イングランドにおける教員養成の事例研究 -実情・特徴・課題の分析に基づく日本の教員養成への示唆-
14
0
0
全文
(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第57巻 第2号 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.57,No.2. 平成19年2月 February,2007. イングランドにおける教員養成の事例研究 一実情・特徴・課題の分析に基づく日本の教員養成への示唆−. 木 塚 雅 貴 北海道教育大学教育学部釧路枚英語教育学研究室. AnAnalysisofInitialTeacherEducationinEnglandatPresent −ImplicationsandSuggestionsforInitialTeacherEducationinJapan,. asGleanedbyAnalysingaCaseinEngland−. KIZUKA Masataka. DepartmentofInitialTeacherEducation&TeacherDevelopmentinEnglishLanguageEducation, KushiroCampus,HokkaidoUniversityofEducation,1−15−55,Shiroyama,Kushiro−Shi,Hokkaido,085−8580,JAPAN. ABSTRACT ThepurposeofthispaperistoclarifythepresentstateofInitialTeacherEducation(ITE)inEngland. throughanalysingonespecificcaseandtoidentifytheissuesinvoIved,therebyenablingtheformulation Ofsomeimplicationsforpresent−dayITEinJapan. Therearethreemainfindings:1)ThemainfeatureofITEinEnglandistheone−yearpOStgraduate− courseITEsystem,WhichaimstohelpthePostgraduateCerti五cateinEducation(PGCE)studentstobecome. reflectivepractitionersonthebasisofasystemofgoingbackandforthbetweentheuniversityandthe. local−placementschooIsofthetrainees.2)Twodifferentplacementsinalongperiodofpractice−teaChin areverymuchwelcomedbythePGCEstudents;atthesametime,therolesofmentorsaresignificant.. 3)ThereisagreatdisparitybetweentheattitudesofuniversitytutorsandPGCEstudentstowards theoryandpracticeinITE.. SomesuggestionsastoITEinJapanareasfollows:1)Itisessentialtoextendthelengthofthe practice−teaChingperiod.2)Thepractice−teaChingitselfshouldbeorganisedsoastoconnecteducational theoryandpracticetightlybytheuseofreflectivepractice.3)Thequalityofmentorsshouldbe improved.. 55.
(3) 木 塚 雅 貴. Ⅰ.主 題 本稿の主題は,イングランド(England)(1)の教員養成(InitialTeacherEducation,以下ITEとする(2)) の実情を1つの事例に基づき分析し,その特徴及び課題を明らかにした上で,日本の教員養成の実情と比較 考察しながら,日本の教員養成における示唆及び改革の方向性を捉えることにある. 本稿では第1に,共通の理解に立つために,イングランドのITEシステムの概略を述べる.その上で,. ITEシステムの運用事例として,ロンドン大学大学院教育学研究科(3)(InstituteofEducation,University ofLondon,以下IOEとする)現代外国語教員養成課程(PostgraduateCertificateinEducationforModern ForeignLanguages(4),以下PGCEMFLとする)における前期中等教育のITEを採り挙げ,考察の対象と する.第2に,イングランドで看取されるPGCEにおけるITEに関する議論内容に基づき,その内容を検 証する目的から筆者がIOEのPGCEMFL所属学生に対して行ったアンケート調査の結果分析を踏まえ,イ ングランドのITEの特徴及び課題を考察し,その中で日本の教員養成との比較を視点の対象に加え,日本 の教員養成の問題点及び課題に言及する.最後に,上記の考察に基づき得られる日本の教員養成改革に資す る基礎を捉えることとする.. 本稿の主題の背景には,日本の教員養成改革において長く議論されてきている事項,例えば教育実習の期. 間,大学院における教員養成,教員養成における理論と実践の融合・結合等(5)は,総てイングランドの ITEから示唆を得ることが可能な事項であり,イングランドのITEに鑑みることで,今後の日本の教員養 成における改革の方向性が見出され得ると考えられるからである.. 本稿の特徴は,研究者が外側からイングランドのITEを鳥撤し,文献及びインターネット等の情報のみ に基づき考察を進めるのではなく,実際にイングランドのITEの中に1年間に亘り身を置きながら,換言. すればITEの内側から議論を行う点にある.筆者は,IOEで行われているPostgraduateCertificatein Education(以下PGCEとする)の講義(1ecture)及びPGCEMFLの講義・演習(teaching)に出席し, かつPGCEMFLの学生と教育実習校に赴き,そこでの教育実習の実際並びに指導(mentoring)等を観察 し(6),加えてIOEの教官及び現地の学校の教師とITEに関する議論を1年間行ってきた.換言すれば, PGCEMFLの学生と同様の事項を体験した上で,本稿における議論を進めている.. ITE参画に基づき行われた類似の研究は,松平が1988−1989年にかけて,やはりIOEのPGCE初等教育 課程に在籍し行った研究が見出される.松平の研究は,表題からも明らかなように「イギリスの教師文化」 を考察の対象とした研究であり,「教職観や教師像」(松平,p.157)を捉えることを企図し,初等教育を調. 査の対象としていた(7).従って,前期中等教育におけるITEそれ自体を対象とした研究ではない.また, イングランドのITEを取り巻く環境は,桧平が行った調査の時期とは変容している.特に現在教育技能省. (DepartmentforEducationandSkills,以下DfESとする)の外郭機関となっている教員養成局 (TeacherTrainingAgency(8),以下TTAとする)が1994年に設立され,TTAが教員資格(Qualified TeacherStatus,以下QTSとする)付与のための基準(ProftssionalStandardsforQualifiedTeacherStatus andRequirementsforInitialTeacherTraining)を作成し,1997年DfESがそれを告示する(9)等大きな改 革が行われている(10).また教員養成機関に関しても,高等教育機関の改組が行われる等変革が著しい.従っ て本稿は,現在のITEシステムに基づくイングランドの前期中等教育におけるITEを考察の対象としてお り,本研究が有する新しい意義は自明であろう. 以上のように,本稿では,イングランドのITEの実態を調査分析し,日本の教員養成改革に資する事項 を明らかにすることをねらいとする.. 56.
