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1 宮城県レッドリストの改訂に当たって 1-1 経緯と目的 レッドデータブックやレッドリストの作成は, 本県の自然環境を象徴する貴重な存在である野生動植物の現状を十分に把握し, 緊急に保護することが必要な野生動植物種を明らかにし, 野生動植物の保護 保全に資するため, ひいては 生物多様性の保全 の

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1 宮城県レッドリストの改訂に当たって 1-1 経緯と目的 レッドデータブックやレッドリストの作成は,本県の自然環境を象徴する貴重な存在である野生動植 物の現状を十分に把握し,緊急に保護することが必要な野生動植物種を明らかにし,野生動植物の保護 ・保全に資するため,ひいては「生物多様性の保全」のための基礎的資料として活用することを目的と している。 宮城県では平成8年度から平成12年度の5か年をかけて「希尐野生動植物保護対策事業」として, 県内に生息する動植物の分布状況を調査し,絶滅のおそれのある動植物をまとめた「宮城県の希尐な野 生動植物-宮城県レッドデータブック-」を平成13年3月に発刊した。また,より多くの県民の方々 に県内の希尐な野生動植物の現状を理解していただくため,平成14年3月に「宮城県の希尐な野生動 植物-宮城県レッドデータブック-普及版」を発刊した。 それから10年以上が経過し,この間,社会経済活動による土地利用や自然環境の変化により,県内 の希尐野生動植物種の生息状況に大きな変化が生じている可能性があることから,学識経験者を構成員 とする「宮城県希尐野生動植物保護対策検討会」を設置し,県レッドデータブックの改訂版の発行に向 けた検討を行うとともに,宮城県野生動植物調査会に委託して調査を行ってきた。 しかしながら,平成23年3月11日に発生した東日本大震災により,沿岸地域を中心に自然環境が 大きく変化した。 このため,震災前における希尐野生動植物の生息状況を記録として残して後世に伝えるとともに,震 災によって希尐野生動植物がどのような影響を受けたかを明らかにするための資料とするため,このた び震災前の調査結果に基づいてレッドリストの改訂を行ったものである。 1-2 調査・検討体制 調査は,野生動植物調査会の各分科会の調査員の先生方により,既存文献調査,既存標本調査及び現 地調査等により実施し,その方法については希尐野生動植物保護対策検討会により検討した。 (1)宮城県野生動植物調査会 ①設立年月日 平成20年4月1日 ②設立目的 本県の豊かな自然環境を象徴する野生動植物種の分布状況を把握し,本県において緊急に保護 することが必要な野生動植物について調査・検討を行う基礎資料を作成する。 ③構成員

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会 長 菅原 亀悦 〔岩手大学 名誉教授〕 副会長 髙取 知男 〔仙台市科学館 嘱託(社会教育指導員)〕 分科会等 植 物 内藤 俊彦 〔宮城植物の会 会長〕 木村中外 上野雄規 境秀紀 高橋和吉 滝口政彦 森俊 横山正弘 恵美泰子 井上薫 松永和久 杉山多喜子 菅野登志子 哺乳類 斉藤 千映美 〔宮城教育大学環境教育実践研究センター 教授〕 鳥 類 小室 智幸 〔日本野鳥の会宮城県支部 副支部長〕 竹丸勝朗 嶋孝弘 千葉孝行 三浦隆 佐藤哲 小山均 瓜生篤 工藤芳郎 加藤敬一 山田洋治郎 両 生 ・ 爬 虫 類 太 田 宏 〔 東 北 大 学 高 等 教 育 開 発 推 進 セ ン タ ー 助 教 〕 小山均 秋葉保夫 高橋修 汽水・淡水魚類 髙取 知男 〔仙台市科学館 嘱託(社会教育指導員)〕 櫻井義洋 坂本順一 旗薫 昆虫類 溝田 浩二 〔宮城教育大学環境教育実践研究センター 准教授〕 高橋雄一 牧野周 伊藤智 斉藤雄二 五十嵐由里 新井孝明 児玉雅一 平舘学 緒方彗生 阿部剛 宮田悠平 鈴木晋一 菅原淳 保坂満 大友良和 亀山卓竜 八木沼康之 矢崎雅巳 中嶋正道 小檜山裕行 柳田則明 青木俊彦 郷右近勝夫 斉藤勝雄 早坂徹 海原要 目崎喜治 及川正紹 櫻谷靖雄 尾崎俊寛 粟野宗博 菊池恭司 村上直樹 海岸地域の無脊椎動物類 鈴木 孝男〔東北大学大学院生命科学研究科 助教〕 佐藤慎一 大越健嗣 加戸隆介 太齋彰浩 金谷弦 内野敬 酒井敬一 植物群落 平吹 喜彦 〔東北学院大学教養学部地域構想学科 教授〕 菅原亀悦 内藤俊彦 大柳雄彦 滝口政彦 大山弘子 小関慎二 菅野洋 陸域の無脊椎動物(昆虫を除く) 進東 健太郎 〔元財団法人宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団 研究員〕 藤本泰文 溝田浩二 櫻井義洋 今久慈 高橋修 久保田龍二 斎藤祐介 鈴木勝利 白鳥幸徳 (2)宮城県希尐野生動植物保護対策検討会 ①設置年月日 平成19年7月23日 ②設置目的 本県に生息・生育する野生動植物の中で,絶滅のおそれのある野生動植物の保護を図り,本県 の豊かな自然環境を未来に継承することを目的に平成13年3月に作成された「宮城県の希尐な 野生動植物-宮城県レッドデータブック-」(以下「宮城県レッドデータブック」という。)を 改訂するにあたり,広く学識経験者等から意見を聴取し,適切な調査方法及び掲載種等の検討を

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行うため開催するものである。 ③構成員 会 長 菅原 亀悦 〔岩手大学 名誉教授〕 副会長 髙取 知男 〔仙台市科学館 嘱託(社会教育指導員)〕 専門分野 植 物 内藤 俊彦 〔宮城植物の会 会長〕 哺乳類 斉藤 千映美 〔宮城教育大学環境教育実践研究センター 教授〕 鳥 類 小室 智幸 〔日本野鳥の会宮城県支部 副支部長〕 両生・爬虫類 太田 宏 〔東北大学高等教育開発推進センター 助教〕 汽水・淡水魚類 髙取 知男 〔仙台市科学館 嘱託(社会教育指導員)〕 昆虫類 溝田 浩二 〔宮城教育大学環境教育実践研究センター 准教授〕 海岸地域の無脊椎動物類・干潟の底生生物群集 鈴木 孝男 〔東北大学大学院生命科学研究科 助教〕 植物群落 平吹 喜彦〔東北学院大学教養学部地域構想学科 教授〕, 菅野 洋 〔(株)宮城環境保全研究所環境調査部 課長〕 陸域の無脊椎動物(昆虫を除く) 進東 健太郎 〔元財団法人宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団 研究員〕 1-3 検討対象分類群 植物,哺乳類,鳥類,両生類・爬虫類,汽水・淡水魚類,昆虫類,植物群落のほか,今回から新たに 海岸地域の無脊椎動物類,淡水産貝類を加えた 1-4 選定評価対象種とカテゴリー区分

○植 物

(維管束植物以外・維管束植物) (1)選定評価対象種 宮城県レッドデータブックにおいて評価された種類を中心にして,その後の知見などにより評 価対象として取り上げた方が良いと考えられる種を対象とした。 (2)評価方法等 評価方法は平成20年(2008)から平成22年(2010)までに現地調査を行い,それぞれの植 物種の分布状況の現状を把握し,それらの植物種が消滅あるいは減尐する要因について調査し た。この情報を基にそれぞれの植物種について評価した。

