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奈良教育大学新入生の遺伝および遺伝子についての知識調査

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全文

(1)

奈良教育大学新入生の遺伝および遺伝子についての 知識調査

著者 須田 紘太, 三村 忠之, 壷井 香代子, 黒木 浩子, 

鶴田 幸子

雑誌名 教育実践研究指導センター研究紀要

巻 2

ページ 77‑86

発行年 1993‑03‑31

その他のタイトル A Questionnaire Survey of the Knowledge of

Heredity and Gene on the Newly‑Enrolled

Students of Nara University of Education

URL http://hdl.handle.net/10105/4459

(2)

須田 紘太・三村 忠之・壷井香代子・黒木 浩子・鶴田 幸子

(生物学教室)

AQuestionnaireSurveyoftheKnowledgeofHeredityandGene OntheNewlyMEnrolledStudentsofNaraUniversltyOfEducation

KohtaSUDA,TadayukiMIMURA,KayokoTSUBOI,HirokoKUROKIandYukikoTSURUTA

(BiologicalLaboratory)

要旨:平成4年度の本学の新入生に対して、一般教育の生物学と自然科学史の最初の授業時間を利 用して、遺伝および遺伝子についての知識を調査するためのアンケートを実施した。

回答者の合計は193人で、入学者数(320人)の約60%に当たる。遺伝および遺伝子についての知 識量は生物学受講者群が自然科学史受講者群より勝っていたが、この原因は大学入学時までの自然 科学領域の学習状況(高校時の履修状況と大学入試センター試験時の受験科目)の異なりによると 考えられた。遺伝と遺伝子についての知識に関しては、両群に共通して、身近な問題についての表 面的知識の高さに比べ、科学的視点からの知識の低さが目立った。また、DANについての知識の 高さにくらベRNAについての知識の低さが注目に値した。

KeyWords:queStionnairesurvey,knowledgeofheredityandgene l.はじめに

1)

1970年代始めの遺伝子操作技術の開発とその後約20年間におけるこの技術の飛躍的な発展は生物 学、医学、農学、薬学、工学等の諸分野において遺伝子についての知識を伴う研究の発展と増大を

2)3)

促し、さらに、この知識を伴う産業の発展と増大を促進しつつある。

筆者らは、平成1年度から、本学の生物学の実験科目の中に遺伝子工学の基礎を理解するための

4)

実験の導入を計り、また、今年度から更に改良した実験系を導入しつつある(特定研究「自然およ び人間活動における循環過程に関する研究と教育へのその適用について」の報告書の中で報告予定)。

ここでは、大学の「一般教育」における遺伝子教育のあり方について考察するために実施した新 入生の遺伝および遺伝子についての知識調査の概要を報告する。

2.調査方法

調査内容は遺伝と遺伝子に関する知識に限定し、アンケート形式で回答者の「自己申告」の形を 取った。設問の内容は主に高校生物の知識に限定し、須田と本研究室所属の4回生(三村、壷井、

黒木、鶴田)の討議により、主に前記の4[司生の経験を反映するものにした。

(3)

調査時期は、大学入学後に得た知識を反映させないために、本年度最初の一般教育の生物学(2 クラス;須田および北川担当)と自然科学史(非常勤講師橋本担当)の授業時間を利用して同時に おこなった(平成4年4月17[]〔金〕1・2時限)。

使用したアンケート用紙を以下に示す。

遺伝とDNAに関するアンケート 1回生      課程      専攻 性別  男  女

次の科目のうち、あなたが高校で選択したものを全部○で囲んでください。ただし理科I選択の 場合、学習した分野もすべて○で囲んで下さい。

理科1(物理 化学 生物 地学) 物理  化学  生物  地学 今年度の大学入試センター試験で選択した理科の科目を全部○で囲んで下さい。

理科I  物理  化学  生物  地学 あなたは文系クラスでしたか、理系クラスでしたか。

文系   理系   その他

1.以下の設問について該当する答えを解答欄に記入して下さい。

YE S→Y NO→N

2.答えがYESである場合、その知識はいっ得たものか、次の項目のうち該当するものの記号を 解答欄に記入して下さい。

A:中学校卒業まで    B:高校入学から大学入学まで

3.また、その知識はどこで得たものか、次の項目のうち該当するものの記号を解答欄に記入して 下さい。

a小学校の授業  b中学校の授業  C高校の授業  d塾、予備校等の授業 e参考書、科学雑誌  f新聞、週刊誌、テレビ等  gその他

設問

〔例〕形質転換という言葉を知っていますか。

1)メンデルの遺伝法則をすべて説明できますか。

2)ヒトの染色体数を知っていますか。

3)体細胞分裂と減数分裂の違いを説明できますか。

4)一遺伝子一酵素説という言葉を知っていますか。

〔1.Y〕〔2.B〕〔3.C〕

〔1. 〕〔2.

