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礫まじり土の締固め密度の推定に関する 基礎的研究

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(1)

礫まじり土の締固め密度の推定に関する 基礎的研究

森満雄*阿部道雄**

1.まえがき

 現場の締固め施工管理法として乾燥密度による方法がある.土の締め固まり方は,土質,

含水量,締固め方法などの違いによって異なるので,その基準となるべき密度をJISによる 標準の突固め試験から得られた最大乾燥密度とし,施工後の乾燥密度は,最大乾燥密度に 対する比率,締固め度で表す.そして,その締固め度は一般に90〜95%以上というように 規定されている.

 しかしながら,原材料が室内実験で用いられるモールドに応じた許容最大粒径以上の礫 分を含む場合,許容最大粒径以下の材料で行った室内実験の結果から原材料の締固め密度 を推定する必要が生じてくる.この推定法としてWalker−Holtzの理論式による方法1)(W・

H法と略す),Humphresの方法2)がある.

 W・H法は礫分の含有率が30〜40%までが適用範囲と指摘されているが3>・ ),赤司ほか5)

は細粒土の少ないロック材料では適用不可,細粒土の多いコア材料でも礫率20%までと指 摘している.また,片山ほか6)は礫の粒形の相違によってはW・H法が礫率の低い場合で

も適用できない結果を得ている.

 このように,W・H法の適用性に幅のあることは,森・阿部7)および森8)・9)・エ゜)が各種の締 固め密度の異なる土を用いた礫混合土の突固め試験を行って指摘した.W・H法は,その理 論の適用基準の礫率を(礫の質量)/(礫と細粒土の質量)と考えているので,細粒土分の 締固め密度の大小により同じ礫率でもモールド中の礫の量が変化し,そのため適用範囲に 変化の生ずる性質のものである.また,礫分を火山礫のような気泡性の材料とした場合に

は,W・H法は礫率が低くても適用出来ない結果も報告ll)した.

 Humphresの方法は,特殊な締固め試験機と手法を用いるなど実験の手段が相当面倒で ある.さらに得られた実験値を用いてかなり複雑な作図法により礫率に対する密度の推定 曲線を求めるものであるが,一部にW・H法の理論曲線を取り入れており,W・H法より合 理的と考えてよい.

Humphresの方法については,実験の手段は異なるが,作図法を利用して,その適用性を 森9)・ll)・12)が検討した.その結果,推定値と実験値の差はW・H法より少ないが,破砕性の

とくに大きい火山礫などには適用できない11).

 そこで,本研究は新しい推定法を得るための基礎的実験として単粒度あ礫分(9 .5〜19mm)

を砂質土に混合し次のような考え方と順序で実験を進めた.

*理工学部土木工学科教授土質工学・道路工学

**

理工学部土木工学科助手土質工学

(2)

106

 まず,礫まじり土の締固め密度に影響する因子を含水量・締固めエネルギー・1回当り の打撃力・粒度分布・礫の形状・礫の硬さ(破砕)・礫率(礫分含有率)とすれば,含水比 の影響ゼロ(w=0%),締固めエネルギーの影響ゼロとしたゆる詰め状態の密度と,w=0%

の条件での突固めによる締固め密度は,各段階の礫率に対応すると考える.これは,良く 詰まる礫率であれば,ゆる詰め状態でも突固め状態でも密度は大きくなるからである.ま た,礫の粒形が角ばっていれば,ゆる詰め状態の密度は丸みを持ったものより小さくなる が,突固め状態の密度もゆる詰め状態の密度に対応すると考える.

 また,礫の硬さは突固め時の破砕に関連するが,各段階の礫率での破砕の程度は礫率に 応じて連続性を持つと考えてよいので,突固め状態の密度も連続的に変化し,ゆる詰め密 度と相関すると考える.

 以上の検討は,含水比の影響を持たないw=0%の条件のもとで実施するが,次に,含水 比の影響を受ける最大乾燥密度と最適含水比を各段階の礫率について求め,最大乾燥密度

と前述のゆる詰め密度ρdLとの関連性を検討する.

 上記の関係を物理的性質の異なる2種類の礫(9.5〜19㎜)に山砂と軟岩砂(2.Omm以下)

を混合して標準の突固め試験を行った結果,礫率60%まではゆる詰め密度と突固め密度・

最大乾燥密度の間に比例関係のあること,さらに,この最大乾燥密度と最適含水比の間に も相関性のあることを示した.

