え ば 、原 生 林 等 )で あ る 。対 し て「 自 然 的 景 観 」は 、 自 然 的 な 要 素 が 強 い も の の 、 信 仰 や 芸 術 の 対 象 に な っ て き た よ う な 文 化 ・ 歴 史 的 側 面 の あ る 景 観 ( 例 え ば 富 士 山 等 の 自 然 的 名 勝 ) で あ る 。 こ れ は 文 化 庁 が 「 農 林 水 産 業 に 関 連 す る 文 化 的 景 観 の 保 護 に 関 す る 調 査 研 究 報 告 書 」 の 中 で 選 択 し た 文 化 的 景 観 の 重 要 地 域 の 分 類 に お け る 「 ② 風 土 に 関 す る も の 」 に 相 当 す る と 考 え る 。 一 方 「 文 化 的 景 観 」 は 人 為 的 な 景 観 で あ る も の の 、 風 土 や 立 地 に 合 わ せ て 成 立 し て い る 景 観 ( 例 え ば 棚 田 等 の 農 村 景 観 お よ び 生 活 ・ 生 業 を 表 す 集 落 ・ 町 並 景 観 等 ) で あ り 、 神 吉 の 言 う 文 化 的 景 観 に 類 似 す る 。 最 後 に「 都 市 景 観( 近 代 工 業 社 会 に よ り 生 じ た 景 観 )」は 地 域 の 特 性 や 風 土 に 関 係 な く 成 立 す る 景 観 ( 例 え ば 都 心 部 の ビ ル 群 、 近 代 ・ 画 一 化 さ れ た 農 業 景 観 等 ) で あ り 、 人 為 的 な 活 動 の 圧 力 は 最 も 高 く な る 。

こ れ ら

4

つ に 分 類 し た 内 、「 自 然 的 景 観 」 と 「 文 化 的 景 観 」 に つ い て は 、 文 化 的 側 面( 歴 史 的 な 背 景 や 地 域 風 土 と の 関 連 )が あ る こ と か ら 、広 義 の「 文 化 的 景 観 」 と 捉 え る こ と が で き 、 本 論 文 で は こ の 広 義 の 文 化 的 景 観 を 「 文 化 的 景 観 」 と し て 扱 っ た 。

(12)

6

自然景観 自然的景観 文化的景観 都市景観( 近

よりた景

人為的な活動の圧力 強 広義の「文化的景観」

地理学自然景観 文化景観

図 ‐

2 本 論 文 に お け る 景 観 の 分 類

1 - 5 文 化 的 景 観 に 関 す る 研 究

文 化 的 景 観 に 関 す る 研 究 は 、 戦 後 に お い て 農 業 土 木 学 、 歴 史 学 、 地 理 学 等 の 分 野 で 大 き く 発 展 し た 。 特 に 自 然 科 学 の 分 野 で は 、 人 間 の 営 為 と の 関 わ り の 中 で 多 様 な 生 物 種 が 生 息 す る 農 林 水 産 業 の 地 域 が 生 態 系 の 維 持 に 重 要 な 役 割 を 果 た し て い る こ と が 明 ら か と な っ て い る 。 ま た 、 文 化 財 保 護 法 の 施 行

2005

年 ) に よ る 文 化 的 景 観 へ の 関 心 の 高 ま り か ら 、

21

世 紀 初 頭 に 研 究 が 多 く な っ て い る 。 特 に 歴 史 的 建 築 群 や 集 落 、 遺 跡 ・ 構 造 物 に 関 す る 研 究 ( 川 井 田 祥 子 :2013,天 満 類 子 他 :2013,中 山 清 美 :

2013,沢 一 馬

他 :

2013,

古 賀 由 美 子 他:2011,松 本 将 一 郎 他:2009,マ テ オ・ダ リ オ

-

パ オ ル ッ チ 他:

2005) が 多 く 見 ら れ 、 一 方 で 、 産 業 ・ 生 業 に よ っ て 特 徴 付 け ら れ る 農 村 景 観

に 関 す る 研 究 、例 え ば 茶 園 景 観 の 空 間 構 成( 木 村 真 也 他:2012,荒 井 歩 他 :

2010)や 油 料 ヤ ブ ツ バ キ 林 の 変 遷 ( 巽 二 郎

他 :

2003)、 カ ヤ 生 産 ( 和 田 尚 子

他 :

2007)、 ヨ シ 生 産 の 変 遷 と 植 生 管 理 に 関 す る 研 究 ( 西 村 大 志

他 :

2012,

南 里 美 緒 他 :

2009)、 伝 統 工 芸 の 生 産 に 関 連 す る 景 観 に 関 す る 研 究 ( 丸 谷 耕

他 :

2011, 2012) 等 が あ る 他 、 環 境 に 合 わ せ た 文 化 的 景 観 と し て 海 岸 林

に 注 目 し た 研 究 ( 石 川 幹 子 他 :

2013

) も 挙 げ ら れ る 。 さ ら に 、 こ う い っ た 文 化 的 景 観 を 観 光 に 活 か す た め の 研 究 ( 横 山 秀 司 他 :

2013) も 進 め ら れ て

(13)