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○哺乳類

(1)選定評価対象種 宮城県内に分布するとされる哺乳類全種を対象とした。 (2)評価方法等 宮城県レッドデータブック評価時以降に得られた分布情報1,866件を元に,調査者グルー プ内で検討を行った。評価の方針は次のとおりである。 ①宮城県レッドデータブック作成時に行われた評価を基本として,カテゴリー変更の可能性を検討 することを基本にする。 ②種ごとに既存の分布情報を収集してデータベースを作成する。 ③可能な範囲で補足確認調査を実施する。 ④各種について,情報の数,内容,および調査回数と規模を検討し,前回のリストに対する変更を 提案する。 また,評価時には,宮城県レッドデータブック作成によって保護保全対策が大きく推進したと考 えられる事例が見当たらないことから,掲載種をむやみに増やすべきではなく,一刻も早く保全措 置を必要とする種や個体群を選択的に指定することにより,本来あるべき保全措置の実現を見るこ とが望ましいという見解を持つに至った。

○鳥 類

(1)選定評価対象種 これまで宮城県で観察記録のある370種を対象とした。 (2)評価方法等 検討に当たって,宮城県内を定期的,継続的な生息域としない迷鳥種を除外した。次に県内各 地で観察され,個体数が比較的多く絶滅のおそれのないいわゆる普通種を除外し,残った129 種について,掲載及びカテゴリーの検討を行った。

○両生類・爬虫類

(1)選定評価対象種 ニホンアカガエル,トノサマガエル,アカウミガメ,ニホンスッポンの4種を評価対象種とし た。 (2)評価方法等 現地調査のほか,文献,聞き取り等によって掲載する種の選定を行った。

○汽水・淡水魚類

(1)選定評価対象種 在来種であること,県内で希尐な魚類の中で特に重要であったり生息環境が脆弱であったり生 息量の減尐が顕著であること,県内での新出現種や新たに生息状況が判明した種,環境省レッド

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リスト掲載種で宮城県レッドデータブック掲載種などから選定評価対象種を選考した。 (2)評価方法等 宮城県レッドデータブックの掲載種については,その後の生息状況の変化を勘案して新カテゴ リーを選定した。県内での新出現種などから希尐と判断される種については,宮城県レッドデー タブック選定の経過と比較,勘案してカテゴリーを選定した。同様の作業の結果,指定外と判断 した種もある。

○昆虫類

(1)選定評価対象種 昆虫類の種(亜種を含む)を卖位とし,文献調査、標本調査及び現地調査によって宮城県内に 土着している,または土着していたと判断された種を対象とした。なお,国内外の他地域から県 内に導入された種(偶産種を含む)や同定や記録に疑問がある種は対象から除いた。 (2)評価方法等 昆虫類は圧倒的な多様性を誇る分類群であり,グループによって情報量に相当な偏りがある。 宮城県において分布・生態調査が進んでいるグループは,チョウ類,トンボ類,甲虫類のいくつ かの科などに限定され,その他の昆虫類の多くでは生息地域や個体密度の減尐状況について把握 されていない。今回の改訂に際しては,データの蓄積が比較的豊富なチョウ類およびトンボ類に ついては「定量的要件(数値基準)」を取り入れ,その他の分類群については「定性的要件」で 絶滅のおそれの度合いを判定した(詳細は別添資料「昆虫類分科会におけるレッドリスト判断基 準」を参照)。

○海岸地域の無脊椎動物類

(1)選定評価対象種 海岸動物(海岸地域に生息する昆虫を除く無脊椎動物)に関しては,今回初めて着手するこ とになることから,はじめに,宮城県に生息する海岸動物を網羅した1次リストの作成を試み た。この場合,リストには文献に記載されている種を全て掲載した外,個人的な野外調査のデ ータもできる範囲で付け加えることにした。また,県外とはなるが,岩手県の三陸海岸单部や 福島県の松川浦(相馬市)は,生息する海岸動物にとっては宮城県と連続した空間を構成して いると見なすことができることから,調査の範囲に含めることとした。 1次リストには,83件の情報に基づき,これまでに宮城県内(ただし,海域としての連続 性を考え,岩手県宮古湾から福島県松川浦までを対象とした)で記録された海岸動物1,18 6種がリストアップされた(魚類を除く)。 1次リストの中から,改訂レッドリストの選定にかかわる調査対象種をピックアップし,2 次リストを作成した。2次リスト選定の過程では,他県におけるレッドリスト指定状況,WWFJ 報告(和田ら 1996「日本における干潟海岸とそこに生息する底生生物の現状」WWF Japan Science Report Vol.3.)や、環境省のレッドリストを参考にした。

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2次リスト選定の観点としては以下のことに配慮した。 ①潮下帯や岩礁を主な生息場所とする種は,生息域の連続性が保たれ広域に分布する場合が多い が,内湾や干潟に生息する種は近隣の生息場所から隔離されやすく,かつ堤防や護岸工事などの 環境改変の影響を受けやすいため生息基盤が脆弱と考えられることから,内湾や干潟に生息する 種は選定する。 ②主な生息域が潮下帯や岩礁であるため広域分布種と考えられ,絶滅危惧の対象として考える必要 がないだろうと思われる種は除く。 ③絶滅危惧に関するカテゴリーの指定は,種を対象にするものであることから,種の同定ができて いないものは対象外とする。 ④これまで1回のみの出現記録しかない種類については,情報が限られており,その種の動向が判 断できないため,特に注目に値する種以外については,選定から除く。 以上のような観点から,2次リストとして選定されたのは398種になった。 さらに,この中から,環境省,日本ベントス学会や他県のレッドリスト指定種と宮城県注目種(分 布の北限や单限に相当するなど,宮城県での注目すべき種)あるいは,宮城県において減尐傾向が 著しいとか分布が限られている種類を中心に,分科会構成員の現地調査結果も踏まえて検討を加 え,最終的には改訂レッドリスト評価対象種として154種を選定した。 (2)評価方法等 分科会を開催し,個々の種について,レッドリスト種に選定すべきかどうか,どのカテゴリー にランク付けするのが適当なのかと選定理由について種々検討し,暫定のレッドリストを作成し た。分科会後にいくつかの修正を加え,最終的に海岸動物改訂レッドリストとした。なお,参考 として,日本ベントス学会編「干潟の絶滅危惧動物図鑑」-海岸ベントスのレッドデータブック- (東海大学出版会 2012 年)より,絶滅危惧のランクを附記したもの。

○淡水産貝類

(1)選定評価対象種 陸域の無脊椎動物(昆虫を除く)に関しては、今回初めて着手することになること,分類群が 多様(陸産貝類・甲殻類等・クモ形類多足類等)であり,グループによって情報量に相当な偏り があるため,宮城県において分布調査が進んでいる淡水貝類に焦点をあて,県内に生息する 21 種を選定評価対象種とした。 (2)評価方法等 改訂レッドリスト種の選定及びカテゴリーの決定は,現地調査のほか,文献,聞き取り等の結 果に基づいて行った。

○植物群落

(1)選定評価対象種 以下のものを対象種とした。

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①宮城県レッドデータブックに掲載されている既登録群落。 ②環境省の自然環境保全基礎調査(第 2 回調査(1978)、第 3 回調査(1988)、第5回調査(2000)) において指定された特定植物群落,県自然環境保全地域および県緑地環境保全地域内に含まれてい る植物群落のうち,保全地域全域または代表的な群落。 ③上記のどちらにも該当しないが,同等の群落と考えられるもの。 特に,(a) 里地・里山にみられる郷土景観を代表する二次植生や水生植物群落(複合),(b) 野 生動物のハビタット(生息地)やコリドー(通路)として機能している植生,(c) 地域住民と結び つきの強い植生(社寺林や緑地など)。 (2)評価方法等 以下の手順を経て評価した。 ①選定評価対象とした各群落について,現状の確認調査を現地において行った。 ②既登録群落を調査する場合は,宮城県レッドデータブックに記載されている群落の概要を参照 に,変化の有無や程度,その要因を記録した。 ③新規登録群落については,指定要件や領域を明確にするとともに,群落の状況が判断できるよう に写真撮影を行い,また植物社会学的方法(※)による植生調査を実施した。 ④2008 年に発生した岩手・宮城内陸地震による山腹崩壊、および登山道の荒廃等によって現地への 到達が及ばなかった群落については,聞き取りや Google earth 等の資料によって状況を確認し, カテゴリーの判定を行った。 (※)区分した群落にコドラート(調査区)を設置し,コドラート内の階層毎の各植物の被度(植物が 地表面を覆っている割合),群度(植物の集中や分散の度合い)等を記録し,群落の種組成や構造 を明らかにする方法

