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科学的な概念形成を促すワークシートの工夫と授業改善 : メタ認知的支援をもとにして

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Academic year: 2021

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(1)科学的な概念形成を促すワークシートの工夫と授業改善  ’ 一メタ認知的支援をもとにして一.           教育実践高度化専攻           ・授業実践リーダーコース.           学籍番号 P10020F           氏 名   井上 勉 1.問題の所在と研究の目的. 在や研究の背景,日的を述べ,研究全体の構成を.  子どもは素朴概念をもって理科の授業に臨ん. 示した。. でいる。子どものもつ素朴概念の多くは,日常生.  第2章では,メタ認知や,素朴概念(概念変容. 活を積み重ねる中で,いわば無意識の内に形成・. モデル:Hashweh,1986),アナロジー・メタファ. 獲得されるものであり,それは科学的に適切でな. ーの活用といった視点から,子どものもつ素朴概. いことがほとんどである。こうした子どもの考え. 念を,科学的な概念へ導く方略を先行研究から探. 方は常に堅固であり,しばしば理科の授業の影響. り,それらを整理した上で,「メタ認知的支援」. を受けずに残ったり,教師が予期しない方法で授. と定義し,本研究の実践で講じる方略を示した。        メタ認知的支援 rメタ認知的知識やメタ認知的活動を促すため に,子どもの素朴概念を意識化させ,科学的な 概念との矛盾点を明確にすることで,素朴概念 と科学的な概念の接続・照合をはかること。」 ①素朴概念の明確化  描画法による表現や自分の考えの要約,話し 合いといった方略によって,子どもに自分の考 えがどのようなものかを明確に意識させる。 ②認知的葛藤の誘発  自らの素朴概念を明確にした上で,実験によ る正しい結果や事実による科学的な概念と対比 させて考察させる。それにより,自らの素朴概 念との矛盾点を明らかにし,認知的葛藤を誘発 することで,モニタリング・コントロールとい ったメタ認知を促す。 ③素朴概念と科学的な概念の整合的な結びつき  自らの素朴概念の修正といったメタ認知的活 動や,実験による正しい結果や事実の提示,モ デルなどのより一般性を有した事象の提示によ って,科学的な概念との整合的な結びつきを促. 業の結果を解釈していたりする。先行研究を見て も,素朴概念を科学的な概念に変換することの困 難さを調査した結果は多くある。そうした子ども 独自の素朴概念を修正し,科学的な概念を形成さ. せるための教授論を考えることは大きな課題と なっている。.  本研究では,子どもが自らもつ素朴概念を強く. 意識し,自己の学びを自覚できるワークシートの 工夫を試みる。そのワークシートを導入した理科 授業を開発・実践し,そこでの子どもの細かな学 びの様子を詳細に分析することで,その効果と科. 学的な概念形成との関連性を明らかにすること を目的とした。. 2.研究報告書の構成. す。.  本報告書は,次の5章で構成した。.  第3章では,小学校第4学年理科の単元r電気.  第1章 問題の所在と研究の目的. のはたらき」において,メタ認知的支援を組み込.  第2章 指導法に関する理論的背景. んだワークシートと,それを活用した授業のデザ.  第3章 実践1単元「電気のはたらき」に関する授業方略. インを行った。.  第4章 実践2 単元「電流のはたらき」に関する授業方略.  第5章 結論及び今後の課題. 3.研究の概要.  第1章では,研究を展開するに到った問題の所. 一42一.  実践1でのワークシートの工夫と授業改善 ①科学的な概念との対比を第三者的に行わせる 選択肢や,描画法による表現と説明活動 ②3段階での確信度評定の設定や,演示実験 ③学習の振り返りを補助する手立ての記載や, モデルによる実験装置.

