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Global Entertainment and Madia Outlook

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(1)

朝 元 照 雄

はじめに

デジタルコンテンツは台湾政府が積極的に 育成する産業の1つである。行政院の「両兆 双星」計画において,デジタルコンテンツ産 業を台湾の経済発展の牽引産業である「希 望の星」に育成することである1)。「両兆双 星」計画の「両兆」とは,半導体産業および 液晶ディスプレイ産業をそれぞれ1兆台湾元 (3兆円×2=約6兆円)のビジネスに育成 すること。「双星」とは,将来に向けてデジ タルコンテンツ産業およびバイオテクノロジ 産業をそれぞれ1兆台湾元(6兆円)のビジ ネスに育てることである。半導体産業および 液晶ディスプレイ産業については既に小著で 論じてきた2)。本論はデジタルコンテンツ産 業の発展の経緯に焦点を当てて分析を進める ことにしたい。 まず,本論の第Ⅰ節では世界の娯楽および メディア市場および情報通信インフラを概観 する。続いて,第Ⅱ節および第Ⅲ節はデジタ ルコンテンツ産業の発展にスポットを当てる ことにする。この2つの節では,ゲーム,動 画,デジタル影像・音声,デジタルラーニン グ,デジタル出版・所蔵およびモバイル応用 サービスなどのデジタルコンテンツ産業を考 察することにする。最後の節は本論のまとめ にする。

Ⅰ.世界の発展概要

Pricewaterhouse Coopers

は 世 界 の 娯 楽

およびメディア(

Entertainment and

Me-dia

,以下,

E&D

)産業市場について分析を 行ってきた3)。それによると,

2008

年の世界

E&D

産業の市場規模は1兆

4100

億ドルに 達した。しかし,

2008

年末のアメリカ発金 融不況によって,

2009

年の市場規模は1兆

3500

億 ド ル に 減 少 す る が,

2013

年 は1兆

6100

億ドルに達すると推計している。つま り,この

2009

2013

年の観察期間中の年平 均増加率は

2.7

%であると推計している。  この

E&D

産業の市場分析は,世界の主な

48

カ国の

12

の業種を対象としている。この

48

カ国はアメリカ,カナダ,オーストリア,ベ ルギー,デンマーク,フィンランド,フラン ス,ドイツ,ギリシャ,アイルランド,イタ リア,オランダ,ノルウェー,ポルトガル, スペイン,スウェーデン,スイス,イギリス, チェコスロバキア,ハンガリー,ポーランド, ルーマニア,ロシア,トルコ,イスラエル, サウジアラビア,南アフリカ,オーストラリ ア,中国,香港,インド,インドネシア,日 本,マレーシア,ニュージーランド,パキス タン,フィリッピン,シンガポール,韓国, 台湾,タイ,ベトナム,アルゼンチン,ブラ ジル,チリ,コロンビア,メキシコ,ベネズ エラなどである。   こ の

12

の 業 種 は ネ ッ ト ア ク セ ス(

Inter-net Access: wired and mobile

), ネ ッ ト 広告(

Internet Advertising: wired and

mobile

), テ レ ビ 観 賞 権 利 金(

TV

Sub-scriptions and License Fees

), テ レ ビ 広 告(

Television Advertising

), レ コ ー ド ミュージック(

Recorded Music

),映画娯

(2)

楽(

Filmed Entertainment

),ビデオ・ゲー ム(

Video Games

),消費性雑誌出版(

Con-sumer Magazine Publishing

),新聞誌出版 (

Newspaper Publishing

), 放 送・ 屋 外 広 告(

Radio and Out-of-Home

), 消 費・ 教 育 図 書 出 版(

Consumer and Educational

Book Publishing

) お よ び ビ ジ ネ ス 出 版 (

Business-to-Business Publishing

)である。 表1は業種別世界の

E&D

産業の市場規模 を示したものである。

2004

2008

年のデー タは実績値であり,

2009

年以降は推計値で ある。

2004

年の業種別でみると,市場規模の 順位は新聞誌出版,ビジネス出版,テレビ広 告,テレビ観賞権利金,ネットアクセス,消 費・教育図書出版などになっている。しかし,

2013

年になると,ネットアクセス,テレビ 観賞権利金,テレビ広告,新聞誌出版,ビジ ネス出版の順位に大きく変化を見せることで ある。つまり,伝統的

E&D

産業の市場の伸 び悩み,逆にネットアクセスなどデジタルコ ンテンツ産業の分野が大きく躍進するように なっている。 表2は業種別世界の

E&D

産業の市場規模 の増加率を示している。前掲表1を反映し, 表1 世界の娯楽とメディア産業の市場規模   (単位:百万ドル) 業種別 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 ネットアクセス 110,370 136,588 162,394 190,425 214,601 226,221 238,450 262,360 296,387 333,628 ネット広告 17,922 26,795 38,696 51,813 58,332 56,762 57,801 62,937 71,781 83,085 テレビ観賞権利金 134,396 146,286 158,598 172,843 186,065 191,753 198,861 214,064 233,522 252,330 テレビ広告 145,575 150,555 160,273 166,268 168,342 149,076 149,507 151,648 162,520 168,414 レコード・ミュージック 37,355 36,183 34,957 33,211 30,764 28,382 26,887 26,349 26,133 26,424 映画娯楽 82,834 80,633 82,233 83,896 83,926 84,833 87,143 91,045 96,035 102,165 ゲーム 27,807 29,512 34,504 43,460 51,390 55,089 58,383 61,604 67,026 73,513 雑誌出版 75,817 78,533 79,872 81,732 80,316 72,796 70,670 71,201 73,304 73,823 新聞誌出版 182,142 187,430 190,833 191,468 182,428 163,793 157,484 157,223 159,838 164,589 広告・屋外広告 67,696 71,207 75,224 78,834 77,496 72,322 70,859 71,569 73,925 77,456 教育図書出版 103,407 108,557 109,730 115,656 115,356 112,960 112,235 113,386 115,649 118,916 ビジネス出版 151,240 159,143 167,310 174,644 171,542 151,541 142,524 141,069 144,710 152,879 合計 1,135,020 1,206,983 1,287,656 1,374,465 1,408,620 1,353,768 1,358,277 1,410,111 1,503,929 1,610,086 (注)新聞誌,雑誌類,ネット広告およびモバイル広告はそれぞれの分類に計上し,重複に計算しない。2008年 以降は予測値。

(出所)Pricewaterhouse Coopers, Global Entertainment and Madia Outlook 2009-2013.

表2 世界の娯楽とメディア産業市場規模の増加率    (単位:%) 業種別 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 09∼13年 ネットアクセス 21.9 23.8 18.9 17.3 12.7 5.4 5.4 10.0 13.0 12.6 9.2 ネット広告 43.7 49.5 44.4 33.9 12.6 -2.7 1.8 8.9 14.1 15.7 7.3 テレビ観賞権利金 8.3 8.8 8.4 9.0 7.6 3.1 3.7 7.6 9.1 8.1 6.3 テレビ広告 10.8 3.4 6.5 3.7 1.2 -11.4 0.3 1.4 7.2 3.6 0 レコード・ミュージック 0.1 -3.1 -3.4 -5.0 -7.4 -7.7 -5.3 -2.0 -0.8 1.1 -3.0 映画娯楽 6.8 -2.7 2.0 2.0 0 1.1 2.7 4.5 5.5 6.4 4.0 ゲーム 13.5 7.2 15.7 26.0 18.2 7.2 6.0 5.5 8.8 9.7 7.4 雑誌出版 4.2 3.6 1.7 2.3 -1.7 -9.4 -2.9 0.8 3.0 4.8 -0.9 新聞誌出版 3.6 2.9 1.8 0.3 -4.7 -10.2 -3.9 -0.2 1.7 3.0 -2.0 広告・屋外広告 5.9 5.2 5.6 4.8 -1.7 -6.7 -2.0 1.0 3.3 4.8 0.0 教育図書出版 1.5 5 1.1 5.4 -0.3 -2.1 -0.6 1.0 2.0 2.8 0.6 ビジネス出版 3.4 4.6 5.8 4.4 -1.8 -11.7 -6.0 -1.0 2.6 5.6 -2.3 合計 7.3 6.3 6.7 6.7 2.5 -3.9 0.3 3.8 6.7 7.1 2.7 (注)表1に同じ。 (出所)表1に同じ。

(3)

2009

2013

年の年平均増加率の順位は,ネッ トアクセス(

9.2

%),ゲーム(

7.4

%),ネッ ト広告(

7.3%

),テレビ観賞権利金(

6.3%

), 映画娯楽(4

%

)である。他方,逆にレコー ドミュージック(−

3

%),ビジネス出版(−

2.3

%),新聞誌出版(−

2

%),雑誌出版(−

0.9

%)などは,マイナス縮小の結果をもた らすことになった。つまり,時代的なニーズ の変化を反映し,一方ではビジネス規模は大 きく拡大し,他方では,規模縮小の業種も存 在することを意味している。 表3は地域別

