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教員養成系大学の学生における「教員の資質・能力」の推移に関する一考察 : 主免教育実習および学年進行に着目して

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Academic year: 2021

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(1)Title. 教員養成系大学の学生における「教員の資質・能力」の推移に関する一 考察 : 主免教育実習および学年進行に着目して. Author(s). 上家, 卓; 神林, 勲; 中道, 莉央; 石澤, 伸弘; 中島, 寿宏; 神林, 裕 子; 黒河, あおい; 城後, 豊. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 64(1): 323-332. Issue Date. 2013-09. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/6935. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 平 成 25{ I 8月. 北海道教育大学紀要(教育科学編)第 6 4巻 第 1号 J o u r n a lo fHokkaidoU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o n( E d u c a t i o n ) Vo . l6 4,No. l. ご. August,2 0 1 3. 教員養成系大学の学生における「教員の資質・能力」の推移に関する一考察 一主免教育実習および学年進行に着目して一. 上家. 卓・神林. 勲*・中道荊央*・石津伸弘*・中島寿宏**.. 神林裕子***. 黒 河 あ お い ・ 城 後. 血. T. E亘L. 北海道教育大学大学院 *北海道教育大学札幌校保健体育研究室 **北海道工業大学空間創造学部 ***札幌市立屯旧南小学校. じ t 好道教育大学理事. 十j. AS t u d yぱ 0f“ Teache 訂r 乍 C o m p e t e n c e "i nT e a c h e r sC o l l e g eS t u d e n t s E f f e c t so ft h et e a c h i n gp r a c t i c eandacademicy e a r. KAMIIESuguru,KAMBAYASHII s a o *,NAKAMICHIR i o *,ISHIZAWA N o b u h i r o *, NAKA]IMAT o s h i h i r o * * ,KAMBAYASHIY uko***,KUROKAWAAoi and]OGOYutakat G r a d u a t eS c h o o lo fE d u c a t i o n,HokkaidoU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o n ネ. Departmento fTeachersT r a i n i n g ,S apporoCampus,HokkaidoU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o n 料. F a c u l t yo fC r e a t i v eE n g i n e e r i n g,HokkaidoI n s t i t u t eo fTechnology * * * S a p p o r oTonden-minamiElementaryS c h o o l Theboardo ft r u s t e e s,HokkaidoU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o n. 十. 概要 近年,学校教育現場で様々な問題が発生しており,教員に求められる事柄は多様化の一途を辿っている。 この様な現状を受け,教員養成課程において学生の教員としての資質・能力を高めることが必要不可欠と考 えられる。そこで,本研究は北海道教育大学札幌校の教員養成課程に所属する学生の教員としての資質・能 力が,学校教育現場に出向き児童・生徒と密接に関わる 3年生での主免教育実習によりどのように変化する のか,また,学年進行に伴いどのように推移するのかを基礎的資料を得る目的で調査した。教員としての資 質・能力は,先行研究で開発された質問紙による自己評価尺度 (4件法)を一部改変して用いた。質問紙に は現時点、で、の教職希望についての設問も加えた。調査の結果,主免教育実習によって下位尺度である「仕事 のやりがい」・「情報処理能力」が有意に向上し,教員の資質・能力の総計値も有意に増加を示した。教職希. 323.

(3) 上家. 卓・神林. 勲 ・ 中 道 手j i央・石i 宰 伸 弘 ・ 中 島 寿 宏 ・ 神 林 裕 f・ 黒 河 あ お い ・ 城 後. 豊. 望については変化しなかった。学年進行に伴い「仕事のやりがい」が向上し,教員の資質・能力の総計値も. 1, 2年生と比較し 3年生が高値を示した。しかしながら, 3年生から 4年生への学年進行に伴つての教員 の資質・能力の総計値は変化しなかった。教職希望は学年進行で変化は認められなかった。以上のことから, 主面教育実習や学年進行は少なからず学生の教員としての資質・能力を向上させることが示唆されたが,今 後,より詳細な検討が必要であると思われる。. キーワード: やりがい,情報処理能力,授業実践. I 緒言 近年,学校教員の資質・能力についての議論が. 能力についての議論は行われてきた。堀 ( 2 0 1 3 ) は教師が兼ね備えるべき資質・能力の理想像とし て , 4要素,. 3層で構成されている「教師力ピラ. 活発化している。その背景には,学校現場におい. 2 0 1 2 ) は資質・ ミッド」を提唱している。今津 (. て学級崩壊,いじめおよび不登校といった諸問題. 能力を従来個人が備えている「資質」と教員養成. が多発していることが挙げられる。また,学力向. 段階や教職経験等を通して磨かれる「能力」に分. 上を妨げるものとしての教員の指導力不足や度重. 類し,「資質」と「能力」は相互に影響を及ぼし. なる教員の不祥事の影響も否定することができな. 2 0 1 2 ) ていると述べている。また,別惣・渡遺 (. い。この様な現象の一要因として,教員の就労シ. によれば,鳴門教育大学や上越教育大学などいく. ステムが考えられる。一般的な企業では初任者は. つかの大学では,初任の教員に求められる必要最. 研修から段階を踏み,徐々に仕事を覚えていくも. 低限の資質・能力を定義し,教員養成課程に活か. のである。しかしながら,教員は初任者の時点で. す試みがなされてきた。北海道教育大学(以下,. 学級を担任することも少なくなく,就任当時から. 本学)においても,教員に求められる資質・能力. 指導者の立場を余儀なくされる。対応策として,. を網羅したチェックリストが開発・運用されてい. 教育公務員特例法により義務化されている初任者. 3 2項目 る。しかしながら,チェックリストは計 1. 研修制度が存在するが,研修を職務と平行的に行. から構成されており測定が容易とは言い難い。. わなくてはならず,臨時採用職員は研修を受講す. 教員養成系大学の大きな使命として,高い資. ることができないという問題点を内含している。. 9 9 7 質・能力を持った教師の育成が挙げられる。 1. したがって,教員を目指す学生は就労時点で教員. 年の教育職員養成審議会第一次答申(19 9 7 )や 1 9 9 9. に必要な資質・能力を最低限兼ね備えている必要. 年の教育職員養成審議会第三次答申(19 9 9 ) を受. カまある。. 0 0 6年の中央教育審議会答申 ( 2 0 0 6 ) におい け , 2. これからの教員に求められる資質・能力とし. ては教員養成段階で習得すべき水準を定め,大学. て,「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の. 自身の教育課程の改善・充実に向けた主体的な取. 2 0 1 2 ) によ 総合的な向上政策について(答申)J (. り組みが重要であると示されている。この様な大. れば主に以下のものが挙げられる。. 学生活を通しての学生の資質・能力の向上は教員. (1)教職に対する責任感,探究力,教職生活全. 養成系大学の早急な課題と考えられる。今後の展. 体を通じて自主的に学び続ける力(使命感や. 望として,修士免許を教師の最低資格とする動き. 責任感,教育的愛情). ( 2 0 1 2 ) も存在しているが,現時点では 4年間の. (I)専門職としての高度な知識・技能. 養成課程中に学生の資質・能力を向上させなくて. ( I I I)総合的な人間力. はならないのが現状である。. これまで様々な先行研究で教員に必要な資質・. 324. そこで,本研究は学生の教員としての資質・能.

