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2017年 におけ る南硫 黄 島の鳥類 相

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2017年 におけ る南硫 黄 島の鳥類 相

川 上 和 人1*、 鈴 木 創2、 堀 越 和 夫2、 川 口大 朗3

Avifauna of Minami-Iwo-To Island, the Volcano Islands in 2017.

Kazuto KAWAKAMI l *, Hajime SUZUKI2, Kazuo HORIKOSHI2 & Dairo KAWAGUCHI3

1.森 林 総 合 研 究 所(〒305‑8687茨 城 県 つ く ば 市 松 の 里1) ForestryandForestProductsResearchInstitute,Matsunosatol,TsukUba,Ibaraki305‑8687,Japan 2.小 笠 原 自 然 文 化 研 究 所(〒100‑2101東 京 都 小 笠 原 村 父 島 西 町) InstitUteofBo血ology,Nishimachi,Chich顛 ㎞a,Ogasawara,Tokyo100‑2101,Japan.

3.東 京 都 小 笠 原 支 庁(〒100‑2101東 京 都 小 笠 原 村 父 島 西 町) TokyoMetropolitnOgasawaraIslandBramchOffice,Nishirnachi,Chich勾ima,Ogasawara,TbkyolOO‑

2101,Japal1.

*kazzto@ffPri .affrc.go.jp(authorf()rcorrespondence)

要 旨

南 硫 黄 島 の鳥 類 相 の 現 状 を明 らか にす るた め、2017年6月14日 〜27日 の期 間 に 現 地 で調 査 を行 った 。 そ の結 果 、過 去 に繁 殖 が 確 認 され て い た 各 種 噸 の 生 息 が 確 認 され 、 いず れ の 種 につ い て も特 に大 き な個 体 数 の 変 動 は な い もの と考 え られ た。 た だ し、 コル と山頂 の 間 で は過 去10年 で 高 茎 草 本 を 中心 と した密 度 の 高 い ブ ッシ ュ が発 達 して お り、 この よ うな場 所 で は ミズ ナ ギ ドリ科 、 ウ ミツバ メ科 の 営 巣 が減 少 して い た 。 セ グ ロ ミズ ナ ギ ド リPtLZ77nws bannemzaniは2007年 の調 査 で は 山頂 付 近 で の み 確 認 され て い た が 、今 回 の 調 査 か ら標 高 300mの 崩 落 地 内 の岩 石 地 で も営 巣 して い る と考 え られ た。 山頂 周 辺 で は オ ー ス トン ウ ミツ バ メOceanodromatn'stramiの 巣 立 ち前 後 の雛 や 成 鳥 が 見 つ か り、 南硫 黄 島 に お け る初 め て の 繁 殖 の証 拠 とな っ た 。海 鳥 の 営 巣 は 、海 岸 部 で は植 生 が 沿 岸 部 に認 め られ る場 所 に お い て 、

山上 部 で は森 林 が 発 達 した 場 所 で密 度 が 高 レ頼 向 が あっ た。

UAVに よ る調 査 で 南 部 の海 岸 に面 した 崖 上 で は ア カ ア シカ ツ オ ドリSulasulaの 集 団繁 殖 地 が 国 内 で 初 め て確 認 され た 。 同 じ くUAVに よ る 調 査 で 北 部 の崖 上 の モ ク ビ ャ ク コ ウ Cro∬ostephiumchinense群 落 にお い て 地 上 に 下 りて い る複 数 の ク ロア ジ サ シAnousstolidUSが 確 認 され た 。 こ こで は 証 拠 は 得 られ な か っ た もの の 営 巣 して い る可 能性 が あ る と考 え られ た。

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ア ナ ド リBulweriahulwerii、 カ ツ オ ド リSulalettcogaster、 ア カ オ ネ ッ タ イ チ ョ ウPhαethon rubricaudaで は 、 羽 毛 に シ ン ク リ ノ イ ガ(]enchrnsechinatws及 び ナ バ カ ノ コ ソ ウBoerhavia 吻 伽 αの 果 実 を 付 着 さ せ た 個 体 が 見 られ 、 こ れ ら の 海 鳥 が 種 子 散 布 者 と な っ て い る こ と が 示 唆 さ れ た 。

キー ワー ド ウ ミツバ メ、海 鳥 、 小 笠 原 諸 島 、火 山列 島 、 ミズ ナ ギ ドリ

1.は じ め に

南 硫 黄 島 で は こ れ ま で の 調 査 に よ り 海 鳥 と し て は シ ロ ハ ラ ミ ズ ナ ギ ド リPterodroma hypoleuca、 オ ナ ガ ミ ズ ナ ギ ド リPtLMnuspacifαws、 セ グ ロ ミ ズ ナ ギ ド リRbannenuani、 ア ナ

ド リBulweriahulwerii、 ク ロ ウ ミ ツ バ メOceanodromamatSudairae、 カ ツ オ ド リSulaleucogaster、

ア カ オ ネ ッ タ イ チ ョ ウPhaethonrabricaudaの7種 が 、 陸 鳥 と し て は カ ラ ス バ ト(]olumba jαnthina、 ヒ ヨ ド リHypsietesamaurotts、 イ ソ ヒ ヨ ド リMonticolasolitarius、 ウ グ イ スCettia

4励o〃 θ、 メ ジ ロZosteropsfaρoniαws、 カ ワ ラ ヒ ワChlortSsinicaの6種 が 繁 殖 ま た は 繁 殖 の 可 能 性 が 高 い 種 と して 報 告 さ れ て い る(表1;塚 本 、1982;川 上 ら 、2008)。 た だ し、 こ れ ま で に 調 査 さ れ た 範 囲 は 海 岸 部 お よ び 登 禁 ル ー ト上 の ご く 限 ら れ た 場 所 な の で 、 こ の 島 の 鳥 類 相 は ま だ 十 分 に 明 らか に な っ た と は 言 え な い 。

東 京 都 に よ り実 施 さ れ た2007年 の 調 査 で 得 ら れ た 試 料 は そ の 後 に 分 子 生 物 学 的 分 析 に 供 され 、 南 硫 黄 島 の 各 種 鳥類 の 生 物 地 理 学 的 な 地 位 が 明 ら か に な りつ つ あ る 。 南 硫 黄 島 の カ ラ ス バ トは ア カ ガ シ ラ カ ラ ス バ トCメ 脇8〃3で あ り、 小 笠 原 群 島 お よ び 北 硫 黄 島 と遺 伝 的 交 流 が あ る こ とが 明 らか に な っ た(Andoetal.,2014)。 南 硫 黄 島 の ウ グ イ ス は 小 笠 原 群 島 の 集 団 か ら分 化 した ハ シ ナ ガ ウ グ イ スCd.dihoneで あ る が 、 現 在 は 群 島 と は 交 流 の な い 集 団 と な っ て い る(EmuraetaL,2013)。 火 山 列 島 の 固 有 亜 種 イ オ ウ トウ メ ジ ロZj.αlaniは 伊 豆 諸 島 ま た は 琉 球 諸 島 に 由 来 す る と 考 え られ る が 、 南 硫 黄 島 の 集 団 は 硫 黄 島 お よ び 北 硫 黄 島 の 集 団 と は 遺 伝 的 交 流 の 途 絶 え た 孤 立 した 集 団 と な っ て い る(Sugitaetal.,2016)。 南 硫 黄 島 の ヒ ヨ ド リ

は 硫 黄 島 や 北 硫 黄 島 と 遺 伝 的 交 流 の あ る ハ シ ブ トヒ ヨ ド リH.a.magnirostn'sだ が 、 八 重 山 諸 島 に 起 源 を 持 っ オ ガ サ ワ ラ ヒ ヨ ド リH.a.squamicepsと は 交 流 が な く 、本 州 以 北 の 集 団 に 由 来 して い る(Sugitaetal.,2016)。 こ の よ う に 南 硫 黄 島 の 集 団 は 、小 笠 原 群 島 と の 交 流 を 維 持 して い る 種 か ら独 立 性 が 高 い 種 ま で 多 様 で あ る こ と が わ か っ た 。 こ れ は 、 海 洋 島 に お い て 鳥 類 が 定 着 し他 集 団 か ら 隔 離 さ れ て 固 有 性 を 獲 得 す る プ ロ セ ス の 様 々 な 段 階 を 示 し て い る と考 え られ る.そ の 点 で,南 硫 黄 島 の 鳥 類 相 は 海 洋 島 の 生 物 相 成 立 を 理 解 す る 上 で 非 常 に 高 い 意 義 を 持 っ て い る と言 え る 。 ま た 、 南 硫 黄 島 と 東 島 で 繁 殖 す る セ グ ロ ミズ ナ ギ ド リは こ れ ま で 太 平 洋 、 大 西 洋 、 イ ン ド洋 に 広 く 分 布 す る セ グ ロ ミ ズ ナ ギ ド リの 亜 種P.Ihemzinieribannemzani

