中 国大 陸部 にお け る マル チ メデ ィア支 援 教 授
任 景波
愛知大学文学部
主 旨
中 国大 陸部 にお いて、 マル チ メデ ィア とマ ル チ メデ ィア支 援 教 授 と い う言 葉 に っ い て は さ ま ざ ま な解 釈 が あ る。二 十 世 紀 八 十 年 代 に お け る マ ル チ メデ ィア支 援 教 授 は、多 品種 の メ デ ィアを 総 合 的 に 活 用 し、学 生 の学 習 効 果 の 向上 を 目 的 と した視 聴 覚 教 育 の こ とで あ った。
九 十 年 代 に 入 って か ら、 マ ル メデ ィアは デ ィジ タル 化 され た映 像 、 音 声、 グ ラ フ ィ ッ クス、
そ れ に文 字 デ ー タな ど を組 み 合 わ せ た複 合 シ ス テ ムを指 す場 合 が 多 くな り、 マ ル チ メデ ィア 支援 教 授 に新 たに要 素 を取 り入 れ 、 コ ンピ ュー タ に基 づ い た マル チ メデ ィア技術 を活 用 した 教授 方 法 を意 味 す るよ うに な り、 遠 隔教 育 を含 む場 合 もあ る。 中 国 政府 は教 育 に お け るマ ル チ メデ ィァの 活用 戦 略 を取 り上 げ るの は、 中国 にお け る教 育 の産 業 化 、 と りわ け大 学 教 育部 門 の産 業化 とい う政 策 目標 に合 致 した もので あ る。 中国 は経 済 的 に は発 展 途 上 国 で あ りなが ら、 先 進 国 へ の キ ャ ッチ ア ップ の 一 環 と して、 教 育 や ハ イテ ク産 業 に大 い に 力 を 入 れ て き た。 マル チ メデ ィァ を は じめ とす る情 報 通 信 技 術 の活 用 は、 高 等 教 育 の充 実 に新 た な可 能 性 を開 くもの と して大 き な効 果 を 期待 で き る も ので あ り、 それ に教育 機 関 に お いて 円滑 に実 施 され るた め の条 件 整 備 を 積 極 的 に 図 って い くこ とが求 め られ る。 本 論文 で は、 中 国 大 陸 の教 育、特 に大 学 教 育 にお け るマ ル チ メデ ィア教授 推 進 戦 略 につ いて 考 察 し、 そ の政策 に期 待 さ れ た効果 と、 実 際 に その 政 策 が行 われ た結 果 と して、 生 じた さ まざ ま な 問題 にっ いて議 論 を 行 いた いQ
キ ー ワー ド:マ ル チ メデ ィア支 援 遠 隔教 育 教 育 工 学 イ ン ター ア ク テ ィブ
目 次
1,中 国 大 陸部 にお け る マル チ メデ ィア支 援 教 授 の定 義 と意 味 2.イ ン ター ネ ッ トを利 用 した遠 隔 教育 及 び 語学 授 業
3.中 国 大 陸部 にお け る教 育 の マル メデ ィアを活 用 した教 授 戦 略 の流 れ 4.大 学 教 員 の現 代 教育 技 術 に関 す る訓 練 プ ログ ラ ム
5.大 学 の マ ル チ メデ ィア活用 戦 略 が もた ら した問 題 6.真 の マ ル チ メデ ィァ支 援教 授 へ
7,結 語
主要 参 考文 献:
愛知 大 学情 報 メデ ィアセ ン ター 一49一 Vo1.16,No.2.2006
1.中 国 大 陸 部 に お け る マ ル チ メ デ ィア 支 援 教 授 の 定 義 と 意 味
中国 の大 陸部 に お い て は 、 政 府 の指 導 の も とで 、 マ ル チ メデ ィア支 援 教 授 の推 進 、 ネ ッ トワ ー ク シ ス テ ム資 源 の 整 合 が 、 従 来 の 教 育 パ ター ンを 変 え よ う と して お り、 大 き な成 果 を上 げ て きて い る と大 い に評 価 され て い る。 そ の 一 方 、 マ ル チ メデ ィア支 援 教 授 戦 略 に さ まざ ま な 問題 も潜 ん で い る。 これ らの成 果 を評 価 し、 問 題 を 批 判 す るに は 、 まず マル チ メデ ィア支 援 教 育 の概 念 を 明 らか にす る必 要 が あ る。 とい うの は、 マ ル メデ ィア 支 援 教 育 戦 略 に よ って 生 じた 問題 の 一 部 が 、 マ ル メデ ィア支 援 教 育 とい う概 念 に っ い て あ い ま い な理 解 に 基 づ いて い るた め 、 こ れ らの 問 題 を解 消 す る た め に は、 概 念 に 対 して 明 白 な 解 釈 を行 わ な けれ ば な ら ない か らで あ る。
伝 統 的 に 優 位 に立 っ 教 授 道 具 は 、 黒 板 と チ ョー クに 、 紙 の教 科 書 を 合 わせ た もの で あ り、 い まで も 一 般 的 に 使 わ れ て い る。広 い意 味にお いて は、黒板 とチ ョー クに、紙 の教科書 とい ったよ うな単一の 媒 体 を 利 用 し た教 授 方 式 は シ ング ル メデ ィア支 援 教 授 と い って もい い。 これ に対 し、 マ ル チ メデ ィァ 支 援 教 授 は、 マ ル チ メデ ィア を 活 用 した教 授 の もの で あ り、 そ れ に 含 まれ る内 容 は マ ル チ メデ ィア の 概 念 にか か わ る。
マ ル チ メデ ィア は 「Multimedia」 の 訳 語 で、 中 国 語 で は 「多 媒 体 」 と い い、 「Multiple(多 様 な 、 多 くの部 分 か ら成 る)」 と 「Media(媒 体 、 メデ ィア)」 と い う二 っ の語 源 か ら な る。 媒 体 に っ い て も、
少 な くと も二 っ の 意 味 が あ り、 一 っ は、 情 報 伝 達 の媒 介 手 段 を 指 す もの で 、 紙 面 、 画面 や 映 像 な ど を 意 識 した場 合 が 多 いが 、 マ ス コ ミを意 味 す る場 合 も少 な くは な い。 も う一 っ は、 記 憶 媒 体 の こ とで あ り、 近 代 的 な電 気 技 術 、 情 報 技 術 と関 連 す る こ とで あ る。 今 日 に お い て 、 マル メデ ィアは デ ィジ タル 化 され た画 像 、 グ ラ フ ィッ ク ス、 映 像 、 音 声 そ して文 字 デ ー タな ど を組 み 合 わ せ た 複 合 シ ス テ ム で あ るが 、 一 言 で マル チ メデ ィア と い って も、 特 に マ ル チ メデ ィア支 援 教 授 に言 及 した 場 合 、 あ い ま い な 部 分 が多 く、 実 は非 常 に 広 い 分 野 に及 ん で い る。
伝 統 的 に は 、 学 校 が教 育 の 巾 心 的存 在 に な る必 要 条 件 は 、 学 校 に は 知 識 を蓄 積 した 書 籍 が あ る こ と や、 知 識 に っ い て 詳 しい 解 釈 を 行 う教 育 者 が い る こ と に あ る。 これ に っ い て は、 唐 の 韓 愈(字 退 之 、 紀 元769‑834年)の 『師 説 』 に、 教 育 者 の 仕 事 の 内容 を 「伝 道 、 授 業 、 解 惑 」 と主 張 し た の で あ る。
しか し、 近 代 に な って か ら、 学 校 の垣 根 が だ ん だ ん崩 れ て き て お り、 学 校 教 育 自身 に も さ ま ざ まな 変 化 が 生 じて い る。 っ ま り、 教 育 の普 及 で あ る。 この 教 育 の大 衆 化 と い う動 きは 、 社 会 経 済 の発 展 を 基 礎 と し た知 識 の社 会 化 が 進 ん で きた こ と に よ る もの で あ り、 そ の 背 景 に は 、 知 識 の伝 達 手 段 の 進 歩 や 教 授 方 法 の 多 様 化 な ど が あ る。
実 際 に は、 この 動 き は古 代 か ら今 日 に か け て 、 絶 えず 進 化 して き た もの で あ り、 これ か ら も、 進 化 し て い き、 情 報 伝 達 技 術 の 進 歩 が 社 会 に与 え る イ ンパ ク トは計 り知 れ な い こ と に な る と考 え られ る。
一 般 的 に、紀元 前一五世紀 頃か らとされ るが、持 ち歩 け る情 報 の媒体 として の亀 甲や獣骨 に甲骨文が 刻 ま れ た。 そ の 後 、 文 字 の記 載 は皮 、 木 な ど の 媒 体 に移 って い く。 人 類 社 会 の歴 史 と比 べ る と、 近 世 に な るで あ ろ うが 、 紙 の発 明 は、 当 時 の世 界 に と って は 、 革 命 的 な もの で あ り、 教 育 が 初 め て 一 般 大 衆 に と って 身 近 な もの とな っ た と い え よ う。
愛 知 大 情 報 メデ ィア セ ン タ ー 5{} Vo1.16,No.2,2006