○各分類群共通

カテゴリー区分の定義については,特に記載のあるほかは,宮城県レッドデータブックと同様,環 境省カテゴリーに準拠した各カテゴリー区分を採用するとともに,県として独自のカテゴリーを採用 した。

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2.カテゴリー区分

環境省カテゴリーと宮城県カテゴリーの対比

環境省カテゴリー

宮城県カテゴリー

絶 滅(EX)

絶 滅(EX)

野生絶滅(EW)

野生絶滅(EW)

絶滅危惧Ⅰ類

絶滅危惧ⅠA類(CR)

絶滅危惧ⅠB類(EN)

絶滅危惧Ⅰ類

絶滅危惧ⅠA類(CR)

絶滅危惧ⅠB類(EN)

絶滅危惧Ⅱ類(VU)

絶滅危惧Ⅱ類(VU)

準絶滅危惧(NT)

準絶滅危惧(NT)

情報不足(DD)

情報不足(DD)

絶滅のおそれのある地域個体群(LP

絶滅のおそれのある地域個体群(LP

宮城県独自のカテゴリー

要注目種

隔離分布種

分布北限・单限種

基準産地種

その他

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区分および基本概念 具体的要件

絶滅

Extinct(EX) 本県ではすでに絶滅したと考えら れる種 環境省カテゴリーの「絶滅」に相当 過去に本県に生息したことが確認されており、飼育・栽培下を含め、本県で は既に絶滅したと考えられる種

野生絶滅

Extinct in the Wild(EW)

飼育・栽培下でのみ存続している 種 環境省カテゴリーの「野生絶滅」に相当 過去に宮城県内に生息していたことが確認されており、飼育・栽培下では存 続しているが、野生ではすでに絶滅したと考えられる種

絶滅危惧Ⅰ類

Critically Endangered + Endangered (CR+EN) 本県において絶滅の危機に瀕して いる種 現在の状態をもたらした圧迫要因 が引き続き作用する場合、野生で の存続が困難なもの。 環境省カテゴリーの「絶滅危惧Ⅰ類」に相当 次のいずれかに相当する種 ① 既知のすべての個体群で、危機的 水準にまで減尐している。 ② 既知のすべての生息地で、生息条 件が著しく悪化している。 ③ 既知のすべての個体群が、その再 生産能力を上回る捕獲・採取圧に さらされている。 ④ ほとんどの分布域に交雑のおそれ のある別種が侵入している。 [絶滅危惧ⅠA類] Critically Endangered(CR) ごく近い将来における野生での 絶滅の可能性が極めて高いもの。 [絶滅危惧ⅠB類] Endangered(EN) ⅠAほどではないが、ごく近い将 来における野生での絶滅の可能性 が極めて高いもの。

絶滅危惧Ⅱ類

Vulnerable(VU) 本県において絶滅の危険が増大し ている種 現在の状態をもたらした圧迫要因 が引き続き作用する場合、近い将 来「絶滅危惧Ⅰ類」のランクに移 行することが確実と考えられるも の。 環境省カテゴリーの「絶滅危惧Ⅱ類」に相当 次のいずれかに該当する種 ① 大部分の個体群で個体数が大幅に減尐している。 ② 大部分の生息地で生息条件が明らかに悪化している。 ③ 大部分の個体群でその再生産能力を上回る捕獲・採取圧にさらされてい る。 ④ 分布域の相当部分に交雑可能な別種が侵入している。

準絶滅危惧

Near Threatened(NT) 存在基盤が脆弱な種 本県において、現時点での絶滅危 険度は小さいが、生息条件の変化 によっては、「絶滅危惧」として上 位に移行する要素を有するもの。 環境省カテゴリーの「準絶滅危惧」に相当 生息状況の推移から見て、種の存続への圧迫が強まっていると判断されるも の。 具体的には、分布域の一部において、次のいずれかの傾向が顕著であり、今 後さらに進行するおそれのあるもの。 ① 個体数が減尐している。 ② 生息状況が悪化している。 ③ 過度の捕獲・採取圧による圧迫を受けている。 ④ 交雑可能な別種が侵入している。

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[宮城県独自のカテゴリー]

区分及び基本概念

具体的要件

要注目種

本県では、現時点で普通に見られる ものの、特徴ある生息・生育状況等 により注目すべき種 宮城県内では、現時点では普通に見られるため、上記のカテゴリー(※1) には含まれないが、下記に該当するため、その生息・生育状況に注目すべき 種

隔離分布種

本県では、現時点では普通に見られるものの、日本における分布が稀である 種又はその分布が分断されている種。

分布北限・南限種

本県では、現時点では普通に見られるものの、日本における分布の北限又は 单限とされる種

基準産地種

本県内に基準産地を有する種

その他

隔離分布種、分布北限・单限及び基準産地種には当たらないが、各分科会に おいて、注目に値すると考えられる種

情報不足

Data Deficient(DD) 評価するだけの情報が不足してい る種 環境省カテゴリーの「情報不足」に相当 環境条件の変化によって、容易に絶滅危惧のカテゴリーに移行し得る属性(具 体的には次のいずれかの要素)を有しているが、生息状況をはじめとして、 ランクを判定するに足る情報が得られていない種 ① どの生息地においても生息密度が低く希尐である。 ② 生息地が局限されている。 ③ 生物地理上、孤立した分布特性を有する(分布域がごく限られた固有種 等)。 ④ 生活史の一部または全部で特殊な環境条件を必要としている。

絶滅のおそれのある地域

個体群

Threatened Local Population(LP) 地域的に孤立している個体群で、 絶滅のおそれが高いもの 環境省カテゴリーの「絶滅のおそれのある地域個体群」に相当 次のいずれかに該当する地域個体群 ① 生息状況、学術的価値等の観点から、レッドデータブック掲載種に準じ て扱うべきと判断される種の地域個体群で、生息域が孤立しており、地 域レベルで見た場合、絶滅に瀕しているかその危険が増大していると判 断されるもの。 ② 地方型としての特徴を有し、生物地理学的観点から見て重要と判断され る地域個体群で、絶滅に瀕しているか、その危険が増大していると判断 されるもの。

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植物群落カテゴリー区分

D 壊 滅

壊滅状態

群落は全体的に壊滅状態にあり、緊急に対策を講じなければ壊滅する

壊滅危惧

群落は対策を講じなければ徐々に悪化して壊滅する。

破壊危惧

群落は当面保護されているが、将来破壊されるおそれがある。

要注意

群落は、現在保護・管理状態が良く、当面破壊されるおそれが尐ない。しかし、監視は 必要である。

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3 調査・検討の結果概要 3-1 改訂レッドリスト掲載種数 別表 3-2 新規に掲載された種,カテゴリー変更があった種,改訂レッドリストで除外され た種のうち重要な種