(4) 教員養成系大学の学生における「教員の資質・能力」の推移に関する一考祭. 力向上についての基礎的資料を得ることを目的. 以 (以下,「処理能力 J) および「情報管理能力 J (. に,資質・能力を簡易的に測定可能な「自己評価. 下,「管理能力 J ) の 6つの下位尺度,全30聞の質. 尺度 J(藤井, 2011)を一部改訂し使用することで,. 問項目で構成されており,簡易的に教員の資質・. 本学札幌校の学生の資質・能力が学校教育現場に. 能力を測定することが可能である。しかしながら,. 出向き児童・生徒と密接に関わる 3年生での主免. この尺度は現職教員を対象としたものであるた. 教育実習(以下,教育実習)によりどのように変. め,本研究では質問項目の内容を大学教員との議. 化するのかを縦断的に,また,学年進行に伴いど. 論や現職教員のアドバイス等により学生用に改定. のように推移するのかを横断的に調査した。. した。改定した質問項目と内容については,表 2 に示した。また,上記 30聞の質問項目に加え,「現 時点で、の教職への希望」についての 1項目を加え,. E 方法. 計 31項目を本研究では学生版の教員の資質・能力 自己評価尺度として使用した。各質問項目に「は. 1.調査対象および調査期間. い: 4点J,1"どちらかと言えばはい: 3点J,1 " ど. 対象者は,本学札幌校の同一専攻・分野に所属 する 1年生から 4年生の男 k計 124名であった。. ちらかと言えばいいえ: 2点J 1"いいえ: 1点 」. 3年生に対しては教育実習前である 2012年 8月お. という 4つの選択肢と得点を与えた。「自信」に. よび教育実習後である 2012年 10月の二度にわたり. ついての質問項目は反転項目であり,合計値の解. 調査を行った。教育実習の配属校はいずれの対象. 釈が困難になるため分析においては数値を反転さ. 者も札幌市を中心とした小学校であり,実習期間. せた。. (8月下旬から 9月下旬)は 5週間であった。 1年生,. 3 . 分析方法. 2年生および 4年生に対しては 2012年. 1 0月に調査を行った。質問紙回収後,極端に得点. ( 1 ) 3年生における教育実習前後の比較. の偏った回答や欠損回答がある対象者を除外した. 教育実習の影響を検討するため,. 3年生の教育. 結果,対象者数は男女計 111名となった。対象者. 実習の前後において,質問紙の下位尺度および合. の内訳を表 1に示した。. 計値等に差が認められるかを分析した。. ( 2 ) 学年進行による比較. 2 . 質問紙による調査内容 2 0 1 1 ) が開発した教員の資 本研究では,藤井 (. 学年進行の影響を検討するため,. 1年生,. 2年. 3年生および 4年生から得られた質問紙の下. 質・能力自己評価尺度を一部改訂して使用した。. 生 ,. この尺度は「仕事に対する自信 J (以下,「自信 J),. 位尺度および合計値等に差が認められるかを分析. 「教員としての責任感J (以下,「責任感J), 1 " 教. した。なお,この比較における 3年生のデータは, 他の学年と実施時期を合わせるために教育実習後. 育問題に関する関心 J (以下,「関心 J),1"仕事の. ( 10月)のものを用いた。. やりがい J (以下,「やりがい J),1"情報処理能力」. 表 1 対象者の学年と性別の内訳 1年生. 2年生. 3年生. 4年生. 男女合計. 男子. 9. 7. 6. 8. 3 0. 女子. 3 4. 1 7. 1 6. 1 4. 8 1. 学年合計. 4 3. 2 4. 2 2. 2 2. 1 1 1. 3 2 5.