と考 え られ て い た が 、 こ の 調 査 で 得 られ た 試 料 に 基 づ き 分 析 した 結 果 、 遺 伝 的 に は 全 く異 な る 系 統 で あ り独 立 種P.bαnneTmaniと す べ き こ とが 明 らか に な っ た(Kawakamietal.,2018)。

南 硫 黄 島 に 生 息 す る 鳥 類 の う ち 、シ ロハ ラ ミ ズ ナ ギ ド リ(DD)、 セ グ ロ ミ ズ ナ ギ ド リ(EN)、

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ク ロ ウ ミツバ メ(NT)、 ア カ オ ネ ッタイ チ ョ ウ(EN)、 カ ラ スバ ト(亜 種 ア カ ガ シ ラ カ ラス バ ト;CR)、 カ ワ ラ ヒ ワ(亜 種 オ ガ サ ワ ラカ ワ ラ ヒ ワ;EN)は 環境 省 レ ッ ドリス トに 掲載 さ れ て い る(環 境 省2014)。 南 硫 黄 島 の 地 形 は 急 峻 で 環境 の 変 化 が 生 じや す い と考 え られ るた

め、 そ の生 息 状 況 の 変 化 を明 らか にす る こ とは 、保 全 上 重 要 な課 題 で あ る。

こ の よ うな背 景 か ら、 本 調 査 で は そ れ ぞ れ の 鳥類 の 島 内 で の 生 息状 況 を2007年 の結 果 と 比 較 して10年 の 変 化 を把握 す る と と もに 、 十 分 に調 査 され て い な い エ リア の調 査 を行 い鳥 類 相 の解 明 を進 め る こ と を 目的 とす る。 なお 鳥 類 の生 息 場 所 と生 態 の違 い か ら、海 岸 部 の海 鳥 類 、 山上 部 の 海 鳥 類 、 陸 鳥類 に分 けて 調 査 を行 っ た。

2017年 の調 査 は 、2017年6月14日 〜27日 の 問 に行 われ た 。

2.方

2‑1.海 岸 部 の海 鳥 類

海 岸 部 の 海 鳥 類 の 生 息 状 況 を把握 す るた め、川 上 ら(2008)に 従 い海 岸 部 を 区域A〜Gに 区分 し、2017年6月17日 に 島 の 南 部 か ら東 部 を 経 由 して 北東 部(松 江 岬)ま で の海 岸 部 を 踏 査 し、繁 殖 して い る海 鳥 お よび 落 ち て い る驚 死 体 の種 と営巣 位 置 お よび個 体 数 を記 録 した (図1、 区域A〜D)。 ま た 、2016年6月28、29日 に は 予備 調 査 と して 島 の 南東 部 か ら南 西 部 の 問 を踏 査 し、同様 の調 査 を行 っ た(図1、 区域B〜E)。 島 の 西 部 、北 部 に あ た る 区域F、

Gに っ い て は いず れ の年 も踏 査 が で き な か っ た た め、2017年6H17日 にUAV(U㎜ ㎜ed AerialVehicle:DJIlnspire)に よ り海 岸 部 を撮 影 し映 像 か らカ ツ オ ドリお よ び ア カ オネ ッタ イ チ ョウ の生 息 状 況 を明 らか に した 。地 中 営 巣性 の ア ナ ド リお よび オ ナ ガ ミズ ナ ギ ドリは空 中 撮 影 で は把 握 で きな い た め、UAV調 査 の 対 象 と しな か った 。

南 東 部 の崩 壊 地(H地 点周 辺)で は、2016年 に標 高 約140m地 点 ま で 踏 査 し、海 鳥 営 巣 分 布 の概 況 を把 握 した 。H地 点 で は2016年 の 予備 調 査 に お い て夜 間 に海 鳥 の捕 獲 調 査 を行 い 、 種 と個 体 数 を記 録 した 。

また 、H地 点 の沿 岸 部 で は2016年6.月28日 夜 間 に海 鳥 の捕 獲 調 査 を行 った 。捕 獲iした個 体 に は金 属 脚 環 を装 着 した 。

2‑2.山 上 部 の海 鳥 類

各 標 高 にお け る海 鳥 の 種 構 成 を明 らか にす るた め 、 コル 周 辺 の4カ 所(標 高500m;図1‑J 地 点)及 び 山頂 部 周 辺 の6カ 所(標 高900m;図1‑K地 点)に お い て 、海 鳥 の捕 獲 調 査 を行 い 、 そ れ ぞ れ の 地 点 で の 各 種海 鳥 類 の 出 現 個 体数 を記 録 した。 コル で は6H20日19:00〜

22:00の 間 、 山頂 部 で は6.月21日19:00〜22:00の 間 に 、繁 殖 地 に飛 来す る海 鳥 に つ い て1地 点 あた り20羽 を ラ ン ダ ム に捕 獲 し、種 と個 体 数 を記 録 した。一部 の調 査 で は捕 獲 を行 わず 、

目視 で 種 と個 体 数 の 確 認 を行 った 。

山域 にお け る海 鳥 の 環 境 選 好 性 を明 らか にす るた め 、海 岸 部 か ら山頂 ま で の登 墓 ル ー トで 、 ル ー トの両 側 各lm以 内 に存 在 す る巣 穴 の位 置 をGPSで 記 録 した。多 くの 巣 穴 は 奥 が深 く繁

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殖 個 体 の有 無 は容 易 に確 認 で き ない た め 、入 口に 出 入 りの 痕 跡 が あ る巣 穴 の み を 記 録 した 。 コル で は、海鳥が繁殖す る林内で15m×15mの 方 形 区 に お け る海 鳥種 の繁 殖 巣 の確 認 を 鳴 き声 お よび 観 察 に よ り行 った 。標 高300m地 点 で は 、 登肇 ル ー ト沿 い に垂 直方 向 を長 辺 と し た30m×5mの 範 囲 で 、地 上 の鳴 き声 位 置 に よ る飛 来 分 布 の確 認 等 を行 った 。 南硫 黄 島 の 山 域 で繁 殖 す る海 鳥 の行 動 につ い て は 十 分 に解 明 され て い な い た め 、 登 墓 ル ー ト沿 い の標 高 300m付 近 の谷 地形 内 の ガ レ場(図1‑M地 点)及 び標 高500mの コル 付 近 の森 林 内(図1‑J地 点)に お い て 、海 鳥 の夜 間 の行 動 を記 録 した。 調 査 は、 鳴 き声 に よ る確 認 、 肉 眼 に よ る 直接 観 察 、 ノ ク トビ ジ ョン(暗 視 ス コー プ)を 用 い て 行 っ た。 標 高300m地 点 の 調 査 地 は チ ギ Elaeocarpuszollingerivaxpachycarpws、 ウ ラ ジ ロエ ノ キTremaorientalts、 タ コ ノ キPandanws boninensis等 の灌 木 が 生 育 す るガ レ場 で 、 コル の 調 査 地 は タ コ ノ キ等 か らな る低 木 林 内 だ っ た 。 調 査 はそ れ ぞ れ6.月23日 〜24日 お よび24日 〜25日 の17:00一5:00に 行 っ た。

そ の他 、 適 宜 海 鳥 の 生 息 状 況 につ い て 記録 を行 っ た。

2‑3.海 上 か らの海 鳥 調 査

海 岸 南 部 の1地 点 で は 、標 高 約250mに あ る崖 上 の樹 林 帯 にお い て ア カ ア シカ ツオ ドリSula sulαの 集 団 が 確 認 され た た め 、UAV(D皿Phantom4)に よ り営 巣 の 有 無 の確 認 を行 っ た。 さ らに、南 硫 黄 島の 各 所 にお い て 随 時UAV(D皿lnspire,Phantom4)に よ る撮 影 を行 い 、海 鳥の 生 息 状 況 を把 握 した 。

アカ オ ネ ッ タイ チ ョウの集 団 の サ イ ズ を評 価 す るた め 、島 の周 囲 を船 で 回 りな が ら陸 上 を 飛 行 して い る個 体 数 を記 録 した 。記 録 は概 ねA〜Gの 区域 に分 けて 行 った 。 この調 査 は6H

l6日13:00か ら行 った 。

また 、 海 上 で は随 時海 鳥 の 直 接 観察 を行 った。

2‑4.陸 鳥類

島 内 の陸 鳥類 の 分布 と 出現 頻 度 を明 らか にす るた め 、 コル(J地 点 周 辺 、6.月20日 、3ヶ 所)、 山頂(K地 点周 辺 、6.月21日 、3ヶ 所)に お い て 定 点 セ ンサ ス を行 っ た。本 調 査 で は 、

15分 の 問 に半 径25m以 内 に 出 現 す る陸 鳥類 の 種 と個 体数 を記 録 した。 調 査 を行 っ た 時 間 と 場 所 は表2の 通 りで あ る。

カ ラス バ トにつ い て は希 少性 が 高 い た め、観 察 地 点 の位 置 をGPSで 記 録 した。そ の他 、適 宜 陸 烏 類の 生 息 状 況 につ い て 記 録 を行 った。

