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総 説 大規模災害時に必要とされる DVT 検診の 診断アルゴリズム 板橋 匠美 1) 増永 純夫 5) 千葉 長沢 寛 2) 光章 6) 阿部香代子 3) 植田 信策 7) 1) 一般社団法人日本臨床衛生検査技師会 事務局政策調査課 ) 盛岡市立病院臨床検査科 3) 石巻赤十字

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総 説

大規模災害時に必要とされる DVT 検診の

診断アルゴリズム

板橋 匠美

1)

千葉  寛

2)

阿部香代子

3)

田中 信次

4)

増永 純夫

5)

長沢 光章

6)

植田 信策

7) 1) 一般社団法人日本臨床衛生検査技師会(事務局政策調査課)(〒 143-0016 東京都大田区大森北 4-10-7)  2) 盛岡市立病院臨床検査科  3) 石巻赤十字病院検査部  4) 日本赤十字社熊本健康管理センター検査課  5) 国家公務員共済組合連合会熊本中央病院中央検査科  6) 国際医療福祉大学成田保健医療学部  7) 石巻赤十字病院呼吸器外科 要 旨 大規模災害で被災者は避難生活を余儀なくされ,生活環境の変化や大幅な劣化により,健康リスクが高まる。二次的被 害の予防の観点から deep vein thrombosis(DVT)検診は venous thromboembolism(VTE)進展予防に重要である。DVT 検 診をスクリーニングとして行うには,臨床現場とはフローが異なるが,侵襲性のない下肢エコーの利用が有効である。熊 本地震における DVT 検診では 3,500 名を超える受診結果から,DVT の危険因子も示され,今後も下肢エコーを活用して いくことが望ましい。DVT 検診の必要性は車中泊を含む避難生活環境によって左右される。日臨技が職能団体として得 られた経験を基に課題へ取り組むことで,重症の VTE 患者を減らすことにつなげることができれば幸いである。 キーワード 深部静脈血栓症,静脈血栓塞栓症,超音波検査,D-ダイマー,避難所 I はじめに―大規模災害時の避難生活― 1.大規模災害と避難生活 大規模な地震や津波,火災などにより家屋の損壊 や二次的被害回避から被災者は避難生活を余儀なく される。阪神淡路大震災では,家屋損壊と火災の発 生で広域にライフラインが機能を停止し,最大 1,000ヵ所の避難所で,最長 7 ヶ月にわたって,約 32万人もの被災者の避難生活が発生したとされる1)。 東日本大震災では,多くの被災者が津波による浸 水や家屋全壊により,高台の避難所や仮設住宅で長 期の避難生活を送っただけでなく,福島県では原子 力発電所の炉心溶融(メルトダウン)と原子炉建屋 の水素爆発などで大量の放射性物質が漏れた原子力 事故により,県外を含む緊急避難生活を余儀なくさ れた。 熊本地震では,津波による被害はないものの,2 度の大きな地震(前震および本震)により家屋やビ ルの倒壊,道路・鉄道やライフラインの寸断など, 甚大な被害が発生した。熊本県では 1619 年(元和 5 年)に熊本・八代地区で「(八代)城楼崩壊す」(肥 後国志)と表現された地震の記録がある。その 8 年 前の 1611 年(慶長 16 年)に慶長三陸地震があった ことから,今回の東日本大震災から熊本地震に類似 するパターンともいえるが,今日の熊本県内におい て地震への対応に慣れた方はほとんどいなかった。 数分おきに続く地震は屋内での生活に恐怖を与えた ため,多数の被災者が,自宅の庭先,学校グラウン ド,公園,駐車場など避難所以外の,多岐にわたる (平成 29 年 6 月 14 日受付)

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場所で避難生活を送った。 2.被災者の避難場所 避難のあり方は,ハザードの種類と状況,時間的 余裕の長短によって変わる。このことから内閣府は 避難の考え方を明確化するため,安全確保行動とし ての避難行動パターンを空間軸,時間軸,避難先の 視点で「その場に留まる(待避)」,「垂直移動」,「水 平移動(一時的)」,「水平移動(長期的)」の 4 つの 選択肢に分けて整理し,各国民がおかれた場所や状 況を踏まえて的確な避難方法を選択する必要がある とした(Table 1)2)。垂直避難(屋上への避難)は浸 水を想定した水害に限り有効で風が強い場合は適当 でなく,また土砂災害のハザードに対しては推奨で きないことから,垂直避難はあくまで次善の策とさ れた。 熊本地震では水平移動として車中泊が急増した。 この理由について,2 度の「夜間」の地震と果てし なく続く余震から,被災者は不安で眠れずに疲れ切 り,怖くて家に入れない状態にあった。「春の気候は 比較的穏やか/ガソリンの問題は早期に解消/揺れ を和らげる/物の落下の心配はない/プライバシー は保たれる/情報はラジオ(テレビ)から手に入る /大事な物はすぐ近くに保管できる」などの理由か らも「当然の選択としての車中泊」であったと考察 される3)。車中泊は「生活の質」という観点で避難 所生活よりメリットがある4)。場合によっては厳寒 地(厳冬期)における大規模自然災害では車中泊で なければ凍死を防ぐことが出来ないと想定されてい る。したがって,現状の避難所において生活環境の 整備が課題といえる。我が国では,災害に対して応 急的に,必要な救助を行い,災害にかかった者の保 護と社会の秩序の保全を図る目的から,災害救助法 (昭和 22 年制定)で避難所,応急仮設住宅の設置も 規定されている。この中の「一般基準」では,避難 所の設置費は「100 人 1 日当り 30,000 円以内」,設置 期間は「災害発生から 7 日以内」とされている。到 底これでは大規模災害時に運営できないことから, 地方自治体では「特別基準」を適用することになる ものの,戦後直後の「一般基準」が雑魚寝状態の避 難所風景をなかば常識化した点は否めない。 東日本大震災における避難所での「生活の質」に ついての反省と教訓から,政府内でも改善を目指す ところとなり,改正災害対策基本法をふまえ「避難 所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針 (2013 年 8 月)」が策定され,この指針にもとづき, 2016年 4 月,内閣府(防災担当)から「避難所運営 ガイドライン」が発表された5)。市町村が取り組む べき,災害発生時に必要となる基本的な対応を事前 に確認し,災害対応の各段階(準備,初動,応急, 復旧)において,実施すべき対応(19 の項目)業務 をチェックリスト形式で取りまとめられたものであ るが,熊本地震発災のまさしく直前であり,このガ イドラインが十分読み込まれて周知される状況では なかった。 3.避難生活における健康リスク 長期間の避難所生活は様々な健康リスクを発生さ せる(Table 2)6),7)。避難所は多くの人が密集して, 換気が不十分になりやすく,また温度調節が難しい ため,床面での雑魚寝では,呼気感染症が流行しや すい環境となる。また,不衛生なトイレ環境や入浴 制限などで感染症を招きやすい。さらに,被災の ショック,親族の死傷,将来への不安など精神的ス 避難の行動パターン(内閣府「災害時の避難に関する検討課題 避難の考え方」より抜粋) 安全確保行動 避難場所の例 説明 屋内 屋外 待避 自宅などの居場所 安全を確保 できる場所 自宅などの居場所や安全を確保できる場所に留まること 垂直移動 自宅の 2 階, 居住建物の高層階 切迫した状況において,屋内の 2 階以上に避難すること 水平移動 (一時的) 避難所,知人宅など 講演・広場・ 高台・高所 その場を立ち退き,近隣の少しでも安全な場所に一時的に避難すること 水平移動 (長期的) 避難所,知人宅など 住居地と異なる場所での生活を前提とし,指定避難所などに長期間避難をすること 災害時の避難に関する専門調査会 第 3 回資料「安全確保行動としての避難の考え方―まとめ―」再掲2) Table 1 