〔1. 〕〔2.

〔1. 〕〔2.

〔1. 〕〔2.

〕〔3. 〕

〕〔3. 〕

〕〔3. 〕

〕〔3. 〕

(4)

5)遺伝子がどこに存在しているか知っていますか。

〔1.

6)遺伝子の本体がDNAであることを知っていますか。

〔1.

7)DNAの正式名称を答えられますか。

〔1.

8)DNAの構造はおよそどんなものか知っていますか。

〔1.

9)DNAを構成しているすべての塩基名を知っていますか。

〔1.

10)DNAの半保存的複製について説明できますか。

〔1.

11)RNAの構造はおよそどんなものか知っていますか。

し1.

12)RNAを構成しているすべての塩基名を知っていますか。

〔1.

13)mRNAの機能について説明できますか。

〔1.

14)t RNAの機能について説明できますか。

〔1.

15)a.コドン(3つの組暗号)という言葉を知っていますか。

〔1.

b.aでYESの場合、それがどんなものか説明できますか。

〔1.

〕〔2. 〕〔3. 〕

〕〔2. 〕〔3. 〕

〕〔2. 〕〔3. 〕

〕〔2. 〕〔3. 〕

〕〔2. 〕〔3. 〕

〕〔2. 〕〔3. 〕

〕〔2. 〕〔3. 〕

〕〔2. 〕〔3. 〕

〕〔2. 〕〔3. 〕

〕〔2. 〕〔3. 〕

〕〔2. 〕〔3. 〕

〕〔2. 〕〔3. 〕

16)a.セントラルドグマ(中心命題)という言葉を知っていますか。

〔1. 〕〔2. 〕〔3. 〕

b.aでYESの場合、それがどんなものか説明できますか。

〔1. 〕〔2. 〕〔3. 〕

17)a.遺伝病をいくつか挙げることができますか。

〔1. 〕〔2. 〕〔3. 〕

b.aでYESの場合、いくつ挙げることができますか。該当する番号を○でかこんで下さ い。       1.1つ  2.2つ  3.3つ以上 18)a.一般に突然変異を誘発すると思われる化学物質を挙げることができますか。

〔1. 〕〔2. 〕〔3. 〕

b.aでYESの場合、いくつ挙げることができますか。該当する番号を○でかこんで下さ い。       1.1つ  2.2つ  3.3つ以上 19)プラスミドとは何か知っていますか。

〔1. 〕〔2. 〕〔3. 〕

20)RNAを遺伝子としてもっているウィルスがあるのを知っていますか。

〔主 〕〔2.〕〔3.〕

(5)

21)a.AIDS(ェイズ)の病原体がウイルスであることを知っていますか。

〔1. 〕〔2. 〕〔3. 〕

b.aでYESの場合、それがRNAウイルスであることを知っていますか。

〔1. 〕〔2. 〕〔3. 〕

22)ポマトという植物が人工的につくられたことを知っていますか。

〔1. 〕〔2. 〕〔3. 〕

−ご協力ありがとうございました−

3.結果と考察 1)回答者と母集団

表1に回答者と母集団の内訳を示した。

入学者数320人に対して回答を得たの数は、193であり、60.3%にあたる。また、この値は生物学 および自然化学史の登録者数の合計の83.2%にあたり、抽出された集団は母集団に対してかなり高 い比率を示している。しかし、10の課程・専攻(小数、中家、中数、中理、中音、中体、物、化、

地、書)からは0または若干の割合でしか抽出されていない。特に、小理と生物を除く理科系の課 程・専攻からの抽出が少ないことに注意しておく必要がある。また、生物学受講者群と自然科学史 受講者群との問には課程・専攻によるかなりの偏りがみられる。