2‑5.無 人 記 録 装 置 の 回 収 と設 置

南 硫 黄 島 にお け る現 地 調 査 実施 時 期 で あ る6,月 以 外 の 生 物相 を把 握 す るた め 、2016年6H に海 岸 域 に設 置 した 自動 撮 影 装 置7台(ReconyxH500)の 回収 を行 った 。 自動 撮影 装 置 は、

2016年6.月28日 お よ び6月29日 に南 東 部 崩 壊 地(標 高17m、103m、128mに 各1台)、 山 口(1台)、 南 西 部 崩 壊 地(標 高34m、51m、81mに 各1台)に 設 置 した(表3)。 カ メ ラ は

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赤 外 線 セ ン サ ー に よ る 撮 影 お よ び イ ン タ ー バ ル 撮 影(6:00〜16:00に1時 間 間 隔 で 撮 影)を 行 っ た 。 ま た 、 コ ル お よ び 山 頂 に 無 人 録 音 装 置(WildlifeAcousticsSongMeter4)を 設 置 し た 。

3.結

3‑1.海 岸 部 の 海 鳥 類

2016年 、2017年 の調 査 で 海 岸 部 の 踏 査 の 結 果 、オ ナ ガ ミズナ ギ ドリ、ア ナ ドリ、カ ツ オ ド リ、 ア カ オ ネ ッ タイ チ ョウの 営 巣 が確 認 され た(表1)。 区域A〜Gに お け る1982年 、2007 年 、2016年 、2017年 の各 種 の営 巣 数 は表2の 通 りで あ った 。ま た ア ナ ドリ、カ ツ オ ドリ、ア カ オ ネ ッ タイ チ ョウの確 認 され た 営 巣位 置 は 図2(2016年)、 図3(2017年)の 通 りだ っ た。

海 鳥 の 営 巣 は、 区域Cお よびEの 崩壊 地 の周 辺 に な ど植 生 が あ る場 所 に集 中す る傾 向 が あ り、標 高差 の大 き な崖 の下 な ど植 生 が発 達 して い ない 場 所 で は営 巣 数 が 少 な か った 。特 に海 岸 沿 い に植 生 が ほ とん ど見 られ な い 区域D、F、Gで は カ ツ オ ド リ、 ア カ オ ネ ッタ イ チ ョ ウ の 営 巣 が ほ とん ど確 認 され な か っ た。

H地 点 で の 夜 間 捕 獲 調 査 に よ り 、 合 計82羽 の ア ナ ド リ が 捕 獲 され(足 環 番 号 5A52919‑5A53000)、 他 の鳥 類 は見 つ か らな か っ た。 こ の うち1羽 は2007年 に 同 地 で捕 獲 し た 個 体(足 環 番 号5C42671、 摩 耗 して い た た め5A52924を 追 加)だ っ た。海 岸 部 の捕 獲 調 査 で は捕 獲 個 体 の 捕 殺 は 行 わ な か っ た。 ま た 、 拾得 した 死 体 か らDNA分 析 用 の試 料 を採 取 可 能 と判 断 し、 捕 獲 個 体 か らの試 料採 取 は行 わ な か っ た。

南 西 部 崩 壊 地 で は 、オ ナ ガ ミズ ナ ギ ド リは 主 に 土壌 が発 達 した崩 壊 地 の 中央 部 の 土 中 ま た は岩 の 下 の 空 隙 で 営 巣 して お り、2007年 の状 況 と大 き な違 い は な か っ た。特 に崩 壊 地東 側 の 裸 地 にお い て 多 数 の 巣 穴 が確 認 され た。海 岸 部 で は オ ナ ガ ミズ ナ ギ ドリの繁 殖 は崩 壊 地 一 帯 に限 られ て お り、2007年 調 査 と同 様 に標 高50m以 下 で の み 確 認 され た 。H地 点 の崩 壊 地 で は少 な く と も20つ が い程 度 が営 巣 して い た。 本 種 は 、抱 卵 中 の個 体 が多 く確 認 され た 。

ア ナ ドリは、海 岸 沿 い で は崖 下 の地 上 また は岩 の下 で 営 巣 して お り、2007年 の 状 況 と大 き な違 い はな か った 。海 岸 部崩 壊 地 で は標 高140m付 近 で も営 巣 が 見 られ た。 繁 殖 段 階 と して は主 に抱 卵 中の 個 体 が確 認 され た。 本 種 は、 コル ま で の 登禁 ル ー ト上 で も局所 的 に営 巣 が見 つ か り、標 高 約250mの 地 点 にお い て も営 巣 個 体 が 確 認 され た 。

カ ツオ ドリは地 上 を植 物 が 覆 って い る箇所 で の み 営 巣 して い た。本 種 の営 巣 は 主 に海 岸 沿 い で の み 確 認 され た が 、UAVに よ る調 査 で は標 高約250mの 地 点 で も営 巣 が確 認 され た。本 種 は、 抱 卵 中ま た は 艀 化 直 後 の雛 の 育雛 中で あ っ た。

ア カ オ ネ ッ タイ チ ョウは 、岩 の 下や ク サ トベ ラScaevolataccadaの 下 な どで 営巣 して い た。

巣 内 で は ま だ 風 切 羽 が 生 え始 め た ば か りの個 体 か ら十 分 に 羽 毛 が伸 長 し成 鳥 大 に 育 っ た個 体 まで 、 異 な る成 長 段 階 の 個 体 が観 察 され た。

ア ナ ドリ、カ ツ オ ドリ、ア カ オ ネ ッタ イ チ ョ ウで は 、シ ン ク リノイ ガCenchmsechinαtwsお よび ナ バ カ ノ コ ソ ウBoerhaviadimpsaの 果 実 が 羽 毛 に付 着 した個 体 が複 数 観 察 され た(図4)。

海 岸 部 で は、シ ロハ ラ ミズ ナ ギ ドリ6個 体 、アナ ドリ2個 体 、オ ナ ガ ミズ ナ ギ ド リ8個 体 、

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セ グ ロ ミズ ナ ギ ドリ2個 体 、 ア カ オ ネ ッタ イ チ ョ ウ2個 体 、 カ ツオ ドリ2個 体 、 ゴイ サ ギ Nycticorcvcnycticorcvcl個体 、 ウ ミネ コLaruscrassirostTZ's1個体 、セ グ ロカ モ メLarusargentatWS1 個 体 、 タカ ブ シ ギTringaglareola1個 体 の 死 体 が 見 つ か っ た。 この うち カ ツ オ ド リ1個 体 は金 属 足 環 が 装 着 され て い た(12AO6054、2007年8月26日 小 笠 原 諸 島父 島 列 島 南 島 、 千葉 勇 人 氏 放 鳥)。 これ らの死 体 は新 鮮 で は な か った た め仮 剥 製 の 作成 は難 しい が 、 骨 格 標 本 と して 保 管 す るた め採集 し持 ち帰 った 。軟 部 組 織 は骨 格 標 本 作 成 時 に 除去 す る た め、 冷 凍 、 乾燥 ま た は液 浸 で 保 存 し、 今 後DNA分 析 お よび 安 定 同位 体 分析 に 用 い る予 定 で あ る。 この ほ か 、 キ ア シ シ ギTringabrevlesの 生 体1個 体 お よび最 大6個 体 の シ ロア ジ サ シ が観 察 され た。

3‑2.山 上 部 の 海 鳥 類

コ ル にお け る夜 間 捕 獲 調 査 で は 、 シ ロハ ラ ミズ ナ ギ ド リ(97%)、 セ グ ロ ミズ ナ ギ ド リ (1.5%)、 ク ロ ウ ミツバ メ(1.5%)を 合 計80個 体 確 認 した(表4)。 これ らの 個 体 は19:30頃 か ら陸 上 に着 陸 し始 め、 少 な く と も22:00頃 ま で は 飛 来 が続 い た。 この 間 に尾 根 部 か ら見 え

る範 囲で500個 体 程 度 は着 陸 した と考 え られ る。これ らの海 鳥 は2:00頃 か ら夜 明 け ま で の 間 を 中 心 に 離 陸 し、 周 辺 の コ ブ ガ シMachiluskobuや チ ギ 、 タ コ ノ キ 、 ナ ン バ ンカ ラ ム シ Boehmerianivea、 オ オ タ ニ ワタ リAspleniumαntiquumな どに よ じ登 っ て飛 び 立 つ 姿 が 見 られ た 。セ グ ロ ミズナ ギ ドリは個 体 数 が少 な い も の の周 辺 で も飛 来 が 確 認 され た が 、 ク ロ ウ ミツ バ メ は捕 獲 個 体 以 外 で は ほ とん ど確 認 され な か った。

山頂 部 に お け る夜 間 捕 獲i調査 で は 、 シ ロハ ラ ミズ ナ ギ ドリ(22%)、 セ グ ロ ミズナ ギ ド リ (1%)、 オ ー ス トン ウ ミツバ メOceanodromαtnstrami(3%)、 ク ロ ウ ミツ バ メ(74%)を 合 計 120個 体 確認 した(表4、 図5)。 ク ロ ウ ミツ バ メ は19:00ご ろ か ら巣 内 で 鳴 き始 め た。 飛 来 と離 陸 の タイ ミン グ は コル と 同様 だ った 。 山上 部 の捕 獲調 査 で は捕 獲 個 体 の捕 殺 は行 わ な か った 。 また 、 拾 得 した 死 体 か らDNA分 析 用 の試 料 を採 取 可 能 と判 断 し、捕 獲 個 体 か らの試 料 採 取 は行 わ なか った 。

