<資料>いわゆる過労死・過労自殺裁判例の動向に関する覚書--続編(改訂版)
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(2) 近 畿 大 学 法 学 第5 4巻第 3号 除ないし否定され,法的な朝新枠組みも,過失の判断のあり方や, (相当〉因果関採 の判新枠組みに至るまで,被災者に不利な枠組みが採用されていたりする(その逆 も然ち)。もっとも,被災者の基礎疾患が事故に結びついたケースに関する共棲原 因論,相対的有力原因論などの判断枠組み詰,必ずしも裁判の結論に影響を与えて いないようにも忌われる。つまり,どち b O論理を採用していても,要は要件事実 の判断のあり方によって結論が左右されており,法的な判断枠組みとしていずれを 採用するか,はさしたる影響を与えていない,. もしくは後付け的な説明に捷われて. いるに過ぎないように感じられるのである G また,判断枠組みのあり方が事案にrr;じて多元化,分散化していることも,現立 を生ぜしめる一国となっている。更に,表現として同議の判軒枠組みを用いていて も,その中身が大なり小なり異なっていたりする。. 1.被災者ぬ主な素菌または基礎疾患もしくは既存疾患等 ・高温圧症が最も多い。その他多いも必として,動原硬化症,穂尿病,肝不全, 高指虫症,高尿酸車症,肥満,喫煙習慣,血管腫様奇影,心筋障害等がある 0 ・但し,ケースによって,基礎疾患なのか,作業負荷の影響を受けて発症ないし 増悪した前駆障害なむか,が明らかでないものもある O 例えば,運動不足ひと つとっても,職務があまりに多佐のため,運動をする余裕がなかった,と認定 しているケースもある。この点,例えば初期の過労死裁判椀〈労災認定事案) 板に である労働保険審査会事件二審は,次のように述べている o I. Zの高血正. 症が夜勤によって発症したものであるにせよ〈もっとも,そむ可能性は考えら れるが),もしくはそれが同人の遺長的素因に起因するものであったにせよ,高 血圧症に擢患していることが判明した労働者についてなんら健康上の配慮、をせ ずして,高血圧症を増悪させるような業務を遂行させた結果災害が発生したと きは,業務遂行性を肯定すべきことになるから,本件において,高皇圧症が業 こ起匿したかどうかの特断は必ずしも必要ではな L ' o むしろ 務i. zが高血圧症. という既存疾病を有することが判明した後における健康管理と就業の状現につ いて譲べ,. もって. zの高血圧症が業務によってどのような影響をうげたかを. 2 3 . 31 )0 この原員 U iま,後の裁判例でも i まぼ踏 検討することが肝要である J(労判 3 襲されてきているように思われる G ・なお,自殺事案では,就職当時,身体的に泣健康体であったとしつつ,他方で, いわゆる A型気質など,性格面での自殺誘発傾向を認めているものが多い。. -3 3 0(8 1).
(3) く資料〉いわゆる過労死・過労自殺裁判例む動向に関する覚書. 続編. 2 . 被災者の性格 ・自殺事案,非自殺事案を関わず,いわゆる A型気嚢陪な性諮額向が認められて いるケースが多い。 この A型気賛については,次のように説明されている。すなわち,. I 職業上の. 目的達成のために,あるいは社会的業譲を挙げるために,非常に精力的で島り, 競争心は強く,一面誠実であち,努力家であり,性急であり,短気であり,攻 撃的であり,持揮に追われているという特徴を有する行動様式J(地公災基金東 京支部長事件一審・労判 5 8 3 . 1 7,二審もそのまま認定している),と。 ・但し,電通事件二審では,以下のように述べちれている。 「大企業に一流大学を卒業して入社した新入社員として,常識的な軽度で九援 匿な傾向,上昇志向,自尊心といったものを持ち合わせているのはむしろ自然 というべきであり,そのような傾向を被災者が持っていたとしても,これを ……個体的な偏りとみることはできない J(加古川労基署長事件も同言λ と 。. 3 . 被災者の鞍業と役職等 ・あらゆる業界のあらゆる職蓮,あらゆる役蟻等にわたっているが,特に目立つ のは,学技教職員,自動車運転手,有名大企業若手幹部候補社員,小中規模製 造業中堅幹部社員等である。 -労災事案の特殊性か,上級役職者や,時間配分や職務遂行方法に裁量陸が認め られる草案の従業者であっても,事業者との関係では,指揮命令関採が認められ. 、. ているケースが多 L. ・なお,覆数のケースで,昇進や昇格が契機のーっとなって事故が生じている G. 4 . 亘接の死菌及びそれをもたらした前駆障害 ・非岳殺事案では,直接の死菌の i まほ全てが脳心臓疾患である。 ・問題は前駆樟害であり,被災者がそもそも擢患していた基礎疾患(現在の疾病 に先行して継続的に存在し,現在の喪病の発症の基礎となる扇的状態、)や既存 疾患〈かつて発症した疾痛が,すでに治癒しているか又は療養を要しない程度 に回復している状態)と,作業上の負荷の影響を受けた前駆韓害とで見分けが つき難く,判決の中で,そのいずれともとれるような記述がなされている場合 も散見されるむまた,前駆欝害が認められていないケース,前駆欝害が不明と されているケースもある。. 3 3 1(8 0)一.
(4) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻第 3号 -但し,高血圧症については,そもそも基礎疾患として被災者が保有していたこ とを認めつつも,作業によって増悪したことを認めるケースが散見されるむ ま,前寵欝害としてうつ病を認定しているケースが多いが, ・岳殺事案で i 状態の精神瞳害」や,. r 掠うつ. r 心身の極度む疲労J ,r うつ病 i こ,寵患していたか否かは必. ずしも明らかで1まないが,自殺を惹起するような靖神的疾患に 寵患していた J , d. 等としているものもある口. 5 . 労畿の過重性特断における力点 ・裁暫例では,当初より,労働時間の長時間性だけではなく,労動内容そのもの 〈労舗の費量等)による積神的肉体的負担や,一般的な作業環境の悪鶏さや,労 離に起因するその他の過重性要国(海外出張に伴う言語・文化の違いや孤独状 態,職務上発生した問題〈加古川労基署長事件),仕事との相性の悪さ(地公災 基金岩手県支部長事件一審,三洋電機サービス事件),会社の人事措置によるス トレス〈オタフクソース事件),等々),労働時間の講成のあり方(労識保険審 こ従事しなければならなかった事情(地公災基金愛 査会事件),発症以降も職務 i 知葉支部長事件,地公災基金東京支部長事件,四日市労基署長事件一審,二 審),出稼ぎという生活環境の変化や暖房のない住環境及び昼間,褒関む不規則 な勤務(天満労基署長事件一審,二審),これからま台まる新たな仕事 i こ対する不. I I幼児墨事件),職務上のスケジュール変更を余儀なくされたことに 安(東加古 J 対する自責感(協或建設工業ほか事件),職務内容の不明確さ(関西医科大学事 件)等々,労舗に関わる負担要因を幅広く捉えており,その傾向は近時に至っ て一層強まっているように思われる。 ・労犠保険審査会事件二審では,オール夜勤(週実識 4 8時間,拘束週 5 4時間,遇 体 18制)の過重性〈とりわけ中高年世代への鍵康影響)について,労犠医学 的見地からの考察を根拠に,健農を害する蓋然性が高い,と認定されている 0 ・労災民訴事案でも,労災補償事案でも,労働の過重注判断を相当国果関孫の判 断と一色単にしているケースが数見される。因果関採む判断が園難なことが多 い労災事案においては,それだけ労離の過重性判新が重複されている,という ことだと考え色れる。 ・退重性要因としての捕捉対象が拡大してきていることに伴い,過重性要匿とし ていかなる要素を捉えるか,その要素の過重性をどの程度認めるか,といった 点で,裁判官の惑じ方,経験,主観などが大きく反挟しているように患われる.