(5) 上家. 卓・神林. 勲 ・ 中 道 手j i央・石i 宰 伸 弘 ・ 中 島 寿 宏 ・ 神 林 裕 f・ 黒 河 あ お い ・ 城 後. 豊. 表 2 質問紙の改定箇所. 改. ょ 疋 "-,.. 己 定. 。 目. 疋. I" -,.. 後. 2 . 会議で白分の考えを言うのは苦手で、ある. 2 . 人前で白分の考えを言うのは苦手である. 5 . 生徒参加型の授業ができるか不安で、ある. 5 . 実際に学校で授業ができるか不安である. 6 . クラスをまとめていけるか不安である. 6 . 実際にクラスをまとめていけるか不安である. 7 . 保護者と話をするのは基本的に苦手だ. 7 . 将来,保護者と話をするのは不安だ. 1 0 . 同僚との約束は必ず守るようにしている. 1 0 . 友達との約束は必ず守るようにしている. 1 3 . 児童生徒を厳しく叱ることができる. 1 3 . 児童・生徒を厳しく叱ることができると思う. 1 8 . 教育基本去の改正ポイントを言える. 1 8 . 学習指導要領をよくみる. 2 2 . 土曜に学校に行くのは基本的に嫌いだ. 2 2 . 教員になったら土曜日は学校に行きたくない. 2 8 . 行事予定は常に手帳に書き込んでおく. 2 8 . 予定は常に手帳に書き込んでおく. 3 0 . 授業内容をノートにまとめるのは得意で、ある. 3 0 . 大学での講義内容をノートにまとめるのは得意である. ※改定後の変更箇所には下線を施した。. 4 . 統計処理. 教育実習前後において,その時点での教職希望. 質問紙の回答結果を,. EXCEL2007f o rWin-. dows (Microsoft社製)を用いてまとめた。各. を比較したところ,実習前は 3 . 1: : t 1 .2 点,実習後 点となり変化は認められなかった(図 は3.0: : t l .L. 質問項目における得点は,平均値と標準偏差で表 わした。統計処理については,多変量解析ソフト ' S t a tViewVersion 5 .O J (ヒューリンクス社製). ( 2 ) 学年進行による比較. を用いた。 2群間の平均値の差の検定は対応のあ. 学年進行における各質問項目の比較を表 4に示. る t検定,多群聞においては一元配置の分散分析. した。 30問の質問において学年進行で有意に得点. を行い,有意差が認められた項目においては,多. が高まったのは 6つの質問であった。他の 2 4 項目. 重比較検定を実施した。. においては,学年間に有意な差は認められず,い ずれの得点も等しかった。. E 結果 ( 1 ) 3年生における教育実習前後の比較 教育実習前後における各質問項目の比較を表 3. 下位尺度「自信」の構成内容である '5. 実際 に学校で授業できるか不安である」において,. 2. 年生と比較して 3年生が有意に高い値を示した。 下位尺度「やりがい」においては,「 1 9 . 児童・. に示した。 30聞の質問において教育実習前後で有. 生徒と一緒に活動するのは楽しい」で 1年生と比. 意に得点が高まったのは,下位尺度「自信」の構. 較して 3年生と 4年生が有意に高値であった。ま. 成内容である ' 5 . 実際に学校で授業できるか不. た,「2 0 . 児童・生徒に勉強を教えるのは好きで. 安である」のみであった。他の質問項目には教育. ある」においては,. 実習前後で変化は認められなかった。. 2年生と比較して 3年生と 4年生が有意に高い値. 6つの下位尺度の合計点をみると(表 3),' や. 1年生と比較して 4年生が,. を示した。さらに,「2 1 . 根っから児童・生徒に. りがい」合計点において,実習前と比較して,実. 接するのは好きだ」においては,. 習後が有意に高い値を示した。また,「処理能力」. て ,. 1年生と比較し. 4年生が有意に高値であった。. 合計点においても実習前と比較して,実習後が有. 下位尺度「処理能力」の構成内容である ' 2 4 .. 意に高値であった。資質・能力総計値においては. プレゼンテーションソフトを使ってみんなの前で. 実習前と比較して,実習後が有意に高値を示した。. 発表できる」においては,. 3 2 6. 2年生と比較して 3年.

