• 検索結果がありません。

Ⅰ 更新講習の概形

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Ⅰ 更新講習の概形"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Ⅰ 更新講習の概形

関口 昌秀

教貞免許状更新講習 (以下 「更新講習」)の仕組みは、以下の ようなもので ある

1 。

以下で述べ るのは、「ふつ うの教員免許」の対象者 についてであ り、細か く言 うと、教諭の免許状以外 に、養護教諭の免許状 と栄養教諭の免許状 も更 新講習の対象 に含 まれるが、それ らについてここでは述べ ない。「更新講習 の概形」にとっては不必要だか らである。

1 10 年ごとの免 許更新

2007年6月に改正 された教育職員免許法 によって、2009年4月1日か ら免許 取得後10年 ごとに免許 を更新 してい くこととなった。 しか も、 この枠組みが 改正法以前の免許取得者 にも適用 されることになった。現実の問題 としては、

既 に免許を取得 している人々の免許更新が大 きな問題 となった。

免許更新の現実の運用は、 まず更新講習の受講対象者 を限定することに し た。現職教員 (非常勤 を含む)とその予備軍 を更新講習の対象者 とし、それ以 外の免許保持者は更新講習の受講対象 としないこととした。それほどの規模 の更新講習の講座開設が不可能であったか らである

免許既得者の更新 に関 しては、最初の10年間について年齢基準でやってい くこととした。2009年3月31日までの旧法での免許取得者は、2009年4月か ら の10年間、35才、45才、55才 を対象 とす ることに した。

更新講習の受講期間は2年間である。た とえば、35才の対象者の場合、35 才の誕生 日を迎える年度 までの2年間が受講期 間となる。正確に言 うと、更 新修了確認の手続期間を2ケ月取っているので、その分ずれる。32才の年の 2月か ら35才の年の1月までの2年間が受講期間で、2月、3月は修了確認 の事務手続期間 となる。 これが当初の予定であった。 ここに微修正が加 わっ た。

2011年1月が最初の修了確認だが、文科省の抽 出調査 によれば、2010年11 3

(2)

ProjectPaperNo.22

月段階で未受講者が5,000人ほ ど出ると予測 されている2。そのため、修了確 認の2ケ月間の延長願いを認めることに した。 1月末 までに延長願いを出せ ば、 2月か ら3月 までの間に更新講習を受講すれば、修了確認手続は年度が あ らたまった4月か らの2ケ月で もよいとした。以後、 この方式で行われる こととなった。

未受講者が どれほ どの数に昇 るかはわか らない。現在(2011年1月)の とこ ろ、それほど問題 とされてないようであるが、制度運営上は大問題 となる可 能性がある。

2 大 学の行う更新講習

更新講習 を開設 し実施する機関は、主に大学 とい うことになった。実施す るといって も、実施可能な機関とい う意味であ り、大学 に実施の義務がある わけではない。大学における教員養成の課程 (教職課程)と同様に、実施 した い大学が申請 して認可 を受けるとい うシステムである。都道府県の教育委員 会 も実施で きることになったが、 どの機関にも更新講習 を実施する義務はな い。そ うい う形になっている。 したがって、このシステムは、受講対象者 と 更新講習の定員 との間で需要供給問題が発生する可能性 をかかえている。

当初、文科省は、更新講習の開設大学 としては、教員養成系国立大学を想 定 していた ようである。少な くとも、講習の中核 となる必修12時間部分の講 習については、そ う考えていた と思われる。法律制定後、全 国各地で行われ た説明会でのニュアンスか らそ う考えられるのである。

途中で、私立大学 を含めて、現在の教員養成 システムに近い規模 にしない と、受講対象者の数を賄 うだけの講習が開講で きないことがわかったようで ある。法制定時に決 まっていたことは、教員免許の更新制 と、それが既得免 許者にも及ぶ とい うこと‑ これ も厳密な法律論か ら言えば、法適用の不遡及 の原則に違反することであ り、適法か否か疑わ しいことであるが、社会的に は大 きな議論 とはならなかったが‑ であった。

免許既得者の数は、400万人規模 と言われ、そ うす ると年 間40万人が受講 対象者 となって しまう。 これに対 して、現役の教員の数は100万人程度 と見 積 られる。 この数が推定 されたの も、法制定複数 ヶ月経 っていたように思わ

(3)

更新講習の概形

れる。

免許の管理は都道府県の教育委員会であ り、原則 として出身大学の所属地 の委員会である。 これまでは、免許取得者の正確 な人数 とい うものは把握 さ れていなかったと思われる。た とえば、中学校 と高等学校の数学免許は学校 種が異 なるので別免許 となる。 これ まで管理 していたのはこの授与 した免許 であって、免許を保持する個人 ごとの管理は存在 していなかった。

