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大学生の政治不信一自由記述を通した分析

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静岡大学教育学部研究報告 (人文・社会科学篇)第48号 (1998.3)273〜 287

大学生の政治不信一 自由記述 を通 した分析

A Study on the Sense of Political Distrust in Undergraduates:

An Analysis Based on the Free Description Data

Tadashi HARADA

(平9年10月6日 受理)

Abstract

The present study ailned at investigating the sense of political distrtlst(SPD)in under̲

graduates based on the analysis of the free description data. One‐ hundred and twenty university students were told to produce short sentences indicating their thought about the domain and content of the‐ SPE)and the estilnated background variables which lnay have certain relationships to the formation of the SPD.

Analysis of the free descriptions concerning the domain and content of SPE)revealed three mttor dOIIlains of the SPD,which called the sense of distnlst toward ìPoliticians",

Adlninistrative process" and ̀̀Political party" respectively. It was suggested that the perceived estrangement between the behavior of the agencies of politics and the expecta‐

tion or demand ordinary citizens generally have toward them seemed to compose as a fundamental dilnension of the SPD.There existed four categOries which would explain the psychological states and behavior tendencies as the result of holding the SPD,each namё d as Feeling of powerlesSness",̀̀Feeling of subjective distance toward politics",̀̀Loss of political expectation and interest",and Avoidance of behavioral involvement''.

Intemal and extemal factors were separated as to the fomation of the SPDo While the psychological features on contemporary adolescents like ̀̀Privatisnl", ̀̀Dependeicy on others",and Inexperience"were included in the intemal factors,factors which may cause the deficiency of political knowledge likè̀Excessive instability of politics"and Complex‐

ity of the real political Systelln''were appeared as the external conditions。

1996年10月に実施 された第41回総選挙 の投票率 はついに戦後最低(小選挙 区で59.65%、 比例 代表 で59.62%)を記録 し、 ここしば ら くの国政選挙 の投票率 の下落傾 向に依然 として歯止 めが かか っていない ことをあ らためて確認 させ る結果 となった。今 回の衆院選 の低投票率 の原因の 一端 に、新 し く導入 された小選挙 区比例代表並立制 とい う選挙制度が有権者 の十分 な理解 を得 るほ どには周知徹底 されていなか った とい う事情 が関わ ってい る と見 なす ことは不可能 で はな い。 とくに小選挙 区 と比例代表 の重複立候補や惜敗率 による復活 当選 の可能性が小選挙 区で落

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選 した候補者 によってはかな りの確率で見込 まれた ことなどが有権者の反感 を買い、投票する ことを押 しとどめる原因 となった ことは想像 に難 くない。 また、 この新 しい選挙制度のわか り に くさが、 もともと投票意向を明確 に持たない有権者 を投票所 に足 を運ぶ ことか ら一層遠のか せ る結果 をもた らす ことになった可能性 も大 きい。 しか しなが ら、選挙後のい くつかの世論調 査が示唆す るところによれば、今回の低投票率の原因はただ単 に選挙制度上の問題 にあるだけ に とどまらず、 ここ数回の国政選挙 における投票率の低下傾向の中に暗黙の うちに示唆 されて きた有権者の政治 に対する意識 の様態の変化、すなわち有権者 の 政治離れ"が今回の総選挙

で決定的に現れた と見なす ことがで きる。

国政選挙 における投票率の高低 は、有権者の政治的関心や政治参加意欲 のレベルを表す有力 な指標 として選挙 のたびごとに多 くの人々の関心 を呼んで きた。 もちろん、投票率の高低 には 争点の明確 さや重要性、候補者同士の競 り合いの程度、 さらには当 日の天候 も含 めた諸々の要 因が複雑 に絡み合 っているが、全体 として有権者 (のみな らず国民全体)の国政 に対す る関心 のレベルが投票率の高低 を左右す る主た る要因であると考 えてさしつかえない。であるか らこ そ、今回の総選挙の投票率が戦後最低であった ことが注 目を集 め、参政権 とい う自らの政治的 権利 の放棄が結果 として政治状況 をかえって悪化 させて しまう危険性 をもた らす といった趣 旨 の警鐘が、マスコミ関係者か らの もの も含 め従来 にも増 して強 く鳴 らされたのであろう。投票 を通 じて政治 に参加することが代議制民主主義の根幹であることを考 えるならば、か りに低投 票率傾向が今後 も続いて有権者 と国政 との間の乖離が一層進む ことになった場合 に予想 される 民主主義の空洞化や形骸化 の到来 を憂慮する声 もかつてないほど多 く表明 された。

第41回 総選挙後 に実施 されたい くつかの世論調査の結果 は、今回の低投票率 を引き起 こした 原因の一端 となる有権者意識の微妙 な変化 について興味深いデータを提供 している。た とえば、

1996年11月14日付 の朝 日新聞によれば、今回の総選挙で投票 を行 った者です らも全体 の69%が

今 の政治 を 信頼 していない"と 回答 し、棄権 した人 の71%と い う数値 と大差がなかった とい う調査結果が報告 されている。 また、1997年 3月30日付の毎 日新聞報道では明 るい選挙推進協 会 による世論調査結果の概要が報告 され、その中で棄権理 由のうちで 用があった"と する回

答が前回総選挙 (1993年 7月)後の調査の49%が 40%に減少 した一方で、 選挙 に関心がなかっ "が17%か23%に、 選挙 によって政治 はよ くな らない"が7%か14%に上昇 した ことが 指摘 されている。投票 した理由で も、 政治 を改めたい"が20%か10%に半減 した代わ りに、