7

い る 。 し か し 、 人 と 植 物 と の 関 わ り に よ っ て で き る 地 域 景 観 、 そ の 中 で も わ が 国 の 文 化 的 景 観 の 中 心 的 存 在 で あ る 重 要 文 化 的 景 観 を 底 で 支 え て い る 、 す な わ ち そ の 裾 野 を 形 成 し て い る ご く 普 通 の 文 化 的 景 観 に 着 目 し た 緑 地 学 的 な 研 究 ( 人 の 生 活 と 調 和 し た 緑 地 環 境 を 創 造 す る た め の 基 礎 的 研 究 や 保 全 育 成 の た め の 技 術 的 研 究 ) は 多 い と は 言 え な い 。

こ れ に 対 し 、 文 化 的 景 観 の 保 全 に 関 し て 南 里 美 緒 他 (

2009) は 、 文 化 的

景 観 は 人 々 の 営 為 の 変 化 に 呼 応 し て 変 化 し 続 け る と い う 特 徴 を 有 す る こ と か ら 、保 全 す べ き 景 観 構 成 要 素 が 、対 象 地 域 に 暮 ら す 人 々 の 営 為 の 変 化 に 伴 い 、 ど う 変 化 し て き た か 理 解 し た 上 で 、 そ の 具 体 的 な 施 策 を 検 討 す る 必 要 が あ る と し て い る 。 一 方 、 神 吉 紀 世 子 (

2011) は 、 あ る 種 の 変 化 を 許 容 し つ つ 、 そ

の 変 化 の 評 価 や 制 御 に つ い て 考 察 す べ き と い う「 進 化 的 保 全 」の 概 念 を 挙 げ 、 事 例 に よ っ て 、 ど の よ う な 状 態 を 「 保 全 さ れ て い る 」 あ る い は 「 失 わ れ て し ま っ た 」 と 見 な す か は そ れ ぞ れ 検 討 さ れ る べ き と し て い る 。 ま た 、 深 町 加 津 枝 (

2000) は 循 環 的 な 資 源 利 用 の 場 で あ り 、 地 域 独 特 の 風 景 を 呈 す る と と も

に 地 域 社 会 や そ れ を 構 成 す る 人 の あ り 方 と 深 い 関 わ り 合 い を 持 っ て き た 農 村 景 観 の 成 立 過 程 の 理 解 と 文 化 の 保 全 に は 、 ① 景 観 が 形 成 さ れ て き た 文 化 的 要 因 、 ② 土 地 利 用 等 の 人 の 営 み が ど の よ う な 規 模 や 頻 度 、 場 所 で 起 こ っ て き た の か 、 ③ 人 為 的 撹 乱 の 規 則 性 が 生 態 的 に ど の よ う な 意 味 を 持 ち 、 そ の 結 果 と し て の 景 観 の 特 徴 は ど の よ う な も の か に つ い て 客 観 的 に 把 握 す る 必 要 が あ る と し て い る 。 こ の た め 、 文 化 的 景 観 を 緑 地 学 的 視 点 ( 景 観 を 形 成 し て き た 植 物 と 人 の 関 わ り の 歴 史 と 現 状 、 土 地 利 用 の 変 遷 等 ) か ら 、 様 々 な 事 例 に つ い て 調 査 ・ 研 究 す る こ と は 意 義 あ る こ と と 考 え る 。

1 - 6 研 究 の 目 的

文 化 的 景 観 は 人 の 生 活 と 密 接 に 関 わ っ て 形 作 ら れ た も の で あ り 、 歴 史 的 な も の で も あ る 一 方 で 動 態 的 な も の で も あ る 。 そ れ ゆ え 文 化 的 景 観 は い か に 価

(14)

8

値 が 高 い も の で あ っ て も 産 業 や 生 活 の 変 化 に 伴 っ て 変 化 を 余 儀 な く さ れ る 場 合 が 多 く 、 そ の 保 全 は 急 務 と 言 え る 。 ま た 、 そ の 保 全 に 関 し て は 、 文 化 的 景 観 が 成 立 し て き た 過 程 、 文 化 的 要 因 、 人 の 関 わ り 、 生 態 的 意 義 等 を 把 握 す る こ と が 重 要 で あ る こ と が 指 摘 さ れ て き た 。 す な わ ち 、 植 物 と の 密 な 関 わ り 、 あ る い は そ れ に よ っ て 生 じ る 固 有 の 地 域 景 観 に つ い て 、 特 に 時 代 変 遷 に 伴 う 存 在 意 義 の 変 化 と そ の 啓 発 に 対 し て 検 討 を 加 え る こ と は 文 化 的 景 観 の 保 全 に と っ て 意 義 あ る こ と で あ る と 考 え る 。 そ こ で 本 論 文 で は 、 利 用 ・ 観 賞 ・ 管 理 さ れ て き た 野 生 ま た は 栽 培 の 植 物 に 注 目 し 、 対 象 植 物 や 重 要 文 化 的 景 観 に 指 定 さ れ て い な い 文 化 的 景 観 の 事 例 を 通 じ て 、 そ の 生 育 環 境 お よ び 関 わ り の 歴 史 や 土 地 利 用 等 を 調 査 研 究 す る こ と で 、 文 化 的 景 観 の 再 評 価 や 創 出 の 可 能 性 を 検 討 す る こ と を 目 的 と し た 。