(5) く資料〉いわゆる過労死・過労自殺裁判例の動向に関する覚書. 続編. (それが最も顕著に出ている例として,札幌中央労基署長事件,横浜南労基署長 事件,名吉星電労基署長事件,和歌山労基署長事件,地公災基金岩手県支部長 事件などを挙げることができる)。むろん,発症した疾病や,被災者が遭遇した 負担要因に慢する自然科学的な知見は前提として詰まえるれていることが多い が,それらの評悟自体,裁判所によって大きく異なっていることが多く,また, ケースによっては,そうした自然科学的知見に一切触れないで認定を行ってい るものもある(大町労基署長事件暫決,天満労基署長事件一審,二審など ) 0 ・過重性判断に擦して,行政む認定基準を重視し,それに却した軒並庁をしている ものもあれば,参考程度に雷めているものもあれば,それには一切縛られるこ となく判断しているものもある。 ・過重性判草野に擦して,被災者本人の作業への職務経験の長さや習熟度を過重性 負担軽減要国として考麗しているケースが教晃される(向畠労基署長事件,姫 路労基署長事件一審,二審,鍍罰構労基署長事件,地公災基金東京支部長事件 一審,二審,Hf文社事件,地公災基金岩手県支部長事件二審など)。 ・本人が持病を有していた場合には,持請を前提とした過重性判断が求められて いる〈和歌由労基署長事件一審など ) 0 担し,その旨を労働者から会社側に知ら せるか,会社側主主知るべき事需があることを条件としているものもある(三菱 電機事件)。 ・過重性判断 i こっき,被災者本人を基準〈本人基準)とするか,その毘僚や標準 入を基準(同諜基準[標準人基準])とするか,については,本人基準を採るも のが多いが,本人基準の採用に擦して条件を設けるもの〈三菱電機事件),どち らを謀るべきか明らかにしない中で,実質的には民僚基準を採っていると思わ れるもの(地公災基金愛知県支部長事件二審,差戻審,地公災基金岩手県支部 長事件二審),再基準を併用し実質的にもいずれむ基準を重視しているか不明 なもの(地公災基金岡山県支部長③事件二審),もある O 詳掘は,後掲のく 1 6, 因果関孫の軒並圧のあり方-(3)行政認定基準む扱いくストレスの客観化及び司祭 基準について>>を参照されたい。 ・過重性判断に際し,被災者本人の通常の業務が過重であることを過重性要素と して認める立場を採るか,被災者本人の通常の業務より(特 i こ)過重な業務の 存在を条件とする立場を採るか,については,Q)後者の立場を採るもの(和歌 山労基署長事件一審,二審など),②後者の立場を採りつつ前者の立場にも一定 の配患をすべきとするもの(品川労基署長事件二審など), @前者の立場を採る.
(6) 近 畿 大 学 法 学 第5 4巻 第 3号 もの(富士保安警錆事件など),の 3タイプがある。なお,このうち舎の立場を 採った品川労基署長事件二審は,当時の行政の認定基準 ( 1 脳血管疾患及び虚血 性心疾患等の認定基準について J( 昭6 2 . 1 0 . 2 6基 発 6 2 0 ) ) に準拠した判断基準を 示したものだが,次のように述べている。 すなわち,先ず,死量となった疾粛との梧当因果関孫が問題となる「業務の 程度は,業務に関連する突発的かっ異常な出来事による疾病の場合を隷くと, 疾病む原因となる翠震であることを要する訳であるから,当該労働者む ~B 常. 業 務J(通常の所定就労時開及び業務の内容〉ではなく,それより重い業務でな ければならない。しかも,. B常業務 i こ比較して『かなり重い業務』という程度. では足りず,疾病の原冨となり得る謹の『特に過重な業務』に就労したことを 要するものというべきである。 こ,特に過重な業務であるかどうかり判断に当たっては,死亡当日や死亡 次i 前一週間の状況のみではなく,日常業務に比べて重い業務への就労期間が棺当 長期にわたる場合法,右窮題全体の状況を検討して決すべきである。しかし, 重い業務への就労が一定頭間継続した場合に,そのことが当然に発症や死亡の 原罰となると推認するべきであると解するのは合理的ではな L、。担当罰果関孫 の有無は,事例毎 i こ,業務の重さの程度や疾病の種類を総合的に考嘉して半日新 するべきである J(労判 5 6 9 . 5 3 5 4 ) 0 過重な業務への就労が長期間にわたった場合につき,一定の配慮、をしている が,あくまでその期語についても日常業務に比して過重な業務が継続したので なければならないこと,それも事例毎に総合的な判断が必要,とする議しい基 準を立てている。日常業務の定義が,通常の所定就労持問及び業務の内容とさ れていることで,一定程度,基準は緩和されるが,その所定就労時間及び業務 の内容自棒が過重な場合についてはなんら配慮されていない臼 ・従来の安全配慮義務裁判例では,賃金制定のあり方 ( X 1 J Wから,会社の請負給 制度であったことを理自に仕事に靖崩せざるを得なかった,との主張がなされ た〉は,安全衛生上の問題とは直接関わりない,という立場がとちれていたが く日鉄鉱業事件),近時の過労死・過労自殺裁判例の中では,被災者の給与制度 が日給月給制度であったために収入面の不安から,たやすく休暇をとることが できなかった,等,賃金制度と健康問題を関連っーける判示が示されている〈富 士保安警備事件。なお,名古屋南労基署長事件でも同旨の判示がなされてい る ) 。.
(7) く資料〉いわゆる過労死・過労自殺裁判例む蕗向に関する覚書. 続編. 6 . 死亡前の実労働時題等 ・過労死・過労自殺事案では,単純に労基法上の労犠時間のみを認定対象として はいない。調えば,自動車運転手の被災事案では,乗務時閣をハンドル時間と 非ハンドル時間に分けて認定したりしている。また,拘束時間を認定対象とし 。 可 ているケースも多 L ま,必ずしも明確ではない。た ・また,労基法上の労働時間規樹等との関連づけ i しかに,労基法上の労働時罰規制を大幅に超える時開外労働がある場合につい て,過重性認定がなされ易い額向は認められるが,さほどの持間外労働がなく ても,. r 労儲の中身(散しい動作や運動を拝うもの,頻繁な出張,自動車乗務な. いし;運転,宥治を伴う労働,苦清処理,等々 ) Jが精神的肉体的に負担なものと 認められれば,過重性を認めている併もある。 -従って,改正労働安全寄生法が定める産業医の彊接の前提としてめ lか丹当た り1 0 0時間〈か過去. 2--6ヶ月の平均月初時揖)の時間外労動基準や,改正労動. 5時寵 基準法に基づく時間外労働の張震に関する基準が定める一か月 4. 1年間. 3 6 0時間(但し一般男女労働者の場合)の時間外労働基準,髄・心臓疾患の認 定基準. r c 膳血管疾患及び虚血性心疾患等〈負傷に起因するものを除く J の認. 平1 3 . 1 2 . 1 2 基 発1 0 6 3 ) ) が定める発症前 1か月関におおむね 1 0 0時間ま 定基準JC たは発症前 2か丹聞ないし. 5か月間にわたって. 1か月当たりおおむね 8 0時間. の時間外労畿基準〈但し,自動車運転手等,一定の職種従事者に対しては,別 途基準がある)などは,ある翠度考慮、がされることもあるが(例えば横浜労基 署長事件など),むしろ考慮されないケースの方が圧倒的多数といえる。すな わち,判例法,事案に応じて,被災直前から被災の数ヶ月ないし数年前までの 労働時間の廷か,労働の中身,労働時間構成のあり方,等を総合的に特慨して 過重性認定を行っていると言え,ここに一律的な基準を見いだすことは困難で ある。. 7.企業倒の用意していた ( o rいなかった〉法定 or任意従業員保健制 度とその機能状況 ・過労死・過労自殺事件が生じた企業では,定期鍵診が実施されていなかった等 合法令違反が認められているケースもあるが,地方,法令以上の保鍵体髄が整 えられているケースもある D しかし,一見してどんなに充実した保健体髄を整 えていても,それが実霊的に機詑していなければ,使用者の責在の認定になん.
