1 2015.12.15 第1 回中国研究会
第 13 次 5 ヵ年計画党中央建議の概要
財務省 財務総合政策研究所 副所長 田中 修はじめに
10 月 26-29 日に開催された党 5 中全会は、第 13 次 5 ヵ年計画党中央建議(以下「建議」) を採択した。本稿では、この「建議」の主要な特徴について、習近平総書記自身が 5 中全 会で行った「建議」案の説明(以下「説明」)、11 月 4 日に新華社が公表した「建議」の誕 生記(以下「誕生記」)、李克強総理が人民日報11 月 6 日に掲載した論文(以下「李克強論 文」)、張高麗副総理が人民日報11 月 9 日に掲載した論文(以下「張高麗論文」)、国務院楊 晶秘書長が人民日報11 月 20 に掲載した論文(以下「楊晶論文」)、国家発展・改革委員会 の徐紹史主任が11 月 3 日に行った記者会見(以下「徐紹史会見」)、党中央財経領導小組弁 公室の楊偉民副主任が11 月 9 日に行った記者会見(以下「楊偉民会見」)を手掛かりに概 説する。Ⅰ.総論
1.起草プロセス
1.1 概説 「誕生記」によれば、今回の「建議」の起草グループは1 月 28 日に設置されたが、組長 は習近平総書記、副組長は李克強総理と張高麗副総理であった。 通常の 5 ヵ年計画建議であれば、組長には総理が、副組長には筆頭副総理がそれぞれ就 任し、党総書記は大所高所から起草プロセスを指導することになっていた。しかし、今回 は総書記自らが起草の責任者となっている。 しかも、「誕生記」では、習近平総書記は早くから新5 ヵ年計画のための新しい発展理念 を示す必要があるとし、後述の「5 大発展理念」を提起した。「誕生記」では、「5 大発展理 念は、正に習近平総書記が中国の発展が直面する新たな情況と新たな問題に対して行った 時代に沿う回答であり、党中央の治国と治政思想の重大な理論的刷新であり、マルクス主 義の中国化の最新の成果である」と絶賛している。 また、「誕生記」は、「260 日、9 ヵ月近く、習近平総書記は文件起草活動を高度に重視し、 文献起草グループが上申する各原稿を真剣に校閲し、何度も重要指示を出した。その間、 習近平総書記は、4 回党中央政治局常務委員会、2 回党中央政治局会議を主催し、建議稿を 審議し、一連の重要指導意見を提起した」とする。さらに、習近平総書記は常に貧困扶助 を気にかけ、6 月にはこのための座談会を貴州省で開催し、8 月 12 日に天津で大爆発事故2 が発生すると、直ちに「建議稿に安全生産責任・管理制度を、人民の生命・財産の安全を 確実に擁護する方面の内容を増やすよう要求した」とされる。 このような習近平総書記の八面六臂の活躍に対し、他の政治局常務委員については、「文 件起草プロセスにおいては、李克強・張徳江・兪正声・劉雲山・王岐山・張高麗等の中央 指導者も重要意見を提起し、具体的指導を行った」という簡略な記述があるだけである。 最近、各分野で習近平総書記の突出ぶりが指摘されるが、この 5 ヵ年計画建議策定にお いても、それが際立っている。 1.2 具体的経過 「誕生記」を時系列的に再整理すると、以下のようになる。 前段階 習近平総書記は、前期の重大課題研究を高度に重視し、自ら課題テーマを批准した。 中央は42 の単位組織に委託し、31 項目の重大課題研究を完成し、117 編の特定テーマ研 究報告を形成した。 1 月 党中央政治局、18 期 5 中全会で第 13 次 5 ヵ年計画建議を重点的に検討することを決 定 1 月 28 日 中央は、各地方・各部門に対し、5 中全会で検討される建議について意見を徴 求する旨の通知を発出 中央は、文件起草グループを設立し、習近平総書記を組長、李克強・張高麗を副組長 とすることを決定 2 月 10 日 中南海海懐仁堂において、習近平総書記が文件起草グループ第 1 回全体会議を 開催し、建議起草活動について、思想の解放、開拓・イノベーションを堅持し、「耳目を 一新し、実用・効果的」な計画建議を書き上げるよう要求 習近平総書記は、起草開始のときから、「第13 次 5 ヵ年計画建議を策定するには、ま ずどのような発展理念を堅持すべきか明らかにしなければならない。発展理念は、戦略 的・綱領的・指導的なものであり、発展理念が正しければ、目標・任務は好く定まり、 政策措置もこれに伴って好く定まる」と明確に指摘した。 3 月 23 日 習近平総書記は、文件起草グループ第 2 回全体会議を開催し、「第 13 次 5 ヵ年 計画建議は、発展理念の筋道を整理し、はっきりと述べ、第13 次 5 ヵ年計画期間のわが 国経済社会の発展のために、好い道を指し示し、好い航行を導かなければならない」と 明確に提起 イノベーション・協調・グリーン・開放・共に享受という発展理念は、正に習近平総
3 書記が中国の発展が直面する新たな情況・新たな問題に対して行った時代に沿う回答で あり、党中央の治国・治政思想の重大な理論的刷新であり、マルクス主義の中国化の最 新の成果である1。 4 月中下旬 文件起草グループは、6 日半の時間をかけて、18 の部委から 31 項目の重大テ ーマに関する成果報告を聴取し、その中の観点・建議を真剣に検討・吸収 5 月 25 日 習近平総書記、浙江省舟山市の新しく建設されたコミュニティーを視察 貧困扶助開発は、常に習近平総書記の最も気にかけている事柄である。 6 月 16 日 習近平総書記、貴州省遵義県の脱貧困に成功した村を視察 2 日後、習近平総書記は、貴州省貴陽市で「省区貧困扶助堅塁攻略と第 13 次 5 ヵ年計 画期間経済社会発展座談会」を主催し、「貧困を消滅し、民生を改善し、共同富裕を徐々 に実現することは、社会主義の本質的要求であり、わが党の重要な使命である。第13 次 5 ヵ年計画期間の経済社会発展では、貧困扶助開発の不足部分をしっかり補わなければな らない」と強調した。 7 月 16 日 習近平総書記、吉林省延辺州和龍市の村を視察 習近平総書記は、さらにこの前後、浙江省・貴州省で座談会を開催し、18 省区市の主 要指導者から第13 次 5 ヵ年計画期間の経済社会発展についての意見・建議を聴取 7 月末 中央弁公庁は、各省区市、中央・国家機関、解放軍総政治部、各人民団体に対し、 建議意見徴求稿を配布 8 月 12 日 天津港で爆発事故発生 習近平総書記は、安全生産の中で暴露された問題を高度に重視し、人民大衆の関心・ 呼び声に積極的に回答し、建議稿に安全生産責任・管理制度を、人民の生命・財産の安 全を確実に擁護する方面の内容を増やすよう要求した。 要求に基づき、建議稿は安全発展理念を充実増加させ牢固に樹立し、安全生産責任制・ 管理制度を整備・実施し、安全評価・審査制度、事前警告・応急メカニズムを増やし、 危険化学品・化学工業生産、倉庫の安全・環境保護・移転等の方面の具体的要求を強化 し、安全面での隠れた弊害を遅滞なく厳重にチェックして解消し、重大・特大安全自己 が頻発する傾向に断固として歯止めをかけるよう要求した。 8 月 21 日 習近平総書記は座談会を主催し、民主諸党派、全国工商聯指導者、無党派人士 1 ゴチックは筆者。