1 - 7 研 究 方 法

文 化 的 景 観 の 保 全 と 創 出 の た め に は 、 文 化 的 景 観 の 再 評 価 ( 特 徴 の 把 握 ) と 創 出 に 向 け た 技 術 開 発 が 必 要 で あ る 。 そ こ で 本 論 文 で は 、 重 要 文 化 的 景 観 に 選 定 さ れ て は い な い も の の 、 文 化 的 景 観 の 裾 野 と な る 利 用 ・ 観 賞 ・ 管 理 さ れ て き た 野 生 ・ 栽 培 植 物 を 対 象 に 、 ま ず 、 文 化 的 景 観 を 構 成 す る 植 物 と の 関 わ り の 歴 史 の 把 握 を 行 い 、 そ の 具 体 的 な 生 育 立 地 と 生 育 特 性 に つ い て の 調 査 を 行 っ た 。 次 に 現 代 に お け る 文 化 的 景 観 の 事 例 地 に お い て そ の 成 立 過 程 や 特 徴 に つ い て 調 査 を 行 い 、 文 化 的 景 観 を 再 評 価 す る と と も に 、 そ の 保 全 に つ い て 考 察 し た 。最 後 に 、文 化 的 景 観 を 創 出 す る た め の 技 術 開 発 の 検 討 を 行 っ た 。 こ れ ら を 通 し て 、 過 去 と 現 代 に お け る 文 化 的 景 観 に つ い て 歴 史 的 視 点 と 空 間 的 視 点 ( 生 態 的 特 徴 や 立 地 特 性 等 ) か ら 調 査 ・ 考 察 し た 。

1 - 8 研 究 の 構 成

具 体 的 に は 、 第 二 章 で 、 ① 資 料 の 少 な い 万 葉 ~ 平 安 期 に お け る 植 物 や 植 生

(15)

9

に 対 す る 働 き か け に つ い て 、 歴 史 的 資 料 か ら 時 代 毎 の 変 遷 の 推 察 、 ② 七 草 に 代 表 さ れ る 古 来 よ り 人 々 に 認 知 さ れ て き た 植 物 の 里 山 空 間 で の 生 育 立 地 及 び 生 態 的 特 性 ( 農 的 攪 乱 と の 関 係 ) の 把 握 、 第 三 章 で は 、 伝 統 的 利 用 に 即 し た 栽 培 植 物 に つ い て 、 そ の 植 物 資 源 利 用 の 歴 史 や 地 域 景 観 の 中 で の 位 置 づ け や 現 状 ・ 変 遷 の 検 討 、 第 四 章 で は 、 人 々 に 親 し ま れ て き た 草 花 の 生 育 立 地 と し て の 良 質 な 半 自 然 草 地 の 復 元 ・ 創 出 に 向 け た 畦 畔 植 生 の 表 土 移 植 に よ る 植 生 復 元 試 験 等 を 行 っ た 。 こ れ ら に よ り 、 利 用 ・ 観 賞 さ れ る こ と で 人 里 周 辺 に 生 育 し て き た 植 物 ・ 植 生 の 利 用 及 び 生 育 立 地 の 変 遷 、 生 態 的 特 性 ( 人 為 的 管 理 と の 関 係 ) の 把 握 、 生 育 場 所 の 保 全 及 び 復 元 手 法 等 を 検 討 し た 。

1.

古来より人里周辺に生育し、人々に認知 されてきた植物の変遷と生育立地(二章)

万葉集および平安期までの勅撰和歌集 から当時の生育立地や植物利用を整理

生育立地及び生態的特性を実態調査

2.

地域の重要な景観要素となってきた

栽培植物の動態(三章)

生物資源利用の歴史やそれに伴う土地 利用の変遷を事例地で調査

3.

半自然草地の生育地の復元・創出の 可能性(四章)

畦畔植生の表土移植実験

生態的特性(特に人為的 管理との関係)の把握

生育場所の保全及び、復元 手法の検討

文化的景観の再評価と保全及び修復・創出に向けた課題・可能性の検討(五章)

序論(一章)

利用及び生育立地の変遷 の整理

図 ‐

3 研 究 の 構 成

(16)

10

第 二 章 古 来 よ り 認 知 さ れ て き た 植 物 の 変 遷 と 生 育 立 地

2 - 1 万 葉 集 お よ び 平 安 の 勅 撰 和 歌 集 に み る 植 物 に 対 す る 行 為 2 - 1 - 1 は じ め に

わ が 国 最 古 の 造 園 技 術 書 は 、平 安 時 代 末 期(

1040

年 頃 )に 成 立 し た と い わ れ る「 作 庭 記 」と さ れ 、農 書 ・ 園 芸 書 と し て は 、古 い も の で も

1564

年 の「 親 民 観 月 集 」 と さ れ る 。 そ の 後 、 特 に 江 戸 時 代 に か け て 多 く の 農 書 や 技 術 書 が 発 刊 さ れ る が 、 古 代 か ら 中 世 に か け て の 緑 化 に 関 す る 資 料 は 少 な い の が 実 状 で あ る 。

飯 塚 隼 弘 他 (

2010) に よ れ ば 、 わ が 国 の 意 図 的 な 緑 化 は 、 古 墳 時 代 ~ 弥

生 時 代 ま で そ の 起 源 が 遡 れ る と す る が 、 中 世 以 前 の 緑 化 に つ い て は 断 片 的 な 情 報 に 止 ま っ て い る 。 例 え ば 、 河 原 武 敏 (

1999

) は 古 代 の 様 々 な 文 献 資 料 か ら 当 時 の 庭 園 植 栽 の 内 容 を 明 ら か に し て い る 。 同 様 に 飛 田 範 夫 (