この よ う な骨 、 皮 、 紙 な ど が 媒 体 で あ り、 機 能 的 に は 、 磁 気 デ ィス ク ・磁 気 テ ー プ な ど の よ うな、
今 日の記 憶 媒 体 と変 わ ら な い もの で あ る。
一 方、 知 識 や 教 育 と直 接 な 関係 を 持 た な い が、 古 代 に お い て は、 最 も効 率 的 な 情 報 伝 達 手 段 と し て 知 られ る峰 火 台 が 三 千 年 前 の 中 国 の 周 朝 に す で に あ った。 外 敵 が 襲 来 した とい った 知 らせ を 瞬 時 に と い って い い ほ ど 峰 火 台 ご とに遠 方 へ 伝 達 し て い く。 それ は、 ま さ に今 日の情 報 ハ イ ウ ェー の よ うな効 率 的 な 情 報 機 器 で あ った。
二 十 世 紀 に 入 ってか ら、 世 界 中 多 様 な通 信 メデ ィア を高 度 に活 用 した教 育 研 究 の 取 組 が さ ま ざ ま な 形 で行 わ れ始 め たが 、 あ くまで も 「支 援 」、 「補 助 」 な ど の 言 葉 で 表 現 され た よ うに、 これ ら の通 信 メ デ ィ ア は、 教 師 の役 割 に取 って 代 わ る こと は で き なか った。 学 生 の主 体 的 学 習 を 現 実 に結 び っ い た の は 、 コ ン ピ ュ ー タ技 術 な ど の現 代 情 報 技 術 の 発 達 で あ り、 コ ン ピ ュー タ、 イ ン タ ー ネ ッ トに 基 づ い た マ ル チ メデ ィア技 術 は、 教 育 の 現 場 を これ まで と比 べ る も の に な らな い ほ ど 拡 大 し た の で あ る。 教 育 分 野 全 体 か らみ る と、 教 師 も学 生 に対 して伝 統 の 権 威 的 な 立 場 か ら降 りて きて 、 学 生 を教 授 の場 に お け る平 等 な パ ー トナ ー と して 付 き合 い、 新 た な 授 業 法 を 探 ら な け れ ば な らな い状 況 に 強 い られ た こ と は 認 め ざ るを 得 な い。 中 国 で は、 政 府 が 情 報 教 育 の将 来 性 を考 え て、 い ち早 く全 国 的 な マル チ メデ ィ ア支 援 教 授 の 推 進 戦 略 を打 ち 出 し た の で あ る。
コ ン ピ ュ ー タマ ル チ メデ ィア教 授 は、 九 十 年 代 の初 め か ら既 に始 ま り、 今 は、 中 国 大 陸 部 に あ るほ と ん ど の 大 学 、 大 部 分 の 中 学 校 、 高 校 及 び 一 部 の小 学 校 に マ ル メデ ィア 支 援 教 育 を行 って い る。
広 い意 味 に お い て は 、 マル チ メデ ィア は 、 多 種 の メデ ィア を あ る 目的 を 達 成 す るた め に複 合 メデ ィ ァ応 用 シ ス テ ムで あ る。 過 去 に お い て 、 マ ル チ メデ ィ ア支 援 教 授 は伝 統 の 視 聴 覚 教 授 と同 じ意 味 で あ った。 伝 統 の視 聴 覚 教 授 の特 徴 は、 受 講 者 に画 像 、 音 声 、 映像 な ど の 直 接 な刺 激 を 与 え る こ とが 目 的 と され て い た。 教 授 形 式 は教 師 が主 で あ り、 統 一 され た視 聴 素 材 を 広 げ る こ とに よ っ て、 前 の 時 代 と比 べ て 教 授 の生 産 性 と効 率 性 が 高 ま った 。 二 十 世 紀 八 十 年 代 末 まで に、 中 国 に お いて は、 マ ル チ メ デ ィア 支 援 教 授 と い う と、 広 い 意 味 で の 多 種 の メデ ィ アを 活 用 した 視 聴 授 業 方 法 で あ り、 主 と し て、
幻 灯 や 録 音 機 、 ビデ オ な ど の機 械 を 用 いて 音 声 、 画 像 な ど を表 示 す る こ と に よ って、 教 育 目標 に 合 致 した情 報 受 講 者 に伝 達 し て授 業 を行 うこ とで あ り、 言 語 教 育 や 実 験 の 録 画 や ドキ ュ メ ン タ リー 映 画 を 上 映 す る も の で あ った。 今 日に な って も、 伝 統 的 な視 聴 メデ ィアを 活 用 した教 授 方 法 は ま だ 大 き な役 割 を果 た して い る のが 、 現 状 で あ る。 九 十 年 代 前 半 に お い て は 、 マル チ メデ ィア支 援 教 授 とい う よ り
も、 「電 化 教 学(教 授)」 と い う言 い 方 が 主 流 で あ っ た。 そ の 時、 い わ ゆ る マ ル メ デ ィ ァ 教 授 (Multimedialnstruction、MMI)シ ス テ ム は 、 た だ 視 聴 メデ ィ ア を 組 み 合 わ せ た複 合 シ ス テ ム で あ る、 と思 い込 ん だ 教 員 が 多 か った よ うで あ る。 今 日 に お い て は、 狭 い意 味 で の マル チ メデ ィア は、 コ ン ピ ュ ー タ技 術 を基 礎 と して 、 文 字 、 音 声 、 画 像 、 映像 な ど情 報 を伝 送 で き る シ ス テ ム を 指 す が 、 現 状 で は、 マ ル チ メデ ィア 支援 教 授 と い って も、 あ く まで も正 式 の授 業 を支 援 す る立 場 に あ って 、 学 生 に よ る主 体 的 学 習 とい う メ リ ッ トを う ま く引 き 出 す こ と はで きず に、 教 師 が 一 方 的 に教 え 込 む こ とが 多 い。
伝 統 の コ ン ピ ュ ー タ 支 援 教 授(ComputerAssistedInstruction、CAI)は 、 情 報 量 や 情 報 を1云達 ス
愛知 大 学 情報 メデ ィア セ ン ター 一51一 Vol,16,No.2,2006
ピ ー ド 及 び イ ン タ ー ア ク テ ィ ブ 性 の 活 用 な ど の 面 で は 不 足 点 が 多 か っ た が 、 時 間 が 経 っ に っ れ 、 マ ル チ メ デ ィ ア 技 術 が 大 き な 進 歩 を 遂 げ て お り 、 伝 統 のCAIと マ ル チ メ デ ィ ア を 融 合 し た 。 今 日 の マ ル チ メ デ ィ ア 支 援 教 授 と い う の は 、 コ ン ピ ュ ー タ の マ ル チ メ デ ィ ア 機 能 を 活 用 し た 教 授 を 指 す も の は 多 く、 予 め 製 作 さ れ た マ ル チ メ デ ィ ア 支 援 教 授 コ ー ス ウ ェ ア を 使 っ て 教 授 を 行 う も の を 意 味 す る 。CAI と い う 言 い 方 と ほ ぼ 同 じ よ う に 使 わ れ て お り、 時 に は 、 マ ル チ メ デ ィ ア コ ン ピ ュ ー タ 支 援 教 授 (MultimediaComputerAssistedInstruction、MCAI)と も い う。 イ ン タ ー ネ ッ トの 普 及 に よ っ て 、 も と も とCD‑ROM形 式 で あ っ た コ ー ス ウ ェ ア が ウ ェ ブ を 経 由 し て 利 用 され る こ と が 増 え た こ と に よ っ て 、 マ ル メ デ ィ ア を 活 用 し た 教 授 に 言 及 す る こ と は 、 イ ン タ ー ネ ッ トを 介 し た 学 内 教 育 及 び そ れ 以 外 の 遠 隔 教 育 を も 含 む 場 合 が 、 多 くな っ て い る 。
マ ル チ メ デ ィ ア 支 援 教 授 で は 、 受 講 者 が よ り主 体 的 に 学 習 内 容 に 取 り組 む よ う に な る 。 教 授 コ ー ス ウ ェ ア は 技 術 的 に は 保 存 、 伝 達 及 び 処 理 す る こ と が で き る た め 、 授 業 効 果 の 向 上 が 期 待 さ れ る 。 コ ン ピ ュ ー タ 支 援 教 授 の キ ー ポ イ ン トは 、 コ ン ピ ュ ー タ と 学 生 の 間 、 そ し て 学 生 と学 生 、 教 師 と学 生 の 問 に 自 由 に コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンが 取 れ る こ と に あ る 。 コ ン ピ ュ ー タ に は 、 情 報 を 学 生 に 伝 え る 機 能 だ け で は な く、 学 生 か ら 情 報 を 取 り入 れ 分 析 判 断 を 行 う機 能 が 揃 っ て い る 。 こ れ が な い と 、 学 生 に よ る 主 体 的 学 習 を 実 現 す る こ と は で き な い 。 教 授 側 の 意 思 が 教 授 コ ス ト を 通 じ て 表 現 さ れ る た め 、 ソ フ ト
