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新入学生の意識構造

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(1)

新入学生の意識構造

一昭和60年度茨:城大学入学生の場合一

(その2)

白  幡  悦  子

昭和60年度の茨城大学新入学生を対象に実施した意識調査の結果のうち,前 稿では,1)大学進学を決めた時期,2)大学進学の目的・理由,3)茨城大

学志望理由,4)学部選択の理由,5)高校時代の生活に関して,6)大学在       1)

w中にしたい事柄,7)本学「入学案内」への評価,にっいて報告した。本稿 では8)受験生としての生活と受験勉強の意義にっいて,9) (主として高校 時代における)両親,同胞,友人,教師との関係,および最も影響を受けた人 物,10)希望する職場および職業,11)くらし方・生き方に関して,12)大学 生活への期待感と不安感,13)大学,大学生,学問・研究,青年,社会・人生・

自分(私)についてのイメージ,などの結果を報告する。(なお,本稿での見 出しや図表の番号は前稿からの通し番号とした。)

皿 調査の結果一つづき一

7.受験生としての生活と受験勉強の意義について

実際に受験生としての生活を経験してきた回答者たちはどんなことを感じ ていただろうか。〈表:12>に示した結果から次のことが読みとれるであろ う。「受験勉強のために,他のやりたいことができず残念(R)」(35.1%)

ではあったが,「受験勉強は大学に入るための手段(E)」(28.5%)なのだ し,「友だちも皆やっていることなのでごく当り前(D)」(23・2%)と思い,

「いま受験で苦しくても,大学に入れば好きなことができるのだから,それま で他のことには目をつぶろう(M)」(32.3%)と自らにいいきかせ,「成績が 思わしくなかったので,受験勉強には苦労した(F)⊥(21.5%)ものの,「い まは浪人するのも珍しくないのだから,合格できなくても別にくよくよするこ

(2)

2

<表:12>受験生活で感じていた事柄

人 文 教 育 全体

278 413 142 350 112 863 432 1295 A 6.1 5.1 2.8 5.5 4.6 5.4 4.6 5.1 B 15.1 10.7 25.3 13.3 10.1 15.0 11.6 13.9

C 12.6 10.9 14.8 11.0 16.5 11.6 13.5 12.2

(426) (4.28) (4.19) (4.21) (4.50) (4.27) (4.28) (427)

D 21.6 25.5 19.7 25.4 16.5 21.9 25.8 23.2

(3.53) (3.54) (3.27) (3.52) (3.94) (3.47) (3.63) (3.53)

E 28.8 25.0 23.2 36.3 22.9 31.3 23.0 28.5

(3.82) (3.88) (3.18) (4.06) (3.96) (3.94) (3.67) (3.87)

F 23.4 21.4 19.7 19.0 27.5 23.1 18.3 21.5

(3.42) (3.42) (3.74) (3.58) (3.89) (3.58) (3.45) (3.54)

G 18.0 13.1 16.9 17.6 11.0 15.5 15.8 15.6 H 13.3 13.1 10.6 18.4 9.2 16.1 10.0 14.0

1 4.7 5.8 4.2 3.2 3.7 3.9 5.8 4.5

J 9.7 13.3 5.6 10.4 12.8 9.8 13.0 10.9

K 2.2 3.2 2.8 5.5 55● 4.1 3.0 3.7

L 7.6 7.8 5.6 4.6 9.2 7.1 6.0 6.8

M 29.5 40.5 25.4 30.8 22.0 26.4 44.0 32.3

(3.71) (3.70) (3.65) (3.49) (3.35) (3.42) (3.85) (3。62)

N 13.3 9.5 14.8 8.9 12.8 11.2 10.7 11.0 0 26.3 20.4 22.5 30.5 23.9 26.6 21.6 24.9

(3.57) (3.47) (3.55) (3.32) (3.36) (3.46) (3.41) (3.44)

P 12.6 11.4 12.7 6.6 9.1 8.5 13.9 10.3

Q 13.7 13.6 15.5 14.1 11.0 14.6 12.1 13.7 R 28.4 37.4 30.3 39.5 35.8 35.7 33.9 35.1

(3.73) (3.85) (3.77) (3.64) (3.61) (3.75) (3.71) (3.74)