登 禁 ル ー ト沿 い で 海 鳥 の 巣 穴 を記 録 した 結 果 、海 岸 部 か ら コル ま で の 間 で18ヶ 所 、 コル か ら山頂 まで の 問 で220ヶ 所 が 確 認 され た(図6)。 コル と 山頂 の 間 で は森 林 の 部 分 と低 木 と 草 本 が 混 交 す るブ ッ シ ュが 広 が って い た が 、海 鳥 の 巣 穴 は森 林 で 多 くブ ッシ ュ で は少 な い傾

向が あ った 。 シ ロハ ラ ミズナ ギ ドリの巣 穴 は森 林 内 を 中心 に分 布 して お り、崩 壊 地 に お い て 植 生 が 初 期 の遷 移 を呈 して い る環 境 で は 営 巣 密 度 が 低 か っ た。 巣 内 で 見 られ た雛 は 白い産 毛

に包 まれ て お り、 ま だ 正 羽 は見 られ な か った。

2007年 の 調 査 で は、 コル か ら山頂 ま で の 区 間 に地 面 が所 々裸 出 した 丈 の低 い草 地 が 見 ら れ 、 この よ うな場 所 で ク ロ ウ ミツバ メ の営 巣 が多 数 見 られ て い た。 しか し、今 回 は これ らの

区域 で ブ ッ シ ュが 発 達 して お り、 ク ロ ウ ミツバ メの 営 巣 が あ ま り見 られ な くな っ た。

山頂 周 辺 で は、 オー ス トン ウ ミツバ メ2個 体 、 ク ロ ウ ミツ バ メ1個 体 の 死 体 が確 認 され た (図7)。 前者 の うち1個 体 は 巣 立 ち前 後 の 雛 で あ っ た 。 落 ち て い る死 体 の数 は2007年 に 比 べ て は る か に少 な か っ た 。 これ らの死 体 は新 鮮 で は な か った た め仮 剥 製 の 作成 は 難 しい が 、

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骨 格 標 本 と して 保 管 す るた め採集 し持 ち帰 った。 軟 部組 織 は骨 格 標 本 作成 時 に 除去 す る た め 、 冷 凍 、乾 燥 また は液 浸 で 保 存 し、今 後DNA分 析 お よび 安 定 同位 体 分析 に 用 い る予 定 で あ る。

コル の灌 木 林 内の15m×15m方 形 区 内で は 、 シ ロハ ラ ミズ ナ ギ ドリ8巣 、 ク ロ ウ ミツバ メ 5巣 、 セ グ ロ ミズナ ギ ドリ4巣 が 確 認 され た 。 この 区 域 で は 、 シ ロハ ラ ミズ ナ ギ ド リとク ロ ウ ミツバ メ の営 巣 は土 壌 の 発 達 した 林 内 に多 く、セ グ ロ ミズ ナ ギ ド リは 主 に斜 面 上部 や 灌木 林 縁 の岩 場 で 確 認 され た 。

標 高300m地 点 の30m×5mの 方 形 区内 で は 、 アナ ドリ88ヶ 所 、セ グ ロ ミズナ ギ ドリ48ヶ 所 、 シ ロハ ラ ミズ ナ ギ ドリ18ヶ 所 、オ ナ ガ ミズナ ギ ドリ1ヶ 所 の 鳴 き 声 が確 認 され た。 ア ナ ドリの声 は谷 内の 両 側 の 崖 下 部 の 縁 に沿 って 途 絶 え る こ とな く聞 かれ た。 セ グ ロ ミズ ナ ギ ドリは谷 地 形 底 部 の岩 場 全 域 で 鳴 き声 が確 認 され た が 、特 に岩 の窪 み 、転 石 の空 隙 、砂礫 帯 ・ 落 石 帯 に成 林 す る タ コ ノ キ等 の灌 木 林床 に集 中 した。 シ ロハ ラ ミズ ナ ギ ドリは、 土壌 が厚 く 堆 積 した 森 林 内 に鳴 き声 が集 中 した 。オ ナ ガ ミズ ナ ギ ド リは 単発 的 な 鳴 き 声 が少 数 聞 かれ た のみ だ った 。類 似 環 境 の分 布 を考 え る と、登 墓 ル ー ト沿 い の 谷 の 内 部(標 高0〜500m)で ナ ドリは少 な く と も数 千 ヶ所 、セ グ ロ ミズナ ギ ドリは数 百 〜 数 千 ヶ所 、 シ ロハ ラ ミズ ナ ギ ド

リは数 百 〜 数 千 ヶ所 、オ ナ ガ ミズ ナ ギ ドリは100ヶ 所 以 下 で営 巣 して い る も の と推 定 され た 。 コル 周 辺 の森 林 内 にお い て海 鳥 の 繁 殖 地 にお け る夜 間 の行 動 を調 査 した結 果 、 こ こで は ま ず19:00頃 に繁 殖 地 の 上 空 で シ ロハ ラ ミズ ナ ギ ド リ、 セ グ ロ ミズ ナ ド リを 中 心 に 鳴 き な が ら 飛 ぶ 海 鳥 集 団 が 確 認 され た 。鳴 き声 の集 団 は渦 巻 き状 に旋 回 を続 け なが ら、繁 殖 地 上空 で集 合 し個 体 数 が 増加 した 。 上 空 で15〜20分 程度 の 旋 回飛 行 が続 い た 後 、 下 降 す る風 切 り音 が 連 続 し、 同 日寺に 両 翼 、尾 羽 及 び足(水 か き)を 開 き、繁 殖 地 上 の林 の樹 冠 部 へ 降 下す る シ ロ ハ ラ ミズ ナ ギ ドリ、 セ グ ロ ミズ ナ ギ ドリ、 ク ロ ウ ミツバ メが 視 認 され た 。 これ らの個 体 は樹 冠 部 で もが い て 枝 葉 をす り抜 け、林 床 へ 落 下 した。 落 下 した 個 体 は 、 地表 を歩 い て それ ぞれ

の巣 穴 に 向か った 。 同様 の 飛 来 は22:00ま で続 い た が 、 特 に19:00〜20:00頃 に集 中 した。

同林 内で は19:15分 頃 か ら22:00頃 ま で の 間 、 シ ロハ ラ ミズ ナ ギ ド リ、 セ グ ロ ミズ ナ ギ ド リ、 ク ロ ウ ミツバ メ の 多数 の 鳴 き声 が連 続 的 に確 認 され た。22:00以 後 は 、24:00頃 ま で散 発 的 に鳴 き声 が 確 認 され た 後 、3種 とも に鳴 き声 が聴 かれ な くな った 。2:00頃 か ら再 び ク ロ ウ

ミツバ メ の大 合 唱 が 始 ま り、2:40ま で 同種 の独 唱状 態 が続 い た。 そ の 後 、 シ ロハ ラ ミズ ナ ギ ドリ、 セ グ ロ ミズナ ギ ドリの 鳴 き声 が 交 じ り、3種 の 飛 び 立 ち が 始 ま っ た。

ク ロ ウ ミツバ メで は、林 床 か らふ わ り と直 接 飛 び 上 が り、灌 木 の 幹 に と りつ い た の ち、パ タパ タ と羽 ばた きな が ら幹 を登 り樹 冠 部 へ 至 り、そ こ か ら飛 去 す る個 体 が 多 か った(観 察 さ れ た 約20羽 の約8割)。 一部 、斜 面 傾 斜 に沿 って 林 内 を下 方 へ 水 平 飛 行 して 、 そ の ま ま林 外 へ 飛 去 す る個 体 も確 認 され た 。利用す る樹木 に選択 性は認 め られ なか った。シ ロハ ラ ミズナ ギ ドリ及 び セ グ ロ ミズ ナ ギ ドリは 、 とも に地 面 を歩 き灌 木 の根 元 か ら幹 を登 るか 、 地 面 か ら 飛 び 上 が り、幹 の 上部 に と りつ い た後 、パ タパ タ と羽 ばた きな が ら、 足爪 と嚇 を使 っ て幹 を 登 り樹 冠 部 へ 至 り飛 去 す る個 体 が 多 か っ た。 利 用 す る樹 木 に選 択 性は認 め られ な か っ た。

地 上 や 、樹 冠 部 か ら飛 び 立 っ た海 鳥3種 は 、 しば ら くの 間 は繁 殖 地 上 空 で 鳴 き な が ら旋 回

(8)

を続 けて 集 団 化 した 。上 空 集 団 の鳴 き声 は3:10〜3:20頃 に ピー ク とな り、3:30頃 一気 に遠 ざ か った 。 林 内で は 極 少数 の 鳴 き声 を残 して 、海 鳥 の気 配 は 消失 した。

