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西山学報 17 (19660610) 02桜井 達定「曼陀羅宏善鈔について」

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全文

(1)

一 、

口   西 山 上 人 の 上 足 浄 音 上 人 を 流 祖 と す る 西 山 西 谷 流 は

智 上 人 に よ つ て

東 の 地 に

伝 せ ら れ 行 観 上 人 の 鵜 の 木 に お け る 私 記 卅 五 巻 の 述 作 に よ り 一 流 ヒ し て 大 成 を み 、 観 教 、 観 導 の

上 人 達 の

を へ て 次 の 道 覚 上 人 の 頃 か ら 吾 妻 の 談 義 所 を 中 心 と し て 愈 々

盛 を 極 め る に 至 つ た が そ こ に 育 つ た 幾 多 の 人 師 達 が 恐 ら く は お 互 に

も 大 き な ネ ラ イ と し て い た で あ ろ う 失 地 回 復 即 ち

西

山 西 谷 流 抑 々 の 発

の 地 と も い う べ き

都 に お け る 西 山 西 谷 流 再 興 の 夢 も 相

上 人 の 京

楽 寺

上 人 の

州 総 持 寺

、 更 に は 尾 州 曼 陀 羅

の 開 山 乗 運 上 人 の 上 足 召 運 上 人、 そ の 法

栄 運 上 人 、 同 じ く 妙 諌 上 人 、 そ の 資

立 上 人 、 同 じ く 融 舜 上 人 等

の 能 化 ク ラ ス の 人

達 の 相 次 ぐ 東 山 禅 林 寺 へ の 入 山 を み る に 及 ん で

や く 実 現 し 始 め た が そ の

せ る 拠 点 、 地 盤 を 一 段 と

め 、 且 、 拡 大 す る た め に 専 ら 京 都 に あ つ て そ の 生 涯 を か け

、 開 闡 法

の 道 に 挺 身 せ ら れ た

一 人

で あ つ た と 思 わ れ る 舜 叔 宏 善 上 人 の 業 績 は 各 方

に わ た つ て ま こ と に

か し い も の が あ る 。   昭 和 四 十

十 一 月 廿 八 日 に 開 催 さ れ た

西

山 学 会 の

四 回 研 究 大 会 に

て ” 実 隆 公 記 ど 禅 林 寺 ” と

す る 池 田 円       曼 陀 羅 宏 善 鈔 に つ い て

(2)

      西   山

 

学   報 暁 師 の 発

は 三 条 西

公 が 交 渉 を も つ た

門 と し て 浄 土 、 禅 、 日 薄 宗

の 名 が 公 記 に

見 す る が 頻 出 す る の は 本 山 義 を 主 と し た 西 山

で 四 十 五 ヵ 寺

侶 九 十 二 人 を 数 え る 事 が 出

る 。 し か し 、 西 谷 に つ い て は 実

公 は 享 禄 二

七 十 七 才 の 頃 ま で そ の 名 さ え 知 ら ず

の 如 き も 当

、 本 山

の 影 響 下 に あ り 、

上 人 が 大

遣 迎 院 の 僧 祐 全

、 寿

師 等 を

し て 実

公 を

訪 し た の が

初 の 出 会 い で あ る が 、 爾 来 、

者 の 交 渉 が は じ ま り 享 禄 二 年 十 二 月 四 日 に は 九 品 十 一 門 の 事 に つ い て 法 談 を 交 さ れ て い る と い つ た 要 旨 の も の で あ つ た が こ の 史

き も 宏

上 人 の

を 裏 づ け る も の で あ ろ う 。 わ け て も そ の

、 曼 陀

鈔 が 現

し て 今 日 を 生 き る 法

達 に も 西 山 曼 陀 羅 事

教 旨 に 関 す る 宏 善 上 人 の 造 詣 の 深 さ と 共 に そ の 頃 の 京

乃 至 そ の も 一 つ 前 の 吾

時 代 に お け る 曼 陀 羅 註 記 の 研

や 流

況 を も 伺 い 知 り 得 ら れ る の は ま こ と に

く も 亦 貴 重 な も の が あ る 。   以 下 、 こ の 宏

に つ い て の 覚

的 私 見 を 順 を 追 い つ つ 書 き 綴 つ て み た い 。 二 、

  宏 善 上 人 の 経 歴 に つ い て は 不 詳 な 点 が す く な く な い 。 そ の 生 国 が ど こ で あ つ た か と い う 事 か ら し て 不 明 の よ う で あ る 。 然 し 常

寺 略 譜 に よ る と 或 る 一 代 の 弟 子 と し て 入 寺 、

融 舜 上 人 の 法 脈 を 受 け

の 膝 下 に 刻 苦 勉 励 さ れ た よ う で あ り 、 円

ー 珠 侃 − 宏 善 と 次

す る 所

室 町 相 承 で あ り 、

承 は 召 運

 

妙 諌 − 融 舜 ー 宏 善 と な つ て い る か ら こ れ 等 を

案 す る 時

上 人 の 出 家 入

の 師 匠 は 顕 融 珠 侃 上 人

し く は

楽 寺 々 域 の 慈 光 院 隠

に し て

卅 二 世 の 天 承

上 人 あ た り で は な か つ た か と 推 測 さ れ る の で あ る 。   歴 住 地 は

跡 で あ る 常 楽

十 一 世 と し て 歴 代 名 (

十 世 は 顕 空 登 順 上 人 ) を 有 し 、 又 、 法 脈 の 師 融 舜 上 人 の

を 追 つ て 一 宮 の

念 寺

三 世 と し て 歴 代 名 ( 常 念 寺 の 開 山 召 運

二 世 融 舜

1

 

四 世

鏡 ) を 列 ね ら れ て

(3)

い る 。 更 に

史 に よ れ ば 宏 善 上 人 は そ の 第 卅 四 世 と し て “ 在 住 廿 余 年 寺 門 の

興 上 人 に 負 う 処 、 甚 だ 大 き く 、

ね て 粟 生

を 看 し 永 正 十 四

の 秋 、 此 処 に 曼 陀 羅 を

ず る や 門 徒 席 を 競 う と い う 。 禅 林 在 住 の 日 、

の 請 に 応 じ て

法 す 。 帝 叡 感 あ り て 紫 の 僧

香 衣 を 賜 う 。 今 に 伝 え て 宝 庫 に あ り 。 上 人 又 、 寺 観 の 修 繕 に

め 宮 殿 の 壁

及 び 衾

子 の

は 当 時 の

工 、

野 家 三 氏 の

を 分 つ て

、 又 、 天 文 十 一

西

三 条 右 大 臣 公

公、 記 す

縁 起 一 軸 、 今 、 文

に あ り 。 退 隠 の

、 弘 治 三 年 七 月 廿 三 日

。 寿 八 十 三 。 自 撰 あ り 、

集 鈔 と 名 く 一 一 目 卅 二

え 、 粟 生 光 明 寺 の

卅 七 世 明 空 沢 了 上 人 が も の さ れ た 跋 文 に は “

西

明 寺 第 十 九 世

叔 宏 善 上 人

部 + 巻 。

林 寺

上 人 の

嗣 な り . 禅 林 退 院

当 山

、 後 柏 原

+ 四 年 八 月 廿 三 日

明 寺 に 於 て 始 行 翌

永 正 十 五 年 九 月 八 日

な り 。 宏 善 年 四 十 四 、 五 の 間 造 る 所 な り 。

寺 什

に 宏

上 人 自 筆 の 本 あ り 云 々 二 と あ る 。 も と よ り

史 に し て も 沢 了 上 人 の 跋 文 に し て も そ の 内

を か し げ た い よ う な 節 が な い よ う で も な い の で あ つ て 跋

に は 宏

上 人 が 粟 生 光 明 寺 の 第 十 九 世 で あ る と 伝 え て い る が

寺 沿 革 誌 ( 卅

卅 二 頁 ) に よ れ ば

善 上 人 は

十 八 世 で あ り そ れ も 正 当 の

持 と 言 う よ り も 寧 ろ 東 山 か ら

し て 看 護 を 事 と せ ら れ た そ の

を 追

し て 世 代 に 加 え ら れ た も の の よ う で あ り 、 そ の 年

本 山 在 住 廿

の 天 文 十 五 、 六

の 頃 と 考 証 さ れ て い る が

き や 禅 林

史 に も 永 正 十 四 年 の 秋 に ほ 禅 林 寺 住 職 で 光 明 寺 の

で も あ つ た よ う に 記 さ れ て い る け れ ど も 禅 林 寺 の

卅 三 世 一 冲 融 舜 上 人 が 一 宮

や 尾 道 の 寳 土 寺 を 歴

し て 禅

に 晋 ま れ た 年

は と も 角 そ の 示 寂 が 大 永 三

十 一 月 十 八 日 で あ つ た と す る な ら ば そ の 跡 を 承 け ら れ た

上 人 が

卅 四 世 と し て

に 住 せ ら れ る よ う に な つ た の は 当 然 そ れ 以

で あ り 、 仮 り に

永 三 年 と し て も

正 十 四

は そ れ に 先 立 つ 六 年 前 に 相 当 す る か ら 実

に は

林 寺 の 住 職 で も な か つ た

に な る が 如 き が

ち そ れ で あ る 。 し か し 、 た と え

だ 正 住 職 で は な か つ た と し て も 永 正 十 四 年 頃 の 宏 善 上 人 が 禅 林  

 