国民の義務 だか ら"が28%か 37%に上昇 した ことも示 されている。 これ らの結果 は、実際 に投票 したか棄権 したか どうか とい うことに関係 な く、今の政治 に対す る信頼感 を失 った状態 が有権者全般 に広 く浸透 していることを示 している。言い換 えれば、投票者 にも棄権者 にも今 の国政 に対す る信頼感の欠如が共通 して認 め られ るとい うことである。 したがって、低投票率 を生み出 した原因 として注 目す る必要があるのは、政治的関心や政治参加意欲が よリー層減退 しつつあるとい う点 もさることなが ら、むしろそ うした傾向を生み出す心理学的背景 をなす と 考 えられる根深い政治不信 の存在である。今回の総選挙 は、強い政治不信の感覚 に基づいた政 治か らの離脱現象が国民全体 を広 く覆 ってい ることを明 らか にした とい う点で特別 に興味深

い。

ところで、全般的に低調な投票率の中にあって、中で も20歳代の若年層の投票率 は他の世代 に比べてさらに低 く、 ここ20年 来続いているこの世代 の低投票率傾向の定着があらためて確認 された。 また、すでに世論調査で繰 り返 して明 らかにされているように、20歳 代の 支持政党

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大学生 の政治不信一 自由記述 を通 した分析 275

なし"の比率 は各年齢層 を通 じてつねに最大である。他の世代 に比べて青年の国政選挙 におけ

る投票率が低い ことや支持政党 なし層が多い ことは、 ともにこの世代 の政治的関心や政治参加 意欲 の低調 さを物語 ると同時 に、現在の国の政治 に対する不信感が とくにこの世代 に強固に現 れている可能性 を示唆す る。青年の持つ政治不信 の内容や構造、その背景 となる要因をで きる 限 り実態 に即 して明 らかにす ることは、現実 に生 じている政治過程 を解釈するのに役立つ資料 を提供すると同時に、政治的態度や投票行動 との間の関連性 を明 らかにす る上で も興味深い課 題 となろう。 さらに、青年の政治不信 には現在の政治のあ り方 に対す る青年特有の見方や考 え 方が反映 していると考 えるな らば、青年 を対象 として政治不信の様相や特徴 を分析す ることを 通 して、現代青年の心理的特徴 をも浮かび上が らせ ることがで きるか も知れない。本研究 は、

以上の問題意識 に基づいて、青年が感 じているであろう政治不信 の内容や構造、 さらに政治不 信の形成 に関わる心理学的要因について明 らかにしてい くことをめざす。なお、心理学的観点 か ら眺めた場合の政治不信 とい う概念の意味内容 に関する現時点での検討状況や既存のデータ の蓄積状況 な どを勘案す るな らば、本研究が射程 に入れるべ き範囲は、 まず青年が持つ政治不 信 の領域や内容 に関 して可能 な限 り実態 を把握す ることに焦点 を当てるとい うことになるであ ろう。そのためのデータ収集の技法 として適切 と考 えられるのは、 自由記述法 を使用すること であろう。

感情、認知、思考、態度な ど個人の内面的特性 をどれだけ事実 に即 した形で客観的世界 に表 現 させ るか という問題 は、科学 としての心理学研究がク リアしなければならない必須の条件で あ り、 この点 に関するより厳密な検討の反復がノい理学の発展 に大いに寄与 してきた。その1つ の有力な方法が、測定 したい心理学概念の定義 を明確 にし、それに整合す る質問項 目を用意す ることで妥当性 と信頼性 のある評定尺度 を作成 し、測 りたい概念 を過不足な く測定 しようとす る評定尺度法である。 この方法 は、厳密な定義の確定 と十分 な妥当性・ 信頼性が確保 された場 合 には、測定 したい心理学的概念 を客観的世界の中で とらえる方法 として もっ とも有効であ り、

これ まで も多 くの心理学研究で採用 されてきた。 しか しなが ら、知 りたい心理学的概念の内容 や範囲が先験的に定 め られていることか ら、評定尺度 による測定の結果が どの程度現実の姿 を 正 しく反映 しているかについては、類似概念 との関連性や理論的予想、 さらには先行研究の成 果 との間で慎重 に吟味す る必要があ り、 ときに実態 を忠実 に反映 しているか どうかについて疑 間を感 じさせ るような尺度が使用 されている場合が見 られない こともない。

それに対 して自由記述法 は、データ処理の客観性や結果の一般性な どい くつかの点で弱点が 認 められ るものの、明 らかにしたい心理学的概念 についての被験者の感情、認知や態度 といっ た内面的特性 をで きるだけ生の形でデータ として得 ることが可能であるとい う点で他の どの方 法 にも増 して優れた特長 を持 っている。取 り扱 う心理学的概念 に関するこれ までの研究の蓄積 が乏 しかった り、その概念がカバーする範囲についての合意が欠 けていた りす るような場合 に は、 まず 自由記述 を求 めて被験者 のその概念 に関す る感情や認知 をで きるだけ事実 に即 して明 らかにす る方法が有効であ り、 また適 していると考 えられる。 もちろん、被験者の内面的世界 が自由記述 データにいささかの歪 曲 も受 けることな くその もの として表現 されているか どうか は、被験者の自発的回答 にデータが全面的に依存 している以上 は保証 の限 りではない。 しか し 同様 の懸念 は評定尺度法 による測定の場合 にもつねにつきまとう問題であ り、データ収集の際 に被験者 の十分な了解 と協力 を得て、 さらに意欲的に回答 を引 き出す ような工夫 を講ず るな ら ば、被験者 によるデータの歪曲の可能性 をで きるだけガヽさ くすることがで きる。

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本研究で取 り扱お うとす る政治不信の概念 は、 これ まで心理学の分野では正面か ら取 り上 げ ることのなかった新 しい概念であることか らして、今後の検討のための出発点 として自由記述 法 によって可能な限 り被験者 の 本音"に迫 るとい うアプローチが必要であろう。そこで本研 究 においては、青年の持つ政治不信 とい う現象 を解明 してい くための最初のステップ として、

