市 場 の 広 さ と 分 業
二
村
重
博
蠢 はじめに
蠡 Young と Adam Smith の定理 蠱 市場と労働生産性の関係 蠶 Kaldor と Verdoorn の法則 蠹 おわりに
Ⅰ
はじめに
経済の発展はどのようにして達成されるかという問題は古くて新しい問題である。経 済発展のプロセスは生産性を高め,市場を拡大させ,生活水準を高めてきた。経済成長 理論でもよく知られているように,経済の最大可能な成長率は技術進歩率と労働の成長 率の和であり,この技術進歩率は通常労働生産性の増加率として定義される。 それでは,この労働生産性はどのようにして上昇していくのかということが問題にな る。この問題に対し,Adam Smi 1 thは 1776 年に,分業は市場の広さによって制限される, という形で明確なヴィジョンを提起した。この視点は,後の1928 年に Allyn You 2 ng に よってAdam Smith の定理として取り上げられ,さらに Young の考え方は,1966 年に Nicholas Kald 3 or によって Verdoorn の法則として引き継がれた。他方,収穫逓増の議論 は,Marshall の議論を経て 1930 年に論争をよんだが,その後,1980 年代まで,あまり 取り上げられてこなかった。この間の事情を,James M. Buchanan はつぎのように述べ ている。「1930 年の Economic Journal のシンポジュウムで,Dennis H. Robertson と Piero Sraffa と G. F. Shove の間でなされた論争が示唆していることは,Adam Smith や Alfred Marshall や Allyn Young の業績に直接結びつく一般化された収穫逓増(gen-eralized increasing returns)という知的好奇心をかきたてられる分析がそこで終わっ たということでは決してない,ということである。その時は,大恐慌が始まったた めに,John Maynard Keynes の強い影響の下で,経済学者の関心はまったく異なっ ────────────
1 Smith[9]. 2 Young[14]. 3 Kaldor[5]. 140(660 )
た問題設定へと移行したのであ 4 る。」 現在,この収穫逓増の問題は,新しい問題として取り上げられ研究領域も拡大してい るが,その多くは,供給側から分析されたものであると思われる。ここでは,新しく復 活した収穫逓増の問題を取り上げるのではなく,早くから問題提起を行ってきた Smith, Young, Kaldor の線でこの問題を整理しその基本的な考え方を考察してみること が課題である。
次節では,Adam Smith の考え方に基礎をおく Young の論点を整理する。第蠱節で は,Smith, Young の考え方を定式化し収穫逓増の意味を考えてみる。第蠶節ではこれ との関係でKaldor によって導入された Verdoorn の法則の意味について見てみる。最後 にいくつかの論点を整理する。
Ⅱ
Young と Adam Smith の定理
まず,この問題の提示者であるAdam Smith の考え方から出発しよう。Spyros Vassi-lakis は,収穫逓増との関係で Adam Smith の考え方を以下のように整理している。
「Adam Smith は以下のような命題(propositions)を述べている。 (1)分業は市場の広さ(extent)によって制限される(Book 1, ch.3)。 (2)市場の広さは,人口の規模と密度,利用できる天然資源や蓄積された資本量,そ して輸送の容易さに明確に関係している(Book 1, ch.3 ; Book 2, pp. 259−61)。 (3)小さな経済はその資源の大部分を農業に当てるが,大きな経済は資源を工業に特 化させる。その理由は,工業はより大きな分業を可能にするからである。まった く同じ理由で,市場規模が増加すれば第一次産品に比して工業製品価格を下落さ せる。その結果,工業の利潤率は下落する(Book蠢, ch. 衙, pp. 242−7 ; Book 蠱,ch. 蠢)。 (4)交易は市場規模を増加させ(国,地域,個人の)交易者を特化させて,増大した 分業の利益を獲得させる。それ故に,交易は関係するすべてのものに利益を得さ せ,すべての階級の実質所得を増加させるので,政府によって制限されてはいけ ない(Book蠶, ch. 蠡 ; Book蠢, ch. 蠡)。 (5)経済活動は,輸送が最少の費用でできるところに位置されるので,分業と交易の 潜在的な可能性の最も大きいところとなる(Book蠢, pp. 18−21)。 (6)分業は市場の安定性によって制限される(これは Smith によって明示的に述べ ──────────── 4 Buchanan[1]p. 7. 市場の広さと分業(二村) (661 )141