  曼 陀 羅 宏 善 鈔 に つ い て

(4)

      西

 

 

 

報 寺 を き り ま わ す 実 力

的 存 在 で あ り 光 明 寺 に つ い て も そ う で あ つ た か ら だ ろ う と で も み る な ら ば こ の

の 不 審 は さ し て 問 題 と す る 程 の

で は な い と 言 え る の で は な か ろ う か 。 宏 善 鈔 が 、 永 正 十 四 、 五 の 両 年 に か け て 、 当 時 、 四 十 四 、 五 才 だ つ た (

し 、 宏 善 上 人 が 弘 治 三 年 七 月 廿 三 日 、 八 十 三 才 で 示 寂 さ れ た と す る 禅 林

に よ る な ら ば そ の 誕 生 は 文 明 七 年 と な り 、 永 正 十 四 、 十 五 年 に は 四 十 三 、 四 才 と 一 年 若 く な る が こ れ 亦 、 さ し て 問 題 と す る

の 事 と も 思 え な い 。 ) 宏 善 上 人 が 光 明

に 於 て も の さ れ た も の で あ る ヒ い う 事 に さ え 、 異 論 が な い な ら ば そ れ こ そ

よ り の 成

で あ ろ う 。 蓋 し 永 正 十 四 、 五 年

は 応 仁

明 の 戦 災 に よ る 傷 跡 も 生 々 し く

十 五 世

運 空 摂 上 人 遷 化 後 、

十 六

空 秀 旭 上 人 が 晋 住 さ れ る ま で の

に す く な か ら ず 続 い た 無 住 時 代 に 相 当 す る よ う で あ る か ら 当

力 者 的

在 だ つ た 宏

上 人 の や み が た き 愛 山 護 法 の

が 光 明 寺 看

の 任 に 卒 先 せ ず に は お ら れ な か つ た も の と 言 う べ く 、

善 鈔 亦 、

法 久 住 の 悲 願 か ら 大 い に 曼

羅 事 相 の 祖 風 を 宣 揚 す べ く も の さ れ た 労 作 で は な か つ た ろ う か と

す る 次 第 で あ る 。 し か し 、 禅 林 寺 に い う ”

ね て 粟 生 光 明 寺 を 看 し

正 十 四 年 の 秋 此 処 に 曼 陀 羅 を

ず る や

を 競 う 二 と の 文 句 か ら み て 、 宏

鈔 が

進 学 徒 を

に し て の 講 録 と し て

を と ら れ た の が 抑 々 の 述

で あ つ た ろ う 事 も

わ れ る の で あ る 。   尚 、 こ の 宏

の 述

よ り 十 五 年 後 の

の 初 め 、 当 時 は 正 し く

の 第 卅 四

と な つ て お ら れ た 宏

上 人 が 自 ら 発 起 人 の

頭 と な つ て 、 同 じ 融

上 人 門 下 の 兄 弟 子

空 秀 旭 上 人 を 特 請 し て 粟 生 光 明

て 註 記 の 講 演 が

か れ て い る

明 寺 沿

廿 九 頁 参 照 ) の 如 き は 宏

上 人 の 倦 む 事 な き 曼 陀 羅 研

ぶ り を 物 語 る も の で あ ろ う 。 研

は 造

を 深 め 造 詣 は 更 に 研 鑚 へ と 上 人 を か り 立 て ら れ た 姿 が 拝 ま れ る の で あ る 。   而 し て 、 宏

上 人 の 曼

に 関 す る

鑚 や 造 詣 は そ の 師 匠 に し て

欣 鈔 の 著

で あ る 融 舜 上 人 並 び に 兄 弟 子 格 だ つ た 舜 空

旭 上 人 あ た り の 御 指

や 切 瑳 琢 磨 が 直

的 に は 大 き か つ た ろ う 事 も 推 察 さ れ る の で あ る が 宏 善

(5)

の 中 に そ の

を は つ き り と 参 考

書 と し て あ げ ら れ て い る 事 か ら み て 顕 忠 上 人 の

( 十 二 巻 鈔 即 ち 顕 忠 鈔 ) を 研 鑚 さ れ た 事 は 疑 い の 余 地 が な い し 、 同 じ 法 系 で あ つ て み れ ば 仮

、 そ の

は 語 ら れ て い な く と も 吾 妻 関 係 の 先

達 の 御 述 作 、

陀 羅 関

で あ る

上 人 の 註

明 秀

や 融 栄 上 人 の 十 二 門 口

あ た り は 必 ず や 韋 編 三

せ ら れ た の で は な か ろ う か 。

二 門 口

融 栄 上 人 が 宏

上 人 の

匠 、 融

上 人 の

代 と し て 尾 道 宝 土

に 住 せ ら れ て い た 因 縁 に 想

す る な ら ば

は な か つ た と し て も 、 融

上 人 を 通 し て 融 栄 上 人 に

ぶ 点 が す く な く な か つ た ろ う し 、 明 秀 上 人 に し て も

は な か つ た ろ う が

忠 上 人 の 十 二

が 殆 ん ど 一 字 一 句 と 申 し て よ い

に 註 記 明

鈔 と 酷

( こ れ に つ い て は

日 、 別 に 一

を 草 し た い ) し て い る 事 か ら す れ ば 明

上 人 の 影 響 も 亦 、 大 き か つ た ろ う と 信 ず る も の で あ る 。  

で な い 点 で は

廿 八

召 運 上 人 が

正 四 年 の 示

で あ る か ら 宏

上 人 の 誕 生 を

明 七

と し て そ の 十 ご 年 前 に 当 る し 、 第 廿 九

に し て 愚 要 鈔 三

の 最

の 書 写 人 で あ る 栄 運 上 人 は 文 明 四 年 で あ る か ら こ れ 亦 、

上 人 の 誕 生 よ り 三 年 前 に

さ れ て い る し 、

の 妙 諫 上 人 に し て も 仏

過 去

に よ る と 大

、 延 徳 三

廿 九 日 の 遷

の よ う で あ る か ら

上 人 の 十 七 才 の 頃 、

卅 一

の 賢 立 上 人 は 長

十 三 日 の 遷

ど し て

善 上 人 の 十 四 才 頃 と な る か ら

陀 羅 の

を 直 授 さ れ た と は 思 わ れ な い け れ ど も 京 都 の 地 に お け る

西

谷 復

の 気 運 を 盛 り 上 げ ら れ た こ れ 等 の 人 師 達 に 若 し 、 註 記 明

や 十 二

の よ う な 曼 陀

係 の 指

書 が あ つ た と す れ ば こ れ 亦 、 再 読 三 読 せ ら れ た で あ ろ う 事 も 当 然 考 え ら れ る 。 果 し て し か り と す れ ば 宏 善 鈔 は 正 に こ れ 等 、

法 系 の

の 冥 加 の も と に 生 る べ く し て 生 れ た 御 述

だ つ た と も

え そ う で あ る 。 曼 陀 羅 宏 善 鈔 に つ い て

(6)

西   山   学   報 三 、

 

