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カード式ゲームを介してコミュニティを醸成する手法の提案

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Academic year: 2021

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カード式ゲームを介してコミュニティを醸成する手法の提案

Proposal of a method to foster community by a card game

1.まちに対する視点の共有  成熟社会において再び地方回帰が唱えられ全国で 地域の見直しが進められている⑴。都市レベルの視 点で見れば、高齢化、若者の地元離れ、空き家問題 など各都市で似たような問題を抱えつつ、まち単位 ではより解像度を高くし適材適所な改善が求められ ている。  しかし、まちの問題の大枠は認知していても実状 を把握することは容易ではなく、また地元だからこ そ当たり前に潜むまちの良さに気付かないというこ ともある。住民の視点だけでなく新しい視点も取り 入れるべく、地域住民以外の人も巻き込んだ実践的 なまちづくりが必要になる。   2.カードを用いた視点共有のための手法  まちに対する視点の共有において、近年ではカー ドを用いた手法が見られる。  松浦らが四日市港づくりのために行なったワーク ショップでは、市民のアイデアをまとめた「まちづ くりアイデアカード」を情報発信ツールとして用い ることによって、多主体連携によるまちづくりを有 効にしている⑵  横浜市立大学が横浜市で行なっている並木ラボ ( 学生と地域をつなぐプロジェクト ) では、饗庭ら が開発したまちづくりカードゲーム「みんなでまち づくり!」を使用し、住民や市の職員も巻き込んだ ワークショップが開催された⑶。サラリーマン、主 婦、学生、こども、外国人などのキャラクターに各 自なりきることで、案の客観性の視点を増やすこと に成功している。 3.TCC / ザクリエイティブセンターの概要

 本稿で紹介する TCC(The Creative Center) / ザ クリエイティブセンター ( 図 1) とは、まちづくり 体験型イベント作成ゲームである。2013 年にプロ ジェクトが始まり、4ヶ月の制作・試用期間を経て 2014 年に完成した。  静岡県浜松市を拠点にまちに対するメディアプロ ジェクトを行う untenor( アンテナ ) が主催する RE プロジェクトシリーズの第6回目 (RE06) で製作さ れ、私は製作メンバーとして関わった。RE プロジェ クト⑸とは Real Education の略で、学内や社内で の内にこもる課題解決方法ではなくまちに出ること で実践的な教育を行なうことを目的にしている。本 折田千秋 本江正茂

Chiaki Orita and Masashige Motoe 東北大学大学院 工学研究科 都市・建築学専攻

Department of Architecture and Building Science,Graduete School of Engineering, Tohoku University

Abstract:In recent years sharing point of view of the town using cards is done. Therefore, in the RE06 project, we devised a town planning experience card game. A new community is created by combining the three contents of people, things, and places. Furthermore, by replacing the abstract content with its own correlated content, it will be re-edited for its own community. By using cards we associate their context with the existing city context. So, Foster social capital of the town create.