E&D

産業の市場規模であ る。

2007

年以降,欧州・中近東・アフリカ地 域の市場規模は北米地域の市場規模を凌駕し て,最大の市場規模に躍進した。欧州・中近 東・アフリカ地域,北米地域に続いて,アジ ア地域は第3の市場規模である。 表4は地域別

E&D

産業の市場規模の増加 率である。

2009

2013

年の市場規模の推計 増加率をみると,欧州・中近東・アフリカ地 域の

2.7

%,北米地域の

13

%,アジア地域の

10.7

%およびラテンアメリカ地域の

5.1

%で ある。確かに,北米地域の推計増加率は最も 高いが,

2008

2010

年はマイナス成長であ り,ようやく

2013

年になってから

2007

年の 市場規模を凌駕することになる。つまり,北 米地域は長年の低迷によって,見た目では高 い増加率をあげたが,

2004

2013

年の観察 期間でみると,それほど高い増加率でないこ とがわかる。

2004

2013

年の観察期間でみ ると,この期間中にアジア地域は2倍弱の増 加であることがわかる。同期間中にラテンア メリカ地域の市場規模は小さいが,2倍以上 の増加を見せるようになるとしている。 続 い て, 表5は 国 別 ト ッ プ

10

E&D

産 業の市場規模の推移である。

2009

年の世界 ランキング(推計値)の順位による

2009

2013

年の市場規模の増加率でみると,アメリ カ(

1.2

%),日本(1%),ドイツ(

0.8

%), イギリス(

1.3

%),中国(

9.5

%),フランス (

2.3

%),イタリア(

2.6

%),カナダ(

2.2

%), 韓国(

3.8

%)およびスペイン(

3.8

%)になっ ている。ちなみに,台湾は

26

位の

2.5

%であ る。 そして,表6はアジアトップ

10

E&D

産 業の市場規模の推移である。

2008

年のアジ アランキング(実績値)の順位による

2009

2013

年の市場規模の増加率でみると,日本 (1%),中国(

9.5

%),韓国(

3.8

%),オー ス ト ラ リ ア(

3.2

%), イ ン ド(

10.7

%), 台 表3 世界の娯楽とメディア産業の市場規模  (単位:百万ドル) 業種別 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 北米 443,977 462,345 485,824 504,346 498,748 463,221 457,753 471,159 501,737 532,002 欧州・中近東・アフリカ 421,227 444,387 473,419 508,003 522,403 502,934 503,230 521,152 554,791 595,791 アジア 234,415 260,153 283,364 310,236 331,264 331,934 341,522 359,165 384,149 412,799 ラテンアメリカ 35,105 39,791 44,869 51,356 56,535 55,979 56,990 60,313 65,732 72,581 合計 1,134,724 1,206,676 1,287,476 1,340,582 1,408,950 1,354,068 1,359,495 1,411,789 1,506,409 1,613,173 (注)表1に同じ。 (出所)表1に同じ。 表4 世界の娯楽とメディア産業の市場規模増加率   (単位:%) 業種別 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 09∼13年 北米 6.5 4.1 5.1 3.8 0 0 0 2.9 6.5 6.0 13.0 欧州・中近東・アフリカ 6.1 5.5 6.5 7.3 2.8 0 0.1 3.6 6.5 7.4 2.7 アジア 10.7 11.0 8.9 9.5 6.8 0.2 2.9 5.2 7.0 7.5 10.7 ラテンアメリカ 11.4 13.3 12.8 14.5 10.1 0 1.8 5.8 9.0 10.4 5.1 合計 7.3 6.3 6.7 6.7 2.5 0 0.3 3.8 6.7 7.1 2.7 (注)表1に同じ。 (出所)表1に同じ。

(4)

湾(

2.5

%),香港(2%),タイ(

4.1

%),イ ンドネシア(

12.9

%)およびニュージーラン ド(

1.5

%)になっている。

2009

2013

年の

E&D

産業の市場規模の増加率を比較すると, アジア(

4.5

%)は世界(

2.7

%)よりも高い ことがわかる(表5と表6)。 引き続いて,台湾のデジタルコンテンツ産 業にスポットを当てて分析したい。次に情報 通信インフラから台湾のデジタルコンテンツ 産業の発展環境を考察する。 表7は台湾のオンライン加入人数および 増加率を示したものである4)。それはブロー ドバンド,携帯電話,それに

3G

(第3世代),

3.5G

(第

3.5

世代),

WiMax

WiFi

などのネッ トカードによるオンライン加入数を含んでい た。インタネットの加入数は

2005

年の

1321

万人から

2009

年の

1613

万人に大きく増加す るようになった5)

2009

年の台湾のオンライ ン加入数の普及率は

69.9

%に達し,

2008

年に 比べて

99

万人も増え,増加率は

6.5

%である。 ブロードバンドの使用人口数は

2002

年の

22

9000

人,

2004

年の

369

5000

人から

2009

年の

491

万人に大幅に増加した。そのうち,

ADSL

加入人口数が最も多い。しかし,光通 信の

FTTx

の送信速度は8

Mbps

よりも速い という優位性を持って,光通信企業はビジネ スの拡大を図り,現在ではブロードバンドの 加入者の4分の1以上に達した。

ADSL

およ 表5 世界トップ

10

の娯楽とメディア市場規模 (単位:百万ドル) ランキング (2009年) 国別 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 09∼13年 (%) 世界 1,287,656 1,374,465 1,408,620 1,353,768 1,358,277 1,410,111 1,503,929 1,610,086 2.7 1 アメリカ 455,436 472,070 465,814 431,914 426,708 439,270 467,772 495,292 1.2 2 日本 134,456 146,625 148,779 142,995 142,300 145,008 150,044 156,213 1.0 3 ドイツ 91,676 95,590 95,505 91,539 90,481 92,220 95,666 99,452 0.8 4 イギリス 85,952 90,790 92,173 86,819 85,527 87,487 92,362 98,163 1.3 5 中国 47,965 58,695 69,800 74,744 80,613 88,298 98,309 110,081 9.5 6 フランス 61,481 65,708 67,224 65,439 65,345 67,340 71,083 75,424 2.3 7 イタリア 45,812 48,624 49,400 47,215 47,295 49,062 52,099 56,039 2.6 8 カナダ 30,388 32,276 32,934 31,307 31,045 31,888 33,965 36,710 2.2 9 韓国 29,132 32,019 34,376 34,585 35,645 37,139 39,202 41,454 3.8 10 スペイン 30,839 33,047 33,228 32,060 32,081 33,519 36,410 40,113 3.8 26 台湾 7,660 7,901 7,901 8,050 8,094 8,288 8,573 8,929 2.5 (注)表1に同じ。 (出所)表1に同じ。 表6 アジアトップ

10

の娯楽とメディア市場規模 (単位:百万ドル) ランキング (2008年) 国別 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 09∼13年 (%) アジア 283,364 310,236 331,264 331,934 341,522 359,165 384,149 412,799 4.5 1 日本 134,456 146,625 148,779 142,995 142,300 145,008 150,044 156,213 1.0 2 中国 47,965 58,695 69,800 74,744 80,613 88,298 98,309 110,081 9.5 3 韓国 29,132 32,019 34,376 34,585 35,645 37,139 39,202 41,454 3.8 4 オーストラリア 27,126 22,026 23,291 23,111 23,496 24,374 25,673 27,318 3.2 5 インド 11,424 13,626 15,088 16,328 18,039 20,149 22,489 25,094 10.7 6 台湾 7,660 7,901 7,901 8,050 8,094 8,288 8,573 8,929 2.5 7 香港 4,725 5,165 5,607 5,217 5,269 5,488 5,795 6,190 2.0 8 タイ 4,896 5,330 5,531 5,487 5,577 5,845 6,262 6,773 4.1 9 インドネシア 3,301 4,178 4,742 4,988 5,460 6,295 7,497 8,713 12.9 10 ニュージーランド 3,422 3,745 3,805 3,656 3,637 3,741 3,897 4,098 1.5 (注)表1に同じ。 (出所)表1に同じ。

(5)