られてはいないが,多くの文脈がSmith がこのことに気付いていたことを示し ている:(Book蠢, p. 21 ; Book蠶, p. 430)。 注意すべきは,(1),(2),(6)は,一般的な命題であり,(3),(4),(5)はその 応用である。 命題(1)は,・・・多くの重要な補助命題を生み出してきた。Smith は,分業 がどのように市場の広さによって(制限されるのではなく)決められるのかを証明 していないという事実に注意を向けないで,(1)を使って(3),(4),(5)を導い 5 た。」 以下では,これらすべての命題について言及するのでなく,命題(1)に注目したYoung の考え方を見ておこう。 Young は経済発展を見るとき,Marshall の外部経済と内部経済の分析は不十分である として,古典派の農業は収穫逓減であり,製造業は収穫逓増であるという分析にさかの ぼる。そのとき「進歩(improvements)」が説明されるとすると,進歩は収穫逓増の教 義と関係しているもので,これはAdam Smith の「分業は市場の広さに依存している」 という有名な定理(theorem)に他ならないとし,「この定理は,最も啓蒙的な実りある 一般化されたもののひとつで,経済学のすべての文献のどこにでも見出しうるようなも 6 の」だという。 1 分業について ここでの分業は,「Adam Smith が主として考えていた仕事の分割や特化された技巧の 改善よりもその範囲はもっと広 7 い」概念である。分業によって,「一群の複雑なプロセ スは形を変えてより単純なプロセスに引き継がれ,そのうちのあるものは,少なくとも 機械の使用に役立つ」もので,「機械の使用や間接プロセスの採用でいっそうの分業を 可能にするが,そこから生まれる経済性もまた市場の広さによって制限され 8 る」。ここ での分業は迂回生産方法と関係させたもので,収穫逓増を示している主要な経済性は迂 回生産方法の経済性であり,それは,「最も重要な現代の形態で 9 の」分業の経済性とほ とんど同じものであり,この経済性は,大企業の大規模生産や個別企業や個別産業を見 すぎると見逃してしまうようなものである,という。 そして,産業間の分業に言及し,収穫逓増は「産業活動の組織変化に反映され 10 る」も ────────────
5 Vassilakis[11]p. 761.『国富論』の引用ページは訳書ではなく Ed. E. Cannan, London : Methuen, 1961 のもので原文をそのまま用いた。なお,extent を「広さ」とした訳は,大内・松川訳[9]による。 6,7 Young[14]p. 529. 8 Ibid., p. 530. 9 Ibid., p. 531. 10 Ibid., p. 537. 同志社商学 第56巻 第5・6号(2005年3月) 142(662 )
ので,生産の増大に伴う中間生産物の多様化や特定の製品や製品のグループを製造する 産業の多様化の進展も挙げている。印刷の例を挙げ,初期の印刷業者から引き継いでい る者は,今日の印刷業者だけでなく,木材パルプや各種の紙やインクや活字や・・・の 生産者たちと印刷やそれを補助する産業に使用する道具や機械の製造業者たちも入る。 これに,印刷業に補助的に関わる産業や,印刷業に供給している産業に供給している他 の産業まで遡れば,このリストはさらに増えるという例を挙げながら,産業の大部分 で,「特化された事業の入り組んだ結びつきが増えてきて,これが原料生産者と最終生 産物の消費者の間に挿入されてきてい 11 る」という。そして,「産業の最終生産物市場の 成長によって生み出された新しい状況への適応の範囲で,産業間の分業は収穫逓増を伝 達する手段である。それは,生産技術の変化から独立したそれ自身の利益を得るから, 資本主義的生産方法の利益を十分に確保することに付随して起こる形態変化以上のもの であ 12 る」として,経営のより高度な特化や立地条件の変化等に特化した産業の例も挙げ ながら,「しかし,産業間の分業によって得られる最大の利益は,資本主義的生産方法 ないし迂回生産方法の経済性のより完全な実現であ 13 る」という。個々の企業規模は限ら れていて,個々の企業が迂回生産方法を用いても限界があるが,「その利益が全産業の 産出量に渡って拡散されるとき,ある種の迂回生産方法は可能となり経済的とな 14 る」。 このとき,この潜在的な経済性は分離されて新産業を構成することになる。新産業の企 業の操業規模もまた,産業の最終生産物の市場規模や企業が従属している産業の市場規 模を反映しているに過ぎない,という。