鈔 が 註

の 御 文 を 順 を 追 つ て

所 々 々 毎 に 取 上 げ 主 と し て 自 問 自 答 の

式 を も つ て そ の

趣 を 解 明 せ ら れ て い る 点 は 余

の 多 く の 註 記

と 共 通 す る

裁 で あ る が そ の

趣 の 解 明 に 当 つ て 取 上 げ た

何 に よ つ て は

義 、 相

の 一 義 、 座 敷 に て い わ ぬ 義

甚 深 の 義 、

義 (

義 ) 、 面 の 一

、 当 り た る

と い う 風 に 歴

伝 の 秘 訣 、 西 山 西 谷 流 の

一 的 見 解 と も い う べ き も の か ら 、 或 義 、 一 義 、 或 は 云 う 、

明 な ら ぬ

、 浅 近 脈 な き

と い つ た

謂 、 他 門 他 流 の

、 そ れ に 古 来 の

書 の 義 、 古

と 今 義 と い つ た 自 他 ど ち ら と も と れ そ う な 説 、 並 び に 歴 代 相

の 秘 訣 西 山

西

谷 流 の 統 一

と も い う べ き も の を 更 に 細 か く

下 げ 詳

せ ら れ た 宏 善 上 人

自 の 証 得 と も い う べ き “ 私 二 云 ウ ” と こ と わ ら れ て い る 見 解

々 重 々 の 義 を 並

紹 介 せ ら れ て い る 処 に こ の 書 の 特 色 な り

な り を 見

す 事 が

る で あ ろ う 。    

 

                             

 

    む         即 ち 今 、 こ れ を

語 る 実

を 取 上 げ て み る に “

二 云 ハ ク 、 又 、 必 ズ シ モ

ノ 段 ト

相 ノ 段 ト ヲ

セ テ 意 得 ズ ト モ

シ カ ラ ズ 。 銘 文 ノ 段 ト

ノ 段 ト 相 違 ス ル コ ト 是 レ 多 シ 。 又 、

文 ノ 時 ハ 今 生 ヲ

エ ト シ リ

生 ヲ 慈 悲 ト シ ル 。 又 、 絵 ノ 時 ハ 今 生 ヲ 慈 悲 ト 知 り

生 ヲ 智 エ ト 知 ル 。

ハ 生 身 見 仏 ナ レ バ 向 フ 当

ガ 即 チ 慈 悲 来 迎 ノ

姿

ナ リ 。 此 ノ 如 ク カ ハ ル 。 是 レ

口 訣 ナ リ ト 云 々

巻 丁 と あ る の は 禁 父 縁 の 銘

三 段 、 絵 相 四 段 な る 事 に つ い て    

 

                             

 

   

 

   

 

   

 

                             

 

      む の

で あ る が こ れ は 明 に 御 義 を 紹

せ る も の で あ り 、

 

“ 口 訣 ナ リ ” と も い わ れ て い る の と も 照 し

せ て 御 義 と は 歴

承 の 見 解 を さ し た も の と み る べ き が 順 当 で あ ろ う 。    

 

                             

 

   

 

   

 

こ         “ 三 毒 煩

ノ 五

六 根 ナ ル ヲ

二 置 ク ヤ 。 答 フ 御

二 云 フ 。 三 毒 煩 悩 ノ 五 根 六 根 ト ナ ル 時 ハ 是 ノ 五 大 ノ

、 皆 門 ノ

ス ベ シ 。 然 ル ニ

、 門 ノ 外 二 有 ル ハ 即 チ

レ 衆 譬 ノ 法 門 ト 心 得 レ バ 是 ノ 五 根 六 根 ノ 煩 悩 ノ

(7)

ガ 即 チ 浄 土 往 生 ノ 機 ト ナ ル 処 ヲ 以 テ 門 ノ

二 置 ク ナ リ 。 是 ノ 時 、 五 人 ナ ガ ラ 鉾 ヲ 持 ツ ハ 悪 相 ヲ 表 ハ ス 。 サ テ 衆 譬 ノ 機 ト ナ ル 時 ハ 五 人 ノ 持 ツ 鉾 ト 云 フ ハ

剣 即 是 弥 陀 名

ノ 念 仏 三

得 ノ 機 ト ナ ル 事 ヲ 顕 ハ ス ナ リ 。 ”

U

巻 一 と あ る

父 縁 第 二 重 絵

に 関 す る 文 。   “ 竹 六 本 ハ 定

ト ハ 竹 ハ 大 地 ヨ リ 養 ヲ 続 ケ テ 菓 ヲ 生 ズ ル

ナ シ 。 無 明 ノ 大 地 二 居 シ テ 仏 果 ノ

ヲ 知 ラ ザ ル  

 

   

 

                             

 

   

 

   

 

   

 

  む     む 定 散 ノ 機 二 譬 フ ル ナ リ 。 六

ハ 衆 生 ノ 六 根 六

フ ル ナ リ ト 云 々 。 是 モ 御 義 二 云 フ 根 ヨ リ 根 ヲ ツ ギ 中 ウ ツ ロ 、

ア リ ナ ド イ ヘ ル

ラ ズ 葦 ナ ド モ 同 ジ 事 ナ リ 。 是 レ 竹 ハ

ニ モ 行 キ 木 ニ モ ナ ビ ク 要 ア ル ナ リ 。 コ レ ニ ツ イ テ

ア リ ト 云 々 。

ニ タ ト フ ル ト 云 フ 義 ア リ ト ナ リ 。 是 レ

明 二 聞 カ ズ 。 ” 誓 巻 一 ヒ あ る 禁 父

四 重 絵 相 の 竹 に 関 す る 文 。   “ 上 ヨ リ シ テ 禁 父 ハ

文 ヲ 三 段 ニ オ リ テ 次 二

ヲ 四 段 ニ オ ル 。 禁

ハ ニ 段 二 段 ニ オ ル 。 今

] 段 、

一 段 ヅ ツ オ ル ナ ワ 。 イ カ ン 。  

 

   

 

                             

 

   

 

   

 

   

 

                              答 フ 。

ハ 正 宗 ノ

ナ レ バ 正

ニ ッ イ テ 定 散

ノ ア ル 事 ヲ 顕 ハ ス ト シ テ ニ 段 ニ オ ル ト 云 フ 。

二 云 フ 是 レ

ハ 聖 教 御 書 二 無 キ

ナ レ バ 何 ト ナ リ ト モ 当 座 会 ス ベ シ 。

シ カ ズ ト 。 古 来 ノ 聞 書 ニ モ 義 ヲ 出 サ レ タ ル

多 シ ト 云 々 。 ”

n

一 と あ る 序

の 六 縁 七 段 の

絵 相 に

す る 文

、 何 れ も し か り で あ ろ う 。   次 に   “ 五 行 ノ

起 ノ 因 縁 ヲ 云 ヘ バ

調 達 悪 友 之 教 ト テ

ノ 仙 人 ヲ 殺 ス ヨ リ ノ 因 縁 ニ ヨ ツ テ 是 ヲ

ヘ テ 禁 父 禁 母 ヲ 発 シ テ 此 ノ 経 ノ

ト ナ ル 。 今 ノ 中 将 ノ 局 ハ

ヲ 発 起 ノ 因

ト ハ シ タ ル ゾ ト 云 フ ニ

布 ノ

ニ ハ 継 母 ノ ザ ン 言 ニ ヨ ル ト 云 フ 事 ナ リ 。 サ レ ド モ

ノ 発 起 ノ 因 縁 ハ 此 ノ 曼 陀 羅 二 遇 フ 処 ハ

浄 土 経 ナ リ 。 コ ノ

ヲ ヨ ク

拝 見 ア ル ニ 題

ヨ リ シ テ

婆 ノ 外 ノ 浄 土 ヲ

ズ ル ナ レ バ 但

ノ 浄 土 微

楽 ノ ヤ ウ ヲ ト キ

婆 ハ 五 濁  

 

  曼 陀 羅 宏 善 鈔 に つ い て

(8)

      西   山   学

 

多 ニ シ テ 衆 生 ノ 世

ハ シ 捨 テ テ

号 ノ 一 行 ヲ 以 テ 得 生 シ コ レ

ノ 諸 仏 モ

嘆 シ 十

離 シ 浄 土 往 生 ヲ

求 シ テ ア ラ ハ ル ル 処 ノ 曼

羅 ナ レ バ 称

浄 土 経 ガ 今 、

起 ノ ス ル 処 ノ 中

ノ 局 ノ 根 元 ト ハ      

 

   

 

   

 

   

 

      む       む                                                                                                                                             む ナ リ タ ル 事 ナ リ ト 意 得 ル ガ

ノ 相 伝 ノ 一

ナ リ ト 云 フ 。 ”