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トレスから免疫力の低下より心身の不調も起こしか ねない。熊本赤十字病院は,熊本地震における「保 健福祉活動」報告として感染対策(infection control team; ICT),皮膚・排泄ケア(wound ostomy continence; WOC),水と衛生(water and sanitation; WATSAN)に 加えて,DVT 検診による「避難所環境の改善」をあ げている。深部静脈血栓症(deep vein thrombosis; DVT)は,肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism; PTE) と 合 わ せ て , 静 脈 血 栓 塞 栓 症 ( venous thromboembolism; VTE)と定義され,これらは通称 「エコノミークラス症候群」という言葉で社会的に知 られている。避難所で床面から寝起きがしにくいこ と,日常生活行動や友人・近隣の方々との交流を行 いにくいこと,トイレ回数を抑制して水分摂取量が 低下することなど,さまざまな理由から DVT の発 症リスクは被災前と比べると大きく高まる。車中泊 においては,狭い座席内で身動きをしないことも重 なって発症リスクはさらに高まる。二次的な被害と して,DVT が原因となり PTE となることで致死的 となりうるため,重要性が極めて大きい。 したがって,重症の DVT を認めた場合には,速 やかに PTE の有無を確認し,適切に治療を行わなけ ればならない。急性期で検査されていない場合には, 回復期病棟でも PTE で死亡するケースは存在すると 言われているため,回復期病棟への入院の際にも DVTの確認を行ったほうがよいとされている8)。 震災後の PTE と DVT との関連は,2004 年の新潟 県中越地震や阪神淡路大震災において車中泊者が PTEで死亡したことから表面化した。同様に東日本 大震災でも PTE を含む VTE が多数発症し,熊本地 震においても車中泊をした翌日早朝に死亡例や救急 搬送例が発生したことで注目された。 DVT検診における診断アルゴリズムの目的は, VTEの診療にあたって DVT を見逃さないことであ り,これは二次的な被害発生を防止する「保健衛生 活動」の 1 つと位置付けることもできる。大規模災 害におけるスクリーニングとして,過去の DVT 検 診活動経験者のノウハウを軸にして当会が行った熊 本震災での DVT 検診活動を「大規模災害時に必要 とされる DVT 検診の診断アルゴリズム」の観点か ら検証したい。 II DVT 検診の必要性と方法 1.災害時における VTE の予防 熊本震災では,本震 5 日目に県内基幹病院を 中 心に「熊本地震血栓塞栓症予防プロジェクト」 (以下,KEEP プロジェクト;Kumamoto Earthquakes

thrombosis and embolism protection project)が組織さ れ,VTE を原因とした入院患者の情報収集が可能と なり,本震 15 日目までに 2,426 人の被災者に避難所 巡回型の DVT 検診を行い,239 人(9.9%)に DVT を認識,1 名の死亡例を含む 51 人の入院患者発生を 報告した9)。そのうち 42 人(82%)が車中泊を経験 していることが判明し10),過去の地震でも指摘され た“車中泊と DVT”の関連性が再認識された。車中 泊が多数を占めた“入院を要する VTE 患者”の発 症時期をみると,発災から数日以内に発症のピーク がある。DVT 陽性率は非常に高く(Figure 1),重症 疾患発生の予防には発災直後からのマスメディアな どを通じた啓発と,DVT 検診を通じた避難生活を送 る潜在的なハイリスク患者を早期に発見して危険な 状態を放置しないことの重要性が示唆された。 新潟県中越地震や東日本大震災では,2 年以上経 避難所で暮らす人々に起こる健康問題 エコノミークラス症候群 水分摂取抑制と運動不足・車中泊からなる 感染症 劣悪な住環境による・食べ物の取り置きによる食中毒など 風邪 多くの人が同じ空間にいて感染しやすい・寒いまたは暑い 膀胱炎 トイレが遠い・汚いなどで排尿を我慢しがちで水分摂取も制限 高血圧 避難者も支援者も普段より上がる 持病の悪化 高血圧・糖尿病・喘息など 不眠 多くの人と同じ空間にいることによる心配を抱えながらで,眠れる環境でない めまい 血圧? 不眠? 過労? で誘発される けが 被災した住宅の片づけによるものが多い 疲労 片付けによる肉体疲労・将来への不安 ストレス 様々な理由が複合 Table 2 

