九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
充填型大口径鋼管コンクリート柱及び架構の力学的 性状に関する研究
中村, 敏治
九州大学人間環境学研究科空間システム専攻
https://doi.org/10.11501/3154719
出版情報:Kyushu University, 1999, 博士(工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
4.大口径CIT柱の等曲げ載荷実験
第
4
章 大 口 径CFT
柱 の 等 曲 げ 載 荷 実 験4.1 既 往 の 研 究 と 実 験 の 目 的
4.2 実 験 計 画 (1 ) 試 験 体
(2) 加 力 装 置 と 加 力 方 法
4.3 実 験 結 果 及 び 考 察 (1 ) 実 験 値 の 補 正 方 法
(a) P d.モーメントの補正 (b) 吊 り 支 持 に 伴 う 補 正
(c) 滑 り 支 承 の 摩 擦 抵 抗 と 油 圧 ジ ャ ッ キ の 内 部 抵 抗 の よ る 補 正 (d) 各 種 補 正 モ ー メ ン ト と 補 正 後 の 最 大 曲 げ 耐 力
(2) 試 験 体 の 初 期 剛 性
(3) 曲げ モーメント (M) ー 無 次 元 化 曲 率 ( 手 D) 関係 (4) 平 均 軸 ひ ず み 性 状
(5) 最 大 曲 げ 耐 力 (6) 鋼 管 の ひ ず み 性 状
4.4 まとめ
< 参 考 文 献 >
第4章 大口径CFT柱の等曲げ載荷実験 4.1 既往の研究と実験の目的
4.大口径CFf柱の等曲げ載荷実験
CFTに関する実験的研究は古くから行われており、今までに数多くの実験が行われてきた。
特に、
2
1世紀の都市型住宅に関する建設省のコンペにCFT構造が選ばれて以来、現在の「新 都市ハウジング協会」の前身である「新都市型集合住宅システム開発プロジェクトJ
(建設 省)で組織的に実験が行われ1)、また、最近では「日米ハイブリッド構造に関する共同研究J
(日本建築センター)に於いても、前者の実験の範囲を上回る範囲で実験が行われた 2)叫)。 CFT部材の実験は、鋼管と充填コンクリートとの相互作用によるコンファインド効果を研究 する短柱圧縮実験と、終局曲げ耐力及び変形能力(部材角)を把握する目的で行われる短柱 曲げせん断実験が最も多い。
しかし、曲げせん断実験より得られる曲げ耐力は、材料強度を用いて計算した一般化累加 強度を上回り、また、短柱圧縮実験から得られるコンファインド効果を考慮して計算した終 局曲げ耐力をも上回る場合が多い。この要因として、鋼管の引張部分のひずみ硬化と試験体 端部のスタブ等の拘束による塑性ヒンジ領域の拡がりによると言われている。これらの影響 を考慮して最大曲げ耐力を把握する試みが行われている。例えば、塑性ヒンジ領域を試験体 の破壊状況から推定して危険断面位置を決め最大曲げ耐力を求める方法 5)、等曲げ加力を行 い危険断面位置に無関係に最大曲げ耐力を求める方法 6)、及び鋼管がひずみ硬化にはいる直 前で最大曲げ耐力を求める方法等である。
また、第 3章より、コンクリートの圧縮強度に対する寸法効果が無視できない程度存在す ることがわかった9)。従って、 CFT柱の曲げ耐力の評価に対して(大口径CFTの場合は特に)、
この効果を考慮する必要がある。しかし、第3章で確認した寸法効果は圧縮強度に対するも のであり、曲げを受ける圧縮側コンクリートに対して、同程度の効果があるのかどうかは定 かではない。
一方、大口径CFT柱に用いる鋼管の板厚は、運搬、施工性、揚重等を考えると、極厚(40mm を超える板厚)を対象とするのは得策ではない。従って、使用する鋼管の径厚比は大きな値 とり、第2章の試設計によれば径厚比75‑‑""150程度になる。
i
日米ハイブリッド構造に関す る共同研究J
に於いて径厚比 150までの実験7)も行われているが、径厚比 150のCFTに対す る実験はほとんどなく、既往の実験的研究では、径厚比70以下のものがほとんどである。ま た、 「日米ハイブリッド構造に関する共同研究J
に於ける径厚比 150の試験体の断面径は 450mmであり、本研究で対象とする断面径に比べ小さい。4.大口径CFf柱の等曲げ載荷実験