(8) 近 畿 大 学 法 学 第5 4巻第 3号 ら影響を及ぼさない,というのが判例の立場である(例えば電通事件一審・労. 事U 6 9 2 . 2 8,上告審・労暫 7 7 9 . 1 5,川崎製鉄事件・労半U 7 3 3 . 3 0など〉。. 8 . 企業棚の被災者異変認識の有無及び時期ならびにそれへの対処 ・多くむケースでは,被災直前まで会社側が被災者の異変を認識しておらず, 従って従前通りの労識が命じられていた。むしろ,家族が先に被災者の異変に 気づいていたケースが多い。しかし,捷診を通じて被災者の疾病擢患を知り得 たにもかかわらず,なんら対策をとらなかった点を指弾している判例もある く例えば四百市労基署長事件など)。また,そもそも健診を実施していなかった がために異変を発見できなかった,と認定されているケースもある(椀えば富 士保安警備事件など〉。また,自覚症状や発症があったにもかかわらず,その後 の職務を継続せざるを得なかった事需を考慮、して,労災認定をしているケース もある〈地公災基金愛知黒支部長事件,地公災基金東京支部長事件など)。 ・他方,長時間労働の実態を企業ないし上司が放置していたケースでは,たとえ 上司が被災者の異変に気づいてい註くても,被災の数ヶ月前までに長時関残業 と休百出勤の常議化については把握していたはずで,にもかかわらず荷らむ対 策も講じなかったことには責任がある,とされているものがある〔川崎製鉄事 件 λ 同じく長時間労働の実態が放置され,さらに直属の上奇らが身なりの緩 みや顔色の変化等に気づいていながら,なんら具体的措置がとられなかったこ とが指弾されているケースもある〈竃通事件)。 ・また,本人から再三「仕事を辞めた L、」等の進言があったにもかかわらず,上 司が翻意を求め,取り合わなかったことの責任が認められているケースもある くオタフクソース事件,三洋軍機サービス事件〉。 ・三洋電機サーどス事件二審では,自殺童話の約 4ヶ月罷は状態が安定していた この間, かに見えるが,本件事情に照らせば, I. zは理性的な行動を保ち外見上. 問題むない勤務態度をとるため自弓統制のための非言な努力をしていたもむと , rY2 もこの事実を認識することはできた J(労半U 8 5 2 . 8 2 ), と認定 推測でき J されており,たとえ本人に目立った異変が見られなくても,それは本人の昌己 統制の努力の結果である場合があることが示されている。このような場合,薙 かに企業側としては一見打つ手がないかに思われなくもないが,伊j えばこの ケースでは,地に,本人の通常では考えられない行動や,医師からの診断書の 呈示等の事実が認められており,こ必ような事実から,企業儲が本人の自殺を.
(9) く資料〉いわゆる過労死・過労自殺裁判割!の動向に関する覚書. 続編. 5 2 . 8 1 8 2 )。 予見できたはず,と認定されている(労判 8. 9 . 産業医の捷豪管理上の過失 ・事業者の選任した産業医に過失があった場合,事業者は自らの過失ではないと して免責を主張することはできない,とされている(システムコンサルタント 事件)。 ・労働安全禽生法に基づき産業医が行う捷康診断の趣旨については,あくまで 「当該業務上の配慮、をする必要があるか否かを確認すること jを主たる目的とす るものであり,. r 労働者の疾窮そのものの治療を護極的に仔うこと Jを目的とす. るものではないことから,産業医が治療的な仔為(投薬)を行ったり,指示し たりしなくても,詩人や会社に安全配慮、義務違反があるとはいえない,とされ ているく三菱電機事件)。. 1 0 . 損害語償請求事件における責任認定の根拠(安全E憲義務違反か注 1 5条)構或か不法行為 意義務違反か) +遺用法条(債務不履行(畏4 0 9 条等〉構成か〉 ( 民7 -安全配慮義務違反の場合には積務不履行構成,注意義務違反の場合には不法行 為構成,というのが基本的なスタイルである D ・しかし,安全記意義務違反を認定していながら,不法行為構成をとったり〈電 通事件一審,二審),債務不震行構成と不法行為構成の両者をとったり〈オタフ クソース事件〉しているものもある。また,安全記意義務違反を認定し債務不. 1 8 条ではなく, 7 2 2 履行構成をとりながら,過失相殺法理の適用に際して,民4 条を根拠条文に挙げている例もある ( } I I崎製鉄事件)。 ・なお,過労死・過労自設事案で上司の法的責任が認められた点で著名な三洋電 機サービス事件で拭,訴えた X0>(遺族)は,上司に対しては不法行為責在を, 会社に対して註不法行為責任と安全配慮、義務違反に基づく債務不震行責任の両 方を主張した。しかし,判決で註,そもそも安全車意義務不履行に基づく債務 不履行責任誌認められておちず,不法行為責任むみが認められている。不法行 為については,上司自身の不法行為責任と会社吉身む不法行為責在む両者がそ れぞれ認められており,上司と会社は損害賠償について連署責証を会う,と判 断されている O ここでは,上司の妻在は会社の責任との関係でいかに理解され ているか,が謂題となるが,判決では,明確に援拠条文が示されていない。し. -337(74)一.
(10) 近 畿 大 学 法 学 第5 4巻第 3号 かし,上司について. 1審では,. r 使用者に代わって誕業員に対し業務上の指揮. 監督を行う権援を有する者は,……捷居者の注意義務の内容に従ってその権限. 1審・労楊耗例 8 0 0 号1 1頁), を行使すべき義務を会うというべき J(. 2審では,. f 一審被告会社に代わって部下である一審被告会社の従業員について業務上の 事由による心理的急誌のため精神菌での健康が損なわれていないかどうか把握 し,適切な措置をとるべき注意義務に従って,…・・ことが要請されていたとい うべきであるから,一審被告乙山にはそのような注意義務に違反した過失が. t f 9 t J 8 5 2 号8 3頁),と示されているところからすると,上司 あ 」 る は 審 ・ 労 欝 宇l. 0 9条)として認められている面と,上 の黄任は,上司独自の不法行為責任(民法 7 1 5条〉として認められている面と,両面が 奇の過失が会社の捷居者責任〈民法 7 あるように理解できる。つまり,会社は,会社自らの逸失による不法行為責任 と,履行補助者である上司の過失による使用者責在と,再方の不法行為責在を 認められた,と解するのが妥当であろう O. 11.安全配慮義務 (or注意義務)の異称的内容 ・労犠の過重性要素を広く捉える額向に対応して,安全配意義務 ( o r注意義務〉の 具体的内容も福広く示されて来ている。 ・本文にあるように,内容的には,以下の 5類型に分類できるが,近時の判例は, 心理的負薄等が過度に蓄積して労識者む心身の健康を損なうことがないよう注 意する義務(電通事件上告審〉なち,労働者を派遣した工事現場の状況を視察 するなどして,工事の進捗状況に応じて作業員を追加するなどの措量を講じる 義務〈協成建設工業ほか事件〉なり,労儀者の心身両面における危験又は縫康 障害を防止する義務,より具体的には,業務上生じた暴行事件の原国経過を詳 細に究明して,仕事の能力に欠ける者を当該部門から外したり,被災者の勤務 持関内や家麗内における言動や状況について調査するなどの措置をする義務 〈オタフクソース事件〉なり,被災者の心身の状況について医学的見地に立った 正確な知識や情報を根集し,同人の休養の要否について'慎重な対応を行う義務 〈三洋電壌サービス事件二審〉なり,研{彦医の研{事時間や研修の内容密度が適切 であるように記嘉するか,それが難しければ研修室の鍵康管理に注意を払い, こ大学入学時に実擁したものと関内容の健康診断を実施する 少なくとも定期的 i など,一定の措置を講じる義務(関西医科大学事件二審)なり,企業の人事労 務管理の内容に踏み込む多様な義務内容を示す額向にある O.