2002) も 古

代 の 文 献 資 料 に 加 え 、 発 掘 調 査 結 果 か ら 庭 園 植 栽 の 歴 史 に つ い て 考 察 し て い る 。し か し 、こ れ ら は 庭 園 と い う 、あ る 限 ら れ た 空 間 に 対 し て の も の で あ る 。 一 方 で 、 日 本 人 は 古 来 よ り 生 活 の 周 囲 の 自 然 ~ 半 自 然 空 間 か ら 植 物 を 取 り 込 み 、 様 々 に 利 用 し て お り 、 植 物 に 対 す る 行 為 ・ 働 き か け は 、 今 日 の 緑 化 文 化 に ま で 連 綿 と 繋 が っ て い る と 考 え ら れ る 。 こ の た め 、 体 系 化 さ れ た 技 術 書 が 作 ら れ る 以 前 の 様 々 な 文 献 資 料 か ら そ の 時 代 の 植 物 に 対 す る 行 為 内 容 を 読 み 取 る 作 業 が 必 要 と な る 。 そ こ で 本 研 究 で は 、 古 代 か ら 中 世 の 和 歌 集 を 対 象 に 植 物 が 詠 み 込 ま れ た 歌 を 抽 出 し 、 当 時 の 植 物 に 対 す る 行 為 を 把 握 す る こ と で 人 と 植 物 の 関 わ り の 歴 史 的 変 遷 に つ い て 考 察 し た 。 な お 、 古 典 文 学 に 登 場 す る 植 物 の 研 究 は 、植 物 種 の 特 定 や 分 類 を 試 み た 研 究( 末 竹 淳 一 郎:2003-2005 田 中 千 晶:2004)の 他 、植 物 に 関 す る 記 載 内 容 を 検 証 し た 研 究( 岡 田 喜 久 男 :

1975-1992)、万 葉 時 代 の 植 生 景 観 に つ い て 考 察 し た 研 究( 服 部 保

他 :

2010)

等 が あ る が 、 古 代 か ら 中 世 の 和 歌 集 を 基 に そ の 時 代 の 植 物 に 対 す る 人 の 行 為

(17)

11

と い う 視 点 で の 研 究 は 見 受 け ら れ な か っ た 。

2 - 1 - 2 調 査 対 象

古 代 か ら 中 世 の 文 献 資 料 と し て は 、 日 記 や 物 語 、 漢 文 、 漢 詩 等 が あ る が 、 本 研 究 で は ① 様 々 な 身 分 の 人 々 が 詠 ん だ 歌 が 収 録 さ れ て い る 日 本 最 古(

5

8

世 紀 の 歌 を 編 纂 ) の 和 歌 集 で あ る 万 葉 集 、 お よ び ② 天 皇 や 上 皇 の 命 に よ り 編 纂 さ れ た 勅 撰 和 歌 集 を 対 象 と し て 調 査 を 行 っ た 。 い ず れ も 家 集 や 自 撰 集 等 の 個 人 の 選 集 で は な く 、 各 編 纂 時 期 の 歌 が 最 も 網 羅 的 に 集 め ら れ て い る 和 歌 集 で あ り 、 比 較 ・ 検 討 が 可 能 な 文 献 資 料 と 判 断 し 、 本 研 究 で 用 い た 。 な お 、 勅 撰 和 歌 集 は

905

年 か ら

1439

年 の

534

年 間 に 全 部 で

21

集 が 成 立 し て い る が 、 本 研 究 で は 平 安 時 代 に 成 立 し た 初 期 の 第

1

集 ~ 第

7

集 お よ び 平 安 期 に 詠 ま れ た 歌 が 多 く 載 っ て い る と 考 え ら れ る 鎌 倉 時 代 初 期 に 成 立 し た 第

8

集 目 の 新 古 今 和 歌 集 を 加 え た 計

8

集 を 対 象 と し た 。 各 和 歌 集 の 成 立 年 と 巻 数 、 歌 数 等 は

-1

に 示 し た 。

表 ‐

1 対 象 和 歌 集 の 概 要 と 時 代 区 分

2 - 1 - 3 研 究 方 法

対 象 で あ る 和 歌 集 か ら 植 物 が 詠 み 込 ま れ た 歌 を 抽 出 し 、 そ の 植 物 種 ・ 種 群 を 特 定 し て 集 計 し た 。 ま た 、 歌 の 中 に 直 接 植 物 が 詠 み 込 ま れ て い な い 場 合 で も 、題 名 や 詞 書 、題 詞( 和 歌 や 俳 句 の 前 書 き と し て 、そ の 作 品 の 動 機 、主 題 、

和歌集名 下命者 編者 成立年 巻数 歌数 時代区分

万葉集 大伴家持 759年 20巻 4,516首 奈良時代

古今和歌集 醍醐天皇 紀友則、紀貫之、凡河内躬恒、壬生忠岑 905年 20巻 1,100首 平安時代初期 後撰和歌集 村上天皇 大中臣能宣、清原元輔、源順、紀時文、坂上望城 957-959年 20巻 1,425首 平安時代初期

拾遺和歌集 花山院 花山院 1005-07年 20巻 1,351首 平安時代初期

後拾遺和歌集 白河天皇 藤原通俊 1087年 20巻 1,218首 平安時代中期

金葉和歌集 白河院 源俊頼 1126年 10巻 665首 平安時代中期

詞花和歌集 崇徳院 藤原顕輔 1151年頃 10巻 415首 平安時代中期

千載和歌集 後白河院 藤原俊成 1188年 20巻 1,288首 平安時代後期

新古今和歌集 後鳥羽院 源通具、藤原有家、藤原定家、飛鳥井雅経、寂蓮 1205年 20巻 1,978首 平安時代後期

(18)