びケーブルモデムは低速度の通信市場を固守 していたが,

FTTx

の成長趨勢から見ると, この2年間以内に主役の座の交代が予測され るようになる。 携帯電話のネット普及率は

113.4

%に達し, 携 帯 電 話 の 通 信 企 業 が

3G

へ の 移 行 が 見 ら れるようになった。

2009

年第3四半期の

3G

加入者数のシェアは既に

52

%に達し,逆に

GPRS

ネット方式のシェアの減少を招いた。

3G

の高速通信の優勢によって,

3G

3.5G

の 携帯電話の消費者の選好を高め,

3G

データ の使用者数は

75

%を占めるようになった。ブ ロードバンドの光通信

FTTx

方式および携 帯電話の

3G

のオンラインが著しく成長し, ネットアクセス能力が大幅にアップするよう になり,台湾の通信市場は高速オンライン世 代に移行したことを意味する。

2009

年2月,資訊工業策進会が行った「台 湾

WiFi

オンラインの現状と需給調査」によ る と, 台 湾 の

WiFi

オ ン ラ イ ン の 普 及 率 は

25.1

%である6)

WiFi

オンライン使用の目的 は,資料閲覧(

50.9

%),情報捜索(

44.1

%), オンライン・ゲームなど(

16.5

%),メール の送発信(

16.2

%)を主としていた。 国 家 通 信 伝 播 委 員 会 の 資 料 に よ る と,

2009

年第2四半期の台湾のモバイル通信の 加入人口数は

2617

人で,携帯電話の普及率は

113.4

%である。

3G

加入人口数が持続的に増 え,

1361

万人に達し,モバイル通信の加入人 口数の

52

%を占めるようになり,

3G

時代の 到来を意味している。そのほかに,携帯電話 のオンライン機能の加入人口数は

1661

万人 に達し,モバイル通信のうちオンライン機能 の加入人口比率は

63.5

%を占めるようになっ た(表8)。

Ⅱ.デジタルコンテンツ産業の発展(上)

デジタルコンテンツ産業はゲーム,動画, デジタル影像・音声,デジタルラーニング, デジタル出版・所蔵および関連のモバイル応 用サービス,コンテンツ・ソフト,ネット・ サービスなどの領域を含んでいる。

2009

年 の台湾のデジタルコンテンツ産業の生産額は

4603

億台湾元に達し,

2008

年の

4004

億台湾 元に比べて

15

%の増加率である。表9は台 表7 台湾のインターネット加入人数の推 移

年別

加入人数

増加率(%)

2005

1,321

8.2

2006

1,452

9.9

2007

1,476

1.7

2008

1,514

2.6

2009

1,613

6.5

(注) 加入人数の単位は万人,増加率は%である。   各年8月のデータ。 (出所) 資策会FIND,財団法人資訊工業策進会編『磯 字内容産業年鑑』2009年版,経済部工業局, 2009年。 表8 台湾におけるモバイル・ネット加入人口数の推移 年別 WAP 増加率 (%) GPRS 増加率 (%) 3G データ 増加率 (%) PHS 増加率 (%) モバイル オンライン機能 比率 (%) 2007/Q3 56,121 -38.8 3,936,701 0.7 5,553,812 14.8 1,450,054 1.1 10,996,688 45.8 2007/Q4 47,538 -15.3 3,798,777 -3.5 6,529,566 17.6 1,480,196 2.1 11,856,077 48.8 2008/Q1 35,031 -26.3 3,390,969 -10.7 7,556,441 15.7 1,475,451 -0.3 12,457,892 50.9 2008/Q2 22,503 -35.8 3,319,949 -2.1 8,546,534 13.1 1,785,951 0.7 13,375,237 54.2 2008/Q3 10,266 -54.4 3,096,153 -6.7 9,698,216 13.5 1,457,463 -1.9 14,262,100 57.0 2008/Q4 5,312 -48.3 3,055,455 -1.3 10,784,994 11.2 1,459,165 0.1 15,304,926 60.2 2009/Q1 5,048 -5.0 2,885,342 -5.6 11,849,348 9.9 1,432,285 -1.8 16,172,023 63.0 2009/Q2 4,764 -5.6 2,738,142 -5.1 12,456,277 5.1 1,411,940 -1.4 16,612,123 63.5 (注)ネット使用数の単位は1000回線。 (出所)表7に同じ。

(6)

湾のデジタルコンテンツ産業の生産額と増加 率の推移である。

2009

年のデジタルコンテ ンツ産業の生産額とシェアを見ると,コンテ ンツ・ソフト(

1693

億台湾元,

33

%),ネッ ト・サービス(

1210

億台湾元,

30

%),モバ イル応用サービス(

450

億台湾元,

10

%),デ ジタル影像・音声(

420

億台湾元,9%),ゲー ム(

354

億台湾元,8%)などの順位である。 以下はデジタルコンテンツ産業を考察する。 ⑴ ゲーム デジタルコンテンツ産業のうちデジタル・ ゲーム(以下,ゲーム)には,主にパソコン 用,ゲーム機用およびネットゲームが含まれ ていた。それは近年台湾のゲームの盛衰を反 映したもので,ゲーム市場の成長は緩慢にな り,

3D

(3次元)の登場により新たな挑戦 を迎えるようになった。そして,市場の変化 で企業も新たな経営戦略を構築するように なった。続いて,ゲーム市場の環境変化,企 業の動態および新たな展開を考察する。 1)市場分析 表

10

は台湾のゲームの生産額の推移であ る。台湾のゲーム市場の規模は

2001

年の

49

億台湾元,

2003

年の

152

億台湾元,

2005

年の

191

億 台 湾 元,

2007

年 の

237

億 台 湾 元,

2008

年の

283

億台湾元および

2009

年の

354

億台湾 元に達し,

2009

年の対前年増加率は

25.1

%で ある。パソコンゲームおよびネットゲームは 全生産額の

90

%以上のシェアを占めていた。 ゲーム産業はソフトの開発,運営,発行 および流通の4つの部分によって構成される (図1)。台湾の市場規模が大きくないため に,智冠科技,大宇,遊戯橘子などの大型企 業は開発,発行や流通などを兼ねていた。パ ソコンゲーム企業の智冠科技,大宇資訊,遊 戯橘子,華義国際,昱泉国際,鈊象電子,中 華網龍,宇峻奥汀,雷爵網絡,億啓,和信戯 谷,松崗,茂為など,ゲーム専用機ゲーム企 業の楽陞,昱泉,碁因,喜登などが含まれて いる。近年,ゲーム代理ビジネスの競争が激 しく,コストが向上し,代理を主とする遊戯 橘子,智冠科技,松崗などは,製品を積極的 に開発するようになり,注目されるゲームソ フトを開発するようになった。他方,収入源 を確保し,規模の経済効果を発揮するため 表9 デジタルコンテンツ生産規模の推移 (単位:

100

万台湾元,%) 年別 ゲーム 増加率(%) 動画 増加率(%) ラーリング 増加率(%) 出版・所蔵 増加率(%) 2006 209 - 21 - 94 - 52 -2007 237 13.4 22 4.8 120 14.2 58 7.7 2008 283 15.4 29 31.3 134 11.7 60 8.4 2009 354 25.1 40 37.9 150 26.0 283 371.7 年別 影像・音声 増加率(%) ソフト 増加率(%)応用サービス 増加率(%)ネットサービス 増加率(%) 2006 368 - 1689 - 263 - 715 -2007 399 2.4 1730 2.4 281 6.8 764 6.8 2008 410 7.8 1916 10.8 352 25.3 820 7.3 2009 420 8.4 1693 -11.6 450 27.8 1210 33.3 (出所)表7に同じ。 表

10

 デジタルゲーム産業の生産額の推移 (億台湾元)

年別

生産額

2001

49

2002

110

2003

152

2004

210

2005

191

2006

209

2007

237

2008

283

2009

354

   (出所)表7に同じ。

(7)

に,ゲーム開発の中華網龍,宇峻奥汀,雷爵 網絡なども代理ビジネスを推進するように なった。テレビゲームを主なビジネスにして いる楽陞,昱泉もオンライン・ゲームを積極 的に開発するようになった。 ネットおよびモバイル付加価値サービスの 普及およびゲーム産業の構造変化によって, 流通を経由しないで直接的にネットから消費 者にゲームを提供する方式に大きく変化する ようになった。ゲームソフトの販売から利 益を稼ぐ方式からスポンサーからの広告費, ゲームのプリペイドカードや「バーチャル宝 もの」などの販売で稼ぐ方式に変化するよう になった。台湾のネットゲームをする場合, コンビニでプリペイドカードを購入し,カー ドのパスワードを入力してカードのポイン ト(金額)差し引く仕組みを採用することも ある。つまり,1枚のカードで低額でも遊べ るが,