S 10.1 7.0 13.4 7.5 12.8 9.3 8.4 9.0

T 34.5 44.4 36.6 41.2 33.0 35.5 48.0 39.6

(3.64) (3.78) (3.83) (3.50) (3,69) (3.69) (3.66) (3.68)

u 6.8 5.1 10.6 4.3 5.5 6.3 5」 5.9

無   答 0 1 0 3 3 6 1 7

平均回答数 3.4 3.3 3.5 3.2 3.4 3.5 3.4

注1)複数回答。2)数値は無答(実数)を除く回答者に対する百分比。

3)括弧内の数値は「選好度」を示す。(前稿,PP.10〜12参照)

(3)

白 幡:新入学生の意識構造       3 4)特に注記のない場合は以下の表も同様。

<選択肢> A)試験では,自分の能力をはっきり示すことができるのでやりがい があった。B)試験にはゲームのような面白さがあった。 C)高校の勉強を普通に やっただけで,特に受験のことを気にかけなかった。D)受験のことは常に気にな

っていたが,友達も皆やっていることなので,ごく当り前と思っていた。E)受験 準備は大学に入るための手段とわりきって適当にゃった。F)成績が思わしくなか

ったので,受験勉強には苦労した。G)成績は大体良かったが万一入試で失敗しは しないかと不安だった。H)受験勉強のため,友達とのつき合いも満足にできず残 念だった。1)受験のためには友達がみな競争相手みたいに思われてやりきれなか

った。J)友達の受験勉強のすすみ具合がいつも気になっていた。 K)友達の成績 が落ちると内心ほっとした。L)日夜受験のことが頭を去らず息がつまりそうだっ た。M)いま受験で苦しくても,大学に入れば好きなことができるのだから,それ まで他のことには目をつぶろうと思ってやってきた。N)両親・家族の期待が圧迫 感となって負担だった。0)いまは浪人するのも珍しくないので,合格できなくて

も別にくよくよすることはないと思っていた。P)受験勉強を通して,自分を鍛え てみようと思って取組んでいた。Q)受験勉強に意義を見出すことができずつらか った。R)受験勉強のために,他のやりたいことができず,残念だった。 S)受験勉 強のために自分がむしばまれていくようで,たまらなかった。T)受験生活も人生 のなかで通過しなければならない時期だからやむをえないと思った。U)その他。

とはない(0)」(24.9%)として,不安や焦燥感をなだめ,また後にうけるか もしれない衝撃や敗北感をも予め和らげようとしていたさまが浮ぴあがってく る。要するに,「受験生活も人生のなかで通過しなければならない時期なのだ からやむをえない(T)」(39.6%)と観念することによって,この期間の緊 張や不安,フラストレーションを緩和しようとするのが最も多くのものに共通 する適応の方式だったようである。「苦労しているのは自分だけではない」あ るいは「この時期が過ぎればいずれよいことが……」といった現実対処の仕方 には,どちらかといえば女子の方が長けているらしく,項目「D」「M」「T」

のいずれも女子の選択率が男子より高い。それに比べ男子の方が成績や不合格 への懸念がやや深刻だった(例えば項目「F」「0」)のようにみえる。50年 度調査の結果と比べてみると,選択比率の高かった項目は今回とほぼ一・致して おり,また男女の選択傾向も同様であった。すなわち,項目「T」40・0%(男

:36.6%,女:48.1%),「0」32.0%(男:35.8%,女:22.9%),「M」

31・9%(男:29・2%,女:38.3%),「R」31.9%(男:32.6%,女:30・1%),

(4)

4

<表:13> 受験勉強の意義について

人 文 教 育

278 413 142 350 112 863 432 1295

1 9.4 10.5 12.1 13.9 16.2 14.2 72 11.8

A 23 T6.519.6 T6.718.7 T0.419.9 24.0T1.4 T5.016.2 22.9T0.1 14.9U3.0 20.2T4.4

4 14.5 14.1 17.6 10.7 12.6 12.9 14.9 13.5 1 42.2 43.1 44.7 46.7 49.5 46.3 41.2 44.6