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カードゲームの製作の他に、都市の風景に関するリ サーチ、地域住民と新たなまちの使い方を実践する 共同イベントの主催、まちの問題を見える化するた めの書籍の製作などを行なってきた。 4.TCC / ザクリエイティブセンターの前身  このカードゲームの前身は、RE03(2011-2012 年 ) ⑹において製作されたコミュニティ育成型企画立案 ゲームである。TCC / ザクリエイティブセンターの 名称はこのときに企画され、現在も引き継がれてい る。  参加者が一人ずつ自分の交友関係を示す相関図を 作成し、それをバラバラにし手札として配る。手持 ちの手札の中から固有名詞を選択しその組み合わせ から生まれるイベントを提案する。選択する際に、 自身と関連する人・場所を「根」の人・場所とし、 関わりのない人・場所を「花」の人・場所とする。「根」 と「花」を組み合わせることにより、新しいコミュ ニティを育成するイベントが成立する。このカード ゲームは、自分の相関図を他者のそれと絡めること で、多様な視点を体感しコミュニティの醸成や拡大 を図る手助けとして作用する ( 図 2)。 5.TCC / ザクリエイティブセンターへの改良  RE03 で製作されたカードゲームを、より社会性 のあるものに発展させる企画が RE06(2013-2014 年 ) で行なわれた。  RE03 のカードゲームを試用し実際にイベントを 企画・実行することで、カードのブラッシュアップ を行なった。カードの組み合わせをもとに実現した イベントは、地元をテーマに異なる男女が集い、お 題に沿って会話をする「ジモトーク」である ( 図 3)。  会場はこのプロジェクトを進めていたシェアハウ スで開催することになった。浜松近隣の 7 つの市 が地元であることを選択条件に、メンバーの各相関 図の中からイベント参加者が選ばれた。  実施してみると、相関図上では同じ大学の学科の 先輩後輩で近場のコミュニティに属すなどかなり近 い距離にいたとしても実際には関わりが無く、今回 のイベントで初めて関わりを持ったという人が複数 いた。また存在は認知していても、話したことがな かったというケースもあった。実状の相関図が浮き 彫りになった。  イベントの企画・実行の結果浮上した課題として、 1.企画の実現性、2.形成されうるコミュニティ の規模の範囲、3.イベント内容を決める際の決定 要因の不足が挙げられた。1に関しては、企画段階 で多数のイベントが提案されたがマンパワーやスケ ジュールの問題から多くは実現性が難しいと判断さ れた。2に関しては、他者の相関図を用いることで 新しい関係を築くことには成功するが、その範囲は 大きく飛躍することは無く、少しずつの広がりを見 せることが分かった。3に関しては、相関図だけで はイベントの内容が決定できないため、それを決め るためのコンテンツを増やすことが望まれた。  これらの課題からそれぞれ改良点を挙げると、1. 企画段階においてまちづくりチェック項目を設け点 数化することで、実現度を可視化する。2.相関図 だけでなく、まちのコンテンツを取り込むことでコ ミュニティに広がりを持たす、3.ヒト・バショに モノを加えることでコンテンツの具体性を上げる、 手持ちの札から固有名詞を選択、組み合わせイベントを作成する。 図 2 RE03 でのカードゲームの使い方 図 3 「ジモトーク」の様子

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が考えられ。  6.カードゲームの使い方  このカードゲームは、カツラ、パティシエ、プー ルなどまちに散らばるアイデアカードを組み合わ せ、盛り上がるイベントを考える。  このカードの絵の内容は、人・物・場所の 3 つ に分類される。各 24 枚ずつ合計 72 枚のカードが 存在する。その中から1枚親となるカードを選択す る。親カードは提案するイベントの内容に必ず組み 込まねばならない。その他のカードをランダムに5 枚配り、そのカードから最大3枚を組み合わせてま ちづくりイベントを作成する。審査員が明確な指標 のもとジャッジをし、まち一番のイベント決める。 例えばお題カードが「公園」のとき、手札の「軽ト ラ」と「農家」を組み合わせて「焼き芋移動販売ま つり」というイベントが作成される。  このカードゲームは2つの舞台を選択して遊ぶこ とができる。( 図 5) 1- 仮想のまちを想定した使い方 2- 実際のまちを想定した使い方 また、1、2にはそれぞれオプションも存在する。 1+トレンドワードを用いた使い方 2+まち歩きを伴う使い方  どの遊び方にも共通するルールは、手持ち5枚の カードから 1~ 3枚を使用してイベントを提案する ことである。プレゼン時間は一人1分。 6−1.仮想のまちを想定した使い方  仮想のまち「クリッツェン村」を舞台としてまち づくりイベントを提案する。村の名前以外の情報は 設定されていないため、まちを自分たちで自由に編 集することができる。  オプションのトレンドワードを用いた使い方で は、リアルタイムで流行しているモノ・ヒト・デ キゴトをカードに取り入れる。このカードは HP の ウェブ上で公開されており、Google トレンドとリ ンクしているため検索数が多いキーワードをリアル に反映している。流行をどう取り入れるかによって 臨場感を味わうことができる。 6−2.実際のまちを想定した使い方  参加者の近辺を舞台としてまちづくりイベントを 提案する。イベントテーマの設定は、参加者が面白 くしたいと思う身の回りのモノやイベント、あるい はまち自体をピックアップしたリストから選択して 決める。ex( 商店街のイベント、使われていない駐 車場、地域のフリーペーパーなど )  オプションのまち歩きを伴う使い方では、まちの 散策によって抽象的なカードのコンテンツが固有名 詞に置き換えらる場合が生まれる。例えば「美容室」 →「花畑美容室」など。そうすることで、案の解像 度が増し、リアリティが増すより密度の濃い提案を することが出来る。 6−3.カードゲームの試用   仮想のまち、実際のまちを想定してカードゲーム の試用が行なわれた。このカードゲームは、イベン トを考える際の補助ツールとして使用されるのが望 ましい。偶発的なカードの選択により、違う視点を 取り入れることができる。そのために、カードのコ ンテンツが重要になってくる。  当初、72 枚のカードの中には、「公園」「小学生」 などまちに当たり前のように存在するものから「飴 1000 個」「大王イカ」など奇抜なものまで存在した。 奇抜なカードはその使いにくさ故にあまり使用され ることは無かったが、そのカードを活かした案が提 案されるとカードを上手に利用したとして評価があ がる傾向があった。その場合、そのカードをそのま ヒト モノ バショ 1. 仮想のまち ヒト モノ バショ 2. 実際のまち ○⃝農家 △△カメラ □□学校 図5 カードゲームの遊び方