(6) 教員養成系大学の学生における「教員の資質・能力」の推移に関する一考祭. 表 3 教育実習前後の比較 質. 白. 間. 項. 実習前. 目. M. 実習後. SD. M. SD. t 1 i 直. 1.人とデイスカッションをするのは得意ではない. 2 . 6. 1 .1. 2 . 8. 1 .0. 0 . 5 6. 2 . 人前で、白分の考えを言うのは背手である. 2 . 5. 1 .1. 2 . 7. 0 . 9. 0 . 4 5. 3 . 人の前で話をする時,緊張しやすい. 2 . 0. 0 . 8. 2 . 0. 0 . 8. 0 . 1 8. 4. 失敗すると気分が滅入ってしまう. 1 .8. 0 . 9. 2 . 2. 0 . 8. 1 .5 8. 5 . 実際に学校で授業ができるか不安である. 1 .4. 0 . 7. 2 . 1. 0 . 8. 2 . 9 2. 6 . 実際にクラスをまとめていけるか不安である. 1 .4. 0 . 7. 1 .7. 0 . 8. 1 .1 5. 7 . 将来,保護者と話をするのは不安だ. 1 .8. 1 .0. 2 . 0. 0 . 8. 0 . 9 7. 1 3 . 5. 4 . 4. 1 5 . 5 戸. 4 . 0. 1 .5 0. 8 . 頼まれた仕事は最後まで頑張る方である. 3 . 6. 0 . 6. 3 . 7. 0 . 5. 0 . 2 8. 合計値. 9 . 人の意見をしっかり聞くことができる. 3 . 5. 0 . 5. 3 . 4. 0 . 7. 0 . 5 1. 三主 貝 三. 1 0 . 友達との約束は必ず守るようにしている. 3 . 5. 0 . 7. 3 . 5. 0 . 7. 0 . 2 2. 任. 1 1.常に人の気持ちを考えながら話す. 3 . 3. 0 . 7. 3 . 5. 0 . 6. 1 .3 9. 感. 1 2 . 困っている子どもを見ると手を差し伸べる性格だ. 3 . 5. 0 . 5. 3 . 5. 0 . 6. 0 . 0 0. 1 3 . 児童・生徒を厳しく叱ることができると思う. 2 . 3. 0 . 8. 2 . 3. 1 .0. 0 . 0 5. 1 9 . 6. 2 . 2. 1 9 . 8. 1 .6. 0 . 6 0. 1 4 . 教育問題に関する記事には必ず目を通している. 2 . 0. 0 . 7. 2 . 0. 0 . 8. 0. 40. 1 5 . 教育の動向には常に注目している. 2 . 4. 0 . 7. 2 . 2. 0 . 9. 0 . 7 6. 1 6 . R頃から教育問題に関心がある. 2 . 7. 0 . 8. 2 . 5. 0 . 9. 0 . 7 4. 1 7 . TVなどで学校教育関連問題は思わず見てしまう. 2 . 8. 0 . 8. 2 . 7. 0 . 8. 0 . 3 8. 1 8 . 学習指導要領をよくみる. 1 .7. 0 . 6. 1 .6. 0 . 9. 0 . 4 2. 1 1 . 5. 2 . 3. 11 .1. 2 . 7. 0 . 8 0. 1 9 . 児童・生徒と一緒に活動するのは楽しい. 3 . 7. 0 . 5. 3 . 8. 0 . 7. 0 . 2 6. 2 0 . 児童・生徒に勉強を教えるのは好きである や り 21.根っから児童・生徒に接するのは好きだ 7 J ' 2 2 . 教員になったら土曜日は学校に行きたくない し 、. 3 . 5. 0 . 6. 3 . 6. 0 . 5. 0 . 8 2. 3 . 5. 0 . 6. 3 . 5. 0 . 6. 0 . 5 1. 2 . 5. 1 .1. 2 . 7. 1 .1. 0 . 5 5. 2 3 . 教員という仕事にはとても魅力を感じている. 3 . 0. 0 . 9. 3 . 4. 0 . 8. 1 .4 2. 合計値. 1 6 . 3. 1 .8. 1 7 . 0. 1 .8. 3 . 0 0. 2 4 . プレゼンテーションソフトを使って皆の前で発表できる. 2 . 7. 1 .1. 2 . 9. 0 . 9. 0 . 5 9. 2 . 5. 1 .0. 2 . 6. 1 .1. 0 . 4 3. 2 . 4. 0 . 9. 2 . 5. 1 .0. 0 . 4 1. 3 . 0. 0 . 9. 3 . 1. 0 . 9. 0 . 3 4. 1 0 . 5. 33. 1 2 . 8. 7 . 0. 2 . 8 0. 3 . 5. 0 . 9. 3 . 4. 0 . 8. 0 . 1 8. 2 . 7. 1 .0. 2 . 8. 1 .0. 0 . 3 0. 2 . 7. 0 . 9. 2 . 6. 0 . 9. 0 . 3 4. 8 . 9. 22. 9 . 0. 2 . 2. 0 . 3 0. 8 0 . 2. 9 . 0. 8 5 . 2. 1 0 . 5. 2 . 4 0. 合計値. 関. 、 し. d. 合計値. 5 . エクセルで簡単なデータ処理をすることができる 処 2 理 2 6 . 結果をグラフや表にまとめるのは得意である 力 目E 2 7 . ワープロソフトでしポートを作成するのは得意で、ある 合計値. 2 8 . 予定は常に手帳に書き込んでおく 主 目 企 よ. 9 . 資料は整理してすぐファイルに綴じこんでおく 理 2 目E 3 力 0 . 大学での講義内容をノートにまとめるのは得意である 合計値 資質・能力総計値. 温. 温. 有意 水準. * 牢. * 半. *. *. 対象者は 3年生 2 2名であった。 M は平均値, SDは標準偏差。有志水準の本と帥は,それぞれ p <0.05と p <0.01 を表している。. 3 2 7.