○植 物

(維管束植物以外・維管束植物) 【新規に掲載された種のうち重要な種】 ・シロスミレ,ムシャリンドウ(未掲載→絶滅) 調査が困難であり、生育を確認することのできないため絶滅に新規掲載した。 ・シマオバナゴケ(未掲載→絶滅危惧Ⅰ類) 生育地が限定され,登山者の踏み付けで生育が危惧されるため,絶滅危惧Ⅰ類に新 規掲載した。 ・ササオカゴケ((未掲載→絶滅危惧Ⅰ類)) 生育地が限定され,自然遷移により生育が危惧されるため,絶滅危惧Ⅰ類に新規掲 載した。 ・ウラジロ,ハマハコベ,ツルキケマン,エゾルリトラノオ,サナギスゲ(未掲載→絶 滅危惧Ⅰ類) 生育地が限定され,個体数も尐ないため,絶滅危惧Ⅰ類に新規掲載した。 ・キヌシッポゴケモドキ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 生育地が限定され,登山者などによる踏み付け被害が生じているため,絶滅危惧Ⅱ 類に新規掲載した。 ・ヒメタデ,ナツツバキ,イヌタヌキモ,ムカゴソウ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 生育地が限定され,個体数も尐ないため,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載した。 ・ミチノクサイシン,エゾノタチツボスミレ,ミズオオバコ,ヒメスズダケ(未掲載→ 準絶滅危惧) 生育地が尐ないが,絶滅危惧状態になる可能性は低いため,準絶滅危惧種に新規掲 載した。 ・カリヤス(未掲載→要注目種) 生育地が限られており,今後の調査が必要なため,要注目種に新規掲載した。 【カテゴリー変更があった種のうち重要な種】 ・ハルリンドウ(絶滅危惧Ⅰ類→絶滅) 太平洋岸分布北限であり,生育地も局限されていたが,今回の調査で生育は確認さ れなかったため,絶滅に変更した。

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・ヒシモドキ(絶滅危惧Ⅰ類→絶滅) 各地の池沼に尐数ではあるものの生育していたが,農薬などによる水質汚染により 今回の調査では確認出来なかったため,絶滅に変更した。 ・ミズスギ(絶滅危惧Ⅱ類→絶滅) 土砂の流入や噴気の減尐で絶滅したことが確認されたため,絶滅に変更した。 ・ホンゴウソウ(情報不足→絶滅危惧Ⅰ類) 生育地が極めて尐ないことが確認されたため,絶滅危惧Ⅰ類に変更した。 ・デンジソウ(絶滅危惧Ⅰ類→野生絶滅) 各地の池沼や水田などに生育していたが,今回の調査で生育は確認されなかったた め,野生絶滅に変更した。 ・アカネムグラ,アキウネマガリ,サナギスゲ,ハタベスゲ(絶滅→絶滅危惧Ⅰ類) 今回の調査で生育を確認したため,絶滅危惧Ⅰ類に変更した。 ・クリンユキフデ(絶滅危惧Ⅱ類→絶滅危惧Ⅰ類) 産地が尐なく園芸的採取が行われる可能性があるため,絶滅危惧Ⅰ類に変更した。 ・ヒメキンポウゲ,クサアジサイ,クサボケ,ヤナギラン,カイジンドウ,ツルカコソ ウ,ハグロソウ,ミヤコアザミ,ヒメヒゴタイ,ヒオウギ,カンスゲ,エゾミクリ, オオミズトンボ,ミズチドリ(絶滅危惧Ⅱ類→絶滅危惧Ⅰ類) 生育地が尐なく,個体数が減尐していることが確認されたため,絶滅危惧Ⅰ類に変 更した。 ・オキナグサ(絶滅危惧Ⅱ類→絶滅危惧Ⅰ類) 園芸採取で激減したため,絶滅危惧Ⅰ類に変更した。 ・スブタ(絶滅危惧Ⅱ類→絶滅危惧Ⅰ類) 水質汚染により激減したため,絶滅危惧Ⅰ類に変更した。 ・アオキラン(絶滅危惧Ⅱ類→絶滅危惧Ⅰ類) 今回の調査で生育が確認されなかったため,絶滅危惧Ⅰ類に変更した。 ・フモトシダ,オニカナワラビ,コウライイヌワラビ(準絶滅危惧→絶滅危惧Ⅰ類) 生育地が減尐傾向にあるため,絶滅危惧Ⅰ類に変更した, ・エゾフスマ,ジャケツイバラ,ヨコグラノキ(準絶滅危惧→絶滅危惧Ⅰ類) 生育地が限定され個体数が減尐傾向にあるため,絶滅危惧Ⅰ類に変更した。 ・セキショウモ(準絶滅危惧→絶滅危惧Ⅰ類) 水路の環境悪化で激減していることが確認されたため,絶滅危惧Ⅰ類に変更した。 ・ミズニラモドキ,アオホラゴケ,ギフベニシダ,アズマシロカネソウ,ヒキノカサ, サワルリソウ(情報不足→絶滅危惧Ⅰ類) 生育地が尐ない,あるいは限定されていることが確認されたため,絶滅危惧Ⅰ類に 変更した。 ・タヌキマメ(情報不足→絶滅危惧Ⅰ類) セイタカアワダチソウの繁茂の影響で激減したことが確認されたため,絶滅危惧Ⅰ 類に変更した。 ・ミヤコヤブソテツ,タカネグンナイフウロ(要注目種→絶滅危惧Ⅰ類) 宮城県が分布の北限であり,個体数が激減していることが確認されたため絶滅危惧

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Ⅰ類に変更した。 ・オオタカネバラ,エゾノシロバナシモツケ,エゾヒョウタンボク(要注目種→絶滅危 惧Ⅰ類) 生育地が限定され,個体数が尐ないことが確認されたため,絶滅危惧Ⅰ類に変更し た。 ・オクエゾサイシン,ヤシャビシャク,オオイワカガミ(絶滅危惧Ⅰ類→絶滅危惧Ⅱ類) 山地帯でやや普通に生息しているため,絶滅危惧Ⅱ類に変更した。 ・コモウセンゴケ(絶滅危惧Ⅰ類→絶滅危惧Ⅱ類) 今回の調査で生育地が見い出されたため,絶滅危惧Ⅱ類に変更した。 ・シコタンソウ(絶滅危惧Ⅰ類→絶滅危惧Ⅱ類) 生育地が限定され,人為の加わる可能性は低いため,絶滅危惧Ⅱ類に変更した。 ・センダイハギ,ヒメシロアザサ,アサザ(絶滅危惧Ⅰ類→絶滅危惧Ⅱ類) 生育地が比較的多いことが確認されたため,絶滅危惧Ⅱ類に変更した。 ・キキョウ,カキツバタ,エビネ,キンラン,ヒメノヤガラ,ノヤマトンボ,トキソウ, カヤラン,ハクウンラン(絶滅危惧Ⅰ類→絶滅危惧Ⅱ類) 県内にやや普通に生育していることが確認されたため,絶滅危惧Ⅱ類に変更した。 ・キヨスミヒメワラビ,オクヤマヒメワラビ,モメンヅル,ミチノククワガタ(準絶滅 危惧→絶滅危惧Ⅱ類) 生育地が減尐傾向にあることが確認されたため,絶滅危惧Ⅱ類に変更した。 ・ミヤマツチトリモチ,コキツネノボタン,カワラニガナ,ヒナザサ(情報不足→絶滅 危惧Ⅱ類) 生育地が尐なく個体数も尐ないことが確認されたため,絶滅危惧Ⅱ類に変更した。 ・ハコネシケチシダ,オニヒカゲワラビ,ウサギシダ,トキホコリ,アブクマトラノオ, カワラサイコ,カラフトイチヤクソウ,タチコゴメクサ,クワガタソウ(要注目種→ 絶滅危惧Ⅱ類) 生育地が尐ない,あるいは限定されていることが確認されたため,絶滅危惧Ⅱ類に 変更した。 ・タカサゴソウ,ヤナギスブタ,スズラン(要注目種→絶滅危惧Ⅱ類) 水質汚染などのより減尐していることが確認されたため,絶滅危惧Ⅱ類に変更した。 ・ムラサキミミカキグサ(絶滅危惧Ⅰ類→準絶滅危惧) 今回の調査で,県内にやや普通に生育していることが確認されたため,準絶滅危惧 に変更した。 ・オオイタイシダ,マメヅタ,ナンブワチガイソウ,ルリソウ,イガタツナミソウ,ツ ルスゲ,ユウシュンラン,エゾスズラン,ハマカキラン,ジガバチソウ,ツレサギソ ウ(絶滅危惧Ⅱ類→準絶滅危惧) 生育地が普通あるいは比較的多いことが確認されたため,準絶滅危惧に変更した。 ・ヒメマイヅルソウ(情報不足→準絶滅危惧) やや普通に生育していることが確認されたため,準絶滅危惧に変更した。 ・ミクリ(要注目種→準絶滅危惧) 水路改修,水質汚染などで一時期したが,回復してきたことが確認されたため,準

