児童の科学的概念の構築を目指した授業実践の検討 ―学習活動におけるメタ認知に着目して―
著者 中本 武徳
雑誌名 奈良教育大学教職大学院研究紀要「学校教育実践研
究」
巻 2
ページ 73‑78
発行年 2010‑03‑31
URL http://hdl.handle.net/10105/3041
一学習活動におけるメタ認知に着目して‑
中本武徳
Takenori Nakamoto
奈良教育大学大学院教育学研究科教職開発専攻
School of Professional Development in Education, Nara University of Education
1.はじめに 1.1.問題の所在
子どもが持っている素朴概念については、素朴概 念を軽視したり無視した理科教育の方法では、変換 不可能とされている。たとえば、オズボーンとフラ イハーグ(1988)は、 「電流」の「方向性(素朴概念・
『衝突説』 ‑プラス極とマイナス極の両方から電流 が流れて、豆電球のところで衝突すると考えること I‑う」 「保存性(素朴概念・ 『消費説』 ‑プラス極の方
が電流が多い。なぜなら豆電球で電流が消費される ので、マイナス極では、電流の量は減ると考えるこ と) 」について、授業直後には変換できたと思えても、
‑年後には「素朴概念」が残存または復活していた という調査結果を発表している。このような、素朴 概念を科学的概念に変換することの難しさを調査し た結果は多くあり、多くの研究者(例えば、清水ほ か2005、甲斐・森本2008、加藤2006)が、このこ
とを大きな課題として捉えている。
理科の授業を、子どもの素朴概念を修正し、科学 的概念を構築することであると捉えるならば、子ど もに自らが持つ素朴概念をどのように意識させるか、
科学的概念の形成をどのように実感させるかがポイ ントの一つとされる(例えば、加藤2008)。そのた めには、子ども自身の考えを外化することによって、
子どもの素朴概念が、子どもにも、教師にも見える ようにする必要がある。そして、そのような学習活 動の中で、認知過程を子ども自身にモニタリングさ せるといった、メタ認知を働かせることが有効であ ると考えられる。
1. 2.メタ認知が科学的概念の構築に及ぼす効果 子どもの素朴概念を子ども自身に意識させる方略 の一つとして、メタ認知能力の育成があげられる。
これまでにも自らの理解状態をモニターして、それ を修正していくようなメタ認知と知識の獲得との関 係について研究がある。例えば、手塚・片平(2003)
は、中学校の「化学変化とイオン」の学習を通して、
質問紙とインタビューによる調査を中心にメタ認知 とイオン概念の獲得との関係を明らかにした。その 研究では、自分の学習状況や学習過程を把握すると いうメタ認知をもっている生徒がイオン概念を獲得 していくが、そのようなメタ認知が学習において的 確に働かなければイオン概念の獲得にはつながらな いと言う。加藤(2008)は、小学校の理科授業にお いて、メタ認知の働きを促進するための学習ツール として、振り子の特性に関するコンフリクトシート を開発し、開発した学習ツールを用いた授業が振り 子の特性に関する概念形成に及ぼす影響について、
メタ認知が高い子どもほど振り子の特性に関する概 念形成に影響を及ぼす可能性が高いと言う。子ども のメタ認知的な技能に関するチェック項目について 自己評価させることにより、子どもは自らの素朴概 念と実験で得られた結果についてのモニタリングを
より機能させやすくなり、実験活動中に自らの考え の矛盾を修正するために実験をやり直すといったコ ントロールも働きやすくなる。その結果、子どもの 素朴概念が修正されやすくなり、科学的概念が形成
される可能性が高くなる。
これらの研究報告からもあげられるように、子ど もの素朴概念を修正し、科学的概念を構築するため には、学習状況や学習過程を把握するといったメタ 認知を的確に働かせることが大切であり、メタ認知 の働きが高いほど、科学的概念を構築しやすい可能 性があることが指摘されてきた。
1. 3.外化による科学的概念の構築
