地下水調査と地下水流動解析の高度化に関する研究
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(2) 要. 旨. 近年 の 大 規模 地 下開 発 や 放射 性 廃棄 物 処 分、 土 壌地 下 水 環境 汚 染対 策 な ど、 地 下水 流動 を 適 切に 把 握、 評 価 する 必 要性 が 高 まっ て いる 。 地 下水 の 状況 を 適 切に 把 握す る ため の 調 査や 地 下水 流 動 解析 手 法は 、 地 下水 流 動評 価 の ため の 重要 な ア プロ ー チ方 法 であ る と とも に 、そ の 妥 当性 が 問わ れ る よう に なっ て き た。 解 析結 果 に より 、 設計 や 安全 評 価 を行 う 場合 に は 、解 析 手法 や 解 析モ デ ルの 妥 当 性の 評 価が 重 要 であ り 、さ ま ざま な 分 野に お いて シ ミ ュレ ー ショ ン の V&V(Verification and Validation:検 証 と 妥当 性 の 確認 ) が 必 要 と され て いる 。 地下 水 流 動評 価 の妥 当 性 を確 認 する に は 、客 観 的な 実 測 デー タ との 比 較 が重 要 であ る。 し た がっ て 、現 状 技 術で 最 も精 度 良 く観 測 可能 な 地 下水 位 や間 隙 水 圧に 着 目し 、 観測 井 掘 削に よ る 現 状 の 地下 水 調査 の 問 題点 と 、実 測 デ ータ の 誤っ た 解 釈に よ る弊 害 につ い て 明ら か にす る こ とに よ り、地 下水 調 査 法の 高 度 化の 必 要性 に つ いて 議 論し た。 一方 、 地 下水 流 動解 析 に おけ る 現状 の 問 題点 と して 、 観 測井 の 影響 を 考 慮し て いな い点 に つ いて 言 及し 、 観 測井 を モデ ル に 導入 し ない 地 下 水流 動 解析 結 果 から 得 られ る 地下 水 位 や間 隙 水圧 が 実 際の 地 下水 流 動 場で の 値と 異 な る点 に つい て 指 摘し 、 地下 水 流動 解 析 手法 の 高度 化 方 法と し て、 地 下 水調 査 状況 を 反 映し た 解析 手 法 を提 案 する と とも に 、 その 妥 当性 に つ いて 検 討を 行 っ た。 また 、 地 下水 流 動解 析 モ デル の 高度 化 に 資す る ため 、 間 隙水 圧 デー タ の 急変 化 が発 生す る 要 因に つ いて 数 値 実験 を 用い て メ カニ ズ ムの 解 明 を行 う とと も に 、間 隙 水圧 デ ータ を 用 いた 水 理地 質 構 造の 解 釈方 法 に つい て 整理 し た 。 各検 討 か ら得 ら れた 知 見 に基 づ き、 今 後 の地 下 水調 査 お よび 地 下水 流 動 解析 の 高度 化に つ い て提 言 を行 っ た 。.
(3) 目次 頁 第1章. 序論. ····························································· 1. 1.1. 研 究 の 背景 と 目的. 1.2. 本 研 究 の構 成. 参考 文 献 第2章 2.1. ···················································· 1. ························································ 5. ································································· 6 地下 水 調査 お よ び地 下 水解 析 の 従来 の 研究 と 現 状の 課 題. 地 下 水 調査 の 従来 の 研 究お よ び現 状 の 課 題. ·············· 7. ······························ 7. 2.1.1. 地 下 水位 、 間隙 水 圧 調査 の 従来 の 研 究. ······························ 7. 2.1.2. 地 下 水位 、 間隙 水 圧 調査 の 現状 の 課 題. ····························· 11. 地 下 水 解析 の 従来 の 研 究 お よ び現 状 の 課 題. ····························· 15. 2.2. 2.2.1. 地 下 水解 析 の従 来 の 研究. ········································· 16. 2.1.2. 地 下 水解 析 の現 状 の 課題. ········································· 23. 2.3. 本 研 究 の位 置 付け. 参考 文 献 第3章 3.1. ··················································· 25. ································································ 26 観測 井 を考 慮 し た地 下 水流 動 解 析手 法. 観 測 井 の地 下 水流 動 へ の影 響. ······························ 29. ········································· 29. 3.1.1. ボ ー リン グ 孔や 井 戸 から 得 られ る 地 下 水位 デ ー タの 意 味. 3.1.2. まとめ. 3.2. ························································· 37. 観 測 井 を考 慮 した 地 下 水流 動 解析. 3.2.1. 2 次元 平 面 モデ ル によ る 検 討. 3.2.2. 3 次元 モ デ ルに よ る検 討. 3.2.3. まとめ. 3.3. ············ 29. ····································· 38 ····································· 38. ········································· 42. ························································· 53. FEM 地下 水 流 動解 析 へ の 1 次 元線 要 素の 適用. ··························· 54. 3.3.1. 1 次元 線 要 素の 定 式化. 3.3.2. 1 次元 線 要 素の 妥 当性 の 検 討. 3.3.3. モ デ ル地 盤 によ る 現 象確 認. 3.3.4. まとめ. ························································· 82. 今 後 の 課題. ························································· 83. 3.4. 参考 文 献 第4章. ··········································· 54 ····································· 55 ······································· 75. ································································ 84 間隙 水 圧デ ー タ によ る 水理 地 質 構造 の 推定 方 法. 4.1. 間 隙 水 圧分 布 と水 理 地 質構 造 の相 関 性. 4.2. ケ ー ス スタ デ ィに よ る メカ ニ ズム の 解 明. 4.3. 間 隙 水 圧デ ー タに よ る 水理 地 質構 造 の 推 定方 法. i. ····················· 85. ································· 85 ······························· 87 ······················· 124.
(4) 4.4. ま と め と今 後 の課 題. 参考 文 献 第5章 5.1. ················································ 132. ······························································· 133 地下 水 調査 法 お よび 地 下水 解 析 手法 の 高度 化 に 関す る 提言. 地 下 水 調査 法 の高 度 化. ·········· 135. ·············································· 135. 5.1.1. 地 下 水位 観 測の 高 度 化. ·········································· 135. 5.1.2. 間 隙 水圧 観 測の 高 度 化. ·········································· 141. 5.1.3. まとめ. ························································ 146. 5.2. 地 下 水 流動 解 析手 法 の 高度 化. 5.3. ま と め と今 後 の課 題. 参考 文 献 第6章 6.1. 結論. 6.2. 今 後 の 課題. 謝辞. ················································ 151. ······························································· 152 結論 と 今後 の 課 題. 参考 文 献. ········································ 148. ··············································· 153. ······························································ 153 ························································ 154. ······························································· 157. ··································································· 159. ii.