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過後も,震災直後から DVT が消失しない被災地住 民がおり,いまだ DVT が多く見つかっている11)~13)。 これら原因は DVT の大部分が無症状であるため早 期に治療を受けなかったこと,器質化した DVT が 慢性反復性になっていることも原因と推察されて いる。 早期発見・早期治療のため,DVT 巡回検診を通じ て被災者への VTE 防止について啓発する意義は大き いと考えられる。 2.DVT 検診会場の選定 DVTは先にも述べたとおり,避難環境が発症の大 きな要因となりえる。大規模災害時において避難所 は非常に多く点在する傾向にある。この時,緊急性 の高い被災者をより多く巡回検診するためには,下 記の 3 つを優先して検診会場の選定をすることが望 ましい。 会場を選ぶ基準となる 1 つ目としては,災害対策 本部からの要請である。大規模災害が発生すると行 政主導で災害対策本部が立ち上がり,医療に関する 情報が集約される。被災地では発災直後からの経過 時間により医療ニーズは変化し,適切な医療支援を 行うためにこれを軸とした行動が必須となる。2 つ 目は,一定数以上の被災者がいる避難所である。巡 回時に多くの被災者を一度にみることができるため, 検診としての意義と効果が大きなものとなる。3 つ 目は,保健師による観察などの医療介入が少ない避 難所である。 発災直後から発症までに避難環境も刻一刻と変化 するため,同一の避難所においてもフォローアップ は必要となりえる。これらの観点から選定するため, DVT巡回検診前のアセスメントは非常に重要であ 16.7 12.9 11.6 10 6.4 9.7 0 5.3 4.7 0.0 4.0 8.0 12.0 16.0 20.0 (%) 2016/4/19 ∼ 5/14 の DVT 陽性率:9.7% 5/12‒5/14 5/9‒5/11 5/6‒5/8 5/3‒5/5 4/30‒5/2 4/27‒4/29 4/24‒4/26 4/21‒4/23 4/19‒4/20 発災(本震)からの経過と 4/19 からの巡回検診に おける DVT 陽性率 Figure 1  る14)(Figure 2)。会場選定後は公的管理者の理解, 車中泊者の把握とともに,各 DMAT 隊などの巡回検 診を行政と連携して行うため,同行医師の確保が必 要となる。 3.DVT 検診の方法 熊本震災時において行われた DVT 検診の手順を 示す(Figure 3)。検診は受診者による問診票記入 後,問診,血圧と血中酸素飽和度を測定し,その後 に下肢エコーによるスクリーニングを行った。下肢 エコーは座位の状態で両側の下肢深部静脈の走査を 行い,静脈内に内部エコーを認めるもの,圧迫法に より静脈内腔不変または残存するもの等を DVT 陽 性所見として判断した15)。DVT 陽性所見とした場 合,医師と共に超音波画像の確認後,追加検査とし て D-ダイマーの定量検査を実施した。医師による診 断後の結果説明が行われ,弾性ストッキングの着脱 指導・配布を全受診者に行った。また,診断結果か らは NTproBNP の追加測定,医療機関への紹介状の 発行,および緊急搬送も行われた。 点在する避難所でなるべく多くの巡回検診を行う 場合,災害時の医療ではトリアージとともに緊急性 を優先させた瞬時の医師の判断が要求される。検査 の手順においても,下肢エコーは非侵襲であり短時 間で確認ができ,また,下肢ゆえ検査環境の制限が 少なく,検査中の判断が可能な下肢エコーでスクリー ニングを行うことは,避難所検診において大きな意 義を有する。 III DVT 検診の診断アルゴリズムの特徴 1.臨床診療における標準的診断アルゴリズムとフ ロー 日本循環器学会などによる“循環器病の診断と治 療に関するガイドライン”で定める DVT の診断ア ルゴリズムを示す(Figure 4)。初めに問診による症 状や危険因子より急性期の疑診断をする。疑いが低 い場合には,除外検査やスクリーニングとして,侵 襲性のある採血を通じた D-ダイマーによる定量検査 が選択される。一方,問診にて急性期の疑いが強い 場合には,確定診断ができる画像検査を優先的に選 択する。下肢においては迅速に実施でき,かつ非侵 襲性の静脈エコーが第一選択となる。静脈エコー検

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査で血栓を特定できない場合,静脈造影検査や造影 CT検査を行う場合がある。 DVTは臨床症状に乏しいものの,初発・再発とも に急性期においては準緊急的治療を必要とする病態 CDC 避難所環境アセスメント 2015 年 月 避難所名( ) 1. 避難所建物に被害無し SW 2. 入館者のチェックがあった 3. 水道は使えた 4. お湯が使えた 5. 空気は汚れていなかった 6. 一人あたり 3.3 平米以上あった 7. 事故の危険は無かった 8. 虫などの侵入がなかった 9. 電気が使えた 10. 停電用発電機があった 11. 室内の気温は寒くなかった 食事 12. 避難所で食事を作っていた 13. 避難所で食事を配膳していた 14. 食事は十分供給されていた 15. 食事は十分ストックされていた 16. 食事は冷たくなかった 17. 食事の前の手洗いが可能であった 18. 食器洗いが可能だった 19. 清潔なキッチンがあった 飲料と氷 20. 十分な飲料水があった 21. 十分な氷が使えた(冷凍庫があった) 22. 安全な水が使えた 23. 安全な氷が使えた 医療 24. 感染の流行はなかった 25. 常駐の医療班がいた 26. 常駐の相談員がいた 清潔度 27. 洗濯機は十分あった 28. トイレの数は 20人に 1 個以上有り 29. シャワー室があった 30. 手洗い場は 20人に1個以上有り 31. トイレットペーパーなど十分あった 32. トイレが受け入れられる清潔度であった ゴミ 33. ゴミ置き場の数は十分であった 34. ゴミの選別はされていた 35. ゴミは適度に処理されていた 36. ゴミは適度に貯められていた 37. ゴミは定期的に運びだされていた 子供の遊び場(準備されていなければ全部×) 38. おむつ換え場所は清潔であった 39. 子供の遊び場に手洗い場はあった 40. 遊具は十分あった 41. 遊具は安全であった 42. 子供の食事場所は清潔であった 43. 面倒を見る大人の数は十分だった 44. 遊び場は受け入れられる清潔度があった ベッド(準備されていなければ全部×) 45. 十分な簡易ベッド、マットなどがあった 46. 十分な簡易ベッドの供給があった 47. ベッド(布団)の定期的な交換があった 48. 十分なベッドスペース(3.3 平米以上) 49. 受け入れられる清潔度があった ペットケア(準備が無ければ全部×) 50. ペット同伴が可能だった 51. ペットの世話をしてもらえた 52. ペット専用区域があった 53. ペットに受け入れられる清潔度があった その他 54. 身体障害者に配慮があった 55. 下水処理が可能だった /55 点 点数 CDC避難所環境アセスメントシート Figure 2 

