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日本製造業の強み:「すり合わせ」と「つくり込み」

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(1)

日本のものづくりと情報技術

「統合型ものづくり」とIT構築

ー 組織能力とアーキテクチャの観点から ー

2007年7月

東京大学大学院経済学研究科教授

東大ものづくり経営研究センター長

ハーバード大学上級研究員

藤本隆宏

(2)

設計をベースにした「開かれたものづくり」への発想転換

東京大学 藤本隆宏 製造業の生産現場 サービス業の サービス現場 製造業の生産現場 製造業の 開発・購買・販売現場 サービス業の 開発現場 製造業 非製造業 生産現場 開発・購買・販売現場 従来の 狭いものづくり観 これからの 広いものづくり観・・・ 「開かれたものづくり」 製造業 非製造業 生産現場 開発・購買・販売現場 良い話だが・・広がりが無い。 「もの」ではなく「設計」から 発想する

(3)

「ものづくり」とは「設計情報の良い流れ」を作ること

東京大学 藤本隆宏 現場・現物からの発想 ・・・ モノよりはむしろ「設計」に着目 現物 = 設計情報+媒体 アリストテレス ・・・ 現物=形相+質料 (形相が本質) 製品(物財・サービス)は、人工物 (あらかじめ設計された何か) である 媒体が有形なら製造業(物財) 無形ならサービス業 付加価値の主たる源泉は設計情報にある (媒体はそれを伝える器である) 開かれた(広義の)ものづくり ・・・ 人工物に託して、設計情報を創造し、 転写し、発信し、お客に至る流れを作り、顧客満足と経済成果を得ること。 媒体 設計 情報 質料 形相 有形媒体 設計 情報 設計 情報 無形媒体

(4)

「設計情報価値説」による組織能力分析

製品とは設計情報が媒体=素材に転写されたものである

東京大学 藤本隆宏 製品設計情報 媒体(メディア)=素材 製品=設計情報+媒体 製品=情報+媒体 製品とは、設計情報を素材(媒体)に転写したものだ

(5)

ものづくり=開発・生産・購買のトータルシステム(販売も一部入る) 製品開発・・ 新しい設計情報を創造すること 生産・・・・ 設計情報を工程から製品へと繰り返し転写すること 販売・・・・ 設計情報を媒体に乗せて顧客のもとへと発信すること 消費・・・・ お客が製品に仕込まれた設計情報を解読し満足を得ること 以上の視点から、もの造りの仕組み(組織ルーチン)を、「設計情報を上手に創 り、流し、滞留させず、顧客に届けるための標準的な手順」読み替えていく ものづくりの組織能力= 他社よりも上手に、現場での設計情報の創造と転写を行ない、 それを自社製品の競争力に結び付ける、組織全体の実力 ものづくりの組織能力は、簡単には真似されない。 すぐに買ってくることも出来ない。蓄積するしかない。

設計情報の視点からものづくり活動を読み替える

東京大学 藤本隆宏

(6)

お客さんが カッコいいと 思ってくれる ボディの デザイン 厚さ0.8ミリの鉄板 設計情報 東京大学 藤本隆宏 素材=媒体

(7)

お客さんが カッコいいと 思ってくれる ボディの デザイン 厚さ0.8ミリの鉄板 これを創造するのが開発 これを買ってくるのが購買 この二つを結合するのが生産 (設計情報を素材に転写すること) 東京大学 藤本隆宏

(8)

プレス工場で起こっていること・・・生産=転写

• 金型=「かっこいいボディ」の設計情報が鉄の塊の中に埋め込まれている。 • 1分に10回近いペースで、その情報が、 1000トンを超えるエネルギーを使って、鉄板に「転写」される。印刷と同じ。 • つまり、プレス生産は、金型が持っている設計情報を鉄板に転写する活動。 • しかし、うまくやらないと、鉄板は破れる、ゆがむ、しわがよる。つまり転写ミスがおこ る。 • いかに速く、安く、正確に転写するかが、現場の腕のみせどころ! 東京大学 藤本隆宏

(9)

プレス工程:

鉄板が金型の持つ設計情報を吸収し、

クルマのサイドボディに変身する

つまり、金型が持つ設計情報を、鉄板という素材に転写する

(10)

お客さんが カッコいいと 思ってくれる ボディの デザイン 厚さ0.8ミリの鉄板 製品とは、設計情報が素材(媒体)に 転写されたものである 設計情報を創造するのが開発 設計情報を素材に転写するのが生産 それをお客さんに発信するのが販売 東京大学 藤本隆宏

(11)

ものづくり現場 ・・・ 生産・開発・購買・販売を含む

東京大学 藤本隆宏 製品開発=製品設計情報の創造 生産=製品設計情報の転写 生産工程=製品設計情報    のストック 素材=媒体(メディア) 仕掛品=媒体(メディア) 製品=製品設計情報 + 媒体 製品設計情報 開発は設計情報の創造である;生産は設計情報の転写である = 媒体(メディア) = 情報

