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選択のための段階アプローチ

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Academic year: 2021

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(1)

研究開発プロジェクトの評価と 選択のための段階アプローチ

岩  田  憲  明

1.はじめに

2.研究開発プロジェクトの発展段階

3.研究開発プロジェクト評価・選択の段階アプローチ 4.むすび

1.はじめに

研究開発プロジェクトの評価や選択のための数量的手法は数多く開発さ れている。そしてそれら諸手法についての包括的な検討がBaker=Poundl)・

cetronetal.の,Augood3),Clarke4)ぉよびBaker5)によって行なわれて いる。

これらによると開発された諸手法は実際にはあまり利用されていないよう である。それは,開発された諸手法のほとんどが,インプットとして多くの 定量的情報を必要としており,しかるにそれらの情報は実際には容易には手 に入らないためである。また,それらの手法はあまりにも複雑で研究開発活 動の管理者には理解が困難であるためであるo

A.Albala も,これらの手法の多くは入手し難い情報とそれを利用した 複雑な計算をプロジェクトの初期の段階すなわちアイデアにすぎない段階か ら必要としており,そのために問題が生じているという。そしてさらに研究 開発活動の発展段階に応じて研究開発プロジェクト評価・選択手法を組合わ せて利用すべきである,とAlbalaは主張している0

そこで本稿においては,Albala らによって開発され,実際に使用された 研究開発プロジェクトの評価・選択手法について述べよう6)0

(2)

1 8  

経 営 と 経 済

2 .  

研究開発プロジェクトの発展段階

さて研究開発活動はプロジェクトの発展に応じていくつかの段階に分類す る乙とができる。特

l

乙 化 学 工 業 に お い て は 次 の よ う に 分 類 す る 乙 と が で き ょう。

第 1

段 階 探 究

( E x p l o r a t o r y )

乙の段階では技術文献や特許資料などの文献研究が活動の中 心となる。

第 2

段 階 応 用 研 究

( A p p l i e d R e s e a r c h )  

乙の段階では研究室での実験研究が活動の中心となる。

3

段 階 開 発

( D e v e l o p m e n t )

乙の段階ではパイロット・プラントによる研究が活動の中心 となる。そしてこの段階の次に,本格的生産設備の建設と操業 開 始 な ど , 巨 額 の 投 資 を 必 要 と す る 商 業 化

(CommercialI n ‑ v e s t m e n t )

が行われるo

これら諸段階の特徴を表で示したものが表1である。

主 要 な 不 確 実 性 の 度 合 コ ス ト 間要 段 階 研究手段 技 術 面 市 場 面 投 資 面 (

l段襲│文献研究 非常に高い非常に高い非常に高い

5

000‑

数 週 間

1 0

0 0 0  

2

階 研験究室で実 高 い 高 い 高 い

1 0

000‑

数 ケ 月

5 0

0 0 0  

3

段発 )"?ロット 普 通 普 通 普 通

2 0

000‑

6 ‑

雑1

2

ラント

2 0 0

0 0 0  

はそェれク以ト上

商 業 化 本設格的生備 低 い 低 い 低 い ,01

0 0

,0

00‑

J

1  ‑ 3

1 .  

プロジェクトの発展段階とその特徴

表中のコストや時聞についての数値は化学会社を対象として推定されたも のである。図1は諸段階においてコストや不確実性がどのようなトレンドを

もつかを示したものであるo

(3)

500 

研 商 九 業 400 開 化 発 の (f)  累 累 300 4 ココ スス

トト 2

∞ 

1

∞ 

ト 一 一 一 研 究 開 発 段 階 (探究→応用研究→開発}

ろ~ 商 業 化 段 階

図 1

プロジェクトの発展段階とコストおよび不確実性のトレンド

非 常 に 猪 高 い 実 (f)  高 い

乙れらの図や表で示されるごとく,プロジェクトの初期,特に第

l

段階 (探究)においては文献研究が中心であり,コストも小さく,完了するため の時間も短い。しかしこの段階では不確実性は非常に高い。プロジェクトが 発展するにしたがって,研究手段も実験室での研究からパイロット・プラン トでの研究へと変化し,コストは増大し,完了のための時間も長くなる。他 方不確実性はしだいに減少していくのである

o

3 .   研 究 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト 評 価 ・ 選 択 の 段 階 ア プ ロ ー チ さてつぎにこのような研究開発活動の諸段階の特質と研究開発プロジェク トの評価・選択法とを調和させることが必要となる。

Albala~ままず次のように研究開発プロジェクトの評価・選択手法を分類

する。

(1) 

チェックリスト

乙れは fYES‑NOJ または「非常に良い,良い,普通,悪い,非常に 悪い」などの答を要求する質問による評価手法である。

(2) 

プロフィー

J

レ・チャート

乙れはチェックリストでなされたものと同様な質問を行ない,その結

(4)

2 0  

果を図表的に示したものである

o

( 3 ) 評 点 法

経 営 と 経 済

乙れは各評価要素(質問)ごとの評価結果を点数で表わし,それを合 計するなどして各プロジェクトの総合点(評点〉を算出するものである。

(4)

