ホーチミン市・大阪市連携による低炭素都市形成に
ついて (特集 地方自治体による国際環境協力)
著者
泉 憲
権利
Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア
経済研究所 / Institute of Developing
Economies, Japan External Trade Organization
(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp
雑誌名
アジ研ワールド・トレンド
巻
235
ページ
19-20
発行年
2015-04
出版者
日本貿易振興機構アジア経済研究所
URL
http://hdl.handle.net/2344/00003228
19
アジ研ワールド・トレンド No.235(2015. 5)ホ
ー
チ
ミ
ン
市
・
大
阪
市
連
携
に
よ
る
低
炭
素
都
市
形
成
に
つ
い
て
泉
憲
● 都 市 間 協 力 に よ る 推 進 ホーチミン市は古くから水との 関わりが深い「水の都」であるこ と、首都ではないが国の経済の要 となる商業都市であること等、大 阪市との共通点が多い都市である。 大阪市はホーチミン市との間で 一 九 九 七 年 に ビ ジ ネ ス・ パ ー ト ナー都市提携を結んでおり、二〇 一四年には姉妹港提携後二〇年に 当たる節目の年を迎えるなど、こ れまで友好な関係を築いてきた。 環境分野における課題の類似点 も多く、二〇一〇年には「水・環 境分野を中心とする協力に関する 覚書」を締結し、ホーチミン市と の連携を進めてきた。 また、国レベルでは日本とベト ナ ム は 二 〇 一 三 年 七 月 に、 「 二 国 間 ク レ ジ ッ ト 制 度 ( Joint Crediting Mechanism : J C M )」 を 締 結 し ている。これを受けて、大阪市で は副市長をトップに都市計画局や 建設局、経済戦略局などの部門横 断的な組織である大阪低炭素都市 開発支援本部を設置し、ホーチミ ン市の低炭素社会実現に向けた取 り組みがスタートした。 実務レベルでの協議を経て、二 〇 一 三 年 一 〇 月 に は、 「 ホ ー チ ミ ン市・大阪市低炭素都市形成に向 けた国際シンポジウム」を開催す るとともに、ホーチミン市人民委 員 会 委 員 長 と 大 阪 市 長 と の 間 で 「 ホ ー チ ミ ン 市・ 大 阪 市 低 炭 素 都 市形成に向けた覚書」を締結し、 ホーチミン市の気候変動対策実行 計画を策定するとともに、官民連 携によるプロジェクトを戦略的に 推進していくこととした。 ● 計 画 的 ・ 戦 略 的 な 推 進 大阪市はホーチミン市の低炭素 都市形成を計画的かつ戦略的に進 めるため、これまで培ってきた経 験を踏まえながら、ホーチミン市 と協議を重ねている。 まず、低炭素都市形成の実現に は温室効果ガスの効果的な削減が 必要である。大阪市では、エネル ギー起源の温室効果ガスの排出量 が温室効果ガスの総排出量の九割 以上を占めている。ホーチミン市 においても建物全体のエネルギー 改修や再生可能エネルギーの導入 などにより、都市の省エネ化によ る温室効果ガスの大幅な削減をめ ざす。 さらに、ホーチミン市では廃棄 物の増加や水質劣化などの課題も 抱えているため、健全な発展に向 けて、総合的な政策の展開が必要 である。そこで、今後、都市開発 を進める際には、廃棄物管理や水 質管理のための静脈インフラ施設 の用地を前もって確保し、環境負 荷 の 低 減 を 図 る こ と の 重 要 性 を ホーチミン市と共有した。 また、現在、ホーチミン市の生 産年齢人口は増加傾向にあり、今 後の成長とともに、交通渋滞や電 力不足、都市洪水など、様々な問 題がより深刻化する可能性がある。 そこで、大阪市は交通政策や住 宅政策、産業政策などと調和した 総合的な施策をホーチミン市の気 候変動対策実行計画に盛り込むこ とを提案している。 ホーチミン市・大阪市低炭素都市形成に向けた国際シンポジウム (提供:大阪市環境局環境施策部)●
特●
集地方自治体による
国際環境協力
アジ研ワールド・トレンド No.235(2015. 5)