(4) イングランドにおける教員養成の事例研究. Ⅰ.イングランドのITEシステムとその目的. イングランドのITEシステムは複線型を形成しており,養成の方法には学部段階での養成 (Undergraduateroutes)・大学院段階での養成(Postgraduateroutes)・職場主体の養成(Employment− basedroutes)の3通りがある(11).以下では,本稿における議論と最も関わりが深いと考えられる大学院 段階での養成を中心に,イングランドのITEシステム全体の概略を述べることとする.. 大学院段階での養成は,イングランドにおける最も一般的な教員養成の方法(12)であり,大きく分けて2 通りの方法がある.第1は,大学(university)またはそれに準ずる高等教育機関等において,PGCE課程 を受講することにより教員資格を取得する方法である.PGCE課程を履修するためには,少なくとも大学 学部卒業資格を取得していることが必要条件になる.また,学部で取得した学位の内容と,履修を企図して いるPGCE課程の内容に禿離がある場合,PGCE課程の履修が不認可とされることがある.すなわち,あ る程度の教科に関する専門的知識(subjectknowledge)が,受講を企図している学生にすでに備わってい. ることを,PGCE課程履修の前碇と見なしているのである.PGCE課程は,教員資格取得のための1年制 大学院と位置づけることができ,大学で指導教官(university−basedtutor)の指導を受けながら教育学・ 教科教育法等の理論を学び,学校現場においては指導教諭(mentor)の指導の下で教育実習を行う.教育. 実習の期間は,観察実習を含め最低24週間を充てることが法律で定められている(13)ため,例えばIOEの場 合,PGCE課程授業期間の3分の2を学校現場での実習に充てている.また,教育実習は2箇所の異なる 学校で行うことが法律で定められている(14)ため,秋学期(autumnterm)から春学期(springterm)にか けての教育実習と春学期から夏学期(summerterm)にかけての教育実習は,異なる学校で行われている.. 第2は,学校現場を主体としたPGCEによる方法(School−CentredInitialTeacherTraining)である.こ れは,各自治体の教育委員会(LocalEducationAuthority)が中心となり,複数の初等・中等教育機関を 提携学校(partnershipschool)として組織し,近隣の大学等の高等教育機関とも連携し,学校現場主体に よるITEを行う方法である.上記第1の方法と異なる点は,学校に所属しながら実践を学びつつ,指定さ れた拠点学校へ定期的に通い理論を学ぶ点及びより数多くの学校で教育実習を行う点にある.. 学部段階での養成は,日本の大学における教員養成に近い方法であり,学部卒業時にQTSを取得する(15) ために,学部数育と並行しPGCE課程を履修することになる.職場主体の教員養成の主な方法は,学部卒. 業資格保有者教員養成プログラム(GraduateTeacherProgramme)である.大学学部卒業者が,学校と個 別に無資格教員(unqualifiedteacher)としての雇用契約を結び,ティーチング・アシスタント等として学 校で授業補助及び指導教諭の指導下での授業等を行う.また,定期的に学校の中で理論を学びつつ,学期ご とに大学等の高等教育機関に通い理論を中心とした講義等を受講する.本方法の最大の特徴は,学校と雇用 契約を結ぶため給与が支払われる点である.. イングランドのITEの目的は,反省的実践家(reflectivepractitioner)の養成にあり(16),この点は現職 の教師を対象とした教育においても該当する.従ってイングランドでは,反省的実践家の養成を意識した ITEカリキュラムとその内容が重要視されている.. 以上のように,イングランドにおけるITEは,1年生大学院におけるPGCE課程を中心とする方法であ ると捉えることができる.. Ⅱ.10EにおけるPGCEMFLカリキュラム 以下では,イングランドにおけるITEの1つ事例として,IOEのPGCE課程におけるカリキュラムの具. 57.
(5) 木 塚 雅 貴. 体的内容を考察する.. IOEには,PGCEMFLを含め14の前期中等教育に関わるPGCE課程があり,これらに加え初等教育並び に義務教育修了後教育(Post−COmpulsoryeducation)に関わるPGCE課程がある.初等教育・前期中等教育・ 義務教育修了後教育それぞれが一つの構成単位となり,必要に応じ各構成単位で課程所属の学生全体を集め た講義を行っている.. 前期中等教育PGCE課程の場合,同課程所属学生全体に対する講義(KeynoteLecture,以下KLとする) が年間11回水曜日に行われている.これは,同課程学生全員が共通に学ぶ必要性がある理論を中心に組み立 てられており,秋学期の初めを中心としながら継続的に夏学期まで行われる.また,ModernForeignLan− guages(以下MFLとする)に関する理論については,MFL課程所属の学生を対象とした講義・演習が行 われている.. 2005∼2006年度各学期のPGCEMFLカリキュラムの概略は,以下の通りである(17) 秋学期. (2005年9月12日∼12月16日,14週間) 第1過 小学校において観察実習.. 第2週 KL(ロンドンの学校の現状,教育制度史,授業運営(Classroommanagement)). MFL理論(小学校での観察実習の振り返り,外国語学習の必要性,外国語学習経験について). 第3週 KL(学習理論と個に応じた学習). MFL理論(外国語学習と外国語教育,新出語彙の導入方法(ビデオによる授業観察を含む),新 出構文の導入方法(ビデオによる授業観察を含む)).. MFL演習(マイクロ・ティーチングによる新出語彙の導入(学生1人当たり5分間授業を行い, 終了後省察を含めたディスカッション.ビデオにも録画),入門用文献講読の内容に関する発表).. 第4週 KL(教育における平等). MFL理論(ナショナル・カリキュラム,指導案作成1,観察実習課題について).MFL演習(マ イクロ・ティーチングによる新出構文の導入(学生1人当たり5分間授業を行い,終了後省察を含 めたディスカッション.ビデオにも録画)).. SpanishInstitute並びにFrenchLyceeの訪問. 第5週 MFL理論(指導案作成2(目的に応じた活動と評価,個に応じた学習),授業運営(ベテラン教 師とmentorの視点),聴く・読む能力の養成).. 水曜日∼金曜日の3日間は,実習校において教育実習のオリエンテーション(induction). 第6週 MFL理論(話す・書く能力の養成). 火曜日∼金曜日の4日間は,実習校において観察実習(授業運営について). 第7週 KL(難民と補助語としての英語(EnglishasanAdditionalLanguage)). MFL理論(文法,目標言語(targetlanguage)の使用と辞書指導,本物の教材(authentic material) の利用).. 第8週∼第14週 毎週月曜日に,MFL理論(文化への認識(culturalawareness),学習方略(1earning strategies),評価,特別なニーズを必要とする生徒への教育,情報機器(InformationandCom− municationsTechnology))に関する授業及び個別指導が行われる. 火曜日から金曜日までは.1校目の実習校において教育実習.. 58.