(5) 第1章 1.1. 序論. 研 究 の 背景 と 目的. 近年 の 地 球環 境 問題 と と もに 、 地下 水 環 境の 維 持、 保 全 は重 要 な課 題 で ある 。 地下 水位 の 高 い我 が 国で は 、 土木 ・ 建築 工 事 にお い て地 下 水 対策 は 必須 で あ り、 地 下水 環 境維 持 の ため の 対策 工 法 が提 案、実 施 され て い る。対 策に あ たっ て の 重要 な デー タ は 、 地下 水 状 況の 把 握で あ り 、地 下 水調 査 に つい て は従 来 か らボ ー リン グ 孔 、井 戸 掘削 に よる 方 法 が用 い られ て き た。 と ころ が 、 適切 な 調査 、 評 価を 実 施し な い と正 確 な地 下 水状 況 の 把握 が でき な い 場合 が 想定 さ れ る。 そ のた め に 適切 な 対策 が 実 施さ れ ない 場 合や 、 過 度な 対 策に よ り 過大 な コス ト を 必要 と する 場 合 、ま た 、新 た に 別の 地 下水 環 境問 題 を 引き 起 こす 場 合 など が 考え ら れ る。 一方 、放射 性 廃棄 物 処 分の よ うに 地 下 水シ ナ リ オに よ る 被ば く 線量 評 価 にお い ては 、 長期 の 地 下水 流 動評 価 の 妥当 性 、精 度 が 重要 で あり 、 地 下水 流 動に 対 す る予 測 解析 モ デル の 妥 当性 の 確証 を 行 うに は 、現 状 の 地下 水 流動 の 再 現性 が 重要 な ア プロ ー チ方 法 とな る 。 その 際 には 解 析 結果 と 実測 デ ー タの 比 較に よ り 解析 結 果の 再 現 性を 評 価す る こと に な るが 、 実測 デ ー タの 適 切な 把 握 と解 釈 は重 要 で ある と とも に 、 解析 結 果と の 的確 な 比 較評 価 が必 要 と なる 。 近年 、 数 値解 析 手法 お よ び数 値 解析 モ デ ルの 妥 当性 に つ いて 、 様々 な 分 野で 議 論さ れて お り 、解 析 に対 す る 品質 保 証の 観 点 も重 要 視さ れ る よう に なっ た 。 欧米 が 先行 し てい る V&V(Verification and Validation:検 証 と妥 当 性 の確 認 )1), 2) の 考 え方 で あり 、 国内 で も 日本 計 算工 学 会 が基 準 を発 行 し てい る. 3), 4) 。. これ は 原 子力 発 電所 の 耐 震設 計 にお け る 入力 デ ータ の ミ スが 発 覚し た こ とな ど によ る社 会 的 ニー ズ によ る も のと も 言え る が 、 人 々 に対 す る 安全 性 の観 点 か ら当 然 の要 求 と言 え よ う。 原 子力 施 設 に対 す る解 析 業 務の 品 質向 上 ガ イド ラ イン も 発 行さ れ てい る 5) 。. 放射 性 廃 棄物 処 分の 分 野 では 、特 に 放 射性 核 種 の移 行 媒 体が 地 下水 と な るこ と から 、 地下 水 流 動評 価 が重 要 な 安全 評 価に お け る手 法 とな っ て いる 。 特に 、 天 然バ リ アと 呼 ばれ る 地 盤、 岩 盤中 の 移 行挙 動 をで き る だけ 正 確に 予 測 、評 価 する こ と によ り 、人 工 バリ ア 設 計と 合 わせ た 合 理的 な 施設 設 計 が可 能 とな る 。 土木 学 会 にお い て、 「 余 裕 深度 処 分 の安 全 評価 に おけ る 地 下水 シ ナリ オ に 用い る 核種 移 行 評 価 パ ラ メ ー タ 設 定 の 考 え 方 」 6) が と り ま と め ら れ 、 地 下 水 流 動 解 析 手 法 に 基 づ く核 種 移 行評 価 パラ メ ー タの 設 定 の 考 え 方が 示 され た 。 その 中 には 、 図 1.1-1 に 示さ れる 地 下 水流 動 解析 モ デ ルの 確 証方 法 に つい て も言 及 さ れて い る。. 1.
(6) 図 1.1-1. 地 下 水流 動 解析 モ デル 確 証 の検 討 フ ロー ( 例 ) 6) 2.
(7) 図 1.1-1 に示 さ れ るよ う に、 地 下 水流 動 解析 モ デル の 確 証デ ー タと し て は、 現 状で は以 下 の 3つ の デー タ が 有力 で ある 。 ①. 地 下 水位 、 間隙 水 圧. ②. 流 量 (湧 水 量、 表 面 流出 量 ). ③. 地 化 学( 水 質、 地 下 水年 代 など ). それ ぞ れ の確 証 デー タ と 解析 結 果の 比 較 から 、 地下 水 流 動解 析 モデ ル の 妥当 性 を総 合的 に 確 証す る もの で あ るが 、 現状 技 術 にお い て最 も 精 度良 い 実測 デ ー タが 得 られ る 項目 は ① 地下 水 位、 間 隙 水圧 で あろ う 。 地下 水 位と 間 隙 水圧 の 再現 性 に より 、 水理 地 質構 造 や 設定 さ れた 透 水 性の 相 対的 な 比 率( 水 理地 質 区 分間 の 透水 性 の 大小 関 係)、境 界条 件 な どの 確 証に 有 効 であ る と考 え ら れる 。 しか し な がら 、 実際 に 水 理地 質 構造 、 透 水性 を 反映 し た 地下 水 流動 解 析 モデ ル を作 成し て 解 析を 行 って も 、 実測 デ ータ と の 差異 が 認め ら れ る。 こ の差 異 を 低減 さ せる た めに 解 析 モデ ル の改 良 、修 正( Calibration)が行 わ れ るが 、な かな か 実 測デ ー タを 再 現す る こ とは 容 易で な い 。 特に 、 間 隙水 圧 分布 の 急 変 化 点 が観 測 さ れる も のの 、 そ のよ う な変 化 点 を解 析 的に 再現 す る こと が 難し い 。 対象 と する 地 下 水流 動 の媒 体 は 不均 質 であ り 、 モデ ル に反 映 され て い ない 未 知の 内 的 要因 ( 水理 地 質 構造 、 透水 性 な ど) や 境界 条 件 (降 雨 涵養 量 など ) の 違い に よる 影 響 であ る と考 え ら れる 。 この よ う な未 知 の要 因 を 把握 す るア プ ロ ーチ も 重要 で あ ると 考 えら れ る が、 一 方で 以下 の 疑 問が あ る。 (1) 地下 水 位 (Water table) や 間 隙水 圧 の観 測 デ ータ は 本 当に 周 辺の 地 下 水位 、 間 隙水 圧 と 考え て 良い の か ? (2) 観 測 井 や ボ ー リ ン グ 孔 は 人 為 的 な 水 み ち に な る の で は な い か ? 地 下 水 流 動 に 影 響が な い か? (3) 地 下 水 流 動 解 析 モ デ ル に 観 測 井 や ボ ー リ ン グ 孔 が モ デ ル 化 さ れ て い な い 状 態 で 、 実測 値 と 解析 結 果の 比 較 によ り 、本 当 に 適切 な モデ ル の 確証 が でき る の か? 地下 水 の 流動 を 把握 す る ため に 、古 く か ら地 下 水観 測 井 が用 い られ て お り、 近 年で は深 部 地 下水 を 対象 と し た長 尺 ボー リ ン グを 用 いた 間 隙 水圧 計 測が 行 わ れる よ うに な った 。こ れ ら は、 原 油 や LNG,LPG の岩 盤 内 貯蔵 や 放 射性 廃 棄物 の 地 下埋 設 など 、 地 下空 間 利 用深 度 が深 く な ると と もに 、 地 下水 の 影響 を 適 切に 把 握し 、 施 設設 計 や安 全 評価 に 反 映す る 必要 が あ るた め であ る 。 観測 井 内 の水 位 は 、一 般 的 に周 辺 の地 下 水 位( Water table)と 等 し いと 考 えら れ て いる が 、 観測 井 の場 所 、 観測 し てい る 区 間( 不 圧帯 水 層 、被 圧 帯水 層 ) など に より 、 観測 井 内 の水 位 は周 囲 の 地下 水 位と は 異 なる 場 合が あ る 。一 方 、解 析 技 術者 は 「地 下 水位 」 = 「圧 力 水頭 = 0 の 水 位 レベ ル 」 の認 識 で、 解 析 結果 と して の 地 下水 位 を算 出 3.