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絶滅危惧に変更した。 ・ナガエミクリ(要注目種→準絶滅危惧) 生育地が尐ないため,準絶滅危惧に変更した。 【改訂レッドリストで除外された種のうち重要な種】 ・コシダ(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 宮城県のものは同定間違いであったことが確認されたため,除外した。 ・キツネノマゴ(絶滅危惧Ⅱ類→除外) 宮城県での生育が自生であるかどうかが疑問であるため,除外した。 ・ミズアオイ(絶滅危惧Ⅱ類→除外) 不利用水田が増加し,水田を維持するために耕起し,土壌を攪乱することによって 生育環境が維持されること,また,農薬に対する耐性が獲得されてきている可能性が あるようであり,生育地や個体数が回復してきている状況であり除外した。 ・ニシキソウ(準絶滅危惧→除外) 自然帰化植物であることにより除外した。 ・ツルボ(準絶滅危惧→除外) 園芸的に利用される可能性はあるが,宮城県内にはやや普通に生育することにより 除外した。 ・カラスウリ(情報不足→除外) 暖地性の種類で昭和 40 年代までは宮城県には生育しないということが通説であっ た。現在,宮城県に生育するものは人家近くに生育し,園芸的に植栽されたものであ るとして除外した。 ・コツブガヤ,ヒダリマキガヤ,マルミガヤ(要注目種→除外) 国の天然記念物に指定されていることで保護されており,また,これらの種類は雌 雄異株であるため,種子からは同一個体が発生するかは不明であり除外した。 ・キンカアザミ(要注目種→除外) 牡鹿半島の東に浮かぶ金華山に多数生育していること,葉の棘が鋭く葉形も園芸的 に利用されることもないものとして除外した。 ・シロイヌナズナ(要注目種→除外) 帰化植物として除外した。

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○哺乳類

【新規に掲載された種のうち重要な種】 ・チチブコウモリ,カワネズミ,トガリネズミ(未掲載→情報不足) 上記3種は,宮城県レッドデータブックには未掲載であった。その後の調査活動を 経て,現在でもなお調査が困難であり,情報を十分に得ることができないため,情報 不足に新規掲載した。 チチブコウモリは海岸域で調査期間中に1個体を確認しているが,その他には全く 情報が得られていない。カワネズミ,トガリネズミは山地で尐数の記録が得られてい る。継続的に分布情報が得られているものの正確な密度の調査が困難であり,個体群 を維持するのに十分な個体密度が維持されていると判断する根拠がない。 ・金華山島のニホンザル(未掲載→絶滅のおそれのある地域個体群) 本県のニホンザル個体群は大きくいえば本土に分布する「单奥羽・飯豊单個体群」 と,孤立島嶼個体群である「金華山島個体群」の2つに分けられる。このうち前者の 「单奥羽・飯豊单個体群」は県境をまたいで山形県・福島県まで,遺伝的に交流を保 ちながら広い範囲に分布しており,3県のすべてにおいて,80年代より里山方向に 分布が拡大またはスライドしている。環境省レッドリストでは,1998 年度版において 複数のポピュレーション(個体群)を含む「東北地方のニホンザル」を「絶滅のおそ れのある地域個体群」として一括掲載したものの,2007 年度版では一部を除きリスト から除外しており,「单奥羽・飯豊单個体群」も未掲載となっている。本県において も,本土のニホンザル個体群はさまざまな課題に直面し保全が必要であることに変わ りはないが,個体群の維持の危急性は相対的に低い。 一方,金華山島は全個体数が250頭程度と極めて小規模の個体群であり,生息地 の生態系は極めて深刻な崩壊の危機にさらされている。森林性の動物であるニホンザ ルの生息環境の質の保全は一朝一夕にできることではなく,保全対策は待ったなしの 状況に置かれている。ここまで金華山島個体群の保全が進展してこなかった状況に鑑 みて,改訂レッドリストでは「金華山のニホンザル」を絶滅のおそれのある地域個体 群として特定し,あえてこの個体群をリストに新規掲載することにより,金華山島の ニホンザル個体群の保全が一刻も早く必要であるという状況を明確にする。 【カテゴリー変更があった種のうち重要な種】 ・カグヤコウモリ(絶滅危惧Ⅱ類→絶滅危惧Ⅰ類) 宮城県レッドデータブックの評価以降,本種に関しては毎年,継続的に森林内で分 布調査が実施されてきた。特に過去5年間は,優れた調査機器を使用することにより, コウモリ捕獲調査の効率は格段に高まっている。それにもかかわらず本種は,10年 間に3例の捕獲記録があるのみにとどまっており,生息数は相当に尐ないと示唆され

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る。また,他県の生息状況などをみても本種は人為的な撹乱の影響を受けやすいこと が知られているため,絶滅危惧Ⅰ類に変更した。

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○鳥 類

【新規に掲載された種のうち重要な種】 ・ヒメクロウミツバメ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 岩手県の繁殖地の行動範囲として,えのしま江 島列島に夏鳥として飛来するも繁殖はまだ 確認されてない。ドブネズミによる捕食圧のため地上には降りられない。継続した生 息が確認されたので,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載した。 ・ヒメウ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 冬鳥として沿岸に渡来する。分布はアメリカ合衆国東部,カナダ東部,日本,ロシ ア東部の太平洋沿岸。県内渡来数は減尐傾向が続き希尐になった。県内の減尐に関係 する環境要因の一つとしてウミウの増加による生息域圧迫が考えられ,絶滅リスクが 高いため,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載した。 ・ヨシゴイ(未掲載→準絶滅危惧) 夏鳥である。近年個体数が減尐し,主に湿性草地やアシ原に生息するため,環境変 化による生息圧迫がある。絶滅リスクがあるため,準絶滅危惧に新規掲載した。 ・ヒクイナ(未掲載→絶滅危惧Ⅰ類) ごく希な夏鳥として平野部水辺に生息する。個体数が尐なく目立ちにくさから記録 は尐ない。全国的に減尐傾向であり,県内でも激減しているが,原因は不明である。 絶滅リスクが高いため,絶滅危惧Ⅰ類に新規掲載した。 ・カンムリウミスズメ(未掲載→準絶滅危惧) 希な冬鳥として県内沿岸洋上に渡来する。日本周辺のみで繁殖する。油による海洋 汚染,漁業による混獲,繁殖地に投棄されたゴミによって増加したドブネズミやハシ ブトガラスなどの捕食により生息数は減尐している。県内での絶滅リスク要因は尐な いものの,繁殖期の観察記録もあるため,準絶滅危惧に新規掲載した。 ・ヨタカ(未掲載→準絶滅危惧) 夏鳥として平地から山地にかけての林地に生息する。夏季に中華人民共和国東部, ロシア单東部,朝鮮半島で繁殖し,冬季になるとインドネシアやフィリピン,インド シナ半島へ单下し越冬する。開発による生息地の破壊などにより生息数は減尐してお り,県内でも生息数が減尐しているため,準絶滅危惧に新規掲載した。 ・ヤマセミ(未掲載→要注目) りゅうちょう 留 鳥として平地から山地にかけての河川,湖沼に生息する。アフガニスタン北東 部からヒマラヤ,インドシナ半島北部,中国中部以单,日本まで分布する。県内では ダムの建設により河川が貧弱になり個体数が減尐した。現在も個体数は尐ない状態が 続いているため,要注目に新規掲載した。 【カテゴリー変更があった種のうち重要な種】 ・アホウドリ(絶滅危惧Ⅱ類→準絶滅危惧)