(6) イングランドにおける教員養成の事例研究. 春学期. (2006年1月2日∼3月31日,12週間(18)) 第15週∼第18週 全日教育実習.(18週目で1校目の教育実習終了.) 第19週∼第20週 月曜日・火曜日は,教育実習の省察を中心に個別指導を行う.水曜日は大学でKL(初任 教師と就職,後期中等教育の概略).木曜日・金曜日は2校目の実習校において,教育実 習のオリエンテーション.. 第21週 2校目の実習校において観察実習. 第22週∼第26週 全日2校目の実習校において教育実習(第25週は,大学において個別指導).. 夏学期. (4月17日∼6月30日,10週間(19)) 第27週∼第32週 全日2校目の実習校において教育実習. 第33週∼第36週 水曜日のKL(採用後の初任者研修(induction),青年と青年期)以外は,教育実習のま. とめ及び個別指導等.. 上記カリキュラムから,以下に示す5点が特徴として捉えられるであろう. 1.教師になる者が共通して備えておくべき知識・理論をKLで扱いながら,PGCE課程の早い段階か ら始まる教育実習に備える目的で,MFL理論に関わる事項を集中的かつ網羅的に秋学期の最初に扱っ ていること.また,そのことにより,理論が短期間に詰め込み的に扱われている印象を拭い去れないこ と.. 2.マイクロ・ティーチングが理論と並行し行われていること.また,マイクロ・ティーチングの中で は,最初から自らの実践を省察することが求められており,前項で言及したイングランドのITEの目 的を志向した内容となっていること.. 3.1校臼の教育実習期間中には,大学において理論に関わる授業が並行して行われるが,2校臼の教育 実習は完全に実習主体であること.. 4.2校の教育実習期間いずれにおいても,大学と実習校との行き来を含んだ実習が行われているため, 理論と実践の往復関係が保たれやすい環境が構築されていること.. 5.まず初めに小学校において観察実習を行い,前期中等教育の前段階に関わる事項を具体的に把握する 方策を講じていること.. 教育実習は,IOEが連携している碇携校で行われており,提携校に対しては,教科の教育実習指導担当 教諭(SubjectCo−Tutor,以下SCTとする)並びに教育実習全体を統括する教諭(ManagingMentor,以 下MMとする)に,IOEにおけるITEの考え方,学生が受講している講義の内容,教育実習の指導内容 及び評価等への理解をはかる研修を実施している.特に最近では,IOEがSCT並びにMM向けのアクレ デイテーション・コース(accreditedcourse)を有料で開講し,SCT並びにMMが教育実習担当教諭とし ての専門的力量を備えられるよう措置を講じている(20). 教育実習生は最初から1人で授業を任されるのではなく,SCTの補助及びティーム・ティーチングによ り授業に入り,徐々に1人で授業を行うことが求められる.一般的には,2校目の実習の最終段階で完全に 1人で授業を行うことになる.また,原則的には授業後及び毎週1回1時間程度SCTとの実習個別指導 (MentoringSession)が行われる.大学のマイクロ・ティーチングにおける演習と同様に,自らの授業の 省察を中心とした指導が行われる.具体的には,授業の展開の仕方(時間配分・生徒の活動内容・生徒の括. 59.