(8) し、 実 測 デー タ との 比 較 を試 み てお り 、 実測 デ ータ が ど のよ う にし て 得 られ た デー タ なの か を 吟味 す るこ と は まれ で ある 。 また 、 地 下水 流 動評 価 に おい て 、岩 盤 内 の亀 裂 の存 在 に よる 影 響に つ い ては 、 重要 視さ れ る 傾向 に ある も の の、 観 測井 や ボ ーリ ン グ孔 掘 削 によ る 水み ち に つい て は、 従 来か ら あ まり 議 論さ れ て いな い 。適 切 な 閉塞 を 行わ な い 裸孔 状 態の ボ ー リン グ 孔な ど は地 下 水 流動 場 内の 人 為 的な 水 みち と な り、 周 辺地 下 水 流動 に 対す る 影 響を 把 握し な けれ ば 、 適切 な 地下 水 観 測が で きな い 可 能性 が ある 。 加 えて 、 一般 的 な 広域 地 下水 流 動解 析 に おい て 観測 井 や ボー リ ング 孔 を モデ ル 内に 導 入 した 解 析モ デ ル も見 ら れな い 。 解析 モ デ ルの 妥 当性 の 確 証を ど のよ う に 実施 す るか に つ いて の 数学 的 な 研究 地下 水 流 動解 析 に対 す る ガイ ド ライ ン. 7) や 、. 8) がま と めら れ て いる も のの 、 実 測デ ー タは 正. しい こ と が前 提 であ り 、 解析 結 果と の 比 較の 方 法論 と な って い るた め 、 検証 デ ータ と して 用 い られ る 観測 井 か ら得 ら れた 地 下 水位 や 間隙 水 圧 の解 釈 につ い て の検 討 はな さ れて い な い。 この よ う な現 状 を考 慮 す ると 、 観測 井 に おけ る 実測 値 と 解析 結 果は 、 潜 在的 に 誤差 を持 っ て いる 可 能性 が あ り、 こ の誤 差 を 低減 し なけ れ ば 、誤 っ た解 釈 や 解析 を 行う こ とが 想 定 され る だけ で な く、 解 析モ デ ル の妥 当 性の 確 認 が適 切 に行 わ れ ない 可 能性 が ある 。 地 下水 調 査と 地 下 水流 動 解析 の 双 方の 高 度化 が 必 要で あ る と 考 え られ る 。 以上 の 背 景か ら 、本 研 究 は以 下 の項 目 を 検討 す る。 ①. 地下 水 流 動解 析 の妥 当 性 の確 認( Validation)に資 す る ため 、地 下 水 調査 項 目 のう ち 精 度よ く 観測 が 可 能と 考 えら れ る 地下 水 位お よ び 間隙 水 圧に 着 目 し、こ れら の 調 査方 法 に対 す る 現状 技 術を 調 査 する と とも に、観 測 井か ら 得ら れ る 水 位、水圧 デ ー タを 用 いた 場 合 にど の よう な 評 価 の誤 り が 生じ る かに つ い て 整 理 する 。ま た 、地 下 水 流動 解 析手 法 に 対す る 最新 動向 を 調 査し 、本 研究 に おい て 用い る 解 析手 法 を選 定 す ると と もに 、 本 研究 の 位置 づ け を明 確 にす る 。. ②. 地下 水 調 査の た めに 掘 削 され る 観測 井 が 、周 辺 地下 水 流 動へ 及 ぼす 影 響 につ い て想 定 さ れる 事 例を 整 理 する と とも に、解 析 的 に観 測 井 の掘 削 影響 を 再 現す る こと に よ り、 観 測井 影 響 につ い て考 察 す る。. ③. 観測 井 に よる 調 査方 法 の 高精 度 化も 重 要 であ る が、従来 実 施 され な かっ た 観 測 井を 解 析 的に 考 慮す れ ば 、解 析手 法 によ り 従 来 の実 測 値 と解 析 値の 誤 差 を低 減 でき る と 考え ら れる 。そ こ で、観 測井 を 簡易 に 3 次元 解 析 モデ ル に考 慮 す る手 法に つ い て示 す とと も に、そ の手 法 の妥 当 性 に つい て 数 値実 験 によ り 確 認す る。. ④. 地盤・岩盤 内 の 間隙 水 圧デ ー タの 変 化 点の 発 生 につ い て、数 値 実験 に よる メ カ ニズ ム 解 明を 行 うと と も に、間隙 水 圧デ ー タ 水 理 地 質 構 造の 推 定方 法 に つい て 整理 す る 。. ⑤. 適切 な 地 下水 流 動評 価 に 資す る ため 、地 下 水 調 査法 お よ び地 下 水流 動 解 析手 法 の高 度 化 に対 す る提 言 を 行う 。 4.
(9) 1.2. 本 研 究 の構 成. 本研 究 の 成果 を 以下 の 構 成で ま とめ る 。 第 1 章で は 研究 背 景 と目 的 を示 し た 。 第 2 章 で は地 下 水 調査 法 およ び 地 下水 解 析 手 法 に関 す る 従来 の 研究 お よ び現 状 につ いて 調 査 を行 う とと も に 、本 研 究の 位 置 づけ に つい て 示 す。 第 3 章で は 地下 水 観 測に 用 いら れ る 観測 井 や ボー リ ン グ孔 の 掘削 に よ り、周辺 地 下 水流 動 へ 及ぼ す 影響 に つ いて 考 察す る と とも に 、 3 次 元 定常 地 下 水流 動 解析 手 法 によ る数 値 実 験に よ りそ の 影 響に つ いて 具 体 的に 示 す。 ま た 、3 次 元モ デ ル 規模 の 増大 を 防ぐ た め の対 策 とし て 、 1 次 元線 要 素を 3 次 元 モデ ル に 考慮 す る方 法 を 提案 し 、そ の 有効 性 に つい て 確認 す る 。 第 4 章 で は間 隙 水 圧の 実 測デ ー タ から 得 られ る 変化 点 の 発生 メ カニ ズ ム の解 明 のた め、想 定さ れ る 要因 に 対す る 2 次 元モ デ ル を 用い た ケ ース ス タデ ィ を 実施 し 、要 因 の 特定 を 行 うと と もに 、 想 定さ れ る水 理 地 質構 造 の推 定 方 法に つ いて 整 理 する 。 第 5 章で は 地下 水 調 査法 と 地下 水 流 動解 析 手 法 の 高 度 化に 関 する 提 言 を示 す 。 第 6 章で は 本研 究 の 結論 と 今後 の 課 題に つ い て示 す 。. 5.
(10) 参考 文 献 1). ASME : Guide for Verification and Validation of Computational Solid Mechanics, ASME V&V 10-2006, 27p, 2006.. 2). ASME : Standard for Verification and Validation of Computational Fluid Dynamics and Heat Transfer, ASME V&V 20-2009, 88p, 2009.. 3). 日 本計 算 工 学 会 :日 本 計 算 工学 会 基 準 , 工学 シ ミュ レ ー シ ョ ンの 品 質 マ ネジ メ ン ト, JSCES-S-HQC001, 34p, 2011.. 4). 日本計算工学会:日本計算工学会基準,工学シミュレーションの標準手順, JSCES-S-HQC002, 20p, 2011.. 5). 日 本原 子 力 技 術 協会 : 原 子 力施 設 に お け る許 認 可申 請 等 に 係 る解 析 業 務 の品 質 向 上ガ イ ド ライ ン ,JANTI-GQA-01- 第 1 版, 12p, 平 成 22 年 12 月 .. 6). 土 木学 会 : 余 裕 深度 処 分 の 安全 評 価 に お ける 地 下水 シ ナ リ オ に用 い る 核 種移 行 評 価 パ ラ メ ー タ 設 定 の 考 え 方 , (社 )土 木 学 会. エネルギー委員会. 低レベル放射性. 廃棄 物 の 余裕 深 度処 分 に 関す る 研究 小 委 員会 , 372p, 2008 年 6 月. 7). Mary C. Hill, Claire R. Tiedeman:Effective Groundwater Model Calibration: With. Analysis. of. Data,. Sensitivities,. Predictions,. and. Uncertainty,. Wiley-Interscience, 455p, 2007. 8). 長谷 川 琢 磨:地下 水 流動 解 析 のガ イ ドラ イ ンに 関す る 調 査,日本 地 下水 学 会 誌 48 巻第 2 号 ,p.75-86, 2006.. 6. 第.
(11) 第2章 2.1. 地 下 水 調 査 法 お よ び地 下 水 解 析 手 法の 従 来 の 研 究 と 現 状 の 課 題. 地 下 水 調査 法 の従 来 の 研究 と 現状 の 課 題. 地下 水 調 査に 関 して は 、 対象 と して 地 下 水位 や 間隙 水 圧 の調 査 方法 に つ いて 以 下に 整理 す る 。近 年 、水 質 分 析の 高 精度 化 に 伴い 、 同位 体 分 析に よ る地 下 水 年代 な ども 地 下水 解 析 モデ ル の検 証 デ ータ と して 着 目 され て いる. 1) 。 しか し 地 下水 位 や水 圧 に 関し. ては 、 非 常に 精 度良 く 計 測が 可 能な 項 目 であ り 、解 析 モ デル の 検証 デ ー タと し て適 す ると 考 え られ る こと に よ る。 ま た、 地 下 水調 査 法に 関 す る文 献 とし て は 、古 く は「 新 版地 下 水 調査 法 」 が ある. 2) 。 海外 で も地 質 ・ 地下 水 調 査法 3), 4) が 整理 さ れて お り 、近. 年 で は 地 盤 工 学 会 か ら 「 地 盤 調 査 の 方 法 と 解 説 」 5) が と り ま と め ら れ て い る 。 こ こ で は、 上 記 の文 献 に基 づ き 従来 の 地下 水 調 査の う ち、 地 下 水位 や 地下 水 圧 の調 査 方法 に つい て 整 理を 行 うと と も に、 現 状の 課 題 とし て 観測 井 か ら得 ら れた デ ー タを 用 いた 場 合に ど の よう な 誤っ た 評 価を 行 う可 能 性 があ る かに つ い て 考 察 を行 っ た 。 2.1.1. 地 下 水位 、 間隙 水 圧 調査 の 従来 の 研 究. 表 2.1.1-1 に 示 す よう に 、原 位 置 での 地 盤内 の 水位 、 水 圧の 観 測に 関 し ては 種 々の 方法 が 提 案さ れ てい る. 5) 。 特に 図. 2.1.1-1 に 示 す観 測 井 を用 い た孔 内 水 位の 計 測方 法. は、 最 も 簡単 な 手法 と し て古 く から 用 い られ て い る. 6) , 7) 。こ の 中 で、 水 位の 計 測 方法. に関 し て は、 人 手の 掛 か る手 計 り方 式 か ら 、 人 件費 の 上 昇に 対 応す る た めに 連 続計 測 が可 能 な 自動 計 測方 式 へ 変化 し てい る 表 2.1.1-1. 3) 。. 地 下水 位 ・間 隙 水圧 測 定 方法 の 比 較 表. 7. 5).