RPG

(ロードプレイゲーム)などを 遊びの完了とする場合には多くの金額が必要 な仕組みになっている。日本ではゲームソフ トの購入とゲーム機でのプレーが主流である が,今まで台湾や韓国ではプリペイドカード 販売方式が主流になっている。 近年,インタネットおよびモバイル付加価 値サービスに構造変化をもたらし,オンライ ン・ゲームが次第に主流の座を占めるように なった。消費者はネットからゲームソフトを ダウンロードし,一部のゲームは有料(「魔 獣世界」などのゲームソフト)であるが,大 部分のソフトは無償にし,オンライン広告や ゲームの「バーチャル宝もの」の販売から稼 ぐ仕組みに大きく変化するようになった。つ まり,この「バーチャル宝もの」の武器や道 具がないとゲームの「敵」を倒すことができ ないように設定されている。その「バーチャ ル宝もの」を入手するにはプレイヤーは時間 をかけて「コイン」(バーチャル通貨)を集 めて購入するか,またはお金(通貨)をかけ て「バーチャル宝もの」の武器や道具を購入 することによって,はじめてゲームの中の 「敵」を倒して次のステージに進むことがで きる。この「バーチャル宝もの」の購入者の ことを台湾では「台幣戦士」(お金をかける ゲームのプレイヤー)と揶揄していたる7) 近年,日本や台湾では「オタク経済」(台 湾では「宅経済」と呼ばれる)が盛んになっ た。「オタク経済」とは,多くの人々(特に 若者)が外出しないで,家の中に引きこもっ てゲームやネットゲームに夢中になり,主に ネットでの買い物の経済的状況を意味してい る。

2008

年下半期からこのオタク経済の効 果があらわれてきて,オンライン・ゲーム企 業の売上額は持続的に上昇するようになっ 図1 デジタルゲーム産業のバリューチェーン コンテンツ ゲーム ゲーム ゲーム 消費者 素材提供者 開発企業 ゲーム 発行企業 流通企業 金庸 中華網龍 運営企業 智冠 ,華義 智冠 ,松崗 黄易 鈊象 ,昱泉 智冠 ,華義 遊戯橘子 達威 ブログ小説 宇峻奥汀 遊戯橘子 中華網龍 統一超商 企業 大宇 ,雷爵 中華網龍 鈊象 ,劇谷 弘煜 ,劇谷 鈊象 ,劇谷 宇峻奥汀 玩酷 ,楽陞 宇峻奥汀 雷爵 ,億泰利 億啓 ,松崗 雷爵 ,億泰利 伝奇 ,新幹線 碁因 ,喜登 伝奇 ,新幹線 茂為 ,松崗 開発 ツール 思維工坊 茂為 ,松崗 紅色辣椒 智楽堂 ,華義 紅色辣椒 ・・・ ・・・ ゲーム 周辺 ネット ハード サービス 企業 ネットカフェ― EA,微軟・・・ ソフト企業 (出所)表7に同じ。

(8)

た。表

11

は上場ゲームソフト企業の売上額の 推移である。

2009

年の中華網龍,華義国際, 鈊象電子,宇峻奥汀,智冠科技,大宇資訊, 昱泉国際,遊戯橘子など8社の売上額は

178

億台湾元で,

2008

年の

145

億台湾元に比べて

22

%の増加率である。 近年になると,ゲーム市場は海賊版問題の 多発およびゲームプレイヤーの嗜好の変化 など,大きな影響をもたらすことになった。 ネットゲームの大作が売り出されて大当たり になると,企業の売上額は大幅に向上するよ うになる。市場規模の変化から観察できるの は,ネットゲームの比率が絶えず増加し,近 年の台湾ではネットゲームが主流を占めてい ることがわかることである。 2)業界の動態 台湾のゲーム業界の多くは海外のゲームを 代理し,国産化率の比重はそれほど高くな い。台湾のゲームの発展を図るために,一方 では持続的にゲームの開発を行い,他方では 中国を含む海外市場の積極的開発が不可欠で ある。以下では台湾のトップ2社の「智冠科 技」と「遊戯橘子」にスポットを充てること にする。 ① 智冠科技 智冠科技は台湾で最大規模,最高売上額の ゲーム企業であり,傘下には「遊戯新幹線」 と「中華網龍」の2つの子会社を持ってい る。現在,智冠科技・遊戯新幹線の「仙境伝 説

Online

」はゲームオンラインのアクセス 数では業界のトップである。 智冠科技はゲーム機・ゲームソフトの代 理,出版からスタートし,そのあとに他の ゲームソフト企業を

R&D

(買収合併)して, 今日の規模までに拡大するようになった。現 在,傘下には前に述べた2社のほかに,北区

R&D

センター,北斗星工作室,迷象視覚工 作室などの企業を含んでいて,これらのゲー ム製作企業の株主になっている。智冠科技お よびこれらの企業と共同でゲーム専門誌『軟 体世界(ソフト・ワールド)』を出版してい るために,その影響力と規模は台湾のトップ の座を占めるようになった。 智冠科技の傘下の2大子会社の分業は明ら かであり,中華網龍はネットゲームの開発を 担当し,遊戯新幹線はネットゲームの運営 サービスを担当している。中華網龍が開発し た「金庸群俠伝」などの人気ネットゲームの ライフサイクルは

2004

年頃に終わった。その 後,新たに開発したゲームソフトは市場での 人気がいまひとつパッとせず,現存のゲーム で売上を支えていたために,営業業績の低迷 を招いた。そのために,海外からより多くの 人気ゲームソフトの版権を入手し,新たに人 表

11

 ゲームソフト産業の上場企業運営の概要     (億台湾元) 企業名

2008

年の

2009

年の売上額

2009

年前3四半期の財務比率(%) 売上額 金額 増加率(%) 粗利益率 営業利益率 税後純利益率 中華網龍

14.26

19.76

38.6

97.3

59.8

56.8

義華国際

5.87

6.32

7.7

58.0

10.9

1.7

鈊象電子

24.95

32.52

30.3

81.2

40.5

34.8

宇峻奥汀

4.54

9.25

103.7

95.9

42.2

32.8

智冠

61.51

66.19

7.6

15.1

5.6

15.9

大宇資訊

1.67

2.82

68.9

89.7

7.7

36.9

昱泉国際

3.30

3.09

-6.4

96.7

40.8

23.2

遊戯橘子

29.26

37.99

29.8

49.2

16.2

10.2

合 計

145.36

177.94

22.4

-

-

-(出所)公開情報観測ステーション。

(9)

気ゲームの開発およびネットゲームの運営の 強化を図りこれらが企業の主なビジネス戦略 の中心である。 遊戯新幹線は「仙境伝説」オンラインを売 上の主力製品としていて,智冠科技が他の ゲームソフト制作企業から入手した国産製品 の「新絶代双驕」,「三国群英伝」,「炎龍騎士 団」などが主力製品として挙げられる。その ほかに,日本,韓国および中国から入手した ネットゲームの「信長の野望」,「剣俠情縁」, 「

RF

」などによってビジネスを展開してい る。それに,智冠科技は「智遊ガード」のプ リペイドカードを発行し,傘下のオンライン のネットゲームの支払いの統一化を図ってい る。

2005

年以降になると,智冠科技は前に述べ た「信長の野望」,「魔獣世界」など高レベル のゲームを代理し,これらのゲームソフトの 内容が複雑であり,プレイヤーに与えるハー ドルの高さ,操作の複雑化など,ゲームプレ イヤーにとって難易度の高さによって,ゲー ム市場の反応を探っていた。 それに,ゲームソフトの「魔獣世界」のた めに新たに「智凡迪」という子会社を設けた。 中国の市場では韓国の

Gravity

社から「仙境 伝説」オンラインの中国代理権など海外企業 の運営をやめ,自社製品や台湾製品の代理運 営の業務に専念するようになった。そのほか に,智冠科技は積極的に携帯電話のゲーム市 場に進出し,「仙境伝説」の携帯電話バージョ ン化への「移植」に力を入れている。 かつて智冠科技はオンライン・ゲーム市場 ではゲームの代理が主であったが,代理コス トの高騰によって,近年,自社で積極的に ゲームを製作するようになった。経験の累積 によって,ソフトの質と量は向上するように なった。中華網龍は自社製造のゲーム「女 神

Online

」,「秦皇天下

Online

」,「奇幻西遊

Online

」,「中華英雄

Online

」などを開発し た(表

12

)。

2009

10

月までの中華網龍の売上額は

16

8400

万台湾元に達し,年増加率は6割に 達した。

11

月に中華網龍のゲームソフト「中 華英雄

Online

」を中国のナスタック上場の 「捜狐暢遊」に版権を譲渡し,譲渡の権利金 は4億

7000

万台湾元であり,3回に分けて権 利金が入る契約である。

2010

年第2四半期 にこのゲームが中国で登場したあと,この海 外の権利金の売上額は企業の最大の稼ぎ高に なる。

2010

年に中華網龍は5つのオンライ ン・ゲームを開発し,そのうち3つのゲーム は中国のゲーム企業に版権を譲渡する予定で ある。 ② 遊戯橘子

1999

年に設立した「遊戯橘子(

Gamania

)」 の前身は富峰群資訊であり,ゲームソフトの 「コンビニストアー」からスタートし,低価 格の販売方式によって,市場の注目を集める ようになった。その後,ゲーム番組の製作, ゲーム雑誌およびネット経営などのビジネス を展開するようになった。