実際に青年が政治不信の具体的内容やそれに関連する要因をどのようにとらえているのかにつ いての基礎的なデータを自由記述法 を用いて収集することをめざす。なお付言すれば、評定尺 度法 は、取 り扱 う心理学概念 についての被験者の内面的な特性 を自由記述 によってひ とまずつ まび らか にした後の段階で、 より正確 に概念の範囲を定 めて、 より妥当な形で測定 をめざす場 合 にこそ真価 を発揮する。すなわち、取 り扱お うとする心理学概念 に関す る研究の蓄積 と成果 の積 み上 げの程度 によって、 自由記述法 と評定尺度法の どちらが より適切 な測定方法であるか を判断す ることがで きる。政治不信の概念 に関 して も、いずれ後の段階では評定尺度法 を用い て政治不信の測定 をすることが求め られ るであろう。

本研究 においては、青年の持つ政治不信 の領域や内容および政治不信形成 に影響する要因に ついて被験者 に自由記述 を求 めることによって、青年の政治不信の様相や実際の姿を明 らかに す るための手がか りを得 ることを目的 とす る。具体的には、(1)政治不信 とは政治 に対するどの ような考 え方や行動の仕方 を表 しているか、および(2)そ のような考 え方や行動の仕方が生ず る 背景 として どのようなことが考 えられるかの2つの事項 について大学生 を対象 に自由記述 を求 め、大学生の持つ政治不信の内容や特徴 を知 る手がか りとなる基礎的データを収集することを 目的 とした。

1.被調査者 と調査 日時

国立大学1・ 2年生120名 (男子42名 、女子78名)に対 して、1996年12月 に講義時間 を利用 し て調査 を実施 した。回答のための時間 としておおよそ20分 間与 えた。

2.設間事項

年齢、性別、専攻の記入 を求めたほか、lAl政治不信 を具体的に表現す る考 え方・行動、CBl政

治不信 を生み出 している原因・ 理 由の2点についての被験者 自身の考 え方 を、既成概念や世間 一般 の評価 にこだわることな く、で きるだけ具体的かつ簡潔で、意味のある短文 として作成す

ることを念頭 に置 くよう指示 した。具体的な教示文 は以下の通 りである。

「 ここ何年かの間、若者たちの間 に今 の国の政治や行政 のあ りように対 す る不信感が広 がっているとの指摘がなされています。 この『政治不信』 とい うものは、具体的にはどの ような見方・ 考 え方や行動の仕方で表現す ることがで きるで しょうか?あなた自身の考 え をで きるだけ簡潔明瞭であるように、短い文 にまとめて下 さい (設

lAl)。

また、『政治不 信』が生ず る原因や理由 としてはどのような ことが らが関わっていると思いますか?ど な ことで も結構ですか ら、思い当たることをい くつで も書いて下 さい (設

lBl)。

その際、記述す る文の数 にとくに制限を設 けることはせずに、時間の許す限 り自由に、思い ついた ままを記述す るよう口頭で依頼 した。

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大学生の政治不信一自由記述 を通 した分析

3.データの整理

設問④および0で得 られた回答 を、1文1つの意味内容 を表す ようで きるだけ短い文 にま とめ、カー ドに転記 した。こうして得 られた短文 の合計個数 は322で あ り、平均 して1人当た り 2.68個の短文が産出された。なお、細部 の表現が異なっていて も内容的に同一であると判断で

きる場合 には1つの短文 として整理・統合 したので、実際に分析 に使用 した短文 の数 は239個 で あった。

次 に各 カー ドに書かれた文 を内容の類似性 に基づいて分類 し、それぞれカテゴリー名 を与 え た。 さらに、各 カテゴリーに何 らかの共通要素 を想定で きる場合 には、い くつかのカテゴリー を統合 して上位 カテゴリーを作成 した。

データを整理する過程で、設問④ の政治不信の内容 に関す る記述 は、政治不信の対象 となる 領域およびその内容 と、政治不信 を持 った結果 として生ずる心理状態あるいは行動傾向 とに内 容的に区別 した方が よい と判断 し、得 られた自由記述文 を①政治不信 の領域 と内容、②政治不 信 の結果 としての心理・ 行動、および③政治不信 の背景要因の3つの視点か ら整理・ 分類する

ことにした。分類結果の妥当性 を維持するために、筆者が原案 を作成 した後 に、複数の大学教 員お よび大学院学生 に依頼 して各カテゴリー名お よび個々の記述 との対応 について意見 を求 め た。原案 と一致 しない場合 には合議 により修正 を行 った。

1.政治不信の領域 と内容

全短文数の うち102個 が政治不信の具体的内容 に関わる記述 として分類 された。中で も群 を抜 いて多かったのは、国会議員・ 政治家の行為 と人格的特性 に関する否定的な記述であ り、全部 で74個 の短文が得 られた。 これ ら74個 の記述 はいずれ も内容的には政治家 に対す る不信感 を表 現す るもの と解釈 された。 したがって、大学生の考 える政治不信の領域 としてまず第1に挙 げ ることがで きるのは、政治家 に対する不信であるといえよう。個々の記述内容 を詳細 に検討 し た ところ、政治家 に対する不信 はさらにい くつかのカテゴリーに分類可能であることが示唆 さ れた。Table lは 、政治家不信 に関する自由記述 をその内容 に基づいて分類 した結果 を示す。

1のカテゴ リーは、 私腹 を肥やす"や 汚職"と いった表現 に示 されるように、国会議員・

政治家 につ きまとう不正行為や金権 的体質 に関わ る記述である。表 に掲 げた以外 にも記述 の キー となる言葉 として 金儲 け第一"や 裏で金 を動かす"といった表現が用い られているの で、 このカテゴ リーを国会議員0政治家の 金権性"と命名 した。第2のカテゴ リーは、 自分 の ことばか り考 えている"や ̀̀自己の不U益を優先 している''、 あるいは 私利私欲"とい うよう に、国会議員・ 政治家が国民 の意見や願いを受 けとめた り、あるいは国民の代表 として政策決 定 に関与 した りといった本来の役割や職務 を脇 に置いて、個人的な利益追求 に盲進 している姿 を記述 したグループか ら成 り立 ち、 このカテゴ リーを 自己中心的行動"と命名 した。 さらに