開発

= 設計情報の創造

現場 = 顧客(市場)へ向かって設計情報が流れる場

購買

= 媒体の調達

生産

= 設計情報の転写

販売

= 設計情 の発信

(12)

ものづくり現場に遍在する「設計情報」にこだわり、 製品・工程における設計のありかたを虚心坦懐に観察することから出発し、 そこから組み立てなおす戦略論・産業論 その柱は2つ ① ものづくりの組織能力 = その企業特有の「設計情報の流し方」のうまさ ② アーキテクチャ(設計思想) = その製品・工程の「設計情報のつなぎ方」

「ものづくり現場発の戦略論・産業論」とは

ものづくり現場 産業 企業 経済 東京大学 藤本隆宏

(13)

統合型ものづくり・ひとづくり・ITとアーキテクチャの「相性」

東京大学 藤本隆宏 裏の競争力 表の競争力 収益力 能力構築競争 統合型ものづくり 組織能力 統合型ひとづくり (多能工が中心) 統合型 IT構築 (協調環境対応) 統合型設備作り (ローコスト自働化) 相 性 ! 擦り合わせ型 アーキテクチャの 製品

競争と相性が競争力を生む

(14)

「相性」と「能力構築競争」が競争力を生む

東京大学 藤本隆宏 能力構築競争 擦り合わせ (インテグラル) アーキテクチャ製品 統合型IT構築 (協調作業環境・多能工・ 多品種小ロット変量生産対応) 統合型ものづくり 組織能力 (チームワーク・多能工・改善) 相性 相性 相性 競争力

(15)

統合型ものづくりの組織能力

擦り合わせ (インテグラル) アーキテクチャ製品 統合型IT構築 (協調作業環境・多能工・ 多品種小ロット変量生産対応) 統合型ものづくり 組織能力 (チームワーク・多能工・改善) 相性 相性 相性 競争力

(16)

「統合型ものづくりシステム」の組織能力

20世紀前半、輸出トップだった綿織物で確立した生産システムが自動車に移転。鐘紡・武 藤三治、東洋紡。昭和初期10年で生産性2倍、能率協会・堀米建一、豊田紡織・大野耐一 20世紀後半の日本で本格的に発達。世界に発信された知的資産・・・ 「統合型ものづくりシステム」(チームワーク、情報共有) いわゆる「トヨタ生産システム」は 「統合型ものづくり」の一つの(しかし最強の)バリエーション 丸写しでもなく、拒否反応でもなく、広い視野からトヨタに学ぶ まず、トヨタ的生産・開発システムの諸要素(ルーチン)を抽出 生産:かんばん、TQC、自働化、・・・ 開発:HWPM、オーバーラップ型開発、・・・ これを「設計情報の創造と転写のシステム」として読み替える作業 これにより、競争力の高い開発・生産・購買トータルシステムとして 一貫性のある説明が可能となる 東京大学 藤本隆宏

(17)

「設計情報の創造・転写システム」としてみた

トヨタの開発・生産組織能力

① 生産:「工程から製品への、密度・精度の高い設計情報の転写」として 統一的に説明できる。 ② 製品開発:「早期で統合的な問題解決サイクルの束」として 統一的に説明できる。 ③ サプライヤー・システム: 「長期安定取引」「少数者間の能力構築競争」「まとめて任せる」 という3つのルーチンの相互補完性により説明できる。 要するに・・・「知(設計情報)のめぐりの良い組織」である 東京大学 藤本隆宏

(18)

作業者の 動き ム ダ 作 業 正味 作業 付加価値 の な い 作業 すぐに省けるもの • 手待ち • 意味のない運搬 • 中間製品の積み重ね • 持ちかえ • 運搬の2度手間 いまの作業条件の下では, やらなくてならないもの • 部品を取りに行く • 外注部品の包装をとく • 大きなパレットから部 品を小出しに取り出す • 押切りボタンの操作 日本能率協会「トヨタの現場管理論」p179

トヨタ生産方式は正味作業時間比率(情報転写時間比率)を重視

(19)

要素生産性と生産リードタイム(概念図)

第2工程の生産性 (1個あたり工数) 第1工程の生産性 (1個あたり工数) サイクルタイム 作業者 原材料 仕掛品 最終製品 第1工程 第2工程 在庫時間 在庫 時間 在庫 時間 在庫時間 搬送 時間 サイクルタイム サイクルタイム 生産リードタイム 受信側(リードタイム) 発信側(生産性) サイクルタイム 作業者 正味作業時間(情報発信時間) 正味作業時間(情報受信時間) 情報の受発信のない時間 (在庫、手持ち、運搬、など) 生産資源

(20)

