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ボ ランテ ィア活動体験者 における体験の活用 につ いて

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ボ ランテ ィア活動体験者 における体験の活用 につ いて

笠 原 芳 隆*

本研究 では,介護 ・ 介助活動 を中心 とした ボランテ ィア活動体験者 の, 当時の活動 に対す る意識 や, 現在 の障害児教育等 に対す る関心,活動 の 自分 自身の生活及 び教職活動へ の活用 につ いて把握 し,介 護等体験学生が,体験 を教職活動等 に活用 しよ うとす る意欲 を高め るための指導 の在 り方 を明 らかに す ることを 目的 とした。

その結果,将来,介護等体験 を通 して よ り多 くの者 が障害児教育経験 の希望 を もち,体験 の内容 を 教職活動 に生 かす意欲 を もっ ことがで きるよ うにす るため に,障害児教育専攻 の臨床実習等 の様子 を 映像 で見た り,実際 に見学 した りす る機会 を設 けるな ど, よ・ り具体的で継続的 な事前 ・事後指導 を カ

リキ ュラムに組み込む な どして実施す る必要 があることが示唆 された0 キー ワー ド :ボ ランテ ィア活動 介護等体験

Ⅰ 間濃 と目的

小学校及 び中学校 の教諭 の普通免許状 を取得 しよ う とす る者 に,障害者や高齢者 に対す る介護,介助,交 流体験等 ( 以下,介護等体験)が義務づけ られて 3 年

になる。

本法律 の趣 旨は,学校現場 において, い じめをは じ め とす る心 の問題 が ク ローズア ップされ, また,障害 児 と健常児の交流教育等 が進 め られてい る現状 に照 ら し,義務教育担 当教 師希望者 に障害者や高齢者 に対す る介護,介助,交流体験等 を義務づ け,人の心 の痛み を理解 で きる人づ くり,人間一人一人の能力や個性 を 認 め られ る心 を もった人づ く りをめ ざす と ころに あ

る。

本法律 が施行 された ことを受 け,本学 において も平 成 1 0 年度学校教育学部入学者 か ら,特殊教育諸学校 2

日間,特別養護老人 ホーム等社会福祉施設 で 5 日間の 介護等体験 を実施 してい る。

特殊教育諸学校 における体験 につ いて,本学学生を 受 け入れた学校 の教員 は,概 ね学生の活動 の様子 を前 向 きに受 け止め,積極的 ・意欲的 に体験活動 に取 り組 んだ ケースが多 い と見 てい る反面,実際 に利用者 と接 す る中で戸惑 ってい るケースがあるとも見 ている ( 隻 原 ・大野 ・安藤 ・河合 ,1 9 99 ) 。 また. ,体験 に よって学

* 上越教育大学障害児教育講座

教職活動 大学 カ リキ ュラム

生 自身,障害児教育や福祉 に対す る関心,障害児教育 就職希望 の割合が高 まっていることが明 らかになって いる一方 で,精神的 ・時間的負担感やのちに行 う社会 福祉施設 における体験 に対す る不安感が高 まってい る

とい う結果 も出てい る ( 安藤 ,1 9 99 ) 0

社会福祉施設 におけ る体験 につ いて,実際 に学生を 受 け入れた施設 の職員 は,学生の様子を特殊教育語学 校 同様,概 ね前 向 きに取 り組 んで いた と受 け止 めた ケースが多 いが,や は り学生の中には消極的,義務的 に活動 に取 り組 んで い る ケースが あ る と も見 て い る ( 笠原 ・ 大野 ,2 0 0 0 ) 。学生 自身,体験 その ものに満足 感 を もち,他者 との関わ り方 につ いて学ぶ ことがで き た といった意見や,障害者や高齢者 に対す る理解 が深 ま り,子 どもたちに福祉 につ いて話す な ど,体験 を将 来 の教職活動 に生かせ るとい う意見 を もつ者 が多 い。

しか し,少人数 ではあるものの,通常 の教育 に携わ る ことを考 えれ ば高齢者や障害児 ・者へ の介護等体験 は 生かせ ない と考 えてい る者 もい る。極端 なケースでは, 排雅 等 の介助活動 に著 し く嫌 悪 感 を もち,二 度 と介 助 ・介護活動 に関わ りた くない と考 えている者 も存在 す る ( 笠原 ,2 0 0 0 ) 0