2)高校における理科系科目の履修状況と大学入試センター試験の受験科目等

表2〜5に回答者の高校における理科系科目の履修状況、大学入試センター試験の受験科目、高 校時代に所属したクラス(文科系、理科系の別)を示した。

理科I(表2A,2B)については、大半が3分野以上を履修しており、なかでも生物分野はほ とんどすべての者が履修している。

理科I以外の理科系科目(物理、化学、生物、地学)についての履修状況(表3A,3日)は今 日の高校教育と本学入学生についての大きな問題を明確に示している。高校で理科系4科目を履修 した者は極めてわずかであり、逆に1科目のみの履修者が60%を越えていることである。また、表 3Bにみられるように、履修教科は圧倒的に生物が多く、続いて化学、物理、地学の順となる。

上記の傾向は、大学入試センター試験の選択科目(表4A,4B)において更に顕著となる。す なわち、ほとんどすべての者が1科目の選択であり、その大半が生物を選択している。

表5に、高校時代に理科系、文科系クラスのいずれに所属していたかを示した。いうまでもなく ほとんどが文科系である。

上記した回答者の状況は、1)の回答者と母集団の項で述べたように、回答者の中に本学の理科 系学生が少ないことが若干反映していると思われる。

生物学受講者群と自然科学史受講者群の問には、わずかではあるが、明確な異なりが見られる。

すなわち、自然科学史受講者群は高校における理科系科目の履修教科数、大学入試センター試験に おける選択教科数が生物学受講者群に比べて若干多いこと、また、高校における生物の履修者数、

大学入試センター試験における生物の選択者数が若干少ないことがわかる。

(6)

表1 登録者数と回答者数

課 程 / 専 攻 入 学 者数

生   物   学 自然 科 学 史 合       計

登 録 者 数 回答 者 数 登 録 者 数 回答 者 数 登 録 者 数 回答 者 数

小 国 2 2 9 9 13 10 2 2 19

小 社 2 0 3 3 17 1 2 2 0 15

小 敵 2 0 0 0 0 0 0 0

小 理 1 6 9 9 2 0 1 1 9

中 音 8 1 1 7 4 8 5

小 美 8 6 6 2 2 8 8

中 家 5 2 2 3 0 5 2

小 体 1 0 7 6 1 1 8 7

教 1 3 0 0 1 1 8 11 8

心 1 3 3 3 9 9 1 2 12

中 国 9 6 5 2 1 8 6

中 社 1 0 5 5 5 5 10 10

中 数 1 2 0 0 0 0 0 0

中 理 9 3 3 0 0 3 3

中 音 6 1 1 2 0 3 1

中 美 7 5 5 2 2 7 7

中 体 1 0 4 3 3 1 7 4

技 6 0 0 6 5 6 5

中 家 6 5 5 1 1 6 6

英 9 5 5 2 0 7 5

幼 3 4 2 5 2 5 9 5 3 4 30

養 2 1 1 2 1 2 8 7 2 0 19

物 10 0 0 5 2 5 2

化 10 0 0 0 0 0 0

生 5 4 4 0 0 4 4

地 6 0 0 1 1 0 1

量 目 15 5 5 1 0 6 5

合 計 3 2 0 1 2 0 1 1 7 1 1 2 7 6 2 3 2 1 9 3

% 1 Ⅰ 3 7 . 5 3 6 . 6 3 5 2 3 . 8 7 2 . 5 6 0 . 3

% 2 ‥ 9 7 . 5 6 7 . 9 8 3 . 2

入学者に対する登録者数および回答者数のパーセントを示す。

Ⅰ登録者数に対する回答者数のパーセントを示す。

網かけは生物学、自然科学史においては、入学者数に対する1/3以上の回答率を示し、合計におい

ては、1/2以上の回答率を示す。

(7)