経済的指標

乙れは通常の経済的評価で考慮されるさまざまな数量的要素を 1 つ の数値すなわち経済的指標にまとめるというものである

o

さて前述のごとく,プロジェクトの発展にしたがって,不確実性,すなわ ち設備投資の規模や操業費用などの技術的ノマラメーターおよび市場規模や価 格などの市場的パラメーターさらに収益性やキャッシュ・フローなどの財務 的経済的数値を決定するのに使用される情報の不確実性は減少していく(正 確性は増大していく)

0

他方,コスト(資金)については,プロジェクトの 発展にしたがって,必要とされるコスト(資金)は増大していく

D

かくして,プロジェクトの評価は,初期の段階においては,市場や技術面 でのフィージピリティーについて大よそ満足できる答をえられる程度で十分 である。その後のより多くの資源を必要とする段階においては,より精密な 経済的手法によってそのプロジェクトは検討されなければならない。

そこで A l b a l a は研究開発活動の諸段階(各活動の前に行なわれる評価〉

ごとに,それに適した手法として次のよう整理している

o

第 l

段階(探究)…チェックリスト

第 2

段階(応用研究)…プロフィーノレ・チャート 評点法

3 段階(開発)…経済的指標

確率を考慮した経済的評価(成功確率によって調 整された DCF 分析などの収益性基準)

商業化……通常の経済的評価 (DCF 分析)と感度分析の組合せ

このように研究開発活動の諸段階に応じて手法を選択し,それを組合せて

利用すべきであると A l b a l a によって主張された。そして実際にイスラエノレ

(5)

の化学会社において,乙の段階アプローチは採用されたのである。すなわち 第

1

段階(探究)の評価においては市場や技術についての基本的な質問から なるチェック・リスト法が使用され,第

2

段階(応用研究)の評価において はプロフィーノレ・チャートが使用された。そして第 3 段階(開発)のための 評価は,市場的成功確率や技術的成功確率によって調整された収益性基準

(経済的指標法)により行われた。

最後の商業化のための評価に際しては,これはもはや引返すことのできな いことになる決定( p o i n to f  no‑return"  commercialization d e c i s i o n ) で あるため,より厳密なフノレスケーノレのフィージピリティ・スタディーが実施 されたのである

o

4 .

む す び

研究開発プロジェクトはいくつかの段階を経て発展して行く

o

そして発展 するにしたがって必要な資金(コスト)は増大し,他方不確実性は減少する。

そこで Albalaはプロジェクトの発展段階に応じて,それに適した評価・選 択手法を使用するように,これを段階アプローチとして主張したのである

o

すなわち,乙の段階アプローチでは,プロジェクトの第

1

段階(探究)にお いてはチェック・リストを,第 2 段階(応用研究)においてはプロフィーノレ

・チャートや評点法を,第 3 段階(開発)においては経済的指標とか,確率 を考慮した収益性分析などを用いることになる

O

この段階アプローチは, Albala らによって実際に適用された化学会社の ように,プロジェクトの発展がいくつかの段階に明確に区別できるような場 合においては有用であろう

o

(1)  N. 

R .  Baker and W.H.  Pound , R&D p r o j e c t   s e l e c t i o n :   Where we  stand

, 

IEEE  Transactions  on  E n g i n e e r i n g   Management

, 

vo

l. 

EM‑ll

, 

Dec. 

1 9 6 4

, 

pp  .124‑134 。

(2) 

M.J. Cetron

, 

J .   Martino and L .  Roepcke

,川

The S e l e c t i o n   o f   R  & D 

program c o n t e n t ‑ S u r v e y  o f  q u a n t i t a t i v e  methods

" 

(6)

2 2  

経 営 と 経 済

IEEE Transactions  on  Engineering  Management

, 

v o l .   EM‑14  Mar. 

1 9 6 7  p p . 4

1 3 。

( 3 )   D. R. Augood

A r e v i e w  o f  R&D e v a l u a t i o n  methods

" 

IEEE Transactions on Engineering  Management

, 

vo

l. 

EM‑20

, 

Nov. 

1 9 7 3

, 

p p .   1 1 4 ‑ ‑ 1 2 0 。

( 4 )   T. E .   Clarke

Decision‑making i n   t e c h n o l o g i c a l l y  based organiza‑

t i o n s :  A  L i t e r a t u r e  survey o f  p r e s e n t  p r a c t i c e , "  

IEEE Transactions  on  Engineering  Management ,  v o l .   EM‑21  ,  Feb. 

1 9 7 4

, 

P P . 9 ‑ ‑ 2 3 。

( 5 )   N  .R.Baker

R&

p r o j e c ts e l e c t i o n  m o d e l s :   An assessment

, 

IEEE Transactions  on  Engineering  Management

, 

vo

l. 

EM‑2

 1

Nov. 

1 9 7 4

, 

P P . 1 6 5 ‑ ‑ 1 7 1 。

( 6 )   A. A l b a l a Stage approach f o r  t h e  e v a l u a t i o n  and s e l e c t i o n   o f  R  & D  p r o j e c t s

, 

IEEE Transactions  on  Engineering  Management

, 

vo

l. 

EM‑22.  Nov. 

1 9 7 5

, 

P P . 1 5 3 ‑ ‑ 1 6 4 。

参照

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