介護等体験 を実施す るに当た っては,高齢者や障害

児 ・者 の特性,福祉制度,介護 ・介助 の方法等 を理解

す るための事前指導や, 自分が体験 した ことを振 り返

り,何を得たのかを考 える事後指導が必要 だが, その

(2)

時間が十分 に確保 されていないケースが多い ( 小川,

2 0 0 0 ) 。本学 において も,事前指導 と事後指導 を合わせ て 1 5 0 分程度 しか設定 されてお らず,事後指導 について は, 自分の体験 を振 り返 る時間がほ とん ど含 まれてい ない状況 にある( 笠原 ら ,1 9 9 9 ) 。 この よ うに,高齢者 や障害児 ・者,福祉 に関す る理解 を深め ることな く実 際に手探 りの状態で介護 ・介助活動をせ ざるを得 ない 状況下にあって も,多 くの学生が本体験 を前向 きに と らえ,将来の教職活動 に生かす ことが可能だ と判断 し ていた。 しか し,一方で体験 を生かす ことに否定的 な 者 も見受 け られた。

介護等体験 は,義務教育教員免許状 を取得す るため に,希望 しな くて も行わ ざるを得 ない もので,介護 ・ 介助活動等 に関心 を もち, 自らの意志で行 う, いわゆ

るボランテ ィア活動 とは異 なる。 この ことは,介護 ・ 介助活動 に対す る意識や障害児教育に対す る関心,将 来 の教職活動‑の活用 に影響 を与 えると考 えられ る.

この ことか ら, 自らの意志でボランテ ィアサ ークル に所属 し,介護 ・介助活動等を行 った者 の,活動等 に 対す る意識や,教織活動等への活用 について明 らかに し,介護等体験学生 と比較す ることは,介護等体験 を 将来 に生かすための実施の在 り方 について示唆を得 る

ことになる。

そ こで本研究では,本学学部在学当時,介護 ・介助 活動 を中心 とした ボランテ ィア活動 に携わ った卒業生 の,当時の活動 に対す る意識や,現在 の障害児教育等 に対す る関心,活動 の 自分 自身の生活及 び教職活動‑

の活用 について把握 し,介護等体験学生が,体験 を よ り前 向 きに教職活動等 に活用 しよ うとす る意欲 を高め るための指導 の在 り方 を明 らかにす ることを 目的 とす る。

Ⅰ Ⅰ 方 法 1 対 象

現在 も本学 の課外活動団体 として活動 を続 けている ボ ランテ ィアサ ークル 「 紙 ひこ うき」の一員 として, 在学当時 ボランテ ィア活動 に携わ った学校教育学部卒 業坐で,現存す る名簿 に掲載 され,調査用紙の郵送が 可能 な者 ( 昭和 6 1 年度 〜平成 2 年度卒業生,以下, ボラ

ンテ ィア活動体験者),計 5 1 名 を対象 とした。

2 手 続 き ( 1 ) 質問紙の作成

安藤 ( 1 9 9 9 ) が,実際に介護等体験 を行 った本学現 役学部学生 を対象に作成 した質問紙を参考 に して,以 下の項 目を挙げ,質問紙 を作成 した。

1 ボランティア活動体験内容 ( 数字は延べ数) 話 し相手

外 出同行

移動介助

食事 介助

トイレ介助

清掃 ・洗濯 ・衣類整頓 福祉イベン ト運営手伝い

その他

2 1 1 2 5 9 6 9 5 1 3 1

① 障害児教育への関心

② 障害者福祉への関心

③ 高齢者福祉‑の関心

④ 障害児教育経験 の希望

⑤ ボランテ ィア活動体験期間

⑥ ボランテ ィア活動体験頻度

⑦ ボランテ ィア活動体験 内容

⑧ ボランテ ィア活動で印象 に残 った出来事

⑨ ボランテ ィア活動で戸惑 った こと

⑲ 現在 の生活 におけるボランテ ィア体験 の活用

⑪ 教職活動等 におけるボランテ ィア体験 の活用

⑫ 介護等体験義務づけに対す る意識

⑬ 介護等体験 に対す る期待

以上 の項 目の他 に,対象者 の特性 に関す る項 目とし て以下の 5 点を挙 げ,記入欄 を設 けた。

① 性別

② 年齢

③ 現職

⑥ 教職経験年数

⑤ 特殊教育経験年数 ( 2 ) 調査 の実施

対象者個 々に調査用紙を郵送 し,回答を求めた。

(3)