(12) (a). 水 位 測定 器 の 例. 6). (b). (c) 図 2.1.1-1. 観 測 井 の例. ボ ー リン グ 構 造、遮水 方 法の 例. 7). 観 測井 を 用い た 孔内 水 位 の計 測 方 法の 例. 8. 6),7). 6).
(13) 間隙 水 圧 計測 に 関し て は 、 図 2.1.1-2 に 示す よ うな 電 気 式間 隙 水圧 計 が 開発 さ れて おり. 8) 、 地 盤内 の 複数 の 帯 水層 を 対象 と し た計 測を 行 う ため に 、 図. 2.1.1-3 に 示す よ. うな 深 度 方向 に 多点 区 間 での 間 隙水 圧 を ピエ ゾ メー タ ー や圧 力 計測 プ ロ ーブ に より 連 続計 測 す る方法. 4) ,5) も開 発 され 、 近 年で は 図. 2.1.1-4 に 示 すよ う な 光フ ァ イバ ー 等 を. 用い た 圧 力変 換 器( 間 隙 水圧 を 光フ ァ イ バー の 変形 か ら 変換 す る方 法 ) によ り 長期 的 に計 測 可 能な シ ステ ム が 適用 さ れよ う と して い る. (a). (b). 9) 。. 電 気 式水 圧 計 の例. 間 隙 水圧 計 の 設置 例. 図 2.1.1-2. 間 隙水 圧 計の 例 9. 8).
(14) 図 2.1.1-3. 図 2.1.1-4. 多 深度 水 圧測 定 シス テ ム の 例. 4),5). FBG 式 光フ ァ イ バセ ン サー を 用 い た水 圧 計 の例. 10. 9).
(15) 2.1.2. 地 下 水位 、 間隙 水 圧 調査 の 現状 の 課 題. 前述 の よ うに 地 下水 位 や 間隙 水 圧の 調 査 法に つ いて は 、 ほぼ 確 立さ れ て いる と 考え られ る 。 その 中 で、 地 下 水位 観 測シ ス テ ムは 透 水性 の 高 い砂 礫 層を 対 象 とし た もの で あり 、 間 隙水 圧 計測 区 間 につ い ても 短 区 間 が 望 まし い が 、一 般 的に は 透 水性 の 小さ い 地盤 や 岩 盤に 対 して も 観 測井 に よる 水 位 計測 は 実施 さ れ てい る 状況 を 考 慮す る と適 切 な地 下 水 調査 が 実施 さ れ てい な い可 能 性 があ る 。 こ こ で は、 地 下水 調 査 に対 す る現 状 を踏 ま え 、現 状 の課 題 と して 従 来の 観 測 井か ら 得ら れ る 地下 水 位や 間 隙 水圧 を 用い た 場合 に 、 どの よ うな 誤 っ た評 価 を行 う 可 能性 が ある か に つい て 考察 を 行 う。 観測 井 内 の水 位 の計 測 と いう 行 為は 、地 下水 位 が Dupuit-Forchherimer の 仮 定 の元 での 水 位 計測 で あり 、 計 測点 で の地 下 水 位は 深 さ方 向 で 一定 で ある と す る古 典 的な 地 下水 理 学 の仮 定 に基 づ い てい る 。し た が って 、 水平 方 向 のみ の 流れ 場 で はこ の よう な 計測 デ ー タは 解 析モ デ ル のキ ャ リブ レ ー ショ ン に適 用 可 能で あ るが 、 鉛 直方 向 の流 れ 成分 を 有 する 流 動場 で は 仮定 を 満足 し な いた め 適用 は 困 難と な る。 広域 地 下 水流 動 を対 象 と した 場 合 で は 、 地下 水 流動 の 3 次元 性 が明 ら か であ り 、 図 2.1.2-1 に示 す よう に 、 均質 地 盤を 仮 定 して も 、降 雨 の 涵養 域 では 観 測 井が 深 いほ ど 孔内 水 位 は低 く なり 、 逆 に流 出 域で は 観 測井 の 深度 が 深 くな る ほど 孔 内 水位 は 高く な るこ と が 知ら れ てい る. 2) 。. 図 2.1.2-1. い ろい ろ な区 域 にお け る 水 頭. 11. 2).
(16) 現状 の 地 下水 流 動解 析 で は、 飽 和・ 不 飽 和解 析 にお け る 圧力 水 頭が 零 に なる 水 位を 地下 水 位 と定 義 し、 こ の 値と 観 測井 内 で の水 位 とを 比 較 して モ デル の 妥 当性 を 検討 し てい る が 、以 下 のよ う な 評価 の 結果 、 誤 った 透 水特 性 や 境界 条 件で の 解 析と な る可 能 性が あ る 。 (1). 降雨 涵 養 域で の 地下 水 位 は、 図 2.1.2-2 (c)に 示す よ う に解 析 結果 の 方 が観 測 井の 水 位 より も 高く な る ため、地 盤 の透 水 性が 想定 値 よ りも 大 きい 、あ る いは 降雨 涵 養 量が 少 ない 、 と いう 誤 った 判 断 がな さ れる 可 能 性が あ る。. (2). 流 出 域 で の 地 下 水 位 は 、 図 2.1.2-2(a)に 示 す よ う に 解 析 結 果 の 方 が 観 測 井 の 水位 よ り も低 く なる た め 地盤 の 透水 性 が 想定 値 より も 小 さい 、ある い は 降雨 涵 養量 が 多 い、 と いう 誤 っ た判 断 がな さ れ る可 能 性が あ る 。. (a)流出 域流 れ 場. 図 2.1.2-2. (b)水 平 流れ 場. (c)涵 養 域流 れ場. 地 下水 流 動と 地 下水 位 お よび 観 測 井内 水 位 の関 係. 上記 の よ うな 誤 った 評 価 の原 因 とし て は、観 測 井が 全 層 スト レ ーナ( ある い は 裸孔 ) で、 ど の 深さ ま で掘 削 さ れて い る状 態 で の観 測 デー タ な のか 、 とい っ た 観測 値 の意 味 を考 慮 せ ずに 、 観測 結 果 と解 析 結果 を 直 接比 較 する た め に生 じ る誤 り で ある 。 ここ で 重 要な の は観 測 値 の解 釈 や観 測 井 の構 造 影響 を ど のよ う に解 析 に 導入 す るか であ る 。 した が って 、 均 質地 盤 の場 合 に おい て も、 観 測 井内 の 水位 は 地 下水 流 動の 3 次元 性 に より 、 地盤 内 水 位と 異 なる 場 合 があ る こと を 考 慮す る と、 不 均 質岩 盤 内を 貫 通し た 観 測井 内 の水 位 が 何を 意 味す る か につ い ては 、 判 断が 非 常に 困 難 であ る 。し か し、 観 測 井が 高 透水 な 水 みち に 相当 す る と考 え ると 、 観 測井 内 の水 位 は 、透 水 性の 高 い地 層 の 水頭 値 に影 響 さ れる で あろ う こ とは 予 測で き る 。 12.