4 から建議意見徴求稿について意見を聴取 統計によれば、建議稿は3176 人から意見を徴求した。文件起草グループが受け取った 意見・建議は2588 項目であり、うち党外人士が提起した意見・建議は 92 項目、重複意 見を除くと意見・建議は総計2292 項目であった。 フィードバックされた意見・建議に基づき、建議稿は追加・改訂・文字の簡素化など を754 ヵ所行い、116 の単位と党外人士の 844 項目の意見・建議をカバーした。うち、 党外人士の分は18 項目である。フィードバックされた意見・建議の吸収率は 32.6%であ った。 10 月 12 日 党中央政治局会議第 2 回審議を経て、建議稿はさらに修文・整備され、党 18 期5 中全会の審議にかける準備が整う 5 中全会期間(10 月 26-29 日) 文件起草グループは、10 の小グループが審議討論した 意見に基づき、建議稿を60 ヵ所余り修文し、党中央政治局常務委員会にかけた 10 月 29 日午後 3 時 5 中全会は、建議草案は、全会一致で承認
2.第 13 次 5 ヵ年計画の歴史的性格
歴史的にみて、今回の5 ヵ年計画には、3 つの特徴があると考えられる。 (1)中国経済が「新常態」に入って最初の 5 ヵ年計画である このことは、習近平総書記自身が「説明」で強調している。彼はまず、新常態の下では、 ①成長速度は、高速から中高速へ転換しなければならず、 ②発展方式は規模・速度型から、質・効率型に転換しなければならず、 ③経済構造調整はフロー・能力拡大から、主としてストック調整・フロー最適化の併存へ と転換しなければならず、 ④発展動力は主として資源・低コスト労働力等の要素投入への依存から、イノベーション 駆動に転換しなければならない、 という「4 つの転換」を主張し、「これらの変化は人の意志に基づく転換ではなく、わが国 の経済発展の段階的特徴の必然的要求である。『建議』を制定するに際しては、これらの趨 勢と要求を十分考慮し、新常態に適応し、新常態を把握し、新常態をリードするという総 要求に基づいて戦略・計画を進めなければならない」と述べた。 経済が新常態に入ったのであれば、発展のあり方にも新しい理念が必要となる。このた め、後述の「5 大発展理念」が提起されることになった。 (2)「小康社会の全面的実現」を図る最後の 5 ヵ年計画である 習近平総書記は「説明」において、「たとえば、農村貧困人口の脱貧困は、際立った不足5 部分である。我々は、一方で小康社会の全面的実現を宣言しながら、他方でなお数千万の 人口の生活水準が貧困扶助の基準ライン以下にあるということがあってはならない。これ は、小康社会の全面的実現に対する人民大衆の満足度に影響するだけでなく、わが国の小 康社会の全面的実現に対する国際社会の認知度にも影響するものである」と述べている。 このため、今回の「建議」では、約7000 万人の農村貧困者の脱貧困と、都市における 1 億人の出稼ぎ農民の戸籍転換・待遇改善が大きな目玉となっている。また、2020 年に 2010 年のGDP と個人所得の倍増を実現するために必要な平均成長率も、議論されている。 (3)改革の全面深化において「決定的成果」を挙げなければならない 5 ヵ年計画である 2013 年の党 3 中全会では、改革の具体的なメニューを挙げ、2020 年までにこれらの改 革項目の重要分野・カギとなる部分において、「決定的成果」を挙げなければならないとさ れた。2015 年までの状況をみると、財政・金融や規制緩和の分野を除くと、改革のテンポ は必ずしも速くはなく、今後5 年間での改革の加速が必要となる。 しかし、今回の「建議」は、発展理念を強調する一方で、改革促進には余りスポットを あてていない。この点につき「楊偉民会見」は、「今回の建議は改革の系統的な文件ではな く、発展の系統的文件である」とし、今回の建議で重視した改革は国有企業改革、財政・ 税制改革、金融体制改革であったと説明している。 ただ、「建議」本文をみると、これらの改革は大きな柱の1 つである「イノベーションに よる発展」の中の 1 小項目にすぎず、記述は極めて簡潔なものとなっている。このため、 改革の内容は、むしろ「説明」「楊偉民会見」「楊晶論文」が「建議」を補足する形になっ ている。
3.
「5 大発展理念」の提起
3.1 概説 「徐紹史会見」によれば、これが「建議」の3 つの核心的内容の第 1 である。 習近平総書記は「説明」において、「発展理念は、発展行動の先導であり、全局、根本、 方向、長期を規定するものであり、発展の考え方、方向、注力点の集中的体現である」と し、発展理念が正しければ、目標と任務さらには政策措置もしっかりと定まるとした。 「建議」は①イノベーション、②協調、③グリーン、④開放、⑤共に享受、という 5 大 発展理念を提起した。この5 大発展理念は、習近平総書記によれば、「第 13 次 5 ヵ年計画 ないし更に長期のわが国発展の考え方・方向・注力点の集中な体現であり、改革開放30 年 余りのわが国発展経験の集中体現でもあり、わが国の発展ルールに対するわが党の新たな 認識である」とされている。 よく、歴代の最高指導者の指導思想である、毛沢東思想、鄧小平理論、「3 つの代表」重 要思想(江沢民)、科学的発展観(胡錦濤)に倣い、習近平総書記は新たな指導思想を模索 しており、それは「4 つの全面」(小康社会の全面的実現、改革の全面的深化、全面的な法6 に基づく治国、全面的な厳しい党の統治)だと言われることがある。だが、筆者はこれに 違和感を覚える。「4 つの全面」のうち、「小康社会の全面的実現」と「改革の全面的深化」 は、彼の第2 期(次回 19 回党大会で再選されれば、2017-2022 年)の任期途中である、 2020 年に具体的成果を示さなければならないからである。 指導思想というからには、長期に共産党を指導するものでなければならないはずである。 この点、この「5 大発展理念」は長期の発展のあり方を示し、「理論的刷新、マルクス主義 の中国化の最新の成果」とされていることからすると、習近平総書記の指導思想の重要な 構成要素をなす可能性がある。 もっとも、胡錦濤前総書記の「科学的発展観」にしても、まず2003 年に「5 つの統一的 企画」という考え方が示され、これが次第に理論的に精緻化されて科学的発展観へと進化 していったのであり、習近平総書記のオリジナルな指導思想は、まだ生成過程にあると言 えるだろう。 3.2 具体的内容 「5 大発展理念」については、「徐紹史会見」が、わかりやすく解説しており、これに「張 高麗論文」を適宜補って解説することとする。 (1)イノベーションによる発展を推進する 「徐紹史会見」は、次のように述べている。 「イノベーションは、発展をリードする第一の動力である。新常態の下、中国が直面す る最大の試練は、『中等所得の罠』を乗り越えることであり、この難題を突破するための根 本の出口は、イノベーションによる発展にある。 第12 次 5 ヵ年計画期間、中国の科学技術イノベーションは大きな進歩を得たが、イノベ ーション能力・自主的な技術・知名ブランドに欠けており、科学技術成果の転化率と科学 技術の進歩への寄与率は、先進国となお大きな格差がある。 第13 次 5 ヵ年計画期間は、イノベーションを国家発展の全局の核心に位置づけなければ ならない」。 「張高麗論文」2は、具体的に次の項目を掲げている。 ①科学技術のイノベーションという要にしっかり取り組み、全面的なイノベーションにお ける科学技術のイノベーションの牽引作用を発揮させなければならない。 ②大衆による起業・万人によるイノベーションを推進し、発展動力の転換を早急に実現し なければならない。 ③新技術・新産業・新業態の勢い盛んな発展を推進し、現代産業の新たな体系を建設しな 2 「張高麗論文」は長く、「李克強論文」と重なっている部分も多いので、ここでは政策 の項目立てを紹介する。