11

巻 三 と あ る

の 縁 起 段 に

す る

か ら し て 相 伝 の         一 義 な る も の も 亦 、 西

西

谷 流 の 統 一 的

解 と い わ る べ き も の で あ る

わ れ る 。   次 に   “ 之 二 付 イ テ 智 慧 ノ 見 、 慈

ノ 見 ノ ニ ツ ア リ 。 智 慧 ノ 見 ヨ リ ハ 娑

土 、

婆 ニ ナ ル ナ リ 。

レ 浄 土 ト イ ヘ ド モ 三 業 門 ノ

慧 二 留 マ ル ナ レ バ 機 ノ 感 見 二 随 フ 事 ナ リ 。 サ テ 、 今 ノ 慈 悲 ノ

ヨ リ ハ 娑

土 ト モ ニ

土 ノ 一 二 極 マ ル 。 是 レ 即 チ 三 心 発

ノ 前 ニ ハ 娑

法 界 ヲ 悪 ク

力 ヲ 教 フ ル

門 二 極 ム ル 事 ナ リ 。 此 ノ 時 ハ 森 羅 万 像 悉 ク 他 力 ト ナ シ 十 方 一 切 ノ 衆 生 ハ 諸 根 具 足 ノ 男 子 ナ リ 衆 譬 往 生 ノ 無 生 ト ナ ツ テ 女 人 ナ ガ ラ 女 人 二

ズ 凡 夫 ナ ガ ラ 凡      

 

   

 

   

 

   

 

                             

 

   

 

   

 

        む   む     む   む   む               む 夫 ニ ア ラ ズ 人

ノ 上 々 人 、 最 勝 人 ト 云 ハ ル ノ 法 ニ テ ア ル 事 ナ リ 云 々 。   是

ノ 義 ハ 座

ニ テ ハ 沙 汰 ナ シ 。 十 二 巻      

 

   

 

   

 

   

 

                む     む     む     む     む     む       疏 コ ノ

ナ リ 。 ”

1

ー 巻 十 と あ る よ り し て 座 敷 に て い わ ぬ 義 も 亦 、 歴

承 の 見 解 で あ る 事 が 伺 わ れ よ う 。

 

「 二 、 著

歴 と 述 作 由

」 の 條 下 で 言 及 し て お い た 顕 忠 上 人 の 影 響 力 と い う 事 も “ 十 二 巻 疏 コ ノ 意 ナ リ ” と そ の 御 述

名 を 明 に さ れ て い る

に よ つ て よ く 偲 ば れ る 事 も 此 処 で 重 ね て

調

し て お き た い 。  

に   “ サ テ 今 証

化 前 コ ノ ニ 序 三 序 ヲ コ コ ニ テ

ハ ス 故 ハ

。 答 フ 。 是 ガ

ナ リ 。

ハ 第 二 段 ノ 銘

ハ 発 起 序 ノ 重 ナ リ 。 此 ノ 発 起 ノ

ニ シ テ 証 信 化

ノ 事 ヲ 顕 ハ サ ル ル 故 ハ 先 ズ コ ノ 経 ノ 発 起 ノ 根 元 ト 云 フ ハ 今 、 此 ノ 韋

ノ 禁 母 二

マ ル 事 ナ リ 。 然 レ バ 証 信 ト 云 フ モ 化

ト 云 フ モ 正

十 六

ト 云 フ モ 乃 至

尊 出 世 シ テ 一 代 八 万 ノ 教 ヲ 説 キ 玉 フ モ 一 切 善 悪 ノ 万 機 ノ 出 離 ヲ 成 ズ ル ト 云 フ モ 此 ノ

母 へ 来 ル

ナ リ 。 然 レ バ 一 切 万 法 悉 ク

ノ 禁 母

(9)

発 起 二

マ リ タ ル

ナ レ バ 今 、 発 起 段 ノ

ニ シ テ 倶 進 諫 事 ヲ

キ 出 シ テ 証 信

起 皆 、 コ コ ニ

マ ツ テ コ ノ 発 起 ノ                                                                           む     む         む            

ヨ リ

キ 出 シ テ 証 信 ト モ

前 ト モ 立 テ 顕 ハ ス 事 ゾ ト 意 得 サ ス ベ キ

ナ リ 。 コ レ 甚 ダ 肝

ノ 義

ナ リ 。 倶 ノ

ヲ 証 信 ト 名 ク ル 事 、 後 日 ノ 談 ニ テ モ ナ サ ル 。 二

一 と あ る 禁 母

第 二 重 の 銘 文 の 倶 進 諌 事 の 四 字 に 関 す る 文 か       む   む     む   む     む     ら し て 肝

甚 深 の 義 な る も の も 亦 、 歴

承 の 証 得 で あ り 且 又 、

上 人 の 師 匠 な る 人 師 ( 融 舜 上 人 と み る べ き か ) が 、

に 力 を 入 れ て 講 説 さ れ た ら し い

も “

ヲ 証 信 ト 名 ク ル 事 、

日 ノ 談 ニ テ モ ナ サ ル ニ と 結 ば れ て い る あ                                                     む     む     む           む     む     む     む     む た り の 叙 述 か ら し て

わ れ る の で あ つ て 、 か う い う

の 座 敷 に て は い わ ぬ 義 に つ い て も

じ よ う に 言 え る か ど 思 う 。 つ い で な が ら

初 重 日

の 業 障 識 知 の

上 で 楽 を 奏 す る 十 菩 薩 の 中 の 一 人 が 使 つ て い る 笙 に つ い て   〃 可 有 渡

。 先 ズ 是 ハ 古 来 ヨ リ

チ ワ ヅ ラ フ ル

ナ リ 。 宝 楼 ノ ワ タ シ 物 ト 云 ヒ テ 何 ト モ 会 シ カ ネ ル 事 ナ リ 。

                                                        タ ケ レ 相 伝 口 伝 ナ リ 。 笙 ニ ハ タ ケ

ク ナ ラ ブ ニ 中 二 穴 ナ ク

モ 通 ゼ ヌ

ア ル ナ リ 。 是 レ 大 イ ニ 別

ナ リ 。 サ レ ド モ

  タ ケ ノ 作 ナ ケ レ バ

ノ 竹 ノ 穴 ヨ リ モ

二 通 ゼ ザ ル ナ リ 。 別 ノ

ニ テ 居 テ 而 モ ス ベ テ ノ 竹 へ 是 ガ

リ テ 音 ヲ 通 ズ ル 事 ナ リ 。 是 ガ コ ノ 宝 楼 ノ 意 ナ リ 。 ソ ノ

ハ 第 七 ノ

ヲ 取 ツ テ 宝 楼

ニ オ リ ア ラ ハ ス ナ リ 。 是 レ

イ ニ 別 ノ

ナ ル ヲ 取 リ テ 宝 楼 ノ 中 ニ オ ク ナ リ 。 笙 ト 云 フ ハ コ ノ 花 座 ヲ 先 六

へ 互 シ テ 初 メ 日

ヨ リ 悉 ク 先 六

ト 云 フ モ 願 カ 所 成 ノ

ヲ 説 キ 明 ス 倶 時 正 覚 ノ

仏 三 昧 ノ

ム ル 事 ナ リ ト 云 々 是 レ

ニ シ テ

キ 抄

ニ ハ ナ キ 事                                                                               り     む                 む ナ リ 能 々 意 得 ベ シ ト 云 々 。 ”

H

巻 五 と あ る 文 は “

伝 口

ナ リ ” と い う 文 句 に 比 重 を お け ば

の 一 義 の 例 証 と                                                                               む                                                       も 受 取 れ る が “ 是 レ 極 秘 ニ シ テ

ノ 聞 キ 抄

ニ ハ ナ キ 事 ナ リ 。 ” と あ る 文

あ た り か ら は 肝

深 の 義 ・ 座 敷 に り     り     り     り     む     む て は い わ ぬ 義 等 の

証 と も み ら れ 得 る よ う で も あ る 。  

れ に せ よ 歴

相 承 の 秘 訣

西

西

の 統 一 的

解 に 変 り は あ る ま い 。  

に 左

の 松 の 木 に つ い て       曼 陀 羅 宏 善 鈔 に つ い て

(10)

      西   山

 

 