ウ ェ ア の 使 用 と 開 発 は コ ン ピ ュ ー タ 関 連 設 備 と 同 じ く重 要 か 、 ま た は そ れ 以 上 重 要 で あ ろ う 。
2.イ ン タ ー ネ ッ トを 利 用 し た 遠 隔 教 育 及 び 語 学 授 業
マ ル チ メデ ィア 活 用 に よ る教 授 は 簡 単 に い う と、 四 つ の部 分 か ら な る。 ま ず は 、 コ ン ピ ュ ー タを通 じた 教 員 と学 生 との 交 流 、 次 は コ ン ピ ュ ー タに よ る単 生 の管 理 、 三 っ 目 は コ ン ピ ュ ー タの マ ル チ メ デ ィア の 活 用 に よ る授 業 内 容 の 展 示 、 最 後 に イ ン タ ー ネ ッ トに よ る遠 隔 教 育 の可 能 性 で あ る。 そ こ で、 さ ら に は 、 教 育 資 源 の共 有 、 情 報 の検 索 な ど を 取 り上 げ る こ とが で きる。
伝 統 的 な授 業 方 法 で は、 教 員 が 自分 の言 語 を よ り分 か りや す く理 解 して も ら うた め に、 授 業 の補 助 措 置 と し て は 、 板 書 、 掛 図、 模 型 及 び 実 験 な ど を 借 りて 、 教 授 の 目 的 を達 成 す る。 マ ル チ メデ ィア 活 用 教 授 は 教 授 の 目標 に 立 って、 教 育 対 象 を 考 慮 に 入 れ な が ら、 マ ル チ メデ ィア を 活 用 し な が ら、 記 号 、 言 語 、 文 字 、 音 、 図 形 、 画 像 、 映 像 な ど コ ン ピ ュ ー タで 操 作 し、 授 業 の デ ザ イ ンを行 うこ とで あ
る。
マ ル チ メデ ィア支 援 教 授 で は、 コ ン ピ ュー タを 操 作 す る こ と に よ って、 そ れ ら伝 統 的手 段 に取 って 代 わ る こ とで あ る。 こ うす る と、 人 と コ ン ピ ュ ー タ と の 間 に、 あ る種 の っ な が りが 生 じ る よ うに な る。 基 本 操 作 の上 で 、 教 授 の 目標 を は っ き り し、 授 業 の 内 容 を如 何 に論 理 的 マル チ メデ ィア の活 用 に よ って 学 生 に 円滑 に伝 達 され て い る か を考 え な けれ ば い け な い。
マル チ メデ ィア環 境 は学 生 に よ る主 体 的学 習 を 中心 と し た もの で あ る。 広 義 的 に は 、 パ ソ コ ンを 利 用 し、 ま た イ ン タ ー ネ ッ ト接 続 し た うえ で 行 う学 習 全 般 をe一 ラ ー ニ ン グ と称 す る こ と も あ る。 実 際
に は、 マ ル チ メデ ィア支 援 教 育 は メデ ィア に よ る遠 隔 教 育 と緊 密 な 関 係 を 持 っ もの で あ った。
愛 知 大 学 情 報 メデ ィアセ ン タ ー 52 Vo1.16,No.2,2006
イ ン タ ー ネ ッ ト を 利 用 す る 方 式 で は 、 も し 、 教 師 と 学 生 が 同 時 に ネ ッ ト上 の ク ラ ス に い て 、 同 時 に 授 業 を 行 う 形 式 を 取 れ ば 、 イ ン タ ー ネ ッ トの イ ン タ ー ア ク テ ィ ブ 性 か ら 考 え る と 、 理 論 上 、 一 っ の 教 室 で の 対 面 授 業 を 行 う と 同 じ よ う な 教 授 効 果 が 期 待 さ れ る 。 イ ン タ ー ネ ッ トを 通 し 、 情 報 の 伝 達 、 一 問 一 答 式 で の や り 取 り、 学 生 に よ る 宿 題 の 提 出 と 教 員 に よ る 宿 題 の チ ェ ッ ク な ど が 非 常 に 簡 単 に な る 。 そ の 上 、 受 講 時 間 が 不 定 期 な 学 生 も 受 講 可 能 に な り、 少 しず っ で も 、 念 入 り に 前 回 中 断 し た と こ ろ か ら学 習 内 容 に 取 り組 む こ と が で き る 。 受 講 生 が 遠 隔 授 業 の コ ー ス ウ ェ ア を そ の ま ま も う一 度 受 講 す る こ と が で き る で あ ろ う し 、 マ ル チ メデ ィ ア コ ン テ ン ッ を 自 分 の 必 要 に 応 じ て 開 く こ と が で き 、 学 習 を 繰 り返 し 行 う こ と が 期 待 さ れ る。
実 際 の 授 業 環 境 と高 度 に 類 似 し た イ ン タ ー ネ ッ ト上 の 教 育 環 境 を 作 る に は 、 イ ン タ ー ネ ッ トに よ る 遠 隔 教 育 シ ス テ ム は 、 少 な く と も 三 っ の 部 分 か ら な る 。 す な わ ち 、 バ ー チ ャ ル 教 室(Virtual Classroom)、 電 子 ホ ワ イ ト ボ ー ド(ElectronicWhiteboard)及 び 疑 問 解 答 シ ス テ ム(AnswerSystem)
で あ る。
バ ー チ ャ ル 教 室 は 学 校 に 実 際 に あ る 教 室 を 模 倣 し 、 イ ン タ ー ネ ッ ト上 に い る 者 を 交 流 さ せ る た め に 作 ら れ た バ ー チ ャ ル 空 間 で あ る 。 教 え る 側 と 教 わ る 側 と を う ま く協 力 し 、 如 何 に 支 障 な く コ ミ ュ ニ
ケ ー シ ョ ン を 取 れ る か が 研 究 の テ ー マ の 一 つ で あ る 。
ホ ワ イ トボ ー ド(ElectronicWhiteboard)は 、 普 通 の 教 室 に あ る 黒 板 に 当 た る 公 共 空 間 及 び 講 師 ま た は 受 講 生 が 発 言 す る 前 に 発 言 を 編 集 す る 空 問 か ら 構 成 さ れ て い る 。 書 き込 み は そ の ま ま電 子 デ ー タ と し て 記 録 さ れ る 点 な ど が メ リ ッ トで あ る 。
次 は 疑 問 解 答 シ ス テ ム(AnswerSystem)で あ る 。 こ れ は 、 動 画 や 音 声 問 答 シ ス テ ム の ほ か に 授 業 内 容 を 入 手 す る た め の 検 索 シ ス テ ム で あ る。 リ ア ル タ イ ム の や り 取 り に 参 加 で き な か っ た ユ ー ザ ー も 、 過 去 の 発 言 を 読 み 進 む こ と に よ っ て 、q論 の プ ロ セ ス を 知 る こ と が で き る と い う点 も メ リ ッ トで あ る。
グ ル ー プ ウ ェ ア を 使 用 し て 共 同 作 業 を 行 うCSCW(ComputerSupportedCooperativeWork)は 遠 隔 教 育 に お い て 重 要 な 地 位 を 占 め て い る 。 コ ン ピ ュ ー タ 同 士 を 接 続 し た ネ ッ ト ワ ー クIRI境 を べ 一 ス に 、 複 数 の 人 間 が 相 互 に コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン、 情 報 共 有 を 行 っ て 、 そ れ ぞ れ の 役 割 を 果 た す 。 遠 隔 教 育 に お い て は 、 合 同 で の コ ー ス ウ ェ ア 共 用 と共 同 開 発 政 策 、 ネ ッ ト ソ ー ス の 開 発 及 び バ ー チ ャ ル 教 室 の 管 理 な ど 、 さ ま ざ ま な 方 向 か ら 検 討 す る 必 要 が あ る 、 と さ れ る 。
イ ン タ ー ネ ッ トを 利 用 し た 遠 隔 教 育 は 、 時 間 の 経 っ に っ れ 、 多 くの 分 野 に 亘 っ て お り 、 如 何 に 授 業 を う ま くデ ザ イ ン す る か は 重 要 な 課 題 で あ る 。
遠 隔 教 育 に 重 要 な 地 位 に あ る 外 国 語 教 育 に つ い て は 、 大 い に 議 論 さ れ 研 究 が 行 わ れ て い る 。 外 国 語 教 育 の 目 的 は 聞 き 取 り、 書 き、 話 し、 読 み 及 び 翻 訳 と い う五 っ の 能 力 は 基 本 の 基 本 で あ り、 言 語 の 学 習 に は 大 量 な 総 合 的 な 実 践 が 必 要 で あ る 。 当 然 、 言 語 授 業 で 講 義 だ け す る 教 師 が 少 な い で あ ろ うが 、 学 生 と の や り取 りが ほ と ん ど 行 わ な い 教 師 が い る よ う で あ る 。 文 法 、 文 型 な ど に っ い て の 説 明 は 専 門 書 の 書 い た 通 りに 行 う ケ ー ス が 多 い 。 衛 星 放 送 が 遠 隔 教 育 の 主 流 で あ っ た 時 、 特 に 言 語 が 教 育 の 主 要 な 内 容 と さ れ る 場 合 、 学 生 と 教 師 と の 間 に 素 早 くや り取 り を す る こ と は 物 理 的 に 不 可 能 で あ っ た た