科学的概念の構築を目指すために、子どもに素朴 概念を意識させる方法として、考えを外化させるこ とを用いた研究がなされている。清水ほか(2005) は、児童の考えを外化させる方法として、話し合い に加え、ワークシートと付等紙を使用し、予想時・
考察時に小グループで話し合いを行い、考えを外化
させた群とこれを行わない群で比較して、その効果 を調べたL.,その結果、話し合いを行い外化した群の 方が科学的概念が形成され、外化することによって、
概念変化に効果をもたらしたと言うL.,この研究では、
認知過程を可視化し、他者との相互作用を学習に取 り入れたことにより、学習者が保持する既存の概念 に対して不満をもたらしたことに効果をもたらし、
それによって概念変化に影響を与えた..つ青水ほか (2007)は維管束の学習を事例に、課題に対する自 分の予想を図に表して外化し、観察結果を書かれた 図と比較して振り返らせながら考察を行う群と予想 を行い、観察結果について考察する群に分けて、維 管束に関する概念形成について比較し、調べている..1 この研究では、植物の各部分を単に観察するだけで なく、予想時に自身の考えを意識できるように外化 させ、外化したものを観察結果と比較しながら内省 を促す学習方法は、維管束についての形態と機能に ついての知識同上を結びつける効果があると言う=.
他にも、清水・山浦(2006)、甲斐・森本(2008) などが、外化が科学的概念の構築に及ぼす効果を調
S」4H%泥
これらの研究における子どもの学習のプロセスを 見ると、いずれも外化によるメタ認知の働きが見ら れ、結果として科学的概念が構築されていると考え
られるT̲,このように、科学的概念を構築させるため には、考えを一旦外化させ、それにより子ども自身 や教師にも考えを見えるようにすることにより、素 朴概念を意識することができ、それをふり返ること によりメタ認知の働きを高め、科学的概念を構築す ることができる可能性がある.I.
1.4.研究の目的
本研究では、子どもの素朴概念を科学的概念に変 換することができる手立てを研究し、最適な授業法 を導入した理科授業を開発・実践する=.そのために、
児童のメタ認知に着目し、予想時に考えを外化し、
考察時に予想時の考えを比較しながら考察する方法 を取り入れ、実践する。そして、そこでの子どもの 細かな学びの様子やメタ認知の働きなどを詳細に分 析し、その効果と科学的概念の構築との関連性や、
メタ認知の働きを高めるためのさらなる課題を考察 することを目的とする。
2.研究方法
奈良県内の公立小学校の4年生24人を対象とし、
子どものメタ認知の働きに着目し、授業設計を行っ た。そして、考案した指導法に基づいて授業を実施
し、その効果を検証する山以下にその詳細を示す
2.1.メタ認知の定義
三宮(1996)はフラベルやブラウンの考えをもと に、メタ認知概念の分類を行っている.= それによる と、メタ認知はメタ認知的知識とメタ認知的活動に 分類され、 2つの側面から定義される.=具体的には、
「自分あるいは他者に固有の認知傾向、課題の性質 が認知に及ぼす影響、あるいは方略の有効性につい ての知識(メタ認知的知識)や認知プロセスや状態 のモニタリング(監視monitoring)、コントロール (制御control)あるいは調整'regulation)を実際 に行うこと(メタ認知的活動)」としているt̲1
本研究においても、三宮の定義を採用する。三宮 は、ネルソンとナレンズの考えを用いて、モニタリ
ングとは、メタレベルが対象レベルから情報を得る ことであり、コントロールとはメタレベルが対象レ ベルを修正することであると説明し、この考えに基 づき、メタ認知的活動のモデルを表した(図l)f,メ タ認知的モニタリングには、認知についての「気づ き」 1感覚」 r予想」 l点検」 l評価」などが含まれる と考えられ、メタ認知的コントロールには、認知に ついての「目標設定」 計画」 「修正」などが含まれ るとしている.=
これらの指摘をふまえpC、予想時に考えを外化し、