12

成 立 事 情 等 を 示 し た も の ) に 植 物 の 記 述 が あ る も の は 抽 出 し た 。 そ の 際 、 特 に 万 葉 集 に つ い て は 植 物 名 の 変 遷 に よ り 歌 中 の 植 物 種 ・ 種 群 に つ い て 諸 説 あ る も の も 多 い が 、 本 研 究 で は 万 葉 集 に 歌 わ れ た 植 物 を 最 も 網 羅 的 に 解 説 し た 大 貫 茂 著 「 萬 葉 植 物 事 典 」 に 依 っ て 集 計 を 行 っ た 。 な お 、 ア カ ネ や ヌ バ タ マ 等 、 枕 詞 や 序 詞 と し て 用 い ら れ 、 直 接 花 や 葉 等 の 植 物 体 が 詠 ま れ て い な い 歌 も あ る が 、 こ れ ら は 例 え ば 根 に よ る 染 め 物 ( ア カ ネ ) や 種 子 の 漆 黒 ( ヌ バ タ マ ) と い っ た 植 物 の 特 徴 に 由 来 す る 枕 詞 等 で あ り 、 詠 む 際 に は そ の 植 物 を 連 想 す る と 考 え ら れ る た め 、 本 研 究 で は 他 の 歌 同 様 に 扱 っ た 。

抽 出 さ れ た 植 物 の う ち 、 木 、 草 、 花 等 の 植 物 名 が 特 定 で き な い も の は 植 物 の 種 類 数 の 分 析 に は 用 い ず 、行 為( 後 述 )の み 抽 出 し た 。な お 、「 モ ミ ジ 」は 必 ず し も 植 物 分 類 学 的 な カ エ デ 類 に 限 ら ず 、 紅 葉 し た 葉 と い う 意 味 で 詠 ま れ る こ と が 多 い た め 、「 紅 葉 」と し て 植 物 種 類 数 の 分 析 に は 用 い な か っ た 。そ し て 歌 の 現 代 語 訳 を 確 認 し 、植 物 に 対 す る 行 為( 例 え ば 見 る 、折 る 、植 え る 等 ) を 集 計 し た 。 現 代 語 訳 の 確 認 は 、 万 葉 集 は 、 小 島 憲 之 、 木 下 正 俊 、 佐 竹 昭 広 訳「 完 訳 日 本 の 古 典 萬 葉 集 」、勅 撰 和 歌 集 は 、小 島 憲 之 他「 新 日 本 古 典 文 学 大 系 」 を 基 に 行 っ た 。 ま た 、

1

首 の 中 に 複 数 の 植 物 が 詠 み 込 ま れ て い る 場 合 は 、 現 代 語 訳 を 基 に 行 為 の 対 象 と な っ て い る 植 物 種 を 特 定 し た 。 植 物 を 加 工 し た も の が 詠 ま れ て い る 場 合 は 、 加 工 物 と し て 行 為 と は 別 に 集 計 し た 。

次 に 、対 象 の 和 歌 集 に 詠 ま れ た 植 物 と 植 物 に 対 す る 行 為 の 変 遷 を 見 る た め 、 勅 撰 和 歌 集

8

集 を 編 纂 さ れ た 年 代 を 基 に 平 安 時 代 初 期 (

794

年 ~

10

世 紀 )、

中 期 (

10~ 11

世 紀 中 頃 )、 後 期 (

11

世 紀 後 半 ~

1185

年 ) に 区 分 し 、 万 葉 集 の 奈 良 時 代 と 合 わ せ て

4

つ の 時 代 区 分 を 設 け た ( 表 ‐

1)。 そ し て 各 時 代 区 分

に 詠 ま れ た 植 物 と 植 物 に 対 す る 行 為 の 種 類 の 割 合 に つ い て 集 計 し た 。

1

つ の 時 代 区 分 に 複 数 の 和 歌 集 が 含 ま れ る 場 合 は 、 和 歌 集 毎 の 割 合 を 平 均 し た 値 を 用 い た 。 ま た 、 植 物 に 対 す る 行 為 の 主 要 な も の に つ い て は 、 そ の 行 為 が 行 わ れ る 対 象 と な る 植 物 種 の 変 遷 を み た 。 そ の 際 、 植 物 名 が 特 定 で き な い 「 花 」

(19)

13

「 草 」「 紅 葉 」「 藻 」 と い っ た 総 称 も 比 較 的 多 か っ た た め 項 立 て た 。

2 - 1 - 4 結 果 ・ 考 察

今 回 調 査 し た

9

つ の 和 歌 集 に お い て 、 植 物 が 詠 ま れ て い た 歌 は 計

4,171

で 、

201

種 類 の 植 物 が 確 認 さ れ た ( 表 ‐

2

)。 各 和 歌 集 の 総 歌 数 に 対 す る 割 合

22.3

% ~

36.5

% 、 平 均 は

27.9

% で あ り 、 特 に 万 葉 集 で 高 い 割 合 と な っ て い た 。 そ の 中 で 植 物 に 対 す る 行 為 が 詠 ま れ た 歌 は 計