7 ければならない。 ④科学技術等の関連分野の改革を深化させ、イノベーションを進展させる体制メカニズム の保障を強化しなければならない。 ⑤マクロ・コントロールの方式を刷新・整備し、経済運営を合理的区間に維持しなければ ならない。 「建議」は、「労働力・資本・土地・技術・管理等の要素配分を最適化し、イノベーショ ン・起業の活力を奮い立たせ、大衆による起業・万人によるイノベーションを推進し、 新たな需要を解放し、新たな供給を創造し、新技術・新産業・新業態が勢い盛んに発展 ずることを推進し、発展動力の転換を早急に実現する」とする。この「新たな需要の解 放と新たな供給の創造」に関連し、習近平総書記は11 月 10 日の党中央財経領導小組会 議において、「総需要を適度に拡大すると同時に、サプライサイドの構造改革強化に力を 入れ、供給体系の質・効率向上に力を入れ、経済の持続的な成長動力を増強し、わが国 の社会生産力水準の全面的な飛躍実現を推進しなければならない」とした。この発言を 受けて、現在「サプライサイド構造改革」が中国人エコノミストの中で一種の流行語に なっている。 なお「建議」では、「イノベーション駆動による発展戦略」について、重大なイノベー ション分野について国家実験室を設置するほか、次世代情報通信、新エネルギー、新素 材、航空・宇宙、バイオ医薬、スマート製造等の分野の核心技術におけるブレークスル ーを加速するとし、科学技術の成果の資本化・産業化を促進し、知的財産権の保護を強 化するとしている。 「マクロ・コントロール方式の刷新・整備」については、次のように記述されている。 「総量調節と方向を定めた施策を併せ打ち出し、短期と中長期を結びつけ、国内と国際 を統一的に企画し、改革と発展を協調させるという要求に基づき、マクロ・コントロー ルを整備し、タイミングを見計らったコントロール・精確なコントロール措置を採用し、 適時事前調整・微調整を行い、雇用の拡大・物価の安定・構造の調整・効率の向上・リ スクの防御・環境の保護を更に重視する。 国家の中長期発展計画目標と総需給構造に依拠してマクロ・コントロールを実施し、 政策の基調を安定させ、予測可能性・透明度を増強し、コントロールの考え方・政策手 段を刷新し、区間コントロールの基礎の上に方向を定めたコントロールを強化し、的確 性・精確性を増強する。財政政策・金融政策を主とし、産業政策・地域政策・投資政策・ 消費政策・価格政策を協調的に組み合わせた政策体系を整備し、財政・金融政策の協調 性を増強する。ビッグデータ技術を運用し、経済運営情報の即時性・正確性を高める」。 (2)協調的な発展を推進する 「徐紹史会見」は、次のように述べている。
8 「中国は、協調的な発展の方面で、比較的際立った3 つの問題が存在する。 ①都市・農村の二元構造と、都市内部の二元構造という矛盾が、依然比較的際立っている。 ②地域の発展がアンバランスであり、東部・中部・西部・東北地方の間がアンバランスに なっている。 ③社会の文明程度・国民の素質と、経済社会の発展水準が、なお釣り合っていない。 このため、第13 次 5 ヵ年計画期間は、協調的な発展という要求に基づき、地域間の協同、 都市と農村の一体化、物質文明と精神文明の協調発展を引き続き推進しなければならない。 協調的な発展の中で発展の空間を開拓し、脆弱分野の強化の中で発展の持続力を増強する」。 「張高麗論文」は、具体的に次の項目を掲げている。 ①東部・中部・西部を統一的に企画し、南方・北方を協調させ、地域の協調発展を推進し なければならない。 ②都市・農村の発展が一体化した健全な体制メカニズムを整備し、都市・農村の協調発展 を推進しなければならない。 ③深度ある融合・良性の相互作用・相互の協調を堅持し、新しいタイプの工業化・情報化・ 都市化・農業現代化を同歩調で発展させなければならない。 ④物質文明と精神文明の協調発展を推進しなければならない。 ⑤軍・民の結合、軍が民に根ざすことを堅持し、経済建設と国防建設の融合した発展を推 進しなければならない。 (3)グリーンな発展を推進する 「徐紹史会見」は、次のように述べている。 「現在、長期に累積された大気・水・土壌汚染の問題は、中国で比較的際立っており、 生態環境の改善に対する人民大衆の呼び声は比較的強烈である。 このため、第13 次 5 ヵ年計画期間、中国は資源節約・環境保護という基本国策を堅持し、 資源節約型・環境友好型の社会の建設を加速し、グリーン・低炭素・循環的な発展を推進 して、中国さらには世界の生態安全のために貢献しなければならない」。 「張高麗論文」は、具体的に次の項目を掲げている。 ①程度をわきまえ秩序立てて自然を利用し、人と自然の調和・共生を促進しなければなら ない。 ②全面的に節約し効率を高めて資源を利用し、低炭素・循環的な発展を推進しなければな らない。 ③環境対策を強化して、生態環境の質の総体的な改善を実現しなければならない。 ④生態の保護・修復を強化し、生態の安全障壁を牢固に築き上げなければならない。 ⑤生態文明の健全な制度体系を整備し、制度を用いて生態環境を保護しなければならない。
9 (4)開放的な発展を推進する 「徐紹史会見」は、次のように述べている。 「今日の中国は、既に世界最大の貨物貿易国、最大の外貨準備国となっており、外資吸 収と対外投資でも世界の前列にいる。中国と世界経済は既に相身互いの構造を形成してい る。 このため、第13 次 5 ヵ年計画期間は、よりハイレベルな開放型経済を発展させ、世界経 済のガバナンスに積極的に参加し、より広範な利益共同体を構築しなければならない」。 「張高麗論文」は、具体的に次の項目を掲げている。 ①対外開放の戦略的配置を整備し、国際経済協力・競争の新たな優位性を早急に育成しな ければならない。 ②対外開放の新体制を形成し、法治化・国際化・簡便化したビジネス環境を整備しなけれ ばならない。 ③共に協議し、共に建設し、共に享受するという原則を堅持し、「シルクロード経済ベルト・ 21 世紀海のシルクロード」建設を推進しなければならない。 ④内地と香港・マカオ、大陸と台湾地域の協力を深化させ、共同での繁栄・発展を促進し なければならない。 ⑤世界経済のガバナンスに積極的に参加し、国際的な責任・義務を積極的に引き受けなけ ればならない。 (5)共に享受する発展を推進する 「徐紹史会見」は、次のように述べている。 「近年、中国は民生の改善と保障の上で大量の政策を実施し、顕著な成果を得た。しか し、人民大衆の期待に比べれば、公共サービスと社会保障体系はなお不完全であり、均等 化の程度も十分高くはなく、社会管理と矛盾への取締り能力はなお不足している。 このため、第13 次 5 ヵ年計画期間、我々は『発展は人民のためにあり、発展は人民に依 拠し、実現した発展の成果は人民が共に享受する』ことを堅持しなければならない」。 「張高麗論文」は、具体的に次の項目を掲げている。 ①公共サービスの供給を増やし、公共サービスを共に建設する能力と共に享受する水準を 高めなければならない。 ②精確な貧困扶助・脱貧困を実施し、脱貧困の堅塁攻略戦に断固として打ち勝たなければ ならない。 ③引き続き都市・農村の個人所得を増やし、合理的な所得分配構造を形成しなければなら ない。
10
4.