2000

年に遊戯橘子は韓国のネットゲーム の「天国」の代理権を獲得し,製品,サー ビスおよび販売重視の方式で,台湾の

RPG

(ロードプレイゲーム)方式のオンライン ブームを引き起こした。その後,

NC

ソフト 社と優れた協力関係を締結し,発展の主軸が ネットゲームに向かうようになった。

2003

年に遊戯橘子と

NC

ソフト社が台湾で「

NC

Gamania Taiwan

(吉恩立公司)」を組織し, ネットゲーム「天国2」の運営と中国市場へ の進出を計画していた。 そのほかに,「天国2」は完全な

3D

(3次 元)のネットゲームであり,遊戯橘子はハー ド機器の技嘉科技と協力して,ディスプレイ ガード,ハード機器の共同販売を行い,プレ イヤーのゲームに合わせて機器を購入させ た。そのほかに,遊戯橘子は台湾電信グルー プ傘下の易吉網科技を買収し,人気ネット ゲームの運営権を獲得したことによって,遊 戯橘子のゲーム市場での影響力を拡大するよ

(10)

うになった。

2003

年の遊戯橘子が中国,香港,日本およ び韓国の海外市場での運営に赤字を記録し, 海外市場での開拓の難しさを経験した。しか し,

2004

年以降,製品ラインが完成された 後,経営が大幅に改善されるようになった。 遊戯橘子のビジネスは主に運営面での製品 ラインの充実に力を入れている。

2005

年以 降,動作重視の「楓之谷」および生活感覚重 視の「

Mabinogi

」のゲームソフトなどを代 理 し,

Casual Game

, ア バ タ ー(

Avatar

) など動画および携帯電話用コンテンツを展開 していた。 遊戯橘子の子会社「易吉網」は

2008

年に ゲーム「赤壁」で業績を大きく伸ばした。

2009

年にはゲーム「絶対武力」でも売上額を 伸ばし,月額

6000

9000

万台湾元の売上額 を挙げ,遊戯橘子のトップ3の人気ゲームの 売上額を築くようになった。 3)ゲーム市場の展開 ゲーム市場の飽和状態などの制約を受け て,ゲームソフト企業はニッチビジネスを展 開するようになった。例えば,キーボードと マウスなど複合組合せのゲーム方式(参加型 射撃ゲーム,

Will

などのスポーツゲーム), 教育を兼ねる娯楽方式の家庭向きゲーム(漢 字・暗算ゲーム,将棋・囲碁,クイズ方式ゲー 表

12

 台湾のゲームソフトと企業 分類別 ゲームソフト名 企業名 オンライン

81

Keys 華義国際 ゲーム 三国群英傳2 Online 宇峻奥汀 女神 Online 中華網龍 中華英雄 Online 中華網龍 天使之恋2 Online 宇峻奥汀 火鳳三国 Online 宇峻奥汀 天之痕 Online 大宇資訊 大富翁星球 Online 大宇資訊 忍豆風雲3 松崗科技 奇幻西遊 Online 中華網龍 風色幻想 Online 弘煜科技 神諭之戦 思維工坊 秦皇天下 Online 中華網龍 彩虹汽泡 Online 雷爵網絡 搓麻将 Online 宇峻奥汀 乱闘三国 web 方圓線上 万王之王3 雷爵網絡 寵物森林 楽陞科技 宝石幻想 鈊象電子 ゲーム機用 好神旺旺來 紫晶数位 ゲーム 武林立志傳 光譜資訊 神鏢闖江湖 紫晶数位 携帯電話用

8

.

5

度C蛋 屋 奥爾資訊 ゲーム BB戦士三国傳―激闘旋風 極致行動 MMP

3

節奏英雄 奥爾資訊 OPEN小将卡丁車 奥爾資訊 OPEN小将便利商店2 奥爾資訊 OPEN小将星球大冒険 奥爾資訊 OPEN小将轟炸超人 奥爾資訊 三国覇業 宝石星球 分類別 ゲームソフト名 企業名 携帯電話用 大富翁台湾麻将

16

張 大宇資訊 ゲーム 大富翁澳門之遊 大宇資訊 天啓之刻 金石国際 少女兵器正式版 宝石星球 少年探偵JS−天歌民宿殺人事件 奥爾資訊 幻魔録 宝石星球 正宗三国

16

張麻将―決戦赤壁 由玩資訊 全民対戦大老二2 由玩資訊 好神旺旺來之極上麻将王 威瑟科技 好神旺旺來系列:装神弄鬼 威瑟科技 百万麻将達人 威瑟科技 重装三国 極致行動 娘家後頭 大富翁 宝石星球 娘家暗碁大乱闘 宝石星球 神鬼伝奇 極致行動 軒轅剣天之痕第1章 大宇資訊 蛋洗土豆仁 宝石星球 斯巴達首部曲―重返栄耀 威瑟科技 童話三缺一 極致行動 愛恋料理調教営 宝石星球 新牧場物語 奥爾資訊 雷電無双 由玩資訊 蒼神録2−真龍覚醒 奥爾資訊 模擬楽園 奥爾資訊 豬哥亮歌庁秀 極致行動 寵物玩伴―TOLO狗 奥爾資訊 恋女医−甜蜜診断 宝石星球 恋愛物語―湛藍回憶 奥爾資訊 (出所)経済部数位内容弁公室。

(11)

ム)などである。人気ゲームはゲーム専用機 の使用,パソコンの使用からネットの使用へ と展開するようになった。 ゲームソフトの海賊版問題が解決せず,か つゲームのライフサイクルは長くないため に,伝統的なゲームソフトの一括買い取り方 式を放棄し,ネットとの結合方式を採用する ようになった。ネットゲームという新しい経 営モデルの開発による販売方式を開拓するよ うになった。製品はネットから購入するダウ ンロード方式を採用し,ネット対戦型ゲーム および新しいソフトのダウンロードなどに よってゲームソフトのライフサイクルを延長 させ,オンラインでの検証による海賊版防止 のチェックを行い,それが有効な安全措置に なっていた。 そ の ほ か に, ネ ッ ト ゲ ー ム の

Game on

Demand

もゲームコンテンツの輪切りダウ ンロード,ゲームの再利用および費用計上方 式の多様化などを通じて,プレイヤーに新た な習慣を植付けるようになった。

2005

年2 月下旬に松崗と中華電信との協力によって随 時アクセスができるプラットホームのゲーム 方策を提出し,プレイヤーは月額支払いによ るゲームの入手方式を採用するようになり, 同年7月から実施されるようになった。この 方式を採用した場合,流通によるコストの節 約や海賊版による蔓延を防ぐことができ,消 費者にとって少ない費用でより多くのゲーム を遊ぶことができることである。 ネットゲームの数の増加および類似品の増 加によって,販売活動やサービス品質による 差異化を図る戦略は,他社の学習効果による キャッチアップによって,市場が再び競争の 局面を繰り返すようになった。

RPG

(ロー ドプレイゲーム)のような難易度の高いゲー ムコンテンツはプレイヤーから歓迎されるよ うになった。異なるジャンルの作品を開発す ると,異なった消費層の嗜好性を満足させる ことができると考えられていた。

RPG

が人気のほかに,短時間でゲームを するプレイヤーは,簡単なルールで,非連続 性のゲームを選好するようになる。これらの デジタルコンテンツのソフト企業は第3波, 鈊象電子,億泰利,数碼戯胞などがあり,前 3者は,麻雀,中国将棋,囲碁などのゲーム の開発,数碼戯胞は対戦型,女性向き・低年 齢層向きの可愛い型の追求ゲームの開発を主 としていた。 短時間で遊ぶ娯楽追求型ゲームの参入障壁 が低く,製作の原価も安いので,そういう意 味では発展の潜在力を持っていた。しかし, 製品の種類が多くなると,類似品が多くな り,競争の度合いも高まってくる。このよう な状況では,企業は生き残りを求める場合, 価格面での優勢追求や,主力製品に深化し, 製品をより多く提供し,自ら長所を発揮する ことを求められるようになった。 ゲーム専用機からオンラインサービスに主 役がシフトしたあと,その販売方式はソフト の一括買い取りから連続的な支払方式に変化 するようになり,回数ごとの計算方式,月額 支払い方式,カード購入によるポイント支払 方式などがあげられるようになった。つま り,「プレイヤーはこのゲームにどのぐらい のお金を支払うのか」という選択権を消費者 によって決めることを意味している。 次に,ソフト企業によるソフトの開発,開 発した製品の位置づけ(プレイヤーの対象, ゲームの難易度など),支払システムとの協 調が必要になる。つまり,ゲームの遊びには お金を支払う意識を全面的に打ち出して,プ レイヤーが自らこのゲームにどのぐらいの金 銭および時間を投入するかを選択させること である。小規模のゲーム類は無償方式で,多 くのプレイヤーを引き付け,このホームペー ジにも企業から広告を募集することによっ て,収入の拡大を図ることである。また,プ リペイドカード支払い方式は如何にしてプレ イヤーの嗜好性を満足させることができるか が,この熾烈な競争市場において勝ち残る最 大の課題でもある。