1,449

首 で 、

149

種 類 の 行 為 が 確 認 さ れ た 。割 合 は

4.2% ~ 16.1

% 、平 均

8.5

% で あ り 、行 為 に つ い て も 万 葉 集 が 他 の 和 歌 集 よ り も 高 く な っ て い た 。

以 下 の 分 析 に お い て 留 意 し な け れ ば な ら な い こ と は 、 万 葉 集 が 貴 族 階 級 の み な ら ず 農 民 や 防 人 ま で 幅 広 い 身 分 の 者 が 詠 ん だ 歌 が 収 録 さ れ て い る の に 対 し 、 勅 撰 和 歌 集 は 基 本 的 に 貴 族 階 級 が 詠 み 人 で あ る 点 で あ る 。 す な わ ち 、 時 代 区 分 に よ る 差 で は な く 、 そ の 詠 み 人 の 身 分 層 の 厚 み の 差 や 詠 ん だ 場 所 の 違 い ( 特 に 勅 撰 和 歌 集 は 奈 良 の 都 周 辺 で の 歌 に 偏 る 可 能 性 が あ る ) が 和 歌 集 毎 の 植 物 に 対 す る 行 為 や そ の 多 様 性 に 反 映 さ れ た 可 能 性 が 否 定 で き な い こ と で あ る 。 た だ し 、 本 研 究 対 象 の 和 歌 集 は 編 者 の あ る 選 集 で あ り 、 各 時 代 の 優 れ た 歌 が 集 め ら れ た も の で あ り 、 こ の 当 代 第 一 級 の 文 化 的 表 現 の 中 で の 種 類 数 や 行 為 数 の 消 長 に は 、 そ の 時 代 の 嗜 好 が よ り 強 く 反 映 さ れ て い る と 著 者 は 考 え る 。 必 ず し も 当 時 の 人 々 の 実 際 の 意 識 や 行 為 の 割 合 と 直 接 連 動 し て い る 訳 で は な い が 、 各 時 代 の 傾 向 は 十 分 読 み 取 れ る も の と し て 考 察 す る 。

(20)

14

表 ‐

2 詠 ま れ て い た 植 物 お よ び 行 為 の 歌 数

名称 歌数 植物の詠まれていた

首数(%)

詠まれていた 種数

行為の詠まれていた 首数(%) 万葉集 4,516首 1650(36.5%) 157 726(16.1%)

古今和歌集 1,100首 324(29.5%) 59 121(11.0%)

後撰和歌集 1,425首 317(22.3%) 47 134( 9.4%)

拾遺和歌集 1,351首 384(28.4%) 67 134( 9.9%)

後拾遺和歌集 1,218首 341(28.0%) 49 92( 7.6%)

金葉和歌集 665首 193(29.0%) 42 40( 6.0%)

詞花和歌集 415首 104(25.1%) 28 21( 5.1%)

千載和歌集 1,288首 319(24.8%) 51 98( 7.6%)

新古今和歌集 1,978首 538(27.2%) 57 83( 4.2%)

平均 463.3(27.9%) 61.9 161.0(8.5%)

歌 数 が 突 出 し て 多 い 万 葉 集 ( 全

4,516

首 ) に お い て 、 先 の 植 物 や 植 物 に 対 す る 行 為 の 詠 ま れ る 割 合 の 高 さ は 、 特 に 奈 良 時 代 の 和 歌 で は 自 身 の 心 情 を 植 物 に 託 し て 詠 う ス タ イ ル が 定 着 し て い た た め と 考 え ら れ 、 そ れ と 連 動 し て そ の 植 物 に 対 す る 行 為 に つ い て も 高 く な っ た と 推 察 さ れ る 。

和 歌 集 に 詠 ま れ た 植 物 の 種 類 で は 、

9

つ の 和 歌 集 を 合 わ せ る と マ ツ が

437

首(

10.5

% )と 最 も 多 く 、次 い で サ ク ラ

383

首(

9.2

% )、ウ メ

282

種(

6.8

% )、

ハ ギ

249

種(

6.0

% )、イ ネ

106( 2.5

% )と 続 い た 。歌 数 の 多 い 上 位

4

種 類 は い ず れ も 木 本 植 物 で あ り 、 こ れ ら は 時 代 区 分 に よ っ て 順 位 の 入 れ 替 え は 認 め ら れ る も の の 、 ほ ぼ 常 に 上 位 に 位 置 し て い た 。 す な わ ち 、 奈 良 時 代 ~ 平 安 時 代 を 通 じ て 長 寿・吉 兆 の シ ン ボ ル( マ ツ )、そ し て 花( サ ク ラ・ウ メ・ハ ギ ) と い っ た 、 呪 術 ・ 信 仰 的 あ る い は 視 覚 的 に 特 徴 の あ る 永 年 性 植 物 が 好 ま れ る 傾 向 が 認 め ら れ た 。

次 に 時 代 区 分 別 で の 割 合 の 変 遷 を み る と 、 大 き な 変 動 が 認 め ら れ た の は サ ク ラ 、 マ ツ 、 キ ク 、 ハ ギ で あ っ た ( 図 ‐

4)。 サ ク ラ お よ び マ ツ は 、 奈 良 時 代

は 特 段 高 い 割 合 で は な か っ た が 、 平 安 時 代 に 入 る と 詠 ま れ る 割 合 が 急 増 し 、 特 に 平 安 中 期 に 最 大 ( サ ク ラ :

18.9

% 、 マ ツ :

15.7

% ) と な っ て い た 。 サ

(21)

