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視覚障害者のための介助指示に関するコミュニケーションツールの研究

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Academic year: 2021

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視覚障害者のための介助指示に関するコミュニケーションツールの研究

- デジタルメディアを用いた介助システムの提案 -

A Study of Communication Tools for Assistance Instructions for the Visually Impaired Person

- A Proposal of Support System Using Digital Media -

5114E006-1 菅原 由貴  指導教員 長 幾朗 教授

SUGAWARA Yuki        Prof. CHO Ikuro

1. はじめに

 近年、ユニバーサル・デザインの概念が広まり、視覚 障害者支援に関する製品や設備が数多くあるが、それ らは未だ製品や設備などの物理的側面での課題解決に留 まっているものが多く、費用面などでも課題が残ってい る。ユニバーサル・デザインの本質はより包括的な意味 が含まれている必要があり、従って視覚障害者支援の本 質は、物理的側面でのデザインと共に、周囲の介助を促 す環境、心理面でのバリア(障害)の除去など心理的側 面による支援も含まれる必要があると本研究では結論づ け、提案もそれに基づいて行った。

2. アナログの「黄色いカード」について

 視覚障害者は設備の充実は無論、周囲の介助を求めて いる一方、健常者のほとんどが介助経験がなく、介助した としてもそれが適切に行われないことがしばしばある。先 行研究ではこれらの課題を解決するためにアナログの黄色 いカードによる支援システムを提案した。カードは複数枚 あり、各状況に応じてカードを周囲に提示することで介助 を求めやすくするものである。視覚障害者を被験者とした 評価実験では、周囲の介助を促すことに関しては賛成的 で、アナログのカードの形態が良いという意見もあったが、

介助を求める際に複数枚のカードの選別に手間取ること、

カードを周囲に提示することに抵抗を感じる人がいることが明 らかとなった。一方、健常者側の意見でも場合によっては突然 カードを提示されることに抵抗を感じるという課題が残った。

3. デジタルメディアを用いた「黄色いカード」の提案

 本研究では前述の課題を踏まえてデジタルメディアを用い た介助指示に関する新たなコミュニケーションツールの黄色 いカードの提案を行った。デジタルメディアとは、本研究で は特に携帯電話やスマートフォンなどの持ち運び可能な デバイスによる双方向な情報伝達経路を指すこととする。

 カードの機能は主に 2 つあり、1 つ目はカードにボタンが ついており、ボタンを押すと専用のアプリケーションをダウン ロードしている健常者のスマートフォンにメッセージと位置 情報が届く。この際、健常者は介助に向かうことを選択する と視覚障害者のカードにバイブレーションが鳴り、介助に 向かう。利用シーンとしてはイベント会場、駅、デパートなど の屋内公共施設を想定し、介助者は公共施設やイベント会 場などのスタッフ・社員、その他ボランティア登録したもの など、簡単な登録制を想定している。2 つ目はカードとして 周囲に提示して介助を求める方法で、屋外での使用を想定 している。技術面では GPS(Global Positioning System)や Wi-Fi Aware(Wi-Fi Alliance の新しい認定プログラム)の 検討を行ったが、次項の評価実験では GPS を用いた。

概要: 本研究は視覚障害者が外出先で一人歩きする際、困難な状況にあった時に、周囲の介助を促す環境を創出する ことを目的とした。本研究ではユニバーサル・デザインの観点から製品や設備の整備などの物理的側面だけでなく視覚 障害者の心理的側面による支援に注力した。視覚障害者は外出先で一人歩きする際、周囲の介助を必要とすることがあ る一方、健常者の中には接し方がわからないことから声をかけることができないという意見があった。この現状に対し、

本研究の先行研究では、アナログの「黄色いカード」による支援システム ( 菅原 , 2013) を提案した。先行研究の提案、

および実験では、複数枚のカードからの選択に手間取ること、視覚障害者、健常者共にカードを提示すること、受け取 ることに抵抗感が伴うなどの課題があった。これらの問題解消として、本研究では健常者が携帯するスマートフォンと 視覚障害者が使用するカード型ツールを介して、相互のコミュニケーションと介助を促すことを試みた。視覚障害者、

健常者共にプロトタイプを用いて実験を行い、これらの有効性や障害者支援のあり方を考察した。

キーワード:視覚障害者支援、ユニバーサル・デザイン、心理的な支援、カード型ツール

Keywords: Visually Impaired Person Care, Universal Design, Psychological Support, Card Type Tool