(7) 木 塚 雅 貴. 動への働きかけ等),実習生が直面している問題への援助,実習生の進歩の度合いの確認が行われる.さらに, 実習中の各段階における目標設定(target−Setting)をSCTとともに行い,それを達成できたか否かの評価 も行われる.SCTの役割は教育実習生への援助であることから,個別指導の内容も実習生が直面している 問題解決への示唆を中心としており,個別指導の過程で自らの実践に対する省察が求められる.すなわち, イングランドの教員養成の目的に適った内容となっていることが捉えられる.教育実習生の評価自体は, QTSに基づく評価基準が術用され,その内容が達成されているか否かを中心に行われるが,毎回の個別指 導は,教育実習生評価の目的から行われているというよりは,教育実習生自身の指導改善を目的として行わ れていると言えるであろう. 教育実習の評価は,上述のQTS付与のための基準に基づき行われ,IOEの教官・SCT・外部の大学の教 官(externalexaminer)がそれぞれ,教育実習生の授業を観察した上で最終的な評価を出している.特に 外部の大学の教官は,QTS付与のための基準が達成されているか否かを客観的に判断する上で,重要な役 割を担っている. 以上から,イングランドにおけるITEの実際の状況が,大学におけるカリキュラム並びに教育実習に関 して,具体的な1つの事例として捉えられるであろう.従って,前項までの内容を総括すると,以下に述べ る7点をイングランドのITEの特徴として挙げることが可能であろう. ①1年制大学院における教員養成を主体としていること. ② 教科教育に関する理論が,短期間に集中的に扱われていること. ③ 教育実習の期間が極めて長く,2校の異なる学校で実習が行われていること. ④ 大学と実習校を行き来することにより,理論と実践を確認しながら教員養成が行われていること. ⑤ 授業の省察を中心概念とした教員養成が行われていること. ⑥ 教育実習指導担当教諭の研修・養成が行われていること. ⑦ 教育実習の評価基準が国により定められ,教育実習の評価における客観性が確保されていること. 現在イングランドの教員養成においては,特に①∼③両者に関わる議論が各所で看取される.すなわち, 1年制大学院の教員養成でありながら,教育実習の期間が長いことにおける問題点として,教科に関する専. 門的知識(subjectknowledge)及び教育に関する知識(knowledgeofteaching)と教育実習の比重の偏り. が見出されること,換言すれば理論と実践の比率が課題として存在するという議論である(21).理論と実践 の融合・結合は日本においても課題となっているが,両者では課題の内容が正反対であることが理解される. すなわち,イングランドでは実践が重視されていることに対して,一方日本では理論が重視されていること に対しての課題が見出されるのである(22). 以下では,上記①∼③に関わる事項を中心としながら,④・⑤にも関与する事項について,IOEの PGCEMFL課程所属学生に対して実施したアンケート調査の結果を分析し考察することを通して,イング ランドにおけるITEの課題の実態を検証し,イングランドにおけるITEへの理解を深めるともに,日本の 教員養成との比較検討を行い,日本の教員養成における課題を捉えることとする.. Ⅳ.アンケート調査の結果分析と考察 以下では,PGCEMFL課程修了直前の2005年6月末,同課程所属学生43名(23)に対し,イングランドの 教員養成の実情を捉えるために行ったアンケート調査(24)の結果を分析し,イングランドにおけるITEの課 題の実態を検証し,かつ日本の教員養成との比較検討を行い,日本の教員養成における課題を捉えることと する.アンケート調査における質問項目は,以下に示す通りである.. 60.
(8) イングランドにおける教員養成の事例研究. QUEST10NNAIRE(アンケート) (Choosetheanswerasappropriateforyouandwritethereason(s).ノ (各質問に対し相応しい方を選び,その理由を書いてください.). Ql.Wasitvaluableforyoutohaveyourpractice−teaChingsintwoDIFFERENTschooIs? (2つの異なる学校で教育実習を行ったことは,価値のあることでしたか.). Yes.(はい) No.(いいえ) Reason(s):(理由) Q2.Wasthelengthofeachpractice−teaChingsufficientandfavourableforyou? (それぞれの教育実習の期間は,充分かつ望ましい長さでしたか.). Yes.(はい) No.(いいえ) Reason(s):(理由) Q3.Wereyoursubjectmentorsindispensableforyourpractice−teaChings? (教科に関する指導教諭は,教育実習にとって必要不可欠な存在でしたか.). Yes.(はい) No.(いいえ) Reason(s):(理由) Q4.Whatdidyoulearnmostfromyoursubjectmentorineachschool? (それぞれの学校で,教科に関する指導教諭から学んだ最大の事項は何ですか.) 1Stschool:(1校目). 2ndschool:(2校目). Q5.Whatwasyourbiggestormostseriousprobleminyourpractice−teaChingineachschool? (それぞれの学校で直面した最も大きな問題は何でしたか.). 1Stschool:(1校目). 2ndschool:(2校目). Q6.WerethetheorieswhichyoustudiedorlearnedintheInstitutemeaningfu1andessentialforyour practice−teaChings? (ロンドン大学で学んだ理論は,有意味で必須の事項でしたか.). Yes.(はい) No.(いいえ) Reason(s):(理由). Q7.Doyouthinkthattheoriesaregenerallyimportantandessentialforyoureducationalpracticein school? (一般的に理論は重要かつあなたが学校で教育実践を行う場合に必須の事項であると思いますか.). Yes.(はい) No.(いいえ) Reason(s):(理由) Male(男性)/Female(女性),Age(年齢),UndergraduateDegree(s)(学部で取得の学位). 回答者43名の内訳は,男性11名・女性32名であり,全体の74.4%が女性である.年齢は23歳から40歳まで の範囲に渡り,20歳代34名(80.5%)を最大範噂とし,30歳代8名(18.6%),40歳1名(0.9%)となって いることから,IOEのPGCEMFL課程の学生は,20歳代の女性を中心とした構成であることが捉えられる. 取得学位は,学士号が37名(86%)であり,そのうち34名が英語・フランス語・スペイン語等の言語または 言語学を専攻した者であり,残りの3名は地域研究専攻であった.修士号取得者も4名(10%)いた.「イ ングランドのITEシステムとその目的」の項において既述の通り,PGCEMFL課程を履修するためには, 言語に関わる学問領域を学部段階で専攻していることが求められる.すなわち,教科に関する専門的知識と して,言語または言語学を前碇としていることが理解される.. 次に回答内容を個々に考察し,前項における①∼⑤に関わる分析を行うとともに,日本の教員養成との比 較検討を視点の対象に加え,日本の教員養成の課題に言及することとする.. 61.