(11) く資料〉いわゆる過労死・過労皇殺裁判例の動向に関する覚書. 続鋸. 言81 ご ,/ J f Jす石道正な支デ錫条洋藤探義 @主デ欝時厨C沼痘反びヨテ働時蔵鉄豆E4 務 f捧に長時庫労連普段i正義務一労基法32条.f1T,労~法 3 条等に対広j. @政習場所の藷筑#業管理,作業環葬管理等E ,法全房定要穿さき基本と Lた 交テ揚時局必がの支デ運営条件 C沼産,道正条件落保義務ピ一芳~法第 4 草. 3条 ,. 6 5 奈 の 3等 jごX f J 五j @提言診の実藷友びぞれに基づぐ事袋五雪重義務 ( f J j ! f i ! ,法 6 6 条 ,. 1 3 ゑ 芳 変 身1 4. 条 . , 1 5 条 f要 等j ごオデ広). e労銀者復々 λの 釘E害事先手じ徴課([);喜子主宰j の!l!JWとそれに広 Cた着正労鐸. 2 奈等に三掘り 条件¢震保,道切な援宣義務ど一芳去を法6 @(1)②②そをま謬と Lて,作業の盈望ぎな t), L質 量 の 謝J f J l , l s 霊重苦援事を含めた,. J ! , I fご療乙ての, J ;I J一若者弱者疲労・ス介よ/ス訪止義務ど一芳三吉法 l条 9 支デ務管J 3奈,穿r4掌 , 第 6草 第 7重 , 第 7重 の 2等 jご対話フ. 1 2 . 労災認定事案で言及された安全配慮義務 (or注意義務)違反 ・本来,労災認定事案では,被災者の就労先の安全配意義務 ( o r注意義務)違反 辻審査の対象とはならないはずだが,こうした事案の中で‘もこれらの義務違反 に言及されることがある。 ・その根拠として,担当盟果関係の判顕が,医学的な判定そのものとは異なり, 司法的判断であり,従って,その判断に当たって,使用者のなした鍵豪管理の 状況を含めた諸事需を総合勘案する必要がるることを挙げているものがある 〈労働保険審査会事件二審〉。 ・他方,労災認定事案と労災民訴事案との違いを明穫に述べ,事業主に鍵康管理 義務違反があったか否かは,労災補償認定に関わらない,とするものもある(向 島労基署長事件,地公災基金東京支部長事件一審〉。. 1 3 . 安全配慮義務 ( o r注意義務〉と国家労観保護法との罵係 ・菌家労犠保護法違反が認められる事案では,おおよそ安全配意義務 ( o r注意義 務〉違震が認め§れる領向にある G ・勉方,これらの民事上白義務違反は菌家労働保護法違反がなくとも認め§れる こ明言していなくても当然の前提と考えてい ことは,多くの判例が明言し,佼 i るものと考えられる。. 3 3 9(7 2).
(12) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻第 3号. 1 4 . ~果関孫の判断のあり方一的一般論 ・労災事案で i ま,労災民訴事案でも労災構償事案でも,業務または捷用者の過失 と事故との鶴に相当因果関擦があるか否かが関われている(労災補償事案では, ほんらい,業務遂行性のftB,業務と事故との担当因果関係の有無く業務起医性〉 が関われる。怪し,過労死・退労自殺事案の場合,殆どのケースで業務遂行性 は審査対象とされていないので,業務起因性のみが問われることになる)。 ・判例では,担当因果関係という概念について,およそ以下のような理解をして いるものと考えられる。 @事実昂E栗 滞 緩. f 三干条件! J ! f 鐸j にx 1す-5;言按で,通掌λの予定 i i J . 虐控の捷. 点; d l l Q,若貨範揮を叡鹿す-5た必の概念. f s0,労災認定事案で{ ; J : , 芳充足訴事案と { ; J : 異なり,業務 f 公 務j に内在す -5倉勝点場賓在ft0たか否か,. と~ 1ラ点成長7 われ-50. ご,法f$に犀薬 ②事実的E栗湾係 f三干条件簿孫j の在否 fJ~非が邦男 0 t;n 1培 j J E , 薙定す-5ための夜念 局療を主主' ご C 場合タ若ず{;J:,. ②-(J)fJ然拝学f$t&栗!J!f探ど行政6 認定搾野の重~f.f)の. 厚 否 を 邦' ! i J iι ,ぞれに磨重が得 ι れなわ場合. f J 然祥学の支u A吾参考jごLつつ. g l l B 実局療を持' ! i J i す-50 ラち (2)の野草子に { ; J : , ① る,②-(2)合理的,主主定説法$ と鼻立った意味, . / 1 f lち必ず Lる貢在劇震を fJf$とぜず. l & . 栗滞療の序否を合理. ご邦選ずす-5た必に通貨λ c 予s i ! , 息詰佐の拡吉そをメ吉れ-5ことが多九万政の認 的i. ω. 定 夏 季( ; j ( J )を重捷 Lており,号法 { ; j を重認す-5復局i ごJ j 5 ; d 毛 足7 設でる ( J )を 2 )若手ザ野す-3必要C 乙 c t場 合 jごる, 重認す-5る cる高-50 ~主た,(1)が認必 6n, ( 結 論 身i ご務当E栗民事療あり, とす-5bのる J j50 ここでの招当E栗長害復{ ; J : , f J つつ 然科学的知rJlを重提 ι. ι ぞれと合理局誰定とを総会 Lた按念とる孝之 ι. ごI ポl5o ② j ; J : 事 実 段E栗 ! J ! f 援 と 犀 CるC を言按す 5 ; d }6, ぞの邦議f え 本 来 的j の援に②や③の手事選Ij~/J[J;主てはむめて摺当E栗滞採dちり,. とす-5忌 (l)b高石。. 栗E 事務ど選震は必要条件 ③一つ 6結 果 ど 事 設) Iご対 L て複数の原Eな~) 0t& J { f 孫だが千分奈律的犀栗房係でJ j 5場合る J j5 ); d i 癒合す吾氏曹を認め f$l& 栗/. -5場合でど差$ g l ごは一つの嘉栗 jご一つのJ J J f f &0; d }g0立 ハ と れ ラ 孝 之 方 志 亨. : iB本では一般にそう孝之な(1),かっ,その J:ラな戎惑にあ-3と Lた. 露 だ; d. f な:/3,いわゆ-5摺対 1 ② (l)f s 書 C趣 Eそを借認す-57 と必の嘉手車 ζ ' : : 0てる m(16n5ご. 思 ぞ C 中; d }6採 用 す-5t& 栗滞緩を選択す-5た必 C舷 念 局斉カ原互言語{ ; J : , と え う J ' J j5 ). -3 4 0(7 1)一.
(13) く資料〉いわゆる過労死・過労自殺裁判備の動向に関する覚書. 続麗. まとかその蓮華害と Lて一般的。. ,. わゆ-5超長デタt -超芳白老苦手草案で 1 ; 1 ,. 1. 1業 務 f 公務) (:労重苦災害臼~f2!f2. 葺)認定事案') i t/ . :l : i 安 全E底嘉務違反る Lぐは注意義務違反ど:労災足訴事. 案)→ど指当E栗 滞 家J→ E肩 車 庫 害 ( f J 老 若C 場 合 j ごはラつ府その越の易手持摩 喜筆)→(担当E栗嘉手探J→ E事"at(死亡 o rf J 老 若 ' ) , e'1ラc kラに,二設若で 摺 当E栗滞緩の斉着手J ごつま手吉野そをt Tラ(/)1,タ一政局。. -因果関係を認める上で基礎とされる医学的な知見は,学会の定説であったり (電通事件一審,二審),有力説であったり(システムコンサルタント事件一審), 研究成果の発表実績であったり(システムコンサルタント事件一審,オタフク ソース事件では,. r 多数の j 研究報告の存在が指摘されている),一般的な亙学. 的知見(通説)であったり(電通事件二審,東加古川幼児園事件二審),と様々 である。 ・医学的知見については,裁判官が捉える医学的知見が異なること,また,罰じ こ違いが生じること,等 医学的知見を前提としても,その評価,利用りあり方 i から,盟果関係に関する斡断は異なってくる。なお,山口浩一郎教授は,裁判 官が正確な医学的知晃について更に詳しく学習すべき必要性を強調している (出口語一郎「最新労災判例の註解海外出張中に発症した穿孔性十二指揚讃蕩 と業務起冨性一神戸東労基署長〈ゴールドリングジャパン〉事件・最三小平成. 1 6 . 9 . 7判決・判傍集未登載」ろうさい 5 5巻 1 1号 ( 2 0 0 4 年) 4~10頁)。 ・また,多くの裁判例は,医学的知見を前提としつつも,因果関捺の判断はあく まで法的判顕であることを強調し,最接的な国果関係の判薪に際しては,合理 的誰定を加えている。つまり,自然科学的知見と社会科学的知見の双方を識り 交ぜて茜果関係の判断を行っている。例えば,初期の過労死裁判例〈労災認定 事案〉である労働保険審査会事件二審でも,以下のように述べられている o す なわち,. r 疾痛の業務起因性の有無の判断には,事柄の註費上,疾病の発生の機. 序に関する医学的知克の助力を必要とするが,この判断辻,疾病の原因に関す る医学上の判定そのもむと誌異なり,ある疾病が業務によって発生したと認定 し得るかどうかの司法的特断であるから,……解剖医学的見地からは疾病の発 生した諒習の解明が冨難な場合において辻,被災者の既存疾病の有無,鍵褒状 態,従事した業務の性費,それが心身に及ぼす影響の程変,鍵康管理の状況及 び事故発生前後の被災者の勤務状況む経過等諸般の事'請を総合島案して,疾病. 3 4 1(7 0)一.