したが って、「名寄せ」 を し、個人ごとに免許保持者数 を確認 しなければ ならなかった。 これが行われたのは、試行講習が行われた

2 0 0 8

年度のことで あった。 これは紙媒体で一つひとつ しなければならない手作業だった とのこ とである。 このことか らも、更新制の制定がいかに準備のない ものだったか がわかる。それはともか く

、2 0 0 7

年の秋口ころ、教員養成系国立大学だけで は、大都市圏での更新講習が無理な状況 となることを、文科省は把握 しだ し たように思われる。

確かに、地方では、教員養成系国立大学だけで実施可能な状況にあったと ころが多い。 しか し、大都市部での更新講習の受講対象者は、現役教員中心 に対象者 を限定 して も、教員養成系国立大学だけでは間に合わなかった。た とえば、神奈川県の場合、受講対象者 は毎年

4 . 0 0 0

名程度存在 し、それ を横 浜国立大学だけで受け入れることは無理なことである

このような状況か ら、私立大学で も必修領域部分の講習が実施で きるとこ ろでは積極的に開講するよう、県の教育委員会 も大学側 に働 きかけるように なった。 この ように状況が動いたのは

、2 0 0 8

年度、試行講習の年 に入 ってか らである。

講習の実施 には費用が発生す る。大学側だけではない。県の教育委員会に も費用は発生する。更新講習の修了確認 とい う新 しい業務 に伴 う費用である。

その予算 に対する国費か らの補助があったか否かわか らないが、 この ような 形の新規事業 に対 して、 どの機関 も当初消極的だったのは理解で きることで あろう。

3 3 0 時間の講習

教員免許の更新 に必要な講習は、全部で30時間(以上)とされている。 この

(4)

PrqiectPaperNo.22

30時間は、12時間の必修領域の講習 と18時間の選択領域の講習に区分 されて いる。必修領域の内容は 「教育の最新事情 に関する事項」 とされ、これはさ らに細か く区分 された項 目か らなっている。選択領域 は 「教科指導、生徒指 導、その他の教育の充実に関する事項」 とされ、かな り自由度の高い内容 と なっている。

必修領域の内容は、 まず次の ような4つの項 目に区分 される。 (1)教職に ついての省察、 (2)子 どもの変化についての理解、 (3)教育政策の動向につ いての理解

、( 4)

学校の内外 における連携協力についての理解。

この4項 目が、それぞれ2つの細 目に区分 される。

(1)は、 (ア)学校 を巡る近年の状況変化、 (イ)教員 としての子 ども観、教 育観等 についての省察。 (2)は、 (ウ)子 どもの発達 に関する脳科学、心理学 等 における最新の知見 (特別支援教育に関す るものを含む。)、 (エ)子 どもの 生活の変化 を踏 まえた課題。 (3)は、(オ)学習指導要領の改訂の動向等、(カ) 法令改正及び国の審議会の状況等。 (4)は、 (キ)様 々な問題 に対する組織的 対応の必要性、 (ク)学校 における危機管理上の課題。

そ してさらに、細 目に 「含めるべ き内容 ・留意事項」が次のように規定 さ れている

(ア)に含めるべ き内容 として、a)客観的・具体的材料 (各種報道 ・世論調査 ・ 統計等)の適切 な利用。 (イ)に含めるべ き内容 として、b)子 ども観、教育愛 等についての省察、C)教育的愛情、倫理観、遵法精神、その他教員に対する 社会的要請の強い事柄。 (ウ)に含めるべ き内容 として、d)子 どもの発達 に 関する、脳科学、心理学等の最新知見に基づ く内容、e)特別支援教育に関す る新 たな課題

( LD、ADHD

等)0(エ)に含めるべ き内容 として、f)居場所づ くりを意識 した集団形成、g)多様化 に応 じた学級づ くりと学級担任の役割、

h)生活習慣の変化 を踏 まえた生徒指導、i)社会的 ・経済的環境の変化 に応 じ たキャリア教育、j)その他の課題、k)カウンセ リングマイン ドの必要性。 (オ) に含めるべ き内容 として、1)総則の趣 旨の理解、m)意欲 を喚起する学習指導、

n)子 どもの実態 を踏 まえた道徳 ・特別活動の指導、o)その他近年の状況 を 踏 まえた内容。 (カ)に含めるべ き内容 として、p)法令改正、国の審議会の 状況等。 (キ)に含めるべ き内容 として、q)学校組織 の一員 としてのマネジ

6

(5)