2.実験に用いた材料と物理的性質

 表一1に使用材料の物理的性質を示す.礫分は川砂利と軟岩礫で,川砂利は富士川産,軟 岩礫は奥多摩地区の風化砂岩で,ロサンゼルスのすりへり試験によるすりへり減量,吸水 量,形状ともに川砂利と著しく異なる.角は角ばっている,丸は丸みを帯びているという 意味である.無礫土分として用いた山砂は多摩地区の稲城近辺に産する山砂で,軟岩砂は 風化砂岩の砂質土分である.いずれも土質分類では砂質土{SF}となる.

 図一1に礫分(9.5〜19㎜)と山砂・軟岩砂の粒度分布曲線を示す.

3.実験方法

 実験は,モールド直径15cmのCRB用のモールドを用い,2.5kgfのランマーによる標準の 突固め試験(3層55回)とし,礫率を変えて実施した.2種の砂質土と2種の礫の組み合わせ は4通りとなるので,表一2の様にA・B・C・Dとして示した.

(1)乾燥状態のゆる詰め密度ρdLの測定

山砂・軟岩砂と礫を含水比w=0%の絶乾状態とし,礫率を変えて配合した礫まじり土を,

表一1使用材料の物理的性質

形     無礫土分 礫分 見かけ密度

ρ、(gicu9)

スリヘリ減量

  (%)

吸水量

(%)

山砂  軟岩礫

DMx 2.Omm

川砂利

2,709 17.4 0.99

丸  Uc

40.4

107

u: 5.4 8.4

軟岩礫

2,643 41.6 2.82 角   ρs

2,661 2,667

(3)

 100   90

Eli 80

  70

掴60自50

k  40

  30

 20

  10   0   0.001

粒径加積曲線 /×

| 1

o 山砂

×

× 軟岩砂

1 礫分・

1(95〜19)

× ミ

×

: ・

×

        ,×

       /×

   /×⇒く×

×一×

1 i

0.01 0.1 1.0 2.0

10 20 50

        粒径(mm)

図一1使用材料の粒径加積曲線

表一2試験結果一覧表

P︵%︶

分類

(9/er) ρdL ρdC

(9/αi)

ρdmax

(9/er)

tVOPt

(%)

A

B

1,238 1,690 1,771 14.6

0

C

D 1,332 1,762 1,840 13.5

A 1,385 1,820 1,890 12.0

20 B

1,390 1,816 1,871 12.6

C

1,476 1,888 1,945 11.0

D 1,450 1,863 1,920 11.0

A 1,575 1,978 2,025 9.4

40

B 1,565 1,930 1,970 10.5

C 1,620 2,023 2,080 8.2

D 1,585 1,965 2,000 10.2

A 1,720 2,100 2,135 7.0

60 B

1,671 2,015 2,031 8.7

C 1,724 2,132 2,160 6.4

D 1,650 2,012 2,035 9.3

A 1,660 2,010 2,033 6.2

80

BC 1,550

1,661

1,925 2,030

1,960 2,040

8.6 5.6

D 1,512 1,915 1,945 7.2

A

1,480 1,700

100 B

1,300

L645

C

1,480 1,700

D 1,300 1,645

A 山砂+川砂利 C:軟岩砂+川砂利 B 山砂十軟岩礫 D:軟岩砂十軟岩礫

(4)

108

落下高さを与えないように試料に接してハンドスコップでモールド(スペーサーディスク なし)に静かに注ぎこむ.表面の整形は圧力を与えないように注意する.この実験を数回

くり返し,その平均値をρdLとする.

(2) 乾燥状態の突固め密度ρd,の測定

 試料の調整はρdLの場合と同じくw=0%の条件で,3層55回の突固め試験を行う.この実 験を3回くり返しその平均値をρd,とする.砂質土分の多い配合の場合は,突固め時に試料が 飛散するが,口紙を載せてその上から突固めると飛散を防ぐことが出来る.

(3) 最大乾燥密度ρdM。x・最適含水比w。Ptの測定

 試料は気乾試料を用い,山砂・軟岩砂・礫ともに気乾含水比を測定し,それに基づいて 実質の配合割合に換算する.