報     む     む   “ 制 義 二 云 フ 。 コ コ ヲ 昔 、 殊 ノ 外 、 問

シ タ ル

ナ リ 。

二 付 イ テ

二 重 ハ 水 ノ 上 デ モ

コ ユ ベ シ 。 然 ル ヲ 松 ノ

三 本 ヲ 以 テ コ ノ 水 観 ノ 念 仏

恵 ノ 極 マ リ ヲ ア ラ ハ ス ト 云 フ 事 、

エ ザ ル

ナ リ ト

ナ ル 問 答

東 ニ テ ア リ シ 。 是 ハ

仮 ヲ

チ テ 三

ノ 荘 厳 ノ 方 ヲ バ 下 ノ 宝 地 観 ニ テ

ハ ス ト 雖 、 サ レ ド モ コ ノ 水 観 ト 云 フ ハ

仮 一 同 ト 説 イ テ

観 ヲ バ 知 ラ セ タ ル 事 ナ リ 。 然 レ バ 水 ト 云 フ 物 ハ 其 ノ 躰 ナ キ モ ノ ナ リ 。 ソ ノ

ヲ ア ラ ハ ス ニ 松 ノ 木 ヲ 以 テ 顕 ハ ス 。 コ ノ 松 ノ 木 ト ハ 水

キ 入 レ ツ ル 三

ノ 荘 厳 ノ 躰 ヲ コ コ ニ 先 ズ 少 シ 先 へ 立 テ ア ラ ハ ス ト キ

木 三

ヲ 織 リ テ 三

ノ 荘 厳 ヲ 説 キ 入 レ テ

仮 一 同 シ 悲

足 ス ル 処 ノ 水 ト 顕 ハ ス ナ リ 。 然 レ バ 此 ノ

仮 一 同 シ テ 悲

具 足 ス ル ト キ 念 仏 ト ハ 極 ム ル 事 ナ レ バ コ ノ

二 松 ノ 木 ヲ 三

ル ト キ

恵 ノ 極 マ リ ト ハ 成 リ タ ル 事 ナ リ 。

ス ル 筆 モ 念 仏 二 付 イ テ 三

ア リ ト 成 ズ ル ナ リ 。 サ テ 必 ズ

ノ 木 ヲ 以 テ 三

ノ 荘

ハ サ ル ル 心 ハ ト イ ヘ バ 三 種 ノ

ニ ハ 宝 樹 ヲ 以 テ

ト ス 。 然 レ バ

ハ 七 重 宝 樹 ヲ 顕 ハ ス 事 ナ レ バ 是 ヲ 以 テ 顕 ハ サ ル ル ナ リ 。 是 レ 板 東 ニ テ モ ロ

伝 ニ シ テ 云 ヒ ナ セ ル 事 ナ リ 。 此 ノ

ク 極 ラ ズ シ テ ハ

審 尽 キ ザ ル ナ リ 。 ”

11

巻 二 と あ る よ り し て む                                                                                                                   む 制

な る も の も 亦 、 歴 代 相 承 の 見 解 と い え る で あ ろ う 。

又 、 こ の

義 に つ い て は

、 曼 陀 羅 相 承 の 口 訣 の 一 で あ る 捨 大 悲

本 願 と い う 事 の わ け が ら に 関 し て                              

 

   

 

   

 

   

 

                    む                                                                               “ 来 迎 不

捨 大 悲 捨 本 願

ト 云 フ 。 然 レ バ 何 ト 捨 ツ ル ヤ 。

フ 。 之 二 付 イ テ

々 重 々 ノ

有 リ 。 或

二 云 フ

来 ノ 三 悪 火 坑 ノ 機 ノ 前 二 来 ル 時 ハ 我 ガ 本

ヲ 立 テ タ ル 故 二

ル ト モ 又 、 慈 悲 ヲ オ コ シ テ 来 ル ト モ 云 フ ニ 非 ズ 。 唯 無

智 ノ 位 ニ シ テ

ル ヲ 以 テ 本 願 大 悲 ヲ

ツ ト 云 フ 事 ナ リ 。 又 、 十 劫 ノ

、 大 悲 ヲ 以 テ 四 十 八 願 ヲ 発                              

 

   

 

   

 

   

 

                             

 

        シ テ 十 方 衆 生 ノ 上 二 本 願 大 悲 ヲ 捨 テ テ 置 キ 在 シ タ ル ナ リ 。

二 今 、 立 摂 即 行 ス ル ナ リ ト 云 々 。 又 、 一

ニ ハ 十 八 ノ 願 ニ シ テ 至 心 信 楽 ハ

、 乃 至 十 念 ハ 大 悲

ヲ 捨 テ テ 三 業 亡 然 ノ 前 二 無 分 別 智 ノ

慈 悲

迎 ナ リ ト 。 又 、 十                              

 

   

 

   

 

   

 

む                                                             つ 七 ヲ 大 悲 ト シ 十 八 ヲ 本

ト シ テ 是 ヲ 捨 テ テ 来 ル ト 云 フ 。 今 、

二 云 フ 。 是 レ 等 ハ 皆 正 義 二

ズ 皆

リ 出 シ テ 云

(11)

フ 事 ナ レ バ 此 ノ 分 ヲ 心

テ ハ

、 随

ノ 因

ナ リ 。

実 ノ 処 ハ 唯 仏

ノ 境

ナ レ バ 最 モ

ル 人

ル ベ カ ラ ズ 。           ゆ     む     む         ロ サ レ ド モ

ノ 一

ヲ 心 得 レ バ

レ 機 ヲ 離 ル ル ト 云 フ 処 ヲ 意 得 ベ キ ナ リ 。 教 ヲ

ル ル ト 云 フ ハ 観 経 ノ 教 ナ リ 。 観 経 ノ 教 ト 云 フ ハ 以 無 縁 慈

生 ノ 慈 悲 ヲ 顕 ハ ス ナ レ バ ナ リ 。 是 ヲ 大 悲 ヲ 捨 ツ ル ト 云 フ 。

( 大 悲 ) ニ ヨ ラ ヌ ナ リ 。 機 ヲ 離 ル ト 云 フ ハ

ヲ 捨 ツ ル ナ リ 。 本 願 ト 云 フ ハ 一 々 誓 願 為 衆 生 ナ レ バ 本 願 ト 云 フ ハ 機 二 付 ク ナ リ 。 然 ラ バ 今 モ 機 ニ ヨ ラ ズ 来 迎 ス ト 云 フ 。 サ テ 此 ノ 如 ク 本

大 悲 ヲ 捨 テ 教 ヲ 離 レ 機 ヲ

レ テ ハ

タ ル 機 ノ 前 へ 来 ル ベ キ ヤ 。 コ コ ガ 唯 仏 与 仏 ノ

ト ハ 云 フ

ナ リ 。 是 ガ 捨 テ タ ガ 捨 テ タ ニ ナ ラ ヌ 理 ガ ア ル ベ キ カ ト

ヘ タ リ 。 是 レ 知 人 ア ラ バ 問 フ ベ シ 。 此 ノ

ク 云 フ ハ 何 レ モ 正 義 ニ テ ハ ア ル ベ カ ラ ズ 真 実 ノ 処 ハ ロ 訣

承 ス ベ シ 。

者 稀 ナ ル ベ シ 。 ”                

 

          む                                                                                                                     り                           む

11

巻 一 と あ る 事 か ら し て

の 一

な る も の も 亦 そ の

類 に 属 し よ う 。 と 同 時 に 或

と か 一 義 と か い わ れ る も の 、                

 

   

 

      む           む そ し て も つ と 細 か に 云 え ば

の 一

す ら も 一 應 正 義 で は あ る よ う だ が し か し 正 義 中 の 正 義 と は い え な い も の の よ う で も あ る 。 仮 名 書 や