考察時に予想時の考えを比較しながら考察すること は、自分の学習状況をふり返ることによって、メタ 認知を働カせるo つまり、その活動の中では、児童 はメタ認知的活動であるモニタリングやコントロー・
ルの機能を働カせることとなるこ,そのため、本研究 ではメタ認知的活動に着目し、自分の学習状況や学 習過程を把握または自己調整することと扱うL=:
メタ認知
メタ認知的 モニタリンチ 気づき 感覚 予想 点検 秤価
く:::コメ帥‑礼
メタiS知的 コントロール
自書票i蔓定 計画 鰭正
く::コ対象レベル
図1 メタ認知的活動のモデル(三宮1996) 2.2.単元の構成
扱う単元は小学校4年生、内容区分A、空気と水 の性質である.ニ 単元は全6時間で構成しており、実 験1 ‑4を通して学習する。実験授業の概要とその
目標を示す(表I),
表1実験授業の概要とその目標
実験 の概 要 授 業 の 目標 実
空気鉄 砲 を使 い 、ど 空気 鉄 砲 を使 っ て遠 の よ うに して 使 え くへ 玉 を飛 ばす 活 動 験 ば、玉 が よ く飛 ぶ か を通 して 、空 気 の性 1 を調べ る。 質 を 兄 い だ そ うとす
る。
実 験 2
ドッジ ボ ー ル の 中 ボ ール の 中 の空 気 の の空気 が 、ペ ッ トボ か さは 、 ボー ル の か トル 何 本 分 か を調 さ よ り大 き い こ とを
べ る。 理 解す る。
実 験 3
注射 器 を使 っ て空 空 気 は 、圧 し縮 め る 気 を閉 じ込 め、空気 こ とが で き る こ とを は圧 し縮 め る こ と
がで き るか調べ る。
理 解す る。
実 験 4
注射 器 を使 っ て水 水 は 、圧 し縮 め る こ を 閉 じ込 め、水 は圧 とが で きな い こ とを
し縮 め る こ とが で きるか調べ る。
理 解す る0
2.3.授業の概要
「空気と水の性質」の単元(全6時間)を通じて、
子どものメタ認知の働きに着目した授業実践を行う。
そのため、実験2では予想時に考えの外化を促し、
予想時の考えと比較しながら考察することを取り入 れ、メタ認知の働きを促し、科学的概念の構築を図 った。
詳しくは、児童の考えを記入するためのワークシ ートを準備し、予想時と考察時には、課題に対する 子どもの考えを記入する。予想時には、課題に対す る予想を書き、なぜそう思うのかといった理由も書 くように促し、子どもの素朴概念を子ども自身に認 識させるよう外化する。ワークシート記入後、クラ ス全体の中で、何人かの予想を発表させた。考察時 は、予想時に書いた自分の考えと、比較しながら考 察するよう促し、ワークシートに記入するよう促し
た
2.4.検証方法
実験2後のワークシートの記述をもとに、次の2 点を分析する。
(D児童の実験後のメタ認知の働きの程度と種類
②児童が科学的概念を構築しているか
(Dに関して、児童のメタ認知能力について、鈴木 (1998)は自己評価とメタ認知能力との間には密接 な関係があり、自己評価にもいくつかのレベルがあ ることを指摘している。これをもとに、児童のメタ 認知の働きの程度を、鈴木の考えを基準として得点 化した(表2)。また、メタ認知の働きの種類につい
ては、前述した三宮(1996)の考えをもとに、メタ 認知的活動のモニタリング「気づき」 「感覚」 「予想」
「点検」 「評価」、コントロールの「目標設定」 「計画」
「修正」に関する記述を、メタ認知的記述として抽 出した。
②に関しては、その後のワークシートの記述を分 析し、科学的概念を構築しているか調べた。本研究 で扱う科学的概念は、 「空気は圧し縮めることができ
る」である。また、 (Dで分析した、メタ認知の働き の程度と種類により、児童を分類して、そこでの科 学的概念を構築した児童数を比較し、メタ認知の働
きと科学的概念の構築の関連を調べた。
表2 メタ認知の得点基準(鈴木1998)
得 点 基準
0 無 記入
1 < 興味 関心 の段 階 >
. 自分 の興 味 . 関 心 を示 した ところ を書 い てい る
2 < 認知 理解 の段 階 >
. 分 か った こ とや分 か らなか った こ とを書 いて い る