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まの意味で捉えるのではなく、「飴玉 1000 個」→「飴 玉についている袋 1000 枚」というように読み替え が行なわれた。  仮想のまちを想定したカードゲームにおいては、 この奇抜なカードの読み替えをすることで、審査員 にベストイベントとして選んでもらう機会が多かっ た。しかし、実際のまちにおいては、実現性から読 み替えの範囲が狭まり、使用されることは少なかっ た。使いにくさ故に上手に使用したときの読み替え 力が評価されるというカードゲームとして利点もあ るが、実際のまちにおいての汎用のしにくさから、 これらの奇抜なカードは「飴 1000 個」→「お菓子」 などと抽象度を増すように変更された。抽象度を上 げることで、カードのコンテンツが実際のまちと関 わりを持ちやすくなった。   このカードゲームは、イベントを考える際にカー ドの<ヒト・モノ・バショ>を自身が関連している 人や物、場所とつなげる。まちの中の要素と自身に 相関するものをつなげることの補助をする。そうす ることで、イベント作成時にコミュニティの拡張を 伴うまちづくり提案ができる。 7.今後の展開  カードゲームの試用により、思いもよらないコン テンツが結びつくことで新たな切り口のイベント提 案ができるという結果は目的通りであったことが分 かった。しかし、ほとんどの場合はコンテンツを並 べているだけのものが多く、それらをうまく読み替 え調理することが今後必要とされる。初見では難し い故に、数回のカードゲーム試用が推奨される。ま た、カードゲームのアーカイブによる学習や資源と しての活用も今後視野に入れたい。 謝辞 主体となってプロジェクトを進行していただいた Untenor の辻琢磨様、植野聡子様、RE プロジェク トに参加されていたメンバーの皆様、クリエイティ ブユニット SAVA の皆様、茨城大学一ノ瀬研究室 の皆様、PLANPOT DESIGN WORKS の鈴木力哉 様、ありがとうございます。 参考文献 ⑴国土交通省 HP「第 1 節 ヒト・モノ・カネ・情 報の流れ」 <http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h26/ hakusho/h27/html/n1211000.html>(参照 2017-6-2) ⑵松浦健治郎、飛田裕彰、松田浩紀『多主体連携に よるまちづくりにおける「まちづくりアイデアカー ド」の開発と実践 - 親しまれる四日市港づくりのた めのワークショップを通じて -』 日本建築学会技 術報告集 2012 年2月 ⑶横浜市大「UDCN 並木ラボ」でまちづくりカー ドゲーム体験講座 (2014) < http://yokohama.localgood.jp/news/1618/ > (参照 2017-6-2) ⑷ TCC/ ザクリエイティブセンター HP < http:// www.untenor.com/tcc/ > ⑸ UntenorHP < http://www.untenor.com > ⑹ RE03「CITY LAB」実施報告書 (2012) < http://www.untenor.com/documents/RE03_ report_130826.pdf > ( 参照 2017-6-5)

図 1 TCC/ ザ・クリエイティブセンター

参照

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