か ら は 同 じ で も そ れ を 漢 字 に

い た 場

制 義 、 精

、 正 義 と 三 通 り に な つ て い る 事 が

に 当 て

的 な 違 い

で な い と す れ ば 制 義 と は 西

西

谷 流 の 統 一 的 制

精 義 と は そ の

制 義 を 一 層 細 か く 精 選 し た 義 、 正 義 と は そ の

選 義 の

で も 最 も 正 し い

と で も 含 み を も た せ て 味 う の も 宏 善

を 繙 く 者 に と つ て 意 義 深 い の で は な か ろ う か 。 次 に 右

の 禁 父 縁 の

二 銘 文 の 條 下 に 男 子 を 智 恵 、 女 子 を 慈 悲 と 配 す る 事 に つ い て   “ 答 フ 。 地 体 ノ

義 ヲ 云 フ

ハ 慈 悲 智 恵 ト 云 フ ガ

地 陰

ノ 体 ナ リ 。

ナ リ 陽 ナ リ 慈 悲 ナ リ 。 女 ハ 地 ナ リ

ナ リ 智 恵 ナ リ 。 是 ガ

ノ 定 メ ナ レ ド モ

ハ 常 途 ノ 定 メ ニ

シ テ 心 得 ル ガ 浄 土 ノ 法 門 ノ 顕 シ ヤ ウ ナ レ バ 女 人 ヲ 慈 悲 ト

り 男 子 ヲ 智

ル ナ リ 。 女 人 ハ 体 ヲ 作 ル

ヨ リ シ テ 慈 悲 ト 知 リ 男 子 ハ 名 ノ 位 ナ レ バ

恵 ト 知 ラ ル ル ナ                         む                                           む             リ 。 是 ノ

、 当 リ タ ル

ナ リ 。 或 ハ 云 フ 、 男 ハ 貪 ヲ

ド ル

二 父 王 ヲ 貪 ト ス 。

ノ 色 ハ 是 レ

ナ リ 。 是 レ

ハ 諸 色 ヲ

ハ ス

別 ノ 智 恵 ノ

ナ リ 。 女 人 ハ イ ヅ レ モ

恚 ノ 心 ヲ

ツ 。

恚 ハ 火 ノ モ ユ ル

ナ レ バ 慈 悲 ト

ル ト 云 フ       曼 陀 羅 宏 善 鈔 に つ い て

(12)

 

 

  西

 

山   学

 

報  

 

   

 

ゆ     り     り     ほ     む     む                                                                                     む     り     む     む     む ナ リ 。 是 レ 分

ナ ラ ヌ

ナ リ 。 ”

巻 一 と あ る よ り す れ ば “ 当 り た る

” と い う も の も

の 一

で あ ろ う  

 

む                                                                       む           ロ が “ 或 は い う κ と あ る “

明 な ら ぬ

” と は

で あ る と も と れ る し 、

義 で は な く 所 謂 制 義 に

す る も の で は あ る が し か し

善 上 人

身 に と つ て ど う も ム

解 し

と で も み る べ き か も し れ な い 。   こ れ は

用 せ る

大 悲

本 願 に つ い て の

で   “ サ テ

悲 ヲ 捨 テ

レ 機 ヲ

レ テ ハ 何 タ ル

ル ベ キ ヤ 。 コ コ ガ 唯

ノ 境 界 ト ハ 云 フ 事 ナ リ 。

テ タ ガ 捨 テ タ ニ ナ ラ ヌ 理 ガ ア ル ベ キ カ ト 見 ヘ タ リ 。 是 レ 知 人 ア ラ バ 問 フ ベ シ 。 ” と こ と わ ら  

 

    む           む     む れ て い る

の 一

と も

通 ず る も の を

ゆ る の で あ る 。 と す れ ば

じ く 前 の 捨 大 悲

に つ い て の

の 初 め に  

 

   

 

          む     つ     む                                                                                       む     む                       む   “ 之 二

イ テ

々 重 々 ノ 義 ア リ ” と 申 さ れ て い る そ の

々 重 々 の

と は こ れ ま で に 取 上 げ た

西

西

谷 流 の

義 の 中 の

を ひ つ く る め た も の の 総

と い う

に な ろ う か 。 し か し  

相 に

あ る 事 を 語 ら れ た  

 

   

 

   

 

                             

 

   

 

   

 

   

 

                        り           り   “ 厭

二 絵 、 此 ノ 絵

ノ 段 、

ト モ ム ツ カ シ キ 意 得 ガ タ キ 処 ナ リ 。 其 レ ヲ

、 心 得 ル ニ 此 ノ 段 ニ ハ 古

ト                                           む     つ 今 義 ト ア リ 。

二 今

、 註 表 二

ス ル カ 。

ニ ハ 韋

三 人 オ リ ア ラ ハ ス ナ リ ト 云 々 。 二 人 ト 云 フ 人 ア レ ド  

 

   

 

   

 

                      ロ     む           つ                                                                       つ                 む モ 三 人 ナ リ ト 云 々 ”

一 の

中 に

て く る 古

、 今

な る も の も

こ の 種 々 重 々 の 義 の

に 当 然

ま れ て い る と み な す べ き で あ ろ う 。 而 も 宏 善 鈔 全 巻 を 通 じ て み た 場 合 明 に

流 の 義 と み ら る る も の を も 取 上 げ 批 判 さ れ て い る と 受

れ る 記

処 に

て く る よ う で も あ る か ら

に 自 門 丈 に 留 ま ら ず も つ と 広 く 他

流 の

説 を も

称 し た も の を

々 重 々 の

と い う 言 葉 の 中 に 含 ま せ て 味 う 事 が

当 の よ う に 思 え る 。   例 え ば 当 麻 曼

羅 と い う 呼

に つ い て   “ 麻 呂 子

王 ノ 立 玉 ヒ シ 万 法 蔵 院 ナ ル ヲ 当 麻 ト 云 フ

ヘ ウ ッ シ 立 テ タ ル ナ レ バ 縁 起

シ テ 能 ク 麻 ノ 字 カ ナ フ

(13)

ナ レ バ 別 シ テ 題 セ ラ ル ル ナ リ 。 又 、 麻 ト ハ ア サ ナ レ バ ア サ ハ タ テ ヌ キ ヲ 以 テ

立 ス ル ナ レ バ 置 ク ナ ド 云 フ 事 モ                                     む             ア リ 。 此 レ ナ ホ 皆 、 浅 近 脈 ナ キ 義 ナ リ 。 正 義 ア ル ベ シ 。 二 冂 巻 一 と 示 さ れ て い る が 如 き は 恐 ら く そ の 類 で あ ろ う 。 又 、 六 縁 七 段 の

文 絵 相 に 関 し て   “ 上 ヨ リ シ テ 禁 父 ハ

文 ヲ 三 段 ニ オ リ テ

二 絵 ヲ 四 段 ニ オ ル 。 禁 母 ハ ニ 段 ニ オ ル 。 今 、 厭

一 段 、

一 段 ヅ ツ オ ル ナ リ 。 イ カ ン 。 答 フ 。 今 ハ 正

ノ 段 ナ レ バ 正 宗 ニ ッ イ テ 定 善 、

善 ノ ニ ア ル

ヲ 顕 ハ ス ト シ テ ニ

ニ オ                             む     む           つ                       つ ル ト 云 フ 。

二 云 フ 。 是 レ 等 ハ 聖 教 御

キ 事 ナ レ バ

ト ナ リ ト モ 当 座 会 ス ベ シ 。

シ カ ラ ズ ト 。 古

ノ 聞                                 む                 書 ニ モ 義 ヲ

サ レ タ ル 事 多 シ ト 云 々 。

二 云 フ 。 禁 父 母 ハ 定 散 ノ 重 ナ レ バ 銘 文 ヲ

ト ス 。 厭

ハ 念 仏 ノ 重 ナ レ バ 一 段 一 段 、 絵 ト 銘 文 ト ヲ マ チ

二 註 ス ル ハ 悲

具 足 ノ 念 仏 ノ 重 ヲ 顕 ハ シ 、 顕 行 示 観 二 銘

コ レ ナ キ ハ 唯 慈 悲 来 迎 ノ

ハ ス 。 禁 父 銘

三 段 、 絵 相 四 段 ナ ル ハ 絵

ハ 教 外 ナ ル 事 ヲ

ハ ス カ 。 二 ー 巻 一 と あ る よ り す れ ば 恐 ら く は と も に 古 来 の 聞 書 の 中 の 義 で は あ る が 、 而 も 聖 教 御 書 に は な い 比 較 的 融 通 の き く 相 伝 の