(17) 観測 井 が 地下 水 流動 へ 及 ぼす 影 響に 関 し ては 、 3 章に お いて 詳 細 に述 べ るが 、 観 測 井の 構 造 とし て は、 全 層 スト レ ーナ と す るこ と は適 切 で はな い と考 え ら れる 。 スト レ ーナ の 範 囲が 短 区間 で あ り、 ス トレ ー ナ 以外 の 孔壁 と ケ ーシ ン グ間 の 遮 水が 適 切で あ れば 、 観 測井 内 の水 位 は スト レ ーナ 区 間 の水 圧 に相 当 す ると 判 断で き る 。地 下 水位 観 測を 目 的 とし た 一般 的 な 観測 井 は全 層 ス トレ ー ナ構 造 で ある こ とを 考 慮 する と 、観 測 井内 の 水 位の 解 釈に は 注 意が 必 要と な る 。特 に 、ト ン ネ ル掘 削 等に よ る 地表 付 近の 地 下水 位 に 対す る 影響 評 価 や水 位 の変 動 観 測に お いて は 、 観測 井 の深 度 が 深い 場 合に は トン ネ ル 近傍 の 水圧 低 下 の影 響 によ り 、 もと も と水 平 方 向に 近 い流 れ が 鉛直 方 向に な るた め 、 観測 井 内の 水 位 が低 下 する 。 そ の結 果 、掘 削 影 響に よ り地 盤 内 の地 下 水位 が 低下 し た と判 断 され る 場 合が あ るが 、 こ れは 誤 った 判 断 とな る 可能 性 が ある 。 地質 調 査 用の ボ ーリ ン グ 孔は 、 不均 質 性 を有 す る地 盤 の 構造 や 透水 特 性 を把 握 する 目的 の た め、 深 い深 度 ま で掘 削 され る 傾 向に あ る。 し た がっ て 、こ の よ うな 長 尺ボ ー リン グ 孔 を地 下 水観 測 井 とし て は利 用 す るの は 、不 適 切 であ る と言 え よ う。 ま た、 こ のよ う な ボー リ ング 孔 が 現場 の 地下 水 流 動を 乱 して し ま うた め 、適 切 な 閉塞 を 行う こ とが 望 ま しい 。 なお 、 調 査費 用 等の 観 点 から 、 仮に 調 査 ボー リ ング 孔 を 観測 井 とし て 用い る 場 合に は 、孔 内 を 複数 の 区間 に 分 割し 、 その 間 を 止水 し て各 区 間 での 間 隙水 圧 を計 測 す るシ ス テム を 用 いる べ きで あ る 。 観測 井 か ら得 ら れる 水 位 デー タ を適 切 に 解釈 す るこ と が でき れ ば 、 解 析 モデ ル の検 証デ ー タ とし て 解析 結 果 との 比 較を 行 う こと が 可能 で あ る 。 し かし 、 地 下水 流 動の 3 次元 性 や 地盤 の 不均 質 性 によ り 、観 測 デ ータ の 適切 な 解 釈が 困 難で あ る こと を 考慮 す ると 、 解 析モ デ ルの 検 証 にあ た って は 、 以下 の 2 種類 の 対処 方 法 が想 定 され る 。 (1). 観測 デ ー タの 解 釈が 可 能 な 観 測 シス テ ム を構 築 する 方 法. 観測 デ ー タに 含 まれ る 実 地盤 内 の地 下 水 デー タ との 誤 差 を低 減 する た め に観 測 シス テム を 工 夫す る 方法 で あ る。地下 水 位 や地 盤 内 の間 隙 水 圧が 解 釈可 能 な 条件 と して は、 長尺 観 測 井に よ る地 下 水 位観 測 を行 わ な いこ と や、 で き るだ け 短区 間 で の間 隙 水圧 計 測を 行 う こと が 考え ら れ る。 こ の場 合 は 観測 デ ータ に 対 する 困 難な 解 釈 が不 要 とな る ため 、 適 切な 観 測デ ー タ と解 析 結果 を 比 較す る こと が で きる 。 (2). 解析 モ デ ルに 観 測井 を 考 慮し た 解析 を 実 施す る 方法. 観測 デ ー タに 含 まれ る 実 地盤 内 の地 下 水 デー タ との 誤 差 を、 解 析的 に 再 現す る 方法 であ る 。 すな わ ち、 観 測 井を 考 慮し た 解 析モ デ ルを 構 築 する こ とに よ り 、観 測 井の 影 響を 考 慮 した 解 析結 果 が 得ら れ るこ と か ら、 観 測デ ー タ と解 析 結果 を 直 接比 較 する こ とが で き る。 上記 の(1)に関 し て は、調 査費 用 が 高額 に なる 問題 が 予 想さ れ る。ま た、計 測 装置 の 耐久 性 も 問題 と なる 。一 方、(2)に 関し て は解 析手 法 お よび モ デル 化 の 問題 で あり 、対 応 可 能 な 方 法 で あ る 。 実 際 に 解 析 モ デ ル の 検 証 を 行 う 場 合 に は 、 (1)お よ び ( 2) の 方 法を 組 み 合わ せ た取 り 組 みが 理 想で あ る と考 え られ る 。 そ こ で 本 研 究 で は 、(1)よ り も ( 2) に 示 し た 解 析 モ デ ル に 観 測 井 を 考 慮 す る 方 法に 13.
(18) つい て 検 討を 行 うこ と と する 。 その 他 の 地下 水 調査 に お ける 課 題と し て は、水 位や 水 圧 測定 装 置の 耐 久 性で あ ろう 。 地下 水 位 計測 装 置な ど は 比較 的 容易 に 交 換で き るが 、 地 下深 部 に設 置 あ るい は 埋設 する 電 気 式間 隙 水圧 計 な どは 、 容易 に 交 換が で きな い た め、 超 長期 間 の 計測 は 不可 能 とな る 。 図 2.1.1-3 に 示し た よ うな 多 深度 水 圧 測 定 シ ステ ム な どは 、 国内 で も 20 年 近 い観 測が 実 施 され て いる も の の、 今 後、 ケ ー シン グ シス テ ム やパ ッ カー シ ス テム の 劣化 の 問題 は 避 けら れ ない と 考 えら れ る。 また 、 光 ファ イ バー な ど は耐 久 性に 優 れ る素 材 と考 え ら れる も のの 、 測 定シ ス テム にお け る 他の 材 料( 例 え ば、 接 着剤 な ど )の 耐 久性 が 問 題と な り、 計 測 シス テ ムと し ての 耐 久 性が 低 下す る 場 合も 多 い。 し か し、 耐 久性 の 問 題は 課 題と し て 認識 さ れて い るも の の 、現 状 では 解 決 に至 っ てい な い. 3) 。. 14.
(19) 2.2. 地 下 水 解析 の 現状 と 課 題、 従 来の 研 究. 地下 水 流 動解 析 に関 し て は、 層 流条 件 で の流 体 解析 方 法 とし て 様々 の 手 法が 提 案さ れて お り 、物 質 移行 、 熱 伝達 、 化学 反 応 など と のカ ッ プ リン グ 問題 を 取 り扱 う こと が でき る 解 析コ ー ドの 開 発 が行 わ れて い る。表 2.2-1 に 既存 の 解 析コ ー ドの 例 を示 す が、 地下 水 流 動解 析 コー ド は 対象 と する 空 間 次元 、 離散 化 方 法、 機 能の 違 い によ り 数多 く 開発 さ れ てい る. 10). 。そ の中 で 、最 もシ ン プル な ポテ ン シ ャル 流 動に 対 す る解 析 のア ウ. トプ ッ ト は、水頭 値 と 流速 分 布で あ り、本 研究 で は水 頭 値 と流 速 の解 析 手 法に 関 して 、 従来 の 研 究の う ち最 新 の 動向 に つい て 整 理を 行 う。 表 2.2-1. 代 表 的な 移 流分 散 およ び 多 層流 解 析 コー ド. 15. 10).