生産性改善策の類型

(1) 作業・機械の正味作業時間比率(=正味作業/工数)アップ = 転写密度のアップ ・手待ちのムダとり ・・・ ラインバランス、多作業持ち、助け合い ・動作のムダとり ・・・ 動作の合理化(動作経済) ・搬送・物流のムダとり ・・・ 二度手間 ・段取り替時間の圧縮・ゼロ化 ・・・ 外段取り化、段取りレス化、技術改良 ・歩行時間、ワーク選択・取り出し、ワーク着脱、起動時間の圧縮 ・設備可動率アップ(設備故障・チョコ停への対応時間の短縮) ・設備稼働率アップ(ラインあたりの生産量アップ、品種数アップ) (2) 作業・機械の正味作業スピード(正味作業時間/個)アップ = 転写速度のアップ ・習熟曲線の利用 ・・・ 安定的な作業配分、動作の標準化 ・新技術による転写速度アップ ・・・ 切削速度(回転・送り)、反応速度アップ ・新技術による作業の省略・統合 ・・・ 自動化・無人化、加工レス、仕上レス、組立レス (3) 原材料生産性(歩留まり・原単位)のアップ ・・・ 被転写側の効率アップ ・製品あたりの組み付け部品点数の低減・削除 ・・・ VA/VE活動 ・製品あたりの素材使用量の削減 ・・・ 材料取りの効率化、素形材の加工しろ削減 ・工程内良品率アップ(品質作りこみ、工程内検査、最終検査の充実) ・新技術による原単位(製品あたり材料・燃料使用量)の低減・削除 東京大学 藤本隆宏

(21)

生産リードタイムの短縮

プロセス流れ図を時間流れ図に書き換える → 工夫してリードタイム短縮 東京大学 藤本隆宏 オペレーション(作業) モノの流れ 情報の流れ 各ステーション(作業者・設備・ソフト・マニュアルなど)に 配備された設計情報 凡例: プロセス(工程) 工程1 工程2 工程3 工程4 ・・・製品A・・・ 生産リードタイム 工程1 工程2 工程3 工程4 製品A 製品A 製品A 製品A プロセス流れ図 時間流れ図

(22)

生産リードタイムの要因分解:設計情報転写の発想から

作業者・機械からの製品設計情報の発信 原材料 仕掛品 最終製品 第1工程 第2工程 在庫時間 在庫 時間 在庫 時間 在庫時間 搬送 時間 サイクルタイム サイクルタイム 生産リードタイム 凡例: 情報を受信していない時間 (在庫、運搬、など) 正味作業時間(情報受信時間) 受信 受信 東京大学 藤本隆宏

(23)

生産期間の短縮

(1)製品あたり設計情報転写時間(正味作業時間)の短縮 新生産技術による加工時間、反応時間の短縮 (2)製品あたり設計情報非転写時間(倉庫内、輸送中、搬送・加工待ち)の短縮 倉庫内:原料・仕掛品・製品倉庫内の安全在庫削減、不要在庫削除 輸送中:拠点間・ライン間・工程間の近接化、高速輸送化 搬送待ちサイクル在庫:搬送ロットサイズ削減、1個流し化 加工待ちサイクル在庫:搬送ロット削減、可動率アップ、ラインバランス 東京大学 藤本隆宏

(24)

工程改善策の類型

(1) 生産期間に占める正味作業時間比率のアップ = 転写密度のアップ ・原材料・仕掛品・製品の安全在庫、不要在庫削減 ・拠点間輸送の近接化・高速化 ・ライン間搬送の近接化、高速輸送化 ・機能別レイアウトの製品別ライン化、ライン短縮、工程間距離の短縮(間締め) ・拠点間搬送ロットサイズの縮小 ・ライン間搬送ロットサイズの縮小、 ・可動率アップ 〔設備故障・チョコ停時間低減、段取り替え時間低減) ・ラインバランスの改善(同期化) (2)生産期間内の正味作業スピード(正味作業時間/個)アップ = 転写速度のアップ ・習熟曲線の利用 ・・・ 安定的な作業配分、動作の標準化 ・新技術による転写速度アップ ・・・ 切削速度(回転・送り)、反応速度アップ ・新技術による作業の省略・統合 ・・・ 自動化・無人化、加工レス、仕上レス、組立レス (3) 需要予測の高精度化 (4) 工数計画の柔軟化:需要にあわせた生産能力の弾力的調整 (5) 生産計画の柔軟化: 需要変動に合わせた生産計画の段階的調整 (6) 生産統制の厳格化: 計画通りの生産の実現(可動率、直行率などのアップ) 東京大学 藤本隆宏

(25)

東京大学 藤本隆宏 A M B (M) A A B B M M M 現場管理者層に よる作業標準の 改訂 作業設計・設備設計 製造性を考慮 した製品設計 製品設計 製造性を考慮 した部品設計 部品設計 多能工 多工程もち;柔軟な課業配分; 少人化 正味作業時間の最大化 作業者、設備 作業者が改善活動に参加 作業設計・設備設計 作業者、設備 設備の自主設計・内製 既存設備の小きざみな改善 ローコスト自動化 フレキシブルな設備 段取替時間の短縮 予防保全 コミュニケーション 情報非発信・非受信時間 (ムダ等)の圧縮(JIT、 アンドン、ラインストップひも) 部品メーカーによる 継続的改善 部品サプライヤー カンバン JIT納入 原材料在庫の削減 第1工程 工程フローの設計の改良 作業・設備設計の改良に 先行させる。 1個流し、または 仕掛品在庫の削減 第2工程 混流(小ロット)  組立ライン 最終製品 在庫の削減 生産量と 製品ミックス の平準化 (短期的な) プル・システム ディーラー  顧客 情報転写ペースの均斉化 (平準化、小ロット生産)  仕様書等 (承認図方式) M+A+B M+A (M+A+B) トヨタ的生産システムの組織能力:生産性と生産リードタイム 凡例 : 検査 加工 生産資源 在庫 モノのフロー 情報フロー 情報内容 A,B,M