愛 知大 学 情 報 メデ ィア セ ン ター 一53一 Vo1.16,No.2,2006
め、 対 面 授 業 と完 全 に 同 様 な効 果 を 収 め る のが 不 可 能 とす る受 け止 め 方 もあ り、 遠 隔 教 育 とい い な が ら、 年 に数 回 学 生 と教 師 を 対 面 させ る試 み も あ った。
今 、 中 国 大 陸 の 大 学 に お い て、 イ ン タ ー ネ ッ トを利 用 し た外 国語 授 業 に は、 次 の 二 っ の部 分 が 含 ま れ て い る と考 え て い い。 一 っ に は、 教 師 の 講 義 で あ り、 単 語 の説 明 、 文 法 や キ ー ポ イ ン トに つ い て の 解 釈 、 本 文 に っ い て の講 読 を 含 む。 衛 星 放 送 で は、 基 本 的 に一 方 的 な 講 義 で あ った 、 今 の シ ス テ ム で は、 だ い ぶ 改 善 され て い る よ うに み え る。 二 っ に は、 練 習 部 分 で あ る。 本 文 の講 読 と同 時 に行 う練 習 と、 本 文 の解 釈 が 終 わ った 後 の練 習 が あ るが 、 ほか に は一 回 の練 習 と して は比 較 的量 の 大 きい小 テ ス ト もあ る。 受 講 生 に 本 文 の 内 容 を深 く理 解 し て も ら う た め に は、 教 授 の 目標 、 本 文 に か か わ る文 化 的 、 時 代 的背 景 を 紹 介 す る資料 を用 意 す る必 要 に な る場 合 も あ る。 伝 統 的 な遠 隔教 育 は これ ぐ らい の 準 備 が 整 え られ る な らば、 す で に十 分 と され て い た が、 イ ン ター ネ ッ トを 利 用 した遠 隔 教 育 で は、 教 師 と受 講 生 と コ ミュ ニ ケ ー シ ョン を う ま く取 る機 能 が 備 わ って い るの で 、 や り取 りの シ ス テ ム デ ザ イ ン及 び 授 業 プ ラ ン の設 計 に っ い て さ らな る研 究 が 大 切 で あ る。 この 部 分 は、 イ ン タ ー ネ ッ トの イ ン タ ー ア クテ ィブ 性 を 生 か す と こ ろ で あ り、教 師 の講 義 と緊 密 に っ な が って い る。
実 際 に は、 コー ス ウ ェ アの ほか に は、 教 員 と して 、 学 生 に外 国語 の サ イ トに ア クセ スす る習 慣 を身 に っ け さ せ る こ と も重 要 と考 え ら れ る。 教 員 が で きるだ け外 国 語 で 日記 を っ け る習 慣 を 身 に っ け、 イ ン タ ー ネ ッ トを 活 用 し外 国 語 の 文 章 を大 量 に 読 み 、 外 国 人 と直 接 に オ ン ラ イ ン交 流 を行 う よ うに要 求 す れ ば い い。 そ して 、 時 お り学 生 に あ るテ ー マ につ いて 外 国 語 で発 表 して も ら い、 発 表 し た も のが 小 論 文 に な り、 そ れ を 回 収 し添 削 し て か ら学 生 に 返 却 し読 ませ 、 学 生 に と って は貴 重 な オ リジ ナル な テ キ ス トに もな る。 ネ ー テ ィブ ス ピ ー カ ー並 み の 言 語 力 を身 に 着 け る た あ に は 、 長 い期 間 の 海 外 留 学 を し な けれ ば な らな い と、 よ くい わ れ るが 、 イ ン タ ー ネ ッ トの 世 界 が これ を 転 換 させ た。 実 際 に は、 よ く考 え る と、 海 外 留 学 に行 って も、 現 地 の生 活 に 入 り込 まな い と、 本 国 と同 じか 、 また は それ 以 下 の 学 習 効 果 も予 想 され る。 中 国人 の 大 学 生 は、 キ ャ ンパ ス ネ ッ トを通 じて、 世 界 中 の人 々 と外 国 語 で 積 極 的 に コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンを取 り、 外 国 語 能 力 の 向 上 に 向 け て一 歩 一 歩 と 日 々着 実 に進 ん で い る。 こ の 点 に お い て は、 大 学 側 か ら強 力 な支 援 の も とで 、 日本 人 の学 生 は も っ と頑 張 るべ きで あ る。
3.中 国 大 陸 部 に お け る マ ル メ デ ィア 支 援 教 授 戦 略 の 流 れ
中 国 は近 現 代 に お い て は、 激 し い社 会 的変 動 の 中 、 民 と官 との 両 方 か ら メデ ィア を活 用 し た教 授 の 推 進 を 試 み て きた。 今 日お い て は 、 教 員 を 中心 に マ ル チ メデ ィア支 援 教 授 の 有 効 な方 法 を模 索 す る と と も に、 政 府 か ら、 強 い マ ル メデ ィア支 援 教 授 を 推 進 す る方 針 を 打 ち 出 して い る。 しか し、 この 政 策 の 実 施 に よ っ て、 効 果 を 得 る一 方 、 問 題 も多 発 し、 真 剣 に検 討 す る必 要 が あ る。
1919年 に、 中 国 商 務 印書 館 の 製 作 した 教 育 映 画 が 上 映 され て い た。 これ は、 中 国 に お け る近 代 的 メデ ィア を利 用 した 支 援 教 授 の始 ま りだ と さ れ て い る。 今 日に な っ て、 大 学 教 育 機 関 が よ り効 果 的 な 教 育 活 動 を行 うた め に は、 マル チ メデ ィア を活 用 す る こ とが 一 っ の 有 力 な手 立 て と思 われ る。 高 度 情 報 技 術 が 急 速 に浸 透 しっ っ あ る今 日 の社 会 状 況 の 中 で 、 特 に ニ ーズ の高 い もの と考 え られ る。
愛知 大 学情 報 メデ ィアセ ン ター :ill Vo1.16,No.2,2006
教 育 に お け る マ ル チ メデ ィアの 活 用 戦 略 を取 り上 げ て い る こ と は、 中 国 に お け る教 育 の 産 業 化 、 と りわ け 大 学 教 育 部 門 の産 業 化 とい う国 の政 策 目標 に合 致 し た も の で あ る。 マ ル チ メデ ィアを は じめ と す る情 報 通 信 技 術 の活 用 は、 高 等 教 育 の充 実 に 新 た な可 能 性 を 開 くもの と して 、 大 きな効 果 が 期 待 で き る も ので あ り、 そ れ に、 高等 教 育 機 関 に お い て 円滑 に 実 施 さ れ るた め の 条 件 整 備 を積 極 的 に 図 って い くこ とが 求 め られ て い る。
情 報 通 信 技 術 の発 展 は 、 従 来 の教 育 の教 育 形 態 の 概 念 に 大 きな影 響 を与 え て い る。 今 日に お い て、
教 育 を 取 り巻 く環 境 は 、教 育 の大 衆 化 、 情 報 化 及 び グ ロ ーバ リゼ ー シ ョンの 進 行 に よ って 大 き く変 化 を 遂 げ て きて い る。 この 中 で も、 情 報 通 信 技 術 の進 展 は め ざ ま し く、 世 界 各 国 に お いて 高 度 情 報 通 信 社 会 の 実 現 に 向 け た さ ま ざ ま な取 組 が 活 発 に な って い る。 中 国 は 、 経 済 的 に発 展 途 上 国 で あ りな が ら、 先 進 国 へ の キ ャ ッチ ア ップ の一 環 と して 、 教 育 や ハ イテ ク産 業 に大 い に力 を 注 いで き た。 教 育 分 野 に お い て は、 「現 代 教 育 技 術 」 と い う言 葉 で 表 現 し た よ うに 、 教 育 を テ ク ノ ロ ジ ー と し て捉 え て 、 研 究 や 政 策 立 案 を 行 う傾 向が あ る。