表2A 理科I履修者数

生  物  学 自 然 科 学 史 合    計

履 修 者 数 ノヾ− セ ン ト 履 修 者 数 ノヾ− セ ン ト 履 修 者 数 パ ー セ ン ト

4 分 野 3 9 4 1 .1 2 8 4 8 . 3 6 7 4 3 . 8

3 分 野 3 4 3 5 . 8 1 6 2 7 . 6 5 0 3 2 . 7

2 分 野 1 7 17 . 9 1 2 2 0 . 7 2 9 19

1 分 野 5 5 . 3 2 3 . 4 7 4 . 6

小  計 9 5 10 0 .1 5 8 1 0 0 1 5 3 10 0 .1

無 回 答 2 2 1 8 4 0

合  計 1 1 7 7 6 1 9 3

表2B 理科I分野別履修者数

生   物   学 自然 科 学 史 合       計

履 修 者 数 パ ーセ ン ト 履 修 者 数 ノヾ− セ ン ト 履修 者 数 パ ー セ ン ト

物   理 79 83 . 2 47 8 1 126 82. 4

化   学 82 86 . 3 51 87 . 9 133 86. 9

生   物 93 97 . 9 56 96 . 6 149 97. 4

地   学 49

衰3A 物化生地履修者数

生  物  学 自 然 科 学 史 合    計

履 修 者 数 ノヾ− セ ン ト 履 修 者 数 ノヾ− セ ン ト 履 修 者 数 ノヾ− セ ン ト

4 教 科 3 2 .6 3 4 .1 6 3 .2

3 教 科 8 6 .9 4 5 . 4 1 2 6 . 3

2 教 科 3 0 2 5 .9 2 3 3 1 .1 5 3 27 . 9

1 教 科 7 5 6 4 . 7 4 4 5 9 .5 11 9 6 2 .6

小  計 1 1 6 1 0 0 . 1 7 4 1 0 0 .1 19 0 1 0 0

無 回 答 1 2 3

合  計 1 1 7 7 6 19 3

表3B 物化生地教科別履修者数

生  物  学 自 然 科 学 史 合    計

履 修 者 数 ノヾ− セ ン ト 履 修 者 数 ノヾ− セ ン ト 履 修 者 数 ノヾ− セ ン ト

物  理 14 1 2 .1 17 2 3 3 1 16 . 3

化  学 4 6 3 9 .7 3 4 4 5 . 9 8 0 4 2 .1

生  物 10 4 8 9 .7 5 2 7 0 . 3 1 5 6 8 2 .1

地  学 7 6 11 14 . 9 1 8 9 . 5

(8)

表4A 大学入試センター試験選択科目数

生   物   学 自然 科 学 史 合       計

履 修 者数 ノヾ− セ ン ト 履 修 者数 パ ー セ ン ト 履 修 者 数 パ ー セ ン ト

2 科 目 2 1 . 8 4 5. 9 6 3 . 4

1 科 目 10 7 98 . 2 64 94 . 1 17 1 96 . 6

小   計 109 100 68 100 177 100

無 回 答 8 8 16

合   計 117 76 193

表48 大学入試センター試験選択科目

生  物  学 自 然 科 学 史 合    計

履 修 者 数 パ ー セ ン ト 履 修 者 数 ノヾ− セ ン ト 履 修 者 数 ノヾ− セ ン ト

理 科 I 0 0 0 0 0 0

物  理 0 0 5 7 . 4 5 2 . 8

化  学 1 2 1 1 1 7 2 5 2 9 16 . 4

生  物 9 6 8 8 .1 4 1 6 0 . 3 13 7 7 7 . 4

地  学 3 2 . 8 9 1 3 . 2 12 6 . 8

表5 文科系理科系の別

生  物  学 自 然 科 学 史 合    計

履 修 者 数 ノヾ− セ ン ト 履 修 者 数 パ ー セ ン ト 履 修 者 数 ノヾ− セ ン ト

文 科 系 1 0 0 8 5 . 5 6 5 8 5 . 5 16 5 8 5 .5

理 科 系 1 5 12 . 8 8 1 0 . 5 2 3 1 1 . 9

そ の 他 2 1 . 7 3 3 . 9 5 2 . 6

合  計 1 1 7 1 0 0 7 6 9 9 . 9 19 3 10 0

3)遺伝および遺伝子についての知識の概要

表6に各設問に対するYESの回答とその割合を示した。

この表においては、各設問に対してYESの回答が80%以上のものを網かけしてあるが、生物学 受講者群と自然科学史受講者群の間に明確な差異がみられる。80%以上のYESの回答の設問数は 前者においては8であるのに対して、後者は5である。また、22の設問に対してYES回答率で自 然科学史受講者群が生物受講者群を上回るのは5に過ぎない。この現象は、2)の項で述べたよう に、高校における理科系科目の履修状況と大学入試センター試験の選択科目の違いの反映と考えら れる。

以下の各設問についてのYESの回答率に関する若干の分析結果を述べる。

生物学受講者群と自然科学史受講者群の合計において、80%以上のYESの回答を得た設問は2)