調査期間

2 0 0 0 年 1 0 月中旬か ら 1 1月中旬

Ⅰ Ⅰ Ⅰ 結果 と考察 1 回 収 率

5 1 名中 2 9 名か ら回答が寄せ られた。回収率 は 5 6. 9 %

であった。

2 回答者の特性

性別 は男性 6 名 ( 2 0. 7 %) ,女性 2 3 名 ( 7 9. 3 %) ,午 齢 は平均 3 4. 8 歳 ( S D 1. 4 8 ) であった。 また,現職 は, 教職 に就 いている者が トータルで 2 1 名 ( 7 2. 3 %) であ

り,その他 の職業 4 名 ( 1 3. 8 %) ,現在無職 4 名 ( 1 3. 8 %)

であった。男女比 については偏 りがあるが, これ は,

(3)

当時本サ ークルに在籍 していた メンバ ーの男女比 とほ ぼ同 じであった。

3 体験 したボランテ ィア活動の内容等

サークルの中で実際に体験 したボランテ ィア活動の 内容を延べで示 した ものが表 1 である。今回制度化 さ れた介護等体験 の活動例 として,介護 ・介助の他,請 し相手,散歩の付 き添 い等の交流体験,洗濯等当該施 設職員 に必要 とされ る業務 等 が示 され て い る ( 林, 2 0 0 0 ) 。今回調査 を依頼 した ボ ランテ ィア活動体験者 も, これ らに準ず る活動 を複数体験 していた ことが明 らかになった。

実際に活動 した期間は平均 2. 85 年 ( SDO. 9 7 ) で,期 間中の活動頻度 は,月 1回程度 ( 2 2. 2%) 及 び年,敬 回程度 ( 37. 0%) と回答 した者が多かった。年数回程 度の体験 であって も,平均 3 年弱の間関わ っていた と すれば,実質介護等体験実施標準の 7日間 と同等 かそ れ以上 の期間 ボランテ ィア活動 を体験 した と考 えられ る。

4 障害児教育等への関心

障害児教育等‑の関心の有無 について , 「 大変 ある」

または 「ある」 とした者 の割合 を, 7 日間の介護等体 験を終 えた現役学生の結果 ( 笠原 ,2 0 0 0 ) とともに表 2 に示 した。障害児教育 に対す る関心,障害者福祉へ の関心 ともに高 い値 を示 した。高齢者福祉‑の関心 の 有無については,障害者 に対す る関心 よ り低 い ものの, 値その ものはかな り高か った。

介護等体験 を終 えた現役学生 とサ ンプル数 に違 いが あるが, いずれ もサークルでのボランテ ィア活動体験 者の方が若干高 い値 を示 した。

5 障害児教育経験の希望

「 将来障害児教育に携わ りたい と思 うか」 とい う問 いに対 してほ ,1 7 名 ( 6 3. 0%) が 「思 う」 と回答 して お り,現在特殊教育 に携わ っている者が 2 6 名 車 2 名 い た。障害児教育従事の希望 は,現役学生の 2 5. 5% ( 隻 原 ,2 0 0 0) を大 き く上回 った。

6 ボランテ ィア活動中の印象 に残 った出来事 ボランテ ィア活動 を体験す る中で印象に残 った こと が 「ある」 とした者が 2 4 名 ( 8 2. 8%) に上 った。その 内容 につ いてカテゴライズ した ものが表 3 である。