1978年 に 実 施 さ れ始 め た 「改 革 開 放 」 政 策 に よ って 、 中 国 の教 育 事 業 は 大 き く発 展 し、 特 に 教 育 体 制 の 面 に お い て 、 特 筆 すべ き成 果 が 得 られ た。 中 国 の教 育 規 模 が 拡 大 し、 教 育 と研 究 レベ ル も絶 え ず 上 昇 して きた 。 そ の背 景 に は 、 ます ます 活 発 に な りつ つ あ る メデ ィア の活 用戦 略 が あ る。 八 十 年 代 初 め か ら、 北 京 、 上 海 な ど の 大 都 市 で は、 メデ ィア を利 用 し た視 聴 覚 教 授 は 広 く行 わ れ て い た。 八 十 年 代 半 ば か ら コ ン ピ ュー タ知 識 の 普 及 教 育 は 中 高 校 、 場 合 に よ って は小 学 校 で も行 わ れ 、 コ ン ピ ュー タプ ログ ラ ム作 りを 内容 と した 授 業 も一 部 の高 校 や大 学 で 実 施 さ れ始 め た の で あ る。 中 国 の 大 陸 部 に お い て 、 大 学 の 理 工 系 は 、 当 然 早 くか ら情 報 教 育 と い う授 業 が あ った が 、 文 系 で は、 全 面 的 情 報 教 育 の 始 ま りは九 十 年 代 に 入 って か ら の もの と思 わ れ る。 そ の 前 は、 主 と して 、 英 語 教 育 に お け る 伝統 の メデ ィア に よ る視 聴 覚 教 育 が 圧 倒 的 で あ った 。 こ うい っ た状 況 の裏 に は、 情 報 技 術 や 教 育 手 法 な ど の 面 に お け る認 識 上 の 問 題 が あれ ば 、 教 育 経 費 の不 足 とい う複 雑 な社 会 的 、 経 済 的要 因 も あ っ た。
中 国 政 府 は、 八 十 年 代 か ら い ち早 くコ ン ピ ュ ー タ支 援 教 育(ComputerAssistedInstruction、CAI) を国 家 戦 略 と して 実 施 し始 め た。 中国 の コ ン ピ ュー タ支 援 教 育 研 究 は 八 十 年 代 初 め に 始 め た もの で あ る。 華 東 師 範 大 学 に よ って 開発 され た 「パ ソ コ ンBASIC言 語 教 授 シ ス テ ム」 が その 中 の 一 っ で あ る。
1984年2月 、 中 国 政 治 の 実 力 者 で あ った 登β小 平 氏 の 「コ ン ピ ュー タの 普 及 は子 供 か ら」 との 一 言 は 、 中 国 教 育 シ ス テ ム に 大 い に影 響 を 与 え て、 コ ン ピ ュ ー タ補 助 教 授(CADを 全 面 的 に導 入 す る き っか け とい って も過 言 で は な い。 この 流 れ は、 中 国特 有 な社 会 体 制 、 っ ま り、 い わ ゆ る 「国 情 」 に よ る も の だ 、 と い わ ざ る を得 な い。
1986年 に 、 中 国 国家 計 画 委 員 会 は コ ン ピ ュ ー タ支 援 教 授 を 「第 七 回 五 年 計 画 」 の 重 点 項 目 と位 置 づ け、 コ ン ピ ュー タ支 援 教 授 に関 す る研 究 を 資 金 面 に お い て よ り多 い 支 援 を行 う と と も に、 「中 華 学 習 機 」 と名 づ け られ た学 生 向 け の パ ソ コ ンを 量 産 し始 め、 低 価 格 に 向 け て 、 大 き な 一 歩 を 踏 み 出 し た。 そ の た め 、 小 中学 校 、 高 校 に お け るパ ソ コ ン所 有 台 数 が 大 幅 に増 加 し、 コ ン ピ ュー タ リテ ラ シー 教 育 は 大 き く遮 進 し た の で あ る。1987年 に 成 立 し た全 国 コ ン ピ ュー タ支 援 教 授 学 会 セ ン タ ー(中 国 語 表 記:全 国 計 算 機 補 助教 育 中 心)と 全 国 中 華 学 習 機 教 育 ソ フ ト審 査 委 員 会 と合 同 で コ ン ピ ュー タ支 愛 知大 学 情 報 メデ ィァセ ンタ ー 一" r" Vol.].6,No.2,2006
援 教 授 ソ フ トの 開 発 や応 用 の 促 進 に取 り込 ん だ 。
九 十 年 代 に入 って か ら、 コ ン ピ ュ ー タ技 術 は、 これ まで の教 育 機 器 の諸 機 能 を う ま く統 括 し、 イ ン タ ー ネ ッ ト技 術 の利 用 、 そ して 新 た な マ ル チ メデ ィ ア支 援 教 育 、 さ ら に マ ル チ メデ ィア支 援 遠 隔 教 育 を 可 能 に した 。 中 国政 府 は よ り大 き な支 援 方 針 を打 ち 出 し、 従 来 の情 報 化 教 育 の推 進 と い う考 え の う え に 立 ち な が ら、 教 育 の産 業 化 の 一 環 と して も、 全 面 的 に マ ル メデ ィアを 活 用 した教 育 の 推 進 プ ログ
ラム を 実 施 し た。 前 述 した よ うに 、 一 般 教 育 に か か わ る用 語 と して、 中 国 で は、 マ ル チ メデ ィア 支 援 教 授(中 国 語 表 記:多 媒 体教 学)と コ ン ピ ュ ー タ支 援 教 育(中 国 語 表 記:計 算 機 補 助 教 学)と が よ く 同 じ よ うに 取 り扱 わ れ るが 、 コ ン ピ ュ ー タの マ ル チ メデ ィア 機 能 を重 要 視 す る と い う こ と で 、 「マ ル チ メデ ィア支 援 教 授 」 と い う言 い 方 の ほ うが 比 較 的 多 い よ うで あ る。
九 十 年 代 後 半 か ら、 高 い経 済 成 長 率 を背 景 に 、 中 国 は九 年 義 務 教 育 や基 礎 教 育 シ ス テ ム の 整 備 を 急 ぐ と と も に、 高等 教 育 の大 衆 化 と産 業 化 政 策 を 実施 した。 教 育 へ の膨 大 な需 要 に対 し、 教 育 資 源 が 相 対 的 に 不 足 して い る のが 中国 に お い て 恒 常 的 な現 象 で あ るた め 、 中国 経 済 の高 度 成 長 、 情 報 技 術 の進 歩 な ど は 、 この矛 盾 を 解 決 す る可 能 性 を 提 供 した の で あ る。 中 国 政 府 は、 ネ ッ トワ ー ク教 育 を 発 展 さ せ 、 情 報 技 術 と教 育技 術 を使 い こな して さ ま ざ ま な教 育 資 源 を 整 合 し、 全 面 的 に マ ル メデ ィ ア支 援 教 授 を推 進 す る決 意 を 固 め た。 中国 政 府 は 強 い主 導 権 を 持 ち、 世 界 中 情 報 革 命 の波 に 乗 って、 戦 略 的 に 情 報 化 に取 り組 み、 中 国 国 内 の全 国規 模 の 情 報 共 有 化 に 向 け て 、 地 域 や 各 系 統 内 の 文 献 資 源 の 共 有 化 措 置 を絶 え 間 な く実 施 し、 基 礎 教 育 か ら高 等 教 育 まで 、 教 育 分 野 に お け る マ ル チ メデ ィア支 援 教 授 を 国 家 意 思 で 推 し進 め、 戦 略 的 に情 報 化 に 取 り組 ん で き た。
CAIの 研 究 開 発 は 、1993年 か ら 中 国 国 家 教 育 委 員 会(日 本 の 文部 省 に あた る)に よ る国 家 プ ロ ジ ェ ク トと し て 推 進 され た。 発 布 され た 「中 国教 育 改 革 和 発 展 綱 要(中 国 に お け る教 育 改 革 と発 展 綱 要)」
に ラ ジ オ ・テ レ ビ遠 隔 教 育 を さ ら に進 め る と と も に、 マル チ メデ ィア 教 授 な ど、 い わ ゆ る現 代 教 授 技 術 を い ち早 く普 及 させ よ う と い う方 針 が 強 く打 ち 出 され た の で あ る。
1994年4月 に 中 国 大 陸部 は イ ン タ ー ネ ッ トに正 式 に つ な が り、10月 に 中 国 国 家 計 画 委 員 会 が 中 国 教 育 と科 学 研 究 ネ ッ ト ワ ー ク(CERNET)の 模 範 プ ロ ジ ェ ク トの 成 立 を 承 認 し、 中 国 教 育 委 員 会 (今 の教 育 部 、 日本 の文 部 省 に 当 た る)が リー ダ ー シ ップ を 発 揮 し、 清 華 大 学 を 含 め て 十 校 の 大 学 に 200人 余 りの 研 究 グ ル ー プ の 開 発 に よ って 、1985年 に 国 家 の 査 収 を経 て 正 式 に設 立 さ れ た ので あ る。
今 日 に な っ て 、CERNETは 全 国 セ ン タ ー を一 つ 、 地 域 セ ン タ ー を 八 つ 有 す る 中 国 大 陸 部 全 土 に行 き わ た る ネ ッ トワ ー クに成 長 して お り、 全 国 数 百 校 の 大 学 と研 究 機 構 と を結 び付 け て い る。