(9) 木 塚 雅 貴. Ql.回答結果 Yes.42名. No.0名. その他l名. ほぼ100%肯定的回答であった.主な理由は,「全く異なる学校で教育実習を行うことにより,生徒の多様 性や学校ごとの考え方,方針の違いに目が開かれた」,「個々の生徒に対する教え方の違い,異なる指導方法 を学ぶことができた」という内容であった.上記は,異なる学校において教育実習を行う重要性を物語って いることに加え,ロンドンにおける学校の民族構成や文化の違いについても語っていることが理解される.. すなわち,学校ごとに教育に対する考え方やポリシーが異なっているだけでなく,ロンドンの学校は地域に より民族構成が大きく異なっているため,生徒も多種多様である.. 日本の場合1校に限定された教育実習であるため,学校ごとの差異を学ぶ機会を得られない状態で教師と なり,実習校と勤務校との禿離に遭遇するケースが見られる.ロンドンの学校と比して,日本の学校は民族 構成が多様であるとは言えないが,日本の学校にもそれぞれ独自の文化並びに隣接する地域コミュニティー が存在し,学校が立地する地域により各学校の独自性が強いことは自明である.また,例えば群馬県太田市 のように,日本語を母国語としない児童・生徒が多数在籍している学校も見出され得る.日本においても, 学校の独自性及び地域の特性を学ぶ意味から,複数の学校で教育実習を行うことの利点を考える必要性が見 出され得るであろう.. Q2.回答結果 Yes.37名. No.6名. 全体の86%が肯定的回答であった.その主な理由は,「生徒との関係を築くために充分な時間であった」,「実 習中に自らが進歩していることを確かめることができた」,「学校や教師という職業を理解することができた」 が見出された.一方否定的な回答には,「長すぎる」,「理論にもっと時間を割いて欲しい」という趣旨が見. られたが,興味深い点は,否定的回答を出している者の中の3名は,「教育実習をさらに長くして欲しい」 という理由を記していたことである.すなわち,現在の教育実習期間である24週間は短いと指摘しているの である.結局,現状の教育実習よりも短い期間を求めている学生は3名(7%)に過ぎないという結果であっ た.上記は,前項で言及した理論と実践の比率に閲し重要な事項を物語っている.すなわち,理論が軽視さ れていると大学教官は捉えている一方で,学生自身は教育実習期間が満足な長さである,あるいはさらに実 習を重視して欲しいと考えているのである.すなわち,大学教官と教育実習生との間には,理論と実践の比 率に関わる禿離が見出されるのである. 上記を日本の教育実習と比較した場合,歴然とした格差が認識され得るであろう.すなわち,佐藤(1996,. p.157)が指摘しているように,「その(日本の大学の学部段階における)養成教育は,国際的に見ても例 を見ない短期の教育実習」(括弧内は筆者による)であり,「専門家教育の基盤に,長期の実践的経験や臨床. 的経験を組織すること」(佐藤,1993,p.32)が求められているのである.「わが国の教師教育は,世界に 類を見ないほど貧弱な実践経験しか,カリキュラムに組織しえていない.専門家教育の内実を形成するため には,量的にも質的にも教育実習を含む実践的経験を充実させるための制度と内容と方法に関する研究は不 可欠である」(佐藤,1993,p.32)という指摘は,日本の教育実習の実情を総括的に物語る的を得た内容で あろう.今後設置が予定されている教職専門職大学院においては,教育実習期間が8週間に延長されること にはなったが,それでも依然としてイングランドの教育実習期間の3分の1であることを認識する必要性が あるであろう.日本の場合,「学校や生徒に慣れて来た頃には教育実習が終わりになってしまった」という 学生の感想に頻繁に遭遇するが,教育実習期間を延長することにより改善され得る事項であることは,本稿 におけるPGCEMFL課程所属の学生に対するアンケート調査の回答に鑑みれば,推測に難くないであろう.. 62.
(10) イングランドにおける教員養成の事例研究. Q3.回答結果 Yes.37名. No.5名. その他l名. 全体の86%が肯定的回答であった.回答理由は,「援助やアドバイス,授業のアイデア,授業観察後のフィー ド・バックを得られたこと」を大多数が挙げていた.一方否定的な回答理由は,「充分な援助が得られなかっ. た」が大半を占めていた.指導教諭に当たりはずれがあることは,イングランドにおいて実際に認められて. いること(25)であり,わずかながらも否定的回答が見られることは当然の帰結であると言える.しかしなが ら前項で既述の通り,. イングランドではSCT並びにMMに対する研修が行われているため,否定的回答割. 合が少なく,大半の教育実習生は肯定的回答を示していたと捉えることが可能であろう.. 日本の場合,教育実習担当教諭自身に対する研修が組織的には行われていないことから,指導教諭による 指導内容に関する禿離がより一層大きくなっていることが想定される.また,イングランドにおけるQTS に相当する評価基準も存在していないことから,教育実習の質を確保すること及び教育実習の評価に関して, 重要な課題が残されていると考えることができるであろう.. Q4.教育実習1校目に関する回答で多く挙げられていた事項は,「指導計画(1essonplanning)の作成」, 「個々の生徒のレベルに合わせて授業を行うこと」,「生徒の授業中の態度への対応の仕方及び授業運営の方. 法」であった.興味深い点は,教科指導そのものに特化した記述が少なかったことである.例えば「目標言 語(targetlanguage)で授業を行うこと」という記述が2名見られたが,ほとんどは授業を成立させるた めの方法を学ぶことが有益であったと捉えている.すなわち,1校目の実習においては,授業を行うことの 難しさを教育実習生が認識していることの現れと捉えることができるであろう.. 教育実習2校目に関する回答で多く挙げられていた事項は,「個々の生徒のレベルへの対応」,「上手に構 成された(organised)授業を行うこと」,「4技能(聴く・話す・読む・書く)のバランスの取り方」,「目 標言語の使用」. ,「活動内容を多様にすること」,「生徒の行動への対応」であった.明らかに1校目に見られ. た記述とは異なっている.すなわち,系統的に組織された授業の組み立て方に意識が向かっており,2校目 における教育実習生の進歩を看取することができるであろう.このような記述が見られる背景には,教育実 習が2校で行われかつ長期に亘っていることが寄与していると考えることができるであろう.充分な時間を かけ,1校目の実習において授業を成立させる技術を身につけ,2校目の実習において教科の特質に即した 授業を行うことが志向されているのである.Q2.において見られた「教育実習中に自らの進歩を確かめる ことができた」という記述とも連関する結果である.. Q5.教育実習1校日に関して多く挙げられていた回答には,「生徒の行動への対応」,「指導計画の立て 方」,「教科の指導教諭からの援助の欠如」があった.特に目を引いた事項は,「教育実習の最初からいきな り1人で授業を任された」という回答である.前項で既述のようにイングランドでは,教育実習生は指導教 諭のアシスタントを行うことから開始し,徐々に1人で授業を行うように移って行くため,このような指摘 が出てくることになる.日本では,教育実習生が初めから1人で授業を行うことは稀なことではない.教育 実習の期間が3週間∼5週間程度と短いことが,日本における状況を生み出す背景にあると捉えることがで きるであろう. 教育実習2校目に関して多く挙げられていた回答は,「生徒の行動への対応」,「授業の進め方・時間配分」, 「学校内の人間関係(校長や所属している科の教師と)」であった.本質間においても,明らかに1校目の 実習における回答とは質が異なっている.教育実習生という立場から,教師という立場への移行過渡期にい る姿が見川され得るであろう.ただ,「生徒の行動への対応」が挙げられている点は1校目の回答結果と共通. しており,これはイギリスの教育全般で問題となっている授業中の生徒の問題行動(26)が背景にあり,国を. 63.