 加水は段階的に行うが,礫分が多くなると水が滲出して,ρdM。xが求まらず,それ以上の 加水による突固めが困難な場合が生ずる.本実験では,その限界の条件を一応ρdM。x・w。Pt

とした.含水比の測定では,一部分だけでなく全試料を炉乾燥した.

4.突固め試験結果

 図一2〜図一5にA・B・C・Dの組み合わせについて,各礫率の突固め試験結果を示す.図 中のw=0%の記号は,各礫率のρd,である.

 表一2に得られたρdM。x・w。PtおよびρdL・ρdcを一括して一覧表として示す.いずれの組み 合せも礫率P=60%がρd、・ρd,・ρdmaxともに最大値となり, P=80%では曲線の頂点は現れ ず加水量に限界がある.この実験では,突固め試験において水が滲出し,これ以上加水で

2.2

・、1

 2.0

きi・9

ぷ1.8

1.7

1.6

1.5

  0      10     20        w(%)

図一2山砂+川砂利の突固め試験(A)

2.2

2.1

2.0

1.9

§1.8

ぷ1・7

1.6

1.5

  0      10     20        w(%)

図一3山砂+軟岩礫の突固め試験(B)

(5)

2.2

2.1

 2.O

c §

◎1,9

 1.8

1.7

1.6

  0      10     20        w(%)

図一4軟岩砂+川砂利の突固め試験(C)

2.2

2.1

2.0

ボ・1.9 §

 1.8

tS

1.7

1.6

  0      10      20        w(%)

図一5軟岩砂+軟岩礫の突固め試験(D)

きない状態で得られる最大の密度を一応ρdM。xとし,その時の含水比をw。Ptとした。ゼロ空 気間隙曲線(Z・A・V・C)を求めるためのρ、は,正確には礫率とともに変化する性質のも のであるが,ここでは,表一1の細粒土分と礫分のρ。の平均値を用い図中に示した。

5.礫率PとρdL,ρd。,ρdm。xの関係

 図一6〜図一9に礫率Pとゆる詰め密度ρdL,突固め密度ρd。,最大乾燥密度ρdm。xの関係と,図 中にWalker・Holtzの理論曲線を示す.この曲線の性質は,礫率P=0%のρdL,ρd。,ρdM。x から,礫率の増加とともに,次第にこれらの値が増加し,P=100%においては,礫の見かけ 密度ρ。に一致するとした曲線式である.しかしながら,実際には,礫率が増加すると礫相互 の間隙を満たす細粒土分が少なくなり,図の様な傾向を示すことになる.図一6〜図一9では,

いずれもPニ60%においてρdL,ρdC,ρdM。xともに最大値を示している.したがって, P=60%

付近が礫相互の間隙を満たすに十分な細粒土分の存在する配合といえる.これらの図を比 較すると礫が軟岩礫の場合,礫率が少なくとも理論曲線から離れる傾向が見られる(図一7,

図一9).このことについては,礫の粒形によって礫率の少ない場合でも理論式の適用できな いことを片山ほか6)も指摘している.

 いずれにしても実際の現場におけるこの理論式の適用限界については,慎重に対処する 必要がある.

(6)

 110

  1.3        △:ρ、,,ar     L3

      ×: Pde

    1・2       1・2      △:PaMrrt

   LI      IJ

    O      50      100      0      50      100       P(%)       P(%)

  図一6礫率PとρdL,ρdC,ρdM。xの関係(A)    図一7礫率PとρdL,ρd。,ρdM。xの関係(B)

  2.3       2.2

     軟岩砂+川砂利(9.5〜19mm)      軟岩砂+軟岩礫 (9.5〜19mm)

il     ::1諺グ

   1.5       L4      0 :PdL

      x:Pdc       △:ρdmav

    O      50     100       0      50     100       P(%)       P(%)

  図一8礫率PとρdL,ρdC,ρdM。xの関係(C)    図一9礫率PとρdL,ρdC,ρdM。xの関係(D)

6.ゆる詰め密度ρdLとρd。,ρdM。xの関係

 本研究の目的は,ゆる詰め密度ρdLを測定することにより,最大乾燥密度ρdM。xを推定する

(7)

2.2

2.1

C2.OE

蓑 】.9

ミ1.8

 1.7

1.6

 L2  L3  1.4  1.5  L6  1.7  1.8

     ρde(9/cm3)

 図一10ρdLとρdC・ρdM。xの関係(A)