3のカテゴ リーは、国会議員・政治家の 公約不履行"や 言行不一致"を指摘 した記述群

か ら構成 され、多 くは選挙運動時点 と当選後の間の言動の不一致 を問題視 している内容である と解釈 されたので、 このカテゴ リーを 言動の非一貫性"と名付 けることにした。 また4つ のカテゴ リーは、 無責任 さ"や 人間 として信用で きない"な ど国会議員・政治家の人格面 に 関す る否定的評価 を指摘 した記述群 として分類 され、 否定的人格イメージ"と命名 した。

次 に記述 の多かったのは行政 に対す る不信 として分類可能 な記述で、17個 の短文が得 られた。

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Sub…categories and sample descriptions classified as the feeling of distrtlst toward politicians

政治家は多額の税金を使 って私腹を肥や してい る

(女

20)

Table l

ほとん どの政治家が汚職を行 ってい るのではないかと疑 う

(女

21)

政治家は自分の ことばか り考えていて,国民の ことを考えない

(女

21)

名誉や地位 だけのために政治家にな ろうとする人が多い (女

20)

政治家は立派な ことを言 うが公約を実行 しようとしない

(男

19)

政治家は言 っていることとや ってい ることとが余 りにも違 う

(男

21)

政治家はカネに汚 く,人間として信用できない

(女

20)

政治家 といえば無責任 さとい う言葉がぴ ったりす る

(女

21)

せ っか く払 った税金が何のために使われているのか疑問だ

(女

21)

非公 開とい う名の下に隠されている情報が多す ぎる(女

20)

「 薬害エイズ」問題のように,国は 自分の責任を決 して認めようとしない

(男

19)

国民のお金を「 カラ出張」な ど自分の好きなように使 っている(女

20)

政府 は政策の失敗を国民に押 しつ けてばか りい る

(男

19)

官僚 は政治家や大企業にばか り目を向けている

(男

21)

Table 2 Sub-categories and sample descriptions classified as

the feeling of distrust toward administration

Table 3 Sub-categories and the feeling of distrust

sample descriptions classified as

toward political parties

信念 もな しにころころと政党名をかえ るの には うん ざ りす る(女

20)

与党 にな りさえすればよい とい う政党の態度は問題である

(女

20)

芸能人やスポーツ選手を巻 き込んで党の人気を図ろうとす る政党は信用で きな い

(女

20)

政党は選挙 に勝つ ことだけが政治 と思 っているように見え る(女

20)

政党の離合集散が激 しくて しっか りしていない印象を持つ

(男

19)

新 しい政党が どん どんできて何 がなんだか分か らない

(男

20)

政党の掲げた選挙の公約が守 られているとは言い難い (女

20)

選挙のたび ごとに並び立てた政党の公約はいつ も守 られない (女

20)

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大学生の政治不信一 自由記述 を通 した分析

それ らの記述 内容 をさらに検討 した ところ、Table 2に 示 した ように3つのサブカテゴ リーか らなるもの と解釈 された。

1のカテゴリーは、税金の使途が不明であった り、非公開の情報が多いことなど、行政施 策の遂行過程が必ず しも国民 に明確 に伝わっていない ことを指摘 した記述か ら構成 されている ので、 不透明性"と 命名 した。第2のカテゴリーは、国あるいは官僚 の責任逃れ体質や カラ

出張"など自己の都合 を優先 させた行動 を表現 した記述か らな り、政治家不信の場合 と同様 に

自己中心的行動"と い うカテゴリー名 を与 えた。第3のカテゴリーは、政府 と国民 との間の 関係 を指摘 した記述か らな り、失政 を国民 に押 しつけた り、国民の意見や要求 を くみ取 ろうと

しない点 に不満感や不信感 を表明する内容か ら成 り立 っているので、 国民軽視"と名付 けた。

さらに数 は11個 と少なかった ものの、政党の現状 に対する不信感 を表明 した記述 も見 られた。

記述内容 を吟味 した結果、政党 に対す る不信感 を構成する内容 として、以下の4つのカテゴリー に分類可能であると判断された (Table 3)。 1のカテゴ リーは、政党 の基本理念 を曲げてま で他 の政党 と連合す る態度 に対す る批判であ り、 基本理念の放棄"と命名 した。第2のカテゴ リーは、選挙での勝利のみを政党活動であるかのように思わせ る政党活動のあ り方に関する疑 間であ り、 これを 選挙対策至上主義"と名付 けた。第3は、相次 ぐ新党結成 に示 されるよう に、流動化・ 多党化の進む政党状況 を批判的にとらえた記述か らな り、 このカテゴ リーを 離

合集散"と命名 した。 さらに第4のカテゴリーは、政治家不信のサブカテゴ リーである 行動

の非一貫性"と類似 しているが、 とくに政党 の公約が守 られていない ことに記述が集中してい たので、 公約の不履行"と名付 けた。

以上か ら、大学生の政治不信 についてその領域や内容 に注 目した ときには、政治家・ 行政・

政党 とい う、政治の動 きに直接関与 し、影響力 を行使 している3種類 の担い手 あるいは機関に 対 して感ず る不信感か ら構成 されていることが示唆 された。被験者が とらえた政治不信の内容

.に関す る記述の うちで もっ とも多かったのは政治家不信 として分類 された記述であ り、全体の 72.55%を占めている。また、各不信感 のサブカテゴリーの名称やそれ らに分類 された自由記述 文 を見 ると、全体 として、国会議員・ 政治家、行政担当者、 さらに政党 に付与 されたイメージ 化 された行動パ ター ンと、それ ら政治の担い手・ 機関 と 普通の市民"である被験者 との間の