このように,Young の分業の定義は,個別企業を問題として例示された Adam Smith のピン工場の有名な例より広い概念であり,あたかもピン工場が全体の産業と考えられ ているものである。また,分業の利益は,迂回生産方法の経済性として捉えられ,これ が収穫逓増をもたらしていると考えられている。さらに,この迂回生産方法の利益は産 業間の分業の利益からももたらされ,産業組織の変化や製品の多様化や新産業の生成ま で含むダイナミックな概念である。つまり,「収穫逓増のメカニズムは,個別企業や特 定の産業の規模の変化の影響を観察することでは十分に識別できない。産業の分業と特 化が進んでいることが,収穫逓増が実現されているプロセスの本質的な部分であるから である。必要なことは,産業のオペレーションは相互に関係した全体(an interrelated whole)としてみられ 15 る」ということになる。 2 市場の広さについて 以上のような分業と関係している市場の概念についてみてみる。Young は一本の釘 ──────────── 11,12 Ibid., p. 538. 13,14,15 Ibid., p. 539. 市場の広さと分業(二村) (663 )143
を打つのに金槌を作るのは不経済である。金槌を作る工場を作るのは,どれだけ釘が打 たれるかに依存している,という例を挙げている。迂回生産の経済性は市場の広さに依 存しているのであり,合理的な再編成と関係させた大規模生産やマスプロダクションの 経済性ではない。例えば,代表的なアメリカの産業の生産性がイギリスのそれより高い というとき,いろいろな理由付けがあるが,関税障壁によって妨げられないアメリカの 国内市場の大きさが,アメリカの工業製品の量と産業組織の規模に関係しているという のは意味がある,という。「一国の経済的賦与量を与えられたものとすれば,産業の有 効性を決定する最も重要なただ一つの要因は,市場の規模であるように思え 16 る」とし, その市場は財の産出量を吸収する能力である購買力からなり,この購買力は生産能力に 依存するから,「市場を特定の産業の製品の販路としてではなく,したがってその特定 の産業には(市場は)外部的になるが,財一般の販路として考えるならば,市場の規模 は生産量によって決定され,定義され 17 る」という。これは,生産活動を集計した包括的 な意味での市場の概念である。 3 市場の広さと分業の関係について 市場をこのように定義すると,「Adam Smith の見解は,分業は大部分が分業に依存し ているという定理にな 18 り」,これは変化を引き起こし,産業組織の変化が産業活動の条 件を変え,産業構造の反応を導く。「このようにして,変化は進歩的になり,累積的な 方法でそれ自体を増大させ 19 る」ということになる。そして,「人口が一定で,純粋科学 や応用科学に新しい発見がないときでも,拡張のプロセスは,需要が弾力的でなくなり 収穫が逓増しなくなるという制限を除けば,制限なく続 20 く」,つまり,「分業は市場の広 さに依存しているが,市場の広さはまた分業に依存している。この状況で経済進歩の可 能性があり,この進歩は,・・・新しい知識の結果として起こる進歩とは別のものであ 21 る」ということになる。 なお,Young は,この進歩に対して障害となるものに,人間の変化に対する抵抗, 資本蓄積のために時間を要すること,生産物の需要のあるものは非弾力的であること, 供給の非弾力性,初期費用が大きすぎて見込みが立つまでは着手されない等の要因を挙 げている。 また,収穫逓増を強化する要因として,新しい天然資源とその新利用の発見,科学知 識の増加,経済的な関心からくる科学的関心,(すべての場合ではないが)人口増加, 企業の潜在的市場を探索する努力等を挙げている。この最後の要因,市場の探索につい ──────────── 16 Ibid., p. 532. 17,18,19 Ibid., p. 533. 20 Ibid., p. 534. 21 Ibid., p. 539. 同志社商学 第56巻 第5・6号(2005年3月) 144(664 )
てさらに見てみよう。
4 市場の広さを決める要因
Young は,絶えざる経済変革の先導的な役割を担う要因として市場探索(the search for markets)の役割を重視する。18 世紀の産業革命も産業組織の変化と市場の拡大があっ たからこそ可能だった,という。「産業資本主義」が起こって以来,商業は工業の代理 人に過ぎないというとき,市場を見出すことが現代産業の役割の一つであるとするなら ば,これは正しい,しかし販売されなければならないものは生産されたものだとすれ ば,これは間違っている,として需要の要因を重視する。「市場の探索は・・・潜在的 な生産物の販路を見出すことであ 22 る」として,潜在的な市場や潜在的な需要の拡大を重 視している。
Ⅲ
市場と労働生産性の関係
ここでは,Young の考え方の定式化を試み 23 る。すでに見たように,市場は個別企業 や個別産業を集計した概念として捉えられているから,市場を全体としての生産量で考 えてその大きさをQ とする。Young は古典派に遡り,収穫逓増は製造業で起こるとし ているから,Q は製造業の産出量と考えてもよいだろう。また,市場の定義から Q は 実質値であると見てよ 24 い。つぎに,この市場で投入された労働量をL とし,分業の大 きさを労働生産性と考えてR とすれば,R =Q /L である。 分業は市場の大きさに依存するという関係をR =f(Q )で示そう。市場の拡大は迂回 生産方法を高めて分業を発展させるからdR /dQ >0 である。