(11) 木 塚 雅 貴 挙げて生徒の問題行動に対する取り組みが行われていることに鑑み,当然の帰結であると言えるであろう.. Q6.回答結果 Yes.36名. No.2名. その他 4名. 無回答l名. 全体の83.7%が肯定的に回答している.理由の趣旨の大半は,「授業を組み立てることや授業の進め方,. 生徒がどのように学習するのかが,実際に授業を行う場合に有効であった」という内容であった.興味深い 回答は,「当初大学で理論を多く学んだが,実習の最初はその理論を生かすことができなかった」,「理論を 実際の世界に当てはめてみたが,うまく行かないことがあった」,「実践を通して理論を理解することが重要. である」であった.すなわち,1校目の実習前に集中的に与えられた理論が学生の中で充分消化され生かさ れるまでには,長時間にわたる実習が必要になることを回答結果は物語っていると考えることができるであ ろう.また,教育実習を通して学生が理論の持つ意味を次第に掴んでいる姿が見出されるとともに,大学と 教育実習校を往復しながらITEが行われていることの有効性を捉えることができるであろう.一方4.6%が 否定的見解を示しているが,その理由として「教育実習で(理論を)学んだから」(括弧内は筆者による),「理. 論が自らの実践においては必ずしもつながりを有していなかったから」を挙げていた.大学における理論の 内容が問われる回答であり,次のQ7.とも連関する結果である. 日本の場合,教育実習期間が短いため,理論が持つ意味を実習中に理解することが困難な状況にあると想 定される.また,大学と実習校の行き来を基礎とした教員養成が行われていないことも,教育実習中に理論 を生かすことが困難状況を作り出していると考えられるであろう.日本では,教員養成期間自体は4年間と いう長期間に亘っている.従って,理論を短期間に集中的に扱うことなく教育実習と連動させることで,理 論が持つ意味を理解させることが可能な状況を作り出すことができるはずである.すなわち日本の場合,理 論を実践と結びつける場が欠如している点に,問題点を見出さざるを得ないであろう. Q7.回答結果 Yes.37名. No.3名. その他 3名. 全体の86%が肯定的に回答している.理由の多くは,「教師として成長するためのバックボーンや基礎に なる」,「反省的実践と理論は必須である」,「理論なくしては良い実践はできないであろう」,「理論は実践の. 基礎や枠組みになる」という内容であった.Q6.の内容と連関するが,全体として理論が有する重要性が 理解されていることが捉えられる.一方否定的な回答3名(7%)の理由は,「理論よりも実践の方が価値 がある」という趣旨であり,またその他(YesandNo,どちらとも言える)3名(7%)の理由は,理論 の重要性を認めながらも「実践が先にありき」という趣旨の回答であった.上記の否定的な回答は,Q2. における教育実習の期間とも連関する重要な事項を含み込んでいる.イギリスの教師教育では, McIntyre(p.39)が指摘しているように,「実践的能力が求められ」,「実践的能力は,実践を通して獲得さ れる」という考え方が前面に出されていることにより,近年理論が危機に瀕している状況が看取される.換 言すれば,「英国の学生評価は,教育実践が教員養成の中で最も重要な側面であることを示してき」(クルッ. ク,p.162)ているのである.上記の傾向は,本調査結果においても顕著に表れていることが捉えられるだ けでなく,Lambert&Pachler(p.227)が「イギリスにおいても理論と実践の融合・結合は,結局のとこ ろ課題である」と指摘している点を裏付ける結果をも呈している.. Q6.及びQ7.の回答内容を総括すれば,理論を実践で生かすことができるためには充分な実践が必要 であり,また実践には理論が必要であるという帰結に至るのであり,理論と実践の往復関係及び両者のバラ ンスが求められるのである.すなわち,現状のイングランドにおける課題は,実践重視の傾向に対する危機 感が指摘されながらも,実践重視が養成の主体を担う学生側から容認されている事実であり,上記の状況に.. 理論と実践の融合・結合の難しさが見出され得るのである.. 64.