これらの事から本章では、大径厚比を有する比較的大断面の円形CFT柱を対象に、一定軸 力下での曲げ実験を行い、大口径CFT柱の曲げ耐力を確認する。
4.2 実験計画
大径厚比を有する大口径CFT柱の曲げ而
t
力を確認する目的で、断面径と鋼管の径厚比をパ ラメータに、軸力比 0.3の一定軸力下での曲げ実験を行った。載荷する曲げ外力は、 試験体 端部の拘束による曲げ耐力上昇を除く目的から、 等曲げ載荷とした。(1 )試験体
試験体は、両端に角形CFT造の加力スタブを有する円形CFTである。円形 CFTの端部は 加力スタブ内に埋込む形式とした。試験部分(円形鋼管コンクリート部分)の長さは、断面 径の
3
倍である。試験体形状及び溶接部詳細を図4.1a)'""c)に示す。試験体のパラメータは、鋼管の断面径 D (300, 600, 900mm) と鋼管の径厚比 D/t(75, 100, 150)の 2種類であ る。試験体数は、鋼管の断面径300,900mmに対し鋼管の径厚比75,100, 150の3種類、
鋼管の断面径600mmに対し鋼管の径厚比 100の1種類とし、合計7体である。使用した鋼材 は、板厚2.3mmについてはSS400材、それ以外の板厚のものについてはSM490材である。コ ンクリートの呼び強度は、全試験体とも 60MPaである。試験体に載荷する一定軸力は軸耐力 の30%である。試験体の一覧を表4.1に示す。図表等に示す試験体名は、上記パラメータを 用いて次のように表わす。
C 300 * 2.3
L
→ 」 鋼 管 の 板 厚 (mm) 鋼管径 (mm)表4.1 試験体一覧
試験体断面 材料強度
試験体名 鋼管径 鋼管板厚 径厚比 鋼管 D (mm) t (mm) D/t
C300*2.3 2.3 130 SS400 C300*3.2 300 3.2 94
C300*4.5 4.5 67
C600*6 600 6.0 100 SM490 60MPa C900牢6 6.0 150
C900*9 900 9.0 100 C900*12 12.0 75 No :軸圧縮耐力, No=.σy • ,A +c σB・cA
s σY'
. A :
鋼管の降伏点,鋼管の断面積c σB, cA コンクリートのシリンダー強度,コンクリートの断面積
4‑2
軸力比
0.3N
。
4.大口径CFf柱の等曲げ載荷実験
B‑B断面
スタプ
口
・6
∞ 句 ∞ 句
(SS4∞ )
Loo13~13oo1
150 (最上面のみ)
「↑
A‑A
断面三重
附 F
i l
川
ω
叫 ー
建雪
A L ̲
~ 150
B 1350~od 35Q
l 9
∞
l イ部詳細図は坐乏」
エ部詳細図 ア部詳細図
同
11∞
在 j マ
45遡
ウ部詳細図
自
c‑c
断面9
∞
1
∞
1]2∞ 3 ∞
2∞ ] I ∞
11 1 1 11
l
/シーム: 札 ∞
D‑D
断面 1501│ω11]501 9
∞
lf
断面径300mm試験体形状及び溶接詳細 図4.1a)
4.大口径CFT柱の等曲げ載荷実験
ガス管
o
48.6*4.3ス タ プ ォ
口‑900*12(SS4∞)
、
η q
1~13~院。lJ50
1 1
て.鋼管継目 ス タ プ
口‑9
∞
*12(SS4∞ )
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寺
霊的
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︒骨
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︒寸 芸的 )
出 」
一一一一‑‑., D
ガス管
o
48.6*4.3 r一一一一一D
部 分 溶 け (全 l
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9
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二コロ
B‑B
断面円
j̲600小 I I
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庁 ωo
調
A‑A
断面13502
∞1.