一方,労働生産性の上昇 は,合理化やいわゆるリストラクチュアリング等の企業経営の改善や企業努力等から, また費用節約的な技術の導入等からもたらされる場合もある。これらの場合は,市場の 拡大とは関係なく生産性を高めると考えられる。生産性の変化がどこまで市場の拡大と 関係し,どこまで市場の拡大から独立したものかを識別することは困難だが,論理的に は市場の拡大とは関係なく起こる生産性の上昇を考えてみることもできる。これをここ では「自生的技術変化」とよぼう。この技術変化はλ の率で起こるとすれば,R =eλtf (Q )で示される。(t は時間を示す。他の変数は簡単化のために時間表示を省略する。) ──────────── 22 Ibid., p. 537. 23 これについては,拙稿[4]参照。 24 脚注18 で引用した文章に対して,Blitch[2]は,「この市場の定義の根底には,セー法則という古典派 の世界がある。財は結局財と交換され,生産性と所得は実質表示で測定されている。」(p. 366)とい う。 市場の広さと分業(二村) (665 )1451 生産性が市場の広さのみに関係している場合 いま,f(Q )=AQv として特定化しよう。ここでA は定数,v は産出量に関する労働 生産性の弾力性を示している。つまり, R =AQv (1) となる。dR /dQ =AvQ(v−1)>0 を満たすためには,0<v でなければならない。 R の定義から,(1)式はまた次のように示される。 L=Q /(AQV ) (2) Young が,「収穫逓増の保証は分業が進化することに依存し,現代的形態での分業の主 要な経済性は,労働を迂回的にあるいは間接的に使用することから得られる経済性であ 25 る」ということから,市場の拡大は,迂回生産方法の度合いを高めこれはまた労働投入 量も増大させるとするな ら ば,dL/dQ >0 で な け れ ば な ら な い。dL/dQ =A−1(1−v) Q−v>0 を満たすためには,v<1 でなければならない。 以上の条件をまとめれば,v の範囲の条件は,つぎのようにな 26 る。 0<v<1 (3) ここで,(1),(2)式の対数をとり,時間について微分して成長率表示にし,労働生産 性の増加率をr,生産量の増加率を q とすれば,v の値は,つぎのようになる。 v=rq=1−ql (4) (4)式が(3)式の条件を満たすとすれば,0<l /q<1 となる。 2 生産性が市場の広さと自生的技術変化に関係している場合 この場合は,(1)式は R =AeλtQv ,(2)式は L=Q /(AeλtQv )となる。 λ は市場の大きさに関係しないという前提から(3)式の条件は同じだが,(4)式は 以下のようになる。 ──────────── 25 Young[14]p. 539. 26 二次微分を取れば,0<v<1 の条件から,d2R /dQ2 =A(v−1)vQ(v−2)<0, d2L/dQ2 =−v(1−v)A−1Q−(v+1) <0 となる。これは,生産性も労働量も市場の拡大とともに増加するが,その増加の仕方は逓減的であ ることを示している。 同志社商学 第56巻 第5・6号(2005年3月) 146(666 )
v=r−λ q =1− l +λ q (5) (5)式が(3)式の条件を満たすとすれば,0<(l +λ)/q<1 となる。 3 コブ=ダグラス型生産関数との対応 いま,生産側の条件がコブ=ダグラス型の生産関数を持つとすれば,つぎのように示 される。 Q =BeφtKαLβ (6) ここで,B は定数,φ は体化されない技術進歩率,α と β は資本と労働に関する産出 量の弾力性である。(6)式の対数をとり時間で微分して成長率表示にすれば,q/l =β +(φ+αk)/l となる。これを(4)式に代入すれば,つぎのようになる。 v=r q=1− 1 β+(φ+αk)/l (7) (7)式が(3)式の条件を満たすとすれば,1<β+(φ+αk)/l である。このとき,体 化されない技術進歩率を無視するか,あるいは技術進歩は資本の中に体化されたものと 考えれ 27 ば,この条件は,1<β+αk/l である。1<α+β ならば,規模に対する収穫逓 増を示すが,これは条件式を書き直した(1−β)/α<k/l が 1−β<α を満たす時なの で,k/l ≦1 のとき成立する。したがって,k≦l のとき以外は,収穫逓増の条件は決ま らない。また,資本の成長率が労働の成長率より小さいということは現実的でないだろ う。 迂回生産方法の拡大は資本を蓄積させて産出量の増大をもたらす。その関係は,資本 と産出量の割合,つまり資本係数が一定であるようなものだとしよう。これは,理論的 には恒常成長経路にある場合である。産出量の増加率と資本蓄積率が同じであることに なるから,q=k である。この場合は,q/l =β/(1−α)+φ/(1−α)l となるから,(4) 式は,つぎのようになる。 v=qr=1−β/(1−α)+1φ/(1−α)l (8) (8)式 が(3)式 の 条 件 を 満 た す と す れ ば,1<β/(1−α)+φ/(1−α)l で あ る。α ──────────── 27 資本の実質値をJ とし,例えばφ の率で拡大する技術進歩率が資本J に体化され,効率表示で K と 測定されたものとしてよいだろう。 市場の広さと分業(二村) (667 )147
