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1.研究調査の目的

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情報処理・通信システムと国際的企業連結−その社会的,経済的成果に関する調査−

梶原禎夫

1.研究調査の目的

わが国における情報処理・情報通信システムは,1985年電気通信事業の民 営化もあって急速な発達を遂げ,これまでの生産・流通構造を情報系の革新 を通じて,さらに効率の高い,対応力,創造力に富むものへと変革しつつあ る。また,1986年のKDDによる国際高速ディジタル回線サービスの開始,

国際専用回線の低価格化に伴い,国際ネットワークの構築も急速に普及し始 め,グローバルな生産・流通システムの形成が国際的情報通信ネットワーク により支援されるようになった。

本研究は,企業間情報システムの高度化・ネットワーク化が企業間連携組 織である「企業連結」の構造と行動をどう変化させ,またその成果をどう高 めつつあるかを,日本企業の経営の世界的な展開との関係で,国際的企業連 結を中心として,調査・分析することを目的としている。

ここ数年来,日本の製造業に対し,完成品ばかりでなく,部品市場の開放 についての海外企業の要請が強くなっているが,部品については,アセンブ ルメーカーと部品メーカーの,開発段階からの緊密な連携維持の効果が大き いため日本では長期継続的取引関係が支配的で,海外部品メーカーの日本市 場へのアクセスが容易でない。しかし,最近では日本企業の,開発過程がか

かわる海外からの部品調達を含む,取引のための,海外企業との企業間連結

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が情報ネットワーク・システムにより達成される方向がみえつつある。この 研究は,情報処理・情報通信ネットワークによる,開発等のより深い水準に おけるものを含む国際的企業連結とその成果を検証し,併せて日本の対外経 済摩擦緩和のための政策的展望を行うことも目的としている。

2.研究調査の方法

①  企業経営における情報通信ネットワークシステムの応用実態,及び日本 企業のグローバルな生産・マーケテイングの展開と情報通信システムとの関 連等について調査した。特に組立産業の海外からの部品調達組織,マーケテ ィングでの流通系列の海外企業への開放と情報通信システム構築についての 書面調査及びインタビュー調査を行った。

主要な調査項目は次の通りであった。なお,調査は,市場システムとの関 連を重視する設計とした。

‑流動化に向かう社会経済と情報通信システムの役割

‑海外企業からの受託生産,ライセンス生産, OEM供給受託と情報処理

‑通信システムの国際化

‑海外部品調達,特に「デザイン・インJによる調達と情報処理・通信シ ステムの国際化,生産・マーケティングの国際化・グローバル化と対応 する情報通信ネットワークの構築の現状

②  日本企業の調達へのアクセスシステムに対する海外企業の評価を書面で 調査した。一部のインタビュー調査では欧米の大学の協力もうることができ た。

3.調査結果

近年事業所間での労働力移動が拡大しつつあり,また系列を越える取引が 増加傾向にあるなど,日本型社会経済システムを特徴づけてきた長期継続的 諸関係が崩れ,社会の流動化が進行しつつある。社会経済の流動化は,市場

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‑技術の変化とは別に,企業に対し新たな対応を迫ることになる。つまり,

流動する社会経済の中での経営システムの展開という新しい課題への対応で、

ある。本研究は,総括すれば,流動化する社会で,企業経営における情報通 信ネットワークシステムが重要な役割をもつようになることについて検証す ることを意味した。

日本では企業間に長期継続的な取引関係「系列」が一般にみられ,市場開 放を求める諸外国から系列組織の閉鎖性について非難を受けてきた。まず完 成品流通については,中間商の自立性の高まりとメーカーのより幅広い市場 コンタクトを求める動きのもとで系列を越える取引が拡大しつつあり,情報 通信ネットワーク形成の必要性が高められている。かつて,企業間情報通信 システムは取引についての新たな排他性を生むのではなし、かと危倶された が,このような傾向はみられず,むしろ情報システムには,新しい企業関連 係・連結を求める動きに応え,拡張可能性,オープン化が進められ,システ ム聞の互換性を高めるインタフェースの開発努力も行われ,管理機構の高能 力化を通じて企業集団の革新を促進している傾向もみられた。