15

ク ラ に つ い て は 当 時 の 先 進 国 と し て の 中 国 文 化 崇 拝 か ら 国 風 文 化 高 揚 へ の 移 行 に よ り 、 花 の 代 名 詞 が ウ メ か ら サ ク ラ へ 転 換 す る の と 連 動 し て こ の よ う な 推 移 が 生 じ た と 推 察 さ れ る 。 一 方 、 マ ツ の 割 合 の 増 加 に つ い て は 明 確 な 理 由 は 不 明 で あ る が 、 奈 良 時 代 に は 「 そ の 他 」 の 種 類 数 の 多 さ に よ っ て そ の 割 合 が 少 な く な っ た と 考 え ら れ る 。 ま た 、 キ ク は 奈 良 時 代 は わ ず か

1

首 で あ っ た の が 、 平 安 時 代 に な る と 初 期 か ら 後 期 に か け て 一 定 の 割 合 (

4

% 前 後 ) で 詠 ま れ て い た 。 こ れ は 、 奈 良 時 代 に は 、 既 に 大 陸 か ら 薬 と し て 渡 来 し て い た 家 菊 が 、 平 安 時 代 以 降 鑑 賞 の 対 象 と な っ て い っ た た め と 考 え ら れ る 。 一 方 、 万 葉 集 で 詠 ま れ た

1

首 は 野 菊 の モ モ ヨ グ サ で あ り 、 こ れ は 当 時 は 在 来 の 野 菊 が 詠 む 対 象 と し て は さ ほ ど 認 識 さ れ な か っ た 可 能 性 を 示 唆 す る も の で あ る 。

一 方 、ハ ギ は 奈 良 時 代 は 最 も 多 く 詠 ま れ て い た(

8.6

% )に も 関 わ ら ず 、平 安 時 代 に 入 る と そ の 割 合 は 急 減 し 、 さ ら に 時 代 区 分 が 下 る に つ れ て 割 合 が 低 下 し て い た ( 平 安 後 期 :

3.2% )。 こ れ は 、 万 葉 集 で は ハ ギ は 特 定 の 用 語 と 合

わ せ て 詠 ま れ る 歌 が 多 く 、恋 心( 鹿 の 音 )や 心 変 わ り( 露 )、無 常 観( 花 の 散 り 際 ) 等 、 心 情 を 託 す 対 象 と し て 最 も 好 ま れ た 植 物 で あ っ た た め と 考 え ら れ る 。し か し 、平 安 時 代 に は こ の 嗜 好 が 弱 ま っ た こ と 、ま た 前 述 の よ う サ ク ラ ・ マ ツ の 割 合 が 急 増 し た 結 果 、 相 対 的 に ハ ギ の 割 合 が 減 少 し た た め と 考 え ら れ る 。 な お 、 ハ ギ 程 で は な い が 、 時 代 区 分 が 下 る に 連 れ て 漸 減 し た も の に ウ メ が あ る が 、 こ れ も サ ク ラ ・ マ ツ の 割 合 の 増 加 が 影 響 し て い る と 考 え ら れ る 。 こ れ ら に 対 し 、

4

つ の 時 代 区 分 を 通 じ て ほ ぼ 一 定 の 割 合 で 詠 ま れ て い た の が ス ス キ 、 イ ネ 、 タ ケ 、 ヤ マ ブ キ で あ る が 、 そ の 割 合 は

1.1

3.5

% 程 度 と 低 か っ た 。

(22)

16

0 20 40 60 80 100

平安時代後期 平安中期 平安初期

奈良時代 サクラ

モミジ ウメ マツ ハギ キク ススキ イネ タケ ヤマブキ

その他

図 ‐

4 植 物 の 割 合 の 変 遷

植 物 に 対 す る 行 為 の 割 合 で は 、 い ず れ の 時 代 区 分 で も 「 見 る ・ 見 せ る 」 の 割 合 が 最 も 多 く 、 特 に 平 安 中 期 で 最 大 (

32.7

% ) と な っ て い た ( 図 ‐

5

)。 こ れ は 特 に 花 を 含 め 植 物 を 視 覚 的 に 捉 え て 和 歌 に 詠 む た め と 考 え ら れ , 特 に 後 述 す る よ う 平 安 中 期 か ら の サ ク ラ を 鑑 賞 す る こ と の 普 及 も 関 与 し て い る 。 一 方 、 平 安 時 代 と 比 べ て 奈 良 時 代 は 「 そ の 他 」 に 分 類 さ れ る 割 合 が 圧 倒 的 に 多 い の が 特 徴 的 で あ っ た 。 こ れ は 、 植 物 の 詠 ま れ た 歌 数 の 多 さ に 加 え 、 詠 ま れ た 植 物 の 種 類 が 平 安 時 代 の 勅 撰 和 歌 集 ( 平 均

50

種 類 ) に 比 べ て 奈 良 時 代 は

157

種 類 と 著 し く 多 く 、 奈 良 時 代 の 「 そ の 他 」 に 含 ま れ る 行 為 の 種 類 の 多 さ は 、当 時 の「 植 物 と の 多 様 な 関 わ り 」の 存 在 を 裏 付 け る も の で あ る 。例 え ば 、 奈 良 時 代 で は「 挿 す( 主 に 髪 に 植 物 を 挿 す )」の 割 合 が 平 安 時 代 に 比 べ て 高 く 、 ま た 、「 そ の 他 」に は「 貫 く( 実 等 を 紐 に 通 し て 首 飾 り に す る )」「 身 に 付 け る 」