「 障害児・ 者 との交流体験」では,「 養護学校 の子 ど もたち とハ イキングに行 った 」 「 成人施設 の人 といろん な話がで きた 」 「 初対面 の人 とも心が通 じ合 った と思 え る時間を過 ごす ことがで きた」 とい うよ うな,交流 し た ことそれ 自体 が 印象 に残 ってい る とい う回答 が多 く , 「介助 を して喜 んで もらえた」といった,相手の応

2 障害児教育等への関心 ( 数字は%) ボランティア体験者

現役学生

障害児教育への関心

障害者福祉への関心 高齢者福祉への関心

9 3. 1 7 7. 7 8 9. 7 7 4. 5 8 6. 2 7 9. 9

3 印象に残った出来事 ( 数字は延べ数) 障害児 ・者 との交流体験

障害児 ・者から受けた影響 障害児 ・者を支える人との出会い

障害児 ・者 との交流における失敗 ・思惑違い

その他

86354

答 に対す る喜 びを印象的に とらえている者 もいた。

「 障害児 ・ 者 か ら受 けた影響」では , 「 障害者 も,健 常者 と少 しも変わ らない と親近感 を持つ ことがで き た 」 「 食事介助では最初,自分 自身食事がの どを通 らな か ったが,慣れて平気 になった」 といったいわ ば自分 自身の障害者 に対す る見方や接 し方 の変化 をあげてい る者がお り,また , 「 身障者の詩集を読 ませて もらった とき,感受性の豊 か さに感動 した 」 「 障害を乗 り越 え, よ りよ く生 きよ うと夢 や希望 を持 ち,前 向 きにが ん ばっている強 さに教 えられた 」 「 重心 ・ 筋 ジス病棟 の人 か ら,生 きることの姿勢のあ り方 に心打たれた」な ど, 障害者 自身の生 き様 に対 して感銘を受 けた ことが印象 に残 っているとした者 もいた。

「 障害児・ 者を支 える人 との出会 い」では , 「 病棟 に 入院 している人を見守 っている保母 さんの温 かい心 を 知 った 」 「ボランテ ィア仲間が,施設 にボランテ ィアを や りに行 くのではな く,友だちに会 いに行 くと言 った ことに驚いた」などの内容があげ られてお り,障害児・

者 を支 える人の障害児 ・者 に対す る対応や意識 も印象 に残 っていることが明 らかになった。

「 障害児 ・者 との交流 における失敗 ・思惑違 い」 で 紘,「 相手が トイレに行 きたが っていたのに気づ くこと がで きなかった」 といった失敗や 「 初めての介助でい きな り抱 きつかれて驚いた 」 「 皆 さん明るいですね と話 しかけた ところ,心の中は違 うと言われた」 な どの内 容が あげれ らてお り, マ イナスの交流体験 が 印象 に 残 っているとした者 も見受 け られた。

7 ボランテ ィア活動で戸惑 ったこと

ボランテ ィア活動中に戸惑 った り困 った りした こと

が 「ある」 とした者が 2 6 名 ( 8 2. 8%) ヽ に及 んだ。 その

(4)

4 戸惑ったことの内容 ( 数字は延べ数) 障害児 ・者 との接 し方

言葉によるコミュニケーション 介助の仕方 ・程度

障害児 ・者に対する意識 障害児 ・者からの関わ り その他

0454321

表 5 生活面で役立っている点 ( 数字は延べ数) 障害児 ・者に対する意識

障害児 ・者への対応

他者理解

障害児教育への従事 その他

65425

内訳 は 衰 4 の とお りであった。

「障害児・ 者 との接 し方」では , 「 知的障害者の行動 が理解 で きず, どの よ うに接すれ ば よいか分 か らな か った」「 最初 の頃はただぼっと立 っていることしかで きなか った」「ボランテ ィアをす るとい うことで力が入 り, され る側 の気持 ちを忘れがちになった」 といった 内容が複数 あげ られていた。関連 して 「 言葉 によるコ ミュニケーシ ョン」では , 「 一生懸命話 して くれても聞 き取れず,返事がで きなかった 」 「 知的障害の方の会話 が理解 で きず,意思疎通が図れなかった」 といった内 容があげ られていた。