(2)  研究授業後に,記述されたワークシートや調査. 間紙を作成し,事前・事後で比較した。その結果,. 問題を分析し,研究授業を行った結果及び考察を. 以下の4項目(表1)において有意な結果が得ら. まとめたところ,考案したワークシートによる授. れた。ただし,実験をしている最中でのメタ認知. 業展開が,科学的な概念を形成させることに有効. の活性化については有意な結果が得られなかっ. に作用する可能性が示唆された。また,科学的な. た。これらのことから,ワークシートに「かく」. 概念を形成させるには,「点検」「気づき」「予想」. という活動が子どものメタ認知を活性化させ,科. r修正」といったメタ認知的活動が有効であり,. 学的な概念形成に影響を及ぼしたと推測される。. その中でも「点検」「修正」が重要であることも.      【表I]実践前後でのメタ認知的活動の変容 事前  事後  対応のあるt検定. 示唆された。しかしながら,これらのメタ認知的. 実験を行1駅、その日的を自分州1ばっき平均1.ll l.ll t(11)・1.l1. 活動が,一連のワークシートの工夫と授業展開に. りさせてから始める    S,D.α810.14 11. よって促されたものかどうかについては明らか. 蛾を行1駅、その方蹄画をよ1考えて平均1・ll l.ll t(1ω・1・l1. から始める     S.皿1.ll l.ll ll. にすることができず,実践2への課題となった。. 実離の結果をまとめる時に、日的が何だったか  平均  2,70  3,!6   t(50〕=3.42.  第4章では,小学校第5学年理科の単元「電流. よく考えながらまとめる   1.D.1.ll l.14 11. のはたらき」において,メタ認知的支援を組み込. 実験が終わった時に、目的が達成できているか  平均  2,82  3.20   t(50〕=2.71. んだワークシートと,それを活用した授業のデザ. ど1か考える     S.D.1,0{O.11 11. インを行った。新たに加えたワークシートの工夫.                 N・50*Pく,05**Pく.O1.  実践2でのワークシートの工夫と授業改善 ①科学的な概念との対比を第三者的に行わせる 選択肢や,描画法による表現 ②5段階での確信度評定の設定,検証実験による 結果と科学的な概念との対比 ③学習の振り返りを補助する手立ての記載や,意 識的に修正を行わせる欄の設定. 4.結論及び今後の課題.  本研究では,単元r電気のはたらき」r電流の はたらき」といった,電磁気分野という条件付き ではあるものの,今回のメタ認知的支援をもとに したワークシートの工夫(学習の流れに沿った形. としては,描画法によるr修正」の欄を設定した. 式や,描画による素朴概念の明確化など)と授業. ことである。このことにより,子どもの観察の視. 改善が,科学的な概念形成をはかる上で有効であ. 点が増え,自己の考えを点検したり,実験結果と. ることが明らかになった。. の対比による「修正」を促すことができると考え.  今後は,実験中においてもメタ認知を活性化さ. た。研究授業後に,調査問題の分析を統計的に行. せる指導や,さらなるワークシートの工夫が必要. ったところ,本授業で講じ仁方略が,科学的な概. であると考える。例えば,実験におけるメタ認知. 念形成に有効であったことが明らかとなった。ま. 的活動の自己評価項目を紙面に設定しておくこ. た,ワークシートの記述内容分析より,r描画法」. とで,絶えず進捗状況を確認させるといった工夫. や「科学的な概念との対比」によって素朴概念の. が考えられる。また,rおもりの働き(振り子の. 明確化がはかられ,r学習の振り返りを補助する. 運動の規則性)」といった力学分野および,「もの. 手立ての記載」によって一,メタ認知的活動(特に. のとけ方(物が水に溶けるときの規貝1」性)」とい. 点検・気づき・修正)を促した可能性が示唆され. った化学分野など,他領域での実践の可能性につ. た。さらに,考案したワークシートが,通常の授. いて検討したいと考える。. 業と比べてメタ認知的活動を促すことに有効で.     修学指導教員  加藤明 長澤憲保. あるかどうかを測定するために,4件法による質.     指導教員 松本件示. 一43一.

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