例えば,日本企業が海外企業から生産を受託し,国内販売を行うものが,

電気機械,化学製品などでみられるが,海外企業との間での情報通信ネット ワークはこのような新しい国際的企業連結を可能にし,促進する方向がみえ つつある。また,部品メーカーと完成品メーカーの問には,技術面について 詳細,かつ緊密な情報交流のうえで製品の開発・設計・製造が行われ,効率 的な統合的製品開発・製造システムが維持されている。そのため自由な部品 市場が成立せず,海外の企業にとり,日本の部品市場へのエントリーは完成 品市場以上に困難であると非難されている。しかし,最近の通信・情報処理 技術の発達は,高機能の国際的情報処理・通信ネットワークシステムの構築 を可能にし,企業問での大量の情報の迅速な交換を高い信頼性のもとで実現 し,部品市場にも情報系による国際的企業連結が生まれる機会がみえつつあ る。

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‑ 1 流動化に向かう社会経済と情報通信システムの役割の拡大

欧米は基本的に移動社会であるが,日本はより安定した社会構造をもって いる。欧米では人々の居住,就業,婚姻,その他いずれの社会関係をみても 日本の数倍は移動している。中間商組織でみても,ディーラー・システムや 地域の小売商の入れ替わりは激しい。年間で20"'50%も交替するディーラー システムもめずらしくない。これに反し,日本社会は安定している。安定し ているが,その安定を支えるメカニズムは社会発展の観点からは,あまり好 ましいものではない。日本人は活発に動くが,個人の自主性が低く,問題解 決を他人に依存する傾向が強くみられる。戦後のここ40年間でみても,大型 の流行現象がしばしばみられた。また,日本では,パワーの集中に対し,カ ウンターベイリング・パワーの発展があまり進まなかった。つまり日本社会 は,支配・管理され易い状態にあった。このことは,流通システムでみると,

供給源であるメーカー中心の流通システムが形成されたが,これに対し,流 通業は充分な対抗力を発展させえなかったという事態に至っている。日本の 主要産業では,競争は専らメーカ一間で行われ,工程革新や製品革新が流通 企業や生産下請企業の協力のうえで進められた。流通部門での競争は充分で なく,革新的業態は欧米程生まれてこなかった。代わって次々と新製品が市 場に導入され,製品バラエティは欧米の数倍ともいえる状態になった。

ところが,この日本社会が,国際化・情報化の進展のもとで急速に変化し 始めた。長期継続的な社会関係が崩れ,社会構造が流動化に向かい始めた。

事業所間での労働力移動は高まり,完成品ばかりでなく部品や素材について も系列を越える取引が拡大しつつある。

日本における,社会経済の流動化は国際化・情報化によってもたらされた が,社会経済の流動化は,より広範な情報を統合し,利用する機構の強化を 必須のものとする。また,社会経済の流動化は,市場・技術の変化とは別に,

企業に対し新たな対応を迫ることになる。つまり,流動する社会経済の中で の経営システムの展開という新しい課題への対応である。このような条件下

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にあって,流動化する社会経済での企業経営における高度情報通信ネット ワークシステムが,広範な情報の統合的利用機構として特別の役割をもつこ とになる。

情報通信システムの進展が,社会における人と人との連結にどのような効 果をもたらしているかについての研究は少ないし,現在のところ, r情報化 が人と人との結びつきを間接的にし,人々は間接的な情報を判断の根拠にし て行動するようになっているJとか「情報通信は人と人との直接交流に代替 する」といった分析に止まっているが,現実には情報通信システムの発達は,

グローバルなレベルを含め, face to faceのコミュニケーションに代替する だけに止まらず, face to  faceの新しい次元での関係を,そしてより深い人 と人との連結を形成する方向に向かいつつある。開発・生産・マーケティン グにおける情報通信システムも,グローバルなレベルで新しい次元で,外国 企業を含む新しい企業連結を作り出して行きつつある。