3∞
2∞
35Q B寸コマリート打設孔 (150x1∞)但[非窓:主品
口 ‑1' 口 。 寸 ' ヨ │A
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側一 一
∞一 側一
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コ
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今L一口υ一
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エ部詳細図 ア部詳細図
同 盟
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l f : : : め : : : j l
c‑c
断面817.2 6
∞
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2,4
∞
D‑D
断面~
断面径600mm試験体形状及び溶接詳細 図4.1b)
4‑4
4.大口径CFT柱の等曲げ載荷実験
o V可
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口‑1200*19 (SS4∞)
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48.6*4.3 1509
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部分溶け、 (全
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A‑A断面
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リート打設孔 (150x1∞) ~~~ ~々見\日二.~
I孔│
‑‑'げ) I 口一 I~ 清司
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B
笠立点虫 L立E 制 650 ア部詳細図 イ部詳細図 2,7
∞
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0ウ部詳細図 81 1
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825.7
1
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c ‑ c
断面'b1Q旦 848.6
u
国 型∞
D ‑ D
断面 lお 825.7巴
オ部詳細図 断面径900mm試験体形状及び溶接詳細 図4.1c)
4.大口径CFT柱の等曲げ載荷実験
円形鋼管の製作は鋼板の冷問プレス加工とし、溶接は lシームである。プレス加工で製作 できる鋼管長さは 3mが上限であるため、試験体の全長が 3mを超える断面径 600,900mm
の試験体については、鋼管同士の溶接接合部が加力スタブ内に位置するように製作した。加 力スタブの充填コンクリートには、試験体の軽量化を図る目的で軽量コンクリートを用いた。
使用した鋼材の機械的性質を表4.2に、コンクリートの材料試験結果を表4.3に示す。鋼材 の引張試験片は、冷問プレス加工後の鋼管から切り出した5号試験片を用いた。コンクリー トシリンダ‑ (~ 100x200)の養生は、現場封織養生である。コンクリートの材料試験は、
各試験体の加力日に合わせて行った。
表4.2 鋼材の機械的性質
板 厚 ヤング係数 降伏点 引張強さ 伸 び
試 験 体 sE sσy sσu 降伏比 (%)
(mm) (MN/mm2) (N/mm2) (N/mm2)
C300*2.3 2.40 204 234 339 0.690 41.0 C300*3.2 3.25 203 313 447 0.700 35.2 C300*4.5 4.45 204 345 439 0.786 33.2 C600*6 5.75 208 408 566 0.721 31.7 C900*6 5.65 205 382 548 0.697 30.3 C900*9 8.80 207 347 536 0.647 35.0 C900*12 11.80 208 379 562 0.647 35.2
表4.3 コンクリートの材料試験結果
試 験 体 圧縮強度 ヤング径数 ポアソン比 材 令
c σ B (MPa) CE (GPa) (日)
C300*2.3 63.8 46
C300*3.2 64.6 33.9 0.21 54 C300*4.5 64.6 33.9 0.21 54 C600*6 61.4 34.3 0.20 66
C900*6 60.3 73
C900*9 63.6 80
C900*12 67.1 36.0 0.22 84
4‑6
4.大口径CIT柱の等曲げ載荷実験
(2)加力及び計測方法
図4.2に加力方法を示す。加力は、軸力比0.3の一定軸力と等曲げモーメントである。曲げ せん断加力を行わず等曲げ加力としたのは、試験体端部の拘束による耐力上昇を生じさせな い目的からである。試験体の取付け方法は、 一方のスタブを反力壁にPC鋼棒で固定し、他方 のスタブ(加力スタブ)を自由端とした片持ち柱形式である。試験体への加力は、加力スタ ブに取付けた加力ビームを介し、主として軸力を加える中央の4基の油圧ジャ ッキと、主と して曲げモーメントを加える左右2基ずつ4基の油圧ジャッキの計8基の油圧ジャッキを用 いて行った。まず、全8基の油圧ジャッキにより所定の軸力を作用させ、その後、左右の油 圧ジャッキの一方を加力、他方を減力する事により、一定軸力下での正負繰返し等曲げ加力 を行った。減力側の油圧ジャッキに対する導入軸力は、常に圧縮力が作用するように調整し ている。加カビーム及び油圧ジャッキの重量は、試験体に負担させないようにC300*2.3試験 体ではテフロンによる滑り支承により支持した。しかし、滑り支承の摩擦抵抗が無視できな かったために、 C300本2.3試験体以外の試験体では加カピーム及びジャッキの重量を門型フレ ームを用いて吊った。図 4.3a), b)に試験体の設置状況を示す。なお、 a)はC300*2.3試験体 に対する設置状況(加力装置等を滑り支承にて支持)、 b)はC300*2.3試験体以外の試験体に 対する設置状況(加力装置等を PC鋼棒にて吊り支持:代表として断面径900mmの試験体) である。
仁
4
『
図4.2 加力方法
c.し一一ー
c.L.