設計情報の流れからみたトヨタ・システム(1:生産性・生産期間)

(26)

東京大学 藤本隆宏

設計情報の流れからみたトヨタ・システム(2:品質)

yes no no M+A A M M M ? B 製品設計 作業者、設備 作業者、設備 作業者、設備 コミュニケーション 継続的改善 工程における ノイズの除去 (5Sなど) 不良情報の 迅速な フィードバック 顧客 最終検査 第2工程 スクラップ、 手直し 凡例 : 検査 加工 生産資源 在庫 モノのフロー 情報フロー 情報内容 A,B,M 工程に体化した情報ストックの維持 (TPM、作業者訓練、作業標準の整備)   誤情報発信の防止 (ポカヨケ、自動化など) サプライヤーの 品質作り込み 部品 サプライヤー サプライヤーによる 継続的改善 部品の無検査 納入 第1工程 スクラップ、 手直し スクラップ、 手直し  自主検査 (品質作り込み) yes M+A? yes 1個流し、または 仕掛品在庫の削減 スクラップ、 手直し yes M+A+B? M+A+B M+A+B? M+A  不良情報の顕在化 (アンドン、自動化) M+A+B M+A+B (M+A+B) no no 製造性を考慮した製品設計 トヨタ的生産システムの組織能力:適合品質

(27)

アーキテクチャ(設計思想)

-擦り合わせ型と組み合わせ型-

統合型ものづくり 組織能力 (チームワーク・多能工・改善) 統合型IT構築 (協調作業環境・多能工・ 多品種小ロット変量生産対応) 擦り合わせ (インテグラル) アーキテクチャ製品 相性 相性 相性

(28)

アーキテクチャとは:○(設計)の中をのぞいてみよう

東京大学 藤本隆宏 お客さんが カッコいいと 思ってくれる ボディの 設計

設計者は、どんな発想で設計をしているのだろうか?

(29)

Modular Architecture モジュラー(組み合わせ)型 Integral Architecture インテグラル(擦り合わせ)型

モジュラー(組み合わせ)型アーキテクチャと

インテグラル(擦り合わせ)型アーキテクチャ

サスペンション ボディ エンジン 走行安定性 乗り心地 燃費 計算 印刷 投影 パソコン プリンター プロジェクター パソコンのシステム 乗用車 東京大学 藤本隆宏 製品の構造 製品の構造 製品の機能 製品の機能

(30)

仮説:日本企業が強かった製品アーキテクチャ・・・

「擦り合わせ」と「囲い込み」

東京大学 藤本隆宏 モジュラー (組み合わせ) インテグラル (擦り合わせ) オープン (業界標準) クローズド (囲い込み) 日本企業の強かった分野? 乗用車、オートバイ ゲームソフト、 軽薄短小家電、他 メインフレーム パソコン、同ソフト、 インターネット、 新金融商品、自転車、 工作機械 レゴ 米国(中国)企業が強い?

(31)

日本企業は「擦り合わせ製品」で強い

インテグラル・アーキテクチャ度

輸出比率

(32)

東京大学 藤本隆宏 統合型ものづくり 組織能力 (チームワーク・多能工・改善) 統合型IT構築 (協調作業環境・多能工・ 多品種小ロット変量生産対応) 擦り合わせ (インテグラル) アーキテクチャ製品 相性 相性 相性

統合型組織能力と統合型 I Tは相性がよい

(33)

ものづくりITと組織能力の「相性」・・・自動車組立の例

小ロット多頻度納入(一部は後補充)を基本とし、ぎりぎりまで販売と生産計画の 相互調整(オーダーエントリーシステム)を行ない、さらにそれらを改善していく日 本の自動車メーカーの生産管理 自動車の組立では、後補充の小ロット納入(かんばん方式)、実際の組立順序に 従う順序納入、生産順序計画(詳細スケジューリング)にもとづく順序納入、車体 ごとのキット納入(セット納入、マーシャリング)が並存。 従来型MRP/ERPは、計算のロジックは完璧だが、小ロット・多頻度・修正・改 善に弱い)とは、必ずしも相性がよくない。 汎用のERPパッケージを使うが、生産管理ソフトのみ自前の統合型に置き換え る会社も少なくない。 ASPへの期待。現場の改善によって進化する生産支援ITは可能か。 東京大学 藤本隆宏

(34)

