学年では互いの話を聞き合い新たな発想を楽しむ等、 発達段 階に応じた指導内容と指導方法が考案されるべきであろう。 そのような検討の積み重ねにより、 小学校における議論する 力の育成に向けたカリキュラムが開発されると考える。
2 研究の目的
その手始めとして、 本稿では、 議論を展開する力の基礎と して「話をつなぐ」を設定し、 それが具体的にどのように行 われ、 ディスカッションが展開されているのかについて、 実 証的に検討することを目的とする。 「話をつなぐ」を議論を展開する力の基礎としたの は、 ディ スカッションを通じて考えを発展させるためには、 単に自分 の意見を述べればよいのではなく、 先行する発話に何らかの つながりをもたせながら発言する、 次の発話者につないでい く等のふるまいが不可欠であると考えたためである。 そして、 この「話をつなぐ」は、 2017年告示の学習指導要領にお いても低学年 の話し合いの指導事項として位置付けられてお り、 同解説には「話をつなぐ」の具体として「相手の発言を 聞いて、 質問する、 復唱して確かめる、 共感を示す、 感想を 言うことなど」が例示 され、「話がつながること の楽しさやよ さを実感できるようにすることが大切であり、 第3学年及び 第4学年以降での話合いの素地となる」と述べられている 。 しかし、 上学年で求められる議論を展開する力とのつなが り が明示されていないことから、 ややもすれば話し合いが好き な子を育てればいいといった短絡的な解釈を招きかねない。 このことからも、 実際 に「話をつなぐ」行為がどのように行 われ、 ディスカッションが展開されているのかを分析するこ とは、 意義のあることであるといえよう。 3
研 究方法
調査の方法 今回、 分析の対象としたのは、 成人(大学生及び現職教員) によるグループディスカッションである。 まずは、 熟達者で ある成人がどのように話をつない でいるかを調査することで、 「話をつなぐ」行為の全体像を捉えることができると考えた。 今後、 他の発達段階における調査を踏まえて、 小学校低学年 での指導の重点を導出し、 具体的な指導方法を開発していき たいと考える。 今回の調査は、 以下の2回に分けて行った。
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