更新講習の収形

メ ン ト ・マ イ ン ドの形成、r)保護者 ・地域社会 との連携、S)その他近年の状 況 を踏 まえた内容、t)対人関係、 日常 的 コ ミュニケー シ ョンの重要性。 (ク) に含 めるべ き内容 と して、u)校 内外 の安全確保 に関す る内容、V)情報 セキュ

リテ ィな ど近年の状況 を踏 まえた内容。

正確 にいえば、f)か らj)、m)か らo)、そ してq)か らS)は、 これ らの どれか の内容 を含 めれば よ く、すべて を含 め る必要 はない。 しか し、それ に して も 随分細 か く講習の内容が規定 されていることがわか るだろ う。必修講習の内 容 はこの ように細部 にわたって規定 されている。

さて、講習の時 間だが、講習 は1日6時間行 うこ とを標準 的 な形 とし、必 修講習 は先 の細 か な内容 について12時 間2日分1まとめ に1講座 とす る。 こ れ に対 し、選択講習の方 は、 6時 間で も、12時間で も、18時 間で も1講座 と す ることがで き、その講座 ごとに修了確認す る。修 了確認 は 「厳格 な」修了 確認試験 に基づ くこととなっている。試験 はいわゆるペーパーテス トをす る 必要 はない。講習の内容 に応 じて、実技試験 で もよい。 ただ し、 その場合で

も 「厳格 な」修了確認試験が求め られてい る。

大学等が行 う講座 は、 日時 ・内容 ・担 当講師 を前 もって文科省 に申請 し認 可 を受 けては じめて開講の運 び となる。 同 じ内容で講習 を行 う場合 で も、毎 年講座 ごとに申請 し認可 を受 けなければな らない。 この ように大分面倒 な仕 組み となってい る。

4 時間の問題

更新制 に関 しては、講習30時 間 とい う規定 に替 えて、単位 とすべ きだった とい う議論 もあ る。 いわゆる 「教員養成6年制」 との関係 で、更新制が今後 どの ようになるか も不安 定 な状態 にあ るが、 も し更新 制廃止 となった場合、

更新講習 を受 けた時間 を単位換算す る とい う問題 の発生 も可能性 としてはあ る。 だが、そ うい うことは可能 なのだろ うか。

免許更新 に必要 な30時 間は、60分 を1時 間 とす るふつ うの意味での物理的 な時間である。 これに対 して大学 の単位計算 は、多 くのパ ター ンとして90分 授業15回で2単位 とす る ものであ る3。 この計算 でい くと、22.5時間で2単位

となる。

7

(6)

PrqjectPaperNo.22

だが、大学設置基準 によれば、「講義及び演習 については、15時間か ら30 時間までの範囲で大学が定める時間の授業 をもって1単位 とする」 とい う規 定の前提 として

、 「1

単位の授業科 目を45時間の学修 を必要 とする内容 をもっ て構成することを標準」 とするとい う規定がある (大学設置基準第21条2)0 たとえば、15時間で1単位 とす る場合、45時間との差30時間は、授業外の 「学 修」 となるわけである。授業の外 に、その予習復習の時間があると考えれば わか りやすいだろう。

この ように、大学の単位計算 には授業外 の学修 を想定 している。 しか し、

更新講習の時間規定は、講習外の時間については規定 していない。実際、 6 時間講習の場合、1日で終るのだか ら、講習外の時間はない。そ う考えると、

先 ほ どの22.5時間を2単位 とする計算は正 しくない、 とい うことになるので ある。

1主として、文部科学省初等中等教育局教職員課 「教員免許更新制のしくみ」平成204月、

に基づく。

2平成2211月11日付文部科学省文書 「教員免許更新制における免許状更新講習の受講等 について」には、「およそ5,100人」と見積られている。

3 90分を2単位時間とするのは、1単位時間45分という小学校の規定 (学校教育法施行規則 別表1)に従うものである。周知のように、中学校 ・高等学校は1単位時間50分である(同 別 2、高等学校学習指導要領の総則)0

8

参照

関連したドキュメント

それゆえ、この条件下では光学的性質はもっぱら媒質の誘電率で決まる。ここではこのよ

実習と共に教材教具論のような実践的分野の重要性は高い。教材開発という実践的な形で、教員養

このような情念の側面を取り扱わないことには それなりの理由がある。しかし、リードもまた

層の積年の思いがここに表出しているようにも思われる︒日本の東アジア大国コンサート構想は︑

以上の基準を仮に想定し得るが︑おそらくこの基準によっても︑小売市場事件は合憲と考えることができよう︒

 履修できる科目は、所属学部で開講する、教育職員免許状取得のために必要な『教科及び

 履修できる科目は、所属学部で開講する、教育職員免許状取得のために必要な『教科及び

これも、行政にしかできないようなことではあるかと思うのですが、公共インフラに