MRP (Material Requirement Planning)の計算体系

P(t) Gi(t) Ni (t)=Gi - Ii - Oi Yi (t)=ΣNi(t) Xi (t)=Yi (t-ti) MRPは、中日程計画(Master Schedule)をインプットとし、構成部品表(Bill of Materials)を 多ステージ生産工程の全ステップに対して製造指示を行うための情報を作り出す。 中日程計画 (マスター スケジュール) 完了ベース (入庫ベース) スケジュール 着手ベース (発注ベース) スケジュール 期間別 総所要量 (部品 i) 期間別 正味所要量 (部品 i) Ⓞ ① ② ③ ④ 子部品のレベルに移って同じ手順を繰り返す 総所要量計算 正味所要量 計算 ロット編成計算 先行計算 部品展開 在庫・発注残を 差し引く ロットをまとめる 納入リードタイムを 勘案する 構成部品表 (bill of materials) 手持在庫ファイルli(t) 発注残ファイルOi(t) ロットサイズ決定ルール 都度発注 定量発注 定期発注、ほか 部品別 リードタイムファイル (Lti) 1 2 3 4 東京大学 藤本隆宏

(35)

全般的生産計画 (Aggregate Production Planning)

基準生産計画 (Master Production Schedule)

資材所要量計画(狭義のMRP) 工数計画 (CRP) yes 工数計画(CRP) の実施 資材所要量計画(MRP) の実施 能力的に実行可能か? no 修 正 フィード バック

資料:R. Chase and N. Aquilano. Production and Operations Management。

(36)

トヨタの生産計画システム

トヨタの生産計画は、徐々に生産カテゴリー(モデル → 標準仕様 → 特注仕様)、時間単位(月→旬→ 日→サイクルタイム)およびその中での計画精度を絞り込んでいく方式がある。つまりスケジュール修正 と精度アップを繰り返し、徐々に収斂させる。 前々々月(N-3) 前々月(N-2) 前月(N-1) 当月(N) 上旬 中旬 下旬 月次計画 旬オーダー 特注オーダー ・ 順序計画 当日 月次計画 確定 旬オーダー確定 5~10日

~~~~

~~~~~

~~~~

~~~~~

~~~

(ディーラーより) ( 7 日 標準仕様別 ・ バージョン ・ ミックス モデル(車名)別 ・ 組立ライン別生産計画(マスター) (1日単位) (1日単位) (1日単位) (サイクルタイム単位) ( ( 4 日 確定

~~~

( 2 日 確定 特注オーダー (デイリーオーダー) 生産順序計画

5 日

中旬 東京大学 藤本隆宏

(37)

組立工程 部品工程 完成部品 置き場 組立ライン サイド 現品票として機能 引取かんばん 仕掛かんばん 現品票として機能 引取かんばん 納入指示として機能 仕掛かんばん 生産指示として機能 組立指示 組立完了 子部品工程 子部品 置き場 部品ライン サイド 現品票として機能 引取かんばん 仕掛かんばん 現品票として機能 引取かんばん 納入指示として機能 仕掛かんばん 生産指示として機能 空 空 空 空 部品消費 部品消費 資料:新郷重夫、前掲書を参考に筆者作成。

かんばん方式:

(かんばん、コンテナ、現品の流れ)

部品消費 かんばん 凡例: 部品箱 部品現物 現物の流れ 情報の流れ かんばん 東京大学 藤本隆宏

(38)

自動車組立部品のロット納入

(工程数6、部品点数6、品数数3) C B A C B A A B C A B C A B C A B C A B C A B C A B C A B C A B C A B C A B C A B C A B C A B C A B C A B C A B C A B C A B C A B C A B C A B C A B C A B C 部品箱の間口=18、部品箱内の部品は同一アイテム、同一品種 組立ライン ボディ 東京大学 藤本隆宏

(39)

自動車組立部品の順序納入

(工程数6、部品点数6、品数数3) C B A C B A A B C A B C C A B C C A A B C A B C C A A B C C 部品箱の間口=6、部品箱内の部品は同一アイテム、ボディ順 組立ライン ボディ 東京大学 藤本隆宏

(40)

自動車組立部品のセット納入

(工程数6、部品点数6、品数数3) C B A C B A A B C B A C B A C A B C A B C A B C A A A B B B A B B A A B 部品箱の間口=2、部品箱内の部品は同一ボディ用、工程順 組立ライン ボディ 東京大学 藤本隆宏

(41)

小ロット・1ロット生産に即応する生産管理ITを

日本企業の生産ラインは、多くの場合、小ロット・1ロットの順序生産 トヨタの1台ロット平準化生産/小ロット後補充納入 日産の1台ロット平準化生産/1台ロット計画順序納入 本田の小ロット計画順序生産/小ロット計画順序納入 ラインストップ、品質不良により計画順序・計画時間が乱れる(塗装直行率など) 生産側(例えば日産自動車)の計画順序遵守能力の向上が必須 納入側(例えばジャトコ)の1ロット生産対応能力が順序生産の深度を決める こうした変動に追随できる生産管理ITは? 1台ロット対応・変化即応型のAPSへの期待 自ら進化し、現場の組織能力も進化させるITが構築可能か? 東京大学 藤本隆宏