「6 つの堅持」という発展原則の提起
「徐紹史会見」によれば、これが「建議」の第2 の核心的内容である。 「建議」は人民の主体的地位を堅持し、科学的発展を堅持し、改革深化を堅持し、法に 基づく治国を堅持し、国内・国際の 2 つの大局を統一的に企画することを堅持し、党の指 導を堅持するという、「6 つの堅持」の発展原則を提起した。 「徐紹史会見」によれば、この6 つの堅持は、習近平同志を総書記とする党中央が治国・ 治政において基本的に守り従うべきものを十分体現しているとされる。 ①人民の主体的地位を堅持する 人民の福祉増進・人の全面的な発展を、発展の出発点・帰着点とし、人民を中心とした 発展を真に実現しなければならない。 ②科学的発展を堅持する 発展方式の転換を加速し、経済の中高速成長を維持し、ミドル・ハイエンド水準へと邁 進し、持続可能な発展を実現しなければならない。 ③改革深化を堅持する 各方面の体制メカニズムを早急に整備し、発展のために制度的保障と持続的な動力を提 供しなければならない。 ④法に基づく治国を堅持する 中国の特色ある社会主義の法治システム、法治国家、法治経済、法治社会を建設し、経 済社会の発展を法治化の軌道に引き入れなければならない。 ⑤国内・国際の 2 つの大局を統一的に企画することを堅持する 全方位的な対外開放を推進し、グローバル経済に深く融けこみ、互恵・ウインウインで、 共同して発展する開放構造の形成を推進しなければならない。 ⑥党の指導を堅持する 党の執政能力・執政水準を不断に高め、わが国の発展の船が正確な航路に沿って浪を打 ち砕いて前進することを確保しなければならない。5.小康社会の全面的実現という目標・要求を提起した
「徐紹史会見」によれば、これが「建議」の第3 の核心的内容である。 小康社会の全面的実現には、実際上2 つの大前提がある。 ①「五位一体」 経済建設、政治建設、文化建設、社会建設、生態文明建設である。 ②「4 つの全面」 小康社会の全面的実現、改革の全面的深化、全面的な法に基づく治国、全面的な厳しい 党の統治である。 「徐紹史会見」によれば、「五位一体」と「4 つの全面」という戦略手配に基づき、今回11 の「建議」はまた 5 方面の目標・要求を提起した。その具体的内容は、「李克強論文」3に よれば以下のとおりである。 (1)経済の中高速成長を維持する 2020 年に、GDP と都市・農村平均個人所得を 2010 年比で倍増するには、一定の経済成 長速度を維持しなければならない。初歩的に試算すると、第13 次 5 ヵ年計画期間、GDP の年平均成長率は6.5%以上を維持する必要がある 4。主要経済指標のバランスがとれ協調 してはじめて、倍増目標を実現できる。 小康社会を全面的に実現した後も、相当長期間なお一定の成長速度を維持する必要があ り、そうしてはじめて第2 の百年奮闘目標5を実現できる。このため、経済の中高速成長を 維持することは、我々の長期的任務である。わが国が新常態に入った背景の下、経済の中 高速成長を長期に維持するには、経済発展方式の転換を加速し、経済の転換・グレードア ップを促進し、ミドル・ハイエンド(中高)水準へと邁進しなければならない(2 つの「中 高」)。 世界の少なからぬ発展途上国は、中等所得の段階に入った後、転換・グレードアップを 実現しなかったため、経済が長期に停滞し、結果として「中等所得の罠」に陥った。我々 が「2 つの中高」を提起したのは、より質が高く、効率的で、公平で、持続可能な発展の実 現を推進しなければならないからである。「2 つの中高」は一体であり、相互に促進するも のである。中高速成長を維持してはじめて、発展方式の転換・構造調整のための余地を残 し、ミドル・ハイエンド水準へと邁進するための好い条件が創造できるのである。ミドル・ ハイエンド水準へと邁進してはじめて、需要を拡大するのみならず、供給を創造し、発展 の新たな動力エネルギーを育成し、持続可能な中高速成長を実現できるのである。 わが国は世界第2 の経済体として、10 兆ドルの高いベースの上に、複雑で変化に富む内 外環境の中で、新旧の動力転換の時期に、「2 つの中高」を実現することは決して容易では ない。粗放な成長から集約的な成長へのグレードアップ・発展、過度な投資牽引依存から 消費・投資が協調した牽引への転換は、陣痛に満ち、十分困難なプロセスである。このこ とをはっきり認識しなければならない。同時に、わが国の発展はなお大いに成果を出すこ とができる重要な戦略的チャンスの時期にあり、少なからぬ有利な条件がある。新しい世 界科学技術革命と産業革命は、現在育まれ形成されており、経済発展に新たなチャンスを もたらす。わが国の新しいタイプの工業化・情報化・都市化・農業現代化は深く推進され ており、経済発展には大きな潜在力・強靭性・挽回の余地がある。 「2 つの中高」を実現するには、内需の潜在力を十分発掘し、発展の新たな動力エネルギ 3 「李克強論文」はかなり長文であるので、総論的な記述を中心に、各論は抄訳する。 4 ゴチックは筆者。 5 建国 100 周年の 2045 年までに、富強・民主・文明的で調和のとれた社会主義現代化国 家を実現し、中華民族の偉大な復興という中国の夢を実現するという目標。
12 ーを奮い立たせ解放しなければならない。引き続き、中西部鉄道・道路、水利、バラック 地区・危険家屋改造、都市地下共同溝、農村電力網等のインフラ脆弱部分への投資を増や し、先進製造業等の新興産業と伝統産業のグレードアップ・改造への投資を増やし、投資 効率を高めなければならない。個人消費の拡大に力を入れ、消費構造のグレードアップを 推進しなければならない。新しいタイプの都市化は内需の最大の潜在力の所在であり、最 大の構造調整である。戸籍制度改革の深化、都市就業と公共サービス能力を増強する等の 措置を通じて、「3 つの 1 億人」6問題の解決に力を入れなければならない。発展空間を最適 化し、各地方の比較優位性を十分発揮させ、地域発展格差を徐々に縮小しなければならな い。 「2 つの中高」を実現するには、イノベーション駆動による発展戦略を実施し、大衆によ る起業・万人によるイノベーションを深く推進し、成長の新たなエンジンを作り上げなけ ればならない。「中国製造 2025」、「インターネット+」アクションプランを早急に実施し、 工業化・情報化の融合・発展水準を更に引き上げ、先進製造業の急速な発展を推進する。 サービス業分野の改革開放を引き続き推進し、生産関連サービス業・ハイエンドサービス 業・新興サービス業の発展に力を入れなければならない。 (2)人民の生活の質・水準を普遍的に向上させる 発展の目的は人民が好い暮らしを送るためであり、小康社会の全面的実現も、主として 人民の生活水準と質が普遍的に向上しバランス基準に達することである。共に享受する発 展を堅持し、経済の平穏な成長の基礎の上に、個人所得の持続的向上を促進し、健全な公 共サービス体系を整備し、大衆が最も関心をもち最も直接的で最も現実的な利益問題の解 決に力を入れ、人民の福祉を不断に増進する。 民生の保障・改善という重点任務にしっかり取り組む。雇用は民生の本であり、社会安 定の基である。より積極的な雇用政策を引き続き実施し、雇用促進における市場の役割を 更に好く発揮させなければならない。教育は経済の発展と社会の進歩の根本であり、教育 の公平な発展と質の向上の促進に力を入れなければならない。 公共財・公共サービスの供給を増やすことは、人民の生活の水準と質を普遍的に高める 重要な保障であり、経済発展の重要なエンジンである。現在、公共財の不足・公共サービ スの脆弱さ等の問題が依然際立っている。公共財・公共サービスの供給メカニズムを刷新 しなければならない。基本を維持し、メカニズムを建設するという原則に基づき、社会保 障制度を整備し、基本的な民生を保障するセーフティネットをしっかり築きあげる。第13 次 5 ヵ年計画期間、バラック地区改造任務を基本的に完成し、中低所得層と困窮した大衆 の居住条件が一層改善をみるようにする。農村貧困人口の脱貧困は、小康社会を全面的に 実現する最も困難な任務である。2020 年までに、現行基準下の貧困人口の脱貧困を実現し、 6 2020 年に、都市に常住する 1 億人の出稼ぎ農民等の戸籍を都市に転換し、1 億人分の バラック地区を改造し、農村に住む1 億人の農民を近隣の都市に移住させること。