<1,0<l とすれば,この条件は,1<α+β+φ/l である。ここでも,体化されない 技術進歩率を無視するか,あるいは技術進歩は資本の中に体化されたものと考えれば, (8)式は 1<α+β になり,恒常成長経路では規模に対して収穫は逓増していることに なる。(8)式は v=rq=α+ββ−1 (9) となり,コブ=ダグラス型生産関数で考えたとき(3)式の条件を満たして明確に 1<α +β の規模に対する収穫逓増を示すのは,(9)式のみとなる。
Ⅳ
Kaldor と Verdoorn の法則
1 Verdoorn のモデル Verdoorn は,「1870 年から 1914 年の期間と 1914 年から 1930 年の期間の諸国の利用 できる統計から,労働生産性の成長と工業生産量の成長との間には,長期にわたってか なり一定の関係があることが分かる。・・・両期間で,産出量に関する生産性の弾力性 の平均値は,(0.41 と 0.57 の範囲で)約 0.45 である,という結果を得た。このことは, 長期にわたって,生産量の例えば10% の変化は,労働生産性を平均して 4.5% 増加さ せるということにな 28 る」という。このことは,統計的にv=0.45 という数値を見出した ことになる。 さらに,「分業が生産量の増加を通じてのみ引き起こされるとするならば,労働生産 性と産出量の関係は先 ! 験 ! 的 ! に ! 見出されうると期待できる。それ故に,生産の拡張は機械 化と同じ効果をもつ一層の合理化の可能性を創出す 29 る」という。 このようにVerdoon は,実証結果として,生産量に対する労働生産性の値が約 0.45 でかなり安定していることを見出した。そして,それを説明する理論的裏づけとして, 明示されてはいないが,分業と生産量というとき「Adam Smith の定理」が頭にあった ものと思われる。 Verdoorn は,この弾力性は,実際にはいろいろな経済要因によって影響されるか ら,純理論の特性が持つ相互依存によって弾力性が一定であるとは言えないが,といい ながら,この論文のアペンディックスで定式化を試み,「長期分析の通常の仮定のもと では,この弾力性は──適当な範囲内で──そのような経済要因の変化からかなり独立 させうるような数学的な形式をとりう 30 る」としてその理論を展開している。以下では, アペンディクッスで展開されたモデルを見てみよう。 ──────────── 28,29,30 Verdoorn[12]p. 28. 同志社商学 第56巻 第5・6号(2005年3月) 148(668 )実証的な結果から,Verdoorn は産出量に関する労働生産性の弾力性の安定性を理論 的に説明しようとするために,3 種類の弾力性を提示する。1 つは,前節の(4)式であ り,これはこの弾力性の定義に他ならない。2 つ目は,技術進歩のないコブ=ダグラス 型生産関数から導いたもので,前節の(7)式の技術進歩率φ を除いたものである。そ して,α と β が一定ならば,v の一定性は k/l が一定であることに依存している,と する。すでに前節で見たように,このことから収穫逓増を定義することは困難である。 さらに,第3 の弾力性は,Tinbergen のモデルを応用して導びかれたものであ 31 る。 その体系は以下のようである。ここで,対象とする経済は工業部門ないし製造業部門 で,Q, K, L, α, β の記号の意味はこれまでと同じである。新しい記号のW は賃金 率,N は総活動人口を示している。また,ρ は賃金率に関する労働供給の弾力性の逆 数,µ とn は W と N の外生的な増加率,γ は産出量に対する投資比率で一定とさ れ,以下のようなモデルが提示されている。 生産関数 Q =KαLβ 労働の需要方程式 W =β(Q /L) 労働の供給方程式 W =β(L/N )ρeµt 資本の供給方程式 k=γ(Q /K ) 人口の方程式 N =ent 以上の方程式体系から,成長率表示に直して,v=r/q を求めると以下のようにな る。 v=ρ〔1−ρ〔1+(1−ββn/)n/αγαγ〕+(1−β)µ/αγ 〕+1−βµ/αγ (10) Verdoorn は,「v の安定性は,(α,β,γ を与えられたものとして)n とµ のさま ざまな組み合わせを取ることにより容易に得られる。それゆえ,例えば,初期値0.45 の±0.15 の範囲外にある v にはかなりの修正が必要に思われる。類似した結論は n と µ の固定した値に対して α,β,γ を変化させることでも得られ 32 る」という。このモ デルの現実的・理論的妥当性は別にしても,訳者のノートにあるよう 33 に,α=0.3,β= 0.7,ρ=1, n=0.01,γ=4,µ=0.01 とすれば,v=0.5 となる。つまり,α+β=1 であ ────────────