(2)

図 1. 本研究の黄色いカードの外形

図 2. アプリケーションのイメージ

4. 健常者を被験者とした評価実験

 健常者(成人男女 20 代)を被験者として、まず被験者 に視覚障害者の簡単な手引きを教え、介助を求めるメッセー ジと位置情報を受け取ってから、実際に視覚障害者のもと に行き、その後目的地まで誘導する黄色いカードのシミュ レーション実験を行った。プロトタイプとしてメッセージの やり取りは SNS(Social Networking Service)、位置情報で はインドア Google マップを使用し、場所は西早稲田キャン パス、早稲田キャンパス、JR 高田馬場駅で計 16 名で行った。

5. 視覚障害者を被験者とした評価実験

 視覚障害者を被験者として評価実験を行った。実験内 容は被験者にカードを周囲に提示して助けを求めることと、

カードのボタンを押して介助を求めることを体験してもらっ た後、カードについてインタビュー調査を行った。カードの ボタンを押してからバイブレーションによる返信と介助者が 来るまでの待ち時間は前項で計測したの平均時間をとった。

 実験結果は概ね視覚障害者のもとにたどり着き、目的地 まで誘導することができたが、その場所について把握してい ない人の場合、誘導に時間がかかることがあった。位置情報 を教えることに有効性はあったが、その場所について把握 している人が介助に向かう、または誘導の際目的地までの最 適ルートを介助者に教える方が本提案はより有効的に運用 できると考えられる。また、後のアンケート調査では手引きを 予め把握してから介助を行いたいという意見が多数あった。

 実験結果から、被験者から本提案の黄色いカードを使い たいという意見が多く出た。また、普段声をかけて助けを 求めることに抵抗を感じない人は無論、抵抗を感じる人で も本提案、特にカードのボタンを押して介助を求めることに 関しては抵抗なく使いたいと感じていたことがわかった。一 方、バイブレーションだけでの返信や個人情報の保護に関 して不安があるなどの意見もあり、今後の課題となる。また、

視覚障害者が用いるツールがカードだけでなく携帯電話ま たはスマートフォンにも導入すると利便性が上がることや、

視覚障害者だけでなく、他の障害を持った方や高齢者の方 などにも応用できるなどの意見もあり、技術面での実現性も 含め、今後の課題と展望として検討する必要がある。

6. おわりに

 本研究では黄色いカードを提案したが、視覚障害者が一 人歩きする際、人の手による介助が重要となることもあるが、

時には設備や製品の整備が重要となることもある。重要な ことはユーザーが強要されることなくどれを使用するか自由 に選択できる環境を創出することである。本研究は将来視 覚障害者の歩行支援として一つの選択肢となるために、ま た、視覚障害者と限らず本研究の黄色いカードを必要とす る人が利用できるよう、実現に向け今後の開発を進める必 要があるだろう。

参考文献・図表出典

[1] 菅原由貴『視覚障害者に対する介助指示に関する研究』

早稲田大学基幹理工学部表現工学科卒業論文 (2013)

[2] 川内美彦『ユニバーサル・デザインの仕組みをつくる スパイラルアップ を実現するために』学芸出版社 (2007)

[3] 細野直恒 , 三樹弘之 , 鈴木道夫 , 平山亮 , 富田豊『聴覚障害者や外国人のための緊 急コミュニケーションツール』画像電子学会 2012 年次大会予稿 (2012)

図 1 ~ 5, 表 1 ( 菅原 , 2015) 図3.視覚障害者のもと着くのに感じた難易度 図4.視覚障害者の誘導に感じた難易度

簡単 難しい 簡単 難しい

(人) (人)

0 2 4 6 8

0 2 4 6 8

13 人 3 人

到着が1分~2分程度 到着が2分30秒以上 表1.視覚障害者のもとに到着するのにかかった時間

図 5. 実験の様子

図 1. 本研究の黄色いカードの外形 図 2. アプリケーションのイメージ 4. 健常者を被験者とした評価実験  健常者(成人男女 20 代)を被験者として、まず被験者 に視覚障害者の簡単な手引きを教え、介助を求めるメッセー ジと位置情報を受け取ってから、実際に視覚障害者のもと に行き、その後目的地まで誘導する黄色いカードのシミュ レーション実験を行った。プロトタイプとしてメッセージの やり取りは SNS(Social Networking Service)、位置情報で はインドア Google マップを使

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