21
∞
加カビーム 反力壁
平面図
反力壁
立面図
4.大口径CFT柱の等曲げ載荷実験
油圧ジャッキ 油圧ジャッキ
油圧ジャッキ 油圧ジャッキ
すべり支承
反力床
図4.3a) 試験体の設置状況 (C300*2.3:滑り支承)
4‑8
4.大口径CFT柱の等曲げ載荷実験
51
∞
r r r
史)甲
8
油圧ジャッキ︒ ︒
∞
試験体油圧ジャッキ
CC唱
試験体吊り治具用油圧ジャッキ
反力壁 加カビーム
平面図
試験体吊り治具用油圧ジャッキ
試験体吊り治具 反力壁
C.L.
5955 反力床
立面図
∞
4.大口径CIT柱の等曲げ載荷実験
図4.4に加力サイクルを示す。予測曲げ耐力(鉄骨鉄筋コンクリート構造計算規準・同解
説に示される終局曲げ耐力)の 114の時点で l回、予測曲げ耐力の 1/2 , 3 /4 , 1 /1の各時点で 2回正負繰り返し加力を行い、予測曲げ耐力到達以後は予測曲げ耐力時平均曲率の2倍の時点
で2回の正負繰り返し加力を行った。その後は、油圧ジャッキの最大ストローク に達するま で一方向に加力を行った。なお、予測曲げ耐力に達する前に最大曲げ耐力に達した場合は、
最大曲げ耐力時平均曲率の2倍の平均曲率時点を目安として同様の加力を行った。
荷重の計測はジャッキの油圧から換算して求めた。変形の計測は、頂部(加力側)の水平 変位、試験部圧縮側及び引張側の加力スタブ問の縮み量及び伸び量、試験部を 7区間に分け た各区間での試験部圧縮側及び引張側の縮み量及び伸び量である。鋼管の周方向ひずみの計 測は、試験体中央部の鋼管表面に円周方向の
6
等分位置に貼付した2
軸ひずみゲージにより 行い、鋼管の軸方向ひずみの計測は、試験体中央部の上記2軸ひずみゲージと、スタブから D/2の位置に円周方向の6等分位置に貼付した 1軸ひずみゲージにより行った。図4.5に変形 測定位置を、図4.6にひずみ測定位置を示す。曲率曲げ←メント
2~u
~u Mu O.75Mu O.50Mu
‑O.75Mu
・~u ‑Mu
‑2
い
8 9 6 7
Mu:
SRC規準による終局曲げ耐力 (Fc=63MPa)~u:
Mu
時の曲率(実験値) 図4.4 加力サイクル4 ‑10
4.大口径CFT柱の等曲げ載荷実験
基礎スタブ 加 力 ス タ ブ
豆三[
。 。 豆 百 ユ
Il l1 4 A l
‑ 十 m
一
g一 一 ∞ 一
ω
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&
‑ 1
L t l r 日 位 ア
i単一
A‑A断面
図4.5 変 位 測 定 位 置
基礎スタプ 加力スタプ
A‑A断面
ロ:一軸塑性ゲージ(材軸方向)
回:二軸塑性ゲージ(材軸方向,周方向)
図4.6 鋼 管 の ひ ず み 測 定 位 置
正加力方向
正加力方向
4.大口径CIT柱の等曲げ載荷実験
4.3 実験結果友び考察
図4.7‑‑図4.13のa)に実験より得られた曲げモーメント Mと無次元化曲率併 Dの関係を、
同図の b)に平均軸ひずみε vと無次元化曲率併 Dの関係を示す。曲げモーメントは後述するP Aモーメントの補正および吊り支持に伴う補正を行った値であり、無次元化曲率は試験部両 側で計測した加力スタブ聞の伸縮量から求めた平均曲率併に断面径Dをかけて無次元化した ものである。また、平均軸ひずみ ε vは、試験部両側で計測した加力スタブ聞の伸縮量から求 めた軸方向変形を試験部の長さで除した値である。図中の太実線は試験体中央部、細実線は 頂部(試験部加力側)を示す。また、最大耐力点をマで、鋼管の局部座屈発生点(目視)を
↓で示す。 Pムモーメントの計算に用いる中央部の変形は、試験部を 7区間に分けて計測し た部分曲率から求め、頂部の変形は頂部水平変位計測値から求めた。なお、 C300*2.3試験体 については、部分曲率の計測を行っていない為、試験部頂部のみである。
(1 )実験値の補正方法