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であり,常に VTE を念頭に置いて診断が行われる。 急性期では,第一に血栓の存在有無の確認(血栓の 判定)による中枢進展の阻止,第二に血栓範囲の確 定(病型の判定)による血栓後後遺症の軽減,第三 に血栓の中枢端の評価(塞栓源の判定)の評価によ る塞栓の阻止,第四に静脈還流障害の評価(重症度 の判定)による急性還流障害の改善が基本的なアプ ローチとされている16)。 2.血栓の発生機序 血栓の発生機序として,凝固線溶系は厳密に制御 されているが,強い危険因子により制御機構が破綻 すると,血栓形成が過度に進行し,血栓性疾患が惹 起される。1856 年,Virchow は静脈血栓症の誘発因 子として,血流の停滞,静脈壁の障害,血液凝固能の 亢進の 3 徴を提唱した。現在でもこの概念は変わっ ておらず,これらの因子で血栓形成がなされるとさ れる17)。 下肢において血栓が形成しやすくなる原因として, 疑 診断 選別診断 確定診断 病因診断 問診診察(危険因子,症状,所見) 定量検査(D-ダイマー:低侵襲) 画像検査(静脈エコー:非侵襲) (造影 CT・MRI:低侵襲) (静脈造影:侵襲) 病因検査(血栓傾向,自己抗体) 深部静脈血栓症の診断のアルゴリズム Figure 4  血液の逆流による下肢静脈瘤があげられるが,これ は表在静脈と深部静脈との間の穿通枝(Figure 5: Dodd, Boyd, Cockett I, II, III)の弁が壊れることによ るものとされる18)。入院中の患者では,VTE 予防で 考慮すべきリスク因子として手術や先天性・後天性 血栓性素因のほかに,VTE の既往,下肢ギプス包帯 固定や神経系疾患といった下腿筋の能動運動低下に よる静脈血の渟滞がある(Table 3)19)。 3.DVT 検診における診断アルゴリズムとフロー 大規模災害時に必要とされる DVT 検診の診断ア ルゴリズムを示す(Figure 6)。問診では下肢の外観 として皮膚所見(発赤,腫脹,静脈瘤)を観察し, 血圧や脈拍数,経皮的酸素飽和度を測定する。スク リーニングとして静脈エコーを選択し,ヒラメ静脈 を基本とした下腿深部静脈(膝窩静脈,ヒラメ静脈, 前脛骨静脈,後脛骨静脈,腓骨静脈)における走査 を行う。血栓なしの場合は受診者に結果説明用紙を 渡し,弾性ストッキングの着脱指導,配布を行う。 一方,血栓などの所見あり(ヒラメ静脈最大径 9 mm 以上は拡張所見ありとして判断)の場合は,医師と のダブルチェックを行い,D-ダイマーを測定する。 広範囲の DVT や,D-ダイマー高値(1.5–2.0 μg/mL 以上)を認めた場合は,医療機関への紹介または緊 急搬送を行う。膝窩静脈より中枢部での急性完全閉 塞状態は閉塞側が健常側と比較して非圧痕性な腫れ を目視でも観察可能である。 下肢エコーにおける DVT の検索は,本来,下大 静脈~下腿までを観察範囲とした走査を基本とする。 問診 血圧・酸素飽和度測定 下肢エコー D-ダイマー測定 BNP測定 弾性ストッキング指導 診断 ※診断以外の動作は臨床検査技師が対応可能である。 血栓径 9 mm 以上は拡張所見ありとする 静脈瘤などの所見を記入する 血栓所見を認めた場合,医師のもと採血して測定 2.0 以上で医師の指示のもと医療機関へ紹介状, 重症例では救急車手配 医師の指示のもと採血して測定 問診やエコー等で,間歇性跛行等の症状がある場合 医師の指示のもと弾性ストッキングの使用を避ける 熊本震災時において行われた DVT 検診の手順 Figure 3 

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日本人の肺血栓塞栓症の 90%はヒラメ静脈の血栓が 原因とされる20)。大腿静脈中間部においても稀では あるが初発し,腸骨静脈の血栓が末梢に進展したか, 静脈血栓症の付加的な危険因子の強度 危険因子の強度 危険因子 弱い 肥満 エストロゲン治療 下肢静脈瘤 中等度 高齢 長期臥床 うっ血性心不全 呼吸不全 悪性疾患 中心静脈カテーテル留置 癌化学療法 重症感染症 強い 静脈血栓塞栓症の既往 血栓性素因 下肢麻痺 下肢ギブス包帯固定 血栓性素因:先天性素因としてアンチトロンビン欠損症, プロテイン C 欠損症,プロテイン S 欠損症など,後天性素 因として,抗リン脂質抗体症候群など。 (日本循環器学会学術委員会合同研究班:「循環器病の診断 と治療に関するガイドライン」16)より抜粋) Table 3  下腿の静脈から中枢性に進展したかのどちらかとさ れている。また膝窩静脈においても稀ではあるが初 発する血栓もあり,その殆どが中枢の大腿静脈ある いは末梢のヒラメ静脈の血栓からの進展とされるた め,膝窩静脈に血栓がある場合は,その中枢あるい は末梢に血栓があるものと考えられている17)。 4.D-ダイマーを追加検査とする意義 D-ダイマーは,血栓の最終分解産物の一つであ り,妊娠,炎症,感染症,外傷などでも上昇がみら れるため,VTE に対する特異性は低い。測定機器の POCT装置化により,災害現場でも全血を用いた 15 分以内の測定が可能であるが,臨床現場と同様に心 筋梗塞の診断,肺血栓塞栓症の除外検査として扱わ れ,静脈エコーによる確定診断を必要とするため, スクリーニング検査としては余計に時間がかかるこ ととなる。また,試薬カートリッジは貯法(2~8℃) である必要があり,被災地においても保冷方法を模 索する必要がある。また,検査機器が低温環境や高 温環境では作動しないという制約もある。 検体検査の実施コストや所要時間,検査機器・試 薬の確保,また,採血の侵襲を要する点から,D-ダ イマーによるスクリーニングは,受診者の心理負担 表在静脈系 (大伏在静脈) 表在静脈系 (小伏在静脈) 外側副伏在静脈 内側副伏在静脈 伏在静脈間静脈 小伏在静脈 大伏在静脈 (伏在静脈間静脈) 深部静脈系 (大腿静脈) 交通枝 Dodd交通枝 Boyd交通枝 Cockett交通枝 大伏在静脈領域の主な交通枝 Figure 5 

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や侵襲性,大規模災害時の物資不足を考えた場合, 不向きである。このような物資不足の被災地での DVT検診では,下肢エコー検査によるスクリーニン グを行い,血栓を認めた受診者にのみ,D-ダイマー を追加検査とすることで,受診者負担の軽減,さら には,検診効率の向上につながる。しかし一方,静 脈エコー検査によるスクリーニングでは,下腿静脈 の血栓を伴わない中枢型の血栓を検出できないこと が危惧される点である。これに対し,重篤な PE を 起こす症例のほとんどが下腿静脈血栓を伴うこと19) と,避難所環境下では脱衣を伴う鼠径部までの静脈 エコー検査の実施が難しいこと,上述のごとく D-ダ イマー測定によるスクリーニングは困難であること が挙げられる。 IV 効果的な DVT 検診 大規模災害では被災者が圧倒的に多く,全てが潜 在的 DVT のリスクを保有している。DVT は発症パ ターンと経過時間でハイリスク化するため,緊急性 を優先したトリアージの観点を踏まえ,衣服の着脱 を要しない下腿静脈エコーはスクリーニングとして の有用性が高い。静脈エコー所見から血栓を認めた 場合に限り,測定範囲の拡大,および補助としての 確認検査を行うことが重要と考えられる。ヒラメ静 脈の同定,下肢静脈の逆流を判断するには,立位ま たは座位で行うことが望まれる。避難所ではプライ バシーに十分配慮することは難しい。そのような避 難所の環境でも,問診による情報収集を行いつつ測 定が可能で,座位で行える点においても静脈エコー はメリットがある。また,ポータブル機器を使用す ることで,災害時の様々な避難所環境でも行える検 査ともいえる。さらに,1 ポイント測定を基本とし たスクリーニングを実施することで,走査範囲が狭 まり,一定の血管エコー検査の経験があれば担当す ることができる。実際に避難所では臨床検査技師以 外に診療放射線技師が静脈エコーを行っている例も ある。このようなスクリーニングにより多くの被災 者の検診が可能となるメリットがあり,これらの状 況を勘案すれば,大規模災害時においてはこの診断 アルゴリズムの運用が妥当と考えられる。但し, DVT 検 診 と は い え , 問 診 や 経 皮 的 酸 素 飽 和 度 (SpO2),血圧,脈拍数の測定などで,心不全や低酸 素血症などが疑われた場合は,静脈エコー所見に関 わらず,病院への搬送を考慮して医師に診察を依頼 することも忘れてはならない。 1.予測危険因子によるスクリーニング 熊本地震での最終的な被災者は約 18 万人とされ, これに対する KEEP プロジェクトによる DVT 巡回 検診の陽性率と推移を示す(Table 4)。 過去の震災地 DVT 巡回検診による 1 年後の DVT 頻度として,新潟県中越地震では 7.8%12),東日本大 震災では 9.4%(仮設住宅)13)と報告されており,熊 本震災においても発災後慢性期における明らかな低 下を認めない同様な結果となった。一方,同時に, 道路の寸断により孤立化し,災害派遣医療チーム 問診・ バイタル・酸素飽和度(SpO2) 下肢静脈エコー DVT(+) DVT(-) 弾性ストッキング 終了 D-ダイマー測定(Cobas) 病院に紹介し精査・治療 > _ 1.5μg/mL < 1.5μg/mL 中枢型 膝窩静脈より近位に進展 末梢型 multiple   solitary ヒラメ静脈最大径 > _ 9 mm  < 9 mm 大規模災害時に必要とされる DVT 検診の診断アルゴリズム Figure 6 

