工学 部 技 術 部 ネットワ ー クグル ー プ活 動報 告2 0 0 3
w eb デ ー タベ ー スアプリケ ー ションの開発 と運用の事例紹介
伊 藤 篤 (工学 部 技 術 部 第 一 技 術 系第 一 班) 中 村 勝 ( 工学 部 技 術 部 第二技術 系 第四班)
1 . は じめ に
w
e
b ブ ラウザをインタ ー フ ェ ー スにデ ー タベ ー スを操 作す るアプリケ ー ショ
ンを利用する機 会が多くなっ て きている。 身近 に は インタ ー ネット上の会 員登録 や ネットショ
ッピング, ネットバ ンキング, 企業内ネットワ ー ク で利用 されているグル ー プウエアな ど幅広い分野で多くのサ ー ビスが利用 さ れている。 学 内でも, 図書館での文献・蔵 書 検 索, シラバ ス, 物品請 求 / 予算 執 行 検 索, 出 張 旅 費のシステムが 運 用 され, 日常の業 務に 不 可欠な サ ー ビスとなっ ている。 技 術 部では, 2 年 前よりグル ー プウエア 「 S kyb
o a r
d 」と「 W iz」 を 運 用し, グルー プ 内の情 報共有とデー タベ ー ス化を行うととも に, その活用方 法を探っ てき た。 また, W ebとデ ー タ
ベ
ー ス を連携させ たシステム開発では, 平 成1 5年 度 機器・分 析 技術研究 会 参加 登録システム の構築を行い, We
b を 用いて 4 ケ月間に 全国4 1 の大 学, 高 専, 研究所か ら1 4 5名の参加登録を受け付けた。 現 在は, 技 術 部 再 組 織 化に向けて検 討 中のWe
bを用 いた技 術 業 務の依 頼 受 付と, そ れ らの運 用・ 管理 を行うシステムを開発 中である。 本 報 告では, この技 術 部 業 務運 用・管理システムの開 発事 例につ
いて, デー タベ ー ス, W eb プロ
グラミング, セキュリティの技 術を中心 に報 告 する。
2 . 技 術 部 業 務運 用・管理 システ ム
本システム の開発 は, ① 実 現 する サ ー ビスと 手順の明確 化 ② デ ー タ
ベ
ー ス設計, 作 成 ③サ ー バ設定④メ
ニ
ュ ー , We
b 画 面作 成 ⑤プロ
グ ラミング ⑥試験運 用, トラブル ・セキュリティチェ ック, 機 能 追加 ⑦運 用開 始の手順で進めてお り, 現 在は平 成1 6 年4 月 運 用開 始を 目指し て試 験運 用中に あ る。 ①の実 現 する サ ー ビスと手順の明確 化では, 次の② デ ー タベ
ー ス設 計以降の全てに決 定 的に関 係してくるので, 十 分な 検 討が 必要とされ る。 こ こ で考 慮した5つ
の要 件を 以 下 に あげる。1 . システム上で実 現 するサ ー ビスは, 依 頼 者, 技術 部メン バ ー 双方の情 報 交 換・共有をスム ー ズ に行うと とも に, 業 務 依 頼か ら完了, 決 裁までの全工程の手続きと情 報の電子化を行うこと。
2 . 依 頼 者, 技 術 部メン バ ー 双方のシステムを利用する全て の
ユ
ー ザに は, 使用機 器 やO S な どに よらずw
e
bブ ラウザをインタ ー フェ ー スに直感 的に サ ー ビスを利用・操 作出来ること。3. サ ー ビス の利用 は, 利 便 性を損な わずに
ユ
ー ザの情 報を保 護 するととも に, 三重大学 情 報セキュリテ ィポリシ ー を遵 守 するよう利 便 性とセキュリティの バラン スを考 慮 すること。4 . 業務に関わ る全ての情 報をデ ー タベ ー ス化 するととも に, 居室 が分 散している技 術 部メン バ ー 間でもリ アルタイムに情 報を 共有でき ること。
5 . システム の開発 と運 用 は技術 部が行い, 技 術 部w
e
b サ ー バ上で安 定に稼 動 すること。以 上の要 件を踏まえ た 上 で, 技 術 部にとって システム化が 可能と思わ れ る業 務 依 頼の流れ を表1 に 示す。
表1 技 術 部 業 務運 用・管理システムで実 現 する業 務 依 頼の流れ
業務 依頼の流れ 依 頼 者 W
e
b システム 技 術 部, 業 務 委 員 会1. 業 務 依 頼 (丑依 頼内容の入 力 依 頼内容 ‑ 確認