(12)

近 年, 台 湾 の ゲ ー ム 企 業 は 自 社 開 発 の ゲームソフトの版権を海外企業に譲渡して いる。中華網龍の「呑食天地」および「女 神

Online

」 の 版 権 譲 渡 は

400

万 ド ル に 達 し,

3D

ゲームの「中華英雄

Online

」は中国 の「捜狐暢遊」に1億人民元(約5億台湾 元)で版権を譲渡した。宇峻奥汀の「天使 之恋

Online

」,雷爵網絡の「三国群英伝2

Online

」を中国の第九城市公司に

500

万ドル で版権を譲渡した。昱泉国際のゲーム「流星」 および「笑倣江湖」の版権を中国の完美時空 公司に譲渡した。 香港,マカオ,シンガポールなどのゲーム 市場では,中華網龍の「武林群俠

Online

」, 宇峻奥汀の「天使之恋

Online

」,雷爵網絡の 「万王之王3

Online

」などのゲームソフトを 譲渡した。日本の市場では中華網龍の「三国 鼎立

Online

」,遊戯橘子の「星辰

Online

」(日 本市場での名称は「

Lucent Heart

」)の後に, 億啓の「精霊楽章」は日本の

Aeria

株式会社 に版権を譲渡し,日本の市場に進出するよう になった。欧米市場では雷爵網絡の「万王之 王3

Online

」はドイツの

Gamigo

社と協力 して,フランス,スペイン,ドイツ,ポーラ ンド,スイス,チェコスロバキアなど諸国で 運営していた。遊戯橘子の「封魔獵人」は

Gamepot

社に版権を譲渡し,アメリカ市場 に登場するようになった。 思維工坊のゲーム「神諭之戦」(

Runes of

Magic

)は

2008

年にドイツのオンラインに 登場したあと,直ちに欧州市場で旋風を引 き起こし,2か月以内に

100

万人の会員がア クセスするという優れた業績を挙げた。そ れは「魔獣世界」を超えて欧州オンライン・ ゲ ー ム 販 売 ラ ン キ ン グ(

Gesellschaft fur

Konsum for schung

市場調査研究の

28

ユー ロ以下ドイツ語ボックス版ゲームランキン グ)のトップに輝いた。現在,このゲームの 欧米会員のアクセス数は

200

万人を超え,こ のゲーム版権の譲渡数は

20

カ国以上を記録 するようになった。これらの業績からも台湾 製のオンライン・ゲームは国際レベルに達し たことを意味する。 版権の譲渡のほか,海外で運営拠点を配置 するようになり,遊戯橘子は欧米企業との協 力で動画「

Hero 108

」を作成した。遊戯橘 子のブランド知名度を利用し,アメリカおよ びヨーロッパでは子会社の設置を行ってい る。 ⑵ 動画 台湾の動画産業の主力は映画動画,テレビ 動画およびビデオ動画などである。この分類 の約9割は海外からの

OEM

(委託製造)で ある。しかし近年になると,一部分の企業は

OEM

による動画製造から自社ブランドの構 築へと移行するようになった。自社ブランド への移行は近年に見られた変化であり,これ からも多くの作品と経験の蓄積が必要である と考えられる。 1)市場分析 経済部(経済省)デジタルコンテンツ産業 推進弁公室の公表によると,

2009

年に台湾 の動画生産額は

40

億台湾元で,対前年比の増 加率は

37.9

%である。その成長の牽引力は主 としては,テレビ動画,映画動画(特殊効果 の動画と広告動画を含む)および企業の動画 応用である。そのうち,「テレビ動画」には, テレビ動画,テレビ番組の動画効果および周 辺製品の販売などが含まれている。「映画動 画」には,映画動画,映画動画広告および周 辺製品の販売などが含まれている。「企業の 動画応用」には,企業の動画広告なども含ま れている。 図2は 台 湾 の 動 画 産 業 の 製 作 フ ロ ー チャートを示している。それは準備期,前 工程製作期,製作期,後工程製作期,販売・ 宣伝期の5つの時期に分けられる。つまり, 「準備期」では,創意材料・テーマ,脚本の 設定および創作指導,企画書の作成が必要 である。「前工程製作期」では,ストーリー

(13)

(物語の概要,各回の概要)の設定,役割の 設定,場面の設定およびデモンストレーショ ンビデオの作成が必要である。「製作期」で は,モデリング,シェアリング,アニメ混合,

Optimization

の合成などが必要である。「後 工程製作期」では,音声・配音効果,編集, 特殊効果の合成,製作・放映複製などが必要 である。「販売・宣伝期」では,市場販売, 製品の発行が必要である。 2)業界の動態

2009

年の世界の動画のうちテレビ動画が 最も多く,6割以上を占め,

1085

億ドルの規 模に達している。近年,台湾の動画産業は大 きく進展を見せ,若い製作者は多くの作品を 創作し,国内外から絶賛されるようになっ た。台湾の動画企業も積極的に国際的動画活 動に参加し,台湾製動画は欧米市場において も頭角を現すようになった。現在,台湾では 宏広,太極影音,利達デジタル,鎧甲娯楽, 鴻鷹世界,西基,会宇メディア,電視豆,躍 獅影像科技,春水堂,活発,海天,甲馬創意 など

20

以上の企業の動画作品が注目される ようになった。 そのうち最も代表的な企業は,長期にわた るディズニーの

OEM

動画を担当した「宏広」 およびネット動画からスタートし,日本のテ レビ動画作品で成功した「電視豆」である。 そのほかに,文瀾の「

Pupa Family

」,頑石 創意の「

Katz Fun

」,青禾動画の「笑話系列: テレビ動画影像集」,酷分仔メディアの「超 毛星(

FURBIES

)」などである。そのほかに, 宏広の「有青山

2366

Komba Ya!

)」,龍衆 新メディアと藝動ネット科技の「昆虫小学」, 綺泰動画の「星空甜心(ハニー)」,太極影音 の「猿王」,遠東動画の「愛蛙動画(

AIRA

)」 などが挙げられる。表

13

2009

年までの台湾 製動画シリーズを示している。 以下では台湾で最も注目される「宏広」お よび「電視豆」の2社の企業の沿革にスポッ トを充てて考察する。 ① 宏広

1978

年に宏広公司が設立され,動画からス タートし,既に

5000

部以上の動画を製作した 経験を積んでいた。宏広は台北工場,中国の 蘇州工場およびタイ工場を擁し,約

1000

名の 従業員が勤務していた。そのうち,原画担当 は約

150

名,動画担当は約

300

名で,そのほ か,背景担当,構図担当,コンピューター部, 資料整理組,翻訳組,製作組の行政部門など が含まれていた。

1978

年の創業からディズニーに協力し,ア ニメの「ムーラン(木蘭)」(娘が男装し,父 の替わりに戦場に行き,戦果を挙げた中国の ヒロイン),「マーメード」(人魚物語)など は宏広が担当した有名な

OEM

動画である。 ディズニーのほかに,宏広は他の国際動画企 図2 動画産業のフローチャート 準備期 前工程製作期  製作期 後工程製作期 販売 ・宣伝期 創意材料 ・  脚本 ストーリー modeeling 音声・配音効果 市場販売 テーマ ・ shading 編集 各回 の概要 ) animation 特殊効果合成 製品発行 mixer 創作指導  企画書 役割設定 optimization 場面設定 Demo Video 製作・放映複製 (各物語概要 (出所)表12に同じ。

(14)

業に協力し,テレビアニメの「スヌーピー」, 「ポッパイ」,「スーパーマン」および「スー パーガール」などを製作していた。 しかし,台湾の人件費の高騰によって,

OEM

によるコストの優勢が失われ,宏広は 中国とタイに工場を設置し,その

OEM

の業 務を維持していた。そのほかに,自社製作の 「オリジナル作品」および「自社ブランド」 の構築の方向性を重視するようになり,多額 の資金をメディア,ネットおよび自社製作の 動画などの領域に投入していた。

2004

年頃, 台湾で上映した「紅孩児決戦火焔山」は宏広 の最初の自社製作の長編アニメ映画である。 これらは宏広が長年の

OEM

動画の成果であ り,自社ブランドの構築に踏み出した最初の 第1歩である。そのほかに,自社製作のアニ メ動画は「牛伯伯牛小妹大破鑽石党(牛おじ さんと牛お嬢さんのダイヤモンドギャング逮 捕劇)」,「張羽煮海(張羽が海を煮る)」,「七 爺八爺」,「橘生」,「学仙記(仙人を学ぶ)」, 「小和尚(小さいお坊さん)」,「少年カマラン」 などが挙げられる。 ② 電視豆

2002

年に電視豆が設立され,アニメ動画の 「魔豆伝奇」はパンダを主役とする冒険物語 である。その人物と物語は台湾の観衆から好 評を得て,日本の動画業界からも注目される ようになった。

2004

年に電視豆は日本の星球影像製作会 社 お よ び フ ジ グ ル ー プ 傘 下 の

FCC

Fuji

Creative Corp.