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(DMAT)以外の介入が遅れた阿蘇市・南阿蘇町地区 の避難所では,本震から 17 日目の初回 DVT 巡回検 診(受診者 200 名)にて陽性率 13.5%となり,避難 所環境が DVT 陽性率に影響していることが推測さ れた。検診場所のアセスメントにより,DVT リスク が高い検診場所の絞り込みの重要性が再認識された 結果となった21)。 熊本震災での検診結果は KEEP プロジェクトにお いて,急性期・慢性期に分けた DVT 陽性率や,DVT の有無での患者背景の比較,DVT 陽性者の予後調査 結果,治療介入効果の検討が行われた22)。熊本震災 時の急性期検診結果から DVT を予測する危険因子 として,①70 歳以上,②地震後の睡眠薬使用,③下 腿腫脹,④下腿の表在静脈瘤の 4 項目が明らかと なった(Table 5)。また,慢性期の DVT 陽性者を対 象とした継続的な血栓の推移検討より,DVT 残存群 では①女性,②既往歴に糖尿病があること,③初回 DVT陽性時の D-ダイマーが高値,④初回検診時に 下腿径が大きいことなどの 4 項目が共通項目として 報告された(Table 6)。留意点として,これら DVT 陽性を予測する危険因子及び共通項目は熊本震災に おける条件下でのものであり,他の災害との検証が 今後必要となるが,膨大な労力をかけて行われる DVT検診活動において,DVT 陽性を予測する危険 因子は,生産性・正確性・効率性において,今後の 有事の際に DVT 巡回検診を行う上で,第一次スク リーニング項目として念頭に置くべきものとなり える。 2.DVT 検診チーム数の拡大 熊本震災においては,DVT 検診は DMAT などの 救護班と日臨技から派遣された臨床検査技師数人で 組織され,医師 1 名および多職種のチーム編成となっ 発災後慢性期の DVT 陽性率 検診 初回受診者 DVT陽性 陽性率 両側 DVT D-dimer ≥ 2.0 μg/mL 巡回検診 2,315 220 9.5% 48(陽性者の 21.8%) 23(陽性者の 9.9%) 6月検診 539 42 7.8% 13(陽性者の 30.9%) 4(陽性者の 5.9%) 8月検診 38 4 10.5% 8(陽性者の 21.8%) 4(陽性者の 3.6%) 9月検診 103 10 9.7% 4 0(陽性者の 0%) 10月検診 59 6 10.2% 0 施行せず 12月検診 149 17 11.4% 0 0(陽性者の 0%) 合計 3,203 299 9.3% 73 31(陽性者の 7.9%) (木下ゆい:「熊本地震での DVT 検診結果」,熊本地震シンポジウム 201722)より抜粋) Table 4  DVTの有無による受診者背景の比較(2016 年 4 月 19 日~5 月 31 日:n = 2,315) DVTなし DVTあり p value DVTなし DVTあり p value n,(%) 2,095(90.5) 220(9.5) n,(%) 2,095(90.5) 220(9.5) 年齢,yrs 67.7 ± 14.9 74.9 ± 10.4 < 0.001 糖尿病 14.6% 12.3% 0.348 女性 74.3% 78.6% 0.158 高血圧 46.9% 56.8% 0.005 収縮期血圧,mmHg 139.4 ± 21.6 141.5 ± 22.9 0.206 脂質異常症 28.8% 35.5% 0.039 拡張期血圧,mmHg 80.1 ± 13.4 80.1 ± 14.7 0.991 悪性腫瘍 4.8% 6.5% 0.196 心拍数,bpm 77.5 ± 11.8 78.6 ± 12.9 0.241 心疾患 16.2% 19.1% 0.277 血中酸素飽和度,% 97.5 ± 1.4 97.4 ± 1.4 0.617 抗凝固療法 5.7% 7.3% 0.354 車中泊日数,day 3.6 ± 5.0 2.5 ± 3.9 0.002 抗血小板療法 9.4% 8.6% 0.710 畳泊日数,day 1.1 ± 4.8 0.7 ± 3.2 0.134 トイレ我慢 35.8% 29.1% 0.047 床泊日数,day 3.5 ± 7.5 4.0 ± 8.0 0.380 皮膚発赤 0.9% 1.8% 0.195 地震後眠剤使用 22.1% 31.4% 0.002 下腿腫脹 8.1% 13.2% 0.010 下腿自覚症状 47.6% 49.5% 0.581 表在静脈瘤 15.4% 25.5% < 0.001 運動習慣 47.4% 49.5% 0.535 右ふくらはぎ径,cm 33.9 ± 3.8 33.4 ± 3.7 0.247 喫煙習慣 12.2% 8.2% 0.081 左ふくらはぎ径,cm 33.9 ± 3.8 33.4 ± 4.0 0.254 飲酒習慣 12.8% 10.0% 0.227 右ヒラメ静脈径,mm 6.1 ± 2.0 7.0 ± 2.5 < 0.001 左ヒラメ静脈径,mm 6.2 ± 2.0 6.9 ± 2.6 < 0.001 (木下ゆい:「熊本地震での DVT 検診結果」,熊本地震シンポジウム 201722)より抜粋) Table 5 