「 染 め る 」「 蘰( 髪 飾 り )に す る 」等 も 含 ま れ 、特 に 奈 良 時 代 に は 身 を 飾 る 素 材 と し て 日 常 的 に 植 物 を 用 い て い た と 考 え ら れ る 。

(23)

17

0 20 40 60 80 100

平安

j

時代 後期 平安時代

中期 平安時代

初期 奈良時代

見る・見せる 折る

刈る 植える 摘む・採る 挿す 貫く 結ぶ 抜く 染める その他

%

図 ‐

5

植 物 に 対 す る 行 為 の 割 合 の 変 遷

植 物 に 対 す る 行 為 の 中 か ら 、 植 栽 や 植 生 管 理 等 、 特 に 緑 化 に 関 わ る 行 為 を 抽 出 し た も の を 図 ‐

6

に 示 し た 。植 栽 に 関 す る 行 為 と し て は「 蒔 く 」「 植 え る 」

「 刺 す ( 挿 し 木 )」 の

3

つ が 認 め ら れ 、 ど の 時 代 区 分 も 「 植 え る 」 の 割 合 が 高 く な っ て い た 。 一 方 、「 刺 す 」 は 奈 良 時 代 の み で あ り 、「 蒔 く 」 も 奈 良 時 代 以 降 激 減 し 、 平 安 時 代 中 期 か ら は 全 く 詠 ま れ な く な っ た 。 す な わ ち 、 植 栽 に 関 す る 行 為 は 時 代 が 下 る に つ れ て そ の 多 様 性 が 低 下 し て い る こ と が 明 ら か に な っ た 。 詠 む 対 象 と し て の 植 栽 に 関 わ る 行 為 の 多 様 性 の 低 下 は 、 そ の 時 代 に は 興 味 ・ 関 心 が 薄 れ た こ と を 示 唆 す る も の で あ る 。

植 生 管 理 に 関 す る 行 為 と し て は 「 抜 く 」「 切 る 」「 刈 る 」「 伐 る 」「 焚 く ・ 焼 く 」 の

5

つ が 認 め ら れ た 。 割 合 的 に は 「 刈 る 」 が 多 か っ た が 、 平 安 時 代 中 期 の み「 抜 く 」の 割 合 が 高 く な っ て い た 。こ れ は 、「 マ ツ を 抜 く 」と い う フ レ ー ズ が 返 歌 に よ り 繰 り 返 し 詠 ま れ た た め で あ る 。 こ の 返 歌 に よ る 繰 り 返 し の よ う な 、 時 代 に よ る 特 定 の 歌 の 詠 み 方 の 流 行 が 影 響 し て い る 可 能 性 が 強 く 、 割 合 の 変 遷 に つ い て は そ の 解 釈 に 注 意 が 必 要 で あ る 。ま た 、「 焚 く ・ 焼 く 」行 為

(24)

18

も 各 時 代 区 分 を 通 じ て 一 定 割 合 あ り 、 野 焼 き に よ る 植 生 遷 移 の コ ン ト ロ ー ル が 常 に 行 わ れ て き た こ と が 示 さ れ た 。

0% 20% 40% 60% 80% 100%

平安時代後期 平安時代中期 平安時代前期

奈良時代 蒔く

植える 刺す

(

挿し木

)

抜く

刈る 伐る 焚く・焼く 切る

図 ‐

6

緑 化 に 関 す る 行 為 の 割 合 の 変 遷

歌 数 の 多 か っ た 行 為 で あ る 「 見 る ・ 見 せ る 」「 折 る 」「 刈 る 」 に つ い て 、 対 象 と な っ た 植 物 の 割 合 の 変 遷 を 図 ‐

7~ 9

に 示 し た 。「 見 る ・ 見 せ る 」 で は 、 平 安 中 期 以 降 サ ク ラ の 割 合 が 急 増 し て お り 、 こ の 時 期 か ら サ ク ラ の 鑑 賞 が 普 及 ・ 定 着 し た こ と が 示 唆 さ れ る( 図 ‐

7)。一 方 、ウ メ は 各 時 代 を 通 じ て 10

前 後 で 推 移 し て お り 、 常 に 鑑 賞 対 象 と し て 意 識 さ れ て き た こ と が 示 さ れ た 。 こ れ に 対 し 、 ハ ギ は 奈 良 時 代 は 最 も 割 合 が 高 い 植 物 で あ っ た が 、 平 安 期 以 降 は 激 減 し て お り 、 こ の 時 期 に 鑑 賞 対 象 の 嗜 好 が ハ ギ か ら サ ク ラ へ 転 換 し た も の と 考 え ら れ る 。「 折 る 」に つ い て は 、平 安 期 に 入 っ て か ら サ ク ラ が 対 象 に な る 割 合 が 急 増 し た 。 こ の 時 期 、 サ ク ラ は 「 見 る ・ 見 せ る 」 の 対 象 と な る の み な ら ず 、 折 り 取 っ て 手 元 で 見 る ・ 嗅 ぐ 、 人 に 贈 る 、 身 を 飾 る 、 家 に 飾 る と い っ た 多 様 な 楽 し み 方 が な さ れ て い た と 考 え ら れ る 。 ま た 、 ハ ギ や オ ミ ナ エ シ が 各 時 代 区 分 を 通 じ て 対 象 と な っ て お り 、 春 の サ ク ラ 、 ウ メ に 対 し て 秋 に 咲

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