関係 についての不満足感 と批判感情 を中核 とした現状認知が政治 に対す る不信感 を呼び起 こす 原因 と見 なされていることが推測で きる。

2.政治不信の結果 としての心理・ 行動

次 に、政治 に対す る不信感 を持つ ようになった結果 として どのような心理状態 あるいは行動 傾向が生 み出され るのかについての被験者 の とらえ方 について述べる。方法の ところで も述べ たように、当初 は政治不信 についての被験者の考 え方についての設間に対する回答 として前述 の政治不信の領域・ 内容 についての記述 と一括 して得 られた回答であったが、それ らか ら政治 不信 を持 った結果 としての心理 と行動 に関わる記述 を抜 き出 した方が了解可能性が増す と判断

し、双方 を分離することにした。なお、 このグループに分類 された記述数 は69個 であった。

政治不信の結果 としての心理・ 行動 について も、内容的にい くつかのカテゴ リニに分類可能 であると判断 し、Table 4に 示 した ようなグループに分類 した。

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Table 4 Sub-categories and sample descriptions classified as the result of holding the sense of politi al distrust

投票しても何も変わらないと思うので,さ じを投げてしまいたい気分で ある

(男

20)

どうせ 自分の一票で政治が変わるわけではない

(女

20)

政治 は自分 とは遠い,縁のない存在であると思 う(女

20)

政治が 自分の 日常生活か らあま りにもかけ離れてい る

(女

20)

政治の世界で何がおきているか知 りた くない し,知ろうともしていない (

女 。

20)

投票 に行 っても何かが変わ るとい う期待感 はみ じん にもない

(男

20)

自分の意見を政治に反映させよ うとす るために何 らかの行動を起 こす気 は ない

(女

19)

政治 に何か問題があ ったと して も,それをよ くす るために何か働 きかけよ うとは思わない

(女

20)

1のカテゴ リーは記述数が26個 と最多であ り、政治 に関する行動 を起 こして も政治の状況 に何 らの変化 を引 き起 こす ことのできない とい う無力感やあきらめの感情が強 まっていること を表現 した記述群か ら構成 されているので、 無力感 の増大"と命名 した。第2のカテゴリーは 第 1カ テゴリーに続 く21個 の記述数があ り、政治の世界 を自分 とは関係のない遠い存在である と見なす傾向を表現 した記述群か ら成 り立 っているので、 主観的距離感 の拡大"と名付 けた。

この第 1および第2カテゴ リーに含 まれ る具体 的記述 内容 は、ち ょうど政治 的有効性感覚 (sense of political efficacy)の 測定尺度項 目 (たとえば原田、1993:公平、1979)に類似 し ていることが特徴的である。 また、第3のカテゴリーは政治 に対す る興味・ 関心や期待 を失い つつあることを表す12個の記述群か ら構成 され、 興味・期待の喪失"というカテゴ リー名 とし た。 さらに第4のカテゴ リこ として、投票な ど政治 に関係す る行動 を実行することに消極的で ある内容 を示 した10個の記述群か ら構成 され る 行動の回避"と いうカテゴリーが設定 された。

以上の ように、政治不信 を感 じていることか ら派生 した心理状態 あるいは行動傾向 として、

それぞれ 無力感 の増大"、 主観的距離感 の拡大"、 興味・期待 の喪失"および 行動の回避"

と命名で きるカテゴリーが見出された。 これ らのカテゴ リー間には、政治 に対す る無力感や距 離感の増大、すなわち政治的有効性感覚の低下が政治 に関連することが らのすべてに対する興 味・ 関心の低下 を招 き、実際に政治 と関わ ろうとす る行為 を押 しとどめるといった ような相互 関連性 を想定す ることがで きる。 したがって、各カテゴ リーは相互 に独立 しているとい うより

も、政治不信が強 まった結果 として生ず る政治か らの離脱現象に関連する内面的特性 をそれぞ れの観点か ら同時 に説明する手がか りを提供 していると考 えられる。

3.政治不信 の背景を構成する要因

2の設問事項 である政治不信が生ず る原因や理 由についての被験者 の考 え方に関す る記述 については、 まず最初 に個々の政治不信の背景 に関する記述内容 を内的要因、すなわち被験者

(9)

大学生の政治不信一自由記述 を通 した分析

自身の内面的特徴 に帰すこ とができる性質の要因 によると考 えているか、 それ とも外的要因、

すなわち被験者 の外部 に存在する要因によると見 なしているか とい う観点か ら2つのグループ に分類 した。次 に、それぞれの要因群 について内容的に類似 した記述があればそれ らを組み合 わせてカテゴライズ した。Table 5は こうして得 られたカテゴ リこ とそれ らを代表す る記述 を 示 した ものである。なお、 この設間に対する自由記述数の総計 は68個 であった。

内的要因 として分類 された記述群 をその内容や論点 にしたがって分類 した ところ、 まず第1 に、関心や興味の対象が 自分や 自分の周辺のごく限 られた ものに限定 され、社会全体や政治の 動向に目を向けようとしない様子 を表現 した記述のまとまりが見いだされたので、 これに 私 生活中心主義"と いうカテゴリー名 を与 えた。続いて、 まだ お とな"ではない とする認識 に 基づいて、世の中の動 きについてあまり知 らないでいる状態 を理由づけようとす る内容 の記述 群 を 未熟 0社会経験の不足"と名付 けた。第3のカテゴリーは、政治への主体的な関わ りに 対 して消極的で、他人 に依存 しようとする傾向を表現 した記述群か ら成 り立 っていたので、1他 者依存意識"と命名 した。第4のカテゴ リー としては、政治の仕組 みや動向についての熟知性 の程度が低い ことを表現する記述群か ら成 り立っているので、 知識の欠如"と命名 した。 さら

Table 5 Sub-categories and sample descriptions classified as

the factors re€arded to make effects to from the sense of political destrust

自分の 目先の ことばか り考 えて,社会全体の ことに 目を向けよ うと してい ない

(女

20)