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希な旅鳥であるが,個体数は増加し,宮城県沖でも観察記録が増えてきている。県 内における絶滅の危惧はないものの,全個体数は2500羽程度であり,依然絶滅が 危惧されるため,準絶滅危惧に変更した。 ・クロコシジロウミツバメ(情報不足→絶滅危惧Ⅱ類) 夏鳥として江島列島に渡来する。岩手県の繁殖地の行動範囲としても尐数が飛来す るが,繁殖は確認されてない。女川町あし足じま島でへい斃し死体の報告あり。ドブネズミによる捕たい 食圧のため,地上に降りられない。継続した生息が確認されたので,絶滅危惧Ⅱ類に 変更した。 ・マガン(準絶滅危惧→要注目) 冬鳥である。カナダ,アラスカ州,シベリア東部で繁殖し,冬季になるとアメリカ 合衆国,大韓民国,中華人民共和国,日本(主に石川県,新潟県,宮城県),メキシ コなどへ单下し越冬する。県内の個体数は多数おり(10万羽),さらに増加してい るものの,分布は局所的のため,要注目に変更した。 ・ウトウ(絶滅危惧Ⅰ類→絶滅危惧Ⅱ類) 留鳥として県内沿岸に生息する尐数種である。北日本沿岸からカリフォルニア州ま での北太平洋沿岸に広く分布し,日本でも北海道のて う り と う天売島,だい大こく黒島,じま お渡しま島こ小じま島,岩 手県のつばきしま椿 島,宮城県の足島などで繁殖する。天売島は約100万羽が繁殖するとい われ,世界最大の繁殖地となっている。足島は日本での繁殖地の单限とされる。オオ ミズナギドリによる営巣地の圧迫とドブネズミによる捕食圧力が絶滅懸念となって おり,個体数の減尐傾向が懸念されたが,現在は下げ止まった状況であるため,絶滅 危惧Ⅱ類に変更した。 ・アオバズク(準絶滅危惧→絶滅危惧Ⅱ類) 希な夏鳥として県内に生息する。夏季に中華人民共和国,日本,朝鮮半島,ウスリ ー(ユーラシア大陸北東部)で繁殖し,冬季になると東单アジアへ单下し越冬する。 大木のじゅどう樹 洞に巣を作るため社寺林に飛来したり,昆虫類を食べるため夜間に街灯に飛 来することもある。営巣木の倒伏や伐採,越冬地での開発により個体数を減らしてお り,県内も減尐しているため,絶滅危惧Ⅱ類に変更した。 ・オオセッカ(絶滅危惧Ⅰ類→準絶滅危惧) ごく希な旅鳥・冬鳥として平野部水辺草地に生息する日本固有亜種である。夏季に 青森県(岩木川河口,ほとけぬま仏 沼),茨城県(霞ヶ浦),千葉県(利根川下流域)などで 繁殖する。関東地方から瀬戸内海沿岸にかけての太平洋側で越冬し,雪の尐ないヨシ 原に広く分布していると考えられている。県内での繁殖記録もあったが,現在は繁殖 していない。県内の生息環境に変化はないため,準絶滅危惧に変更した。

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【改訂レッドリストで除外された種のうち重要な種】 ・チュウサギ(準絶滅危惧→除外) 夏鳥である。世界的には安定している。日本でも過去は多数が繁殖していたが,繁 殖適地の減尐や田畑での農薬使用に伴う捕食対象の減尐などにより渡来数が漸減し, 観察数は 1970 年代にコサギと逆転した。近年県内の個体数は増加傾向にあり,生息 環境のリスクもないため除外した。 ・ミサゴ(準絶滅危惧→除外) 留鳥として沿岸から中流域まで生息する。個体数は増加しており,生息リスクは低 いため,除外した。 ・タマシギ(要注目→除外) ごく希な夏鳥として平野部に局所分布する。インドから東单アジア,中国,アフリ カ,オーストラリアに分布する。日本では,本州中部以单に留鳥として生息する。宮 城県は生息域の北側境界にあたり,一時的な進出により繁殖記録もあったが,近年は 観察記録がない。県内は本来の生息域でないため,除外した。 ・アカアシシギ(準絶滅危惧→除外) 旅鳥として県内干潟,泥湿地に渡来する。ユーラシア大陸の温帯・亜寒帯域で繁殖 し,冬季(北半球の)はアフリカ大陸やユーラシア大陸单部等へ单下し越冬する。日 本では亜種アカアシシギが渡りの途中に飛来するが,北海道東部(の野付半島やつけ お尾だい岱とう沼、 ふう 風れん蓮こ湖等)では尐数繁殖している。県内での絶滅リスクは尐ないため,除外した。 ・フクロウ(要注目→除外) 留鳥として平地から山地にかけての森林に生息する。夜行性で,昼間は樹洞や木の 茂み内などで休む。渡りは行わず,ユーラシア大陸に広く分布する。県内を調査した 結果,多くの個体数を確認できたため,除外した。 ・ノビタキ(地域個体→除外) 夏鳥として山地の草地に生息する。ユーラシア大陸中部,西部で繁殖し,冬期は单 方へ渡る。東单アジア,インド等では周年見ることができる。日本では夏鳥として, 本州中部以北に渡来し繁殖するため,県内での観察の多くは旅鳥である。单蔵王地域 の繁殖地は開拓(草地)により繁殖適地になり一時的に入り込んだもので,絶滅とは 言えないので,除外した。

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○両生類・爬虫類

【新規に掲載された種のうち重要な種】 ・アカウミガメ(未掲載→情報不足) 以前から本県の海岸に死骸が漂着することはあったが,近年,本県单部海岸に上陸 している個体が確認された。本県海岸で継続的に産卵が行われるかどうか,今後も情 報収集に努める必要があるが,現時点では情報不足に新規掲載した。 ・ニホンスッポン(未掲載→情報不足) 県内でわずかに目撃情報はあるが,生息数は不明である。人為分布の可能性もある が,県内で組織的に養殖が行われたという情報はないため,情報不足に新規掲載した。 【カテゴリー変更があった種のうち重要な種】 ・トノサマガエル(情報不足→要注目種) 宮城県レッドデータブックでは情報不足となっていたが,同カテゴリーに区分され る他の種が生息は確認されているのに対して,本種は県内での生息が確認されていな いことから,カテゴリー変更が適当とされた。なお,本種は本県を北や西から囲むよ うに分布しており,地理的に本県に分布している可能性はあり,分布境界の確定の意 味からも今後も注目していく必要があるため,要注目種に変更した。 【改訂レッドリストで除外された種のうち重要な種】 ・ニホンアカガエル(準絶滅危惧→除外) 今回の調査で,平野部における農地改良事業後の水田などでも生息が確認され,当 面県内での絶滅の心配はなくなったため,除外した。

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○汽水・淡水魚

【新規に掲載された種のうち重要な種】 ・ハナカジカ(未掲載→絶滅危惧Ⅰ類) 生息地が限定し,個体数も尐ないことが確認されたため,絶滅危惧Ⅰ類に新規掲載 した。 ・チクゼンハゼ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 生息地が限定し,かなり希であることが確認されたため,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載 した。 ・ルリヨシノボリ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 生息地が限定しているうえ,人為の改変が進み個体数が尐ないことが確認されたた め,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載した。 ・カワヤツメ,クルメサヨリ(未掲載→情報不足) 記録が尐なく,生息状況が不明なため,情報不足に新規掲載した。 【カテゴリー変更があった種のうち重要な種】 ・タナゴ(絶滅危惧Ⅱ類→絶滅危惧Ⅰ類) 生息地,個体数ともに著しく減尐していることが確認されたため,絶滅危惧Ⅰ類に 変更した。 ・ヤリタナゴ(情報不足→絶滅危惧Ⅰ類) 生息地の人工改変が進んでおり,抗体数が極めて尐ないことが確認されたため,絶 滅危惧Ⅰ類に変更した。 ・カジカ小卵型(準絶滅危惧→絶滅危惧Ⅱ類) 個体数の減尐が確認されたため,絶滅危惧Ⅱ類に変更した。 ・イトヨ日本海型(絶滅危惧Ⅱ類→情報不足) 情報が尐なく,確かな生息地が不明なため,情報不足に変更した。 【改訂レッドリストで除外された種のうち重要な種】 ・チョウセンブナ(情報不足→除外) 昔から県民に親しまれた魚であり,ほぼ絶滅状態まで減尐したため,宮城県レッド データブックに掲載したが,外来種であり,現在,確かな生息地が見当たらないため, 除外した。