B 23 34.5Q0.0 37.2P8.0 27.7Q3.4 32.1P8.1 26.1Q0.7 30.7

P9.7 38.4 P8.6

33.3 4 3.3 1.7 4.3 3.2 3.6 3.4 1.9 P9.32.9 1 i4.1 11.7 10.6 17.2 17.1 16.1 10.0 14.1

C 23 17.4

S9.3 24.8 S6.7

23.4 S5.4

22.7 S6.0

18.0 S6.8

22.6 S4.8

20.5 Tユ.2

21.9 4 19.2 16.8 20.6 14.1 18.0 16.5 18.4 S6.917.1 1 ユ8.1 17.8 24.8 16.4 16.2 18.2 17.9 18.1

D 23 40.0R1.2 43.8R0.7 39.0Q7.0 39.1Q8.4 42.3Q9.7 37.8R1.4 47.6

Q6.3 41.0 41 10.9 7.8 9.2 16.1 11.7 12.7 8.2 Q9.71L2

ユ8.2 14.6 13.6 12.4 9.9 13.4 16.1 14.3

E 23 36.7Q9.5 39.0

R1.0 32.9 R2.9

38.0 R0.0

30.6 R6.9

34.6 R1.4

41.6 Rα6

36.9 R1.1 4 15.6 15.4 20.7 19.6 20.7 20.6 11.7 17.6

1 9.5 9.5 7.1 8.3 9.0 9.3 8.0 8.9

F 23 26.5 R9.6

26.4 R8.6

23.4 S2.6

23.3 R7.1

17.1 R6.0

23.2 R6.3

26.9 S3.3

24.5 4 24.4 25.4 27.0 31.3 37.8 31.2 21.8 R8.628.0

1 11.6 14.1 12.8 8.1 14.4 10.4 14.7 11.8

G 23 34.1R7.3 33.3R6.0 S1.ヱ25.5 S5.527.7 R8.723.4 S1.328.1 34.5

R6.4 30.2 4 17.0 16.5 20.6 18.7 23.4 20.2 14.5 R9.7ユ8.3

1 7.3 8.5 7.8 9.8 10.8 9.6 7.0 8.7

H 23 20.4S5.8 22.6S4.8 S5.417.7 S6.619.0 R4.218.0 S3.919.0 22.6S6.2 20.2

4 26.5 24.1 29.1 24.7 36.9 27.5 24.2 S4.626.4

1 10.2 17.5 12.8 8.1 9.0 10.0 16.3 12.1

1 23 27.3 3L9 25.5 22.2 21.6 23.9 32.2 26.7

39.3 35.5 37.6 48.4 35.1 4L5 37.1 40.0

4 23.3 15.1 24.1 21.3 34.2 24.5 14.5 21.2

1 io.9 7.1 5.7 8.4 7.2 8.3 7.7 8.1

J

23 23.9

S3.8 32.4 S2.8

25.5 S2.6

29.4 S3.5

21.6 S2.3

26.1 S3.3

31.9 S2.9

28.1 4 21.4 17.8 26.2 18.7 28.8 22.3 17.5 S3.220.7 1 21.7 20.9 17.0 19.8 19.8 19.0 22.8 20.3

K 23 29.7R2.6 32.8R3.8 27.0R7.6 R1.629.0 Q9.727.9 28.8R3.0 32.6R3.1 30.1R3.0

4 15.9 12.4 18.4 19.5 22.5 19.2 11.4 16.6

1 5.1 4.6 6.4 9.5 8.1 8.7 2」 6.5

L 23 R9.414.8 1L4

S1.4 15.6 S0.4 132

S5.1 15.3 S2.3

13.6 S1.7

13.0 S2.3

13.4 S1.9 4 4G.8 42.6 37.6 32.2 34.2 36.0 42.6 38.1

(5)

白 幡:新入学生の意識構造       5 注1)無答は,表では省略した。各項目の無答数以下の通り。(全体)A:10,B

:8,C:8, D:8, E:14, F:11, G:9, H:9, 1:10, J:9,

K:8,L:7,2)数値は各項目無答を除く回答者に対する百分比。

<項目> A)受験勉強では,得るものより,失なうものの方がはるかに大きい。

B)受験勉強は,結局のところ詰めこみ主義で,本当の勉強とはいえない。

C)受験勉強は入間関係をゆがめ,不当な競争意識をうえつける。

D)受験勉強といっても,新しいことをいろいろ学ぶ機会となった。

E)高校の勉強をとり戻す機会となった。F)自分の実力を正当に評価する機会と なった。G)同じ境遇にある他入に共感をいだくようになる機会となった。 H)人 生は戦い(競争)であることを知る機会となった。1)受験勉強は強い意志力をや