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た。結果として医師の数がチーム数を規定する因子 となりえた。 被災者数に対する検診チームの供給量は乏しく, 被災者約 18 万人に対し,約 2%(3,539 名)への巡 回検診活動となった。この限界を打破する方法とし ては,通信情報技術(以下,ICT)を活用すること で,1 人の医師が複数の DVT 巡回検診チームの遠隔 指示を行うことが考えられる。つまり,通信機能を 持たせたエコー装置の活用により画像は医師に送信 され診断を得ることができる。ICT の活用により遠 隔医療も可能となり,医師 1 名に対し臨床検査技師 中心の複数のチーム編成と機動性の拡大が期待され る。このためには遠隔医療における診断や,採血を 含めた指示に対する医療法による法的解釈が問われ る。操作性や精度に加えて電池容量,費用なども課 題である。 V VTE 防止のための予防啓発 大規模災害時は医療施設の損害,医療スタッフ自 身の被災などで,医療の受け皿が一時的に縮小する。 DVTのスクリーニングを行うより以前に,DVT に ならない予防こそが重要と考えられる。この時,ハ イリスクの環境において発症回避のため,被災者へ の対策として以下の 3 つの観点からの予防啓発が重 要と考えられる。 1.マスメディアを活用した繰り返しの注意喚起(危 険性,運動,水分摂取) 熊本震災でも車中泊を原因とする早朝の搬送例が 多かったため病院からの警鐘が公表され,報道や政 府見解の表明につながった。新潟県中越地震では VTE発症が発災 8 日目にピークをむかえ,7 人が死 亡したことと比べると,熊本地震では早い時期にピー クアウトしたとの指摘もあり,公共放送を中心にマ スメディアによる繰り返しの注意喚起(DVT の危険 性,運動・水分摂取の必要性,車中泊の注意喚起) が急性期での啓発効果をもたらしたことが推測さ れる。 2.弾性ストッキング供給体制の構築 日本血栓止血学会を中心に作成された肺血栓塞栓 症や DVT の予防方法を示す(Table 7)。ガイドライ ンでは,段階的弾性ストッキングが深部静脈血栓症 DVT残存群と消失群における背景の比較(n = 112) 残存 消失 p value 残存 消失 p value 51(45.5) 61(54.5) 51(45.5) 61(54.5) 年齢,yrs 73.8 ± 7.6 71.8 ± 10.5 0.263 [初回検診時データ] 女性,% 92.2% 73.8% 0.011 右ふくらはぎ径,cm 34.8 ± 2.4 33.2 ± 3.5 0.037 車中泊の有無,yes 64.7% 60.7% 0.659 左ふくらはぎ径,cm 34.5 ± 2.5 32.9 ± 3.6 0.045 車中泊日数,day 4.5 ± 9.1 4.5 ± 7.0 0.982 右ヒラメ静脈径,mm 7.2 ± 2.5 7.3 ± 2.8 0.917 地震後眠剤使用,% 35.3% 23.0% 0.150 左ヒラメ静脈径,mm 7.4 ± 2.6 6.9 ± 2.8 0.359 運動習慣,% 47.1% 59.0% 0.206 初回 D-dimer 0.66 0.42 0.036 喫煙習慣,% 5.9% 8.2% 0.636 (0.46–1.10) (0.32–0.74) 飲酒習慣,% 12.2% 10.0% 0.710 [フォローアップ検診時データ] 糖尿病,% 0% 13.1% 0.007 収縮期血圧,mmHg 132.3 ± 17.6 135.9 ± 22.5 0.357 高血圧,% 47.1% 54.1% 0.458 拡張期血圧,mmHg 73.2 ± 9.7 73.0 ± 15.2 0.941 脂質異常症,% 47.1% 36.1% 0.239 下腿自覚症状,yes,% 64.0% 65.0% 0.913 虚血性心疾患,% 24.5% 15.5% 0.244 皮膚発赤,% 2.0% 0% 0.276 悪性腫瘍,% 7.8% 6.6% 0.792 下腿腫脹,% 15.7% 11.5% 0.515 トイレ我慢経験あり,% 38.0% 37.7% 0.975 表在静脈瘤,% 31.4% 25.0% 0.456 [初回検診時データ] 右ふくらはぎ径,cm 33.6 ± 2.5 33.4 ± 3.3 0.705 収縮期血圧,mmHg 140.9 ± 20.3 142.2 ± 24.9 0.780 左ふくらはぎ径,cm 33.7 ± 2.6 33.4 ± 3.6 0.614 拡張期血圧,mmHg 82.3 ± 12.1 79.7 ± 16.1 0.336 右ヒラメ静脈径,mm 7.2 ± 2.4 6.8 ± 2.7 0.379 下腿自覚症状,yes,% 61.2% 50.8% 0.275 左ヒラメ静脈径,mm 7.4 ± 2.5 6.4 ± 2.3 0.030 皮膚発赤,% 2.2% 0% 0.255 初回受診後水分摂取 89.2% 77.6% 0.159 下腿腫脹,% 8.7% 13.6% 0.437 初回受診後運動励行 62.2% 40.8% 0.050 表在静脈瘤,% 28.3% 25.4% 0.744 弾性ストッキング日数 32.0 ± 51.7 22.7 ± 47.2 0.399 (木下ゆい:「熊本地震での DVT 検診結果」,熊本地震シンポジウム 201722)より抜粋) Table 6 