)と協力し,「魔豆伝奇」を

26

集のテレビ動画に編成し,総予算は4億円 に達し,

2004

12

月に日本と台湾が同時に 上映した。 動画の製作のほかに,電視豆は台湾,日本 および韓国など多くのテレビ局,玩具,電動 玩具企業から「魔豆伝奇」テレビのアニメの 衍生商品の版権供与と開発が依頼された。こ れは人気アニメを有効的に商業化に転じた成 功の一例である。 3)趨勢と展望 台湾の映画動画,テレビ動画およびビデオ 動画の製作企業は,海外からの

OEM

動画の 製作が主な業務形態であった。動画製作の

OEM

の重要な要因は,コスト,品質および 表

13

 台湾製動画シリーズ 動画名 長さ×シリーズ数 動画名 長さ×シリーズ数 魔豆伝奇

11

分間×

26

集 恐竜向前衝 5分間×

24

YoYaman

11

分間×

26

集 恐竜運動会 5分間×

10

集 哈利與小恐龍

11

分間×

52

集 悠遊字在

15

分間×

13

集 大 婆與小聡明

12

分間×

50

集 故宮迷蹤

12

分間 原知原味

22

分間×

40

集 国宝総動員

12

分間 虎姑婆

14

分間×

13

集 家後

90

分間 小沙彌喜歓看人間 5分間×

100

Hero 108

11

分間×

52

PiPi

QQ

10

分間×

60

集 米各説 1∼2分間×

44

集 唐朝小栗子

12

分間×

142

集 靠岸

88

分間 森林総動員

22

分間×

26

集 快楽的秘密

10

分間

MuMuHug

5分間×

52

集 土星之謎

45

分間 金牌熊猫

22

分間×

26

集 機器人納瑞奇

13

分間×

10

集 憶巨獣

15

分間

POPA Family

24

分間×

13

集 紅楼夢

30

分間 小太陽

25

分間×

13

集 星熊

22

分間×

52

集 (出所)表7に同じ。

(15)

効率によるものである。

1980

年代以降,海外 の動画製作企業はアジア各地に安価で優秀な

OEM

動画の製作企業を探し求めていた。中 国,韓国,フィリピンおよびインドなどは台 湾の

OEM

動画のライバルであり,このよう な熾烈な競争の下で,もともと付加価値が高 くない

OEM

動画市場においては,大きな危 機に直面するようになった。

1980

年代以降,台湾の

OEM

動画企業は自 社ブランドの重要性に気付き始めた。しか し,

OEM

時期の多くは絵画,造形および着 色などの専門技術に専念していたが,前工程 の企画編成の人材と能力が不足し,それに資 金の募集能力が不足していて,製品の水準に 満足できなかった。したがって,市場から注 目を得ることができず,再び

OEM

の業務に 戻る動画企業も多かった。 現在,台湾では賃金の上昇によってコス トの優勢を失い,それにアジア諸国の動画

OEM

の技術向上によって,

OEM

注文は流 失するようになった。それに価格競争によっ て,利潤は益々低くなり,それに加えて,工 場および従業員などの固定コストがかかり, 経営が益々困難になった。そのために,各社 は再び映画製作企業との協力による自社ブラ ンドの構築の道に向かうようになった。図案 著作権の掌握によって,更に1歩進んで市場 を拡大し,単なる製作費だけの獲得だけでな く,動画による衍生商品の販売から多くの利 潤の獲得を図っていた。 ネット動画の製作ツールが安価で,必要と する製作上の緻密度は1秒当たりの枚数は多 くなく,製作しやすく,直ちに観衆の好感を 得ることができた。それに,ネットにおいて は多くの無償の個人創作動画が掲載され,個 人から作業工房へと創作が移行され,多くの 企業もネット動画の自社ブランドおよび系列 作品を創作するようになった。 しかし,ネット動画の創作の多くは一時的 なヒント・アイディアによるもので,物語の 題材やストーリ性に伸びるか否か,その動画 は衍生商品に適しているか否か,あるいは異 業種での協力ができるか否か,などの要素が 含まれている。その一部分は小説の脚本によ る画像化されたものを除いて,その後は続か ず,収益を得ることができなかったものも多 く見られた。ネット動画は無償の方式でユー チューブ(

YouTube

)などのネットで多く の観衆が閲覧される。現在,ユーチューブの 場合,閲覧に購読料の支払いがないために, 製作企業は利益が得られないが,製作企業は 衍生商品によって収益を得ることを試みてい る。 現在,ネット動画企業はネット動画をテレ ビなどのメディアで放送することを試みてい た。しかし,ネット動画のファイルの大きさ とネットの情報伝送時間を考慮し,製作され た品質,放映時間の長さおよび動画の企画に よって大きな差異をもたらした。例えば,テ レビ動画の1回分は約

22.5

分間で,ネット動 画の1回分は2∼3分間であるために,

10

回分のネット動画の量で1回分のテレビ動画 分になる。このようにネット動画の製作時間 と創作表現の上で,テレビ動画の表現が異 なっていることであり,その成果と収益は予 想通りに行かない場合がある。このような現 状であるため,テレビ動画に移行すること が,ネット動画の克服すべき課題である。

2009

年 に 首 映 創 意 公 司 の「 妖 怪 金 幣 (

Monster Coins

)」 は

2009

年 度 東 京 国 際 動 画 映 画 祭 の「 公 開 応 募 部 門: 年 度 優 秀 動 画(

Notable Entry

賞)」を受賞した。

2009

年 に 春 水 堂 の 大 型 動 画 映 画「 靠 岸(

Port

of Return

)」 は 台 北 映 画 祭 の 長 編 部 門 で ノミネートされ,釜山国際映画祭(

Pusan

International Film Festival, PIFF

) の 広 角 鏡 部 門 で ノ ミ ネ ー ト さ れ た。

2009

年 に 舞墨映画の短編動画「根(

Root

)」はフラ ン ス 動 画 映 画 祭(

Annery International

Animation Film Festival

)でノミネートさ れた。酷分仔メディア公司と挿絵画家協力の 「毛粒子」は,日本国家文芸社出版部門の審

(16)

査団大賞を獲得した。

遊 戯 橘 子 と

Moonscoop

グ ル ー プ,

Car-toon Network UK

は多国間協力で「

Hero

108

」を製作している。この動画の雛型は

2003

年にデジタルコンテンツの雛型賞に輝 いた「火水伝」であり,この動画の主な構想 ヒントは中国古典文学作品の「水滸伝」によ るものであり,この作品は台湾の動画製作企 業が初めてオリエンタルの素材の結合によっ て,欧米の動画市場に参入した最初の作品で ある。

2009

10

28

日に台湾青禾動画と日 本の

DLE

動画は協力関係を締結し,双方に よる動画製作の協力を行い,著作権と発行権 による周辺製品の設計と販売などで利益が得 られるようになった。 太極影音動画公司はアメリカの

NASA

か ら版権を得て,

3D

(3次元)の動画「土星 の旅」を製作した。その目的は娯楽性の高い 動画映画を借りて,観客が天文科学への接近 を試みることであった。酷分仔メディア公司 の創作動画シリーズ「

Almost Extinct

」は, 海外との契約を締結するようになった。冉 色斯創意影像公司の「

Trace

魔石謎跡」はス イスの

Animagination

動画企業との共同出 資で製作し,

2010

年3月に放映するように なった。躍獅影像公司はソフト・ハード設計 およびメディア創意で,

2010

年の上海万博 の中国国家館の大型メディア劇場の工程落札 が得られ,特に製作した「明清上河図」の動 画が万博で注目を浴びるようになった8) ⑶ デジタル影像・音声  影像・音声や音楽の