しなう機会となった。J)志望校に入るためにはやむを得ない生活だというように,

物事を割りきることを知った。K)努力しさえすれば,その結果はおのずと現われ るということを実感した。L)受験勉強の期間は全く無駄な期間だった。(全く何 らの意義も見出せない。)

<選択肢> 1:まったくその通りだと思う。2:だいたいその通りだと思う。

3:あまりそうは思わない。4:まったくそうは思わない。

「E」30.9%(男:32・0%,女:28.4%),「D」23.2%(男:21.9%,女:25・8

%),「F」20.3%(男:23.4%,女:13・0%)という結果であった。本学へ の入学者にあっては,受験期の心理学的な適応の方式ないしは心理的起伏とい

ったものは,10年の歳月を経てもほとんど変わらなかったといえよう。他に

〈表:12>をみて目にっくこととしては,「高校の勉強を普通にやっただけで,

特に受験のことを気にかけなかった(C)」としたものは,全体で12.2%にす ぎないが,その選好度はいずれの群においても他項目より高いことである。こ うした傾向は前稿で紹介した,高校時代にどのようなことに重点をおいて生活 していたかの設問で,「受験勉強に重点をおいていた」というものが必ずしも 多くなかった(全体で24.7%,男:25・1%,女:24・0%)結果と符合するもの とみてよいであろう。

では,受験勉強(受験生活)の意義というものを回答者たちは現在(回答時)

どのように感じているであろうか。この設問はく表:13>に掲げた12項目(陳 述文)に4件法で賛否(肯定・否定)を求めたものである。結果(〈表:13>)

によれば,全体で77.9%(男:77.0%,女:79.6%)の者が,「受験勉強は結 局のところ詰込主義で本当の勉強とはいえない(B)」という意見を肯定して

(6)

6

全くその通りだと思う

 全くそうは思わない一  項あまりそうは思わない

u  目 大体その通りだと思う

・.。。…。.・3㌔:;A・・%・

%・..B、も・.、・ ・ぐ… .・・

・。..。.….::・♂c、・.%・・

%。二。.・D…  ・。・ °・

q q o  o  o o  E .●       ρ

B 。 。 ・   .・° 。。° °。°。°

。。 。。・。・3・.… F%・3・.°°。

。・。。。・・.・G・・.・%・… 。

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・… .。.・… J ・%・・

・。。・。・。.K・亀.・.・.・・。

。.。・。.%・・.㌔.L・

80  70  60  50  4〜)  30  20   10     % 10   20   30   40   50   60   70

男子 [:■圏   E::圃女子

<図:1> 受験勉強(受験生活)の意義について(男女別)

<項目> A)受験勉強では,得るものより,失なうものの方がはるかに大きい。

B)受験勉強は,結局のところ詰込み主義で,本当の勉強とはいえない。C)受験 勉強は人間関係をゆがめ,不当な競争意識をうえつける。D)受験勉強といっても,

新しいことをいろいろ学ぶ機会となった。E)高校の勉強をとり戻す機会となった。

F)自分の実力を正当に評価する機会となった。G)同じ境遇にある他人に共感を いだくようになる機会となうた。H)人生は戦い(競争)であることを知る機会と なった。1)受験勉強は強い意志力をやしなう機会となった。J)志望校に入るた めにはやむを得ない生活だというように,物事を割りきることを知った。K)努力

しさえすれば,その結果はおのずと現われるということを実感した。L)受験勉強 の期間は全く無駄な期間だった。

(7)

白 幡:新入学生の意識構造      7 はいるが,だからといって「受験勉強は得るものより失なうものの方がはるか に大きい(A)」(肯定は全体で32.0%,男:37.」%,女:22・1%)とか「人 間関係を歪め,不当な競争意識をうえつける(C)」(肯定は全体で36.0%,