1998年4月 まで は既 に300校 以 上 の 大 学 に マ ル チ メデ ィア ネ ッ トワ ー ク授 業 シ ス テ ム が 整 備 さ れ た。1998年9月 に、 中 国教 育部 は清 隼 大 学 、 湖 南 大 学 、 漸 江 大学 、 北 京 郵 電 大 学 な ど 四校 の 大 学 に コ ン ピ ュ ー タ ー ネ ッ トワ ー ク に よ る遠 隔 教 育 の 試 行 を 承 認 し た。1999年 、 四 校 で イ ン ター ネ ッ ト遠 隔 教 育 を 受 け る学 生 数 は9000人 に上 り、 教 育 部 は さ ら に北 京 大 学 、 財 政 部 会 計 通 信 教 育 学 校 、 中 央 ラ ジ オ ・テ レ ビ放 送 大 学 に イ ン ター ネ ッ トに よ る遠 隔 教 育 を実 験 す る許 可 を下 した。1999年6月 に 中 国 政 府 が 批 准 し た 「関 干 深 化 教 育 改 革 、 全 面 推 進 素 質 教 育 的 決 定(教 育 改 革 を深 化 させ 、 全 面 的 に素 質 教 育 を 推 進 す る た め の 決 定)」 に お い て は、 教 育 手 段 の 近 代 化 、 水 準 の 向 上 及 び教 育 情 報 化 が 取 り上
愛 知 大 学 情 報 メ デ ィ ア セ ン タ ー 5吐 Vo1.16,No.2,200&
げ られ て い る。 中 国 教 育 部 が2001年 に 批 准 した 「関 干 加 強 高 等 学 校 本 科 教 学 工 作 提 高 教 学 質 量 的 若 干 意 見(大 学 学 部 教 育 の 品 質 を 向 上 させ る た め の ガ イ ド ラ イ ン)」 に よ る と、 国 家 の重 点 大 学(一 流 大 学)で は、 マ ル チ メデ ィア を 活 用 し た 教 授 が 総 授 業 数 の30%以 上 占 め な け れ ば い け な い 、 ま た、
一 般 大 学 で も15%以 上 の 水 準 に保 っ 必 要 が あ る と され て い る
。
遠 隔 教 育 の面 に お い て、 具 体 的 に は、1978年 に 、 中 国 政 府 は教 育 事 業 を発 展 させ る た め に、 テ レ ビ、 ラ ジ オ放 送 な ど の 教 育 の 手 段 と し て 活 用 す る よ う に 遠 隔 教 育 の 方 針 を 打 ち 出 した。1978年 に、
中 国 中 央 ラジ オ ・テ レ ビ放 送 大 学 が 成 立 し、 チベ ッ ト自治 区 を 除 い て、 中 国 大 陸部 の省 、 直 轄 市 、 自 治 区 レベ ル で は放 送 テ レ ビ大 学 を 有 して い た。 省 の下 に地 区 、 さ ら に県 レベ ル ま で放 送 大 学 の授 業 が 行 わ れ て い た 。1986年 に、 衛 星 テ レ ビ教 育 チ ャ ネ ル が 開 通 す る と と も に 教 育 テ レ ビ局 が 設 立 さ れ 、 大 規 模 の 遠 隔 教 育 ネ ッ トワ ー クが 確 立 さ れ た の で あ る。1990年 代 に 入 って 、1日ソ ビ エ トの崩 壊 と ア
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図一:伝 統 の遠 隔教育
衛 星 の 接 収 セ ン タ ー
図 二:衛 星 とLANと 複 合 し た遠 隔 教 育 シ ス テ ム
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図 三:イ ン タ ー ネ ッ トに よ る 遠 隔 教 育
愛 知大 学 情報 メデ ィア セ ン ター 一57一 Vol.16,No.2,2006
メ リカが 湾 岸 戦 争 に お け る圧 倒 的勝 利 を 収 め た た め 、 ア メ リカに お け る軍 事 技 術 の民 用 化 が 一 層 進 め られ た 。 イン ター ネ ッ ト技 術 は そ の 代 表 的 な もの で あ り、 そ れ か ら の発 展 は 九 十 年 代 の ア メ リカ史 上 な か った 好 景 気 に伴 って ハ イテ クバ ブ ル とい わ れ る まで 発 展 して い た。 世 界 の こ の流 れ は 中 国 に大 き な 影響 を 与 え 、 中 国大 陸 部 に お け る イン ター ネ ッ ト基 盤 建 設 を 加 速 させ た の で あ る。
イ ン タ ー ネ ッ トを通 じ た遠 隔教 育 は ます ます 大 き な地 位 を 占め て い る。 今 ま で、 中 国 大 陸 部 に お け る遠 隔 教 育 は三 っ の 段 階 を た ど って きた と思 わ れ る。 ま ず は 通 信 教 育 で あ り、 今 日 と比 べ る と、 か な り小 規 模 で あ っ た。 第 二 段 階 は ラ ジ オ、 テ レ ビ な ど を 利 用 し て 行 う教 育 で あ り、 第 三 段 階 は コ ン ピ ュー タ ー ネ ッ トワ ー クや マ ル チ メデ ィア を 運 用 し、 デ ィジ タル 化 環 境 の 中 で交 互 に行 う教 育 で あ る。 今 、 主 と して 、 中 国 の 遠 隔 教 育 は 衛 星 放 送 単 独 方 式(図 一)、 衛 星 と イ ン タ ー ネ ッ ト融 合 方 式 (図二)及 び イ ン ター ネ ッ ト単 独方 式(図 三)、 と い う三 っ の 方 法 で行 わ れ て い る。 昔 か ら、 遠 隔教 育 を 受 け る側 に あ る受 講 者 が 地 域 に よ って一 箇 所 に集 ま って 、 集 合 的 に授 業 を受 け る伝 統 が あ る。 衛 星 放 送 単 独 方 式 の 時 代 で は 、 み なで テ レ ビを 視 聴 す る の が 一 般 的 で あ っ たが 、 今 日に お いて も、 受 講 者 は マ ル チ メデ ィア教 室 や コ ン ピ ュー タ室 で 遠 隔 教 育 を 受 け る光 景 は珍 し い こ とで は な い の で あ る。 と い うの は 、 イ ン タ ー ネ ッ トは まだ 全 国 的 に普 及 した とい え な い状 況 の 中 で は、 キ ャ ンパ ス ロー カル ・ エ リア ・ネ ッ トワ ー クを 開 通 す る こ と に よ って、 そ の 不 足 を補 う こ と に して い るか らで あ る。
伝 統 の 衛星 放 送 単 独方 式 の 遠 隔 教 育 は一 方 的 な教 育 で あ り、 学 生 か ら教 師 へ の 質 問 や宿 題 の提 出 に コ ス トが か か り、 受 講 生 と教 師 との交 流 が 大 い に 抑 制 され る。 この 方 式 で は、 教 師 が 受 講 生 の 反 応 を 素 早 く受 け る の が不 可 能 で あ る。 今 日で は、 伝統 の ア ナ ログ信 号 か ら デ ィ ジ タル 放 送 に 切 り替 え る こ とを 視 野 に入 れ な が ら、 急 ス ピ ー ドで 衛 星 放 送 に 変 化 が 生 じて い る と ころ だ が 、 イ ン ター ア ク テ ィブ 性 の 欠 如 と い う こ とを 解 決 で きな け れ ば 、 伝 統 的 な 衛 星 放 送 に よ る遠 隔教 育 が い く ら技 術 の 進 歩 を し て も、 長 期 的 な 立 場 に 立 て ば、 衛 星 放 送 単 独 方 式 は だ ん だ ん撤 退 す る 傾 向 に あ る と考 え られ る。 しか し、 イン ター ネ ッ トに よ って 、 伝 統 の衛 星 放 送 の 弱 点 を解 決 す る こ とが 期 待 で き る。
4.大 学 教 員 の 現 代 教 育 技 術 に 関 す る訓 練 プ ロ グ ラ ム
中 国政 府 に よ る強 力 な マ ル チ メデ ィ ア支 援 教 授 の推 進 方 針 は、 教 師 が 授 業 に 臨 む姿 勢 に大 い に影 響 し て い る。 特 に、 大 学 教 員 は そ うで あ る。
中 国 大 陸 部 に お い て 、 大 学 教 員 は、 大 き く区 分 して 、 助 手 、 講 師 、 助 教 授 、 教 授 に 分 け られ て お り、 政 府 及 び 大 学 当局 に は 教 員 に対 して 厳 しい評 価 制 度 が あ り、 か っ て 限 定 的 で あ った 任期 制 を 全 面 的 に 実 施 す る と と もに、 上 位 の ラ ン ク に進 む た め に は評 定 機 関 の細 か い 評 価 を 受 け な くて は な ら な い。 しか し一 定 の論 文 数 と著 書 が要 求 され る だ け で は な い。 外 国 語 能 力 試 験 及 び い わ ゆ る現 代 教 育 技 術 試 験 に 一 定 の点 数 が 求 め られ るほ か 、 授 業 に 関 す る非 常 に詳 しい ル ー ル が 決 め られ て お り、 二 ヶ国 語 で(一 般 的 に英 語 と中 国 語)授 業 を 行 う こ とが で き る か、 そ して 授 業 中 マ ル チ メデ ィア を 活 用 す る こ とが で き るが 実 際 に は活 用 した こ とが あ るか ど うか は、 今 日で は既 に重 要 な 指 標 の一 っ に な って い る。 評 価 方 法 を大 き く三 種 類 に 分 け る こ とが で き、 す な わ ち、 「学 評 教 」、 「教 評 教 」、 「教 評 学 」 と い