自分や 自分の身の回 りの狭い範囲の ことしか関心を持たない (女

20)

自分が社会の一員であるという自覚が欠けている(女

19)

自分はまだ子 どもなので,社会の ことについてよ く知 らない (女

20)

自分が政治 に参加 しな くて も,誰かがや って くれ るだろうと考えている( 男・

20)

政治の ことは政治家に任せてお けばよい(女

20)

今政治の世界で何が問題にな ってい るのかわか らない

(女

20)

各党の政策の違いについて ほとん ど知 らない(女

20)

人の見本 と教え られてきた人が不祥事を起 こしていて,おとな社会 とい う ものに不信感を感ず る(女

20)

社会の指導者が信頼 できる人であるとはいえない世の中にな ってきてい る

(男

19)

総理大臣がめま ぐる しく交替 しす ぎている(女

20)

新 しく生み出され る政党が多す ぎて,どんな考えを持 っているのかわか り に くい

(男

20)

政治の システムが複雑すぎて,国民が理解す るのに時間がかか りす ぎる( 男 。

21)

どの ように国の政策が決め られ,実行 されてい るのかわれわれの 目に見え に くい (女

20)

政治家の悪い評判だけがマスコ ミを通 じて報道 されている

(女

20)

マスコ ミの報道で政界の汚い面ばか りが印象づ けられてい る(女

19)

(10)

に、5番目のカテゴ リーは、社会や政治の主導者 に対す る信頼感 の欠如 を指摘 した記述群か ら 構成 されているので、 お とな社会 に対する不信感"と名付 けた。

次 に外的要因 として分類 されたカテゴリー としては、 まず第1に、首相の頻繁な交代や相次 ぐ新党結成な どに現れているように、政治の不安定性や流動的傾向の強 さを指摘 している記述 群か らなるカテゴリーが見いだされ、 これを 政治の不安定性"と命名 した。次に、第2の テゴリーは、政治の仕組 みが複雑す ぎてよ く理解で きない点 を指摘 した記述群か ら構成 されて いるので、1政治 システムの複雑 さ"と名付 けた。 さらに、第3のカテゴリー として、新聞・テ レビな どのマスコミが ことさら政界の醜い面 ばか り報道することを指摘 した記述群 を マスコ

ミの一面的報道"と命名 した。

これ らのカテゴ リーは記述内容 を相対的に独立 させて整理 した結果 に基づ くものであるが、

それぞれが示唆する内容 を考慮するな らば、内的・ 外的要因 ともに、各カテゴリー間にある種 の包含関係が存在す るように思われる。た とえば、 私生活中心主義"、 未熟0社会経験 の不足"

および 他者依存意識"は政治 に対する知識 と関心が不足 している状態 を説明する内面的要因 と考 えることが可能である。一方、 政治の不安定性"と 政治 システムの複雑 さ"は政治 に対

する知識の習得 をよリー層困難 にす る客観的条件 として位置づけられるか も知れない。 また、

政治 に対す る知識が欠如 あるいは不足 している状態 は、 お とな社会 に対する不信感"を背景 と して持 っていた ときには、 マスコミの一面的報道"に よってよリー層不信感 を感ず る方向に影 響 を受 けるか も知れない。いずれにして も、本研究の被験者である大学生が考 えた政治不信 に 影響する要因群 は、内的・ 心理学的要因 と外的・状況的要因 とが関連 しあう複合的な様相 を呈

しているといえるであろう。

1.自由記述データの特質

本研究 は大学生 を対象 として、政治 に対す る不信感 に関わる被験者の思いや考 えをで きるだ け制限することな く、 自由に表明させ る手続 きを通 してデータを収集 した。そして得 られた 自 由記述 を政治不信 の領域 と内容、政治不信 の結果 としての心理・ 行動および政治不信の背景 を 構成す る要因 とい う3つの観点か ら分析 し、それぞれがい くつかの互 いに関連 し合 うカテゴ リーを構成 していることが示唆 された。本研究の結果 を考察する第一歩 として、 まず 自由記述 データの特質 について本研究で得 られた結果 に即 して討論する。

自由記述法 は与 えられた課題 に対する被験者の考 えや信念 を言語的に表明する手段 の一つで ある。産出された個々の自由記述 は、記述内容 に関す る被験者の これ までの体験や受 け入れた 情報 を被験者が内面で独 自に処理 した結果 を反映す る。 したがって、記述内容 は客観的事実そ のものの表現であるとい うよりは、被験者 の内部で一定の修正 を経た後で まとめられた被験者 自身の独 自な信念や思いが短文 の形で表現 されていると見 なした方が よい。ゆえに、 自由記述 その ものは被験者の信念の表明であって、記述 された内容が客観的事実 を反映 した ものである か否かの判断はさして重要性 を持たない。一般 に、大学生が直接 に政治活動 に取 り組 んでいる 例 はきわめてまれであ り、政治の進行過程 に関す る熟知度 はきわめて低い と考 えられ る。すな わち、被験者が持つ評価対象 に関す る知識 は、 自らの政治への関与体験 によって得 られた もの であるとい うよりは、新聞・ 雑誌やテレビといったマスコミの報道 による直接・ 間接の、 しか も多大な影響力の もとで蓄積 された ものであるといえる。その意味で、今回得 られた自由記述

(11)

大学生の政治不信一 自由記述 を通 した分析

文の内容が事実 として厳然 として存在 しているわけではな く、あ くまで も被験者一人ひ とりの 内面的世界 におけるイメージを言語化 した結果 を表 しているに過 ぎない といえよう。