義 と い う も の が あ つ た

ら れ る し 、

謂 、 種 々 重 々 の

が 派 生 し た 抑 々 の

因 も こ の よ う な

に あ つ た の か も し れ な い 。 〃 何 ト ナ リ ト モ 当 座 会 ス ベ シ 。 苦 シ カ ラ ズ ” の

葉 は ま こ と に 含

豊 な も の が あ る 。   と 同 時 に そ の

に そ つ て

り 出 さ れ た の が “

二 云 フ ” と お こ ヒ わ り さ れ て い る

上 人 独

己 証 の

の よ う で あ る が そ れ は あ く ま で も

西

西 谷 流 の 統 一

見 解 、 歴 代 相 伝 の 秘 訣 を 一 層 細 か く 掘

げ 詳

せ ら れ た も の で も あ る よ う で あ る 。 と も あ れ 、 こ の よ う な

々 重 々 の

を 並 説 紹

せ ら れ て い る と い う

は 比

ど い つ た 面 か ら も 実 に

重 な も の が あ り 、 宏 善 鈔 な ら で は の

色 で あ り 価

で も あ ろ う 。

21

一 曼 陀 羅 宏 善 鈔 に つ い て

(14)

西

 

山   学   報

と 口

  註 記 が

西

山 上 人 の

で あ る な ら ば

き 門 弟 達 の 皆 が 皆 と は ゆ か な い ま で も

な く と も 流 祖 と い わ る る 人 師 級 の

か は そ れ を

承 し 祖 述 し た

は あ つ て も よ さ そ う に 思 え る し 歴

孫 達 に も 同 じ 事 が 言 え そ う に も 思 え る 。 し か る に

西

山 門

に お け る

祖 乃 至 大

者 達 と い わ る る 人

達 の

即 ち 所 謂

達 時 代 に お け る

流 伝 の

況 に は 頗 る

明 な ら ざ る も の が あ る 。 そ の 反

旨 普 及 時 代 に 入 つ て 道 覚 上 人 の 頃 か ら 始 ま る 吾

系 の 人 師 達 の 間 に お け る

記 の 研 鑽 は

る 盛 行 を 極 あ て お り 、 そ れ が 次 第 伝 承 さ れ て

日 に 及 ん で い る わ け で も あ る 。 従 つ て 道 覚 上 人 以

に お け る 註 記 の 流 伝 状 況 を 明 に す る 事 と 道

上 人 頃 か ら

妻 法 系 の 間 に 於 て そ の 研

が に わ か に 盛 と な つ た わ け が ら を 解 明 す る 事 と は 流 伝

的 な 観 点 か ら し て も ま こ と に 重

に し て 意 義 深 き

題 と い え る で あ ろ う 。   名 こ そ

わ れ 、

際 に 眼

を 得 る 事 は 所

む つ か し か ろ う ヒ 半 ば あ き ら め て い た

ら ず も 西 山 短 大 の

書 館 で 披

す る 事 が

来 た 当 初 、 ひ そ か に 期

し た の も こ の 課 題 に 対 す る 答 で あ つ た 。   し か し 、 そ れ は

れ に

つ た 。 と は い え 、

所 乃 至 失 地

の 回 復 当 初 に お け る

の 研

況 や 曼

羅 を 講 ず る

合 、 口 訣 の 重 視 が 古 今 を 一 貫 す る 基 本 的 な 立 場 を な し て い る 事

に は 又 、 そ れ が ど の よ う に 遷 り 変 つ て き て い る か 等 を 知 る 上 に

て 宏

鈔 に は 注 目 に 値 す る 記 事 が

に 多 い 。

ち   “ コ ノ 衆 譬 ト 云 フ 事 ヲ

々 心

ベ キ ナ リ 。 聖 道 門 ハ 家 ナ シ ト 此 ノ 曼

ヨ リ 云 フ

ナ リ 。 其 ノ 故 ハ

心 即 仏 、

即 浄 土 ト 云 フ ナ レ バ ナ リ 。

、 浄 土 ニ ハ 弥 陀 如 来

正 倶 二

二 成 ズ ル 時 、 浄 土 ヲ バ

ト シ テ 弥

婆 ヲ 以 テ

ガ 本 国 ト シ 在 シ マ ス ナ リ 。

ハ 衆 生 ノ 往 生 ニ ヨ ツ テ 仏 ハ 覚 ヲ

ズ ル ナ レ バ

ガ 衆 生 ノ 本 国 ナ リ 。 浄

(15)

土 ハ 衆 生 ノ

生 ニ ヨ ツ テ

立 ス ル ナ レ バ

土 ガ 衆 生 ノ 本

ナ リ 。

二 中

二 至 ツ テ

土 ノ 内 ヲ バ 広 野 ノ

ク シ テ オ イ テ 吾 ハ

台 へ 出 デ テ ア ル ハ 此 ノ 意 ナ リ 。 衆

ト 云 フ 事 、 地 体 、 能 ク

心 得 テ オ キ タ キ 事 ナ リ ト 云 々 。 モ ロ

ノ 譬 ト 云 フ 事 ナ ラ バ 諸 譬 ト ナ リ ト モ 置 ク ベ シ 如

ト 云 フ ニ 、   一 義 二 云 フ 縁 ト ハ 衆 生 ナ リ ト 云 フ 事 ナ リ 衆 生 ヲ 譬 ト ス ト 云 フ

ナ リ 。 是 レ 何 ニ タ ト フ ル 事 ゾ ト イ ヘ バ

二 譬 フ ル ナ リ 。 然 ル ニ 身 ハ 覚 ニ シ テ

座 巳 ト 説 キ テ

ノ 絵 像 木

ノ 花 座 二 坐 シ テ 一 国 土 二 遍 満 彼 国 ス ト 云 フ ハ 何 ノ 用 事 二 形 像 ガ 遍 満 ス ベ キ 。 是 レ 入 一 切 衆 生 心 想 中 ス ル 処 ノ

姿

ヲ 形

ニ カ ケ テ

キ 顕 ハ シ タ ル

ナ リ 。

レ バ 唯 、 法

森 羅 ノ 当 相 ヲ 以 テ 向 ノ 境 計 デ 衆 譬 ヲ

ル ヤ ウ ニ ハ

ル ベ カ ラ ズ 。 我 ガ 一 心 ノ 内 ニ ヨ ク

メ テ 衆 譬 ト 云 ハ バ ヤ ガ テ 衆 生 ヲ 譬 ヘ ト ス ル

ゾ ト 心 得 レ バ 云 フ 処 ノ 法 門 ニ モ カ ガ ア リ テ

経 二 至 ル 事 ナ リ 。 是 レ

東 能 化 ノ 云 ヘ ル 趣 キ 此 ノ 如 ク ナ リ ヶ ル ト ナ リ 。 是 レ ロ 決 相 伝 ト モ 云 フ ベ キ ナ リ 。 ”

巻 一 と 説 示 せ ら れ て い る

の 如 き は 註

と い う も の が

の 能 化 達 か ら

都 の 宏 善 上

へ と 次

承 さ れ て き た 過 程 を し る 上 に は 頗 る 貴 重 な

料 た る の み な ら ず

て は 衆 譬 と い う も の を 一 心 の 胸

に よ せ て そ れ が 大 事 ヒ 語 ら れ た

わ れ、

も “ 是 レ 関

化 ノ 云 ヘ ル 趣 、 此 ノ

ク ナ リ ヶ ル ト ナ リ 。 是 レ ロ

相 伝 ト モ イ フ ベ キ ナ リ ” と い わ れ て い る あ た り い か に 口 訣 が 重 視 せ ら れ た か を 物

つ て い る よ う に 思 え る 。   因 み に 宏 善 鈔 に は 別 に   “ 総 ジ テ 万

羅 ノ 法 門 ト イ フ ハ 唯 、 森 羅 諸 法 ノ 当

ノ 上 ニ テ 慈 悲 智 恵 ヲ 沙 汰 シ 或 ハ 衆 譬 来 迎 ヲ 云 フ テ ハ

益 ナ リ 。 極 マ ル 処 ハ 唯 、 我 ガ 一 心 法 二 極 メ テ 心 得 ル 事 ナ リ 。

二 今 、 曼

羅 ハ 観 道 ノ 法 門 ナ レ バ 唯 、

相 ノ

ク 云 ヒ ス テ テ ハ 大 イ ニ 無 用 ナ ル 事 ナ リ 。 故 二 法 門 ヲ 云 フ モ

竺 ノ 大 王 ノ 門 ヲ ト 角 、 沙 汰 ス ベ キ

ニ テ ハ ナ シ 。 唯 一 心 胸 中 ノ 心 内 ヲ 開 ク ベ キ 事 ニ テ ア ル ナ リ 。 コ ノ 一 心 ノ 上 二

カ ケ テ 心 得 ズ ン バ 曲 ナ キ 事 ナ リ 。 ”