標 高300m地 点 の 調 査 地 で は シ ロハ ラ ミズ ナ ギ ド リ、 セ グ ロ ミズ ナ ギ ド リ、 ア ナ ドリ、 オ ナ ガ ミズナ ギ ドリの 飛 来 が 確 認 され た 。 ア ナ ドリの 鳴 き声 は 、18:30頃 か ら2:00ま で続 き 、 特 に18:30〜20:30頃 に ピー ク とな っ た 。朝 の飛 去 の時 間 に 明瞭 な ピー ク は認 め られ な か った 。

セ グ ロ ミズナ ギ ドリ及 び シ ロハ ラ ミズ ナ ギ ドリは 、19:00〜19:30頃 に谷 の 上 空 で集 団化 し て 鳴 き なが ら飛 行 し、 そ の後 に風 切 り音 と とも に谷 地 形 内 に着 陸 した 。 地 上 に お け る 鳴 き声

は20:00〜23:00頃 に ピー ク とな り、23:00〜2:00頃 に は少 数 しか 聴 か れ な か った 。2:00以 後 、 地 上 で の鳴 き声 が 再 び 活 発 化 し、地 上 や 灌木 か らの飛 び 立 ちが 開始 され た 。3:00に は 地 上 で

の鳴 き声 は ほ とん ど聴 か れ な くな り、離 陸1固体 が谷 内 の 上 空 で数 十分 間 鳴 き な が ら飛 行 して い た 。そ の後 、風 切 り音 と と もに鳴 き声 の集 団 は一 斉 に谷 上 空 か ら海 に 向か って 遠 ざか った 。 3:30に は地 上 、上 空 と もに 鳴 き 声 は聴 かれ な くな っ た。両 種 の鳴 き声 に よ る飛 来 、地 上 鳴 き 、 飛 去 の傾 向 は 同調 し、 上 空 にお け る飛 行 も混 群化 して い た。

3‑3.海 上 か らの 海 鳥 調 査

UAVに よ るア カ ア シカ ツオ ドリの 営 巣 状 況 調 査 で は 、4巣 が確 認 され 、 この うち少 な く と も3巣 が 抱 卵 中だ った(図8;川 上 ら、印刷 中)。営 巣 木 は3ヶ 所 が セ ン ダ ンMeliaazedarach、

1ヶ 所 が ア カ テ ツPlαnchonellαobovataだっ た 。 ま た 、本 種 の もの と考 え られ る巣 が他 に2ヶ 所 確 認 され 、 これ らは1ヶ 所 が セ ンダ ン、1ヶ 所 が ア カ テ ツ だ っ た。 周 辺 で は 、少 な く と も 29個 体 の ア カ ア シ カ ツオ ドリが観 察 され 、そ の 中 に は全 身 が 白い幼 綿 羽 に包 まれ た雛 が2個 体 、 全 身 が 褐 色 で 嚇 が 黒 く足 が灰 青 色 の 巣 立 ち雛 が2個 体(1個 体 に は頭 部 に 白い幼 綿 羽 が 残 存)、 背 と翼 上 面 に褐 色 を 呈す る亜 成 鳥 が少 な く とも2個 体含 ま れ て い たUll上 ら、 印刷

中)。

島 の北 東 部 に あ る松 江 岬 の 西側 の 崖 上(標 高約80m)をUAVに よ り撮 影 した結 果 、 モ ク ビ ャ ク コ ウCrossostephiu〃ichinense群落 内 で 地 上 に降 りて い る ク ロア ジ サ シ が約10個 体 確 認 され た 。 これ らの ク ロア ジサ シは モ ク ビ ャ ク コ ウの 背 後 に い た た め抱 卵 等 の繁 殖 の証 拠

は確 認 で き なか った が 、 抱 卵 時 の 体 勢 に類似 した 姿 勢 を して い た(図9)。

海 上 か らの観 察 の 結 果 、 島 上 で は325個 体 の ア カ オ ネ ッ タイ チ ョウが記 録 され た。A〜G お よび 松 江 岬 の 各 区域 にお け る本種 の 個 体数 は 表5の 通 りで 、 特 に 南東 部 お よび 南 西部 の 崩 壊 地 上 、 登 墓 ル ー トの あ る谷 の 上 、 北 部海 岸 の 東側 で個 体数 が 多 か っ た。

観 察 に よ り南 硫 黄 島 上 で認 め られ た 鳥類 以 外 に コシ ジ ロ ウ ミツバ メOeeanodroma leucorhoa1個 体 が観 察 され た。

3‑4.陸 鳥類

島 内 の 踏 査 の 結 果 、 カ ラ ス バ ト、 ヒ ヨ ド リ 、 イ ソ ヒ ヨ ド リ、 ウ グ イ ス 、 メ ジ ロ 、 カ ワ ラ ヒ ワ が 生 息 して い る こ と が 確 認 で き た(表1)。

(9)

コル お よび 山頂 付 近 にお け る定 点 セ ンサ ス の 結果 は 表6の 通 りで、 ヒ ヨ ドリ、 ウグイ ス 、 メ ジ ロ の3種 が 出現 した 。 これ ら3種 は 、海 岸 部 か ら山 頂 ま で の 広 い範 囲 で 普通 に観 察 され た 。 ウ グイ ス は 山頂 の 北 側 で ピサ カ キ ー翫 脚 ノρo耽αに架 け られ た 古 巣 が 見 つ か っ た(樹 高 1.7mの 地 上 高約1.3mの 枝 の 間)。イ ソ ヒ ヨ ドリは海 岸 部 で の み観 察 され た が 、個 体数 は少 な か った 。

カ ラ スバ トは海 岸 部 か らコル 周 辺 ま で の範 囲 にお い て少 な く と も14ヶ 所 で確 認 され た(図 10)。 登墓 ル ー ト沿 い で は 、 チ ギや コブ ガ シ 、 セ ン ダ ン 、 オ オバ シ ロテ ツBo痂 如 餌3εαの果 実 を採 食 す る姿 が観 察 され た 。14ヶ 所 の うち2ヶ 所 で は ペ ア とみ られ る成 鳥2羽 が 見 られ た (図10地 点12;6月23日 、 地 点13;6月23日9:16)。 地 点9で は成 鳥 と若 鳥 の2羽 お よび別 の1個 体 の鳴 き声 が確 認 され た(6H20日12:06)。 ま た 、6 .月24日6:27に は 、 登禁 ル ー ト 沿 い の標 高 約400mの ル ンゼ(地 点7)に お い て 少 な く と も6個 体 の カ ラス バ トの群 れ が 地 上 に降 りて い る姿 が観 察 され た 。6月23日 に は 、標 高300〜350m付 近(地 点4〜7付 近)、

標 高400m付 近(地 点8付 近)、 コル の南 側 の谷 内部(地 点12)お よび コル 北 側 の 崩 落 地(地 点13)で そ れ ぞ れ雄 同 士 の 鳴 き 交 わ しや 威 嚇 な ど縄 張 り争 い とみ られ る行 動 が確 認 され 、こ

の時 期 に繁 殖 して い る個 体 が い る と考 え られ た。 な お 、観 察 され た うち12個 体 で は脚 環 の 有 無 が 確 認 で きた が 、 脚 環 を装 着 した 個 体 は い な か った。

カ ワ ラ ヒ ワ は、 海 岸 沿 い お よび 登 禁 ル ー ト沿 い の標 高約450m以 下 ま で の範 囲 で観 察 され た 。 海 岸 沿 い で はス ベ リヒユPortulacaoleracea、 ナ バ カ ノ コ ソ ウの種 子 を採 食 す る姿 が 見 ら れ た 。 登 禁 ル ー ト沿 い で観 察 され た 個 体 数 は 合 計 で5〜6個 体 程度 で 、 ス ベ リヒユ を採 食 す

る姿 が 見 られ た 。2016年 の観 察 で は海 岸 南東 部 お よび 南 西部 の崩 壊 地 で それ ぞれ10〜20個 体 程 度 が 観 察 され た 。

3‑5.無 人 記 録 装 置 の 回 収 と 設 置

2016年 に 設 置 した7台 の 自動 撮 影 装 置 の 全 て を2017年6月14日 お よ び15日 に 回 収 し た 。 各 機 器 は2016年9月29日 〜2017年6月15日 の 問 に 撮 影 を 終 了 し て い た(表3)。 撮 影 さ れ た 写 真 の う ち 鳥 類 が 写 っ て い る も の の み を抽 出 し 、 種 の 同 定 を行 っ た と こ ろ10枚 以 上 の 写 真 で 確 認 さ れ た 種 は 、海 鳥 で は ア カ オ ネ ッ タ イ チ ョ ウ 、ア ナ ド リ、オ ナ ガ ミ ズ ナ ギ ド リ 、 カ ツ オ ド リ、 陸 鳥で は カ ラ ス バ トで あ っ た(表7)。 た だ し 、 自 動 撮 影 で は 同 一 個 体 が 連 続 し て 撮 影 さ れ る こ とが 珍 し く な い た め 、10分 以 内 に 撮 影 さ れ た 同 一 個 体 と 考 え られ る 写 真 は1 枚 と して 数 え た 。ア カ オ ネ ッ タ イ チ ョ ウ は12〜6月 、ア ナ ド リは7月 〜10Hお よ び4〜5月 オ ナ ガ ミズ ナ ギ ド リ は6〜12.月 お よ び3〜4.月 、 カ ツ オ ド リ は7〜ll.月 、 カ ラ ス バ トは6〜9 月 お よ び11月 に 記 録 され て い た 。 ア カ オ ネ ッ タ イ チ ョ ウで は3〜4月 に 雛 お よ び 親 か ら雛 へ