「介助 の仕方 ・ 程度」 では , 「 車 いす の介助 の仕方が 分か らなかった」「 障害 の程度が分か らないので対応が 十分で きない ことが多か った」「どこまで手伝 いす るの がベス トなのか見極めが難 しか った」 な どの内容があ げ られていた。

「 障害児・ 者 に対す る意識」では , 「 初めて施設訪問 した とき,一緒 に食事がで きなか った 」 「自分の恐怖心 が相手 に伝わ っているよ うで心配だ った」 といった内 容があげ られていた。

これ らの内容は,介護等体験 を終 えた現役学生が戸 惑 いの内容 としてあげた もの ( 笠原 ,2 0 0 0 ) と共通 し ている。 ボランテ ィア活動体験者 の場合, 自らの意志 でサークルに入 りボ ランテ ィア活動 に携わ った点で, 義務化 された介護等体験 を行 う現役学生 と差異がある が,事前 に障害児 ・者 との接 し方や介助 の方法 につい て知 る機会がない中で,現役学生 と同様 の戸惑 いを感 じなが ら活動 を行 っていた ことが明 らかになった。

なお, これ らの他 に , 「 障害児・ 老か らの関わ り」 と して , 「 相手方 に恋愛感情 もたれて しまった 」 「自身 は ボランテ ィアと思 っていたが,相手 は親友 と思 って し まい,家 に泊 ま り込 まれた ことがあった」 といった, 継続的に凍す ることが原因 と考 えられ る戸惑 い も複数

あげ られていた。

8 現在の生活 におけるボランテ ィア体験の活用 ボランテ ィア活動 の体験が現在の 自分 自身の生活 に 役立 っているか とい う問に対 し ,2 3 名 ( 7 9. 3 %) が 「 役

立 っている」 と回答 してお り,当時少 なか らず戸惑 い を感 じなが ら活動 していたにもかかわ らず,現在の 自 分 自身の生活 に活動が役立 っている,す なわち生かさ れ てい る と考 えてい る者 が多 い ことが 明 らか に なっ た。どの よ うな点で役 に立 っていると考 えているのか, 自由記述 の内容をカテゴライズ した ものを表 5 に示 し た。

「障害児・ 者 に対す る意識」では , 「障害があろ うと なかろ うと, 同 じ人間なんだ とい う感覚を もっ ことが で きた 」 「障害児・ 者 に対す る心の壁 の よ うなものが取 り除 かれた 」 「パ ラ リンピックな ども差別的 に見 な く なった」な どの内容があげ られていた。また , 「 障害児・

老‑の対応」では , 「 知的障害者 に街 中で話 しかけ られ た ときで も抵抗 な く接す ることがで きる」「 街 中や仕事 上で出会 う障害児 ・者 に声 をかけた り手 をきしのべた りで きるよ うに思 う」「自然 に高齢者や障害者 に接す る ことがで きるよ うになった」 といった内容があげ られ ていた。三 洋 ( 2 0 00 ) は,障害者への接触経験が豊か な健常者 は,一般的 に障害者 に対 して好意的であるこ とを指摘 している。戸惑 いを感 じなが らも直接ふれ合 う活動 を続 けてい く中で,障害児 ・者 に対す る意識が 前 向 きな方 向に変容 し,それが行動面 に も現れている

とみ ることがで きる。

「 他者理解」では , 「‑ ソデ ィの有無 に関わ らず,人 はそれぞれその人でなければで きない ことがあると思 える 」 「お互 いに助 け合 えるところは助 け合 い,自分で で きることは自分でや るとい うスタンスで 自分の子 ど もに対 して も優 しく接す ることがで きる」 といった内 容があげ られていた。心身の能力の一部 に損傷や遅滞 があると, あたか もその人全体が価値 を損傷 された人 間であるといった見方 をす ることがあるが,実際に障 害児 ・者 との交流 を続 けることで,その よ うな見方が 是正 され,人間的 な側面が評価 され るよ うになる ( ≡ 洋 ,2 0 00 ) 。障害児・ 者 との交流 が きっかけで,障害児・

者 は もちろん,誰 に対 して も価値 ある人間 としてみ る よ うになった様子が うかが える。

なお,「 障害 児教育への従事」では , 「 今の仕事 ( 特

(5)