男:38.7%,女:30.5%)とまでは見ておらず,ましてや「受験勉強の期間は 全く無駄な期間だった(L)」としたものは19・9%(男:22・3%,女:15・1%)

にとどまった。(もっとも,かなりの時間を費したであろう受験期間を全面的 に無駄な期間だったと断ずるものが2割はいるということそれ自体は,決して 軽々に見逃せることではないであろうが。)こうした受験勉強のネガティブな 側面を強調した意見項目に対する肯定率は,いずれも男子が女子を上まわり,

一方,「受験勉強といっても新しいことをいろいろ学ぶ機会となった(D)」

(肯定:全体59.1%,男:56・0%,女:65・5%),「高校の勉強をとり戻す機 会となった(E)」(肯定:全体51・2%,男:48・0%,女:57・7%),「同じ 境遇にある他人に共感をいだくようになった(G)」(肯定:全体42・0%,男:

38.5%,女:49.2%),「強い意志力をやしなう機会となった(1)」(肯定

:全体38.8%,男:33.9%,女:4&5%),「自分の実力を正当に評価する機 会となった(F)」(肯定:33.4%,男:32・5%,女:34・9%)など,受験勉強 のポジティブな面を指摘した意見には女子の肯定率が男子を上まわっている。

(〈図:1>参照)もっとも「G」「1」「F」の3項目は意見内容はポジテ イブであるが,回答者の大半はこれに否定的である。しかし男女の対比という ことでいえば,女子の方が受験勉強(生活)に対し,相対的にポジティブな評 価をもっているということになろう。このことはく表:12>でみた結果,すな わち,女子にみられたやや楽天的な現実対処のありよう,あるいは受験生活へ のトレランスが男子よりは高いようにみえる結果と相通じているとも思われ る。学部別には大きな傾向の差はみられないが,農学部生が他学部生よりゃや ネガティブなうけとり方をしているようである。

50年度調査では,使用した項目(選択肢)は同じであったが,複数選択方式 をとったので,今回の結果とそのまま比較はできない。しかし,項目「B」の 選択率は女子の方が高いが(複数選択で全体:60.6%,男:59・7%,女:62.9

%),それ以外のいわゆるネガティブ項目の「A」「C」「L」はいずれも,

男子の選択率が女子のそれを上まわっており,(複数選択でも1位選択でも同 様),男女の傾向は今回と同様であったといえる。

(8)

        W

8・高校時代における両親・同胞・友人・教師との関係について

ここで,高校時代(中学校卒業後)における身近かな人々との関係を,回答 者たちがどのようなものとして捉えているかをみておこう。そうした人間関係 にっいては,もっと多面的に調べられるべきであるので,ここでとりあげるの

<表:14−1> 両親および同胞との関係

人 文 教 育 全 体

278 413 142 350 112 863 432 1295 A 4.7 8.3 92 97 &0 7.3 9.3 8.0

B 4α7 46.1 33.8 35.0 44.6 37.0 47.4 4α5 C 18.8 17.7 19.0 20.3 20.5 20.8 15.6 19.0

D &3 5.3 92 8.0 3.6 7.6 5.6 犠0

E 乳2 4.4 8.4 5.7 2.7 6.6 3.7 5.7

F 2.9 5.3 3.5 2.9 4.5 2.2 7.2 3.9

G 15.2 11.6 16.9 18.1 16.1 17.7 a8 15.1 H 2.2 1.2 0.0 0.3 0.0 α7 1.4 0.9

無 答 1 1 0 1 0 1 2 3

A 34.5 41.0 37.1 30.3 31.4 297 46.6 35.5

B 12.1 11.9 15.9 13.8 8.8 13.3 11.4 12.6

C 390 32.7 38.6 498 51.0 4&5 25.8 40.8

D 6.8 9.4 6.8 3.7 8.8 4.8 1ユ.1 7.0

E 7.6 5.1 1.5 2.4 1.0 3.7 5.1 4.2

関係

無 答 4 2 1 7 2 14 2 16

非該当 10 16 9 16 7 42 16 58

〈選択肢〉 両親との関係:A)これまで大体において親の意見に従ってきた。

B)たいてい親と話しあってやってきた。C)親は自分に対して,ほとんど指図し たり意見をいったりしなかった。D)親の干渉や指図をつとめて避けてきた。 E)