(7) 上家. 勲 ・ 中 道 手j i央・石i 宰 伸 弘 ・ 中 島 寿 宏 ・ 神 林 裕 f・ 黒 河 あ お い ・ 城 後. 卓・神林. 豊. 表 4 学年進行による比較 質. 白. 間. 項. l年生. 目. M. 2年生. S D M. 3年生. S D M. 4年生. S D M. S D. F直. l.人とデイスカッションをするのは得意ではない. 2 . 7 1 . 1 2 . 5 0 . 9 2 . 8 1 .0 2 . 7 0 . 9 0 . 3 7. 2 . 人前で白分の考えを言うのは苦手である. 2 . 7 1 .0 2 . 6 0 . 9 2 . 7 0 . 9 2 . 7 0 . 9 0 . 0 5. 3 . 人の前で話をする時,緊張しやすい. 目 。 l 目 9 0 . 8 2. l 目 。. 2 . 0. 。 目8. 2 . 0. 4 . 失敗すると気分が滅入ってしまう. 目 。 l 目 8 0 目l l . 7 2. 2 . 2. 。 目8. 目 。 2 . 0 l. 5 . 実際に学校で授業ができるか不安である. 目1 1 * l 目 7 0 目 5 0 . 8 l . 8 2 . 1 0 . 8 1 .9 1 .0 2. 6 . 実際にクラスをまとめていけるか不安である. 1 .4 0 .4 0 . 7 0 . 8 1 .5 0 . 6 0 . 8 6 . 6 1 . 6 1. 7 . 将来,保護者と話をするのは不安だ. . 0 0 . 0 0 . 1 3 2 . 0 0 .9 0 . 9 2 . 8 2 . 9 0 . 9 1. 。 目8. 目 。. 多重比較. 1 1. l 目 2 2 2 < 3 ( * ). 合計値 1 4 . 0 4 . 21 . 01 5 . 0 2 . 7 0 . 61 5 . 5 4 . 8 0 4‘3 3. 三 貝 邑. 8 . 頼まれた仕事は最後まで頑張る方である. . 7 0 3 . 6 0 . 5 3 . 5 0 . 6 3 . 5 3 . 5 0 . 6 0 . 8 3. 9 . 人の意見をしっかり聞くことができる. 3 . 3 0 . 7 3 . 2 0 . 4 0 . 7 3 . 4 0 . 2 5 . 8 3 . 5 0. 1 0 . 友達との約束は必ず守るようにしている. 3. 4 0 . 7 3 . 4 0 . 7 3 . 5 0 . 7 3 . 3 0 . 6 0 . 49. 任 1 1.常に人の気持ちを考えながら話す. 3 . 3 0 . 7 3 . 0 0 . 8 3 . 5 0 . 6 3 . 1 0 . 6 2 . 5 4. 2 . 困っている子どもを見ると手を差し伸べる性格だ 感 1. 3 . 3 0 . 6 3 . 2 0 . 5 3 . 5 0 . 6 3 . 5 0 . 6 1 .8 6 目 。 2目6 0 目 3 l . 9 2. 1 3 . 児童・生徒を厳しく叱ることができると思う. 目 。 2 . 3 l. 2 . 7. 。 目8. l 目 2 9. 目 61 9目6 2 目1 0 9 . 9 l 9 . 5 2目4 l 合計値 1 . 11 8 . 7 2目8 1. 関. ' L 、. 。 目9. 。 目8. 。 目8. 目 。3 9. 1 4 . 教育問題に関する記事には必ず目を通している. 2目l 0 目 3 . 9 2. 1 5 . 教育の動向には常に注目している. . 4 0 . 2 0 . 3 0 . 3 1 2 . 3 1 .0 2 . 7 2 . 9 2 . 8 0. 1 6 . R頃から教育問題に関心がある. 2 . 7 0 . 8 0 . 5 0 . 6 0 . 2 9 . 8 2 . 8 2 . 9 2 . 8 0. 1 7 . TVなどで学校教育関連問題は思わず見てしまう. . 9 0 . 7 0 3 . 0 0 . 9 2 . 7 2 . 8 3 . 0 0 . 7 0 . 8 6. 1 8 . 学習指導要領をよくみる. . 9 2 1 .4 0 .6 0 . 9 1 . 3 0 . 5 1 .5 0 . 6 0 . 6 1. 2 . 0. 2 . 0. . 2 0 合計値 1 1 . 4 2 1 . 6 2 1 . 0 2 . 71 1 . 5 1 .7 0 . 91 . 51 . 1 3 * 1<3・4 ( 申 ) 3 . 4 0 . 7 3 . 3 3 . 8 3 . 5 0 . 6 3 . 8 0 . 9 0 1 < 4 ( * ) . 8 7 * * 2<3・4 3 . 3 0 . 7 3 . 0 0 . 8 3 . 6 0 . 5 3 . 8 0. 4 6 ( * ) 3 . 2 1 .0 3 . 2 0 . 8 3 . 5 0 . 6 3 . 7 0 . 5 2 . 7 0 1 < 4 ( * ). 1 9 . 児童・生徒と一緒に活動するのは楽しい 2 0 . 児童・生徒に勉強を教えるのは好きである. マ 21.根っから児童・生徒に接するのは好きだ も ミ. い. 2 2 . 教員になったら土曜日は学校に行きたくない. 2. 4 1 .0 2 . 6 0 . 9 2 . 7 1 . 1 2 . 7 0 . 8 0 . 6 7. 2 3 . 教員という仕事にはとても魅力を感じている. 3目l 1 目 9 .0 2. 。 目9. . 4 3. 。 目8. 3 . 5. 。 目7. 2目6 7. 1・2 < ( 4 * W )) 1 く3 目8 2 目9 3 目7 3 目9 3 * 2<3・4 2目7 0 目 2 。 . 8 2 ( * ) . 9 。 . 0 。. 0 紳 目 7 7目8 5目3 2目l 1 6 . 9 l8 1 合計値 1 5 . 4 2 . 61 7 . 7 l 町. 2 4 . プレゼンテーションソフトを使って皆の前で発表できる 5 . エクセルで簡単なデータ処理をすることができる 処 2 理 2 6 . 結果をグラフや表にまとめるのは得意である 力 能 2 7 . ワープロソフトでしポートを作成するのは得意である. 2 . 5 0 . 9 0 . 6 1 . 5 0 . 1 2 . 9 2 . 7 2 . 9 0 . 9 7 . 3 0 . 5 1 . 2 0 . 4 9 2 . 4 1 .0 2 . 7 2 .0 2 . 7 0 2 . 7 0 . 8 2 . 5 0 . 9 3 . 1 0 . 9 3 . 0 0 . 8 2 . 6 9. 1・2 < 3 ( * ). . 7 0 * 合計値 1 0 . 3 2 . 7 9 . 9 1 .9 1 1 . 1 3 . 11 0‘8 22 2 目 。 目8 3 目 。 目 。7 8 3目l 0 l 目 l 3 . 9 3 . 4 。 . 0 l ¥. 2 8 . 予定は常に手帳に書き込んでおく 管 9 . 資料は整理してすぐファイルに報じこんでおく 理 2 能 3 0 . 大学での講義内容をノートにまとめるのは得意である 力 合計植 資質・能力総計値. 2 . 5 1 .0 2 . 5 1 . 1 2 . 8 1 .0 2 . 5 0 . 9 0 . 5 4 . 5 0 . 6 0 . 8 0 . 2 5 2 . 6 1 .0 2 . 8 2 . 9 2 . 9 0 8 . 2 2 . 3 8 . 1 2. 1 8 . 8 2 . 2 8 . 3 2 . 3 0 . 7 0 キ . 9 0 7 9 . 3 8 . 27 7 . 7 7 . 98 0 . 58 2 . 5 7 . 3 3 3 . 31. 1・2 < 3 ( 申 ). 対象者数は 1年生4 3名 , 2年生 2 4名 , 3年生 2 2名および 4年生 2 2名であった。表巾の M は平均値, SDは標準偏差. 多重比較におけるし 表している。. 3 2 8. 2, 3および 4は学年を示しており,有意水準の*と帥は,それぞれ p <0.05と p <0.01を.