の 給 餌 が 記 録 さ れ て い た 。 カ ラ ス バ トで は 、 南 西 部 崩 落 地 下 部 に お い て2016年8月21・24 日 に 若 鳥 が 撮 影 さ れ て い た 。 撮 影 枚 数 が10枚 未 満 の 種 は 、 ウ グ イ ス(2016.9.29)、 カ ワ ラ ヒ ワ(2016.12.18、2017.3.2)、 ヒ ヨ ド リ(2016.7.9、2016.7.29、2017.4.20)、 ア マ サ ギBubulcus ibis(2017.5.28)、 ア オ サ ギAπdeacinerea(2016.ll.23)が 記 録 さ れ て い た 。

(10)

コ ル で は 、 幕 営 地 か ら尾 根 沿 い 下 方 の 岩 上 に 生 え た コ ブ ガ シ の 幹 に 音 声 録 音装 置1台 を 設 置 した(N24013.835'、El41。27.539'、 図lla)。 山 頂 で は 、 山 頂 の 南 西 約5mの ヒ サ カ キ の 幹 に1台 を 設 置 した(N24014.039'、El41Q27.812,、 図llb)。 そ れ ぞ れ の 装 置 で は 、 毎 日 日の 出 の1時 間30分 前 か らの3日 寺問 を 対 象 に 、1分 間 録 音 して29分 間 イ ン タ ー バ ル を と る プ ロ グ ラ ム を 設 定 した 。 こ れ らの 装 置 は 次 回2027年 の 調 査 に お い て 回 収 す る 。

4.考

今 回 の調 査 で は、 これ ま で に確 認 され てい た7種 の海 鳥 に加 え、 オ ー ス トン ウ ミツバ メ と アカ ア シカ ツオ ドリが 南 硫 黄 島 で 繁 殖 して い る こ とが 明 らか に な っ た。小 笠 原 諸 島 の 島 の 中 で 、 近 年 繁 殖 が 確 認 され て い る海 鳥 の 種数 が 最 も多 い の は 西 之 島 の8種 だ った がUll上 ら、

2005;Chibaetal.,2007)、 この 島 は 最 近 の 火 山噴 火 に よ り大 き く撹 乱 され 、 繁 殖 種 数 が 減 少 し て い る と考 え られ るUll上2017)。 今 回 の 調 査 に よ り南硫 黄 島 は 少 な く と も9種 の海 鳥 が繁 殖 に利 用 して い る こ とが 明 らか に な り、 これ は 小 笠 原 諸 島 で 最 多 種 と言 え る(Chibaetal., 2007)。 これ は 、南 硫 黄 島 が 外 来 生 物 に よ る影 響 を ほ とん ど受 け て お らず 、原 生 状 態 で維 持 さ れ て い る こ と を象 徴 して い る。現 在 の南 硫 黄 島 が示 して い る状 況 は、 人為 的撹 乱 を受 け る前

の小 笠 原 の あ るべ き環 境 を示 して い る と考 え られ る。海 鳥 は物 質循 環 の担 い 手や 種子 散 布 者 、 環 境 エ ン ジニ ア な ど と して 生 態 系 の 中で 多 くの機 能 を果 た して い る。 南硫 黄 島 で 見 られ る よ

うな高 密 度 で 海 鳥 が 生 息 す る状 態 は 、 小 笠 原 諸 島 の保 全 目標 の 一 つ を示 す もの で あ る。

UAVに よ る観 察 か ら ク ロア ジサ シ につ い て も繁 殖 して い る可 能 性 が 非 常 に高 い と考 え ら れ る。今 回 の調 査 で新 た に2種 の繁 殖 鳥 類 が見 つ か っ た こ とか らも、 南硫 黄 島 の鳥 類 相 は ま だ 十 分 に解 明 され た と は言 えな い 。 こ の 島 で はオ ー ス トン ウ ミツバ メ以 外 に も、 オ ガ サ ワ ラ ヒ メ ミズナ ギ ドリPULfiinwsbryaniのよ うに冬 繁 殖 型 の海鳥 が生 恩 して い る可 能 性 も あ るた め、

今 後 さ らな る調 査 を行 うこ とで 鳥 類 相 を把握 す る必 要 が あ る。

オ ー ス トン ウ ミツバ メ は体 サ イ ズ が 小 さい た め、外 来捕 食 者 で あ る ネ ズ ミ類 に対 して脆 弱 で 、小 笠 原 諸 島 内 で も分 布 が 限 られ て い る。 本 種 が 南 硫 黄 島 で 見 つ か った こ とは 、 この 島 の 生 態 系 が 原 生 環 境 で 維 持 され て い る こ との 象徴 で あ る。 これ ま で に 国 内 で は ア カ ア シ カ ツ オ ドリの集 団 繁 殖 地 の 記 録 はな く、今 回 が 国 内初 の発 見 で あ る。 これ は太 平洋 西部 に お け る最 北 の集 団 繁 殖 地 で あ り、 この 種 の 分布 特 性の 理 解 に 寄 与 す る新 規 情 報 と言 え る。

カ ツ オ ドリで は 足 環 装 着 個 体 の 確 認 に よ り初 め て 父 島 列 島 の南 島 と の交 流 の 存 在 が 明 ら か に な った 。南 硫 黄 島 は立 ち入 りが規 制 され てい る に もか か わ らず 、 シ ン ク リノ イ ガや オ オ バ ナ セ ン ダ ン グサBidenspilosavaxradiataな どの 外 来植 物 の侵 入 が 生 じて い る。 これ らは海 鳥 に付 着 す る こ と に よ り散布 され た もの と考 え られ 、南 島 な どの海 鳥繁 殖 地 が分 布 す る無 人 島 に お い て 外 来 植 物 の 管 理 を進 め る こ とが原 生 自然 環 境 保 全 地 域 で あ る南 硫 黄 島 の 生 態 系 を保 全 す る上 で 重 要 な こ と を示 して い る。

陸 鳥 類 につ い て は、過 去 の調 査 同様 に6種 の生 息 が確 認 され た。 い ずれ の種 も過 度 な減 少 傾 向 は な く、 現 状 で は健 全 な集 団 が維 持 され て い る と考 え られ る。

(11)

各種鳥類 の生息状況 は下記の通 りで ある。

・ シ ロハ ラ ミズ ナ ギ ドリ

シ ロハ ラ ミズ ナ ギ ドリはハ ワイ 諸 島 お よび 小 笠 原 諸 島 で の み繁 殖 す る海 鳥 で 、小 笠 原 で は 南 硫 黄 島 と北 之 島で の み 繁 殖 して い る(Chibaetal.,2007)。 本 種 は標 高400m〜 山頂 ま で広 く 分 布 して い た 。コル 周 辺 で は最 優 占種 とな っ てお り、山頂 周 辺 で は 出現 した海 鳥 の22%を めて い た 。1982年 に は 山頂 部 で は本 種 の記 録 は な く(塚 本 、1983)、2007年 に は約38%を めて い た σll上ら、2008)。2007年 に 比 べ る と出 現 頻 度 は減 少 して い る よ うに も見 え る が 、 い ず れ も1日 の み の 調 査 で あ り 日変 動 が あ る と考 え られ る こ とか ら、 コル お よび 山頂 付 近 に お け る本 種 の 生 息 状 況 は 過 去10年 に 特 に 大 き く変 わ っ た とは 考 え に くい。 一方 で 、 コル か ら山頂 ま で の 問 で は ミズ ナ ギ ド リ類 の生 息 に は適 さな い と考 え られ る草 本 や 灌 木 が 密 生 し た ブ ッシ ュ様 の 環 境 が 増加 して い た こ とか ら、 この エ リア で の 生 息個 体数 は2007年 に 比 べ て 減 少 して い る可 能 性 が あ る。2007年 の 調 査 で 本 種 は 数 万 〜数 十 万 つ が い程 度 が繁 殖 して い

る と推 定 され て お りUll上 ら、2008)、 今 回 も桁 と して は 同等 の生 息数 と考 え られ る。

観 察 され た 雛 は 白い 産 毛 に包 ま れ た 状 態 で あっ た。 これ は 、1982年 、2007年 の 同 時期 に 南 硫 黄 島で 見 られ た 繁 殖 段 階 と 同等 で あ り、ま た2011年 に北 之 島 出 見 られ た 繁 殖 段 階 よ り約1