13 貧困県を全部解消し、地域的な全般貧困を解決しなければならない。 合理的な所得分配構造の形成を推進することは、効率にも公平にも関わるものである。 都市・農村格差が大きいことは、所得分配において際立った問題である。今後 5 年、所得 格差を縮小し、中等所得人口のウエイトを上昇させなければならない。重要なことは、「起 業・イノベーション」を推進して、より多くの人を豊かにし、社会の縦方向の流動ルート をスムーズにし、効率と公平の有機的統一を実現し、中間が大きく両端が小さい所得分配 構造を徐々に形成することである。 (3)国民の素質と社会の文明程度を顕著に向上させる 小康社会を全面的に実現するという目標を達成するには、人民の物質的需要を満足させ るよう努力するだけでなく、人民の精神文化需要をも満足するよう努力しなければならな い。我々は物質文明建設にしっかり取り組むと同時に、精神文明建設を大いに強化して、 人民の思想・道徳の素質、科学・文化の素質、健全な素質を顕著に引き上げなければなら ない。 一国の国民の素質と社会の文明程度は、文化と密接不可分である。社会主義文化の大発 展・大繁栄を大いに推進し、国家の文化ソフトパワーを高め、風潮をリードし、人民を教 育し、社会にサービスし、発展を推進する面での文化の役割を更に好く発揮させなければ ならない。 2020 年までに、公共文化サービス体系を実現しなければならない。文化産業を国民経済 の支柱的産業とするという要求を軸に、文化体制改革を深化させ、文化産業の転換・グレ ードアップを促進し、新しいタイプの文化業態を大いに発展させなければならない。同時 に、中華文化の世界に向けての歩みを推進し、感化力・影響力を引き続き拡大しなければ ならない。 (4)生態環境の質を総体として改善する 良好な生態環境は、人民の生活の質を高める重要な内容であり、小康社会を全面的に実 現するための必然である。現在、わが国の発展は資源の制約が逼迫し、環境汚染が深刻で、 生態システムの退化が峻厳という情勢に直面している。なお工業化プロセスにある発展途 上国として、どのようにして、経済発展と生態環境保護の間の均衡を探し当て、ウインウ インを実現するかは、解決しなければならない難題である。グリーン発展の理念を牢固に 樹立し、経済建設を生態文明建設と有機的に融合させ、良好な生態環境を小康社会の全面 的実現があまねくもたらす公共財・民生福祉の恩恵としなければならない。 グリーンな発展方式と生活方式の形成を推進しなければならない。第13 次 5 ヵ年計画期 間、我々は多くの措置を併せて打ち出し、エネルギー・資源使用効率の大幅な向上を促進 し、エネルギー・水資源の消費、建設用地、炭素排出総量を有効にコントロールし、主要 汚染物質排出総量を大幅に減少させなければならない。同時に、省エネ・環境保護産業を
14 大いに発展させなければならない。これは、環境保護の有効な方途であるだけでなく、新 たな経済成長スポットでもある。 国土は、生態文明建設の空間的媒体である。我々は、既に主体的機能区を制定・実施し ている。資源・環境の受容能力をモニタリング・事前警告する健全なメカニズムを整備し、 科学的・合理的な都市構造と産業発展構造を構築しなければならない。第13 次 5 ヵ年計画 期間に、主体的機能の配置と生態安全の障壁を基本的に形成しなければならない。 (5)各方面の制度をより成熟させ、定型化する 長期にわたる模索・実践を経て、中国の特色ある社会主義の根本的な政治制度・基本的 な政治制度・基本的な経済制度・法律体系等、及びこれらの制度上での経済体制・政治体 制・文化体制・社会体制等の各具体的制度が基本的に形成されたことは、経済社会の発展 促進のために強大な動力と制度的保障を提供した。しかし、いくらかの分野の具体的制度 はなお不完全であり、すくなからぬ体制メカニズムの隠れた弊害が存在する。改革開放は、 発展を推進する根本的保障であるだけでなく、制度建設を推進する重要な動力でもある。 我々は、「建議」の要求に基づき、改革を全面的に深化させ、開放を一層拡大し、体制メカ ニズムの隠れた弊害を除去し、2020 年までに国家ガバナンス体系とガバナンス能力の現代 化に重大な進展を得させ、各分野の基礎的制度体系を基本的に形成し、各方面の制度をよ り成熟させ、より定型化しなければならない。 経済体制改革は、改革全面深化の重点であり、核心問題は政府と市場の関係をうまく処 理し、資源配分において市場の決定的役割を発揮させ、政府の役割を更に好く発揮させる ことである。そのカギは、政府機能の転換、行政の簡素化・権限の下方委譲の推進、開放 と管理の結合、サービス最適化の改革である。開放型の経済新体制の構築を加速し、新た なハイレベルの対外開放を実施し、国際協力・競争の新たな優位性を育成しなければなら ない。同時に、政治・文化・社会・生態文明及び党の建設等の分野での具体的な制度建設 を、協調して推進しなければならない。
6.建議案の構成
習近平総書記の「説明」によれば、建議案は3 編と 8 部分に分かれる。 (1)第 1 編(総論):導入部分・第 1-第 2 部分 ①第 1 部分:小康社会の全面的実現の決勝段階の情勢・指導思想 第12 次 5 ヵ年計画期間のわが国の発展が得た重大な成果を総括し、第 13 次 5 ヵ年計画 期間のわが国の発展環境の基本的特徴を分析し、第13 次 5 ヵ年計画期間のわが国の発展の 指導思想と遵守しなければならない原則を提起している。 ②第 2 部分:第 13 次 5 ヵ年計画期間のわが国の経済社会発展の主要目標・基本理念 小康社会の全面的実現の新たな目標・要求を提起し、イノベーション・協調・グリーン・ 開放・共に享受という発展理念を提起している。15 (2)第 2 編(各論):第 3-第 7 部分 ③第 3 部分:イノベーションによる発展を堅持し、発展の質・効率の向上に力を入れる 発展の新たな動力の育成、発展の新たな空間の開拓、イノベーション駆動による発展戦 略の深い実施、農業現代化を大いに推進、産業の新体系の構築、発展の新体制の構築、マ クロ・コントロール方式の刷新・整備の7 方面から展開する。 ④第 4 部分:協調による発展を堅持し、バランスのとれた発展構造の形成に力を入れる 地域の協調発展の推進、都市・農村の協調発展の推進、物質文明と精神文明の協調発展 の推進、経済建設と国防建設の融合発展の推進の4 方面から展開する。 ⑤第 5 部分:グリーン発展を堅持し、生態環境の改善に力を入れる 人と自然の調和・共生の促進、主体的機能区の建設加速、低炭素・循環型発展の推進、 資源の全面節約・効率の高い利用、環境対策の強化、生態安全障壁の構築の 6 方面から展 開する。 ⑥第 6 部分:開放による発展を堅持し、協力・ウインウインの実現に力を入れる 対外開放の戦略配置の整備、対外開放の新たな体制の形成、「シルクロード経済ベルト・ 21 世紀海のシルクロード」建設の推進、内地と香港・マカオ及び大陸と台湾地域の協力発 展、世界経済のガバナンスへの積極参加、国際的責任・義務の積極的引受の 6 方面から展 開する。 ⑦第 7 部分:共に享受する発展を堅持し、人民福祉の増進に力を入れる 公共サービスの供給増、脱貧困堅塁攻略プロジェクトの実施、教育の質向上、就業・起 業の促進、所得格差の縮小、より公平でより持続可能な社会保障制度の確立、健康中国の 建設推進、人口のバランスのとれた発展促進の8 方面から展開する。 (3)第3 編(結語):第 8 部分 ⑧第8 部分:党の指導を強化・改善し、第 13 次 5 ヵ年計画実現のために堅固な保証を提供 する 従来であれば、建議は経済・政治・社会・文化・生態文明・軍事といった項目別に編成 されていた。しかし、今回は5 大発展理念に全政策が分類されており、それだけこの 5 大 発展理念が今回「建議」の目玉であることが分かる。