また、記述数の多 さはイメージ化のしやすさや短文産出の容易 さと直接結びついていて、あ るカテ ゴ リーに含 まれ る記述 数が多 い こ とはそれ だ け被験者 に とって その カテ ゴ リーが salientで あることを意味する。したがって、記述数の多いカテゴリーが設問事項 に関する被験 者の信念や思いを代表 しうる一般的なカテゴリー として分析のための重要な位置 を占めるであ ろうことは疑 いがない。 しか しなが ら、他方でヽ記述数が少ないか らといってそのカテゴリー が重要でない とか一般的でない として排除すべ きであると速断 してはならないであろう。記述 数 は単 に設問事項への反応 のしやすさを表すだけであ り、カテゴ リー としての重要性や有意味 性 とは連動 しない ことを確認 してお く必要がある。 この点が量的分析 になじまない自由記述 データの特質であ り、見かけ上の記述数の分布 という、量的データとは独立 に質的・ 内容的分 析 を必要 とす るゆえんで もある。本研究で得 られた自由記述データを分析する際には、各カテ ゴリーに分類 された記述数の多 さにそれほどこだわることな く、数は少な くとも意味があると 考 えられたカテゴ リーをも考慮 に入れるよう努 めた。

2.大学生の政治不信の領域 と内容

このような自由記述データの特質を念頭 に置 くとすれば、大学生が政治不信 を感ずる対象や 領域 は、記述数が群 を抜いて多かった政治家 に対する不信 に限定 されるべきものではない。数 こそ少なかった とはいえ、行政や政党 に対する不信感 を表現する記述 もカテゴリーの意味を比 較的明確 にす る形で表明されていた ことか ら、大学生の政治不信 は国会議員 。政治家のみなら ず、行政や政党 をも含めた現状 の政治のあ り方や進行の様子全般 に対する不信感 という範囲に

またが ると解釈で きるであろう。

国会議員・ 政治家や行政、政党 はいずれ も政治の実際の動 きを作 り出す という点で中心的役 割 を果たす担い手 もしくは機関である。今 日の代議制民主主義の世の中にあっては、主権者た る国民が直接 に法律の制定や予算の審議な どに関わ るのではな く、選挙 を通 じて自ら選んだ代 表者が組織 する議会 を通 じて間接的に国民の意思 を国 としての意思決定や執行 に反映 させ るシ ステムが採用 されている。政党や政治家 は国民の意思の付託 を受 けて政策の実現 を図るために 政府 に働 きか けた り、あるいは自ら政権 の獲得 をめざして国民か らの最大多数の支持 を得 るべ く多彩な活動 を行 う。一方行政 は、法の内容 を具体的に実現するプロセスに関係 し、国あるい は地方公共団体 の政策決定 と執行 に直接携わる官僚 によって運営 されている。

大学生が感ず る政治不信が これ ら国会議員・ 政治家や行政、政党 という実際の政治運営 に携 わる人間あるいは組織 に対す る不信感 の複合 として表明された ことは、政治 を担 う者 とそれを 付託す る者 との間のさまざまなレベルでの不均衡状態の認識が大学生の政治不信の根底 に存在

している ということを意味 しているように思われ る。Table lからTable 3に 示 した ように、大 学生が とらえた政治不信 は 政治家"、 行政"および 政党"に対する不信感 に大別 され ると

ともに、 それぞれがい くつかのサブカテゴリーに分類可能であることが示唆された。各サブカ テゴ リーの意味する内容 を検討 してみると、多 くは認知 された政治の担い手の行動や特徴 と国 民 の一員 としての大学生か ら見たそれ らに対す る期待や要望 との間の食い違い という観点か ら 説明可能であるように思われ る。た とえば、 政治家不信"のうちの 自己中心的行動"と 動の非一貫性"や 行政不信"の中の 自己中心的行動"と

'国民軽視"は、いずれ も期待 さ

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れている政治家や行政担当者の行動 と現実 に認知 された行動 との間の大 きなズンをそれぞれの 側面か ら説明 した もの と考 えることができる。 政党不信"の 4つのサブカテゴリー も、国民の 期待や要望 とはかけ離れた ところで政党が私益 の追求 に傾 いている点 を厳 しく批判 しようとす る観点 を提示 していると解釈で きる。 とすれば、政治家 に対する否定的な人格イメージを除 け ば、政治不信 の内容 を表現すると考 えられ るカテゴリーの多 くは、政治の担い手の言動が民意 と乖離 している様相 をそれぞれの観点か ら表現 した ものであ り、 この点が政治不信 とい う感情 を生み出す基盤 を構成 していると考 えることがで きる。

以上か ら、大学生が感 じている政治不信 は、政治家・ 行政・ 政党 とい う実際の政治の主たる 担い手たる3つの機関全般 に拡張 した多面的な領域 にまたが るものであること、さらに、政治 不信の出現 は、主 としてそれ ら政治の担い手 と政治 を執行する権不Uをそれ ら3者に対 して委ね た国民一般 の側か らの期待や要望 との間の深刻 な食い違いに起因することが示唆 された。か り に今回得 られた自由記述およびそれ らの分類結果 を参考 にして政治不信 を測定するための尺度 の開発 を試みるとすれば、政治不信 という概念 は、おそらくは相互 に関連 し合 うい くつかの政 治不信 の下位要素が組み合わされた もの として、全体 としては一次元構造 を示すのではないか

と予想 され る。

3.政治不信の結果 としての心理・ 行動

政治不信 についての具体的な考 え方や行動の仕方 をたずねた設問④ に対する回答の うちい く つかは、政治不信 の内容 を表現するというよりは政治不信 を持 った結果 としての心理状態ある いは行動傾向を表 した記述群 として処理 された。それ らの記述群 は、 無力感 の増大"、 主観的 距離感の拡大"、 興味・ 期待の喪失"および 行動の回避"と それぞれ命名 されたカテゴ リー