日本人の集団は,系列など企業集団も含め大きな変化やリスクを避ける防 衛的な色彩が強く,また集団の規範にそっての索制も強く,革新に向けては 組織力を発揮しえなかった。集団の力を発揮できたのは企業でも,物に働き かける領域や草新の要請度の比較的低い分野である,製造や応用・開発部門 で,革新そのものを目的とする基礎研究領域や戦略性が要求される新しい対 人関係の形成・処理では集団の凝集が低水準で,充分な組織力を発揮してこ れなかった。情報化の進展は,このような日本型集団までも変革に導きつつ ある。構成員個々人の問題解決能力が高まり,集団は開放性を高めるととも に集団により程度の差はあっても基本的には革新を中核として凝集する柔軟 な組織に変わるであろう。企業集団でも同様である。最近,国際的共同研究 開発で情報通信システム利用の進展がみられるが,このような領域での情報 通信システムの利用の推進は,広範な領域の企業システムをその革新の中核 部分についてもグローバルな相互交流の場に引き込むことを促進し,創造と 革新への社会的要請が高まる21世紀に向けての日本システムの構造と性格の

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基本的転換の促進に貢献することが期待される。

‑2.市場の国際化,グローパル生産

流動化する社会・市場・技術環境及び緊密化する競争のもとでの戦略行動 展開過程と,開発・生産・マーケティング活動の多様化・広域化に伴う統合 機構形成の過程で,企業において情報処理・通信機器を中核とする情報の高 度利用システムの展開がみられる。さらに,近年における日本企業の海外進 出,特に現地法人の経営活動の強化と共に,国内と同様のレベルでの情報通 信ネットワーク構築が推進され,各国の情報通信ネットワークを連結する国 際ネットワークが出現しつつある。このような,情報通信ネットワークによ る国際的企業連結は,国際的受託生産,グローバルな部品及び素材の調達や,

海外企業への流通系列の開放等を容易にする傾向がみられる。特に部品の調 達に関しては,平成4年以降の円急騰のもとで企業は価格競争力の強化を迫 られ,グローバルな調達のための情報通信ネットワークシステムの開発が急 がれている。

‑海外企業による,日本市場へのアクセスと情報・通信システムの成果 一高度技術製品及びその部品についての市場開放推進の重要性とその過 程 一

昭和60年以降急速に進んだ円高と政府の市場開放政策の実施のもとで,わ が国への製品輸入が大幅に拡大してきた。しかし,欧米に比べ日本の製品輸 入水準はまだ低く人当りの外国製品消費量も少ない。また,円高以降い ったんは貿易黒字も減少傾向にあったが,当初期待された程急速には減少せ ず,さらに平成49月以降では再び拡大傾向さえみられる。本来国際競争 力の強い高度技術製品の企業は海外調達の拡大,合理化促進等により円高に 対応したため,輸出は必ずしも減少に向かわなかった。また,輸出代替とし てだけではなく経営の世界的展開としての生産拠点の海外移転は,資本財の 輸出を拡大してきた。しかし,平成4年以降高騰を続けている円/ドル為

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替相場のもとで,やがて輸出は海外生産と現地調達の拡大と共に減少に向か うが,生産の海外移転に伴う進出先における日本企業製品のシェア拡大の ため,日本の市場開放についての世界的要求は今後とも高まるばかりであ る。

海外企業にとっての,日本市場へのエントリー障壁の一つに企業系列があ げられる。流通系列については,その系列組織が他企業にも開放されるのは,

多くはプロダクト・ラインを補完する場合についてである。重要なことは,

プロダクト・ラインの補完関係を越えて,メーカーのマーケテイング・プロ グラムの影響下にある流通組織が外国企業にも開放されることである。メー カーが高度差別化政策を抑制し,消費者利益を重視する総合マーケティング 計画の中に外国製品の販売を組み込む時,メーカーの補完的品揃えの水準を 越え,代替的で,競争的なメーカーの輸入の拡大が実現する。外国企業製品 の,日本市場へのエントリーが困難である理由に,製品仕様の日本市場への 不適合が指摘されるが,関連する製品技術,製造技術の幅広い集積をもっメー カーによる製品輸入は,流通業の製品輸入と異なり,日本市場向け製品仕様 への転換と,企業の総合マーケティングカの強化につながる自社製品との代 替のための技術支援が可能であり,日本市場の中枢部の開放,これはまさに 主要メーカーの行動にかかっている。価格,技術ともに国際競争力の強い電 子・電気機器,輸送,機械,事務機等を中心とする特定産業の輸出額から,