(20) 2.2.1. 地 下 水解 析 の従 来 の 研究. 従 来 か ら 地 下 水 流 動 解 析 に お け る 一 般 的 な 離 散 化 方 法 と し て は 、 差 分 法 ( Finite Difference Method)、 有 限 要 素 法 ( Finite Element Method)、 有 限 体 積 法 ( Finite Volume Method) な どが 挙 げら れ る 。こ の 中 で も FEM は 、解 析 領 域の 幾 何形 状 を 精 度良 く モ デル 化 でき る た め、 我 が国 の 地 質構 造 のよ う に 多く の 地層 や 地 下構 造 物か ら 構成 さ れ る複 雑 形状 の 3 次 元 複 合領 域 に対 し て大 変 強 力な 解 析手 法 で あろ う。FEM は 世界 的 に も実 績 は多 く 、実 用 的で 信 頼 性の 高 い 方法 と 言 える 。と こ ろ が、1990 年 代 初 頭か ら FEM 浸 透 流解 析 の問 題 点 の指 摘 とそ れ を 改 善 す るた め の研 究 が 欧州 を 中心 に 盛ん に な った 。 水頭 値 の みを 未 知数 と す る一 般 的 な FEM で は 、 要素 内 の流 速 を 要素 ごと 独 立 に計 算 する た め 、解 析 結果 と し て連 続 的な 流 速 場が 得 られ な い 、と い う指 摘 であ る. 11) 。. 図 2.2.1-1 は 2 次元 モ デル の 概 念図 で ある 。 水頭 値 の みを 未 知数 と す る一 般 的な FEM で は 、解 析 領 域全 体 での 水 頭 値の 連 続性 お よび 流 量 のつ り 合い を 満 足す る よう に、 要素 構 成 節点 に おけ る 水 頭値 を 求め た 後 、要 素 内の 流 速 を要 素 の形 状 関 数を 用 いて 算 出す る こ とが で きる 。. 節点水頭 値. 2 次元 FEM メッシュ 要素ごとに節点水頭値から 要素内流速を算出 図 2.2.1-1. 2 次 元 FEM 解 析 モデ ル と水 頭 値 、 流速 の 概 念図. とこ ろ が 、 図 2.2.1-1 よ りわ か る よう に 、要 素 境界 辺 の 水頭 分 布に 着 目 する と 、各 要素 内 の 水頭 分 布が 要 素 境界 辺 部で 折 れ 曲が る ため 、 要 素ご と に評 価 し た流 速 分布 は 境界 辺 上 で不 連 続と な る 。こ の 流速 分 布 の不 連 続性 に よ り、 流 線( あ る いは 流 跡線 ) 評価 が 不 適切 と なる こ と が、 FEM 解析 の 問題 点と し て 指摘 さ れて い る 。 16.
(21) この 問 題 点に 対 して 並 行 して 進 めら れ た 改善 の ため の 研 究は 、次 の 2 つ に分 類 さ れ る。 ①. FEM の 結果 か ら精 度 のよ い 流 速場 を 求め る工 夫. ②. 混 合 補間 法 を用 い る 方法. 上記 の ① につ い ては 、 2 次元 モ デ ルに お いて 要 素を 細 分 化し た 小領 域 の 水収 支 が釣 り合 う よ うに 、 要素 の 動 水勾 配 、透 水 性 から 連 続な 流 速 ベク ト ルを 算 出 し、 流 速場 の 精度 向 上 に成 功 した 報 告 があ る. 12) 。近年 で は 、3. 次 元モ デ ルに 対 し ても 同 様の 検 討が. 行わ れ て おり 、 従 来 FEM の 3 次 元流 速 ベク ト ル評 価 の 精 度 向 上 が 行 わ れ て い る. 13 )。. ②に つ い ては 、 全水 頭 値 と流 速 を両 方 と も未 知 数と し て 定義 し 、独 立 に 近似 す る手 法であり、要素境界面での流量が連続する流速補間法. 14) ,15) を 用 い て 連 続 式 を 満 足 す. るこ と に より 、 流速 場 の 解析 精 度向 上 に 成功 し てい る 。 櫻井 ほ か によ る と、 ② の 方法 に 関し ては 2 つ の定 式 化 があ り 、 1 つ を混 合 モデ ル 、 も う 1 つ を ハイ ブ リ ッド モ デル と し て紹 介 し てい る. 11) 。こ れは 、ハ イブ リ ッド 法 の 開. 拓者 で あ る 故 Piar 教 授 の 定義 に よる も ので あ り、 Pian と 親 交 が厚 か った 故 鷲 津教 授 は、ハイ ブ リ ッド モ デル と 混 合モ デ ルの Pian に よる 定 義 を次 の よう に 記 載し て いる 。 「“ ハイ ブ リ ッド モ デル と は 、変 分 原理 の 中 に 各要 素 内 で独 立 な field 変 数 と要 素 境 界上 で の 未知 関 数を 含 む もの ” であ り 、 これ に 対し “ 混 合モ デ ルと は 、 変分 原 理の 中 に各 要 素 内で 一 つ以 上 の 独立 な field 変 数を 含 むも の ” であ る 。す な わ ち、 要 素境 界 上で 定 義 され た 未知 関 数 を含 む か否 か が 最大 の 相違 点 で ある 」 16) 。 ま た 、櫻 井 ほ か に よ ると 、 上 記 の 混 合モ デ ル 、 ハ イブ リ ッ ド モ デ ルに つ い て 、 RT0 補間 法(Raviart-Thomas 混 合補 間 法、以 降、RT-HM と 称 す)を 用い た 3 次 元モ デ ル に 対 す る 定 式 化 が 示 さ れ て お り 、 数 値 実 験 に よ り ハ イ ブ リ ッ ド モ デ ル と 従 来 の FEM (以 降、L-CM と 称す )と の 流 速評 価 精度 に つ い ての 客 観 的な 評 価が 行 わ れて い る. 11) 。. RT-HM の 流 速補 間 につ い て 2 次 元 モデ ル で 図 化す る と 図 2.2.1-2 のよ う に なり 、 要 素境 界 面 での 流 量値 か ら 要 素 境 界辺 上 の 流速 が 一定 ( 0 次) で ある と 仮 定し て いる も ので あ り 、二 人 の頭 文 字 を取 っ て RT0 と 呼ば れ てい る. 17. 17) 。.
(22) (a). (b) 図 2.2.1-2. 2 次 元 要素 辺 上 での 流 速分 布. 2 次 元 正規 化 要 素に 対 す る RT0 形 状関 数. 最 低次 Raviart-Thomas 空 間 (RT0)で の流 速 補 間概 念 図. 17). 一方 、Brezzi et al 14) で は 、図 2.2.1-3 に 示す 1 次の 流 速 補間 関 数を 定 義 して お り、 3 名の 著 者 の頭 文 字を 取 り BDM1 と 称さ れ て い る. 17) 。RT0. と 比較 す る と BDM1 の方. が流 速 補 間精 度 はよ く な るも の の、 未 知 数が 増 える こ と によ る 計算 負 荷 の増 大 を考 慮 しな け れ ばな ら ない 。. 18.
(23) (a). (b) 図 2.2.1-3. 2 次 元 要素 辺 上 での 流 速分 布. 2 次 元 正規 化 要 素に 対 す る BDM1 形状 関 数. 1 次 Brezzi-Douglas-Marini 空 間 (BDM1)で の 流速 補 間概 念 図. 櫻井 ほ か によ る 検討 結 果 の要 約 は以 下 で ある ①. 17). 10) 。. RT-HM の特 筆 す べき は 、L-CM と 異な り 、隣接 要 素 間の 流 量が 連 続 であ る 点と 、 不透 水 境 界条 件 を精 度 よ く近 似 でき る 点 であ る 。こ れ に より 、 流跡 線 計 算に お いて 高 い 優位 性 を示 す 。た だし 、L-CM に つい て も要 素 分 割が 細 かい 場 合 には 、 流速 精 度 は向 上 する 。. ②. RT-HM で は 、 要 素 の 面 形 状 が ね じ れ て い る よ う な 任 意 形 状 の 六 面 体 、 五 面 体 要素 に お いて 、 流速 精 度 が低 下 する 場 合 があ る 。 FEM の 最 大の 特 徴 の1 つ は、 複雑 形 状 に対 す る順 応 性 が高 い こと で あ り、 特 に地 下 水 浸透 流 解析 の よ うに 、 地形 や 地 層境 界 面と 言 っ た複 雑 な曲 面 を 有す る 領域 を 対 象と す る問 題 に 対し て は 、 差 分 法 ( FDM) や 有 限 体 積 法 ( FVM) と 比 較 し て 非 常 に 有 用 な 方 法 に 成 り得 る が 、RT-HM の 3 次元 要 素 を用 い る場 合 には 注 意 が必 要 であ る 。. ③. 解 析 対象( 理 論解 を 有す る 3 次 元矩 形 領 域の 数 値 実験 結 果 )に よ って は 、六 面 19.