表 6

教職活動で役立っている点 ( 数字は延べ数) 学習活動における例示

子どもたちへの対応 物事を見るときの視座 特殊学級 との交流

その他

85239

殊教育) は紙 ひ こ うきでのボランテ ィア・ な しでは始 ま らなか った」 といった内容 もあげ られてお り, ボラン テ ィア活動 を きっかけに,実際に障害児教育の職 に就 いた者 もいることが明 らかになった。

9 教職活動等 におけるボランテ ィア体験の活用 現役教員 を含め,これ まで教職経験 のある 老2 6 名 に, ボ ランテ ィア活動 の体験 が教職 活動 に役立 って い る

( 役立 った)か尋ねた ところ , 「 役立 っている ( 役立 っ た) 」と回答 した者が 2 3 名 ( 8 8. 5 %) に上 った。 どの よ うな点で役 に立 っていると思 っているのか,その内容 をカテゴライズ した ものを表 6 に示 した。

「 学習活動 における例示」では , 「 総合的 な学習の『 福 祉』 として,体験 を子 どもたちに話す ことがで きる」

「 人権学習をす るときに,子 どもたちに体験談 を話す ことがで きる 」 「 道徳や学級活動 の時間の中で体験 した ことを話す ことがで きる 」 「 学習や行事の計画を立てる ときに高齢者や障害者 とのふれあいを取 り入れ ること を意識 している」 な どの内容があげ られていた。介護 等体験 を終 えた現役学生への調査 ( 笠原,2 0 0 0) では, 多 くの者が 「 将来担任 した子 どもに福祉等 について話 す ことがで きる」 としてお り,その ことが現実に行わ れていることが裏付 け られ る形 となった。

「 子 どもたちへの対応」では,「クラスの中で差別や 区別がない よ うJ bがけるよ うになっている 」 「 少人数学 級を担任 した ときに,一人一人を伸 ば してい く視点 に 立 てた 」 「どの子 に も良 くな りたい とか良 さがあ る と いった よ うに,子 どもを見 る目が違 うよ うに思 う 」 「さ まざまな個性 をあ りのまま受 け入れ よ うとい う気持 ち をもっている 」 「 不登校児 と向 き合 った ときも,その存 在を尊 い もの と感 じることがで きた」 といった内容が あげ られていた。 これ らは, ボランテ ィア活動体験者 である教師 自身が 「 誰 に対 して も価値 ある人間 として み るよ うになった」ことが影響 していると考 えられ る。

「 物事を見 るときの視座」,す なわち , 「 偏見や第一印 象で物事 を見 ることがな くなった 」 「 多面的に物事を見 るよ うになった」 といった内容 も,子 どもたちの対応 と関連 しているもの と考 えられ る。

「 特殊学級等 との交流」では , 「 何の こだわ りもな く 障害児学級 と関わ ることがで きる 」 「 養護学校 の子 ども たち との交流の とき体験 が生かせ る」 な どの内容があ げ られていた。今回の学習指導要領の改訂 において, 小 ・中学校 の学習指導要領 に障害のある幼児児童生徒 との交流の機会 を設 けることが新たに示 され,その一 層 の推進が期待 されている(山本 ,1 9 9 9 ) 。 しか し,過 常 の学級 を担 当す る教員の特殊教育 ( 特殊学級) に対 す る理解不足 のため,交流が円滑 に進 まない ( 笠原, 1 99 8 ) とい う現実がある。 その よ うな中,交流 を前向 きに受 け止めている, ボランテ ィア活動 を体験 した教 員の存在 は大 きい もの となることが予想 され る。

「その他」では , 「 障害児教育の指定 を受 けた ときは, とまど うことな く取 り組み,成果を上げ ることがで き た」 な どの内容があげ られていた。

1 0 介護等体験義務づ けに対 す る意識

小学校及 び中学校 の教諭 の普通免許状を取得 しよ う とす る者 に介護等体験が義務づけ られた ことを知 って いたか とい う問に対 して,「 知 っていた」と回答 した者 は 1 0名 ( 3 4. 5 %) であ り, まだ一般 には介護等体験 の 制度が周知 されていない ことが明 らかになった。