(8) 教員養成系大学の学生における「教員の資質・能力」の推移に関する一考祭 生と 4年生が有意に高い値を示した。また, 1 2 7 .. ことで変化は認められなかった(表 3)0 6つの. ワープロソフトでレポートを作成するのは得意で. 下位尺度での合計値をみると,「やりがい」と「処. ある」においては 1年生,. 理能力」の合計値が有意に向上し,教員の資質・. 2年生と比較して 3年. 能力総計値も有意に増加した。これらの結果から,. 生が有意に高値であった。 各下位尺度の合計点をみると(表 4), 1やりが. 教育実習という経験は,個々の質問で評価された. い」合計点においては 1年生, 2年生と比較して,. 具体的な資質・能力には大きな影響を与えないも. 4年生が有意に高い値であり, 1年生と比較して,. のの,学生自身の総合的な資質・能力を向上させ. 3年生が有意に高い値を示した。また,資質・能. る効果があると考えられる。. 力総計値を比較すると, て ,. 1年生,. 2年生と比較し. 下位尺度「自信」の構成内容である 15. 実際に. 3年生が有意に高値であった。. 各学年の現時点(10 月)での教職希望を比較し たところ,. 1年生,. 2年生,. 質問項目で教育実習前後に有意に向上したのは. 3年生および 4年生. 学校で授業できるか不安である」で、あった(表 3。 ) この理由として教育実習を通して多くの授業実践. の値はそれぞれ, 3 . 2土1.0 点 , 3 . 0土1.1 点 , 3 . 0. を経験し,授業実践に対する明確なイメージの形. 土1.1.点および3.7土0.9点となり,. 4年生で高い. 成がなされたものと推察される。西松 ( 2 0 0 8 )に. 傾向があったものの,いずれの学年間にも有意差. よると教育実習前後で学生の授業実践不安,児. は認められなかった(図 2。 ). 童・生徒関係不安が低下することが報告されてい る。今回の結果は先行研究を支持するものとなっ. N. 考. た 。. 察. 教育実習前と比較して実習後において,下位尺. ( 1 ) 3年生における教育実習前後の比較. 度「やりがい」と「処理能力」の合計値が有意に. 3 0聞の質問において教育実習前後で有意に得点. 高値を示した。教育実習生は 5週間の実習期間を. が高まったのは,下位尺度「自信」の構成内容で. 通し,授業実践や児童・生徒との交流,課外活動. ある 15.実際に学校で授業できるか不安である」. などを多数経験し,「やりがい」を培ったと推察. のみであり,他の質問項目は教育実習を経験する. される。また,実習期間中は指導案および学習教 材等を多数作成しなくてはならず,その過程で必 然的に情報機器に接する機会が増加し「処理能力」. 4‘5. 2 0 1 3 ) によ の向上に繋がったと考えられる。堀 (. 4 . 0. 35. 5 . 0. ‘. ︿咲)同明臨終. 3,0. 4 . 5. 25. 3,5. 4 . 0 ‘. 議 30 ,. 20 ,. ~二. , . ". .. 2.5. 総 2 . 0. 15 ,. j,5. 1 . 0. 1,0. 0 . 5. 0,5. 0 . 0. 。 。. 守 生 芋 主 主. 実習欝 図. 案審後. 1 教育実習前後における教職希望比較. 対象者は 3年生 22名であった。検定の結果 であり,教育実習前後で有志差はなかった。. t値は1.1. 2苦 手 主 主. 3祭主主. ヰ祭主主. 図 2 学年進行における教職希望比較. 各学年の人数は 1年生 4 3名 2年生 2 4名 3年生 2 2名 および 4年生 22名であった。 3年生の値は教育実習後の ものを用いている。一元配置分散分析の結果 F値は 2. 4 となり,多重比較で有意差が認められた箇所はなかった。. 3 2 9.