3 < 評価 . 方 略理解 の段 階 >
. 自分 の学 習状況 を判 断 し、評価 して い る . 自分 の学 習活 動 か ら学び方 . 自分の 学習 に対す る方 略 に気 づい てい る
4 < 変容 理解 の段 階 >
. 自分 の考 え が どの よ うに変 わ ったか を把 握 してい る
. 次へ の 目標 を持 って い る 3.結果
3. 1.実験授業における児童のメタ認知の状況 実験授業による児童のメタ認知の状況を、統計分 析により調べた。
表3 実験授業による児童のメタ認知の状況
実験1 実験2 実験3 実験4 多重比較 23 22 22 23 実験2>実験1+
2.48 2.96 2.14 2.26 実験3**
実験4H
S.D. 1.1 2 0.94 1.03 0.60(+p< 10、 ^^05、 ☆*p<.01)
まず、メタ認知の働きの得点結果について分散分 析を行った結果、メタ認知の働きにおける効果は有 意であった(F(3,60)=7.03) p<.01) 。 FisherのPLSD を用いた多重比較によると、メタ認知の働きは、実
験2と実験1との比較は、実験2が高いという有意 傾向にあった。また、実験2と実験3、実験2と実 験4を比較したところ、実験2が高いことが明らか になった(表3)。
3. 2.児童のメタ認知的記述の分析
実験2での児童のワークシートのメタ認知的記述 を種類別に分析した。児童のメタ認知の状況を4段 階に分類し、それぞれの段階の児童がどのようなメ タ認知を働かしているかを調べた。メタ認知的モニ タリングを働かしている考え(気づき、点検、評価)、
メタ認知的コントロールを働かしている考え(目標 設定)を抽出し、その人数を表した(表4)0
その結果、メタ認知の段階レベルが高ければ高い ほど、メタ認知的記述は多く見られた。評価・方略 理解の段階から、メタ認知的モニタリングの点検・
評価といった働きが見られ出し、変容理解の段階の 児童からは、点検の記述が多く見られ、メタ認知的 コントロールの目標設定の記述も見られた。
表4 メタ認知的記述数とその種類
対象 メタ認知的記述の種類 メタ認知的 児童 気づき 評価 点検 目標設定記述数
興味・関心の
段階 認知理解の 段階 評価・方略理 解の段階 変容理解の 段階
0 0 0 0 0
7 3 0 0 0 3
5 3 2 1 0 6
13
合計 22 22
(メタ認知的記述数はのべ数) 3. 3.児童のメタ認知の働きと科学的概念の構築児童の科学的概念の構築に関しては、実験3の後 のワークシートを分析し、 「空気は圧し縮めることが できる」ことを理解していることを調べた。例えば、
「空気が圧し縮められていることが分かった」や「ボ ールの中の空気は縮まって入っていることが分かっ た」など、 「空気は圧し縮めることができる」ことを 理解していると分かる記述をしている児童を抽出し、
その人数を調べた。
表5は、実験2の後によるメタ認知の段階レベル 別の科学的概念を構築した児童数を表している。児 童全体の中では、 「空気は圧し縮めることができる」
という科学的概念を構築した児童は22人中18人で、
81.8%である。また、児童の実験2の児童のメタ認 知の状況別にも獲得の割合を表している。評価・方
略理解の段階、変容理解の段階の児童の科学概念の 獲得の割合は、それぞれ80%、 100%と高い。
表6は、実験2の後のメタ認知的記述別に見た科 学的概念を構築した児童数を表している。メタ認知 的記述の無い児童の科学的概念を獲得している児童 の割合は50%で低いことが分かる。また、認知につ いての気づきをしている児童の中でも、科学的概念 を構築していない児童もいた。前項の結果で述べた、
メタ認知がよく働いている児童のワークシートで多 く抽出された、認知についての評価、点検、目標設 定をしている児童の科学的概念を構築している割合 は100%で、メタ認知の働きが高いほど、科学的概 念を構築しやすい可能性があることが、この結果か
ら分かる。
表5 科学的概念を構築した児童数(1)