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予防に有効との十分な科学的根拠はまだないものの, 脳卒中ガイドラインにて,「脳卒中については強い危 険因子とみなして予防を行うが,出血性脳血管障害 患者等の抗凝固療法禁忌例に対しては,理学的予防 法を選択する」とされているため16),ベッド上臥床 状態では弾性ストッキングによる予防が無難といわ れている。脳卒中に対し,一般病院では弾性ストッ キングを中心とした対策を講じるのが現実的と考え られており,処方されている例が最も多い。また急 性期病棟では,明らかな麻痺があり,重症の患者は, 両下肢に弾性ストッキングが処方される場合も多い とされている。その上で積極的に離床を進め,かつ 下肢挙上と関節可動域訓練が行われる。早期離床の 徹底は DVT 予防においても非常に重要といわれて いる。 現状では,日本において震災時の弾性ストッキン グの供給は,団体や企業からの寄付を中心としてい る。今後も起きる震災においても必要となる以上, 標準仕様の模索,コスト負担,各サイズの必要数の 在庫確保と輸送,着脱指導経験による知見により提 供体制を構築することが予防に大きくつながると考 える。 3.避難生活条件の改善と DVT 検診 災害時の避難所に簡易ベッドを設置することがグ ローバルスタンダードとなっている。一方,日本に おいては,先に触れた内閣府の「避難所運営ガイド ライン」でようやく「継続的な避難者には,簡易ベッ ドの確保を目指す」「寝床については,初動は毛布や 通気を確保する等,寒さ暑さの緩和に努め,次いで, マットや段ボール仕様等の簡易ベッドの導入を目指 しましょう」とされたものの,簡易ベッドも一般認 識化していない。避難所に導入しても,数が足りな ければ「自分だけいい思いをできない」と辞退する などの我が国独特の「我慢の風土」も根強い。畳文 化から床での雑魚寝に対しても抵抗感はあまりもっ ていないと思われる。 東日本大震災直後に考案された床上 35 cm 以上と なる段ボール製簡易ベッドが一つの解決法となろう。 熊本地震においては政府などから 5,300 床の供給が 行われ,その後も地方自治体,政令指定都市が防災 協定に組み込む動きがある。一方,2016 年 10 月の 鳥取県中部地震においては,県として段ボール企業 との間で防災協定を結びながら,被災市町には知ら れておらず,外部からの指摘で導入するも使用され なかったという報告もある23)。 段ボールベッドは体温維持や,衛生,いすとして の利用,収納スペース,組み立ての容易さ,保管管 理のしやすさ,及びパーテイションと併用すること でプライバシーの確保,支援する医療従事者用など 利用価値の高さがあげられている。これにより VTE リスク低下が考えられるが,避難所環境についての 行政と住民の意識が変わらなければ,車中泊の増加 と併せて,DVT 検診の必要性は引き続き存在するこ とになる。 VI おわりに―今後にむけた取り組み― 1.「熊本地震シンポジウム 2017」を 1 つの区切りに 日臨技は,熊本県災害対策本部から行政主導の災 害対策活動の許可を受けて災害支援を展開した。被 災者避難所への急性肺血栓塞栓症対策とした行政主 導の一元化された動きのなかで,KEEP プロジェク トと熊本市医療救護調整本部での DVT 巡回検診に よる予防活動に実働参画した。その後,震災 1 年後 という節目において,経験から学んだことを次の震 災へ活用するために,KEEP プロジェクトは,エビ リスクレベルと静脈血栓塞栓症の発生率,及び対応する予防法 リスクレベル 下腿 DVT(%) 中枢型 DVT(%) 症候性 PE(%) 致死性 PE(%) 推奨予防法 低リスク 2 0.4 0.2 0.002 早期離床および積極的な運動 中リスク 10~20 2~4 1~2 0.1~0.4 ESあるいは IPC 高リスク 20~40 4~8 2~4 0.4~1.0 IPCあるいは低用量未分画ヘパリン 最高リスク 40~80 10~20 4~10 0.2~5 (低用量未分画ヘパリンと IPC の併用) あるいは (低用量未分画ヘパリンと ES の併用) (低用量未分画ヘパリンと IPC の併用)や(低用量未分画ヘパリンと ES の併用)の代わりに,用量調節未分画ヘパリンや用量調節ワル ファリンを選択してもよい。DVT:深部静脈血栓症,ES:弾性ストッキング,IPC:間欠的空気圧迫法,PE:肺血栓塞栓症 Table 7 

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デンスを発信する場として“熊本震災シンポジウム 2017”を平成 29 年 4 月に開催した。 シンポジウム内では,組織団体としての DVT 巡 回検診に関する情報公開や参加募集の方法,災害時 の協力体制や組織形態のあり方,県市における災害 支援活動への関わり方など,今後検討を重ねていく こととなる課題があげられた。また,初動において 日臨技が果たした支援供給体制(Figure 7)と職能 団体としての課題(Table 8)を対外的に筆者が代表 して発信・報告した。さらに同シンポジウムでは, 熊本震災において急性期からの医療救護と保健衛生 活動として,二次的な被害による DVT や集団感染, 心のケアなどの問題が注視され,災害支援のなかで 行われる重点活動の変化にも対応すべきことが討議 され,また保健衛生の側面において,外部の保健所 スタッフが超急性期から DMAT と並行して現地保健 所機能に加わるという「災害時健康危機管理支援 チーム(DHEAT)」の今後の制度設計に期待が示さ れるとともに,今回,阿蘇地区で DMAT が撤収する 本震 4 日後から立ち上がった「阿蘇地区災害保健医 療復興連絡会議(ADRO)」が DHEAT 検討につなが る事例として注目された24),25)。 2.長期避難生活者への関わりと在宅医療への応用 東日本大震災において経年変化を追跡し,災害か ら時間がたつことにより仮設住宅団地,被災地住宅 地とも生活改善がされたものの,DVT 陽性率の上昇 傾向が報告されている13)。また,日本認知症予防学 会では環境の変化による認知症ハイリスク因子とし DVT検診支援 機器・試薬支援 要請 被災者避難所 KEEP プロジェクトチーム 連携・要請 公募・応募 ・要請・委嘱 日臨技 被災地災害支援室 (熊本・大分・長崎) 有志ボランティア臨床検査技師 日本臨床検査医学会 日本臨床検査専門医会 関連団体 臨薬,卸,他 平成28年熊本地震 日臨技災害対策本部 各都道府県技師会 中央区救護班調整本部の救護班 (全国のDMAT・JMATなど) 支援医療施設 機器 ・試薬支援 要請 人的支援 DVT検診支援 熊本地震における日臨技の支援供給の流れ Figure 7  日臨技が果たした機能と問題点および今後の課題 果たした機能 問題点 今後の課題 本部運営(日臨技) 災害支援に対する予算の確保 外部支援体制の更なる確立 被災県技師会との連携 被災県技師会の情報連絡網の電子化の遅れによ る情報収集の遅れ 各都道府県内の情報連絡網の構築 情報収集・統括 行政への接触の遅れによる避難所被災者への支 援対応の遅れ 活動拠点本部との連携を円滑にするため,医療ニーズの把 握,DMAT 隊との連携 病院検査室での診療支援 外部支援員による医療支援提供における雇用形 態上の体制不確立 支援員受入れ側における受入れ態勢の要望提示および被災 病院への介入方法の改善 機器・試薬での供給支援 検診用エコー機器の不足 各都道府県内での関連団体,臨薬,卸などとの試薬搬送 ルートの構築 被災者避難所での DVT 検 診活動支援 DVT対策の方針,検診手順に関する現場混乱 災害時に目の前の被災者に医療人として動けるかの教育 Table 8 