(9) 上家. 卓・神林. 勲 ・ 中 道 手j i央・石i 宰 伸 弘 ・ 中 島 寿 宏 ・ 神 林 裕 f・ 黒 河 あ お い ・ 城 後. 豊. ると「処理能力」の様な事務力は教員が当然身に. 実習中の授業実践や人間関係の不安を減らす場を. 付けておくべき能力として示されており,情報処. 設けることが重要だ、と述べており,このような不. 理に携わる能力はこれからの教員にとって必要不. 安を抱える学生が少なくないことを示唆してい. 可欠な能力と言える。教育実習により向上した「処. る。このことから,教育実習への不安と教職希望. 理能力」を低下させることなく,維持または向上. 食討が必要であろう。 の関係など,より詳細な 4. させることが必要である。表 4の学年進行による 「処理能力」合計値をみると,. 3年生と 4年生の. 値に有意差はないものの,若干の低下が認められ る。今後,. ( 2 ) 学年進行による比較 表 4に示したように, 30聞の質問において学年. 3年生後期から 4年生において,情報. 進行で有意に得点が高まったのは 6つの質問であ. 処理に関する授業プログラム等を積極的にカリ. 4 項目においては,学年間に有意な差は り,他の 2. キュラムに位置づけることが必要かもしれない。. 認められなかった。下位尺度の合計点では「やり. 教員の「資質・能力総計値」においては教育実. がい」合計点で 1年生,. 2年生と比較して 4年生. 1年生と比較して 3年生が有意に高い値を示. 習後が有意に高い値を示したことから,教育実習. が ,. により教員の資質・能力は向上していると評価し. した。また,資質・能力総計値を比較すると,. てよいだろう。三島 ( 2 0 0 7 ) は教育実習が「授業. 年生,. イメージ J,1教師イメージ」および「子どもイメー. あった。この様な結果から,学年進行は個々の質. ジ」に影響を与えることを明らかにしており,教. 問で評価された具体的な資質・能力にはあまり影. 育実習が学生の資質・能力に多大な影響を与える. 響を与えないものの,教職に対しての「やりがい」. ことを示唆している。一方で,表 4が示すように,. を中心に総合的に高める効果があることが明らか. 教育実習により向上した資質・能力は 4年生では. となった。しなしながら,合計値や総計値の向上. さらなる向上を示してはいない。そこで,教員の. はいずれも 1, 2年生と比較して 3, 4年生にみ. 資質・能力を維持または向上させる科目や授業実. られており,. 践の導入が重要である。平成 2 5年度より必修科目. 認められなかった。. として「教育実践演習」の 4年生後期の開講が始. 2年生と比較して,. 1. 3年生が有意に高値で. 3年生から 4年生にかけての向上は. 表 4より下位尺度「自信」の構成内容で、ある 15.. まることから,この科目が解決の一助となること. 実際に学校で授業できるか不安である」において,. を期待したい。また,得点に有意な増加が認めら. 2年生と比較して,. れなかった他の下位尺度「自信 J, 1責任感 J, 1関. た。この様な結果の要因として教育実習による授. 心」および「管理能力」を向上させる対策も今後. 業実践経験の差が考えられる。 3年生は実習を終. のカリキュラム検討の上では欠かすことのできな. えた直後のため,授業実践に対する明確なイメー. い課題であると考えられる。. ジを持っており,高い値を示したと推察される。. 3年生が有意に高い値を示し. 図 1より教育実習前と実習後の教職希望の得点. 一方で 2年生では,人前で授業を行う形式の授業. に有意差は認められなかった。この様な結果の主. 実践の要素を含んだ科目を提供するべきである。. な原因として調査対象者が配属された実習校の特. 「やりがい」の構成内容では,. 5つの質問中,. 3. 色が考えられる。中学校実習などと比較して,小. つの質問で学年進行により有意差が認められた. 学校実習は過密な日程での指導案作成,授業実践. (表的。特に 1年生と比較して,上位学年で得. を多く強いられ,実習生はその多忙さから教職の. 点が向上していることから,児童と接する時間的. 月) 困難さを体験する。加えて,実習後の調査(10. な差異が原因として推察される。「処理能力」の. が教育実習後から比較的聞がなかったこともあ. 構成内容である 1 2 4 . プレゼンテーションソフト. り,教職希望を向上させるまでには至らなかった. を使ってみんなの前で発表できる」においては,. 2 0 0 8 ) は教育 のではないだろうか。また,西松 (. 2年生と比較して 3年生,. 330. 4年生が有意に高い値.

(10) 教員養成系大学の学生における「教員の資質・能力」の推移に関する一考祭. を示した。また, 1 2 7 . ワープロソフトでレポー. された教員の資質・能力を簡易的に測定する「自. トを作成するのは得意である」においては 1年生,. 己評価尺度」を一部改定して使用した。この「自. 2年生と比較して 3年生が有意に高い値を示し. 己評価尺度」は現職教員のために作成されたもの. た。この様な結果の主な要因として,学年進行に. であり,それを学生に用いるために,一部を学生. よる履修科目の変化及び主免教育実習の効果が考. 用に改定した。今後,この改定についての検証や,. えられる。一般的に学年が進行するにつれて学生. より学生に適した質問紙(自己評価尺度)の開発. が履修する科目は試験を伴う形式からレポート中. が必要であると考えられる。. 心に変化していく。また 3年生より開始されるゼ. 今回の調査において,対象者の男女比が女性に. ミ活動では,自身の考えを抄録などでまとめて発. 偏っていたことも検討しなければならない。西松. 表する機会が増加する。さらに,主免教育実習で. ( 2 0 0 8 ) の研究では教育実習の効果に対する性差. は授業実践を行うにあたり指導案や教材を作成す. が言及されており,今後は男女同数での評価や男. る機会が多数存在する。その結果,情報機器に接. 女別で、の評価を詳細に行っていく必要がある。. する時聞が増加し処理能力への自信が高まったと. その他として,教育実習の影響については縦断 的な調査であったが対象者の数がそれほど多くな. 推察される。 下位尺度の合計値について学年進行を比較する. かったこと ( 2 2名入学年進行の調査では横断的. と,「やりがい」合計点で 1, 2年生と比較して. であり,同ーの対象者を 4年間追跡したものでは. 4年生が,. 1年生と比較して 3年生が有意に高値. ないといった点が挙げられる。また,対象者は同. を示した。また,資質・能力総計値では 1, 2年. 一専攻・分野の学生に限られていた。この様な課. 生と比較して 3年生が有意に高い値であった(表. 題を受け,今後は対象者の増加や追跡調査等を行. 4)。この様な結果の原因として,教育実習の効. い,教員養成系大学における学生の教員としての. 果や児童・生徒と接する機会や経験量の影響が考. 資質・能力の変化を検討する必要がある。. えられる。よって,. 1, 2年生において「やりが. い」を含めた資質・能力の総合的な能力を高める. V まとめ. ためには,大学の内外において児童・生徒と触れ 合う機会を増加させる必要があるだろう。本学札. 本学札幌校の同一専攻・分野に所属する 1年生. 幌校では,必修科目として「教育フィールド研究」. から 4年生の男女 111名を対象に,「自己評価尺度」. が 4~6 単位の範囲で教育課程に位置づいており. を用いて,主免教育実習と学年進行による教員の. (北海道教育大学, 2013),これらの科目をより. 資質・能力の推移について基礎的資料を得る目的. 有効に活用することで, 1,2年生の「やりがい」. で調査を行なった。また,現時点での教職希望に. や資質・能力全体を向上させることができると考. ついても調査を行った。結果は以下に示すとおり. えられる。. である。. 図 2より学年進行による教職希望の値において. ( 1) 主免教育実習は「仕事のやりがい」や「情報. 有意な差は認められなかった。この様な結果の要. 処理能力」を高め,学生の資質・能力総計値を. 因として本学入学者の属性が考えられる。教員養. 向上させた。. 成系大学へ進学する学生の多数は教職希望を持っ. ( 2 ) 学年進行に伴い「仕事のやりがい」が向上し,. 1年次から. 1,2年生と比較して, 3,4年生において個々. て入学する傾向にある。したがって,. 4年次において差が生じなかったと推察される。. の質問項目で高値を示すものが散見された。資 質・能力総計値は,. 1, 2年生と比較し 3年生. ( 3 ) 本研究の限界と課題. が高い値を示したが,. 2 0 1 1 ) の研究によって作成 本研究では,藤井 (. らなる増加は認められなかった。. 3年生から 4年生へのさ. 3 3 1.