(42)

問題発見・解決能力を進化させる日本発ITの可能性

進化する日本のものづくり現場能力と相性のよい改善支援ITを構築できないか

ひとつの方向性:ブリヂストンの「FOA」(Flow Oriented Approach)

奥雅春 ブリヂストン常務「問題顕在化力をさらに高める生産現場の情報武装化」『IEレビュー』245号 現場の継続的改善活動(PDCAサイクル)を支援するIT 短期保存の改善データ(普遍的な尺度)をネットワーク上で共有 情報を加工せず、現場発生の生データを、即、ネットワークに乗せる 共有ファイルではなく共有フロー(加工しすぎデータを長期保存するな) 情報の加工は、問題解決担当者が行う(必要なとき必要なだけ) 問題解決にとって適切な粒度・・・現場で多用するコトバで切り出す。 社長・役員から工場長・部課長・現場担当者まで同じフローにアクセス 日々使いこなすことで、データ構造も、組織能力も、ともに進化する 現場の問題解決能力も、上司の指示・評価能力も、ともに向上する。 エクセルのみ。非常に安い! 中小企業も使える。管理も少人数 日本発ものづくり支援ITの、ひとつの方向性を示すアイデアが満載されている 東京大学 藤本隆宏

(43)

購買ITと組織能力

統合型ものづくり 組織能力 (チームワーク・多能工・改善) 統合型IT構築 (協調作業環境・多能工・ 多品種小ロット変量生産対応) 擦り合わせ (インテグラル) アーキテクチャ製品 相性 相性 相性

(44)

統合型購買・擦り合わせ製品とインターネットの「相性」

東京大学 藤本隆宏 擦り合わせ (インテグラル) アーキテクチャ製品 統合型ものづくり 組織能力 (チームワーク・多能工・改善) 分業型購買IT構築 (分散型ネットワーク、 ネット購買・ネット入札重視) 擦り合わせ (インテグラル) アーキテクチャ製品 不適合? 相性 不適合?

(45)

日本自動車メーカーの「統合型購買」の組織能力

擦り合わせアーキテクチャ製品の購買管理 ・・・ オープン製品の場合とは異なる 従来の日本型システムの強みを崩さずに、新たな能力を加えていく必要がある (1)一旦選んだら安定的な取引 (2)サプライヤー間の能力構築競争の確保(「世界最適調達」も含め) (3)サプライヤーに「まとめて任せる」 この「3本柱」 (三種の神器)は堅持する(「系列なき日本型モデル」の追求) 系列の「ぬるま湯」的部分は、徹底的に排除する(能力構築競争の貫徹) カーメーカー側の「サプライヤー多面評価能力」の維持・向上が鍵 東京大学 藤本隆宏

(46)

ITとアーキテクチャ:電子調達の事例

自動車部品はすべてインターネット調達?? 否 部品それぞれのアーキテクチャ特性と取引方式を見る必要がある 現在のインターネットの限界:セキュリティや帯域保証 今のところ、機密性の高い情報、重い情報は苦手 ネット調達に適した汎用部品・単純貸与図部品の比率は、自動車では多 くとも10〜20% この比率は、製品アーキテクチャによって異なる。 家電は30%以上?、パソコンは50%以上? いわゆる「デル方式」の顧客受注生産方式(BTO)が、自動車などで難し い一因は、製品の複雑性とアーキテクチャの違いである。 東京大学 藤本隆宏

(47)

取引形式の選択とネットワーク選択

製品アーキテクチャごとに情報の性質は異なる ①汎用品(カタログ発注)、 ②貸与図部品(発注側作成の完成図面を送付)、 ③承認図・委託図部品(未完成の設計情報が行きかう) 取引段階ごとに、情報の特性は異なる サプライヤー選別 → 設計分担・連携 → 量産部品発注 ネットワークごとに情報の伝送能力やセキュリティ保証能力は異なる 企業別ネットワーク/業界標準ネットワーク/インターネット これらの間の「相性」とダイナミックな相互作用に留意する必要がある 取引段階ごとにネットワークを使い分けるか、統一するか 東京大学 藤本隆宏

(48)

専用回線 (企業別) 業界標準ネットワーク (JNX) インターネット(制限あり) インターネット(制限なし) 電子調達ネットワークの同心円

電子調達ネットワークの同心円

東京大学 藤本隆宏

(49)

情報ネットワークと部品設計アーキテクチャ・取引方式

情報ネットワークの特性 企業別ネットワーク、業界標準ネットワーク、インターネットは ネットワーク構造、伝送能力、セキュリティ面でそれぞれ異なる 将来、インターネット技術の進化がネットワークの一本化をもたらす 可能性はあるが、当面は、それぞれの特性に応じた使い分が基本となる 部品設計アーキテクチャと情報特性 クローズド・インテグラル(カスタム)、 クローズド・モジュラー(社内共通)、 オープン・モジュラー(コモディティ)の違いによって情報特性が異なる 取引段階と情報特性 サプライヤー選別、部品設計、量産品発注の各段階で 流れる情報の特性は異なる 東京大学 藤本隆宏