巻 一 と い う 禁       曼 陀 羅 宏 善 鈔 に 」 つ い て

(16)

      西

 

 

学   報 父 縁 初 重 の 二

楼 門 に よ せ ら れ た

が あ る が 、 両 者 を 比 較 す る 事 に よ つ て そ の 一

と で も い つ た も の が 了

さ れ よ う 。 而 も 明 秀 鈔 に も 亦 “ 一 心 ノ 上 二 と い う 用 語 が み ら れ る 処 か ら し て も 衆 譬 義 に 対 す る こ の 口 訣 は

法 系 の 統 一 的 見 解 で あ つ た ど み て よ い の で は な か ろ う か 。   “ 意 ナ リ ト 云 フ ハ 面 ヨ リ ハ 云 ハ ズ 其 ノ 道 理 コ ト ワ リ ノ 意 ヨ リ 云 フ 事 ナ リ 。 是 ト 云 フ ハ コ ノ

無 マ デ ヲ 行 ト 名 ク ル ハ 義 ノ 法 門 ナ リ ト 云 フ

ナ リ 。

ノ 法 門 ト 云 フ ハ 義 ト 云 フ ハ 面 ニ ハ

エ ザ ル ナ ー− 。 語 二

ノ 理 リ ノ ア ル

ヲ 云 ピ ア ラ ハ ス ヲ

ト ハ 云 フ ナ リ 。 コ ノ 義 ト 云 フ ハ 仏 ノ 方 ノ

ナ リ 。

レ 即 チ

ノ 仏 ガ 衆 生 ノ タ メ ノ 正 覚 ヲ

ジ テ 願 行 具 足

法 一

ト 成 ジ タ ル ナ レ バ 此 ノ 理 ヨ リ シ テ

無 ノ

ト 云 フ モ

二 即

行 ノ 行

ナ リ ト 意 得 ル 事 ナ リ 。 是 ト 云 フ ガ コ ノ

ノ 法 門 ニ テ ア ル 事 ナ リ ト 。 此 ノ 如 ク 六 字 共 二 行 ノ 一 二 極 マ ル 処 ガ 人 法 並

阿 弥 陀 ト 云 フ 。 阿 弥 陀 仏 ノ 一 ツ ノ 躰 ナ リ 。

レ 以 斯

故 必 得 往 生 ト 云 フ

生 ノ 躰 ニ テ ア ル

ナ リ 。 下 ノ 行 ノ

無 ヲ 名 ヶ テ 帰 命 ト 釈 ス ト 云 フ ヲ 或 ル 疏 ニ ハ

ノ 行 ヲ 名 ケ テ

ヲ 帰 命 ト 釈 ス ト 云 フ 疏 ア リ 。 是 ハ 能 ク 聞 ヘ タ ル ナ リ 。 下 ノ 字 二 当 テ タ ル 処 ニ ソ バ ニ

品 下 生 也 ト ツ ケ テ 宣 シ カ ル ナ リ 。 是 レ

東 ヨ リ ノ

伝 ニ テ ア ル

ナ リ 。

々 品 二

メ テ 成 ズ ル 事 ナ リ 。 ”

四 と あ る の は

・ 品 の 絵 相 に 対 す る 註 記 の 文 に ”

・ 品

意 ・ ル 故 ナ リ

ノ と あ る そ の 意 の 字 の

釈 に 関 す る 記 事 で あ る が 註

の 文 を 一 字 一 句 不 可 加 減 の

で 研

さ れ た

妻 法 系 の

師 達 の 韋 編 三

ぶ り や 切 瑳 琢 磨 の 姿 が 偲 ば れ る と

に そ れ が や が て “ 関

ヨ リ ノ

伝 ニ テ ア ル 事 ナ リ ” と い わ る る 口 訣 と ま で 重 視 さ れ る に 至 つ た 経 緯 が 伺 わ れ る よ う な 気 が す る の で あ る 。 “ コ ノ 不 生 ニ ハ 切 紙 モ ア ル ベ キ 事 ト 坂 東 ニ ア ー− 云 々 。 ”

11

巻 八 と あ る の は 中 央 第 六 重 の

二 階

殿 の 上 の

の 階 に 仏 菩

な く 、 そ の

が か ら つ ぼ で

を 閉 あ て い ・ の を 註

に ” 凡 夫 生 ゼ ザ ・ バ 戸 ・

ヂ ル ナ リ 〃 .

勲 と あ る そ の 不 生 の 二

に つ い て の 記 事 で あ る が 切 紙 と か 坂 東 と か の 語 が 出 て く る 事 か ら し て も こ れ 亦 、 意 の 字 の

(17)

と 同 じ 事 が 言 え る か と 思 う の で あ る 。   所 謂 、 制 義 な る も の の

と し て

に 引 用 ( 十 七 頁 ) せ る 左 縁

の 松 の 木 に

す る

の 中 に “ 大 ナ ル 問 答 、 関 東 ニ テ ア リ シ ” と か “ 是 レ

東 ニ テ モ ロ 伝

伝 ニ シ テ 云 ヒ ナ セ ル 事 ナ リ ” 。 と あ る よ り す れ ば こ れ 亦 、 吾 妻 談 義 所 以 来 、

系 の 人

間 で 大 い に 問 題 視 せ ら れ た 口 訣 で あ つ た 事 が 知 ら れ よ う 。   次 に 板

だ の 関 東 だ の と い う 言 葉 は み ら れ な い が 、   ” 此 ノ

羅 ノ 疏 ヲ 見 ル ニ ロ 訣 有 り 。

ナ リ ト 云 フ ト 其 ノ 重 ナ リ ト 云 フ ト 意 カ ハ ル 。 タ ト ヘ バ 定 散 ノ

ノ 重 也 ト モ ア ル ハ シ カ ト 其 処 ヲ 其 ノ 重 ゾ ト 云 ヒ

メ タ ル 事 ナ リ 。 サ テ 、 今 、

ス 処 ハ 其 ノ 本 重 ニ ハ

ザ レ ド モ ト 云 フ 時 ハ

ノ 位 ナ リ ト 云 ヒ 、 或 ハ

ノ 心 ナ リ ト モ 云 フ ナ リ 。   又 、 慈 悲 智 恵 ト 次

シ 、 智 恵 慈 悲 ト

ス ル ノ カ ワ リ

り 。 上 二

ト 云 ヒ テ 下 二 悲

ト モ 云 フ ハ 上 ノ ニ ノ 事 ガ 悲

ス ル ト 心 得 、 智 恵 慈 悲 ト ア ラ バ 上 ノ ニ ツ ガ 智 悲 ト

ス ト 心 得 ベ シ 。 又 、 悲

ト 云 フ ハ 悲 ガ 面 ニ ナ ツ テ 智 ヲ 摂 シ 、

悲 ト ア ル ハ 智 恵 ガ 面 ト ナ ツ テ 悲 ヲ 摂 ス ル ト 心 得 ベ キ ナ リ ”

1

巻 一 。 と あ る の は 註 記 そ の も の に

す る 読 み 方 を 示 さ れ た 口 訣 と も い う べ き も の で あ つ て 重 と 位 、 或 は 意 と の 別 、 慈 悲 智 恵 と

恵 慈 悲 と の 次 第 の 別 を 明 か に 示 さ れ て い る 点 は 疏 と い う 言 葉 を も つ て

記 を 呼 ん で い る

上 人 の 敬 虔 な る 態

や 名 目 に 対 す る 明 快 な る 証 得 と

に 注 目 さ れ る も の が あ る 。 先 の 問 答 形 式 と

義 の 紹

の 項 目 中 で も 取 上 げ た が 、 今 日 の 所 謂 、 捨 大 悲

本 願 の 口 訣 と い わ る る も の に つ い て   ”

迎 不 依 機 、 捨 大 悲 捨

ト 云 フ 。 然 レ バ

ト 捨 ツ ル ヤ ” と 問 を

し て 種 々 重 々 の 義 を

説 的 に 紹 介 し て い る も の の そ れ

れ を も “ 正 義 ニ テ ハ ア ル ベ カ ラ ズ ” ヒ し ” 真 実 ノ 処 ハ ロ 訣

承 ス ベ シ 。

者 稀 ナ ル ベ シ ” と 結 び 、 別 に 示

縁 の 処 で も       曼 陀 羅 宏 善 鈔 に つ い て

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