その生産のための部品,原材料,エネルギー等の輸入品投入額を控除した金 額は日本の全貿易黒字に近いといわれていることからみても,対外均衡回復 へのこれらの業種の企業の世界市場での経営展開との関連での責任も関われ なければならない事態に至っている。

圏内主要メーカーによる海外生産拠点からの製品輸入,外国企業への生産 委託による製品輸入,部品の海外調達等も,円高の進展した昭和62年度から 着実に拡大しつつある。組立産業,特に自動車の部品市場に対しては,海外 からの開放要求が強い。日本では,完成品メーカーと部品メーカーの間には,

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デザイン・インなど長期的な協力・連携関係のうえにたって製品の開発,設 計,製造が行われている。そのため,調達過程が透明性・公開性を欠くこと

となり,自由な部品市場が成立せず,海外の企業にとり部品市場へのエント リーは完成品市場以上に困難な状態にある。しかし,最近では,特に平成4 年以降の円急騰のもとでの国際的価格競争の激化の中で低コストでの調達の ために系列を越える取引も拡大傾向にあり,海外サプライヤーに対しでも,

調達拠点の拡充,生産支援強化,試験・評価機能の強化によるデザイン・

インの推進等により調達体制の整備が進み,これらの輸入は拡大傾向にあ る

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既に,平成3年の通商産業省調査)(対象:年間売上高500億円以上の企 業1288社)では,調達は,開放的,公平,内外無差別で行うことが一般化し つつあることを示している。(調達に関する規定を整備している企業は全体 の67%で,そのうち調達を内外無差別に開放的かっ公平に行うことを明確に 定めている企業は43%にのぼっている)しかし,日本企業への海外調達比率 向上への国際的要請は強く,なお一層の市場開放が期待される。このように 日本市場の開放は進行しつつあるが,市場開放の焦点は完成品,それも電子

・電気機器,自動車などのハイテク製品の最終市場であることが今後しだい に鮮明にされてくることと思われる。われわれの平成4年度調査でも,自動 車やハイテク製品について日本市場へのエントリーやパートナーの発見が困 難である事情を訴える企業が多かった。

‑3.製造企業による流通系列組織,及び部品/素材調達組織の開放と国 際的情報通信システム

われわれの平成4年度調査(対象:資本金5000万円以上の製造業及び流

1.通商産業省,ビジネス・グローバル・パートナーシップ進捗状況(平成418 日)

2.通商産業省,民間企業の調達活動に関する調査結果について(平成37月31日)

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通企業942社,有効回収221社)で,海外企業からO E M供給を受け,日本で 圏内販売をしている企業は,精密機械,工作機械,食品,衣料製造業でみら れ,企業の総売上額に占めるその売上比率は2"'6%の企業が最も多く 3 年前に比べ1012%の増加を示し,今後3年間で10"'30%程伸びることが予 定されている。海外企業から製造を受託し,日本で国内販売をしている企業 は,電子機器,精密機械,化学製品などでみられ,総売上額に占めるその売 上比率は,数パーセント程度の企業が最も多く, 3年前に比べ10'"数十パー セントの増加を示し,今後3年間でもほぼ同様の伸びを示すことが予定され ている。

海外企業との共同開発による製品を日本国内で販売している製造企業はま だ少ないが,化学製品,一般機械,半導体,自動車部品などでみられ,企業 の総売上額に占める比率もほとんどは数パーセント止まりである。国際共同 研究開発の対象は大規模であるか,または,技術的に高度で,必要資金も多 額で,リスクも大きいものに限られるためである。ただし小売業では共同 開発製品の販売は多くみられ,企業の総売上額に占める比率は多くの企業で 数パーセントでも,ここ 3年間で多いもので300%の増加で,今後3年間で 600%での伸びを予定している企業もみられる。