(50)

アーキテクチャ・取引方式・電子取引ネットワークの相互適応

アーキテクチャ・取引方式・電子調達ネットワークの相互適応 アーキテクチャ 取引方式 電子調達ネットワーク カスタム部品 (クローズ) (インテグラル) 通常の承認図方式 デザイン・イン 貸与図方式 市販品調達方式 コア部品 機能完結部品 インターネット 専用回線による 業界標準ネットワーク 誰でも作れる単純部品 誰でも買える汎用部品 超機密性 機密性・帯域保証 コモディティ部品 (オープン) (モジュラー) 入札 カタログ 購買 開発 コンペ 特命 1対1の専用回線 特に緊密な共同開発 アーキテクチャ 取引方式 電子調達ネットワーク 東京大学 藤本隆宏

(51)

情報ネットワークの選択にひきずられて、部品のアーキテクチャ選択を間違えるリスク 例:ボルトのネット・オークション ITの時代は、「アーキテクチャ選択の失敗」に要注意。 (1)汎用部品であるべきものをカスタム部品化 → 過剰設計と高コスト化に陥る(日本企業に多い失敗) (2)カスタム部品であるべきものを汎用部品化 → 設計品質・経年品質の劣化と中古価格の低落に陥る(米国企業に多い) グローバルなアーキテクチャ戦略の構築(アーキテクチャによる立地の使い分け) 例:オートバイ部品(日本と中国)

アーキテクチャ選択の失敗に要注意

東京大学 藤本隆宏

(52)

製品開発のITと組織能力

統合型ものづくり 組織能力 (チームワーク・多能工・改善) 統合型IT構築 (協調作業環境・多能工・ 多品種小ロット変量生産対応) 擦り合わせ (インテグラル) アーキテクチャ製品 相性 相性 相性

(53)

統合型製品開発と分業型製品開発

東京大学 藤本隆宏 統合型製品開発 (慢性的人手不足であった日本で発達) 多能化・少数精鋭 ・・・ 設計者が機能設計も構造設計も オーバーラップ (ラグビー) ・・・ 上流が完了する前に下流も作業スタート 未完成情報の頻繁なやりとり ・・・ 複数が同時に設計情報を見る チームワーク: 試行錯誤的な連携調整サイクルを迅速に回す 分業型製品開発 (移民の国でアメリカで発達) 専門化・細分化 ・・・ 設計者は機能設計、オペレータは構造設計(形状) シーケンシャル (リレー) ・・・ 上流が完了したら下流が引き継ぐ 完全な設計情報の受け渡し ・・・ 各人が1つの設計情報に集中する プロフェッショナリズム・・・個人の専門能力をつないで結果を出す

(54)

統合型製品開発の組織能力:自動車の事例

(複雑な擦り合わせ製品) 3つの「裏の競争力」(1980年代) ①開発期間 ・・・ コンセプトから5年(欧米) vs 4年(日本) デザイン決定から40ヶ月(欧米) vs 30ヶ月(日本) ②開発工数(生産性)・・・-約2倍: 日本170万人時 vs 欧米300万人時 ③総合商品力 ・・・ 企業による(日本2社、欧州2社はトップクラス) (クラーク・藤本『製品開発力』より) 東京大学 藤本隆宏

(55)

統合型開発の組織能力:

基本は「早期・協調的な問題解決」

• 部品メーカーの早期開発参加 (デザインイン・承認図方式・部品共同開発) • 製造現場の統合型組織能力を製品開発へ活用(試作・金型・量産立上げ) • オーバーラップ型開発 (設計・開発と生産準備が緊密な連携調整) • 少数精鋭のプロジェクトチーム (多能化したエンジニア) • 重量級プロダクト・マネジャー (コンセプト責任を持つ強い開発リーダー) (クラーク・藤本『製品開発力』より) 東京大学 藤本隆宏

(56)

問題発見 カーブ 開発完了 未解決の問題 (最小化) 問題解決カーブの前方シフトによる期間短縮 今回プロジェクトで 解決すべき問題の数 開発期間 問題解決 カーブ 問題数 対策提案 カーブ 前回プロジェクト が残した潜在的な 問題の総数

資料:Fujimoto (1997) "Shortening Lean Time through Early Problem Solving - A New Round of Capability-Building Competition in the Auto Industry -" Tokyo University Discussion Paper 97-F-12.