31 Verdoorn[12]pp. 32−35. 本稿では,記号は必ずしも Veroorn のものと同じではない。なお,Verdoorn [13]では,技術進歩を入れていくつかのモデルの修正がなされているが,ここでの分析から離れるの
で1949 年の論文だけに限定する。
32 Ibid., p. 35. 記号はここでのものに変更している。
33 Ibid., p. 36.
るから,この弾力性の定義からは収穫逓増の概念を得ることが出来ないことになる。
2 Kaldor と Verdoorn の法則
Kaldor は,1966 年,ケンブリッジ大学の教授就任公開講義において,イギリスの経 済成長率が他の先進諸国と比較して低い原因を第二次産業,なかでも特に製造業に求 め,経済における製造業の役割を理論的・実証的に明らかにしようとした。その内容と Kaldor 自身のその後の考え方の変化も含めた Kaldor の理論は,A. P. Thirlwall によっ てKaldor の 3 つの法則として整理され 34 た。その第1 法則は,GDP の成長は製造業部門 の産出量の成長と強く関係している,第2 法則は,製造業部門の労働生産性の成長率は 製造業部門の産出量の成長率と強く関係している,そして第3 法則は,製造業部門の成 長が速ければ非製造業部門から製造業部門への労働の移動も速く,そのため全体の生産 性の成長は,製造業部門の産出量と雇用の成長とは正の関係にあり非製造業部門の雇用 の成長とは負の関係にある,というものである。このKaldor の理論の中心となるの は,製造業部門が経済発展や経済成長に与える「経済成長のエンジン」としての役割で あり,その役割の理論を支える主要な計測上の根拠がKaldor の第 2 法則で,Kaldor に よって「Verdoorn の法則」とよばれたものであ 35 る。以下では,これまでの議論とこの 法則の関係を見ておく。
Kaldor は,Adam Smith の定理を製造業に当てはめて,「製造業の活動は「収穫逓増
の法則」のもとにあるということは,古典派経済学の良く知られた主張であった。『国 富論』の最初の3 章にこの教義の起源がある。ここで Adam Smith は,労働単位当たり の収 ! 穫 ! は──今は生産性と呼ぶが──分業に依存している,つまり,ピン製造の有名な 例によって示されるように,多くの異なった生産工程での特化や生産分割の程度に依存 している,と議論している。Smith が説明しているように,分業は市場の広さに依存し ている。つまり,市場が大きくなる程,分化や特化が実現される範囲も大きくなり,生 産性も大きくな 36
る」と説明している。そして,Young の考え方について,「Adam Smith と同様にMarshall と Allyn Young も工業活動の規模の増加とともに収穫を増加させる 静学的要因と動学的要因の相互作用を強調した。分業の度合いが高まるほどより生産的 になるが,その理由の一部は,より多くのスキルやノウハウを生み出すからである。 ・・・学習は経験の産物である。これが意味することは,Arrow が示したように,生産 量が速く拡張するほど生産性は速く増加する傾向にある。これはまた,生産性の水 ! 準 ! は 単位時間当たりの生産率の関数というよりも(初期から)蓄積された産出量の関数であ ──────────── 34 Thirlwall[10]. 35 詳しくは,拙稿[3]参照。なお,内容は一部重複したところもある。 36 Kaldor[5]p. 8. 同志社商学 第56巻 第5・6号(2005年3月) 150(670 )
ることを意味する。Allyn Young が強調するように,収穫逓増は「マクロ現象」であ る。──多くの規模の経済性は,多様化が進み,新しい生産工程や新しい補助産業の出 現の結果として起こってくるというまさにその理由で,それらは「個別企業や特定の産 業の規模の変化の影響を観察することでは十分に識別」できないのであ 37 る」として, Young の見解を全面的に受け入れる。 以上のような基本的な認識を示した後,Verdoorn との関係を,「これが,生産性の成 長と生産の成長との実証的関係の基本的な理由であり,この関係は,最近,1949 年に 出されたP. J. Verdoorn の初期の研究を認めて「Verdoorn の法則」として知られるよう になった。技術進歩がそのなかに入っているという主要な理由のために,それは静学的 な関係というより動学的な関係であり──つまり,生産性の水 ! 準 ! と産出量の規 ! 模 ! との関 係でなく,生産性の変化率と産出量の変化率との関係であり──それは,大規模生産の 経済性の単なる反映ではな 38 い」としてVerdoorn の法則を前面に持ち出すことになる。 Kaldor は,以上のように理論的根拠を Young に,実証的な根拠を Verdoorn に求め て,1953−4 年から 1963−4 年の日本を含む 12 カ国の製造業部門にこの法則を適用して 計測し,回帰係数は0.484 というかなり Verdoon に近い計測結果を得た。これを Ver-doorn の係数とよぶ。その結果は,以下のようである。 r=1.035+0.484 q R2=0.826 (0.070) l =−1.028+0.516 q R2=0.844 (0.070) Kaldor は,「年率約1% の「自生的な」生産性の成長率を別にすれば,・・・産出量 の成長が1% 付け加わるごとに,マンアワー表示の雇用の成長の 0.5% 増加が必要にな り,これは生産性の成長の0.5% の増加と関係している。これらの係数は Verdoorn や 他の研究者によって見出されたものに近 39 い」という。以下では,この係数の意味につい て考えてみる。そのため,一般的に次のようにあらわす。 r=a+bq (11) r=q−l から, ──────────── 37 Ibid., pp. 9−10. 38 Ibid., p. 10. 39 Ibid., p. 11. 市場の広さと分業(二村) (671 )151
l =−a+(1−b)q (12)