なお,製造企業による海外企業からの生産過程投入の製品調達は,電気機 械の企業で,総調達額の4'"18%程度であるものが最も多く,これは3年前 に比べ1030%程度の増加で,今後3年間で同様の伸びが予定されている。

電子部品の企業では,総調達額の10パーセント程度であるものが最も多く,

これは3年前に比べ約30%の増加で,今後3年間で50%程度の伸びが予定さ れている。一般機械の企業では,海外調達は総調達額の3 %程度であるもの が最も多く,これは3年前に比べ約20%の増加で,今後3年間でもほぼ同様 の伸びが予定されている。精密機械の企業では,海外調達は総調達額の 1‑‑‑‑

2 %程度であるものが最も多く,これは3年前に比べ150%の増加で,今後 3年間に300%程度の伸びを予定している企業もみられる。

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昭和60年以降,輸入促進施策の一環として毎年実施されている通商産業省 の調査、も,わが国主要メーカーの海外生産輸入(海外生産拠点からの製品 輸入.OEM生産委託による製品輸入,資本参加企業からの製品輸入)は着 実に増加しつつある。また,平成3年の同省の調査では,既に電子・電気機 器,自動車等の主要企業ではハイテク製品を中心とした全世界からの輸入を 2'""3年の聞に1.5'"" 2倍にする計画をもち,調達体制の強化,デザイン・

インの推進,国内における輸入販売体制の強化等を行っていることが示され ている。特に自動車では,各社ともデザイン・インの推進の他,海外部品サ プライヤーに対しては工程管理,品質管理,生産設備等,生産技術全般にわ たる支援を積極的に行うなど,長期的な協力関係の構築に努めている。

以上のように,円高のもとで日本の製造企業による製品輸入が拡大しつつ あり,輸入拠点をネットワークする情報システムの重要性が高まりつつある。

また,最近,平成 4年 9月以降,特に平成 5年 2月以降の急激な円高のもと で,海外向け製品は勿論,日本国内市場向けの製品でも低価格帯の製品に限 らず,高度技術製品についても生産拠点の海外移転の進行が加速されつつあ る。電気・電子機器では既に海外での開発設計力の強化がみられたが,最近 の円急騰で,生産拠点ばかりでなく,設計や開発の海外移転計画も増加しつ つあり,これらの経営拠点をネットワークするグローバルな調達・生産・流 通のための情報通信システムの果たす役割が拡大している。最終的には,日 本の主要製造企業は,国内,米国,欧州、.1東南アジアをカバーし,為替変動 に敏感に対応する,調達・生産・流通システムの制御機構,グローバルな戦 略情報システムの構築を迫られているとみてよい。さらに,今後は為替変動 に対してばかりでなく,開発,設計,調達,生産,マーケティング,物流を 統合する経営システム中枢に関し,戦略性の高い高度情報システムの構築が,

3.通商産業省,最近の貿易動向及び輸入拡大策について(平成4年108日),我が国 の輸入を巡る最近の情勢(平成3425日)他同省資料。

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グローバル化を迫られる企業にとり存続のための必須の条件となろう。

‑4.国際的情報通信環境の整備とグローバルな戦略情報システムの構築 1984N T Tによる高速ディジタル通信サービスの開始, 1985年電気通信 事業の民間企業への開放, 1986年国際専用線の低価格化, 1987NTTによ るISDNサービス開始とネットワーク環境の整備が進み, 1987年国際V A Nサービス開始, 1989KDDによる ISDNサービス開始, 1989年第2K D Dによる国際専用線サービス開始,同年パケット交換サービス開始,さら にNTTINSネットと ISDNとの接続と,圏内・国際の統合を含めた 高速大容量低コストのディジタル回線ネットワークが選択的に構築可能な時 代に入った。通信対応地も日・米から日・米・欧,さらにアジア各地へと拡 大しつつあり,グローバルな経営展開に対応したネットワークの構築が可能 になったし,複雑,大規模なネットワーク管理技術も格段の進歩を遂げてい る。国際通信のネットワーク化では,異機種開通信が必然となるが,国内外 を問わず,異機種間接続を可能にするシステム間インターフェースの国際標 準の整備も進みつつある。