に分類 された (Table 4)。

これ らはいずれ も個人が政治 に影響力 を行使 した り、政治的な活動 に取 り組 もうとす る意欲 の原動力 となる政治的有効性感覚 を減退 させ、その結果 として、個人 を政治の世界か ら撤退 さ せ、できるだけ政治 とは切 り離 された世界で個人生活 を営 もうとする生活態度、すなわち政治 離れ状態 を生 み出す。すなわち、各カテゴ リーは政治離れ状態の特徴や性質 を説明す るもの と 考 えられる。 また、各カテゴリーの意味内容 は相互 に関連 し合い、全体 として同一の方向に収 飲 していると考 えられ るので、得 られた記述群 に基づいて政治離れ状態の測定尺度 を開発 しよ

うとした場合 には、おそ らく単一の因子か らなる一次元構造の尺度が期待で きるであろう。

これ らの心理状態・ 行動傾向は、他の条件が等 しい場合 には、政治不信が高 まるにつれ より 一層明確 な形で個人 に意識 されると考 えられる。政治家や行政・ 政党 に対する期待や要望が現 実政治の中ではまった くかなえられることがな く、 さらに将来的にもその可能性 はほ とん どな い ことを知 って政治 に対する不信感 を強 く認識 した とき、個人の内部では無力感やあきらめ、

見放 しといった感情が生ず るとともに、個人 と政治 との間に距離 を置いて互いに無関係である ことを意図的に強調 し、ついでに政治 に関わる行動 には関与 しない ことによって、政治不信 と い う否定的な感情状態 につきまとわれる不快感か ら逃れようとする態度 を個人 は形成 しようと す るのであろう。 したがって、政治不信 は政治離れ状態 を引 き起 こす先行条件 としての位置 を 占めると解釈で きる。第41回 総選挙の投票率が戦後最低 を記録 したのは有権者の政治離れ状態 が確実 に進行 していることの現れであ り、 さらにその心理的背景 には根深い政治不信が存在 し ているとい う仮説 は、政治不信 と政治離れ状態 とが因果的に結合 しているとい うことが経験的

(13)

大学生の政治不信一 自由記述 を通 した分析

に確かめ られるな らばよリー層現実味 を帯びて くる。本研究の被験者 は一部 に未成年者 を含む 大学生であるので、政治不信 と政治離れ状態 とが どれほどの強い結びつきを持 っているのかに ついては今後の実証的な検討が必要であろう。

4。 大学生の政治不信の背景要因

なぜ政治不信が生ずるのかについての大学生の自由記述 を分類 した ところ、Table 5に 示 し たように、内的お よび外的要因それぞれについてい くつかのサブカテゴリーに分 けることが可 能であることが示唆 された。

内的要因 として分類 されたサブカテゴリーの うち、 私生活中心主義"、 未熟,社会経験の不

"、 他者依存意識"および お とな社会 に対す る不信感"はいずれ も現代青年の心理的特徴

をほどよ く表現 していると考 えられるキーワー ドである。中で も 私生活中心主義"は、80年

代初頭 より青年層の間で目立 ち始 めた とされ る公 より私 を重視 した生活態度の ことを指 し、身 辺中心主義的な意識"(吉田・荒井、1982)や 私生活へのコ ミッ トメン ト"(久世 ほか、1987) などとも呼ばれている。 この概念 は、現代青年 に特徴的な社会 との関わ りの希薄化 と個人生活 の優先 を基調 とした生 き方や人生観、社会意識 を表 しているが、今回の大学生 を対象 として得 られた政治不信 を生み出す背景 となる事項 についての自由記述か らそうした傾向に対応するい くつかの記述群が見出された ことは、 私生活中心主義"が現代青年の社会、ひいては政治 との 関わ り方 を特徴づ ける基本的傾向 として依然 として持続 していることを意味する。また、 他者

依存意識"が自己の周辺以外の、距離 を感ず るで きごとへの関わ りを回避 し、 自分以外の他者

に決定 を委ね ようとした結果 として生ずる傾向を表す とするならば、 私生活中心主義"と共通 する現代青年の心理学的特徴が このサブカテゴ リーに も表 出されてい る と考 えることがで き る。 未熟・社会経験の不足"および お とな社会 に対する不信感"についても、未だお とな と いう位置が与 えられない大学生段階の被験者 にとっては、 この種の認識 を持つのはある意味で 当然であるか も知れない。 このように、政治不信 の背景 となる要因 についての大学生の考 え方 の うちで内的要因 として分類 されたサブカテゴ リーの多 くは、 自己 と他者 あるいは他の事物 と の関わ りについての現代青年性 とも呼べる心理学的特徴 を表現する内容 の ものが見出されてい る。

しか しなが ら、 こうした現代青年の心理学的特徴が どのような形で政治不信 と結びついてい るかについての手がか りは今回の自由記述群か らは必ず しも明確 には示 されなかった。T私生活

中心主義"や 他者依存意識"あるいは 未熟 0社会経験 の不足"、 お とな社会 に対す る不信

"と い うサブカテゴリーは、支持政党なし層が青年で最大多数であることや、投票率が他の

世代 に比べて概 して青年の世代で低い傾向を説明す る有力な手がか りとな り得 る。すなわち、

私生活 中心主義"や 他者依存意識"は政治離れ状態 を引 き起 こす有力な原因の1つである 可能性 は大 きい。 したがって、 こうした心理傾 向 と政治的関心の程度や政党支持 の様相 との関 連性 について実証的に検討す るという実践的課題 に結びつけてい くことは可能である。 ところ が、 これ ら現代青年の心理学的特徴 を政治不信 と結びつける手がか りを発見することは、今回 の自由記述 の分析だけではきわめて困難であった。今回の設問lBlで得 られた自由記述 は、政治 不信 それ自体 の心理学的背景 を説明 しているとい うよりも、設問CAlで示唆 された政治不信の結 果 として生 じている可能性のある 政治離れ状態"を説明す る心理学的要因 としての意味の方 が より鮮明であるように思われる。

Table  2  Sub-categories  and sample descriptions  classified  as
Table  4  Sub-categories  and sample descriptions  classified  as the  result  of holding the  sense  of  politi  al  distrust
Table  5  Sub-categories  and  sample  descriptions  classified  as

参照

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