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う こ とで あ る。 っ ま り、 学 生 に よ る授 業 評 価 の ほか 、 教 員 同 士 、 実 は教 務 に よ る授 業 評 価 及 び 教 員 の 自 己 評 価 で あ る。 大 学 で は 、 教 員 が 授 業 プ ラ ン を提 出 し、 大 学 当局 の 検 査 を う け る の が 義 務 で あ る が 、 マ ル チ メデ ィア コ ー ス ウ ェ ア と い う形 で の 提 出が 提 唱 され て い る。 検 査 す る側 が 十 分 な 時 間 を取 れ な い こ と もあ って 、 授 業 全 体 へ の 評 価 は、 形 式 上 の も の だ け に惹 か れ る可 能性 が 大 き く、 特 に 、 マ ル チ メデ ィア支 援 教 授 が 教 育 水 準 の 評 価 指 標 と され る場 合 に 、 この 傾 向 は一 層 強 ま る と考 え られ 、 授 業 中 マ ル チ メデ ィア を活 用 した か 否 や との 違 い に よ っ て、 授 業 に対 す る評 価 値 が 大 き く上 下 す る ケ ー ス もあ り う る。 結 局 、Akerlof(1970)の レモ ン市 場 の よ うに、 評 価 シ ス テム の根 幹 が 崩 れ る可 能 性 さ え あ る。 当 然 、 こ の問 題 は、 マ ル チ メデ ィア支 援 教 育 に 限 らず 、 教 育 全 体 、 また は 経 済 全 体 に 亘 る こ と で あ るた め、 中 国 にお け る縦 社 会 の本 質 に対 し、 さ ら な る改 革 が 求 め られ る。
中国 大 陸 部 に お け る教 育 研 究 の発 信 地 で あ る北 京 市 は、 い ち早 く具 体 的 な マ ル メデ ィア支 援 教 授 に 関 す る方 針 を 打 ち 出 して い る。 北 京市 政 府 に直 属 、 また は管 理 下 に あ る大 学 の教 育 技 術 試 験 は 、 教 育 の 方 針 に し たが い 、 低 い レ ベ ル か ら高 い レベ ル まで 、 一級(初 級)、 二 級(中 級)、 三 級(高 級)と い う三 っ の レベ ル に分 か れ て い る。 助 手 を も励 ま して マ ル チ メデ ィア 支 援 教 授 の実 施 を 行 わせ るが 、 市 政 府 レ ベ ル の 規 定 が な い。2005年1月1日 か ら、 これ まで 実 施 して きた 一 部 の教 員 に対 す る試 験 免 除 制 度 の実 施 を 改 め、 大 学 教 員 が 講 師 また は それ 以 上 の職 階 へ 昇 進 し よ うとす る際 に、 試 験 が 求 め られ る。 中級 職 階 、 す な わ ち講 師 へ の昇 進 を 申 し込 む に は 、 一 級 試 験 が 要 求 され る。 そ の 内 容 はWord、
Excel、PowerPointに 関 す る理 論 的試 験 で あ る。 講 師 か ら助 教 授 へ 昇 進 す る た め に は 、 現 代 教 育 技 術 二 級 とい う資 格 が必 要 と な る。 試 験 が コ ン ピ ュ ー タ で行 わ れ 、 二 部 か らな る。 まず は理 論 的 問 題 で、
そ の後 は三 っ の ソ フ トを 運 用 す る実 技 テ ス トで あ る。 ソ フ トは、Dreamweaverの ほ か に、Photoshop, Flash,Authorwareの 中 か ら二 っ を 選 ん で 受 験 す る。 筆 記 試 験 及 び 実 際 の コ ン ピ ュ ー タ操 作 、 あ わ せ て 二 科 目 を 受 験 しな け れ ば な ら な い。 実 際 に 実 施 され た 試 験 は 、入 学 試 験 や 社 会 に公 開 され た資 格 試 験 ほ ど 難 し くな い とい っ て い い で あ ろ うが 、 大 多 数 の 文 系 教 員 に と って は、 試 験 に合 格 す る た め に は 、 時 間 と金 銭 的 な支 出 は 大 で あ る。 三 級 試 験 は強 制 的 で は な く、 試 験 を 受 け る対 象 は 、 教 授 経 験 及 び 現 代 教 育 技 術 に関 す る知 識 が 豊 か で、 しか も イ ン タ ー ネ ッ トコー ス デ ザ イ ン に熱 心 な教 員 、 と され て い る。
試 験 は原 則 的 に すべ て の 大学 教 員 を対 象 と して 、 マ ル チ メデ ィア の基 本 的 操 作 の理 解 と活 用 を 目的 と した 講 習 プ ロ グ ラム を設 定 し、 マル チ メデ ィアを 活 用 して 、 画 像 、 映像 、 音 声 情 報 の処 理 に関 す る カ リキ ュ ラム を 取 り入 れ た授 業 を 行 わ せ る もの で あ る。 中 国 大 陸 部 の 国 立 、 公 立 大 学 に お いて は、 一 般 教 員 の退 職 年 齢 は60歳 と され て い る が 、1960年1月1日 以 前 に生 まれ た 、 っ ま りだ い た い55歳 以 上 の 教 員 に 対 し て、 ル ー ル を 緩 め て 、Wordな ど で 簡 単 な プ レ ゼ ンテ ー シ ョ ンを し て も い い と し て い る。 通 常 、 試 験 に合 格 させ るた あ に、 そ れ な りの 訓 練 プ ロ グ ラム に参 加 す るだ けで もか か る授 業 時 間 は 長 く、 研 修 へ 補 助 す るど こ ろか 、 それ な りの 出 費 も大 学 に よ って は ほ とん ど 自費 と され る場 合 が 少 な くな いQ
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5.大 学 の マ ル チ メデ ィア活 用 戦 略 が もた ら した 問 題
数 多 くの 大 学 に は、 域 内 ネ ッ トワ ー ク、 遠 隔 教 育 セ ン タ ー、CAIコ ー ス ウ ェ ア 政 策 セ ン タ ー な ど、
マ ル チ メデ ィア に か か わ る部 門 が 設 け られ て い る。
マ ル チ メデ ィア とそ れ を 取 り巻 く環 境 の 変 化 は、 伝 統 的 な教 授 手 法 に大 き な イ ンパ ク トを与 え 、 そ れ な りの 変 化 を もた ら した 。 中 国 で は、 教 育 当局 の 強 力 的 な マ ル チ メデ ィア活 用戦 略 に よ って 、 マ ル チ メデ ィ アが 有 力 な教 授 手 段 と して 、 ます ます 大 きな 役 割 を果 た す で あ ろ う と期 待 され る。 大 学 、 と りわ け北 京 、 上 海 な ど の 大 都 市 で は、 全 授 業 で マ ル チ メデ ィア を 活 用 す る大 学 が あ る よ うで あ る。 大 学 教 育 の 産 業 化 に よ って 、 大 学 の規 模 拡 大 が 著 し く進 ん で い る。 マル チ メデ ィ ア設 備 が 揃 う教 室 が 一 般 的 と な り、 特 別 な場 合 を除 くと、 黒 板 と チ ョー ク を一 年 中 ま っ た く触 らな い ケ ー ス は少 な くな い。
しか し、 一 方 、 この 流 れ に さ まざ ま な問 題 も潜 ん で お り、 マル メデ ィア を利 用 し授 業 を行 っ た だ け で成 果 を 上 げ て い るか ど うか に対 して は、 疑 問 の 余 地 が あ る。 マル チ メデ ィア と い う とテ ク ノロ ジ ー 的 な優 位 性 の 側 面 が 注 目 され が ち で あ るが 、 そ の 優 位 性 ゆ え に生 じ た 問 題 に注 意 を 払 う必 要 が あ る。
そ の ほか 、 技 術 的 な優 位 性 が あ るか ら と い って 、 実 際 の 教 授 と学 習 との 間 に 内 面 か らの 緊 密 な関 係 が な い と、 ま った く意 味 が な い し、 「マル チ メデ ィア の乱 用 」 と い う こ と に よ っ て正 常 な教 授 シ ス テ ム に 障 害 を もた らす 恐 れ さえ あ る。