CD

DVD

は消費者 のリラックスや楽しみをもたらし,生活と密 接な関係を持っていた。近年,デジタル技術 の進歩に従って,影像・音声はデジタル方式 の入力・出力に移行するようになった。伝統 的なレコード,音声テープやビデオテープか ら

CD

DVD

VCD

などに代替するように なり,影像・音声市場の主流に躍進するよう になった。デジタル影像・音声は大衆に受け 入れられ,オンライン影像・音声市場の楽観 的な展望が見られるようになった。多くの企 業はオンライン・ミュージックやネットテレ ビなどの市場に持続的に投入するようになっ た。現在,台湾のオンライン影像・音声市場 は萌芽期であるが,世界のオンライン影像・ 音声市場がますます盛んになり,将来の潜在 力が注目されるようになった。 1)市場分析 デジタル影像・音声は主にアナログ影像・ 音声(映画,テレビ,ミュージックなど)の デジタル化,あるいはデジタル方式による撮 影,影像・音声のデータに録製し,製品や サービスに整合・応用してオンラインによる 転送するものである。ミュージックの

CD

DVD

VCD

のレンタル,オンライン・ミュー ジック,オンライン・フィルムのダウンロー ド,オンライン・デジタル

KTV

(カラオケ), メディアサービス

MOD

,デジタルテレビ, デジタル放送,デジタル電子看板およびモバ イルテレビなどが含まれている(図3)。

2009

年台湾のデジタル影像・音声産業の生 産額は

420

億台湾元であり,対前年比で

2.4

% の増加である。図4はデジタル影像・音声 産業のバリューチェーンである。

2009

年の 主な成長はネット使用者による創出したデジ タル影像・音声が盛んになり,家庭用デジタ ル影像・音声の娯楽やテレビメディア歌謡番 組の推進によって,この産業が持続的に成長 するようになった。 ① 影像・音声市場 台湾のオンライン・ミュージック市場が飽 和状態になり,多くの企業は他のビジネス チャンスを探し求めるようになった。継創聯 網(

Kuro

)は単曲ダウンロードを推進した あと,オンライン・ミュージック企業は願境 網訊(

KKBox

)は藍鵲科技と協力し,消費 者はパソコンの中のミュージックを無線送信 の方式で,無線ミュージック・ボックス製

(17)

品を推進して家庭内の音響を通じてアクセ スすることができた。または,オンライン・ ミュージックを楽しむことができた。 達辰デジタル(

ezPeer+

)は中華電信と協 力して携帯電話のオンライン・ミュージッ クを展開し,

MP4

のハード機器に使われる 図3 デジタル影像・音声産業の範疇

ネットテレビ

デジタル影像・音声産業

DVD/VCDレンタル

モバイルテレビサービス

デジタル影像・音声製作

デジタルカラオケ

デジタル映画

有線デジタルテレビ

無線デジタルテレビ

デジタル電子看板サービス

デジタルミュージック

(出所)表12に同じ。 図4 デジタル影像・音声産業のバリューチェーン デジタル 影像・音声媒体業者 システム 業者 影像・音声 制作 応用放送 コンテンツ 統合 システム ツール コンテンツ (チャンネル ) 地上放送 デジタルテレビ xDSL ゲーム 専用機 コンテンツ 制作・ 費用支払い, 放送 衛星 デジタル 放送受信機 消費者 版権管理 無償 有線 デジタル・シアター コンテンツの選択 カラオケ 機器・・・ レコード 企業 天空伝媒 yam , 中嘉 ネット,凱擘 ,台湾 ブロードバンド, 影像・音声製作 愛爾達 ch 5, 台固 ,台基 ネット,宝島新声 ・・・ (台北影業 など, 年代 I!m TV , 独立製作 ・・・など) 達霖 ezpee +, 順境網訊 KKBox , Yes TV ,亞捷 デジタル , 銭櫃 ,好楽迪・・・ 三立 ,公視 ,民視 など 中国TV,中華TV, 台湾TV, 兆赫,百一,正文,無敵・・・ 中華電信 MOD , 中国広播 ・・・ 喜満客 ,国賓 ,大唐 , 美華 ,金 ,音圓・・・ (出所)表12に同じ。

(18)

ミュージック・サービスを展開した。中華電 信はワーグナー・ミュージックと協力し,オ ンライン・ミュージックの新しい市場に参 入した。消費者は歌姫・蔡依林のデジタル・ ミュージックのシリーズから欲しい歌を選 び,携帯電話によるネットからダウンロー ドができる。それはレコードショップから の

CD

購入よりも安価である。このビジネス はパソコンから携帯電話のプラットホーム, ネットテレビの

MOD

,ネットの

HiNet

など に広範囲に拡張され,消費者は好きな音楽を ネットからダウンロードができる。それを

MP3

などに移し,ネットの消費者の選好に 合わせるようになった。そのほかに,台湾大 哥大,遠傳などの通信企業もダウンロードの サービスを展開し,台湾の携帯電話による通 信産業の年平均増加率は

30

%台に達するよ うになった。 驊訊電子がオンライン・ミュージック市場 に投資した

iPeer

グループ傘下の台湾酷楽時 代は,

2009

11

月に中国信託によって「中 信超音播」のネット銀行およびオンライン・ ミュージックの統合プラットホームを展開し た。これは

iPeer

グループが携帯電話市場に 参入したあと,はじめて金融業者と協力によ るネットバンキングを開始したものである。 前に述べた驊訊電子のほか,華研レコード, 北京酷楽時代,台湾酷楽時代および聯発科技 なども

iPeer

グループの株主である。 ユニバーサル ミュージック・グループ (

Universal Music Group

UMG

) は ユ ー チ ュ ー ブ(

YouTube

) と 協 力 し, 双 方 は

Vevo.com

の ネ ッ ト,

YouTube

上 の

Vovo

チャンネルおよび映画放送ソフトの広告収 入が得られる。ネット広告のほかに,映画 開始前の

15

秒間の広告がある。消費者はク リックすると,アップル社の

iTunes

やアマ ゾンのショップに接続し,この曲を直接に ダウンロードによる購入ができる。この計 画の開発費用は

UMG

からの出資で,

Vevo.

com UMG

による

100

%出資の企業であり,

YouTube

が技術を提供していた。 ② テレビのデジタル化とモバイル化 台湾の有線テレビ・システムでは中嘉,凱 擘,台湾ブロードバンド通信の3つの供給企 業がある。現在,これらの企業は有線テレビ 番組を開始した。有線デジタルテレビとブ ロードバンドネットと結合し,消費者は高 機能型携帯電話,ネットブック・パソコン,

PSP

ゲーム機などからデジタル番組を観賞 することができる。凱擘のデジタル有線テレ ビは,

2009

10

月から放送が開始された。そ こには「

HBO

高画質」の映画チャンネル,「ナ ショナル・ジオグラフィク」の高画質チャン ネル,「高画質

HISTORY

歴史チャンネル」, 「緯來

HD

」,「

ASN

全米スポーツチャンネル」 および全天候の高画質有料チャンネル〈

HD

PPV

」の映画,旅行動画,極限スポーツな どのフィルムが含まれていた。 台湾の交通部〈交通省〉は2枚のモバイル テレビの全地域ライセンスを発行し,

2010

年に行政院から承認された。新たに発行され た2枚の全地域向けモバイルテレビのライセ ンスのチャンネルは6

MHz

であり,中立的 技術を採用し,欧州規格の

DVB-H

や高速通 信の

Media FLO

技術などに特別な制約を加 えることなく,企業に自らを評価させ,1枚 のライセンスは

20

以上のチャンネルを発生 させることができた。 台湾テレビ,

TVBS

,東森テレビ,8大テ レビなどの企業の多くは台湾の影像・音声 チャンネル業者と協力関係を締結するように な っ た。 例 え ば,

Hi Channel

yam

天 空,

imTV

などが挙げられる。双方の協力方式は 影像・音声番組をチャンネルで放映し,一部 分の番組は無料であり,一部分の番組は有料 であり,売上収益は消費者から観賞費用の徴 収やスポンサーの広告費からの収入によるも のである。5つの無線テレビ局はデジタル化 に備えて,中華電信と協力して展開してい る。

表 2  世界の娯楽とメディア産業市場規模の増加率    (単位:%) 業種別 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 09 ∼ 13 年 ネットアクセス 21.9 23.8 18.9 17.3 12.7 5.4 5.4 10.0 13.0 12.6 9.2 ネット広告 43.7 49.5 44.4 33.9 12.6 -2.7 1.8 8.9 14.1 15.7 7.3 テレビ観賞権利金 8.3 8.8 8.4 9.0 7.6 3.1 3.7 7

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