(14) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻第 3号 と業務とむ因果関係について判断する i まかないものと考える J(労宇U 3 2 3 . 3 0 )。 また,被災者の死因が急性心不全とされ,その発生機序を明らかにすることが 不可能とされた和歌出労基署長事件一審では,次のように述べられている D 「訴訟上の罰果関鐸の立証は,一点の疑義も許されない自然科学的証明で誌な し経験期に照らして合理性を総合検討し,特定の事実が特定の結果を招来し た関孫を是認しうる高震の蓋熱性を証明することであり,その立証の程度につ いては通常人が疑いを差し挟まない程更に真実性の確信を持ちうるものである ことを必要とするが,それで足りるものと解すべきところ,急性心不全は疾患 名ではないので,本件のように急性心不全という診断が下された場合,その原 因となった疾患名を臨床所克,解剖所見等により解明することが業務起国性を 裏付ける相当因果関係を立証するための有力な手段となることは疑いを容れな いところであるが,たとえ心不全の原因疾患が立証されないとしても直ちに業 こ起因する精神 務と死亡との相当因果関係が否定されるものではなく,業務 i 的,肉体的負握がそれ自体で又は他の基礎疾患等と共働して,心不全の有力な こは,在相当因果関保を肯定することが 原菌として作用したと認定しうる場合 i. 3 2 ι 3 )。よって,事実的因果関係の判断に できるものと解すべきである J(労判 5 際しても,裁判所,裁判官によって,結論が全く異なる,という事態が多々生 じている。韓併によっては,必ずしも医学的な担挺を述べずに事実の経緯を 嬢々述べたうえ,端的に相当因果関係の有無を述べるものもある〈例えば四百 市労基署長事件一審,二審など)。担し,事故が精神疾患に記冒する場合につい ては,喜三学的知見がより重視される傾向にあるようにも思われる〈大町労基署 長事件など参照)。 ・判例によって,医学的知見(自然科学的知見)を重視するか,経験則(社会科 学的知見〉を重視するか,暫断に際しての比重む置き方に違いがある。例えば こ 地公災基金調山県支部長①事件では,一審が前者を重規し,畠然科学的判断 i 疑義ある場合,業務起菌性を否定する方向で判断したのに対し,二審は,後者 を重視し,準慌が不十分な状謹でのソフトボール競技への参加と症状発症の時 間的接近性等を根拠に,業務起菌性を肯定している。 ・(相当)因果関採の判断基準は,実擦のところ,事案の性質及び判例によって 様々である G 例えば,業務(もしくは公務)起密性〈また辻事故と使用者の過 失の担当菌果関係〉の判断に際し,業務(もしくは公務) (または使用者の過 失〉以外の漂因が存在しないことまで要求するもの〈地公災基金岩手県支部長. 3 4 2(6 9)一.
(15) く資料〉いわゆる退労死・過労自殺裁判例の動向 i こ欝する覚書. 続編. 事件一・二審,地公災基金愛知県支部長事件一審〉もあれば,そのような原習 が現に存在しないことを業務〈もしくは公務)起因性(または事故と使吊者の 過失の相当因果関係〉の存在を肯定する讃題材料として考嘉するに留めるもの (システムコンサルタント事件二審,オタフクソース事件,関西医科大学事件一 審,二審,地公災基金岡山県支部長①事件上告審,加古川労基署長事件),そも そも業務(もしくは公務) (または使患者の過失)以外の原因が存在しないこと は要求しないもの〈殆どの裁暫例はこの立場を採る),まで様々である。但し, 業務(もしくは公務) (または使用者の過失)以外の原因が存在しないことまで 要求する暫椀の多くは,靖神薄害が介在した事案で,かつ長時爵労働以外の特 殊なストレッサー(仕事の中での軽微な失敢に過剰な責在惑を感じたことが一 因となったもの,職場の方髭と棺性が合わないことがー密となったもの,等) が業務(もしくは公務〉上の負荷となった事案であることに留意する必要があ り,判例む多くは,業務(もしくは公務〉起因性(また誌事故と使用者の過失 の相当罰果関係)の存在を肯定するに際し,業務(もしくは公務) (または使用 者の過失)以外の原因が存在しないことまで誌求めていない,と解される。ま た,業務(もしくは公務) (または使用者の過失)以外の原因が存在しないこと を求める判椀の中には,事故の重接原因となった疾痛の性質を考患い業務(も しくは公務)の過重性判断を本人基準で行うことの条件としで,かかる要求を なしているものもある(地公災基金愛知県支部長事件一審〉。 ・労災描噴事案における,捷用者の健康管理義務と労働者の自己保提義務との関 係については,労積保険審査会事件二審が,以下のように判示している。即ち, 労働者が高血圧症の既穿疾患を有している場合〈但し,このケースでは,それ が業務により発症した可能性もあるとされている),被災者に捷診を実施し,設 の高血圧症への擢患を知った会社には,当該労働者に対して,健診結果を通知 して注意を促すとともに,その後の司入の鍵康管理に相当の詮意を払い,医師 による再検査を実施して窮状を確かめたうえ,その結果に却した適切な業務上 の措置をとるなどの提康上の配患をする責任があり,これを適切に果たさな かった結果,事故が発生した場合にほ,業務遂行性を肯定すべきことになる。 仮に労識者の舗が自身の高温圧症への擢患を知っていた場合,自ら進んで医師 の診断を受け,会社に申し出て健康管理上必要な措置を講ずるべきとはいえて も,それがなされなかったからといって,会社はかかる責在を免れるわけでは. 2 3 . 31 ) 。 ない〈謎って,業務遂行性が否定されることにもならな Lす,と〔労判 3 -3 4 3(6 8).
(16) 近 畿 大 学 法 学 第5 4巻第 3号 -自殺事案において,被災者が何らかの精神障害によって「心神喪失j の常態に 諮ったことまで要求する判例は少な L、。この点に関する暫示には,事実爵係の 下で,岳殺が「うつ病による感情障害(うつ状態)の深まりの中で,蕎動的に, 突発的にされたものと推認」できるか否か,を基準に軒続するもの()I[鯖製鉄 事件),事件にあらわれた事靖を総合考慮、して,周囲に迷惑をかけているという 責任感む強さや自責の念から,ついには自殺及んだもむと推認する形をとって いるもの〈東加古川幼児匿事件二審λ 事件にあらわれた事靖を総合考麗して, 工事が遅れ,工事量を大幅に減少せざるを得なくなったことに対する工事費在 者としての自責の念などから,発作的に岳殺をしたことを推認する形をとって いるもの〈協成建設工業法か事件入等がある。結烏のところ,業務(や使用者 の過失)とうつ病を代表とする精神障害との間の相当盟果関捺,かような精神 障害と自殺との間の担当因果関係が認められるか否か,という審査を粛々と進 こ関 めることによりなされている,と解される。すると,結局,業務の過重性 i する判艇が自殺に至る担当因果関係の判断にも大きく彰響している,と解する ことができる O ・事故む発生に基礎疾患等が原因となり,そこに業務(や使用者の過失〉が作用 して事故が発生した場合の菌果関係の判断枠組みについては,共樹原罰論と椙 対的有力原因論のいずれかを採用する判椀が多い凸 共畿原因論を採毘したものとして辻,富士保安警錆事件,システムコンサル タント事件一審,地公災基金問自県支部長号事件一審,地公災基金愛知県支部 長事件一審,地公災基金東京支部長事件二審,横浜労基署長事件一審,二審, 四日市労基署長事件二審,天満労基署長事件一審,二審,渋谷労基署長事件, 品}I[労基署長事件一審などを挙げることができる。 相対的有力原因論を採用したものとしては,システムコンサルタント事件二 審,札幌中央労基署長事件二審,名古室南労基署長事件一審,二審,地公災基 金調山県支部長①事件二審,地公災基金愛知県支部長事件二審,地公災基金東 京支部長事件一審,四 B市労基署長事件一審,飯田構労基署長事件,和歌山労 基署長事件一審,二審,品川労基署長事件二審などを挙げることができる D しかし,暫断枠組みむ名称だけにとらわれて理解することはできな ~'o 各判. 例が示す判断枠組みの内容は,需じ表記を費用していても,以下のように異 なっているからである。. - 3 4 4(6 7)一.