(11) 上家. 卓・神林. 勲・中道手j i央・石i 宰 伸 弘 ・ 中 島 寿 宏 ・ 神 林 裕 f・黒河あおい・城後. ( 3 ) 各学年の現時点での教職希望については,主. 豊. 文部科学省 , http://www.mex t .go.jp/b_menu/shingi. I chukyolc h u k y o O / t o u s h i n / 0 6 0 7 1 9 1 0 1 0 0 8 . htm, (参照. 免教育自習と学年進行の影響はなかった。 以上のことから,主免教育実習や学年進行は, 少なからず本学札幌校学生の教員としての資質・. 0 1 3年 2月 2 4円) 円2 文部科学省 ( 2 0 1 2 ) 教員の資質能力向上特別部会基本制 )支ワーキンググループ(第 7回) 配付資料 1 基本制. 能力を向上させることが明らかになった。今後は,. 度ワーキンググループ報告(案) 改 草 の 方 向 性 教 員. 非教員養成系大学の学生との比較を含め,より詳. 養成の改草の方向性,丈部科学省. http://www.. mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo11/0011. 細な+食言すを行いたいと考えている。. a t t a c h / 1 3 1 8 9 2 7 . h t m, (参照日 2 0 1 3年 2月2 4日) 2 0 0 8 ) 教師効力感、教育実習不安、教師志望 西松秀樹 ( 度に及ぼす教育実習の効果.キャリア教育研究, 2 5( 2 ). 引用・参考文献 堀裕嗣 ( 2 0 1 3 ) 教師力ピラミッド. :8 9 9 6 .. 毎日の仕事を劇的に. 0の鉄則.明治図書:東京. 変える 4 北海道教育大学札幌校. シラバス照会教育フィールド. 研 究 I 授業内容,北海道教育大学 , h t t p s : l l e i s . s a p. hokkyodai.ac.jp/up/faces/up/km/Kms00802A. j s p,( 参 別惣淳二・渡遺隆信編 ( 2 0 1 2 ) 教員養成スタンダードに 基づく教員の質保証.ジアース教育新社. pp186-21 O .. 藤1 )義久 (2011) 教員資質能力自己評価尺度の開発.リ. ベラル・アーツ, ( 5 ) :1 1 2 . 今津孝次郎 ( 2 0 1 2 ) 教師が育つ条件(新赤版).岩波新書. p p 4 7 7 8 .. 三島知剛 ( 2 0 0 7 ) 教育実習牛ーの実習前後の授業・教師・. 1(1) 子どもイメージの変容.日本教育工学会論文誌, 3 :1 0 7 1 1 4 . 文部科学省 ( 1 9 4 9 ) 教 育 公 務 員 特 例 法 第 4章 研 修 , 文部科学省 , http://www.mex t .go.jp/a_menu/shotou. 0 1 3年 2月2 1日) Ikenshu/012.htm, (参照 R2 文部科学省 ( 2 0 1 2 ) 教職生活の全体を通じた教員の資質 能力の総合的な向上政策について(答申),文部科学省,. http://www.mext .go.jp/componentlb_menu/shingi/ toushinl i c s F i l e s / a f i e l d f i l el20 1 2 / 0 8 / 3 0/l3 2 5 0 9 41 0 1 3年 2月2 1日) p d f, (参照日 2 1 9 9 7 ) 教育職員養成審議会第一次答巾 文部科学省 (. 新. たな時代に向けた教員養成の改善方策について,ぇ;部 科学省 , http://www.mex t .go.jp/b_menu/shingi/old. c h u k y o l o l d _ s h o k u i n _ i n d e x / t o u s h i n / 1 3 1 5 3 6 9 . h t m,( 参 照日 2 0 1 3年 2月 2 3日) 文部科学省 ( 1 9 9 9 ) 教育職員養成審議会第三次答申 成と採肘・研修との連携の円滑化について. 養. 教職課程. の充実と教員養成に携わる大学教員の指導力の向上, 丈部科学省 , http://www.mex t .go.jp/b_menu/shingi. lold_chukyolold_shokuin_index/toushin/attachl 0 1 3年 2月2 4日) 1 3 1 5 4 0 6 . h t m, (参照日 2 文部科学省 ( 2 0 0 6 ) 中央教育審議会今後の教員養成・ 免許制度の在り方について(谷巾) 制度の改革の具体的方策. 3 3 2. 卓大学院生). (神林. 勲札幌校教授). (中道荊央札幌校講師) (石津伸弘札幌校准教授). 照日 2 0 1 3年 3月2 7日). :東京. (上家. 教員養成・免許. 教職課税の質的水準の向上,. (中島寿宏北海道工業大学講師) (神林裕子札幌市立屯田南小学校教諭) (黒河あおい大学院生) (城後. 豊理事).

(12)

表 2 質問紙の改定箇所 改 ょ 疋 &#34;‑,.  。 目 2 . 会議で白分の考えを言うのは苦手で、ある 5 . 生徒参加型の授業ができるか不安で、ある 6 . クラスをまとめていけるか不安である 7
表 4 学年進行による比較 l 年生 2 年生 3 年生 4 年生 質 間 項 目 F 直 多重比較 M  S D   M  S D   M  S D   M  S D  l.人とデイスカッションをするのは得意ではない 2

参照

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