2. 調 査担 当 者選 出 確認‑→ 調 査担当者 ② 調査担 当 者選 出 3 . 調 査打ち合わ せ ③ 依 頼内容の打ち合わ せ 調 査内容 ‑ 確認
4 . 業 務 担当者選 出 確認 ‑ 業務 担当者 ④ 業 務 担 当 者選 出 5 . 業 務 実 施の確認 ⑤ 実施 条 件の確認 実施 条件 ⑤ 実 施 条 件の確認 6 . 作 業 開 始 ‑ 終了 ⑥ 作 業進捗の確認 作 業内容 ⑥ 作 業 毎の内容 報 告
7. 業 務 完了 ⑦ 業務 完了の承 認 業 務 完了報 告 ⑦ 業 務 完了報 告, 決裁
業 務依 頼は, 依 頼 者がw eb システムに 対して行う ① 依 頼内容の入 力で始まり, 技術 部メン バ ー は その内 容 を確認 後, ②調 査担当者選 出 を行う。 調 査担当者は, 依 頼 者との ③ 依 頼内容の打ち合わ せ を行い, そ
の内 容 をシステム上 にア
ッ
プする。 技術 部メン バ ー は, その内容を確認 後, ④ 業 務 担 当 者を 選 出 す る。 その 後, ⑤ 実 施 条 件の確認 を経て, 作 業を 開始し ⑥ 作 業 毎の内容 報 告を行う。 作 業終 了後, ⑦ 業 務 完了 報告,決 裁 を 行うo 以 上の流れからな る。
3 . デ ータベ ー ス
デ ー タ
ベ
ー ス の設計では, システム化 す る 対象の業務運 用・管理 に関わ る 人 と情 報の流れ が どのように関 連し機 能し ているかを正確に把握 することが重要である。 デ ー タを 共有 資源として システム の中心 に お き, デー タの普遍 性 と安 定性に着目したシステム開 発の手 法であ る DO A(Data O ri
e
nte
d Ap pr
o a ch)に基づき, デー タ
ベ
ー ス の設計で 一 般 的な 開 発 手 法である概 念, 論理, 物 理の工程に 分 けて作 業を進 め た。まず 概 念デ ー タ
ベ
ー ス設 計で は, デ ー タベ
ー ス の目 的 を 明確化しデ ー タベ
ー ス上で管理 す る 要件を 出 来 るだ け 理想に沿った 形でモデル化 を行 う。 こ こで実際に使 用 す るデ ー タベ
ー ス のリレ ー ショ
ナル モデルよ りも高 次の モデルであ るE R モデル(En
tit y‑Re
latio n s
hipm o
de
l)を用いて情 報の管理 対象とな る実 体と実 体 間 相互の関 連につ
いてモデル化を行った。 図1 に業務運 用・管理システム のE R モデル(∫.M a rtin
型 とC he n
型の併用)を示す。 図中では, 実 体を 四角, 弱実 体を二重線四角, 属 性 を楕円, 関 連を菱形で示す。
図1 業務運 用・管理システム のE R モデル(∫.M a
r
tin
型 とC he n
型の併用)情報の管理 対象となる 実体には, 依 頼 者, 技術 部メン バ ー , グル ー プ, 業 務 依 頼, 調 査報 告, 業 務報 告
の6
つ
を抽出した。 実 体間の関連を正確に表 す方法とし て数の関係 に着目 した 基数(Ca r
din a
lit y)をE R モデル中に記した。 例として, 複 数の技 術 部メン バ ー か ら構 成され重 複した所 属を不 可 とするグル ー プの場 合,
所 属の関係に ある 基数は1対N であ る。 実 体に は, 単独で存 在できず 他の実 体と関 係を持た ないと成り得な
いものを弱実 体として区 別した。 各 実 体に は, そ れ ぞ れ が 保有 する情 報で実 体の性質 や特 性 を表 現する 要 素とし て属 性 を設 定し, その中でも実 体を唯 一 識 別 可能とす るものを キー 属 性 とした。 このE R モデル 上で業 務運 用・管理のシステム化 に際して, 人 と情 報の流れ とその関 係 が 十 分に機能 す るのか検 討を 重 ね た。
次に論理 デ ー タ
ベ
ー ス設計では, 概 念 デ ー タベ
ー ス設計で作 成したE R モデルから実 際に使用するリレー シ
ョ
ナル モデル の表とSQ L(Str u c
tu r e
d Q ue
ry La n
gu
age