親とよく衝突してうまくいかなかった。F)困ったことや心配ごと,悩みなども大 体親にうちあけて相談してきた。G)必要なこと(最小限度のこと)以外は,親に はほとんど話さなかった。H)その他。

同胞との関係:A)きょうだい同士で学校での出来ごとや友人との交際のことなど,

よく話し合った。B)進路・将来のことなど相談したり,されたりしてきた。 C)

必要なこと以外はあまり話しはしなかった。D)人間の生き方や人生について,ま た悩み・心配ごとなど大体何でもうちあけたり相談したりしてきた。E)その他。

非該当)きょうだいのいないもの。

(9)

白 幡:新入学生の意識構造       9 は,ごく一面的ないし表面的なものにとどまる。

まず,両親との関係について,<表:14−1>の結果によると,「大体にお いて親の意見に従ってきた(A)」り,「たいてい親と話し合ってやってきた

(B)」,さらには「困ったことや心配ごと,悩みなども大体親にうちあけて 相談してきた(F)」と回答したものは男子で約47%,女子では約64%である。

これからすると,親との日常の対話や交流の面でほぼノーマルな,ないしはお だやかな親子関係を経てきたものが大半であったようだ。これに対し,「親の 干渉や指図をつとめて避け(D)」ようとしたり,「必要なこと以外は親にほ

とんど話さなかった(G)」として,むしろ意識的に親との間に心理的距離を おこうとしてきたとみられるものは男子で約25%,女子で約15%である。50年 度調査の結果との比較はく表:14−2>に示した。全般的な傾向においてはほ ぼ同様といえるが,「親の意見に大体従ってきた」り,「必要なこと以外はほ

とんど話さなかった」というものの比率が若干低くなった分,「大いては親と 話し合ってきた」というものが多くなっているように思われる。ただ,「親と 衝突してうまくいかなかった(E)」と答えたものが,低率とはいえほぼ倍に なっていることが注目される。

同胞との関係については,出生順位や年令差,双方の性別などの要因によっ て一概にはいえないが,男子の約半数,女子の%が「必要なこと以外あまり話 はしなかった(C)」と回答し,これは前回の結果とほぼ一致しているのが目 にっこう。親との対話は結構はかられていたのからすれば,やや意外な感がし ないでもない。これを別にすれば,女子の方がやはり,同胞との対話・相談・

接触が頻繁といえるが,それも進路や将来,人生問題や悩みごとなどの相談相 手というよりは,日常の,いわばとりとめのない事柄でのやりとりが主になっ ているようである。

次に,友人との関係を〈表:15>によってみると,全体で80%近くのもの

(男:75.0%,女:86.3%)が「ふつうの友達のほかに,少数の何でも話せる 友達がいた(C)」と答えている。(この「何でも話せる友人」の性別は7割 が同性,3割が同性・異性ともにと答えていたが,女子の方が異性の友人のし める割合が若干高かった。)これは前回の結果より一一段と高率であり(〈表:

14−2>参照),反面「友人はほとんどいなかった(A)」,「ふつうの友人 はいたが,何でも話し合える友達はいなかった(B)」,あるいは「ごく少数 の,何でも話し合える友達とばかりもっぱらっきあっていた(D)」との回答

(10)

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(11)

白 幡:新入学生の意識構造      11 注1)いずれの設問についても1答選択。ただし,50年度調査には一部に複数回答

あり。

2)各設問への回答で「その他」と「無答」は省略した。

3)50年度回答者で「きょうだい」のないもの(同胞との関係非該当)は男32,

女8,計40人

4)60年度調査での「友入との関係」の選択肢Eおよび「教師との関係」の選択 肢F・G。Hは50年度調査ではもうけていなかった。(<表:15>参照)

はいずれも前回の結果を下まわっている。今回は新たに「クラス・メートに理 解してもらえなかったり,冷たい仕打ちをされたりして,つらい思いを味わっ てきた(E)」との選択肢をもうけたが,これへの回答は男子のみ0.3%にす ぎなかった。これらのことから,今回の回答者たちは,前回にもまして,かた よりのない,良好な友人関係を経験してきたものが多かったといえるであろ う。しかし「友人がほとんどいなかった(A)」り,いたにしても「何でも話 しあえる友人はいなかった(B)」,また友人関係で「つらい思いを味わった