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て,震災後の仮設住宅生活を指摘している26)。震災 後慢性期においては仮設住宅を中心とした DVT 巡 回検診とともに,認知症患者への対応を含めた医療 提供体制の在り方も日臨技は職能団体として検討す べきではなかろうか。また,大規模災害におけるエ コー装置や POCT 装置を避難所に持参する形態は, 在宅医療を提供するための訪問医療と形態が類似す ることより,災害時支援での避難所や仮設住宅だけ でなく,居宅での生活不活発病対策においても十分 に応用が期待できる。 3.災害時への心構え いついかなる時に起こるかわからない災害におい て,対策を講じておくことは大きく結果に影響を与 える。起きてはほしくないものの,災害は他人事で はなくいつかわが身に起こる可能性がある。災害時 に目の前の被災者に対して医療人としてどう動ける か,臨床検査技師の教育を検討し支援することも職 能団体である日臨技の課題と捉えている。 謝辞 本論文における DVT 検診の診断アルゴリズムは,新潟大学大 学院医歯学総合研究科 呼吸循環外科学分野の榛沢和彦医師に よって中越地震の際に提唱され,実施されたものである。その後 の大規模災害時にも,賛同する医師,看護師,保健師,臨床検査 技師らの参加により実施され,また,定期フォロー検診を含めて DVT検診として定着しつつある。 筆者は浅学非才ながら,熊本地震災害対策本部で深く活動に関 わった立場から,指名を受けて本稿の執筆を担当した。記述上の 不備はご指導をいただければ筆者にとって幸いである。 今回の一連の活動でご協力いただいた全国の医師,看護師そし て日臨技会員の皆様のご尽力に,この場をお借りして感謝申し上 げる。また,熊本県臨床検査技師会員においては,自らが被災者 でありながら,積極的に DVT 検診活動に参加されたことに心か らの敬意を表したい。被災地における医療人としての自覚を示し た証左と受け止めている。 ■文献  1) 兵庫県知事公室消防防災課:阪神・淡路大震災―兵庫県の 1 年の記録,1996.  2) 内閣府:災害時の避難に関する専門調査会検討状況,2012. http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chousakai/saigaijihinan/6/pdf/ shiryou_1.pdf  3) 中尾 浩一:「その時,何を思い,どう動いたか―済生会熊本 病院 熊本地震の記録―」,熊本地震シンポジウム 2017,イ ブニングセミナー.  4) 内閣府:平成 28 年度避難所における被災者支援に関する事 例等報告書,2017.http://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/pdf/ houkokusyo.pdf  5) 内閣府(防災担当):避難所運営ガイドライン,2016.http:// www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/pdf/1604hinanjo_guideline.pdf  6) 厚生労働省:被災地での健康を守るために,2011.http:// www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/hoken-sidou/disaster.html  7) 黒田 裕子,神崎 初美:事例を通して学ぶ避難所・仮設住宅 の看護ケア,日本看護協会出版会,東京,2012.  8) 江﨑 孝徳,他:「回復期リハビリテーション病棟に入院した 脳血管障害患者の深部静脈血栓症」,脳卒中,2016; 38: 8–13.  9) 坂本 憲治:「災害時の VTE 検診の意義とは?」,治療,2016; 98: 1830–1832. 10) 熊本県健康福祉部健康づくり推進課:「入院を必要とした「エ コノミークラス症候群」患者数」,http://www.pref.kumamoto.jp/ kiji_15568.html

11) Shibata M et al.: “The utility of on-site ultrasound screening in population at high-risk for deep venous thrombosis in temporary housing after the Great East Japan Earthquake,” J Clin Ultrasound, 2017. DOI: 10.1002/jcu.22505 12) 榛沢 和彦:「東日本大震災後における深部静脈血栓症(DVT) と問題点」,医療の質・安全学会誌,2011; 6: 248–251. 13) 遠藤 杏菜,他:「東日本大震災後 3 年間の石巻市における深 部静脈血栓症の推移」,日赤医学,2015; 6: 422–424. 14) 日本臨床衛生検査技師会:日臨技 DVT 検診マニュアル Ver. 1, 2016. http://www.jamt.or.jp/disaster_support/docs/%E2%98% 85DVT%E6%A4%9C%E8%A8%BA%E3%83%9E%E3%83%8B %E3%83%A5%E3%82%A2%E3%83%AB.pdf 15) 日本超音波医学会用語・診断基準委員会:「下肢深部静脈血 栓症の標準的超音波診断法」,Jpn J Med Ultrasonics,2008; 35: 35–39. 16) 日本循環器学会学術委員会合同研究班:循環器病の診断と治 療に関するガイドライン(2008 年度合同研究班報告);肺血 栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関する ガイドライン(2009 年改訂版). 17) 中村 真潮:「静脈血栓塞栓症予防のガイドライン」,EB Nursing,2007; 7: 34–54. 18) 桑山 美知子:下肢静脈エコーマニュアル~検査手順と血栓の 描出~(手にとるようにわかる),ベクトル・コア,東京, 2005. 19) 呂 彩子,他:「肺血栓塞栓症の塞栓源検索における下肢検索 部位と静脈血栓検出率との関連」,法医学の実際と研究,2005. 20) 呂 彩子,他:「院外発症の肺動脈血栓塞栓症による突然死 51 例の病理形態学的検討」,脈管学,2003; 43: 627–632. 21) 大西 秀典,板橋 匠美:「阿蘇市・南阿蘇町 DVT 検診活動報 告」,日臨技 平成 28 年熊本地震災害支援現地活動記録集, 2016. 22) 木下 ゆい:「熊本地震での DVT 検診結果」,熊本地震シンポ ジウム 2017,スポンサードシンポジウム 3. 23) 山村 修:「震災を忘れない,語り継ぐために」,震災・災害シ ンポジウム 2016・避難所・避難生活学会合同シンポジウム 2,エコノミークラス症候群予防検診支援会. 24) 服部 希世子:「阿蘇保健所の取り組み~ADRO の活動を中心 に~」,熊本地震シンポジウム 2017,特別企画. 25) 有賀 玲子:「厚生労働省の取り組み」,熊本地震シンポジウム 2017,特別企画. 26) 長 純一:「被災地仮設住宅に暮らす高齢者の健康について」, 第 6 回認知症予防学会,2016. 本論文に関連し,開示すべき COI 状態にある企業等はありません。

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Review Article

Diagnosis algorithm of deep vein thrombosis (DVT) medical

examination needed at a large-scale disaster

Takumi ITABASHI1) Hiroshi CHIBA2) Kayoko ABE3) Shinji TANAKA4)

Sumio MASUNAGA5) Mitsuaki NAGASAWA6) Shinsaku UEDA7)

1)Japanese Association of Medical Technologists (4-10-7, Omorikita, Ota-ku, Tokyo 143-0016, Japan) 2)Department of Clinical Laboratory, Morioka Municipal Hospital

3)Inspection Department, Ishinomaki Red Cross Hospital

4)Inspection Section, Kumamoto Health Care Center

5)Department of Central Inspection, Kumamoto Central Hospital

6)Narita University of Health Sciences, International University of Health and Welfare 7)Respiratory Surgery, Ishinomaki Red Cross Hospital

Summary

The life of a disaster victim is affected by the scale of the disaster. The deep vein thrombosis (DVT) medical examination is important for venous thromboembolism (VTE) prevention from the aspect of secondary disaster prevention. Its procedure at disaster sites is different from a clinical-setting procedure, but performing DVT medical examination as a screening method by leg echocardiography, which does not burden a patient, is effective. Kumamoto earthquake gave us a check-up result of the DVT medical examination beyond 3,500 people. A risk factor for DVT is also indicated, and it is desirable that a leg echocardiography will be utilized from now on. The necessity of DVT medical examination is determined by the life environment including that in a vehicle. It is desirable to reduce the risk factor by improving the shelter environment, which leads to the reduction in the severity of VTE in a patient without performing DVT medical examination.

Key words: deep vein thrombosis (DVT), venous thromboembolism (VTE), ultrasonography, D-dimer, evacuation area

参照

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