このような国際的通信環境整備のもとで,経営の世界的展開を進めつつあ る企業では,国内ディジタル回線と国際ディジタル回線を相互接続した,大 規模で高機能の統合的情報通信ネットワークの構築に向かっている。国内外 でのディジタル回線の利用は,品質,信頼性,運用性,コスト・パフォーマ ンスに優れた多様な国際/圏内ネットワークを実現しつつある。また,通信 ネットワークとコンビュータとの融合システムを構築して,国際オンライン を実現し,大量のデータの高速伝達を可能にすることにより,グローバルな 経営戦略情報システムの形成に向かう企業もみられる。開発,設計,製造,

マーケティング,物流をグローバルな空間で統合する戦略情報システムの開 発が緊急の課題となっているが,企業系列毎に異なるシステムではなく,シ ステム問に互換性のあるものとして,国際協力のもとで研究・開発される必

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要がある。

システムの互換性の確保により,企業関連結構造には開放性が維持される ことになり,これが国際的視野での経営決定と結合されることで,現在の日 .米・欧間他でみられる経済的コンフリクトの中核をなす日本市場の開放問 題に対し,より構造的に,より広範なスケールで対応することが可能になろ う。高品質,高信頼性のもとでの高速・大容量・多重での情報伝送を可能に する通信ネットワークとこれに対応する情報処理機構は,グローバルな空間 での経営展開を促進し,広範な企業連結を生み出す。情報処理・通信ネット ワークにより連結された柔構造の企業集団は,グローバルなスケールでの経 営資源の最適利用を推進する過程で,国家や地域の聞の経済不均衡などのマ クロレベルの経済問題に対しでも有効な対応能力をもつに至るであろう。し かし,現在のところ,多くの企業が戦略性の高い,グローバルな統合的情報 処理・通信システムの構築に踏み込めないままでおり,グローバルな戦略情 報システムについての企業の認識がまたれる。

4.まとめ

近年における情報処理・情報通信システムの発達は,これまでの生産・流 通構造をより効率の高い,柔軟で対応力・創造力に富むものへと変革しつつ ある。本研究は,企業間情報システムの高度化・ネットワーク化が企業関連 携組織である企業連結の構造と行動をどう変化させつつあるかを,日本企業 の経営の世界的な展開との関係で国際的企業連結の側面を重視しながら調査

.分析することを目的とした。

海外からの部品調達や完成品流通で,情報通信が順次新しい企業連結を形 成し,広範な開放的市場関係を創造する観点からの調査研究はこれまであま りみられなかったが,日本の対外経済摩擦解消のための自発的な企業行動の 推進との関連で今後の研究が期待される。本報告は,生産・マーケティング における情報処理・通信システムが,グローバルなレベルで外国企業を含む

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新しい連結を作り出してゆく過程とその成果を検証するための調査の出発点 となるものである。

本研究は 4年間継続して実施するものであり,全期間を通じて日本企業 の海外調達とマーケティングにおける情報系による国際的企業連結を調査 し,企業の開放的な調達と流通の推進への成果を検証する計画である。さら に,日本企業と海外企業,特に欧米企業間での共同研究開発,海外企業への 生産委託等で,日本企業と海外企業間での企業連結が情報通信システムによ って形成されている傾向がみられるので,今後の研究調査では,これらの領 域についても重点的に研究調査することとしたい。

‑本研究は,国際化政策研究プロジェクトとの 一環として平成4年度からスタートし,平成 7年度まで4年間継続するものとして実施し ている。平成45年度は電気通信普及財団 (東京)の研究調査助成を受けている。(平 成4年度は共同研究の代表者として,平成5 年度は単独の研究として)

‑本報告は,電気通信普及財団,研究調査報告 書No. 8に基づいている。

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