Kaldor によれば,Verdoon の法則は「産出量の成長率が速ければ,生産性と雇用の両 方とも早い率で増加し,それぞれに関する回帰係数は同順序の大きさ(the same order of magnitude)をもつ,ということを主張す 40 る」という。つまり,0<b, 0<1−b であるた めには,0<b<1 でなければならない。 Kaldor は,収穫逓増との関係で次のように言う。 (1)(12)式が「統計的に有意な関係で存在し,有意な 1 より小さい回帰係数をも てば,これは静学的ないし動学的な規模の経済性があることの十分条件であ 41 る。」 (2)(12)式が有意な関係で成立するが,回帰係数が「1 とは有意に異なっていな いか,あるいは1 より有意に大なる場合,後者の場合は規模に関する収穫逓増仮 説を拒否しう 42 る。」 (3)(12)式が有意な関係で成立しないならば,Verdoorn の法則が「崩壊した」と いうことも含めて,「あらゆる種類の解 43 釈」ができる。 3 Verdoon の法則の意味
以上見てきたように,Kaldor が Verdoon の法則として引用した Verdoon の論文と, Kaldor がいう Verdoorn の法則との間には次のような共通点がある。 まず,労働生産性の生産量に関する弾力性v の統計データから得られた値が約 0.5 で よく似ているということ,そして,両者ともこの値の長期的安定性を主張しているとい う点である。 次に,その理由付けとして,Smith, Young の考え方に理論的根拠をもとめているこ とである。(ただし,Verdoorn はこのことを明示的には述べていないが。) しかし,いくつかの点で両者は異なる。 まず,生産量の成長率q がどのように決まるかという点で,Verdoorn は供給側の分 析であり,Kaldor は需要側の分析である。Kaldor のこの需要側重視の視点は,既に述 べたようにYoung の市場の決定要因の考え方に強く影響されているものと思われる。 確かに,生産性の上昇が相対価格の変化を通して需要を生み出すと考えることもでき る。これは,供給側の分析であり,回帰式は,q=f(r)となる。この点に関して Kaldor は,この考え方に立てば,生産性の上昇がどのように決まるかという説明が必要であり 通常は科学や技術の進歩で説明される。しかし,その場合,「異なった国で同 ! じ ! 期間に ──────────── 40 Ibid., p. 35. 41,42,43 Kaldor[6]p. 893. 同志社商学 第56巻 第5・6号(2005年3月) 152(672 )
同 ! じ ! 産業で大きな差があるのをどのように説明するのか,・・・このような考え方は Verdoorn の法則からまったく独立に収穫逓増の存在を否定することと同じである, ・・・生産性の成長率は自生的だと仮定するだけでは十分でない。異なった産業や部門 の間の生産性増加率の違いは相対価格の動きに十分反映されていて,さらに,任意の産 業や全体としての製造業の生産物の需要の価格弾力性は常に1 より大きいと仮定される 必要があるが,検証されているとは思えな 44 い」として,生産性の違いを説明できる Ver-doon の法則を強調する。 次に,Verdoon の v と Kaldor の b との関係である。v=r/q であるから,b=v にな るのはどのような条件のときかである。前節で考察したv についてみてみよう。 自生的技術変化を入れた場合の前節の(5)式を変形すれば, r=λ+vq l =−λ+(1−v)q となり,Kaldor の(11),(12)式に対応して λ=a, v=b である。しかしこの場合は, 定義式から導かれたものでありVerdoorn とは関係はない。 生産関数を導入したVerdoorn の場合の前節の(6)式をみてみる。(6)式を成長率表 示に直して,(11),(12)式に対応するように変形すると以下のようになる。 r=αk/β+φ/β+〔(β−1)/β〕q l =−αk/β−φ/β+〔1/β〕q Kaldor の a と b に対応するためには,資本蓄積率 k が一定であり,1<β という結果 になる。現実の経済から見て,このことの対応は困難に思われる。さらにこの係数は, (8)式の v とも等しくない。したがってこの場合は,Verdoorn の v と Kaldor の b と は別のものであるということになるだろう。 ここで,資本係数一定の恒常成長経路を考えてみよう。この場合はk=q であるか ら,これを考慮して計算すると次のようになる。 r=φ/β+〔(α+β−1)/β〕q l =−φ/β+〔(1−α)/β〕q この場合は,a=φ/β, b=(α+β−1)/β となって,b はまた,(9)式の v とも対応し ──────────── 44 Kaldor[5]pp. 13−14. 市場の広さと分業(二村) (673 )153
ている。さらに,b と v の収穫逓増の条件も満たしていることになる。ただし,v の場 合は生産関数の意味で,技術進歩はないか技術進歩が資本に体化しているという条件が 必要である。さらに,すでに見たように,Verdoorn の場合は,v が Young の意味で収 穫逓増を示すとすると,それが保証されるのはこの恒常成長経路だけであるということ になる。 このようにみてくると,Kaldor が名づけた Verdoorn の法則とは,v が約 0.5 の値で あるということだけであり,Verdoon の理論的な背景とは関係がないと結論付けられる だろう。その意味でこの法則はミスリーディングな名称である。
Ⅴ
お わ り に
本稿では,市場の広さと分業との関係をSmith, Young, Kaldor の流れで収穫逓増と関 係させて考察してきた。そのために,Young の考え方を「定式化」することによって Kaldor のいう Verdoon の法則を位置づけた。その結果,Verdoorn の法則とは,製造業
における労働生産性の産出量に関する弾力性が正で1 に満たない値で安定しているこ
と,と考えることが出来た。(より厳密には,その値は約0.5 ということになる。)この
とき,Young, Kaldor の意味で収穫逓増があることになる。