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○昆虫類

【新規に掲載された種のうち重要な種】 ・ヒメアカネ(未掲載→絶滅危惧Ⅰ類) 生息地が限定していることが確認されたため,絶滅危惧Ⅰ類に新規掲載した。 ・コノシメトンボ(未掲載→絶滅危惧Ⅰ類) 生息地が限定していることが確認されたため,絶滅危惧Ⅰ類に新規掲載した。 ・ヨツボシカミキリ(未掲載→絶滅危惧Ⅰ類) クリやコナラなどの広葉樹を寄主とする種で,かつては低地から低山地に普通だっ たが,近年,理由がわからないまま全国的に激減している。県内でも過去20年程度 記録されていないことから,絶滅危惧Ⅰ類に新規掲載した。 ・コウノスジガバチモドキ(未掲載→絶滅危惧Ⅰ類) 生息地が限定し,個体数も尐ないことが確認されたため,絶滅危惧Ⅰ類に新規掲載 した。 ・ノウメンハナバチ(未掲載→絶滅危惧Ⅰ類) 生息地が限定していることが確認されたため,絶滅危惧Ⅰ類に新規掲載した。 ・ホソメンハナバチ(未掲載→絶滅危惧Ⅰ類) 生息地が限定していることが確認されたため,絶滅危惧Ⅰ類に新規掲載した。 ・トモンハナバチ(未掲載→絶滅危惧Ⅰ類) 生息地が限定していることが確認されたため,絶滅危惧Ⅰ類に新規掲載した。 ・コバンムシ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 生息地の植物が豊富な池沼が,耕作地の水利変化や護岸整備工事などによる生息環 境の悪化が懸念されるため,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載した。 ・アオホソゴミムシ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 生息地の大部分で明らかに生育環境が悪化したため,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載した。 ・カツオマルドロムシ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 生息地の大部分で明らかに生育環境が悪化したため,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載した。 ・コホネゴミムシダマシ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 生息地の大部分で明らかに生育環境が悪化したため,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載した。 ・ホネゴミムシダマシ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 生息地の大部分で明らかに生育環境が悪化したため,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載した。 ・フタスジカタビロハナカミキリ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 寄主の減尐により生息地の大部分で明らかに生育環境が悪化したため,絶滅危惧Ⅱ 類に新規掲載した。 ・シラハタミズクサハムシ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 生息地の大部分で明らかに生育環境が悪化したため,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載した。 ・クロガネネクイハムシ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 生息地の大部分で明らかに生育環境が悪化したため,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載した。 ・タグチホソヒラタハムシ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類)

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生息地の大部分で明らかに生育環境が悪化したため,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載した。 ・ニトベギングチ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 生息地が限定し,個体数も尐ないことが確認されたため,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載 した。 ・キスジツチスガリ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 生息地が限定し,個体数も尐ないことが確認されたため,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載 した。 ・キヌゲハキリバチ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 生息地が限定し,個体数も尐ないことが確認されたため,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載 した。 ・チビトガリハナバチ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 生息地が限定し,個体数も尐ないことが確認されたため,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載 した。 ・ギンボシスズメ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 生息環境が開発による改変が及びやすく,30年以上生息記録がないため,絶滅危 惧Ⅱ類に新規掲載した。 ・リスアカネ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 生息地が限定し,個体数も尐ないことが確認されたため,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載 した。 【カテゴリー変更があった種のうち重要な種】 ・メガネサナエ(絶滅危惧Ⅱ類→絶滅) 1978 年の伊豆沼,化女沼,岩出山での記録以降,繰り返しの調査にもかかわらず確 認できないため,絶滅に変更した。 ・オオキトンボ(絶滅危惧Ⅱ類→絶滅) 1977 年の化女沼での記録以降,繰り返しの調査にもかかわらず確認できないため, 絶滅に変更した。 ・ヒメサナエ(絶滅危惧Ⅱ類→絶滅危惧Ⅰ類) 以前に比べ,生息地が限定し,個体数も減尐していることが確認されたため,絶滅 危惧Ⅰ類に変更した。 ・オオトラフトンボ(絶滅危惧Ⅱ類→絶滅危惧Ⅰ類) 以前に比べ,生息地が限定し,個体数も減尐していることが確認されたため,絶滅 危惧Ⅰ類に変更した。 ・ハッチョウトンボ(絶滅危惧Ⅱ類→絶滅危惧Ⅰ類) 以前に比べ,生息地が限定し,個体数も減尐していることが確認されたため,絶滅 危惧Ⅰ類に変更した。 ・ウスジロドクガ(絶滅危惧Ⅱ類→絶滅危惧Ⅰ類) 生息環境が草原であるが,1968 年の蔵王町での記録以降,繰り返しの調査にもかか わらず確認できないため,絶滅危惧Ⅰ類に変更した。 ・カトリヤンマ(準絶滅危惧→絶滅危惧Ⅰ類)

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以前に比べ,個体数が減尐していることが確認されたため,絶滅危惧Ⅰ類に変更し た。 ・ナゴヤサナエ(情報不足→絶滅危惧Ⅰ類) 現存数や絶滅率では表せない種の生態要素等を考慮し,絶滅危惧Ⅰ類に変更した。 ・オオキバナガミズギワゴミムシ(情報不足→絶滅危惧Ⅰ類) 近年の記録がないうえに生育環境は著しく悪化していることが確認されたため,絶 滅危惧Ⅰ類に変更した。 ・アオスジハナバチ(要注目種→絶滅危惧Ⅰ類) 過去20年程度,県内での記録がなく生育環境は著しく悪化していることが確認さ れたため,絶滅危惧Ⅰ類に変更した。 ・ホンサナエ(準絶滅危惧→絶滅危惧Ⅱ類) 以前に比べ,個体数が減尐していることが確認されたため,絶滅危惧Ⅱ類に変更し た。 ・キバナミズギワゴミムシ(情報不足→絶滅危惧Ⅱ類) 大部分の生息地で明らかに生育環境が悪化していることが確認されたため,絶滅危 惧Ⅱ類に変更した。 ・ツヤキベリアオゴミムシ(情報不足→絶滅危惧Ⅱ類) 大部分の生息地で明らかに生育環境が悪化していることが確認されたため,絶滅危 惧Ⅱ類に変更した。 ・ヤマトキモンハナカミキリ(要注目種→絶滅危惧Ⅱ類) 大部分の生息地で明らかに生育環境が悪化していることが確認されたため,絶滅危 惧Ⅱ類に変更した。 ・クロスジカメノコハムシ(要注目種→絶滅危惧Ⅱ類) 大部分の生息地で明らかに生育環境が悪化していることが確認されたため,絶滅危 惧Ⅱ類に変更した。 ・シラフヒョウタンゾウムシ(要注目種→絶滅危惧Ⅱ類) 宮城県が单限であるが,大部分の生息地で明らかに生育環境が悪化していることが 確認されたため,絶滅危惧Ⅱ類に変更した。 ・ミヤギノプセン(要注目種→絶滅危惧Ⅱ類) 以前に比べ,個体数が減尐していることが確認されたため,絶滅危惧Ⅱ類に変更し た。 ・ニッポンハナダカバチ(要注目種→絶滅危惧Ⅱ類) 生育環境の劣化し,個体数が減尐していることが確認されたため,絶滅危惧Ⅱ類に 変更した。 ・ヒメギフチョウ本州亜種(絶滅危惧Ⅱ類→準絶滅危惧) 今回の定量判定ではランク外であったが,環境破壊のされやすい生息地が多いため, 準絶滅危惧に変更した。 ・ダイコクアリヅカムシ(絶滅→情報不足) 近年の記録はないが,土壌中に生息する小型種のため一般的な採集方法では確認す ることが難しく,見落とされている可能性が高いと考えられるため,情報不足に変更