(17) く資料〉いわゆる過労死・過労自殺裁判例の動向に関する覚書 (1)共働原思議. 続編. u涜祭. ・富士保安警備事件一「裳表会護江区主ゑ議薫主会費ぷ業費受埠薫鷺 的経過を起えて……素国等を増悪させ,. zの脳梗塞発症む共棲原因となった. ことたことが必要J(労判 6 9 4. 40 )。 ・システムコンサルタント事件一審 - 1 池の原因が存在していても,業務の遂. 江主主足腰怠急ゑ銭務鰐長以~援投務駿最柔エロゑ男受乏芳 悪させ. zの脳出車発症の共鶴の震因の一つであるということができれば,. それをもって足りる J(労判 7 3 6 . 7 0 )。 -地公災基金愛知県支部長事件一審. 「既存色素国ないし基礎疾患〈以下「素. 因等」という。〉が涼密または条件となって発症した場合であっても,会費怠 烹男惹受罪表査長ゑた場金主主民会薮主意思烹変去勢原票主主ヱ三思主要男 主主ゑ裏表乏棄まさ支主主義ゑゑゑ受壕念i こは,公務と右疾痛の発症との罷 。そして, 1 特発性脳内出血の場合……,相当 に相当因果関係が肯定される J 因果関孫の存否を判断する i こ当たり,公務による精神的,身体的負荷がー穀 的i こ特に退重な程度に達していなくても,公務による精神的,身体的会荷が, 当該職員にとって脳内数小童管の車管撞様奇形等の破裂を引き起こすに足ち る程の金担をもたらす程震に相当重いもおと認められ,かつ,他に替記すべ き請神的,肉体的負荷を惹起すべき要醤ないし特発性脳内出車の発症原菌と なるような要菌が認められない場合には,医学的に因果関係が明確に否定さ れるなどの特段の事'清が存しない限り,公務と素因等が共動原因となって蒋 発性脳内出盛を発症させたものと推認すべきであ Jる〈労判 5 5 7 . 5 0 )。 ・地公災基金東京支部長事件二審. 「地方公務員災害捕噴法 i こいう『公務上死. 亡 J とi ま,公務と死亡との需に相当罰果関係が存すること,換言すれば死亡 が公務遂行に起因することを意味し,また,これをもって足りるというべき であって,必ずしも死亡が公務遂行を唯一む原因とする t 必要はなく,当該公 務員の素置や基礎疾窮が原国となって死亡した場合であっても,公務む遂行 が公務員にとって精神的・肉体的に過重負荷となり,基礎疾病を自然的経退 支援丞豆急数段顛景玉三~三立て死亡の時期を早めるなど基礎疾病とき型. 原国となって亮亡の結果を発生させたと認められる場合には,右死亡は『公 務上の死亡』であると解するむが相当である J(労判 6 4 4 . 31 ) 。 ・横浜労基署長事件一審- 1 基礎疾病が原因となっている場合で島っても,当 該業務の遂行が当該労観者にとって精神的,肉体的に過重な負荷となり,基. -3 4 5(6 6)一.
(18) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻第 3号 礎疾病を三笠島盤強襲道支喪主主棄ま吏支ゑ 1 よど,それが基礎疾病と共動車 因となって生じたも cと認められるときは,業務上の疾病というべきであ るJ(労判 6 2 8 . 5 3 ) 0. ・横浜労基署長事件二審. 「当該労働者の素思や基礎疾患が東屋となって発症. した場合においては,業務の遂行が労識者にとって積神的又は肉体的に過重 な負荷となり,基礎疾患宅乏ゑ島義的努退去喪主主急教主芳患芝玄三薄ま芝 せるなど基礎疾患と共欝京国となって当該疾病を発症させたと認められると きには,右疾病を『業務に起因することの鳴らかな疾窮』であると認めるの が相当である J(労判 6 8 3 . 8 7 ) 0 ・四日市労基署長事件二審一「労働者がもともと有していた基礎疾病が条件ま たは京国となって死亡した場合でも,業務の遂行が,右妻葬表療委譲表裏 t : .. 1 さ聾票吏主主要五受費型乏豆長ゑ隻その基礎疾病と共働涼茜となって死の結 曹のない譲り,右の死と業務の間には相当国果 果を語いた場合は,特設の事i 関孫があると認めるのが担当である J(労半U 5 2 9 . 1 7 1 8 )む. -r 死亡の原国となった疾病が基礎疾病に基づく場合 三勢喪主芝玄葱五票現変更受2 であっても,業務の遂行が募藤家意ゑ急襲i. -天満労基署長事件一審. 等,それが基礎疾痛と共棲原国となって死亡の原因たる疾病を招いたと認め られる場合には,業務と死亡原因との揮になお棺当因果関擦が存在するもの と解するのが棺当である J(労判 5 1 8 . 1 3 )。 -天満労基署長事件二審一「労働者に本態性高血圧症などの基礎疾病が存荘す. 5 翌憲主芝:y]定金堅男乏呈ゑゑ る場合でも,業務の遂行カ湯原雰療支急数! 等,業務の遂行が基礎疾病と共働原菌となって死亡の原国たる疾病を招~\た. と認められる場合には,当該業務と死亡とむ関には相当 I Z Q果関係があるもの と解するむが相当である O. YI ま,右判断の基準について,業務と基礎疾病とが共鶴漂密となって死亡 の原国たる疾病を招いたと認められる場合の業務がどの程度共樹原因 i こなれ ば稽当国果関係が認められるか明らかでないと主張するが,基礎疾病を急激 に増悪させ死亡時期を早める等む業務遂行の有無が,業務遂行と死亡の原菌 たる疾病との閣の担当罰果関係存否の判新基準となるべきもむであり,基礎 疾痛の自然的増悪を招く程度の業務遂行の場合は含まれないというべきであ るから,. Y の右主張は理由がな ~\Jo. ・渋谷労基署長事件一. r zの直接死因である急性心機能不全は,業務と関連性 -3 4 6(6 5).
(19) く資料〉いわ捗る過労死・過労自殺裁判例の動向に関する覚書. 続編. のない三尖弁閉鎖不全という基礎疾病に基づくものであるとの,右の解剖所 晃に基づく判軒を左右すべき歪拠はないが,このような場合であっても,茎 主葵喪家費支恵ゑ曽義愚乏慧柔三ふ会教5 芳 烹 芝 芝z あるいは基礎疾病と 共同震因となって死亡の結果を招いたと認められる場合には,死亡の業務起. 31 .7 8 ) 0 因性を肯定すべきであると考えられる J(労判 5 ( 2 ) 相対的有力震圏諸. r zの基礎疾患たる本態性高血圧は,昭 5 援要していた 和五四年以鋒の長時間労働により,長祭現懇意麦薫柔豆急患!. ・システムコンサルタント事件二審. ところ,これに揺えて,平或元年三足以降の本件プロジェクトに関する高度 の精神的緊張を伴う過重な業務により,さらに龍記高血圧が増悪していたこ と,死亡する蓋誌の平成二年三月ないし五月の労犠時聞が……過大であり, 特に,死亡重詰一週間の労識時間が…一家与え漂ゑであったこと, て ,. したがっ. zは,当時,長時間労働の影響で疲労密憲していたこと, zは,死亡前. 日において,休日であるにもかかわらず, の事実を考嘉すると,. NCSt こ呼び出され……たことなど. ZI ま,これらの要罰が相対的に有力な原国となって,. 7 7 0 . 7 8 ) 0 脳出血発症に至ったものであると解するのが自然であ j る(労宇U. r z0)脳出血は, zが本件事故当司従事してい. -札幌中央労基署長事件二審. た本件レール移動作業によって受けた負荷が相対的に有力な原因となって基 礎である病態〈血管病変等)をそむ自然経過を超えて会意見蓑与え芳恵芝立. 5 3 . 6 7 )。 た結果であると認めるのが相当であ」る(労判 7. r r相当 j醤果関採が認められるためには,単に. -名古屋南労基署長事件一審. 業務が脳血管疾患等の発症め原因となったことが認められるというだけでは 足りず,当該業務が加齢その地の原因に比べて相対的に有力な原醤と認めら. 6 5 4 . 1 5 )。一定の条件はある れることが必要であるというべきである J(労辛U が ,. r 当該労働者を基準に」判断して「過重負荷の存在が認められ,これが原. 因となって基礎疾患等を増悪させるに至ったことが認められれば,……特別 の事曹のない限抗原則として,右湧薫集票史勇ゑ慰労意支薫主主義摩表患 去勢意さ立表舞度怠怠台装烹去費表主主三主とすなわち業務と結果との聞に 因果関係の存することが推認されるとともに被告側から特設の反証のない 限り,右過重負荷が結果発症に対し,相対的有力な原闘であると推認」する. 5 4 . 1 6 )。 ことができる(労判 6 -3 4 7(6 4)一.