対象 科学的概念を構築し 科学的概念を構築し 児童 た児童 た児童の割合
興味・関心の
段階 認知理解の 段階 評価・方略理 解の段階 変容理解の 段階
1 0
7 5
5 4
9 9
0.00
0.71
0.80
1.00
合計 22 18 0.82
表6 科学的概念を構築した児童数(2)
メタ認知的記 対象 科学的概念を構 科学的概念を構築し 述の種類 児童 築した児童 た児童の割合
気づき 9 7 評価 3 3 点検 7 7 目標設定 3 3
メタ認知的
記述無し
4 2図2は実験2において、変容理解の段階であった児 童の記述である。この児童は、実験2の後において、
予想時に大きさをもとに予想を立てていたことにつ いてメタ認知的モニタリングを働かし、点検してい る。そして、実験3の後には、科学的概念である「空 気は圧し縮めることができる」ということを理解し ている。このように、メタ認知的モニタリングを働 かせることを通して、自分の素朴概念が誤っている
ヨ験L5EI5E2
ペットボトル2本分<予想の堆由>
ドッジボールの中はすごく大きそうだしパンパン だかち。
実験2練の紀述
・いかいとボーyvo)申Q)空気壮いっぱい入ってい たことが分かった。
ESサ3迂raヨz*m口ESS虹」23H埠感知にEXS tmaM田)
実験3後の紀述
・邑^SiはritlS罰uI at.*tA,thtz+ (鞄知 についての気づき)
図2 変容理解の段階の児童のワークシートの記述
実験前q)記述
<予天声>
ペットボトル2本分
<予?JO)3量由>
im&a&glβ男いigF吊*T‑5* SZIZZB?
実験2後の妃迂
・ドッジボールのたまはすごく空気がはいってい 閃A,/c&* 」:fcWJ bfc,
mzMmm妃述
・ (注射藩の)メモリが10になってさておもっ きりおしたら手がいたくなる。はなしたちゴムか アK*>7fiZ. <#試ssa蝉娼)
図3 認知理解の段階の児童のワークシートの記述 ことに気づき、科学的概念を構築しているC.
図3は認知理解の段階の児童のワークシートであ るO この児童の実験2の後の記述からは、ボールの 中にはたくさんの空気が入っていることが分かった とが書かれているが、メタ認知的記述は見られなか った.;そして、実験3の後の記述からは、科学的概 念を構築したと思われる記述は見られなかったt̲,
このように、実験2において、メタ認知をより働 かせている児童ほど、 l空気は圧し縮めることができ
る」という科学的概念を構築しやすく、メタ認知の 働きが低い児童は、科学的既念を構築しにくい可能 性がある.=
4.考察
本研究では、科学的概念の構築を目指し、メタ認 知をより働かせることによって、その効果が表れる
と仮定したL̲,そのため、メタ認知の働きを高くする ために、予想時に考えの外化を促し、予想時の考え と比較しながら考察することを実践し、そこでの児 童のメタ認知の働きを調べたr..また、メタ認知と科 学的概念の関連について明らかにするために、メタ 認知の働きの段階やメタ認知的記述の種類によって、
児童を分類し、そこでの児童の科学的概念の構築の 状況について調べた..1
予想時に考えの外化を促し、予想時の考えと比較 しながら考察する方法を用いた実験授業と用いなか った授業では、児童のメタ認知の働きに有意差が出 た また、実験2では、メタ認知の働きが評価.方 略理解の段階、変容理解の段階の児童が多く、その 児童から認知に関する評価・点検などといったメタ 認知的記述が見られたD
以上のことから、予想時に考えの外化を促し、予 想時の考えと比較しながら考察することの効果につ いて、評価・方略理解の段階、変容理解の段階の児 童が増え、児童のメタ認知の働きを高める可能性が ある,̲.また、メタ認知の働きのなかでも、メタ認知 的モニタリングの評価・点検といったメタ認知の働 きを促すことができることが示唆されたo 具体的に は、予想時に考えを外化することによって素朴概念 を意識することができ、考察時に予想時の考えと比 較することによって、自分の考えの変容をモニタリ ングすることができるようになったのではないかと 考えられる.I.