(12) イングランドにおける教員養成の事例研究. 以上のように,調査結果の分析から,前項において言及したイングランドにおけるITEの特徴①∼⑤に 関わる課題の実態が検証され,また日本の教員養成との比較検討を通して,日本の教員養成における課題が 明らかとなった.. Ⅴ.結 本稿の主題は,イングランドにおけるITEの実情を1つの事例に基づき考察し,その特徴及び課題を明 らかにした上で,日本の教員養成の実情と比較検討しながら,日本の教員養成における示唆及び改革の方向 性を捉えることにあった.これまでの議論により明らかとなったイングランドにおけるITEに関わる事項 は,以下に挙げる3点である.. 1.イングランドにおけるITEの特徴は,1年制大学院教育として大学と学校現場を行き来しながら行 われ,かつ長期に亘る学校現場での教育実習を主体とした反省的実践家の養成を指向していること.. 2.教育実習が長期間に亘りかつ2校の異なる学校で行われることについて,学生は極めて肯定的に捉え ており,また教育実習指導教諭に関しても,教育実習における援助並びに教育実習生の進歩にとって果 たす役割が大きいと認められていること.. 3.ITEにおける理論と実践の関係に関しては,大学教官と教育実習生の間に禿離が見出される.すな わち,両者とも教育実践における理論の重要性を肯定している点においては一致しているが,大学教官 は現状より理論を重視したITEを行う必要性を企図している反面,教育実習生は実践から出発し理論 へ向かうことを指向していること.. 上記に鑑み日本の教員養成を考えるとき,少なくとも以下に示す3点の事項は,今後日本の教員養成にお いて改革される必要性が大きいことが捉えられるであろう. 1.教育実習の期間を大幅に延長し,異なる2校の学校で教育実習を行うとともに,大学と学校現場を行 き来しながら理論と実践の融合・結合を指向した教員養成を行うこと.換言すれば,理論を実践に還元 することができる時間的余裕を,教育実習において確保すること. 2.教育実習指導教諭の力量形成のための研修を組織的に実施すること.. 3.イングランドだけでなく世界的に反省的実践家の養成が指向されている昨今,日本においても反省的 実践に基づいた教員養成の可能性を探ること.. 以上のように,本稿における考察から,イングランドのITEの実情,特徴及びその課題が1つの事例を 通じて検証され,またイングランドのITEの事例分析に基づき日本の教員養成における示唆及び改革の方 向性が捉えられたと言えるであろう.. 注 釈. (1)Lambert,D.&Pachler,N.(p.221)を参照のこと.本稿では,イングランドのITEのみを考察の対象とする. (2)教員養成に該当する英語は,教育行政を中心にInitialTeacherTrainingが用いられている.しかし,ドナルド・ショー ン(DonaldShon)による反省的実践(reflectivepractice)の普及に伴い,trainingという用語からeducationという用語 へ変化してきていることは,Lambert,D.&Pachler,N.(p.227)において言及されている通りである.最近では教員養成. はtrainingではなくeducationであるという考え方を背景として,学術論文,学術書,大学人学案内等においてITEが用 いられている.ロンドン大学大学院教育学研究科(IOE)においては,ITEという用語が公的に用いられている.従って 本稿では,ITEを用いる.なお,教師がITEを好んで用いる点に関する指摘(クルック,p.163)も併せて参照のこと. (3)IOEにおける教員養成は,大学院段階のみで行われているため大学院大学に該当し,学部学生は存在していない.. 65.
(13) 木 塚 雅 貴 (4)IOEにおける現代外国語とは,フランス語・ドイツ語・スペイ. ン語を主に指している.. (5)例えば,西山(pp.5−6)及び文部科学省中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会におけるこれまでの議論を参 照のこと.. (6)筆者がIOEに所属していた期間は,2005年3月∼2006年3月であり,イングランドの学期の概念から考えると,中途か ら1年間を観察したことになる.従って,観察を開始した時点はPGCE課程全体の後半3分の1に該当し,前半3分の2 については9月より新学期が開始された後に観察したことになる. (7)松平(pp.157−176)を参照のこと.. (8)TeacherTrainingAgencyは,2005年9月1日よりTrainingandDevelopmentAgencyforSchooIsと改称している. (9)CオγC〟血γ10を参照のこと. (1¢)イギT)スの教員養成及び教師教育の改革については,クルック(pp.155−157)並びに冨田(pp.86−90)を参照のこと. (川 r和才乃才乃gわ7セαCゐ(pp.4−11)を参照のこと.. (12)Lambert,D.&Pachler,N.(p.224)を参照のこと. (13)CオγC〟血γ9(p.3)を参照のこと. (14)同上を参照のこと.. (1弓)厳密には,QTSの資格は卒業と同時には取得できない.卒業時には,新規資格付与教員(NewlyQualifiedTeacher,以 下NQTとする)となり,QTSの資格を取得するための基礎資格を得ることになる.公立学校(maintainedstateschool) の教員として採用されて以降1年間の初任者研修(induction)が義務づけられており,それに合格し初めてQTSの資格を 取得することができる.なお,初任者研修に合格できない場合にはQTSが取得できないため,公立学校の教員になること. はできない.なお,上記QTSの資格取得に関しては,PGCEも全く同様の条件が該当する. (16)Pachler,N.&Field,K.(p.17)及びLawes,S.(p.30)を参照のこと. (17)注(6)において述べたが,筆者がIOEに所属していた期間は,イングランドの学期の中途からであった.本稿では内容の 理解を容易にするために,カリキュラムについては2005年9月∼2006年6月の内容を記載しており,実際に筆者が所属して いた期間とは3箇月程のずれが生じている.しかし,カリキュラムに記載されている事項は,筆者が所属していた時期と本 稿記載の事項との間に差異は認められないので,IOEの学期構成に沿ったカリキュラムを示した.. (18)2月13日からの1週間は,HalfTermHolidayとなり実習校が休みとなるために除外している. (19)5月29日からの1週間は,HalfTermHolidayとなり実習校が休みとなるために除外している. ・ご什 力JJ〟〟/rlⅦ、/∼り・∫諭J用〟〃JJ凡・川肋血/二l・♪(ノし’∫.1血JJ〃鎖・J〃√〃/(川(J(、)JJ(J/申_心∫JJ/…J(、(・.1血JJJJ(J/凡・J心(・(J_1〟/JJナナ川ごりり.7によれ. ば,IOEでは教育実習の謝金として2003−2004年度は,PGCE学生1人当たり1実習につき1,150ポンド(1ポンド200円 換算で約23万円)を碇携校に対して支払っている.. 