大径厚比を有する大口径CFT柱の断面曲げ耐力を求めるため、加力値から求まった曲げ耐 力に対し、作用軸力による Pdモーメントの補正、加力装置の吊り支持に伴う補正、および 滑り支承の摩擦と油圧ジャッキの内部抵抗による補正を行った。 Pムモーメントと吊り支持 に伴う補正は、試験体の繰り返し挙動全体について行い、滑り支承の摩擦と油圧ジャッキの 内部抵抗による補正は、最大曲げ耐力についてのみ行った。
(a) P 11モーメン卜の補正
試験体頂部に曲げモーメントを作用させると、試験体は曲げ変形により回転と水平変位を 生じる。この水平変位と試験体頂部に加力している軸力によって、試験体全長にわたり 2次 的に生じる曲げモーメント、いわゆる Pムモーメントが作用する。従って、試験体に作用し ている曲げモーメントを求めるには、外力としての曲げモーメントに Pdモーメントを加え る必要がある。試験体各部の Pムモーメントの大きさは、試験体の変形状態により変化する。
本試験体でのPdモーメントの発生メカニズムを図4.14に示す。 Pムモーメントの最大位置 を正確に把握することは困難であるがほぼ試験体中央付近(やや頂部側)であると恩われる ことから、試験体中央部と試験体頂部について、以下に示すように Pムモーメントの補正を 行った。
4 ‑12
4.大口径CFT柱の等曲げ載荷実験
0.01 0.02 0.03 0.04
‑‑‑ー・,‑‑‑‑‑‑‑‑ーー 無次元化的率併D
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‑0.01
b) 平均軸ひずみ‑無次元化曲率関係
図4.8 C300*3.2試験体の実験結果 b) 平均軸ひずみ‑無次元化曲率関係
図4.7 C300*2.3試験体の実験結果
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叫01
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無次元化曲率rpD
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O 鋼管降伏
‑0;01
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Lー‑‑‑400
曲げモーメントー無次元化曲率関係 曲げモーメントー無次元化曲率関係
無次元化幽率併D 0.03 0.04 0.02
0.01
。
ー0.01
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ーー0.30 無次元化幽率rpD
0.03 0.04 0.02
0.01
。
心.01
←・ー ‑0‑.05
・・0.10 0"内= ‑
M
い必 tコー‑0.25 事
ー‑0.30
b) 平均軸ひずみ一無次元化曲率関係
図4.10 C600*6試験体の実験結果
b) 平均軸ひずみ一無次元化曲率関係
図4.9 C300*4.5試験体の実験結果
4.大口径C円 柱 の 等 曲 げ 載 荷 実 験
径厚比:102.3 基準化径厚比:0.172 3000‑
G
G G
4
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径厚比:159.3 基準化径厚比:0.296
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ー‑8000‑ G G G
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, 一一一中央部 t 一一一一頂部 1
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~ ‑ーーー‑'‑る000‑
曲げモーメント‑無 次 元 化 曲 率 関 係 a)
曲げモーメ ン ト ‑無次元化曲率関係
無次元化幽率;0
0.02 0.03 0.04 無次元化曲家併D
0.02 0.03 0.04 0.01
│ 一軸ひずみ │
0 鋼管降伏l
径厚比:102.3 基準化径厚比:0.172
。
心.01