全 体 か らみ る と、 数 多 くの 教 員 、 特 に50歳 台 、 ま た は それ 以 上 の 文 系 教 員 は コ ン ピ ュー タ に 関 す る知 識 が 乏 し く、 多 くの教 師 が せ いぜ いWordが 使 え る レベ ル に あ り、PowerPointの 使 用 は 一 部 の 人 に 限 られ る。 マル チ メデ ィア 支 援 教 授 で は よ く使 わ れ るAuthorwareの よ う な ソ フ トに っ い て の 理 解 が 浅 い の が 現 状 で あ る。
マ ル チ メデ ィア ・イ ン タ ー ネ ッ ト技 術 を 教 育 に取 り入 れ る真 の 目的 は、 教 育 の 品 質 を 向上 させ る こ とに あ ろ うが 、 政府 主 導 の マ ル チ メデ ィ ア活 用 政 策 は、 教 育 の 産 業 化 が 背 景 に あ り、 教 育 の 収 益 率 の 向上 とい う思 惑 も あ る。
まず は 、 教 育 の 効 率 化 で あ る。 教 育 を受 け る側 に あ る学 生 に と って は、 限 られ る時 間 に学 ぶ べ き知 識 を 理 解 し、 そ れ ぞ れ の社 会 活 動 に 適 応 す る技 能 を 身 に っ け る こ と で あ る。 一 方 、 教 え る立 場 に立 っ 教 員 が 限 られ た 時 間 内 に計 画 した 通 り に ま た は それ よ り も順 調 に教 育 目標 を よ り確 実 に 達 成 す る こ と を 図 る も の で あ る。
マ ル チ メデ ィア支 援 教 授 は 伝 統 教 授 手 段 に なか った 直 感 性 、 面 白 さが あ る こ とで、 教 え る側 と教 わ る側 が 両 方 と も に積 極 的授 業 に取 り組 み、 教 授 過 程 中 に あ る難 点 を 比 較 的 簡 単 に解 決 す る こと に 寄 与 す る。 しか し、 だ か ら とい って 、 一 方 的 に 大 い に マ ル チ メデ ィア支 援 教 授 手 法 を授 業 に取 り入 れ るべ きか とい う と、 必 ず し も そ うで は な い で あ ろ う。 マ ル チ メデ ィア支 援 教 授 に は さ まざ ま な問 題 が あ る よ うに思 わ れ る。 問題 の 一 部 は、 この マ ル チ メデ ィ ア支 援 教 授 とい う比 較 的新 しい 手 法 を導 入 す る段 階 に発 生 しが ち な もの で あ ろ うが 、 ほ か に は、 マ ル チ メデ ィア を 使 う必 要 が な い か 、 ま た は 使 うと学 習 に逆 効 果 を もた らす 場 合 も あ り う る。
デ ィ ジ タ ル化 に よ って 、 情 報 の大 量 収 集 が可 能 に な り、 知pの 伝 達 が よ り ス ム ー ズ に行 わ れ る こ と
愛 知 大 学 情 報 メデ ィ ア セ ン タ ー .1 Vo1.16,No.2,2006
が 可 能 に な る。 マル チ メデ ィア活 用 に よ る教 授 は、 学 生 の学 習 意 欲 を 引 き起 こす こ とが で き、 授 業 に お け る効 果 の 向 上 が 期 待 で き る も の で あ る。 マ ル チ メデ ィア を活 用 す る こ と に よ って 、 授 業 の 難 関 、 難 問 を よ り簡 単 に 解 くた め に役 立 て る こ とが で き る。 特 に言 語 の 授 業(CALLな ど)、 一 部 の 理 工 系 科 目 で は シ ミュ レ ー シ ョン に よ る表 現 は 非 常 に効 果 的 で あ る。
一 方、 過 剰 な マル チ メデ ィア運 用 を 避 け る必 要 が あ る。 伝 統 的 な 教 授 方 式 は長 年 に亘 って実 践 を 積 ん だ もの で あ る。 マ ル チ メデ ィア活 用 に よ る教 授 は、 大 多 数 の授 業 で は マル チ メデ ィア は あ くまで も 補 助 とい う立 場 に あ るほ か な い。 しか し、 数 多 くの教 員 は、 マ ル チ メデ ィア機 能 を 有 す る コ ン ピ ュー
タを単 に テキ ス トを製 作 す る機 器 と見 な し、 黒 板 な ど の 使 用 は だ ん だ ん な くな って い る。
授 業 道 具 と して 、 す べ て それ を使 って し ま うと、 返 って 学 生 の注 意 が 無 関 係 の と こ ろ に 引 か れ る可 能 性 は大 き く、 授 業 の効 果 を 低 め る と考 え られ る。 時 に は、 一 部 の教 員 は学 生 の反 応 や 理 解 の度 合 い を顧 み ず、 完 全 に 自 己流 で 授 業 を進 め る ケ ー ス もみ られ る。 マ ル チ メデ ィア の比 較 優 位 性 を で き るだ け発 揮 させ る ため に、 必 要 以 上 の情 報 量 を 学 生 に教 え込 む 場 合 もあ る。 教 員 自分 自身 の マ ル チ メデ ィ ア の特 徴 に っ いて の理 解 が 足 りな い の が 原 因 の 一 っ で あ ろ うが 、 教 員 は 形 だ け の授 業 を追 求 し、 実 質 上 の サ ボ タ ー ジ ュで あ る と いわ ざ る を 得 な い。
中 国大 陸 部 にお い て、 マ ル チ メデ ィア支 援 教 授 の も う一 っ の問 題 は 、 授 業 用 ソ フ トウ ェア へ の 選 択 で あ る。 市 場 に 出 回 っ て い る ソ フ ト ウ ェ ア は、 実 質 上 電 子 読 本 の もの に す ぎ な い もの が 少 な くな い。
問題 集 な ど の デ ー タ ベ ー ス も あ る が 、 そ れ は、 宿 題 と して は い い か も しれ な い が 、 マル チ メデ ィア と 直 接 な 関係 を 持 っ と は い え ず 、 紙 で 造 られ た問 題 集 と あ ま りに も変 わ ら な い。 マ ル チ メデ ィア を 活 用 した授 業 に お け る メ リッ トの 一 っ に は 、 比 較 的 統 一 され た ソ フ トウ ェ アを 使 用 す る こ と に よ って 、 教 員 が授 業 に か か る物 的 及 び 精 神 的 コ ス トの 軽 減 で あ る。 しか し、 これ こ そ教 員 が単 純 な コ ンピ ュ ー タ 操 作 に 陥 って 、 授 業 の真 の 目標 さ え 見 捨 て る恐 れ が 潜 ん で い る。 授 業 と い うの は 、 あ くま で も学 生 と い う人 間 を 対 象 とす るた め 、 学 生 に個 人 差 が 大 き い こ と に注 意 を よ く払 い、 十 分 に 対 応 で き る方 法 を 考 え る必 要 が あ る。 さ もな けれ ば 、 機 械 だ けで も十 分 で あ り、 教 員 は 不 要 に な るで あ ろ う。
マ ル チ メデ ィア支 援 教 授 の 効 果 を評 価 す る の も簡 単 な もの で は な い。 そ れ を 確 実 に 行 うた め に は、
全 面 的 な評 価 シ ス テ ム を作 り、 多 数 の 指 標 に っ い て 、総 合 的 な比 較 分 析 を行 い、 実 証 研 究 を す る必 要 に な る。 お お ざ っぱ に い え ば 、 教 育 目標 へ の達 成 度 合 い こ そ、 授 業 効 果 に対 す る判 断 の終 極 の 基 準 だ と思 わ れ る。 基 本 的 な教 育 方 針 に従 い、 技 術 的 に正 し い情 報 を ス ム ーズ に学 生 に伝 え る こ とに 成 功 す れ ば、 マ ル チ メデ ィア支 援 教 授 が 効 果 的 だ と、 よ うや く判 断 す る こ とが で き るの で あ ろ う。
今 の マ ル チ メデ ィア支 援 教 授 の コー ス ウ ェア に は、 受 講 生 の好 み に 対 応 で き る も のが 少 な い 。 授 業 用 コ ンテ ン ツの 順 序 が 固定 され 、 一 旦 授 業 を始 め る と、 受 講 生 の 実 際 に学 習 内容 に っ い て理 解 した 状 況 に 応 じて 調 整 す る こ とが 難 しい 。 こ の こ とを考 え る と、 一 部 の マ ル チ メデ ィ ア支 援 教 授 と い わ れ る、 また は 大 学 当 局 に よ って 認 め られ るが 、 実 際 に は 、 ま だ八 十 年 代 の レ ベ ル に 止 ま った ま まで あ る もの とい わ ざ るを 得 な い。
映像 や音 声 が ス ム ー ズ に流 れ る こ とが 、 今 日に お け る マ ル チ メデ ィア支 援 教 授 の 特 徴 の一 つ で あ ろ うが 、 これ よ りも遥 か に 重 要 な の は 、 マ ル チ メデ ィア 支 援 教 授 自身 に あ る イ ン タ ー ア クテ ィブ性 に
愛 知 大学 情 報 メデ ィア セ ン ター 一61一 Vo1.16,No.2,2006