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した。 【改訂レッドリストで除外された種のうち重要な種】 ・ベニイトトンボ(絶滅→除外) 標本・採集の記録は確認されず、東北地方の他の5県にも記録がないため,除外し た。 ・ムスジイトトンボ(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 調査により,個体数が増加していることが確認されたため,除外した。 ・タイリクアカネ(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 調査により,個体数が増加していることが確認されたため,除外した。 ・クロカタビロオサムシ(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 調査により,当面衰退の恐れはないと確認されたため,除外した。 ・キタカブリ(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 調査により,普遍的に分布していると確認されたため,除外した。 ・ミヤマヒサゴゴミムシ(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 過去の記録地が宮城県外であり,評価の対象とならないため,除外した。 ・ザオウメクラチビゴミムシ(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 調査により,生育環境が良好に保たれ,当面衰退の恐れはないと確認されたため, 除外した。 ・エグリナガゴミムシ(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 調査により,生育環境が良好に保たれ,当面衰退の恐れはないと確認されたため, 除外した。 ・ニッコウオオズナガゴミムシ(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 調査により,生育環境が良好に保たれ,当面衰退の恐れはないと確認されたため, 除外した。 ・トウホクナガケシゲンゴロウ(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 調査により,生育環境が良好に保たれ,当面衰退の恐れはないと確認されたため, 除外した。 ・ゴマダラチビゲンゴロウ(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 調査により,生育環境が良好に保たれ,当面衰退の恐れはないと確認されたため, 除外した。 ・オオヒメゲンゴロウ(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 調査により,普遍的に分布していると確認されたため,除外した。 ・オオヒラタガムシ(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 調査により,生育環境が良好に保たれ,当面衰退の恐れはないと確認されたため, 除外した。 ・タカオオニニセチビシデムシ(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 近似種が多いが,ほとんど調査されておらず,現時点では絶滅の恐れがあるか判断 するのは極めて困難であるため,除外した。 ・ウスアカバホソハネカクシ(絶滅危惧Ⅰ類→除外)

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調査により,普遍的に分布していると確認されたため,除外した。 ・カクツヤケシアバタハネカクシ(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 近似種が多いがほとんど調査されておらず,現時点では絶滅の恐れがあるか判断す るのは極めて困難であるため,除外した。 ・オオチャイロハナムグリ(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 調査により,生育環境が良好に保たれ,当面衰退の恐れはないと確認されたため, 除外した。 ・クロミドリシジミ(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 調査により,過去に記録された地域で当面衰退の恐れはないと確認されたため,除 外した。 ・エルタテハ(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 山岳部に生息する種で生育環境が安定しており,当面衰退の恐れはないと確認され たため,除外した。 ・ウコンカギバ(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 調査により,生息域が多数有ることが確認されたため,除外した。 ・スカシカギバ(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 調査により,生息域が多数有ることが確認されたため,除外した。 ・スジモンフユシャク(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 調査により,生息域が多数有ることが確認されたため,除外した。 ・ネアカナカジロナミシャク(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 調査により,当面衰退の恐れはないと確認されたため,除外した。 ・クロフシロエダシャク(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 調査により,生息域が多数有ることが確認されたため,除外した。 ・ムラサキミツボシキリガ(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 調査により,生息域が多数有ることが確認されたため,除外した。 ・アミメキシタバ(絶滅危惧Ⅰ類→除外) 過去の記録でも生息状況が不明であり,判定の対象外として除外した ・スズムシ(絶滅危惧Ⅱ類→除外) ペットとして親しまれ、近年は放虫が原因と考えられる分布の拡大が起きているた め,除外した。 ・オオムラサキ(準絶滅危惧→除外) 平成の大合併前の旧71市町村について,2000 年以降30%を超える市町で記録が あるため,除外した。 ・アサギマダラ(要注目種→除外) 单方から毎年飛来する種であり,本県に土着していないため,除外した。

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○海岸地域の無脊椎動物類

【新規に掲載された種のうち重要な種】 ・イボウミニナ(未掲載→絶滅危惧Ⅰ類) 全国的に減尐傾向であり,関東以北では県内の一カ所でのみしか確認されておらず, 県内の個体数も尐ないため,絶滅危惧Ⅰ類に新規掲載した。 ・カワグチツボ(未掲載→絶滅危惧Ⅰ類) 県内では 2003 年に記録されて以来,確認情報がない。泥干潟に生息するが,汽水域 の泥底という環境が失われてきていることから,絶滅危惧Ⅰ類に新規掲載した。 ・サザナミツボ(未掲載→絶滅危惧Ⅰ類) 全国的に記録が尐なく,産地が限られている種類であり,県内では近年確認情報が ないことから,絶滅危惧Ⅰ類に新規掲載した。 ・ハマガニ(未掲載→絶滅危惧Ⅰ類) 河口域のヨシ原に巣穴を掘って棲むが,近年,生息記録がなく,生育環境の減尐な どが影響していると考えられるため,絶滅危惧Ⅰ類に新規掲載した。 ・イボキサゴ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 県内ではまれに見られる程度である。ろ過食を行う貝であり,海域の汚染が生存に 影響することが考えられるため,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載した。 ・フトヘナタリ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 仙台湾岸のヨシ原では数カ所で普通に見られるが,宮城県が分布北限地であり,生 息場所の面積が狭いことに加えて,新規加入個体が尐ないようであることから,絶滅 危惧Ⅱ類に新規掲載した。 ・カワアイ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 泥干潟に生息する種であるが,生息場所が限られており,個体数も尐ないことから, 絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載した。 ・クビキレガイモドキ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 県内では,2008 年以降に初めて生息が確認されたが,生息場所,生息数ともに極め て限られているため,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載した。 ・ヨシダカワザンショウ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) ヨシ原内やその上部に生息するが,生息場所が限られており,まれに記録される程 度であることから,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載した。 ・ウスコミミガイ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 内湾や外洋に面した潮上帯の転石地で,波しぶきがかかるところの転石下に生息す る。県内では,2009 年以降に初めて生息が確認されたが,生息場所が限られており, 個体数も尐ないことから,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載した。 ・ハマグリ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 県内ではほぼ絶滅に近かったようである。近年個体群の回復がなされているが,生 息環境が良好に保たれなければ,現状以上の回復は難しいと思われるため,絶滅危惧 Ⅱ類に新規掲載した。

(30)

・ユムシ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 生息地が限定しており,個体数が尐ないことから,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載した。 ・トリウミアカイソモドキ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 県内では 2003 年以降の生息記録がない。砂泥質干潟で,アナジャコ類の巣穴を利用 して暮らすなど生息環境が限られているうえに個体数も尐ないと思われるため,絶滅 危惧Ⅱ類に新規掲載した。 ・スナガニ(未掲載→絶滅危惧Ⅱ類) 砂浜に生息するが,近年生息数が減尐しており,分布も局所的になっているように 思われるため,絶滅危惧Ⅱ類に新規掲載した。 ・ツブカワザンショウ(未掲載→準絶滅危惧) 転石などに付着して生息するが,東日本の生息地として今までのところ本県だけが 知られている。生息場所が限られていることから,準絶滅危惧に新規掲載した。 ・アカガイ(未掲載→準絶滅危惧) 漁業対象種であり,近年漁獲量の減尐が著しいことから,個体群の衰退が進んでい るものと思われるため,準絶滅危惧に新規掲載した。 ・マシジミ(未掲載→準絶滅危惧) 本来は淡水域に生息する種であり,河川での調査が進めばもっと生育状況が明確に なってくると思われるが,汽水域においては外来種との競合が心配されることもあり, 準絶滅危惧に新規掲載した。 ・アカテガニ(未掲載→準絶滅危惧) 以前は数多く見られたが,近年見かける回数が尐なくなっているため,個体数の減 尐が危惧されることから,準絶滅危惧に新規掲載した。

参照

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