ヶH遅 い 。 シ ロハ ラ ミズ ナ ギ ドリは 産 卵 か ら卵孚化 ま で が約50日 、艀 化 か ら巣 立 ち ま で が約 80日 で あ る(delHoyoetal.,1992)。 この こ とか ら、 南 硫 黄 島 の シ ロハ ラ ミズ ナ ギ ドリは4月 上 中旬 に産 卵 し5月 下 旬 〜6H上 旬 に卵孚化 、7.月 〜8月 頃 に巣 立 ちす る もの と考 え られ る。

戦 前 の 小 笠 原 諸 島 で は シ ロ ハ ラ ミズナ ギ ドリは智 島 列 島 か ら火 山列 島 の広 い 範 囲 で繁 殖 して い た が 、 現 在 は 南 硫 黄 島 と北 之 島 の み で しか繁 殖 して い な い(籾 山 、1930;Chibaetal., 2007;千 葉 ら、2012)。 北 之 島 の繁 殖 個 体 群 は非 常 に小 さい 可 能 性 が あ るた め、小 笠 原集 団 の

ほ とん どは南 硫 黄 島 に属 して い る と考 え られ る。 現在 の 南硫 黄 島 で は 営巣 地 とな る森 林 の環 境 が 維 持 され て い るが 、 この 島 は 地 形 が 急 峻 で あ るた め崩 落 等 に よ り生 息環 境 が大 き く擁 乱 され る可 能 性 も あ る。 この た め 、過 去 に 本 種 が 営 巣 して い た 北硫 黄 島 な どで外 来 生物 を排 除 し営 巣 可 能 な環 境 を整 え、 コ ロニー の分 散 を 図 る こ とが 望 ま しい 。環 境 省 の レ ッ ドリス トで は情 報 不 足(DD)と な っ て い るが 、これ ま で の 調 査 で 現 状 は あ る程度 把握 され て き た と考 え られ る。 これ らの こ と を踏 ま え る と、 本 種 は絶 滅 危 惧種 と して 分 類 す る こ とが適 当 で あ る。

・ セ グ ロ ミズ ナ ギ ドリ

セ グ ロ ミズ ナ ギ ドリは小 笠 原 諸 島 に固 有 の海 鳥 で 、南硫 黄 島 お よび東 島 で の み繁 殖 が 見つ か って い る(川 上 ら、2008)。 南硫 黄 島 の セ グ ロ ミズ ナ ギ ドリは 、2007年 の調 査 で は 山頂 部 周 辺 で しか 見 つ か って い な か った 。しか し、今 回 の調 査 で は コル で も少 数 が見 つ か って い る。

また 、登 山 口か ら コル ま で の 間 の崩 落 地 にお い て、 コル や 山頂 で 見 つ か っ た 以 上 に 高 い密 度 で 本 種 が 生 息 して い る こ とが確 認 され た 。2007年 の 調 査 で は本 種 は 山頂 付 近 で繁 殖 して い る も の と推 測 され て い た が 、実 際 に は 調 査 が され て い な か っ た低 標 高 地 の崩 落 地 の岩 の 間 な ど

(12)

を主 要 な生 息 地 と して い る可 能 性が 高 い 。南 硫 黄 島 は地 形 が 急 峻 で あ るた め、 島 の各 所 に崩 落 地 が確 認 され る。 この よ うな場 所 は いず れ 草 地 か ら森 林 に遷 移 す る も の と考 え られ るが 、 常 に新 た な崩 落 が 生 じて い るた め、島 全 体 と して は 生 息 地 が維 持 され て い る もの と考 え られ

る。繁 殖 個 体 数 につ い て は不 明 だ が 、島 の 崩 落 地 の規 模 を 考 え る と少 な く と も数 千 つ が い程 度 が 営 巣 して い る と推 測 され る。次 回 の調 査 で は崩 落 地 に お い て本 種 の 生 息状 況 を よ り詳 細

に 明 らか にす る必 要 が あ る。

最 近 の研 究 成 果 か ら、 南 硫 黄 島 お よ び 東 島 で 繁 殖 す る セ グ ロ ミズ ナ ギ ド リは 固 有 種P.

bannnenuaniと す べ きで あ る こ とが 明 らか にな って い る(Kawakamietal.,2018)。 この こ とか ら、南 硫 黄 島 の繁 殖 集 団 の保 全 の必 要 性 は これ まで 以 上 に高 ま って お り、小 笠 原 諸 島 内 で も 特 に保 全 の優 先 度 が 高 い 種 で あ る と考 え られ る。 そ の こ とを考 え る と、本 種 の絶 滅 リス ク を 下 げ るた め に シ ロハ ラ ミズ ナ ギ ドリと同様 に北硫 黄 島 な ど過 去 の 営巣 地 の環 境 を 回復 し、繁 殖 個 体 群 を分 散 させ る こ とが 望 ま しい 。

・ オ ナ ガ ミズ ナ ギ ドリ

オ ナ ガ ミズ ナ ギ ドリは小 笠 原 諸 島 にお い て繁 殖 分布 が 最 も広 い海 鳥 の 一 つ で あ る(Chibaet al.,2007)。本 種 の 南 硫 黄 島 で の 繁 殖 場 所 は 、 これ ま で に海 岸 沿 い の 崩 落 地 の 土 壌 が 発 達 した 場 所 のみ で しか 見 つ か って い な い(塚 本 、1983;川 上 ら、2008)。 しか し、今 回 のUAVの 調 査 に よ り、西 部 の崖 上 の タ コノ キ林 の地 上 に本 種 の営 巣 の可 能 性 の あ る穴 が 見 つ か った 。 こ

のた め、南 硫 黄 島 にお け るオ ナ ガ ミズ ナ ギ ド リの 営 巣 は これ ま で に 考 え られ て い た よ りも広 く分 布 して い る可 能 性 が あ る。 タ コ ノキ 林 の 地 上 へ の 営 巣 は 小 笠原 諸 島 の他 島 で も広 く見 ら れ て い る こ とか ら、 これ は不 自然 で は な い。 これ らの こ とを考 え る と、 南硫 黄 島 に お け る本 種 の繁 殖 集 団 に は少 な く と も数 百 つ が い が含 ま れ て い る と考 え られ る。

自動 撮 影調 査 に よ り、本 種 は3〜4月 お よび6〜12.月 に確 認 され てお り、 ま た 上 陸調 査 で は 6月 に抱 卵 が確 認 され て い る こ とか ら、 少 な く と も3月 ご ろか ら この 島 を繁 殖 の た め に利 用

して い る と考 え られ る。 この 繁 殖 ス ケ ジ ュー ル は 小 笠原 群 島 と大 きな違 い は な い。

・アナ ドリ

アナ ドリは、小 笠 原諸 島 の各 地 で広 く繁 殖 してい る小 型 海 鳥 で あ る。今 回 の調 査 で は南 硫 黄 島 の海 岸 部 か ら標 高300mま で の 範 囲 で 営 巣 が確 認 され た。 前 回 の調 査 で は コル の周 辺 で も本 種 が 確 認 され て い た が 、今 回 は確 認 され な か った 。 ア ナ ド リは岩 の 下や 土壌 の発 達 して い ない 露 岩 部 で 営 巣 して い る こ とが 多 く、 この よ うな 環境 は 山 上部 で は遷 移 の初 期 段 階 に一 時 的 に生 じて い る と考 え られ る。 この た め 、山 域 で は本 種 は遷 移 初 期 に 見 られ る 露岩 部 な ど で 適 宜 営 巣 して い る可 能 性 が あ る。

海 岸 部 で は、本 種 は南 部 お よび 東 部 を 中心 に繁 殖 してい る こ とが 確 認 され た 。 南部 お よ び 西 部 の営 巣 個 体 数 は2007年 に 比 べ て2016年 、2017年 の 方 が 多 か った 。2007年 に は調 査 の 直 前 で あ る5.月22日 に 台 風2号 が 南 硫 黄 島 直 近 を 通過 した影 響 で海 岸 部 が波 浪 に よ り擁 乱

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され 、営 巣 が撹 乱 され て い た 可能 性 が あ る σll上ら、2008)。 ア ナ ドリの 営 巣 環境 は 比 較 的 多 様 性が 高 く、島 の各 地 で繁 殖 してい る と考 え られ 、2007年 の調 査 か らは数 千 つ が い が繁 殖 し て い る と推 測 され て い る(川 上 ら、2008)。 局 地 的 に は営 巣 規 模 の増 減 が あ る も の の 、現在 も

同 島 の規 模 で 繁 殖 して い る もの と考 え られ る。

捕 獲 調 査 で2007年 に 足環 が装 着 され た個 体 が2016年 に同 じ場 所 で 見 つ か っ て お り、あ る 程 度 の定 住 性 が あ る もの と考 え られ る。

本 種 は 自動 撮 影 調 査 に よ り7〜10月 に確 認 され て お り、ま た 上 陸調 査 で は6.月 に 抱卵 が確 認 され て い る こ とか ら、少 な く と も6〜10月 に は この 島 を繁 殖 の た め に利 用 して い る と考 え