2」

 2.O

c §

⑨i・9

ミ1・8

 1.7

1.6

   1.2  1.3  1.4  1.5  1.6  1.7

      ρde(9/cm3)

図一11ρdLとρdc・ρdM。xの関係(B)

2.2 

2.1

乍2 o 董1.9

ミ1・8

.c

ql.7

1.6

   1.3  1.4  15  1.6  1.7  1.8

      ρde(91cm3)

 図一12ρ砒とρdc・ρdM。xの関係(C)

  

2」

 2.0

s}1.9

§

Q. 1.8

.c

 l.7

1.6

   1.2  1.3  1.4  15  1.6  1.7

      ρac(9tcm3)

 図一13ρdLとρdC・ρdmaxの関係(D)

ことにある.

 そこで,表一2に示した試験結果よりρdLとρd。,ρdmaxの関係を図一10〜図一13に示す.すべて の組み合せA・B・C・Dについて,確率P=60%までは,ρdL〜ρd。とρdL〜ρdM。xの間に比例 関係が得られた.よって,P=60%までの単粒度の礫分を含む礫まじり土については,この 比例関係を求めれば,ρdLを測定することにより,ρdM。xの推定は可能と考えてよい.

 これらの図において,礫分が軟岩礫の場合,P=80%で,ρd。,ρdM。xが直線上を折り返し ているが(図一11,図一13),これは,粒形および破砕による影響と考えられる.

(8)

112

7.最大乾燥密度ρdM。xと最適含水比w。Ptの関係

 図一2〜図一5に示した締固め曲線からρdM。x・zv。Ptが求められるが,本実験で得られた締固 め曲線は,低含水比の部分で下に凸の曲線をなしている.このような現象は突固め試験に おいて,しばしば経験するところで,高田ほかエ3)も同様な結果を得ている.

 一般に,各種の土のρdM。x・1〃。Ptの点はゼロ空気間隙曲線(Z・A・V・C)に沿った指数 曲線的な傾向で分布する.酒井・佐藤14}は,このことからρc、M。xとIv。Ptの関係を約70個の資 料を用いて次式が成立するとした.

・/P…X−。.。mh+。.36

(1)

 その後,森15)は三角座標分類の判明している約380個の資料を集め土質分類とρdM。x・w。Pt の関係を検討した際,相関係数0.96をもってρdm。x(0.672〜2.070g/crn3), w。pt

(8.0〜99.8%)の間に次式を得た.

・/P…X−。.。1。rk+。.、。。

(2)

 これらの関係式は(1/ρdM。x)とω。Ptが比例関係になるので,本実験で得られた結果を図

14に示す.(但しP=80%の場合はρdM。x・w。Ptが求められないので除く).この図から見る と(2)式のほうが適用性がよい.従って,ρdM。xが推定されれば,その値から(2)式によ ってzv。Ptも推定可能であると考えられる.なお,各種の材料について(2)式の適用性の高 いことは100以上のフィルダムの築堤材料にっいて,調査実験した稲葉ほか16)や,箭内・風 7)による各種の粘性土を対象とした実験結果などに報告されている.

0.6

  5  o

x

vwp dlN

0.4

0       10     w。pt(%)

図一14ρdM。xとtV。Ptの関係

20

(9)

8.むすび

 含水比と締固めエネルギーの影響を受けないゆる詰め密度ρdLと,締固めエネルギーのみ の影響を受ける突固め密度ρd。の問に関連性のあることに着目し,先ず,その関連性を検討

した.次に,含水比の影響を考えた最大乾燥密度ρdM。x,最適含水比w。Ptを求め,ρdM。xとρdL の間に関連性のあることを明らかにした.さらに,ρdM。xとlv。Ptの間にほぼ(2)式の関係が 成立することを示した.

 これらの関係から,ρdLの測定により粗礫まじり土のρdM。x ・zv。Ptの推定が可能であること が考えられる.

 しかしながら,本研究では礫まじり土の締固め密度の推定方法を得るための基礎的実験 として,礫分を単粒度(9.5〜19mm)とし,不連続粒度について標準の突固め試験を行った 結果,P=60%まで比例関係が得られたもので,現場用土の密度推定のためには,礫粒径お

よび粒度分布の相異がρdL,ρd。,ρdM。xにどのような影響を及ぼすのか,今後検討する必要 がある.

参考文献

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