帥 McIntyre,D.(p.39)及びLambert,D.&Pachler,N.(p.229)を参照のこと. Cz2)新井・樋口(pp.74−80)及びKizuka,M.(pp.11−13)を参照のこと.. GZ3)2004−2005年のPGCEMFL課程全体の履修学生数は,58名であった.従って,全体の74.1%の回答を待たことになる. 糾 アンケートは,質問と回答が総て英語により行われているが,本稿では質問に関する部分には日本語訳を付した.. ㈲ Lucas,N.,Casey,H.,Loo,S.,McDonald,J.&Giannakaki,M.(p.6)を参照のこと. 鯛 筆者が授業を観察を行っている際にも,遅刻して入室する生徒,授業中に物を投げる生徒,周囲の生徒の邪魔をする生徒, 授業中に全く活動を行わない生徒,私語をする生徒,ガムを噛んでいる生徒等が散見された.. 参考文献. 新井孝喜・樋口直宏.1993年.「学生の教職観と教師教育への期待一筑波大学学生へのアンケート調査から−」.『教師 数青学会年報 第2号 教育者としての成長』.pp.67−83.日本教師数青学会. クルック・デービッド.2000年.「英国における1945年以降の教育実習と教員養成」.『教師数青学会年報 第9号 新制大学 半世紀:「大学における教員養成の再検討」』.pp.155−163.(冨田福代訳).日本教師数青学会. 佐藤学.1993年.「教師の省察と見識=教職専門性の基礎」.『教師数青学会年報 第2号 教育者としての成長』.pp.20−35. 日本教師数青学会. 佐藤学.1996年.『教育方法学』.岩波書店.. 冨田福代.2002年.「イギリスの教員養成の動向と展望一進む教師教育の改革−」.『教育学研究』.第69巻 第1号. pp.86−90.日本教育学会.. 66.
(14) イングランドにおける教員養成の事例研究 西山薫.2000年.「戦後教員養成政策の展開にみる『大学における教員養成』」.『教師数青学会年報 第9号 新制大学半世紀 :「大学における教員養成の再検討」』.pp.2−7. 松平信久.1994年.「イギリスの教師文化一学生や教師の教職観調査から」.『日本の教師文化』.東京大学出版会.pp.157−176.. DepartmentforEducation.1992.Circular9. DepartmentforEducationandSkills.1997.CircularlO. InstituteofEducation,UniversityofLondon.2003.1hitialTeacherEducationSecondaり′PGCE腸nagementandQuali& _心∫JJ/T〃J(、(・.1血JJJJ(J/凡・J心(・(J_1JJ/JJJ〃〃ごりりユ. Kizuka,M.2005.‘‘AComparativeStudyofInitialTeacherEducationinEnglandandinJapan−Pluses,MinusesandA CommonProblem”.InL4nEFL(InternationalAssociationofTeachingEnglishasaForeignLanguage)7セαCherDevel坤ment SJC.Autumn.pp.8−14.IATEFL. Lambert,D.&Pachler,N.2002.‘‘TeacherEducationintheUnitedKingdom”.InA4uodika.Vol.3,No.5.pp.221−231. Lawes,S.2004.‘‘TheEndofTheory?AComparativeStudyoftheDeclineofEducationalTheoryandProfessionalKnowledge inModernForeignLanguageTeacherTraininginEnglandandFrance”.UnpublishedPh.DThesis.InstituteofEducation,. UniversityofLondon.. Lucas,N.,Casey,H.,Loo,S.,McDonald,J.&Giannakaki,M.2004.ResearchRevieu,Niu,initialteachereducationp mesjbrieache77q′liieracy,numeraCyandESOL2002/03:ane二ゆlorato7ツStu(わ・.NationalResearchandDevelopment. Ccntrcforadultlitcracyandnumcracy. McIntyre,D.1993.‘‘Theory,TheorizingandReflectioninInitialTeacherEducation”.InConceptualizingRq77ectionin 7セacherDevel呼ment,pp.39−52.TheFalmerPress. Pachler,N.&Field,K.2001.‘‘Frommentortoco−tutOr:reCOnCeptualisingsecondarymodernforeignlanguagesinitial teachereducation”.LanguL雛LearningJoumal.SummerNo.23.pp.15−25.AssociationforLanguageLearning. TeacherTrainingAgency.2004.T771imngto Teach.pp.411.. (釧路校助教授). 67.
(15)
関連したドキュメント
工学部の川西琢也助教授が「米 国におけるファカルティディベ ロップメントと遠隔地 学習の実 態」について,また医学系研究科
(ページ 3)3 ページ目をご覧ください。これまでの委員会における河川環境への影響予測、評
○本時のねらい これまでの学習を基に、ユニットテーマについて話し合い、自分の考えをまとめる 学習活動 時間 主な発問、予想される生徒の姿
実習と共に教材教具論のような実践的分野の重要性は高い。教材開発という実践的な形で、教員養
目標を、子どもと教師のオリエンテーションでいくつかの文節に分け」、学習課題としている。例
では,訪問看護認定看護師が在宅ケアの推進・質の高い看護の実践に対して,どのような活動
自発的な文の生成の場合には、何らかの方法で numeration formation が 行われて、Lexicon の中の語彙から numeration
ピアノの学習を取り入れる際に必ず提起される