) のテ ー ブル ‑ と変 換を行っ た。 こ の変 換 作 業は,以 下の ル ー ルに従って行った。
‑ 1 6 ‑
1. 実 体, 弱 実 体 ‑ テ ー ブル , 属 性一 列, キ ー 属 性‑ キ ー に変換 する。
2. 1
:
N の関 連では, N 側テ ー ブル の主 キ ー に1側テ ー ブル のキ ー を追 加 しキ ー とする。3. 弱実 体は, 識別 上のオ ー ナ に対応 するテ ー ブル の主 キ ー を追 加 し, このテ ー ブル のキ ー とする。
4. N
:
M の関 連では, 関連 自 体をテ ー ブル に変 換しN , M 双方の主 キ ー を組み合わ せて主 キ ー とする。 このリレ ー ショ
ン モデル のテ ー ブルを図2 に 示す。依 頼 者 依 頼 者 名 学 科名 講 座 名 研究 分 野 名 メー ル 電 話
業 務依 頼 業 務依 頼I D 依 頼 者名 業 務依 頼名 依 頼 内 容 調 査 予 定日時 調 査 場 所 登 録日時 速 緒 方 法 その他
調 査 報 告 調 査 報 告 名 業 務依 頼I D メンバ ーI D
調査日時 調 査 内 容 作 業 開 始日 作 業 終了 日 作 業 場 所 使 用 機 器 資 料 消 耗 品 特 記 事 項
業 務 報 告 業 務報 告 名 調 査 報 告 名 業 務依 頼I D メンバ ー1 D
グル ー プI D
報 告日時 報 告 内 容 進 捗 状況
メンバ ー メンバ ー1 D
グル ー プI D
名 前 メー ル
電 話
グル ープ グル ー プI D
グル ー プ名
図2 業務運 用 ・管理システム のテ ー ブル 定 義
次にこ のデ ー タ構 造を整理する 正規 化を行う。 正規 化の目的は, デ ー タ 更新 時の異 常発 生 を抑 制 すると とも にデー タの独 立 性 を高め ることに ある。 ひと
つ
のテ ー ブルに複 数の事 実が存 在していると, デ ー タ登録,更新の誤 りやタイミングの制 限, デ ー タ整 合 性の喪 失が 発 生 し やすくな ることか ら 正規 化は 必須の作 業であ る。 正規 化は, 属 性 間の意 味 的な関係を関数 従 属 性で関 連 付け, 実 体と構 成 する属 性の独立性を高め単 純 化 する。 各正規 形の定 義と語句の意 味を表2に 示す。
表2 各正規形の定 義と語句の意 味
第 一 正規 形 繰り返し項目の分 離と導出属性の除去 を行う○
第二正規 形 主 キ ー に非キ ー 属性が完全関数 従 属 するよう属性 を整理するo
第三 正規 形 全ての非キ ー 属性が どの候 補キ ー にも推 移 関数 従属 性を持た ないよう整理する○
導出属 性 属性間でいずれ かの2 値が決まれ ば他のひと
つ
の値が導き出され る場 合の属 性o候 補キ ー 表の中で唯 一 のデ ー タ を特 定出来る属 性を指 すo
主 キ ー 候 補キ ー の中で ひと
つ
だ け存 在 出 来る取り扱い性 に優れ た代 表 的な キ ー を指 す○非キ ー 属 性 自 身では候 補キ ー に な ることが 出来 ず, か
つ
候 補キ ー の 一 部にも属さ ない属 性o完全関数 従属
x ‑ y の関数 従 属が あるとき, X が複 数の属 性に より形 成さ れてお り, その属 性 集 合の
ひと
つ
の属性 が 欠 けると関数 従属 性 が成立しない ことo推 移 関 数 従 属性 x ‑ y, y ‑ z の関 数 従 属が あ るとき, Z は X に推 移 関 数 従 属の関係に あ るo
こ こで関数 従 属 性とは, 属性 間の値の決定 関係を表したもので, あ る値に 対 応 してもうひと
つ
の値が決 定 され ることを意 味 する。 例として技術 部メン バ ー の名 前は,ID に関 数 従 属し, 技 術 部メン バ ー 名 前‑ I D と表 され る。 正規 化は, 第1 形から第5形 までとBo
yc e
/Co
d d 形が 知 られてお り, リレ ー ショ
ナルデ ー タベ
ー スでは 第3 正規化 まで行うことが 必須とされている。 次に各 属 性のデ ー タ型 と制 約の決 定を行った。 デ ー タ型 と制 約の意 味を表3 に 示す。