(20) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻第 3号 担当因果関採が肯定されるためには,単に -名古墨南労基署長事件二審 - 1 ……疾病が業務遂行中に発症したとか,発症の一つのきっかけを作ったとか いうだけでは足りず,当該業務に内在ないし随伴する危険が当該疾痛につい. 0 7 . 3 0 )。そし て相対的に有力な原題となっていることが必要」である(労鞄 7 て ,. r 労動と脳出血の発症との障に相当菌果関係があるといえるかどうかを. 判新するに当たっては,当該被災者必死亡原因,死亡重後の具体的状況,基 礎茨患の内容,程度,発症前の業務の状況,生活状況等,関連する諸事情を 具体的かっ全体的に考察し,これを当該被災者の死亡原国についての墨主並 知晃に照らし,業薮主主民票薫さ急畏友ム援窓煮安蒸秀実費支男表第愚乏薄 柔三芳恵三芳三それにより魁出血が発症したと認められるかどうか,した がって,労働の過重負祷が脳出血発症について相対的に有力な原因となって. 0 7 . 3 3 )。 いると評価しうるかどうかを検討するむが棺当である J(労判 7 ・地公災基金愛知県支部長事件二審一円、かなる内容む業務であれ,これに従 事することにより何らかの精神的肉体的負荷を被ることは必然であり,また 素題等が加齢に伴う告然的経過により増悪していく可能 a性も当然のことなが ら否定できないところである D 従って,公務と素因等の発症との間に何らか の関連性があるというだけでは未だ公務起因性を認めることのできないこと は当然で,公務による負荷の程度が極めて軽微なことから客観的に見て死亡 の原理は専ら素因等にかかるという時には起因性を否定すべく,既に半日示の とおり,公務の遂行が相対的に有力な原冨になっている場合に始めて起母性 が認められると解すべきものである。そこで,右の場合のように公務記密性 が屯いことが明るかな場合は別として,持らかのあるべき基準に照らして考 えて,被災前に遂行されていた公務による稽神的肉体的負荷の過重の程度そ の他心具体的状況によっては,たとえ死亡した当該公務員の死亡原理が医学 的に不明であったとしても{本件に揮して言えば,持発性脳内出盛の原因と なった血管の破裂誘因が不明であったとしても),言法的判断としては,公務 による精神的肉体的負荷が棺対的に有力な原因と立ったものと判断して,公 務起菌性を肯定することも,場合により許されると考えられる O そうする と,次に,前記の基準に関する問題として,公務による精神的肉体的負荷の 過重性を,被災前 i こ遂行されていた公務を担当する平均的な健康度の公務員 を基準として考えるべきか,現実に当該公務を遂行していた被災公務員の現 実の捷康度を基準として考えるべきかが掲題となる。しかし,そのいずれの. -3 4 8(6 3)一.
(21) く資料〉いわゆる過労死・過労自殺裁判例の動向 i こ関する覚書. 続編. 基準からしても,被災前の公務による精神的肉体的負荷が過重とは言えない ときには,公務起因性を肯定することはできないと言わなければならな Lづ (労判 6 0 2 . 3 8 )。 ・飯田搭労基署長事件- f それ自体が脳出車を発症させる大きな要国である高 血圧症に擢患している者が脳出車により死亡した場合,その死亡について, 業務起題性を認めるために誌,業務の遂行が死という結果を引き起こす程度 に惹乞三三会煮役買奥底ま麦業意主主主三主之いいかえると,業務に起因す. る湧患思慧数数ム男使関長喪主主他の要因及び病状の長勢強進笠主~主主ご 乏史煮安援区五支ゑ庫裏ままお三菱繋表療支急薫長聖烹空空ふ三会員志 願期患安委震支惹与え旦竺たものであること,すなわち,業務の遂行が死に 対して相対的に有力な原盟となっていたことが認められなければならないも のというべきである J( 労 半 1 j5 1 0 . 2 6 ) o ・和歌山労基署長事件二審一「業務が倍の危険国子と共働原因となっていると きには,業務が倍の原因に比べて相対的に有力な原因であることが書認され る場合であることを必要とし,かっ,それをもって足りると解するのが相当. 6 9 . 7 3 )。 である J(労判 5 ・品 J I I労基署長事件二審. 「業務に基づく疾病による死亡の場合とは,就労前. から疾窮の基礎的要因を有していたか否かにかかわらず,就労後に業務に基 こ就労前から哀 づいて発症し,それに起塁して死亡した場合のみならず,既 i 病を有していたが業務に基づいてそれが増悪されて死亡に至った場合をも含 むものと解すべきである D そして,右の発症ないし増悪について,業務を含む擾数の京冨が競合して 存在し,その結果死亡するに至った場合において,業務と死亡との聞に相当 因果関孫が存在するというためには,業務がその中で最も有力な原因である ことは必要ではないが,相対的に有力な原因であることが必要であり,単に 併害する諸々の原因の一つに過ぎないときはそれでは足りないというべきで ある j。. ( 3 ) 共働原菌論と栢対的有力原塁言論の相対性ないしそもそも高文言を使用する 意義に対する疑関 1.上記むうち,システムコンサルタント事件では,一審が共働原因論,二 審が梧対的有力原因論,と採用した判断枠組みが異なったにもかかわら. 3 4 9(6 2)一.
(22) 近 畿 大 学 法 学 第5 4巻第 3号 ず,結局いずれも詞様の業務過重性要醤を認め,相当因果関係の成立を認 めており,実質的な椙違は不明である。. 2.上記から明らかなように,相対的有力原国論を採る判例は,その内容と して, I 著しく過大」な業務負荷により,基礎疾患等をその自然的経過を超 えて「急激に著しく増悪させた j か否かを基準とするものもあれば,そこ まで高い基準を採らないものもあち,結罵,共働原因論の内容とどう異な 。 可 るのか判然としな L. 3 . 住拍労基署長事件二審は,明確に, I 在両説のいずれを採用するかによっ て果たしてどれ程の差異が生じるのかということが,まずもって疑問とさ れなければならな~ ¥ J (判タ 8 7 5号 1 3 3頁λ としている O. 4 . 地公災基金岡山県支部長②事件一審は, I けだし,諸殺の事惜からみて公 務の遂行と死亡原菌となった疾病の発症及び増悪との曹における原因結果 の関係を否定できないために公務の遂行も競合する複数む原因事情の一つ であると認められる場合に,会費受葬笈夜襲数ゑ受慶男烹!章ゑ里さ芳友男. 主査左主主史玄ゑゑ史意夜祭江主是張主主主護表雰英三案型友会薮累表 意費鷺受ま象主主ゑ美貴玄長ゑ企歪主査芳際芝ゑ三主意ム虫套会農業型第 晃からして必ずしも容易でないため,右む認定判断む適正さを確保するこ とに層難を伴うばかりでなく,地方公務員災害補費制度が地方公共自体の 拠出する基金によって所属公務員が公務の遂行に当たり被った災害につき 京別として公務員側む過失の有蕪・割合といった原国事情を問うことなく 補穫を与えることによって地方公務員が安んじて公務を遂行することを可 能とならしめようとした目的・趣苦からすると,当該疾病が公務の遂行と 密接な関連を有して発症,増悪したと認められる以上,当該地方公務員に おいてことさら当該疾病の発症及び増悪を回避することを怠った,あるい は,容易に当該疾病の発症文は増悪を回避することができたのにこれを. 0条参照),公務に内在する危換 怠ったといえる特設の事情のない課り(法3 が現実化したものとして,当該疾病を地方公務員災害補穫の対象とするむ. 11 .7 0 ),と述べ,相対的有力原因論によ が相当であるか告である J(労判 8 る辛日新に疑問を呈したうえ, I 密接な関連」性の有無という独自の判新基準 を示し,公務の遂行と事故との間を結び、つける諸事靖を総合的に考嘉し て,担当因果関係を判顕すべき,としている。ただし,ここでも,その具 体的判断に当たっては, I 当該疾病の病罰及び病態生理に関する医学的知. -3 5 0(6 1).