11 介護等体験 に対 す る期待

今回義務づけ られた介護等体験 が,将来 の教職生活 に役立つか とい う問に対 しては ,2 4 名 ( 8 2. 8 %) が 「 役 立つ と思 う」 と回答 した。ただ し,「内容に よる 」「7

日間では短す ぎる」 といった意見 も付 されていた。 ま た,特殊教育諸学校 に勤務 し,実際 に介護等体験学生 を受 け入れている立場 の者 か らは 「 何 のために この体 験 を行 うのか もっと詰めてい くことが必要」 との意見 が出 されてお り,特殊学級 に勤務す る者か らも 「ど う 体験 したかの質が問われ る」との意見が付 されていた。

実際に介護等体験 を終 えた現役学生か らも,「介護等 体験 を行 う意義 を具体的に教 えては しい」 との意見が 出されてお り( 笠原,2 000) , この点 について検討 の余 地が残 されていることは明 らかである。

Ⅳ 総 合 考 察

本研究では, ボランテ ィア活動体験者 の,障害児教 育等 に対す る関心,活動の 自分眉身の生活及 び教職活 動‑の活用 について把捉 し,介護等体験学生が,体験 を よ り前向 きに教職活動等 に活用 しよ うとす る意欲 を 高め るための指導 の在 り方 を明 らかにす ることを 目的

とし

た 。

その結果, ボランテ ィア活動体験者 は,介護等体験

を終 えた現役学生 と比較 して,障害児教育や福祉,高

(6)

齢老福祉 に対す る関心がやや高 く,障害児教育経験 の 希望 については,非常 に高い ことが明 らかになった。

一方で, ボ ランテ ィア活動を行 っているときに,障 害児 ・者 との接 し方や介護 ・介助の仕方,程度等 に関 して戸惑 いを感 じていた ことも明 らかにな り,介善等 体験学生 と共通 の悩みを抱 えていた こと,それで も, 教職への活用 に関 しては 8 8. 5 % の者が 「 活用 している

(した)」 と考 えていることが明 らかになった。

ボランテ ィア活動体験者,介護等体験学生 ともに, 活動 に対 して共通 の戸惑 いや悩みを感 じなが らも,障 害児教育,福祉等への関心を高めていることは確 かで ある。 しか し,介護等体験 を終 えた現役学生の中で, 実際に障害児教育等 に携わ る希望 を持つ ところまで意 識が高 まっている者 の割合 は低 い。 また,活動が将来 の教職活動 に役立つ としている者 の割合 は低 くはない ちのの, 明 らかに活動その ものに嫌悪感 を持 ち,教職 活動 に も役立たない と言 い切 る者がいることも事実で ある。

将来,介護等体験 を通 して よ り多 くの者 に障害児教 育経験 の希望を持たせ,体験 の内容を教職活動 に生か す意欲 を持たせ るよ うにす るには,次 にあげ るよ うな, よ り具体的で継続的 な事前 ・事後指導 を大学 カ リキ ュ ラムに組み込 む な どして実施す る必要 があ る と考 え る。

G) 障害児教育専攻 の臨床実習等の様子を映像で見た り, あるいは一定の時間を確保 して実際 に見学 した りす る機会 を設 ける。

② 実際に障害者や高齢者 と対面 し,接 し方や介助 の 方法 についての指導 を行 う。

③ 実際 に学生同士で,移動,食事等の介護 ・介助活 動の模擬体験 を行 う。

⑥ 小 ・中学校 における,交流教育や障害児 (あるい は特別 な教育的 ニーズを必要 とす る児童生徒) の在 籍 の現状等 につ いての講義 を行 う。

⑤ 体験終了後,体験 中に戸惑 った ことや課題 と感 じ た こと, あるいは学 んだ ことを意見交換す る機会 を 設 ける。

2 1 世紀 の特殊教育の在 り方 に関す る調査研究協力者 会議 ( 2 0 0 0 ) は,障害のある児童生徒 の就学のあ り方 につ いて,通常 の教育 において対応す ることも含めて 見直す必要 が あ る ことを提 言 して い る。 また,加藤