(24) 体要 素 の 場合 、 流速 の 絶 対値 、 方向 と も に L-CM の方 が RT-HM よ りも 高 い精 度の 解 が 得ら れ る場 合 が ある 。 五面 体 お よび 四 面体 要 素 の場 合 、流 向 に つい て は RT-HM の 方 が L-CM より も 良好 で あ るも の の、 流 速 の絶 対 値に つ い ては 大 差な い 結 果が 得 られ た 。 ④. RT-HM に関 し て は、2 次 元問 題 では 明 ら か とな ら な かっ た 問題 が 3 次 元問 題 で 確認されたことから、実用化に向けてのさらなる性能検討が必要であろう。 3 次 元 問 題 が 不 可 欠 と な る 可 能 性 が あ る 地 下 水 流 動 問 題 に 対 し て は 、 RT-HM は L-CM の よう な 従 来の FEM に 変わ る 手 法で は なく 、 両 者の 長 所短 所 を 十分 把 握し た 上 での 使 い分 け が 重要 と なる 。. ⑤. RT-HM で は 、 全 水 頭 の 自 由 度 が 要 素 の 境 界 面 と 中 心 位 置 で 定 義 さ れ る た め 、 実問 題 で 重要 と なる 地 形 の起 伏 によ る 地 下水 流 動へ の 影 響が 、 節点 に 自 由度 を 持つ L-CM と 比較 し て 過小 評 価さ れ る 恐れ が ある 。 ま た、 RT-HM で は 得ら れ た全 水 頭 を図 化 する 場 合 にも 注 意が 必 要 であ り 、一 般 的 な図 化 アル ゴ リ ズム は 節点 値 を ベー ス とし て い るた め 、 図 2.2.1-4 に 示す よ う に、 非 構造 格 子 モデ ル の解 析 結 果の 全 水頭 コ ン ター を 正し く 表 現で き ない た め 、注 意 が必 要 で ある 。. (a). RT-HM 図 2.2.1-4. (b) 全 水頭 コ ンタ ー の図 化 例. L-CM. 11). 地下 水 流 動解 析 手法 と して RT-HM の よ うな 手 法が 着 目 され た 背景 に は 、前 述 のよ う に L-CM で の流 速 評 価精 度 の向 上 が ある 。加え て 、要 素 間の 流 量 の連 続 性が 考 慮さ れる た め 、質 量 保存 の 観 点か ら 物質 移 動 量を 適 切に 評 価 でき る こと が 大 きな 特 徴で あ ろう 。 1990 年 代 から 研 究さ れ て いた も のの 、日 本国 内 では 近 年 にな っ て着 目 さ れる よ うに なっ た の は、 放 射性 廃 棄 物処 分 にお け る 物質 移 行評 価 の 精度 に 対し て 、 フラ ン スの 規 制支 援 機 関で ある IRSN(フ ラ ン ス放 射 線防 護 原子 力 安 全研 究 )か ら 従 来の 解 析手 法 に対 し て 、以 下 につ い て 改善 す べき と の 指摘 に よる ら し い 20. 18) 。.
(25) ①. 局 所 物理 量 の保 存. ②. 流 向 に対 す る要 素 分 割格 子 の方 向. ①に つ い ては 、 流量 や 物 質移 動 量が 適 切 に保 存 され る 必 要が あ る、 と の 指摘 で あろ う。② に つい て は、FEM 格子 分 割 の影 響 によ り、地 下 水や 物 質移 動 評価 に 用 いる 流 跡 線精 度 を 確保 す る必 要 が ある 、 との 指 摘 と考 え られ る 。 放射 性 廃 棄物 処 分の 分 野 では 、 不均 質 な 場で の 地下 水 流 動を 適 切に 評 価 する こ とが 重要 で あ る。 天 然バ リ ア と称 さ れる 地 盤 ・岩 盤 の不 均 質 性の み でな く 、 人工 バ リア と 称さ れ る 核種 の 移行 遅 延 材料 を 含め た 解 析モ デ ルに よ る 評価 が 必要 で あ るた め 、透 水 係数 の オ ーダ ー では 8 オ ーダ ー 以 上異 な る不 均 質場 を 対 象と し た解 析 モ デル が 想定 さ れる 場 合 もあ る 。 ま た 、 地下 水 流動 解 析 によ る アウ ト プ ット と して 、 移 流と 呼 ばれ る 地下 水 流 動に よ る物 質 移 動を 評 価す る た めに は 、処 分 場か ら 漏出 す る 汚染 物 質の 量(施 設通 過 流 量、 な どと 呼 ば れる ) や、 処 分 場か ら 人類 の 生 活圏 に 流出 す る まで の 移行 時 間、 距 離 、流 出 点を 評 価 する 必 要が あ り 、物 質 移行 解 析 を行 わ ない 場 合 は、 従 来か ら 流跡 線 演 算手 法 が用 い ら れて い る。 流跡 線 演 算手 法 にも 種 類 があ る が、 一 般 的に は 常微 分 方 程式 解 法の 1 つ であ る ルン ゲ・ ク ッ タ法 が 用い ら れ るこ と が多 い 。 市販 の 図化 ソ フ トウ ェ アに 付 属 する 流 跡線 演 算オ プ シ ョン な どで 用 い られ て おり 、 2 次 や 4 次の ル ン ゲ・ ク ッタ 法 が ある が 、精 度 が良 い と され る 4 次 のル ン ゲ・ ク ッ タ法 の 概 念図 と 計 算式 を 図 2.2.1-5 に 示 す。 4 次 のル ン ゲ ・ク ッ タ法 は 、 連続 す る流 速 場 に対 す る流 跡 線 評価 手 法と し て 妥当 で ある と され て い るが 、 L-CM は 領域 内 の 流速 の 連続 性 が満 足 さ れて い ない た め 、適 切 な評 価 がで き な いこ と が問 題 と され て いる 。. k4 k3 (xi+1 ,yi+1). k2 k1. (xi, yi) x xi. dy f x, y dx y x0 y0. xi+h/2. k1 hf xn , yn h k k 2 hf xn , yn 1 2 2 h k k3 hf xn , yn 2 2 2 k 4 hf xn h, yn k3 yn 1 yn . 図 2.2.1-5. xi+h. k1 k 2 k3 k 4 6 3 3 6. 4 次 の ルン ゲ ・ クッ タ 法に よ る 流 跡線 の 概 念図 21.
(26) 2 次元 問 題の 場 合 、理 論 的に 流 線 (流 れ 関数 値 が同 じ 線 であ り 、等 方 透 水性 媒 体の 場合 に は 全水 頭 コン タ ー と直 交 する ) を 作図 す るこ と が でき る が、 3 次 元問 題 で は流 線の 定 義 が困 難 であ り 、 その た めに ル ン ゲ・ ク ッタ 法 の よう な 近似 手 法 が用 い られ て いる と 考 えて よ い。菱 谷は 3 次 元 モデ ル に対 す る流 跡 線 評価 手 法の 開 発 例 を 示 して い るが. 13) 、 要 素境 界 面 での 流 量 デ ー タ から. RT0 補間 手 法 を用 い る手 法 と なっ て いる こ. とか ら も、流 跡線 評 価 にお け る RT0 補 間 手法 が 有効 で あ るこ と は明 ら か と考 え られ る。 また 、RT-HM を用 い なく て も 、L-CM に よる 解 析結 果 か ら精 度 のよ い 流 速場 を 求め る 工夫 も 行 われ て おり 、 要 素境 界 での 流 量 を適 切 に評 価 で きれ ば 、L-CM につ い て も適 切な 流 跡 線評 価 が行 え る こと も 言及 さ れ てい る. 13) 。こ れ らを 考 慮す る と 、L-CM. を用. いて も 、 メッ シ ュ分 割 に よる 工 夫や 、 要 素境 界 面で の 流 量を 算 出す る こ とに よ り、 流 跡線 評 価 精度 を 向上 す る こと が でき る と 考え ら れる 。 なお 、定 常 解析 の 場合 、得 ら れる 解 が定 常 状 態 の水 頭 値 のみ で ある こ と から 、L-CM の場 合 で も要 素 境界 面 の 流量 計 算 を 1 回 行 う だけ で 良 いが 、物 質 移 行の よ うに 非 定 常 解析 の 場 合に は 各時 間 ス テッ プ での 要 素 境界 面 流量 計 算 を行 う 必要 が あ るた め 、全 体 の 計 算 時 間 の 観 点 か ら は 、RT-HM の 方 が 優 れ て い る と 言 え る か も し れ な い 。 定 常、 非定 常 問 題の 違 いや 、 求 めよ う とす る パ ラメ ー タの 精 度 等を 考 慮し 、 地 下水 流 動解 析 手法 に 関 して は 、解 析 条 件に 合 わせ て 適 切に 使 い分 け る こと が 重要 で あ ると 考 えら れ る。 この よ う な解 析 技術 を 踏 まえ 、 本研 究 で は汎 用 性の 高 い FEM に よる 地 下水 流 動 解 析手 法 を 用い た 検討 を 実 施す る こと と す る。 ま た、 入 力 パラ メ ータ の 影 響を 極 力少 な くす る た め、 地 下水 流 動 場は 定 常状 態 を 前提 と し、 解 析 手法 に つい て も 定常 解 析手 法 によ る 検 討を 基 本と す る 。 井 戸 によ る 揚 水試 験 の解 析 等 では 、 揚水 井 の よう に 境界 条 件と し て モデ ル 化し た 解 析は 実 施さ れ る もの の 、観 測 井 (水 位 計測 の み )を モ デル 化 した 解 析 は見 ら れな い 。. 22.