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鋼管降伏1 : ‑
チ 込
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。
‑0.01
‑0.02
b) 平 均軸 ひずみ一無次元化曲率関係
図4.12 C900*9試験体の実験結 果
b) 平 均 軸 ひ ず み ‑ 無 次 元 化 曲 率 関 係
図4.11 C900*6試験体の実験結果
G G G G
n u n u n u n u
ω
印 川 町 却
(E ZU 32
‑
ム 入
lス
wh
E笹
曲げモーメント‑無次元化曲率関係 a)
無次元化幽率併D 0.02 0.03 0.04
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、,、
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0.01
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鋼管降伏i
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F‑氏U4JE
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‑
比比
‑厚厚‑径径
‑V﹄‑
準
F‑基‑
4‑14 b) 平均 軸 ひ ず みー無次元化曲率関係
図4.13 C900* 12試験体の実験結果
4.大口径CIT柱の等曲げ載荷実験
(頂部)
MpムT=N'0町
S町 =hR2(e‑併)
。 =
(0 Vl‑0 V2) / (D+200)い
=0 H/ (hR1+h+hR2COS e)o
H= 0 Hl+hR2Sine
ここに、
N
:作用軸力S町 :試験部頂部の水平変位 (mm) (図4.14参照)
(4.1)
hR11 hR2 :試験部脚部及び頂部剛域長さ (mm) (図4.14参照)
o
VII 0 V2 :試験部引張側伸び量及び圧縮側縮み量 (mm)o
HI .試験部頂部の水平変位 (mm) H :試験部長さ (mm)D :断面径 (mm)
(中央)
MpdC=N' 0 HC
δHC= (hR1+H/2)
い‑
2: 0 jo
j=Lj・cos{(π ‑e
j)/2}。
j= (δVlj‑0 V2) / (D+80) Lj=hj+ (0 Vlj+ 0 V2) /2ここに、
o
HC :試験部中央部の水平変位 (mm) (図4.14参照)(4.2)
hj :部分曲率を計測したi番目の区間長さ (mm) (図4.14参照)
(b)吊り支持に伴う補正
C300*2.3試験体を除く全試験体では、油圧ジャッキ及び加カピームの重量を門型フレーム からケープルを用いて吊った。吊り長さが充分に長い場合、試験体の変形に伴う吊りケープ ルの傾斜は無視できるが、充分な吊り長さを確保できない場合には、吊りケープルの傾斜に より吊り荷重の水平成分が生じる。図4.15に吊り支持に伴う力の作用方向及びメカニズムを 示す。この力は試験体を元の位置に戻そうとする力であり、試験体の変位方向とは逆向きに
~、
N 作用軸力
hRI, hR2:試験部脚部及ぴ頂部剛域長さ
OVI, OV2:試験部引張伸び量及び圧縮側縮み量
δHI 試験部頂部の水平変位
H 試験部長さ
D 断面径
hi 部分曲率を計測したi番目の区間長さ
4.大口径CIT柱の等曲げ載荷実験
試験部頂部
。
試験部中央部
全体の変形状況
竹
8
:
t t 円 コ
s部分曲率を計測したi番目区間の曲げ変形 図 4.14 Pム モ ー メ ン ト の メ カ ニ ズ ム
~
O IIA, O VA :吊り点Aの水平,軸方向変位
δIIB. δVs :吊り点Bの水平,軸方向変位
O HI, O VI 試験部頂部の水平,軸方向変位 LA. Ls 試験体中央から吊り点までの長さ
hR 3 試 験 部 頂 部 か ら 吊 り 点 ま で の 距 離
w
吊り荷重 O 吊り点の変位 Ls 吊り長さ「 一 ?