られ る。 この 繁 殖 ス ケ ジ ュー ル は 小 笠 原 群 島 と大 差 な い。

・ク ロ ウ ミツバ メ

ク ロ ウ ミツバ メ は、小 笠 原諸 島 で のみ 繁 殖 が確 認 され て い る種 で 、 現在 は 南硫 黄 島 の 山頂 部 で のみ 繁 殖 が 見 つ か って い る σll上ら、2008)。2007年 の調 査 で は標 高700m以 上 で確 認 され コル で は確 認 され て い な か った が 、今 回 は コル で も夜 間 の捕 獲 調 査 で 見 つ か っ て い る。

また 、 コル 周 辺 にお い て営 巣 が確 認 され た こ とか ら、本 種 の 営巣 分 布 は これ ま で に確 認 され て い た よ りも広 い と考 え られ る。 これ が分 布 の拡 大 に よ る も のか 、過 去 の調 査 努 力 量 が不 足

して い た た めか は不 明 で あ る。

2007年 の調 査 で は 、コル か ら 山頂 ま で の 問 の 地 面 が所 々裸 出 した 丈 の低 い 草 地 に お い て ク ロ ウ ミツバ メが 多 数 営 巣 して い る姿 が確 認 され て い た が 、今 回 の調 査 で は この よ うな環 境 は ほ とん ど見 られ なか った 。2007年 に 見 られ た 環境 は 崩 落 等 の擬 乱 に よ り地表 面 が裸 出 した遷 移 初 期 の もの で 、今 回 は さ らに遷 移 が進 み灌 木 と高茎 草本 で構 成 され る ブ ッシ ュ が形 成 され て い た もの と考 え られ る。草 本や 灌 木 が密 生 した ブ ッシ ュ の よ うな環 境 は ク ロ ウ ミツバ メ の 繁 殖 に適 さ ない よ うで 、巣 の密 度 は低 か っ た。 一 方 で 、 今 回 の 調 査 で は 、 ク ロ ウ ミツバ メ の 営 巣 は 山頂 周 辺 の 林 内の 土 壌 が 裸 出 した 林床 で 多 く見 られ た。 草 本や 灌木 が密 生 した環 境 は 山頂 の北 部 や 西 部 に も広 が って い た こ とか ら、植 生 の遷 移 に よ りク ロ ウ ミツバ メ の繁 殖 適 地 面 積 は減 少 した と推 測 され 、 これ に伴 い 繁 殖 個 体 群 サ イ ズ も縮 小 して い る可 能 性 が あ る。 ま た 、 今 後 も環 境 の 変 化 次 第 で は 個 体 群 サ イ ズ が さ らに縮 小 す るお それ が あ る。

本種 は南 硫 黄 島の 高標 高 地 で の み 営 巣 が確 認 され る非 常 に 固 有 性が 高 い鳥 類 で あ る。 この た め、本 種 を保 全 す るた め に は 、過 去 の 繁 殖 地 で あ る北 硫 黄 島 の 環 境 を回 復 し、繁 殖 集 団 を 分 散 させ るべ きで あ る。

・オ ー ス トン ウ ミツバ メ

オ ー ス トン ウ ミツバ メは 、小 笠 原 諸 島 で は 北 之 島や 智 島鳥 島 、東 島、 巽 島 、鰹 鳥島 な どで 繁 殖 が 確 認 され て い る(Chibaetal.,2007)。 今 回 の 調 査 で は 山頂 部 で複 数 の オ ー ス トン ウ ミツ バ メが 初 めて観 察 され 、 ま た巣 立 ち前 後 の雛 も確 認 され た。 この こ とか ら、本 種 は南 硫 黄 島 の 山頂 周 辺 を繁 殖 地 と して お り、 今 回 の調 査 時期 は 巣 立 ち期 の終 盤 と考 え られ る。 一 方 で 、

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2007年 の 山頂 部 で の調 査 で は 、オ ー ス トン ウ ミツバ メ は確 認 され て い な い σll上ら、2008)。

オ ー ス トン ウ ミツバ メ は小 笠 原 群 島 で は12.月 頃 か ら5月 頃 に繁 殖 してお り、6.月に は繁 殖 地 に見 られ ない 。 ま た 、北 硫 黄 島で は冬 にオ ー ス トン ウ ミツバ メが 繁 殖 し、 同 じ場 所 で夏 に ク ロ ウ ミツバ メが 繁 殖 して い た と報 告 され て い る(籾 山 、1930)。 これ らの こ とを考 え る と、南 硫 黄 島で は冬 にオ ー ス トン ウ ミツバ メが 営 巣 して い る もの の 、2007年 の調 査 時期 に は既 に そ の繁 殖 期 が 終 了 して い た た め確 認 され な か った もの と推 測 され る。今 回 は何 らか の理 由 で オ ー ス トン ウ ミツバ メの 繁 殖 時 期 が 遅 れ、6.月 後 半 に 巣 立 ち す る もの が残 っ て い た もの と考 え られ る。北 硫 黄 島 の過 去 の繁 殖 状 況 を考 え る と、原 生 環境 が維 持 され て い る 南硫 黄 島 で オ ー ス トン ウ ミツバ メが 繁 殖 して い る こ とは 不 自然 で は な い。

2007年 の調 査 で は 、ク ロ ウ ミツ バ メ とみ られ る複 数 の 巣 立 ち 前 の雛 の 死 体 が拾 得 され て い る。 しか し、 ク ロ ウ ミツバ メ とオ ー ス トン ウ ミツバ メは 形 態 的 に似 て い るた め 、 この 中 に オ ー ス トン ウ ミツバ メが 混 在 して い た 可 能性 も あ る

・ カ ツ オ ド リ

本 種 は、小 笠 原 諸 島 にお い て 最 も広 く分布 す る海 鳥で あ る(Chibaetal.,2007)。 南硫 黄 島 に お い て2016年 お よび2017年 の 調 査 で確 認 され た 営 巣数 は 、2007年 に比 べ る と多 く、1982年

に比 べ る と少 な か った 。2007年 は 前 述 の 通 り台 風 の影 響 に よ り海 岸 で の 営巣 が撹 乱 され た た め営 巣 数 が 特 に少 な か った 可 能性 が あ る。1982年 の調 査 で は 、南 西 部 お よび 南東 部 の崩 落 地 で は海 岸 沿 い の み で な く崩 落 地 内 の 営 巣 数 も含 ん で い る こ とが 、今 回 よ りも営巣 数 が 多 か っ た 一 因 と考 え られ る。 た だ し、 区域BやDな ど今 回 営 巣 が確 認 され な か っ た場 所 で も多 く の営 巣 が 確 認 され て い た こ とか ら、当 時 に 比 べ る と海 岸 域 の 営巣 数 は減 少 した もの と推 測 さ れ る。 減 少 の 理 由 は不 明 で あ る。

今 回 の調 査 で は 、2007年 に父 島列 島 南 島 で 足 環 をつ け られ た 個 体 が 死 体 と して確 認 され た 。死 体 は乾 燥 して い た が全 身 の組 織 が分 解 され ず に残 って い た こ とか ら、死 後 に1年 以 上 の時 間が 経 過 した とは 考 え に くい 。死 因 は不 明 だ った が 、 この個 体 の確 認 は少 な く とも南 島 と南 硫 黄 島の 問 で 個 体 の 交 流 が あ る証 拠 と言 え る。 南硫 黄 島 と他 島 との 問 で の個 体 の交 流 の 証 拠 は これ が 初 めて で あ る。 な お 、 南 島 と南硫 黄 島 の 距 離 は約320㎞ で あ る。

南 硫 黄 島 に は シ ン ク リノイ ガ や オ オ バ ナ セ ンダ ン グサ な ど、付 着 型 種 子 散 布 の外 来 植 物 が 侵 入 して い る。小 笠 原 諸 島 で は海 鳥 の繁 殖 地 の 分布 と付 着 散 布 型 草本 の分 布 の 間 に相 関 が あ る こ とが わ か って い る(Aoyamaetal.,2012)。 今 回 の 調 査 で も、カ ツ オ ド リな ど海 岸 部 で 営巣 す る海 鳥 で は植 物 の 果 実 を羽 毛 に付 着 させ た個 体 が確 認 され て お り、 この よ うな種 がベ ク タ ー とな り南 硫 黄 島 に外 来植 物 が侵 入 して い る もの と考 え られ る。 南 島 と南硫 黄 島 の 間 で個 体 の交 流 が 確 認 され た こ とか ら、他 島 とも交 流 が あ る と考 え るの が 自然 で あ るた め、海 鳥 繁 殖 地 を有 す る無 人 島 で外 来 植 物 の 管 理 を行 うこ とが 南 硫 黄 島 の 環 境 保 全 に資 す る と考 え られ る。Aoyamaetal.(2012)で は 、付 着 散 布 型 で は な い種 子 で あ っ て も、果 実 が潰 れ て粘 着1生を 持 った り種 子 が 小 さ く羽 毛 に紛 れ 込 ん だ りす る こ とで 、付 着 散 布 され る こ とを示 して い る た

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