(27) 2.1.2. 地 下 水解 析 の現 状 の 課題. 地下 水 流 動を 対 象と し た 解析 手 法に 関 し ては 、 前述 の よ うに 様 々な 手 法 が開 発 され てい る も のの 、 実現 象 を 考慮 す ると マ ル チフ ィ ジッ ク ス に対 応 した 解 析 手法 の 開発 が 大き な 課 題で あ ると 思 わ れる 。 また 、 複 雑な 現 象を 考 慮 した 解 析手 法 に 対し て は、 今 後、解 析手 法 の妥 当 性 の確 認 や入 力 パ ラメ ー タ の設 定 方 法等 が 課題 と な ると 思 われ る。 解析 手 法 の高 度 化は 大 き な課 題 と言 え る が、 複 雑な 解 析 手法 は 使用 す る エン ジ ニア の技 量 を 必要 と する こ と も確 か であ ろ う 。 近年 、 国 内に お いて は 原 子力 発 電所 の 耐 震設 計 にお け る 解析 パ ラメ ー タ の入 力 ミス の発 覚 な どに よ り、 数 値 解析 手 法を 用 い る場 合 の品 質 管 理に 対 する 社 会 的な 要 求が 高 まっ て い る。 この よ う な背 景 とと も に、 解 析に 対 す る V&V(Verification and Validation: 検証 と妥 当 性 確認 ) が着 目 さ れて い る。 こ れ はシ ミ ュレ ー シ ョン 結 果の 信 頼 性を 具 体的 に 確 立 す る た め の 方 法 論 と さ れ る も の で あ り 、 と く に 近 年 の CAE ( Computer-Aided Engineering) に お い て 、 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 の 信 頼 性 は 欠 か す こ と の で き な い 要 件と な っ てい る 。国 内 に 先行 し て欧 米 に おい て は既 に 技 術基 準 とし て 確 立さ れ つつ あ る考 え 方 であ る 。 CAE の 品 質 保 証 に つ い て は 、 1980 年 代 初 め に 発 足 し た 英 国 の 非 営 利 団 体 で あ る NAFEMS が 最 も 進 ん で い る と さ れ る 。 当時 業 界 で 急 速 に 導 入 され た 有 限 要 素 構 造 解 析技 術 に 対し て 、エ ン ジ ニア に よる ツ ー ルの 安 全で 信 頼 でき る 利用 法 に 的を 絞 った 組 織で あ っ た。 地 下水 流 動 解析 に 最も 近 い と考 え られ る CFD( Computational Fluid. Dynamics) の ワー キ ン グ グ ル ー プが 1995 年に 発 足 し て お り 、CFD 解 析 に 関 す る マ ニュ ア ル が 整 備 さ れて い る. 19) 。. 米国 に お いて は 、ASME( American Society of Mechanical Engineers; 米 国機 械工 学 会)か ら、ASME V&V 10-2006 20) が 発 表さ れ 、世 界 的に 広 く 注目 を 集め る 要 因 とな っ た とさ れ る。 こ れ は、 計 算固 体 力 学分 野 を対 象 と した V&V の 一 般的 な 概 念を 提示 し た もの(Guide)であ る。続 い て ASME V&V 20-2009 21) が発 表 され た。こ れ は、 熱流 動 分 野を 対 象と し た 基準 ( Standard) と なっ て い る。 国内 で は 上記 の 動向 を 受 け、 日 本計 算 工 学会 に おい て 「 シミ ュ レー シ ョ ンの 品 質・ 信頼 性 に かか わ る調 査 ・ 研究 」 研究 分 科 会が 発 足さ れ 、 ISO9001 の V&V に 関 す る日 本の 基 準 が発 行 され た. 22),2 3) 。. また 、日 本 原子 力 学 会で は 計算 科 学 技術 部 会に おい て 2002 年 か ら 2005 年 に かけ て 「計 算 結 果評 価 法研 究 専 門委 員 会 」、 2010 年 から 2012 年 に かけ て 「シ ミ ュレ ー シ ョ ンの 信 頼 性ワ ー キン グ グ ルー プ 」が 検 討 を実 施 して い る 。ま た 、標 準 委 員会 の 基盤 ・ 応用 技 術 専門 部 会に お い て 、2009 年か ら 2010 年に か け て「シ ミ ュレ ー シ ョン の 信頼 性検 討 タ スク 」が 開催 さ れ てお り 、放 出源 の 有 効高 さ 計 算実 施 基準 を 発 行し て い る. 24) 。. V&V 分 科 会も 2012 年 か ら 発足 し てお り 、 約 2 年を 目 途 に V&V の標 準 を 作成 す る予 23.
(28) 定の よ う であ る 。一 方 、日 本 原子 力 技 術協 会( 現在 は 原 子力 安 全推 進 協 会に 改 組)は 、 解析 業 務 品質 向 上検 討 会 の成 果 とし て 「 原子 力 施設 に お ける 許 認可 申 請 等に 係 る解 析 業務 の 品 質向 上 ガイ ド ラ イン 」を 発 行し て い る. 25) 。この よ うな 背 景 によ り、今 後 は地. 下水 流 動 解析 に 対し て も 国内 の V&V 標 準の 作 成等 が 必 要に な ると 考 え られ る が、 他 の人 工 材 料を 対 象と す る 解析 分 野と 比 較 する と 困難 が 予 測さ れ る。 品 質 保証 の 分野 に おい て 、 ヒュ ー マン エ ラ ーを 低 減さ せ る 手法 に つい て は 大き な 基準 の 違 いは な いと 予 想さ れ る が、 不 均質 性 を 有す る 地盤 ・ 岩 盤の モ デル 化 に 対す る V&V つ いて は 、 方法 論が 難 し いと 考 えら れ る から で ある 。 地下 水 流 動解 析 の分 野 で は、 解 析モ デ ル の妥 当 性の 確 認 をど の よう に 実 施す る かに つい て の 数学 的 な研 究. 26) や 、地 下 水 解析 に 対 する ガ イ ドラ イン. 27) がま と めら れ て い. るが 、 確 証デ ー タと し て 用い ら れる 観 測 井を 用 いた 地 下 水位 や 間隙 水 圧 の解 釈 に関 す る検 討 は 行わ れ てい な い 。 正解 が わ から な い媒 体 を 対象 と する 地 下 水流 動 解析 の 分 野に 対 する V&V 手 法 に つ いて は 、 今後 の 大き な 課 題と 思 われ る 。 しか し なが ら 、 地下 水 流動 解 析 に対 す る妥 当 性を 議 論 する た めに は 、適 切 な調 査 デ ータ と 解 析結 果 を 比較 す る行 為 が 必須 で あろ う。 その 際 に 、調 査 デー タ が 適切 で ない こ と や、 解 析結 果 と の比 較 が適 切 に 行わ れ なけ れ ば、 満 足 な評 価 を行 う こ とが で きな い 。 不均 質 ・ 不確 実 な場 を 対 象と す る 地 下 水 流動 解 析に 対 し ては 、 水位 や 水 圧デ ー タを 適切 に 把 握、 解 釈 す る こ と、 適 切な 解 析 手法 お よび 解 析 モデ ル を構 築 す るこ と 、実 測 デー タ と 解析 結 果の 比 較 によ り 客観 的 な 評価 を 行う こ と 、が 重 要で あ ろ う。 そ のた め には 実 測 デー タ を正 確 に 測定 す る こ と 、 解析 手 法お よ び 解析 モ デル に 対 して 、 媒体 の 不均 質 性 や不 確 実 性 以 外 によ る 実測 デ ー タと の 誤差 要 因 を低 減 する こ と が必 要 であ る 。. 24.
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