Ⅱ.各論
以下、各論のうち注目すべきものを、習近平総書記の「説明」と「楊偉民会見」「楊晶論 文」から紹介する。1.経済の中高速成長の維持
(1)習近平総書記の「説明」 建議案は、今後 5 年間経済が中高速成長を維持するという目標を提起している。主とし16 て考慮したことは、2020 年に GDP と都市・農村 1 人当たり所得を 2010 年に比べて倍増す る目標を確保するには、所要の成長速度を維持しなければならない7ということである。 GDP の倍増からすると、2016-2020 年の経済年平均成長率の最低ラインは 6.5%以上で ある。都市・農村1 人当たり所得倍増からすると、2012 年の都市住民 1 人当たり可処分所 得は1 万 9109 元、農民 1 人当たり純収入は 5919 元である。2020 年に倍増するには、個 人所得の伸びと経済成長率を同歩調にするという要求に基づくことになり、第13 次 5 ヵ年 計画期間の年平均成長率は少なくとも6.5%に達しなければならない。 経済が中高速成長を維持することは、民生の改善に資するものであり、人民大衆に小康 社会の全面的実現の成果をより切実に感受させることになる。わが国の経済が新常態に入 ったことに伴い、生産能力過剰を解消し、産業構造を最適化・グレードアップし、イノベ ーション駆動による発展を実現するには、いずれも一定の時間・空間が必要であり、経済 の下振れ圧力は顕著であり、かなり高い成長速度を維持する難度は小さくない。市場予想 をプラスに誘導し、一定の余地を留保することを考慮し、総合的に各方面の意見を基礎に して、建議案は経済が中高速成長を維持するという目標を提起したのである。 内外の主要研究機関はあまねく、第13 次 5 ヵ年計画期間のわが国の年平均潜在成長率を 6-7%と考えている。総合的に見ると、わが国の経済が今後 7%前後の成長速度を維持する ことは可能であるが、直面する不確定要因も比較的多い。なぜなら、将来一時期、世界経 済貿易の伸びは引き続き力を欠き、わが国の投資・消費需要の伸びは鈍化しており、新た な市場空間を形成するには一つのプロセスが必要である。経済構造・技術条件に顕著な改 善がみられない条件下、資源の安全供給、環境の質、温室ガス排出削減等の規制強化は、 経済成長の空間を圧縮することになる。経済運営においては、さらにその他リスクが存在 する。たとえば、レバレッジ率の高止まり、経済リスクの上昇等は、いずれも経済成長に 対する制約を形成する。同時に、経済総量が不断に増大するに伴い、成長速度が相応に鈍 化することは、基本的な法則である。 第13 次 5 ヵ年計画期間のわが国の発展においては、フローの大きさを見るだけでなく質 を見なければならず、質・効率が高く、水増しのない、持続可能な成長の実現に力を入れ、 経済発展方式の転換、経済構造の最適化、生態環境の改善、発展の質・効率の向上に力を 入れる中で、経済成長を実現しなければならない。 (2)「楊偉民会見」の補足説明 総書記は建議の説明において、明確に述べている。18 回党大会で提起した 2020 年まで にGDP と都市・農村個人所得を倍増するという目標についてであるが、過去 4 年の GDP 成長率が8%であるため、もし今年の成長が 7%前後となれば、前半 5 年は大体 7.8%前後 7 ゴチックは筆者。
17 の成長となる。 知ってのとおり、10 年倍増を実現するには、平均成長率は 7.2%が要求される。第 12 次 5 ヵ年計画の 5 年間の成長率が 7.8%だと、第 13 次 5 ヵ年計画期間の成長率は 6.5%以上と される可能性がある。ある人は6.523%の成長率が必要と言っているが、これは試算であっ て目標ではない。わが国は計画を制定する決まった方式があり、中央が建議を提起し、最 後に国務院が計画要綱を提起して、3 月に開催される全人代で審議・承認する。目標につい ては、倍増を実現するという要求と6.5%という最低ラインが十分考慮されるものと信じて いるが、6.5%じたいは決して目標ではない。最後の目標がどのように確定されるかは、来 年3 月になって確定する。
2.戸籍人口の都市化率の引上げ
習近平総書記は、「説明」で以下のように述べている。 戸籍人口の都市化率は、都市化の健全性の程度を直接反映するものである。「国家新型都 市化計画(2014-2020 年)」の予測によれば、2020 年の戸籍人口の都市化率は 45%前後 に達し、2013 年の戸籍人口の都市化率 35.9%から計算すれば、年平均 1.3 ポイント高まり、 年平均1600 万人余りの転籍が必要となる。 現在、常住人口計算によると、わが国の都市化率は既に55%に接近し、都市常住人口は 7.5 億に達している。問題は、7.5 億には 2.5 億の出稼ぎ農民を主体とする外来常住人口を 含んでおり、彼らは都市において、なお教育・就業サービス・社会保障・医療・社会保障 的性格をもつ住宅等の方面の公共サービスを平等に享受することができないことであり、 複雑な経済社会問題をもたらしているのである。 建議案が都市戸籍人口の都市化率引上げを提起したことは、中央が確定した 1 億前後の 出稼ぎ農民その他常住人口が都市の中で住居を定め転籍するという目標の実施を加速しな ければならないということである。この 1 億人は、主として農村学生が進学と軍への応募 により都市に入ってきた人口、都市で就業・居住が 5 年以上となり家を挙げて引っ越して きた農業からの移転人口を指す。 1 億人を都市で転籍させることを実現する意義は重大である。供給面からすれば、労働年 齢人口の総量が減少する情況下、労働力の供給と賃金コストの安定、現代産業の労働者群 の育成にとって、重要な意義を有する。需要面からすれば、消費需要の拡大、不動産市場 の安定、都市インフラと公共サービス施設投資の拡大にとって、重要な意義を有する。 この目標の実現は、経済成長の安定に資するのみならず、社会の公平・正義と調和・安 定にも資するものであり、全面的小康社会の恩恵をより多くの人口に及ぼす内在的要求で ある。このことは、戸籍制度改革措置の実施強化、関連・付帯政策の整備の加速、この目 標の実現の確保を要求するものである。18
3.現行基準下での農村貧困人口の脱貧困実現、貧困県の全面解消、地域的全
面貧困の解決