ヒトの染色体数、5)遺伝子の存在場所、6)DNAは遺伝子であること、8)DNAのおよその

構造、17)a遺伝病の名、21)aェイズの病原体がウイルスであること、22)ポマトという植物が

人工的につくられたこと、の7つである。このうち5)、6)、8)はいずれも遺伝子についての絶

(9)

表6 設問へのYESの回答

設   問

生   物   学 自然 科 学 史 合       計

人     数 回 答 者数 人     数 回 答 者数 人     数 回答 者 数

1 6 2 5 3 29 3 8 . 2 9 1 4 7 . 2

2 10 0 8 5 . 5 6 2 8 1 . 6 16 2 8 3 . 9

3 9 3 7 9 . 5 5 3 69 . 7 14 6 75 . 6

4 9 9 84 . 6 5 0 65 . 8 1 4 9 77 . 2

5 1 0 2 8 7 . 2 6 5 8 5 . 5 1 6 7 8 6 . 5

6 1 1 1 9 1 、 9 7 2 9 4 . 7 18 3 9 4 . 8

7 7 6 6 5 5 7 7 5 1 3 3 6 8 . 9

8 9 8 8 3 . 8 5 8 76 . 3 1 5 6 8 0 . 8

9 9 8 8 3 . 8 4 6 6 0 . 5 1 4 4 7 4 . 6

10 8 9 7 6 . 1 44 5 7 . 9 1 3 3 6 8 . 9

11 74 6 3 . 2 4 4 5 7 . 9 1 18 6 1 . 1

1 2 92 7 8 . 6 4 4  l  5 7 . 9

1 36 7 0 . 5

13 93 7 9 . 5 50 6 5 . 8 1 4 3 7 4 . 1

14 8 7 7 4 . 4 4 8 6 3 . 2 1 35 6 9 . 9

15 a 8 8 7 5 . 2 4 5 5 9 . 2 13 3 6 8 . 9

1 5 b 6 2 7 0 . 5 . 3 4 7 5 . 6 ヰ 9 6 7 2 . 2 ヰ

1 6 a 2 1 . 7 4 5 . 3 6 3 . 1

1 6 b 0 0 ホ 2 5 0 2 3 3 . 3 Ⅰ

1 7 a 9 1 7 7 . 8 6 4 鋸 , 2 15 5 8 0 . 3

1 7 b − 1 2 4 2 6 . 4 15 2 3 . 4 ホ 3 9 2 5 . 2 Ⅰ

1 7 b − 2 3 4 3 7 . 4 ホ 2 4 3 7 . 5 Ⅰ 5 8 3 7 . 4 Ⅰ

1 7 b − 3 3 0 3 3 . 2 4 3 7 . 5 5 4 3 4 . 8 .

1 7 b 無 回 答 3 3 . 3 . 1 1 . 6 . 4 2 . 6 .

18 a 3 8 3 2 . 5 2 5 3 2 . 9 6 3 3 2 . 6

18 b − 1 2 3 6 0 . 5 ホ 1 1 4 4 Ⅰ 34 54 .

1 8 b − 2 1 0 2 6 . 3 4 1 6 . 1 4 2 2 . 2 ヰ

18 b − 3 5 13 . 2 8 3 2 1 3 2 0 . 6 オ

18 b 無 回 答 0 0 2 8 2 3 . 2 Ⅰ

19 4 3 . 4 4 5 , 3 8 4 . 1

2 0 2 1 17 . 9 12 1 5 . 8 3 3 1 7 . 1

2 1 a 1 09 9 3 . 2 7 1 9 3 . 4 18 0            9 3 . 3

2 1 b 7              6 5 7 12 6 , 7 .

2 2 1 0 0 8 5 . 5 56 7 3 . 7 15 6 8 0 . 8

ヰ各設問のaにYESの回答を与えた人数に対するパーセントを示す

網かけは各設問に対する80%以上のYESの回答を示す

(10)

対的に必要な初歩的知識である。一方、2)、17)、21)、22)は遺伝子についての学問的視点から は、特に必要な基礎知識とはみなすことはできない。これらの設問に対するYESの回答率の高さ は新入生の「身近主義」の反映であろう(「身近主義」そのものが悪いというわけではないが)。な ぜならば、設問2)、17)はいずれもヒトについての設問であり、21)、22)はマスメディアが好ん で流す人間社会に関係した情報による知識を問うた設問であるからである。設問21)に典型的にみ られるように、エイズの病原体がウイルスであることは、ほとんどすべての者が知っているのに反 して、一歩進めて、そのウイルスがRNAウイルスであることを知っている者は、そのうちわずか に6.7%に過ぎず(設問21)b)、RNAを遺伝子とするウイルスが存在することを知っている者も 17.1%に過ぎない(設問20))。また、生物工学によりつくられたポマトという植物は知っていても、