本稿では,Smith, Young, Kaldor の線での基本的な考え方を考察するという目的のた めに,その後の発展については立ち入らなかったが,Kaldor の Verdoon の法則の提唱 以来多くの理論的・実証的分析がなされてき 45 た。実証分析の多くはこの法則を支持して いるようにみえるが,理論的な説明はまだ十分とは思われない。理論と実証の両面にお いて更なる研究領域が残されているように思われる。 また,「一般化された収穫逓増は,国際貿易やマクロ経済学や内生的経済成長理論や 倫理の経済学における特定の研究計画の分析的基礎を提供してい 46 る」とBuchanan も言 うように,1980 年代以降の収穫逓増に関する新しい研究成果とここでの分析がどのよ うに関係しているかを明らかにする,という課題が残る。 さらに,Kaldor によって提起された Verdoorn の法則は,経済における製造業の役割 を説明することが目的であった。経済発展におけるぺティ=クラークの法則を引用する までもなく,農業部門,工業部門,サービス部門がどのように関係して発展しているの かという研究は重要である。Kaldor の分析はこの分野の分析方法にもひとつの示唆を 与えてくれるだろう。 ──────────── 45 McCombie, et al.[8]のアペンディックスには,Verdoon の法則の 84 編の実証研究の成果のリストが挙 げられている。また,理論的な発展については,McCombie[7]が詳しい。 46 Buchanan[1]p. 3. 同志社商学 第56巻 第5・6号(2005年3月) 154(674 )
参考文献
[1 ]Buchanan, J. M., The Return to Increasing Returns : An Introductory Summary, in The Return to
Increas-ing Returns, ed., by J. M. Buchanan and Y. J. Yoon, The University of Michigan Press, 1994, pp. 3−13.
[2 ]Blitch, C. P. Allyn Young on increasing returns, Journal of Post Keynesian Economics, Vol. V, No. 3, 1983, pp. 359−372.
[3] 拙稿「Verdoorn の法則とその意味−収穫法則との関係を中心として−」『同志社商学』第39 巻第 2 ・3 号,1987 年 8 月,304−321 ページ。
[4 ]拙稿「市場の広さと労働生産性の関係」『同志社商学』第46 巻第 2 号,1994 年 9 月,189−200 ペー ジ。
[5 ]Kaldor, N., Causes of the Slow Rate of Economic Growth in the United Kingdom, Cambridge University Press, 1966,(N. Kaldor, Further Essays on Economic Theory, London, Duckworth, 1978 に収録). [6 ]Kaldor, N., Economic Growth and the Verdoorn Law : A Comment on Mr. Rowthorn’s Article, Economic
Jounal, Vol. 85, No. 340, 1975, pp. 891−896.
[7 ]McCombie, J. M. Increasing Returns and the Verdoorn Law from a Kaldorian Perspective, in Productivity
Growth and Economic Performance, ed., by J. McCombie et al. Palgrave, Macmillan, 2002, pp. 64−114.
[8 ]McCombie, J. M. Pugno and B. Soro, Introduction, in Productivity Growth and Economic Performance, ed., by J. McCombie et al. Palgrave, Macmillan, 2002, pp. 1−27.
[9 ]Smith, A., The Wealth of Nations, The Modern Library,(大内兵衛・松川七郎訳『諸国民の富』岩波 書店)。
[10]Thirlwall, A. P., A Plain Man’s Guide to Kaldor’s Growth Laws, Journal of Post Keynesian Economics, Vol. V, No. 3, 1983, pp. 345−358.
[11]Vassilakis, S.“increasing returns to scale”,in The New Palgrave A Dictionary of Economics 2, ed. By J. Eatwell, M. Milgate, P. Newman, 1987, pp. 761−765.
[12]Verdoorn, P. J. Fattori che regolano lo sviluppo della produttività del lavoro, L’Indusria, vol. 1, 1949, pp. 3−10.(Factors that Determine the Growth of Labour Productivity, translated by A. P. Thirlwall,
Productiv-ity Growth and Economic Performance, Palgrave, Macmilian, 2002, ed. by J. McCmbie, M. Pugno and B.
Soro, pp. 28−36 に収録).
[13]Verdoorn. P. J. Verdoorn’s Law in Retrospect : A comment, Economic Journal, Vol. 90, No. 358, 1980, pp. 382−385.
[14]Young, A. A., Increasing Returns and Economic Progress, Economic Journal, vol. 38, No. 152, 1928, pp. 527−542.