対策期間 未発見の問題(最小化) 先行プロジェクトからの知識移転(知識のフロント・ ローディング)による事前問題解決(最大化) 累積問題解決カーブの前方シフト (フロント・ローディング、  オーバーラップ、作業分割) 開発開始

フロントローディング: 累積問題解決カーブの前方シフト

(57)

-10 -15 -5 -20 アンダーボディ先行設計 生産開始 外観デザイン承認 デザイン作業 熟成 詳細設計 試作車製作 実験・評価 工程設計 量産試作 フィードバック CAE、ラピッドプロトなど レイアウト計画 レイアウト図 資料:A 社学会発表(1997年3月)より筆者作成 -25 月 工程設計のオーバーラップ 試作を1回に削減 CAE などによるフロント・ローディング 量産試作を1回に アンダーボディ設計の分割・前出し A 社における新しい開発日程の構想(1997年)

A社の18ヶ月開発日程

東京大学 藤本隆宏

(58)

課題: 業界標準の「パッケージCAD」にどう対処するか

・日本の自動車メーカーのCADはもともと自前CADだった。 ・チームで開発する、エンジニアも図面を書く、日本の製品開発状況に合ったCAD。 ・トヨタは、一番最後まで自前の「統合CAD](ユニシスと連携)。 ・マツダはフォードに合わせてIDEAS、日産はルノーに同調せずIDEAS。 ・本田は事実上、CATIAのバージョン4までを育てた。 ・しかしその後、3DソリッドCADの巨大化にしたがい、市販パッケージCADが優勢に。 とりわけ欧州は、政策的にCATIA(仏ダッソー社)に統一。デファクト標準化。 ・とくに、CATIAバージョン5は、これまで以上に操作が複雑。 CAD操作専門のオペレータのみがCADを操作する欧米の「分業型開発」には合うが、 オペレータもエンジニアもCADを操作する「統合(チーム)型開発」とは相性が悪い。 ・日本の統合型開発の組織能力に合う統合型のIT(CAD)はどのようなものか? 東京大学 藤本隆宏

(59)

「統合型組織能力」と「分業型IT」の相性

東京大学 藤本隆宏 擦り合わせ (インテグラル) アーキテクチャ製品 統合型ものづくり 組織能力 (チームワーク・多能工・改善) 分業型の製品開発IT(3D-CAD) (巨大、操作複雑、要オペレータ 厳密性優先、設計変更対応力小) 擦り合わせ (インテグラル) アーキテクチャ製品 不適合? 相性 不適合? グローバル化 デファクト標準 高度成長の歴史的結果 長期取引、能力構築競争

(60)

統合型組織能力と分業型 I T

-原図の時代から欧米型CADへ・・・そして?- 提供:トヨタケーラム(新木社長) ? 原図: 非IT + 協調 欧米発CAD: IT+分業 日本発CAD? IT + 協調

(61)

方策 ①~④ ・・「追従」「矯正」「日の丸CAD」「日の丸IF」

東京大学 藤本隆宏 統合型 製品開発の 組織能力 分業型開発IT CATIA・・ 統合型 製品開発の 組織能力 準統合型開発IT CATIA改訂版・・

×

統合型 製品開発の 組織能力 統合型開発IT 「日の丸CAD」

統合型 製品開発の 組織能力

追随:文句を言いつつ欧米ITに追随? 矯正:欧米標準パッケージを徹 底的にカスタマイズして、日本の 組織能力に合わせる? いっそのこと「日の丸CAD]で対抗? 統合型開発IT 「日の丸 インターフェース」

分業型開発IT CATIA、UG・・

そこまでいかぬ が日の丸インター フェース?

(62)

ものづくり現場発の能力構築戦略を支援するITを

東京大学 藤本隆宏 裏の競争力 表の競争力 収益力 結果としての 会社の儲け・株価 お客が評価する 製品の実力を測る指標 お客から見えない 現場の実力を測る指標 他社が簡単に真似できない ものづくり現場の実力 能力構築競争 相 性 ものづくり発の ブランド力 営業・販売の オペレーション力 本社のその他の 組織能力 本社の 戦略構想力 統合型ものづくり 組織能力 統合型ひとづくり (多能工が中心) 統合型 IT構築 (協調環境対応) 統合型設備作り (ローコスト自働化)

(63)

参考文献 製品開発の基本的「成功パターン」とは何か(自動車) → 藤本・クラーク『製品開発力』ダイヤモンド社 効果的製品開発手法の異なる産業間での比較(コンピュータ、医薬、他) → 藤本・安本共編著『成功する製品開発』有斐閣 トヨタ自動車の強さの真の源泉は何か? → 藤本『生産システムの進化論』有斐閣 自動車産業トータルシステムの将来シナリオ → 藤本・武石『自動車産業21世紀へのシナリオ』生産性出版 製品アーキテクチャのコンセプトを戦略に活かすこと → 藤本・武石・青島編『ビジネス・アーキテクチャ』有斐閣 文系・理系の溝を埋めることをねらった生産管理・技術管理の教科書 → 藤本『生産マネジメント入門(Ⅰ)(Ⅱ)』日本経済新聞社 自動車産業はなぜ強かったのかを問う同時代史 → 藤本『能力構築競争』中公新書 ものづくり現場発の戦略論の提案 → 藤本『日本のものづくり哲学』日本経済新聞社

参照

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