(23) 〈資料〉いわゆる過労死・過労自殺裁判例の動向に爵する覚書. 続編. 見を基礎としながら,公務む内容・性質からみた困難さの夏合い並びに公 務の繋関の程度及びその鶏関等の諸事構からみて,地方公務員にとって公 務の遂行による樟神的身体的負担が公務において通常予定されている負担 の翠度を著しく越えるものであったか否かをその年齢を含む心身の常況等 との関連で轄断すべきものであり,ヨ蓑業友会費黒区ゑ之玄歪会費数数是. 録的集長空五! 5 恋念ゑ裏表ま惹与え喪主ゑ長会玄ゑ之主主義ゑ主義ゑJ(労 11 .7 0 )か否かが辛u 臨基準とされており,結局は業務の過重牲が重視され 判8 ているのであって,相対的有力原国論や共鶴原因論との実費的な棺違は必 ずしも明らかではない。. 5.地公災基金関山県支部長@事件二審では,共儲原因や相対的有力原因と いった文言が一切用いられていないが,. r 職員が基礎疾患を有しており,こ. れが一国となって疾窮が発生して死亡した場合には,公務による過重な精. Z五台第. 神的,弱体的負荷によって義援表患友恵義務暴走憲主主芳烹んふ. 果を詔いたと認められるとき,換言すれば,公務が基礎疾患を自然経過を. ιZ 五安養素去最えζ足立ゑ震度受愚薫会貫主ゑz三t f z. 顛柔三業烹吏会. と認められるときに,公務に内在ないし通常随伴する危険が現実化したも のとして棺当因果関係を認めるのが相当である J(労判 8 11 .6 1),と事j 示して おり,これは従前の共犠原因論や相対的有力京国論の判新枠組みと殆ど異 ならな~ ' 0. 6 . 地公災基金属山県支部長$事件で誌,一審が共働京国論を採用したにも かかわらず,公務起因性(棺当因果関係〉を否定し,二審が相対的有力原 因論を採用したにもかかわらず,公務起菌性〈相当因果欝孫〉を肯定して いる。むろん,この結論の梧違は,直接的に i ま事実の認定評穏に関わるも のではあるが,相当因果関孫の判断枠組みむ違いが必ずしも軒並奇基準の広 狭に連結するものではないことが理解できる。. 7.ー地公災基金愛知黒支部長事件差戻審では,共働原国論や桓対的有力原因 論i こ辻触れられず,単 i こ椙当因果関俸の有無を基準に判断されているが, 先ず,被災者 Zの特発性脳舟出盛発症の公務起菌性の判断基準は, 験則を踏まえ,公務による退重な負担が. r 医学経. zの脳の細動振,掘静脹におけ. る先天的血腫様奇形による病変ないし疾患〈……)を自熱的経過を超えて 烹与えゑ喪主芳憲主立さ三ことにより,…・・・(※特発性脳内〕出盛が開始し たと認められる」か否かによる〈労判 7 3 9 . 91),とされている。次に,同人. 3 5 1(6 0).
(24) 近 畿 大 学 法 学 第5 4巻第 3号 の特発性脳内出盛発症後の血麗の増大ないし大出車の公務起因性の宇1j新基 準については, I 涯学的経験則を踏まえ,出血開始後において Zが公務に従 事せざるを得ず,安静にしていることができなかったことにより,全身血 圧,ひいては脳内の血正を上昇させるなどし,これが原因ないし引き金と なって,……血管病変が自然的経過を蓮えて増悪し,死亡の原因となる重 篤な血腫の増大が引き起こされたと認められる」か否かによる(労判. 7 3 9 . 9 5 ),とされている。これらは,特発性脳内出車という疾患が,通常は 公務過重性による血圧上昇等ではなく,日常生活の中で自然に発症するも のであり,その出車開始後の血麗の増大ないし大出血についても同様であ る,という医学的知見を踏まえた判断基準であるが,前者は一般に相対的 箭基準 有力原因論の判断基準とされるもの,後者は一般に共鶴原盟議の事j とされるものに酷叡している O このことから,仮に共儲原国論や相対的有 力京国論を採用した場合にも,その異体的内容(判断基準)は,結局は事 案の性格や医学的知晃の内容などによって変わり得るもむであることが分 かるむ. 8 . 地公災基金東京支部長事件一審は,棺対的有力原国論を採っているが, その具体的内容については何ら明告かにしないまま,被災者の素因等,公 務の環境条件,死亡に至る公務の過重性(義務内容,勤務時間,休自等の 状況)から,端的に公務の遂行が心筋梗塞発症の椙対的;こ有力な原題で あったと認めることは菌難である,と結論づけているむしかし,このよう な審査内容であれば,判断枠組みとしての梧対的有力原菌論をあえて挙げ る必要はなかったように思われる G. 9.地公災基金東京支部長事件二審は,共鶴原因論を採っているが,その具 体的内容として, I 当該公務員の素因や基礎疾病が原因となって死亡した 場合であっても,公務む遂行が公務員にとって精神的・肉体的に過重負荷 となり,基礎疾請を自然的経過を超えて急激に憎悪(ママ)させて死亡の 時期を平めるなど基礎疾病と共揚京冨となって亮亡の結果を発生させたと. 4 4 . 31),という基準を挙げており,自然的経過 認められる j か否か(労判 6 を超えて「急激に j 増悪させることを要求している点では,相対的宥力原 忠論と情ら変わらな L 。 、. 1 0 . 前述のように,地公災基金東京支部長事件では,宇日新枠組みについて, 表現上,一審が椙対的存力原因論,二審が共働原因論を採用しているが,.
(25) 〈資料〉いわゆる過労死・過労自殺裁判例の動向 i こ関する覚書. 続編. 両者に結論の相違をもたらしたポイントは,むしろ基礎となる医学的知見 に関する認識の違いや,公務む過重性に関する認識の違いにあり,要は, 相当国果関係の判断の過程で労働者劉有剥に認定判断するか,捷用者担.u有 利に認定判顕するか,の総合的な判断のあり方の違いとしてしか理解する 。 、 ことができな L. 1 1.横浜南労基署長事件二審で詰,共働原選論を採用しているにもかかわら ず,その具体的判顕基準として,. r 業務の遂行が労働者にとって精神的又は. こ過重な負荷となり,基礎疾患をその自然的経過を超えて急激に増 肉体的 i 悪させて発症させるなど基礎疾患と共鶴原因となって当該疾病を発症させ. 8 3 . 8 7 ),という厳しい基準を示しており たと認められる j か否か(労判 6 (本判示で「労観者にとって j とされている部分は,持事件一審では,. r 当. 該労働者にとって j とされており,これは事実上過重性判断における本人 基準を局境基準に転換したものと評彊することができる),相対的有力原 因論と符が異なるのか判然としない。. 1 2 . 天満労基署長事件ー,二審では,共働原国論を採用しているにもかかわ らず,業務む遂行が基礎疾病を「会設!三豊恕主主主葱玉野顎支黒投ゑ等の 軒基準となることを明言している。やはり椙 業務遂行む有無j が具体的事i 対的有力諜毘論との相違は不明確である O. 1 3 . 品川労基署長事件一審は,形式上共働東西論を採用しているが,以下に 示す通り,判示の本旨は,共楊原因論を採用しようと相対的有力原因論を 採用しようと,業務起因性を認めるために関われるのは,通常の損害賠横. 車j 度における桔当因果関孫と関じ法的因果関係の有無であり,またこれを 一定の事由がある場合には事実上の推定を動かせて業務上の発症と認定す t、わゆる合理的関連性説の考え方〉は採るべきではない, るような方法 (. というにある。後述するように,合理的関連性説の考え方とここでいう法 的因果関需の認定方法との違いは結昂相対的なものでしかないと考えられ るが,いずれにせよ,共離原因論なり相対的有力原因論なり,といった判 断枠組みが必ずしも重視されていないこと辻,文眠から明らかと思われる こ業務「が共働の (更に,事件に即した認定判断において,判示は,結論的 i 原因又辻相対的に有力な漂窟にあたる jとは認められない,としている(労 判5 3 7 . 6 0 ) )。. 「疾病の発生につきいわゆる業務起因性があるというために詰,業務と. 3 5 3(5 8)一.
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