SVlLO
LA I LB
全体の変形状況
t
u
l 】 守
TJ I I
p'
ヘ」
ー日
吊り支承による吊り荷重の水平成分
図4.15 吊 り 支 持 に 伴 う 力 の 作 用 方 向 と メ カ ニズム
4 ‑16
4.大口径CFf柱の等曲げ載荷実験
作用する。この力による補正モーメントは、以下に示す式で求めることができる。
(吊り点
A
,B
(図4 . 1 5
参照)の変位量)O HA= O HI+hR3sin 8 + (l‑cos 8) LA OYA=OYI‑ (1‑cos8) hR3+LAsin8 O HB= O HI+hR3sin 8 + (l‑cos 8) LB O YB= O YI‑ (l‑cos 8) hR3+LBsin 8
ここに、 OHA' O YA :吊り点Aの水平,軸方向変位 O HB, O YB :吊り点Bの水平,軸方向変位
O HiJ O YI :試験部頂部の水平,軸方向変位 LA' LB :試験体中央から吊り点までの長さ
hR3 .試験部頂部から吊り点までの距離(剛域と仮定)
(吊り点が変位することによる補正力)
PA=WA・OA/Ls PB=WB・OB/Ls
O A = (O HA 2 + O Y A 2) 1/2
O B = (O HB 2 + O YB 2) 1/2
ここに、 WA,WB :吊り点A,Bの吊り荷重
O A' O B :吊り点A,Bの変位量 Ls .吊り長さ
吊り点での補正力成分
PHA =P ACOS
c
A PYA =P Asinc
A PHB = PBCOSc
B PYB = PBsinc
B tanc
A = O YA/ O HA tanc
B = ‑O YB/ O HB(4.3)
(4.4)
( 4 . 5 )
4.大口径CIT柱の等曲げ載荷実験
ここに、 PHA,PYA :吊り点Aでの補正力の水平,軸方向成分 PHB, PYB :吊り点Bでの補正力の水平,軸方向成分
吊り支持に伴う補正曲げモーメント
MST=‑PHA (oYA+hR3‑OYl) ‑PYA (LA+OHI‑OHA)
‑PHB (O YB+hR3‑ O Yl) ‑PYB (LB‑ O Hl+ O HB)
Msc= ‑PHA (O YA + hR3‑
H/2) ‑
PYA (LA + O HC一δHA)‑P
HB (O YB+hR3‑H/2) ‑P
YB (LB‑ O HC+ O HB)ここに、 MST' Msc:試験部頂部,中央部の吊り支持に伴う補正モーメント
O HC .試験部中央部の水平変位(図4.14及び式4.2参照)
(c) 滑り支承の摩擦抵抗と油圧ジャッキの内部抵抗による補正
(4.6)
C300*2.3試験体は、油圧ジャッキ及び加カビームの重量を滑り支承で支持した。しかし、
加力初期の低レベルの荷重の時に試験体の変形が進行せず、滑り支承の摩擦抵抗が無視でき ないことがわかった。また、抵抗力はこれよりも小さいが同様の現象が滑り支承を用いてい ない C300勺.2,C300*4.5試験体にも生じた。この原因として、油圧ジャッキのピストンと シリンダーとの摩擦抵抗が考えられる。本実験に使用した油圧ジャッキは、費用・段取り替 えの手間等を最小限にするために、全試験体に対して同ーのものを使用した。そのため、油 圧ジャッキの能力は C900*12試験体で決定され、相対的に曲げ耐力の小さい断面径 300mm の試験体に対して、上記の抵抗が無視できなかったものと考えられる。
滑り支承の摩擦抵抗及び油圧ジャッキの内部抵抗を全加力サイクル(特に除荷時)につい て把握することは困難である事から、これらの抵抗による補正は最大曲げ耐力に対してのみ 行うこととする。これらの抵抗値は初期加力時のほとんど変形が生じない領域から変形が生 じ始める時のモーメント値として求めた。図4.16に初期加力時の曲げモーメントと無次元化 曲率との関係及び求めた抵抗モーメントを示す。
4 ‑18
4.大口径CFT柱の等曲げ載荷実験
100 (E
Zぷ) 80
マ 70ldぜm
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 苧 ー ー ー ー ー
ー ー ー ー ー ー や ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ・ ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
0.0004
マ
43kNm。
•
'
0.0003 0.0002
平均曲率併D C300勺.3試験体 0.0001
a) 60