遺伝子工学にとって必要不可欠なプラスミドを知っている者はわずかに4.1%である。エイズやポ マトについての知識はほとんどマスメディアをとおして得た知識であるが、マスメディアの流す情 報を表面的には知っていても、それは極めて表層の部分だけであり、わずかにでも水面下をのぞこ うとする学問志向の視点を欠く「表面主義的身近主義」が感じられる(マスメディアは不十分では あるが、このような若干とも水面下に踏み込んだ情報を流しているのにかかわらずである)。

設問1)メンデルの遺伝法則の説明、16)セントラルドグマ(中心命題)という語、18)突然変 異を誘発する化学物質、もYESの回答率が低かった設問である。設問1)については法則の「説 明」という記述が低いYESの回答率をもたらした原因と考えられる。法則を「知っているか」と いう設問であればかなり高いYESの回答率を得たであろう。このことは設問15)の結果から容易 に想像できる。つまりコドンという語は知っていても(全体の68.9%)、それを説明できる者はそ のうちの72.2%に減少するからである。(したがって全体の49.7%)、しかし、設問3)体細胞分裂 と減数分裂の違い、10)DNAの半保存的複製、13)mRNAの機能、14)t RNAの機能の「説 明」では、特に低いとはいえないYESの回答率が得られているので、メンデルの法則の理解度の 低さがYESの回答率の低さに反映したのかも知れない。いずれにしても、単なる用語の暗記より も内容の理解とそれを説明することが難しく感じられるのは一般的なことであろうし、この調査も それが現われているとみてよいであろう。設問16)のセントラルドグマの語は高校の教科書にはほ とんど記載されていない語であるのでYESの回答率の低さはやむを得ないであろう。しかし、設 問18)の突然変異の誘発物質は高校の教科書にも記載されているし、身近な環境問題という視点か らも重要な知識と考えられるのだが、32.6%という低いYESの回答率であった。このこともまた

「表面主義的身近主義」の現われかもしれない。

その他の注Ejすべき点は設問7)DNAの正式名称、11)RNAのおよその構造、に対するYE Sの回答率の意外な低さである。DNAの正式名称を知っていることが必ずしも重要とは思えない が、高校レベルにおいて遺伝子を化学物質として位置づけ、化学の知識に基づく生命観を与えるた めにはやはり重要な知識であろう。設問11)は設問8)のDNAをRNAに置き換えただけである にもかかわらず、DNAにおけるかなり高いYESの回答率に比べRNAでは著しく減少したYE Sの回答率を与えた(全体で8)80.8%に対して11)61.1%)。本来同時に理解されなければなら ない類似した物質であるDNAとRNAにおけるこの差異は何を示しているのだろうか。「生命現 象の科学的理解」という視点からは理解しにくい現象である。受験という視点から、DNAがRN

Aより出題頻度が高いという理由に基づいているのかも知れない。

筆者らは現在個々の新入生についての分析をおこなっているが、ここにおいては紙面の都合上、

生物学受講生群、自然科学史受講生群および両者を合わせた群についての報告に止めた。個々の新

(11)

人生についての分析結果と大学の「一般教育」における遺伝子教育のあり方についての考察は、機 会があれば後日報告したい。

謝辞:この調査の実施に際して貴重な授業時間を割いて下さった自然科学史担当の橋本敬造先生お よび生物学担当の北川尚史先生に感謝します。また、アンケートに回答してくれた新入生諸君およ びデータ解析のために使用した表計算ソフトMicrosoftExcelの購入の援助をしてくれた本学教育 実践研究指導センターに感謝します。

引用文献

1)Cohen,S.N.:Themanipulationofgenes.ScientificAmerican 233,24T33(1975)

2)微生物新機能開発の将来展望。科学技術庁資源調査会(1992)

3)バイオテクノロジー・その現状と成果保護のあり方。通商産業省産業政策局知的財産政策室

(1992)

4)須田紘太、芝本繁明:教育学部の学生実験への遺伝子操作技術の導入についての研究。奈良教

育大学教育研究所紀要 27,35−43(1991)

参照

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