( 2 0 0 0 ) は,小 ・中学校 における軽度の障害のある子 どもたちへの教育対応 は,全校 の理解 と協力の下に行 われ る必要 があると小 ・中学校新学習指導要領 に述べ られていることを報告 している。そ して,小 ・中学校

で は相変わ らず い じめ等 の問題 が ク ローズ ア ップ さ れ,対応策が種 々報告 されている( 例 えば石山 ,2 0 0 1 ) 0

この よ うな中,人の心 の痛み を理解で きる人づ くり, 人間一人一人の能力や個性 を認め られ る心 を もった人 づ くりをめ ざす介護等体験 の役割 はます ます大 きい も のになると考 えられ る。

介護等体験学生の,障害児教育等 に対す る意識 を高 め,戸惑 いを最小限に とどめた中で体験 で きるよ うに す るために,一定の時間をかけて,事前 ・事後指導 に 該 当す る授業 を大学 カ リキ ュラムに組み込み,実施す

ることは重要課題であると考 える。

文 献

安藤隆男 ( 1 9 9 9 ) 特殊教育諸学校での介護等体験が 学生の障害者理解 に及 ぼす影響.平成 1 0 年度教育 改善推進費研究成果報告書 「介護等体験 を実施 し た上 での大学 における指導 の改善 に関す る基礎的 研究 」 ,1 7 ‑ 2 8 .

林友三 ( 2 0 0 0 ) 盲 ・聾 ・養護学校 における介護等体 験一制度 の意義等 を中心 に‑.季刊特殊教育 ,9 7 ,

4 ‑ 7 .

石山勝 巳 ( 2 0 0 1 )私 の 「い じめ」対策 とその実践例.

教育 と医学 ,4 9 ( 1 ) ,7 4 ‑ 8 1 .

笠原芳隆 ( 1 9 9 8 ) 特殊学級担任が抱 える学級経営上 の諸問題一学校経営 との関わ りか ら‑.上越教育 大学研究紀要 ,1 7 ( 2 ) ,6 8 7 ‑ 6 9 7 .

笠原芳隆 ・大野 由三 ・安藤隆男 ・河合康 ( 1 9 9 9 ) 特 殊教育諸学校 における介護等体験学生受 け入れ態 勢 と実施上 の課題.上越教育大学研究紀要 , 1 8( 2 ) ,

4 5 9 ‑ 4 6 9 .

笠原芳隆 ( 2 0 0 0 ) 社会福祉施設 における介護等体験 後 の学生の意識 と実施上 の課題. 日本学校教育学 会第 1 5 回研究大会発表要 旨集 ,7 8 ‑ 7 9 .

笠原芳隆 ・大野 由三 ( 2 0 0 0 ) 社会福祉施設 における 介護等体験学生の状況 と実施上 の課題.上越教育 大学研究 紀要 ,1 9 ( 2 ) ,6 7 5 ‑ 6 8 5 .

加藤秋美 ( 2 0 0 0 ) 特殊教育か らの発信.季刊特殊教 育 ,9 8 ,8 ‑ l l .

三洋義一 ( 2 0 0 0 ) 障害者 の心 の世界 と社会心理.障 害者福祉論,建 烏社 ,p p9 7 ‑ 1 2 0 .

2 1 世紀の特殊教育 の在 り方 に関す る調査研究協力者 会議 ( 2 0 0 0 )2 1 世紀の特殊教育の在 り方 について

〜一人一人のニーズに応 じた特別 な支援 の在 り方 につ いて〜( 中間報告).

小川育男 ( 2 0 0 0 ) 「 介護等体験」の問題点を探 る一盛

(7)

岡大学生の場合‑. 日本学校教育学会第 1 5 回研究 本研究 は, 日本学術振興会科学研究費奨励研究 ( A) 大会発表要 旨集 ,7 6 ‑ 7 7 . ( 代表者 :笠原芳隆,課題番号 : 1 1 71 01 4 0 ) の援助 を 山本 昌邦 ( 1 9 9 9 ) 交流教育の課題 と展望一小 ・中学 受 けた。

校 との交流 を中心 に一.季刊特殊教育 ,9 6 ,4 2‑ 4 5.

参照

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