40 20
。
80 100
60 40 20
三ム入
Yヘl山
rb
笹
( E Z U 4 ) 三ム入
Yヘl山
rb
司
0.0007 0.0006
0.0005 平均曲率併D C300勺.2試験体 0.0004
1・1 . hu
。
0.0003
ー ー ー ーーーーー ー ・ ー ー ・ ー ー ー ーーー ー ー ‑ ‑ ‑ ‑ ー ー ー ー ーー ー ー ー ー 一
100 ( E
z t )
80
マ
34kNm 6040 20
2ム入Yヘ
│山
rb
哩
0.0004 0.0003
0.0002 平均曲率併D 0.0001
。 。
C300吋.5試験体
初期加力時の復元カ特性と補正値 図4.16
4.大口径CFT柱の等曲げ載荷実験
(d) 各種補正モーメントと補正後の最大曲げ耐力
上記(a)~(c)までの補正モーメントとこれらを補正した後の最大曲げ耐力を一 覧 に し て 表 4.4に示す。表4.4a)は試験部頂部で、の値、表4.4b)は試験部中央部での値を示す。 表 4.4b)
中、 C300*2.3試験体に於いて、 Pム補正が「不能」となっているのは、この試験体について は部分曲率の計測を行っていないためである。以後、補正後の最大曲げ耐力を単に実験から 得られた最大曲げモーメント (expMJ と呼ぶ。
表 4.4a) 試験部頂部の最大曲げモーメント
補正前 Pム補正 吊り補正 摩擦等補正 補正後 試験体 Mo Mp企 Ms 民1F Mm以
(kNm) (kNm) (kNm) (kNm) (kNm)
C300*2.3 217 25 ‑70 172
C300*3.2 265 26 ‑14 ‑43 234 C300*4.5 292 69 ‑32 ‑34 295 C600*6 1608 165 ‑21 1751
C900*6 3954 262 ‑17 4199
C900*9 4561 312 ‑23 4850
C900*12 5169 1054 ‑51 6172
表4.4b) 試験部中央部の最大曲げモーメント
補正前 p~ 補正 吊り補正 摩擦等補正 補正後
試験体 Mo Mpt:. Ms MF 恥1max (kNm) (kNm) (kNm) (kNm) (kNm)
C300*2.3 217 不能 不能
C300*3.2 265 30 ー15 ‑43 236 C300*4.5 292 73 ‑35 ‑34 296 C600*6 1608 205 ‑26 1787
C900*6 3954 407 ‑23 4338
C900*9 4570 471 ‑29 5012
C900*12 5392 980 ‑51 6320
(2) 試験体の初期剛性
図4.16に実験結果の包絡曲線と実験による初期曲げ剛性(以下、実験曲げ岡JI性と称する)及 び計算曲げ剛性の関係を示す。断面径300mmの試験体に対する実験結果の包絡曲線は、油圧 ジャッキの内部抵抗による値を差しヲ│いている。実験曲げ剛性は最大曲げ耐力の 114の 曲 げ 耐力点に於ける割線岡JI性、計算曲げ剛性は鋼管と充填コンクリートの累加剛性である。なお、
計算に用いるコンクリートのヤング係数は材料試験より得られた値、鋼管のヤンク'係数は一 般的に用いられる 206GPa (2100tf/cm2)の値を用いた。
4‑20
4.大口径CFf柱の等曲げ載荷実験
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1 : 実験値 r,' 一 一 一 一 実 験 剛 性
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無次元化曲率
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0.0025 0.005 0.0075
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無次元化曲率
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実験曲げ剛性と計算曲げ剛性の比較 d) C300叫.5試験体
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10
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0.0025 0.005 0.0075 0.01 無次元化曲率 併Dg) C900川2試験体
図4.16 実験曲げ剛性と計算曲げ剛性の比較(つづき)
4‑22