習近平総書記は、「説明」で以下のように述べている。 農村貧困人口の脱貧困は、小康社会の全面的実現の最も困難な任務である。わが国の現 行の脱貧困基準は、農民1 人当たり年純収入が 2010 年の不変価格で計算して 2300 元とな っており、2014 年の現在価格での脱貧困基準は 2800 元である。この基準によれば、全国 でなお7017 万の農村貧困人口がいることになる。 物価水準とその他要因を総合的に考慮して、毎年現在価格計算による基準を更新する。 試算によると、もし毎年6%の成長率の調整があれば、2020 年の全国脱貧困基準は 1 人当 たり純収入4000 元となる。今後、脱貧困基準が代表する実際の生活水準は、おおむね 2020 年に小康社会の全面的実現が要求する基本水準に達することができ、引き続きこの基準を 採用する。 脱貧困の堅塁攻略プロジェクトを通じて、精確な貧困扶助・脱貧困を実施すれば、7017 万の農村貧困人口の脱貧困目標は実現できる。2011-2014 年、毎年の農村脱貧困人口は、 それぞれ4329 万、2339 万、1650 万、1232 万であった。このため、ハードで有効な措置 の採用を通じて、今後毎年1000 万人の貧困減少任務を達成できる。 具体的には、2020 年までに、①産業支援を通じて、3000 万人の脱貧困を解決できる。② 転職を通じて、1000 万人の脱貧困を解決できる。③他の土地への引越しを通じて、1000 万人の脱貧困を解決できる。これで総計5000 万人前後となる。④なお 2000 万余りの労働 能力を完全あるいは部分的に喪失した貧困人口が残るが、これについては最低生活保障の カバー範囲に全部組み入れることを通じて、社会保障政策が責任を担うことにより脱貧困 を実現できる。4.1 組の夫婦が 2 人の子供を育てることができる政策の全面実施
習近平総書記は、「説明」で以下のように述べている。 現在、わが国の人口構造は、顕著な少子高齢化の特徴が現われており、適齢人口の子育 てへの意欲が顕著に低下し、女性の合計特殊出生率は人口再生産水準より顕著に低い。現 在の子育ての主体は80 年以降生まれ、90 年以降生まれであり、彼らの子育ての観念は変化 しており、子育てのコストも増加している。同時に、社会保障水準が高まり、子育てによ り老後を保障するという社会観念が顕著に弱体化しており、少ない優秀な子供を産み育て ることが社会の子育て観念の主流となっている。 一方で、調査によれば、一方が1 人っ子の夫婦は 2 人の子供をもてるという政策が実施 されて以降、全国で条件に符合した夫婦は1100 万組余りである。今年 8 月末までに、2 人 目の子育てを申請した夫婦は169 万組にすぎず、ウエイトは 15.4%である。 他方、わが国の人口高齢化傾向は顕著であり、2014 年 60 歳以上人口が総人口に占める19 ウエイトは既に15%を超え、老齢人口のウエイトは世界平均水準より高く、14 歳以下人口 のウエイトは世界平均水準より低く、労働年齢人口は絶対的な減少を開始しており、この 傾向はなお続くことになる。これらはいずれも、わが国の人口のバランスのとれた発展と 人口の安全にとって、新たな試練を提起するものである。 1 組の夫婦が 2 人の子供をもてる政策を全面実施することにより、子育ての潜在力を一層 発揮させることを通じて、人口高齢化圧力を軽減し、労働力供給を増やし、人口のバラン スのとれた発展を促進できることになる。これは、中華民族が長期に発展する高度な戦略 的高みに立脚し、人口のバランスのとれた発展を促進する重大な戦略措置である。国家衛 生計画生育委員会等の部門が真剣に試算を通じて、この政策を真剣に実施すれば、実行可 能である。
5.金融体制改革
(1)習近平総書記の「説明」 金融は、現代経済の核心であり、大きな程度経済の健全な発展に影響を与え、さらには これを決定づけることになる。現代金融の発展は、機関の種類が多く、総合的な経営規模 が大きく、商品の構造が複雑で、取引の頻度が高く、クロスボーダー流動が速く、リスク の伝播が速く、影響の範囲が広い等の特徴を示している。国際金融危機が爆発して後、主 要国家はいずれも金融監督管理システムの改革を強化したが、その核心は、監督管理基準 の引上げ、相互補完的な監督管理の合成力とリスク処理能力の形成である。 近年、わが国の金融業の発展は顕著に加速しており、多様化した金融機関体系、複雑な 商品構造体系、情報化された取引体系、より開放的な金融市場が形成され、とりわけ総合 的な経営の傾向が顕著になっている。このことは、現行の分業化された監督管理体制に重 大な試練をもたらすものである。党18 期 3 中全会は、金融監督管理について監督管理の協 調メカニズムを整備するという改革任務を提起した。最近頻繁に顕在化している局部的な リスク、とりわけ最近の資本市場の激烈な変動は、現行の監督管理の枠組みに、わが国の 金融業の発展に適応していないという体制的矛盾が存在することを示し、さらに我々に改 革を通じて金融の安全を保障し、システミックなリスクを有効に防止しなければならない ことを再度はっきり提起している。市場化改革の方向を堅持し、現代金融の特徴に符合し、 監督管理を統一的に企画・協調させ、有力で有効な現代金融監督管理の枠組みを早急に確 立し、システミックなリスクを発生させない最低ラインを固守しなければならない。 国際金融危機以降、主要経済体はいずれもその金融監督管理体制に対し重大な改革を進 めている。主たる方法は、次のものである。 ①重要金融機関・金融持ち株会社への監督管理系統組織を統一的に企画することであり、20 とりわけこれらの金融機関の慎重かつ周到な管理に責任をもつ。 ②重要な支払システム、清算機関、金融資産の登記・委託管理機関等を含む、重要な金融 インフラを統一的に企画・監督管理し、金融インフラの健全で効率の高い運営を擁護す る。 ③金融業の総合統計を統一的に企画し責任をもち、金融業を全てカバーするデータ収集を 通じて、金融のマクロ・コントロールを強化し、金融の安定を擁護する。 これらの方法は、いずれも我々が研究し、参考とするに値するものである。 (2)「楊晶論文」の補足 ①金融機関方面 商業性金融・開発性金融・政策性金融・協同性金融について分業が合理的・相互補完的 な金融機関のシステムを整備しなければならない。レベルが様々で、広くカバーする、差 異のある銀行システムを構築し、民間資本の銀行業参入を拡大する。インクルーシブな金 融を発展させ、中小・零細企業、農村とりわけ貧困地域への金融サービスの強化に力を入 れる。 ②金融市場方面 公開・透明で、健全に発展する資本市場を積極的に育成し、株式・債券の発行・取引制 度の改革を推進し、直接金融のウエイトを高め、レバレッジ率を引き下げる。イノベーシ ョンの需要に符合した金融サービスを開発し、収益の高い債券及び株式・債券が結びつい た資金調達方式を推進する。インターネット金融を規範的に発展させる。巨大災害保険制 度を早急に確立し、保険資産の取引メカニズムの確立を模索する。 ③金利市場化改革方面 金融機関の負債商品の市場による価格決定の範囲を拡大し、金融市場の基準金利体系の 建設を強化し、金利の伝達メカニズムを整備する。人民元レートの市場化された形成メカ ニズムを整備し、合理的均衡水準での人民元レートの基本的安定を維持し、人民元レート の双方向の弾力性を増強する。 ④金融マクロプルーデンス管理方面 統一的な企画・協調を強化し、現代金融市場の発展に適応した金融監督管理の枠組みを 改革・整備し、わが国の国情と国際基準に符合した健全な監督管理ルールを整備し、シス テム上重要な金融機関等への監督管理を強化し、金融リスクへの監督管理の全面カバーを 実現する。国有金融資本と外貨準備の管理制度を整備し、安全で効率の高い金融インフラ を確立し、金融リスク管理手段を有効に運用し発展させ、システミック・地域的なリスク を発生させない最低ラインを固守する。 なお、「建議」では、「開放による発展」の部分で、「金融業の双方向の開放を拡大する。 人民元資本項目の兌換化を順序立てて実現し、人民元のSDR 加入を推進し、兌換可能で自
21 由な使用が可能な通貨にする。外貨の管理・使用方式を転換し、ポジティブリストからネ ガティブリストに転換する。国外投資の外貨兌換規制を緩和し、企業・個人の外貨管理要 求を緩和し、多国籍企業の資金の国外運用制限を緩和する。国際収支のモニタリングを強 化し、国際収支の基本的バランスを維持する。資本市場の双方向の開放を推進し、国内・ 国外投資の限度額規制を改善し、かつ徐々に取り消す」としている。