また、メタ認知の働きが高い児童の方が、メタ認 知の働きが低い児童よりも科学的概念を構築しやす いことが示唆された.:メタ認知的記述をしている児 童の中でも、認知についての評価・点検・目標設定 に関する記述をしている児童は、科学的概念を構築
している児童の割合が高い.,
つまり、メタ認知の働きを高くすることは、科学 的概念を構築することに効果がある可能性がある.=
さらに、認知についての評価・点検といったメタ認 知的活動を働かせることも、科学的概念を構築する
ことに効果がある可能性がある 具体的には、自ら の素朴概念を意識し、その妥当性を点検・評価する といったメタ認知的モニタリングが、児童のワーク シートからメタ認知的記述として見られたこそして、
結果として、児童のワークシートからは、科学的概 念を構築したことを示す記述が見られたt̲,そのこと
より、素朴概念と実験で得られた結果との矛盾につ いてのメタ認知的モニタリングを働かせることによ って、自らの考えについての矛盾を修正するための、
メタ認知的コントロールが働きやすくなる可能性が ある。その結果、児童の素朴概念がより妥当性の高 い科学的概念が構築される可能性が高くなると考え
られる。
5.まとめと今後の課題
本研究の範囲内において、予想時に考えの外化を 促し、予想時の考えと比較しながら考察することは、
児童のメタ認知の働きを高くするといえる。また、
この活動によって、メタ認知的モニタリングの点 検・評価を働かせることを促し、評価・方略理解の 段階や変容理解の段階までメタ認知の働きが高くな る児童が増えた可能性がある。
また、メタ認知の働きの高い児童ほど、科学的概 念をより構築する可能性がある。そのなかでも、メ タ認知的モニタリングの点検・評価を働かせている 児童は、科学的概念を構築していることが多かった。
具体的には、自らの素朴概念を意識し、その妥当性 を点検・評価することにより、メタ認知的コントロ ールが働きやすくなり、素朴概念が妥当性の高い科 学的概念に変換されると考えられる。
つまり、予想時に考えの外化を促し、予想時の考 えと比較しながら考察することは、メタ認知の働き を高くすると同時に、科学的概念を構築することに 効果がある可能性がある。
しかし、現時点では、メタ認知の働きが低く、科 学的概念を構築できない児童もいた。そのような児 童に対し、どのようにメタ認知を働かせるかという ことが課題となる。興味・関心の段階、認知理解の 段階といった、メタ認知の働きが低い児童に、メタ 認知の働きを高めるための指導法を検討し、分析を 深めることは今後のさらなる課題である。
6.謝辞
本研究を遂行するにあたり、奈良教育大学教職大 学院の粕谷貴志先生、吉田誠先生にはたくさんのご 指導をいただき、感謝の意を表します。また、実践 にご協力いただきました生駒市立生駒北小学校の中 森久貢校長先生、様々な場面において指導いただき ました中園美和子先生に心より感謝申し上げます。
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