(E)」というものが全体で15.3%(男:18,4%,女:9・3%)あったので・こ こでこれらの回答者について検討してみよう。<表:16>は,前記「A・B・

E」回答者が,高校時代の生活で重点をおいていた事柄,高校時代にやってお けばよかったと思っている事柄,受験生活で感じていた事柄,大学在学中にし たいと思っている事柄,および受験勉強の意義についての設問で,友人関係に かかわる項目でどのような回答をしているか,また,それ以外のもの(友人関 係の設問で「C・D・F」と回答したもの)の回答状況との比較を試みたもの である。結果によれば「A・B・E」群は「C・D・F」群に比べて,高校生 活で重点をおいたこととして「真の友人をつくること」をあげたものははるか に少なく(とくに男子に顕著),それだけより切実に高校時代に「真の友人を っくることをしておけばよかった」と思い,また受験勉強が交友関係に及ぼす ネガティブな影響を強く感じている傾向がみられる。ところで,「A・B・E」

群の中で,大学在学中にしたい事柄として「何でも話し合える友人をうるこ と」をあげたものは,女子で極めて高率で70%,これを第1位に選んだものも 22.5%で,「C・D・F」群のそれをかなり上まわっている。一方男子にあっ ては,1位選択比率では「C・D・F」群より僅かに高いものの,むしろ「C

・D・F」群の選択を下まわっている。「A・B・E」群の男子には,大学在 学中に,「何でも話し合える友人」をと欲してはいるものの,ある種のためら

(12)

12

<表:15> 友人および教師との関係

人 文 教 育 全 体

278 413 142 350 112 863 432 1295

A 1.4 02 0.0 0.臼 α0 0.8 0.2 α6

B 12.6 10.4 16.9 19.7 15.2 17.3 91 14.5

C 78.7 85.0 76.8 71.7 80.4 75.0 86.3 78.7

D 6.1 4.1 5.6 7.1 3.6 6.1 42 5.5

E 0.0 0.2 0.0 0.3 0.9 0.3 0.0 02

F 1.1 0.0 0.7 0.3 0.0 0.5 0.2 0.4

無 答 1 1 0 0 0 0 2 2

A 13.4 15.8 21.1 8.7 8.1 13.3 13.3 13.3 B 18.1 20.9 19.7 24.6 27.0 24.2 16.6 21.7 C 23.8 28.0 26.8 24.0 25.2 23.2 30.5 25.6

D 9.0 90 τ7 13.9 11.7 11.9 7.5 1α4

E 13.4 6.6 8.5 8.7 9.9 8.7 98 91

F 13.7 10.9 &5 11.0 12.6 10.5 13.3 11.4

G 4.7 5.6 3.5 4.0 2.7 3.8 5.8 4.5

H 3.2 2.4 3.5 4.3 1.8 3.4 2.8 32

1 0.7 0.7 0.7 0.9

α9 0.9 0.5 0.8

無 答 1 2 0 4 1 5 3 8

〈選択肢〉友人との関係:A)友人はほとんどいなかった。B)ごくふつうの友人 はいたが何でも話し合える友達はいなかった。C)ふつうの友達のほかに,少数の 何でも話し合える友達がいた。D)少数の何でも話し合える友達とばかり,もっぱ らつきあっていた。E)クラス・メートに理解してもらえなかったり,冷い仕打ち をされたりして,つらい思いを味わってきた。F)その他。

教師との関係:A)先生と人間的交流があり,強い影響をうけた。B)先生と人間,

的交流はあったが噛あまり影響は受けなかった。C)必ずしも交流は深くはなかっ たが,自分の考え方や人格形成のうえで大きな影響をうけた先生がいた。D)先生 との人間的交流はほとんどなかった。E)高校の教科を教わったということ以外に,

先生から学んだことはほとんどなかった。F)先生とのふれ合いを,自分から積極 的に求めたことはなかった。G)先生は自分を(あるいは生徒を)理解しよう・受 けいれようと努めてくれていたと思う。H)先生から理解されている・受けいれら れているという実感はなかった。1)その他。

(13)

白 幡:新入学生の意識構造 13

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