6.財政・税制改革
(1)「楊偉民会見」 財政・税制改革は、確かに難点の問題である。なぜなら、それは国家全体のガバナンス システムとガバナンス能力に関わるからである。中央と地方の関係、企業・政府・個人の 三者の間の関係、所得をどのように分配するか、これは改革の重点であり、難題でもある。 新しい情況に応じ、これまでの財政・税制改革は、既に比較的全面的な手配を行ってき た。現在、財政・税制改革は、新たな情況に応じ調整は可能であり、一層加速もできるが、 どこを加速するか先後の順序を考慮する必要がある。 今回、権限と支出責任が適応した制度の確立、中央の権限と支出責任の適度な強化、各 方面の積極性、をより強調しているが、その含意はどこにあるのか?これまでの財政・税 制の 1 つの傾向は、中央が集中した税収・財政力が相対的にかなり多く、地方が担う権限 は相対的にかなり少なかった。このため、今後は中央が統一的に企画する権限の強化を考 慮しなければならない。過去と比べて、権限と支出責任はより釣り合うようになろう。な ぜなら、今回の制度改革の基本原則は、権限と支出責任をおおむね釣り合わせることが重 要原則だからである。 税目の属性を考慮し、中央と地方の収入区分をさらに調整しなければならない。これま では分税制を実行し、増値税でいえば、中央がどれだけ、地方がどれだけ、とやってきた。 しかし、将来はこの分税モデルを改め、中央はどの税をとり、地方はどの税をとる、省一 級政府はどの税をとり、市県政府はどの税をとる、という風に改める可能性がある。これ も分税制と言ってよいかもしれないが、税目で按分することとし、税率で按分し税を分け ることはしない。 このようにすれば、経済発展への地方の積極性を動員することに資するし、地方政府の 債務リスクを解消し、インフラ・公共サービスの建設支出を含む地方政府の基本公共サー ビス支出を保障することにも資する。 これまで地方とりわけ末端は、市・県の財政力に比較的限りがあるため、建設に際して は相当大きな程度、土地財政・不動産開発に依存してきた。しかし、現在不動産が調整段 階に入って以後、彼らのこれによる収入は大幅に減少し、建設資金源が問題になっている。 このため、今後税目区分をはっきりさせれば、地方には安定的な税収ができることになり、 このようにすれば、相応の基本公共サービスと社会管理方面の支出を保障できるようにな り、社会の公平をより好く体現できる。22 管理学の意義からすれば、収入が増えた分だけ支出が増えるのでは、使用効率は低い。 この意義からすれば、相応な改革を具体的にどのように推進するか、さらに検討する必要 があると思う。私は、不動産税の改革には税制全体の調整・改革が必要であり、これには 住宅制度改革のより一層の深化と釣り合いをとることも含まれなければならないと思う。 税は 1 つの独立した問題ではなく、それは全分野の体制建設・制度建設と関連しているの で、統一的に企画・考慮する必要があるからである。 (2)「楊晶論文」の補足 ①税制改革 税目が科学的で、構造が最適化され、法律が健全で、規範的・公平で、徴収管理の効率 が高い税制を確立しなければならない。直接税のウエイトを徐々に高め、総合と分類が結 びついた個人所得税制を早急に確立する。増値税改革を推進し、税率を適切に簡略化する。 消費税制度を整備し、エネルギー多消費・高汚染製品、一部のハイグレードな消費財に対 する消費税の調節作用を一層発揮させる。資源税改革を加速し、資源税の従価課税の範囲 を拡大し、環境保護費用の税への転換を推進する。不動産税の立法を加速し、適時改革を 推進する。 ②中央・地方財政改革 権限と支出責任が適応した制度を確立しなければならない。各レベルの政府間の権限と 支出責任を合理的に区分し、中央の権限と支出責任を適度に強化し、支出責任と保障メカ ニズムを相応に調整する。各方面の積極性を動員し、税目の属性を考慮して、中央と地方 の収入区分を更に調整する。 ③予算制度改革 全面的に規範化され、公開・透明な予算制度を確立しなければならない。予算管理とコ ントロールを改善し、政府予算体系を整備し、年度を跨った予算均衡メカニズムと中期財 政計画管理を実施し、発生主義の政府総合財務報告制度を確立する。一般性移転支出の増 加メカニズムを整備し、特別移転支出(補助金)を厳格に抑制する。規範的な地方政府の 起債による資金調達メカニズムを確立し、地方政府の債務について規模コントロールと予 算管理を実行する。イノベーション製品・グリーン製品を優先的に使用する健全な政府調 達政策を整備する。
7.国有企業改革
「楊晶論文」は、次のように補足している。 公有制経済と非公有制経済は、いずれも社会主義市場経済の重要な構成部分であり、い ずれもわが国経済社会発展の重要な基礎である。いささかも動揺することなく、公有制経 済を強固にし発展させ、いささかも動揺することなく、非公有制経済を奨励・支援・誘導 しなければならない。公有制の主体的地位を堅持し、各種所有制資本の長所を取り入れ短23 所を補い、相互に促進し、共同で発展させる。権利・機会・ルールが平等であることを堅 持し、非公有制経済に対する各種形式の不合理な規定を排除し、各種の隠れた障壁を除去 し、各種所有制経済が法に基づき生産要素を平等に使用し、公開・公平・公正に市場競争 に参加し、同等に法律の保護を受けることを保証する。財産権保護の法治化を推進し、法 に基づき各種所有制の経済権益を保護する。民営企業が法に基づき更に多くの分野に参入 することを奨励し、非国有資本を引き入れて国有企業改革に参加させ、条件の整った私営 企業が現代企業制度を確立することを奨励し、非公有制経済の活力と創造力を更に好く奮 い立たせる。 国有企業は、国家現代化を推進し、人民の共同利益を保障する重要なパワーである。改 革を通じて、国有経済の活力・コントロール力・影響力・リスク抵抗能力を不断に増強し なければならない8。 (1)国有企業改革を分類して推進し、現代企業制度を整備しなければならない 異なる国有企業の実際の情況と結びつけ、異なる国有企業の機能を精確に画定し、分類 した改革・分類した発展・分類した責任確定・分類した考査を実行する。財産権が明確で、 権限責任が明確で、政府と企業が分離し、管理が科学的な現代企業制度を整備し、会社の ガバナンス構造を健全化する。国有企業が混合所有制経済を発展させることを穏当に推進 し、国有資本が多様な方式で非国有企業を資本参加させることを奨励し、国有資本投資プ ロジェクトに非国有資本を参加させることを認める。 (2)各種国有資産管理体制を整備し、資本管理を主として国有資産管理を強化し、国有 資産の流出を防止しなければならない 企業内部の監督管理システムを整備し、権力・資金・資源・資産が集中している部門・ ポストへの監督を強化する。健全で効率が高く協同した外部監督メカニズムを確立し、出 資者による監督を強化し、外部から派遣された監事会制度を強化し、紀律検査・監察・監 督・巡視活動を強化し、国有資本の会計検査による監督システムと制度を健全化し、企業 の国有資産を全て会計検査による監督でカバーする。国有資本の授権経営体制を改革し、 国有投資・運営会社を改組・再編し、国有資本を市場で運用する専業プラットホームを形 成する。国有資産出資者による監督管理の境界を科学的に画定し、監督管理の権限リスト と責任リストを確立し、「企業管理を主」から「資産管理を主」へと転換する。 (3)国有資本の健全で合理的な流動メカニズムを整備し、国有資本の配置の戦略的調整 を推進しなければならない 国有資本を誘導し、国家の安全・国民経済の命脈に関わる重要業種とカギとなる分野に、 更に多く振り向け、国有企業を断固として優良化・強大化し、国家の戦略目標に更に好く 8 ゴチックは筆者。